説明

非中央カタディオプトリック光学系において投影を求める方法およびシステム

【課題】カタディオプトリック系が鏡等の反射器を含む場合の光線の経路を計算する式を提供する。
【解決手段】シーン内の点(PS)と、カタディオプトリック系のカメラの投影中心(COP)との間の光線の反射点の3次元(3D)ロケーションが求められる。カタディオプトリック系は非中央式であり、カメラおよび反射器を含み、該反射器の表面は対称軸の周りに回転対称な2次曲面である。反射法則、反射器の式、およびCOPと、PSと、反射点における反射器に対する法線の、対称軸との交点とによって規定される反射面を示す式に基づいて反射点の3Dロケーションが求められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包括的にはカタディオプトリック光学系に関し、より詳細には、非中央カタディオプトリック光学系において投影を求めることに関する。
【背景技術】
【0002】
カタディオプトリック光学系は、通常はレンズ(屈折光学)と曲面鏡(反射光学)とにより屈折原理と反射原理とを組み合わせる。カタディオプトリック系は、広い視野(FOV)の撮像を可能にするカメラの撮像用反射器または屈折器を含む。カタディオプトリック系は、パノラマ撮像および可視化、広角再構成、監視、並びに携帯ロボットおよびカーナビゲーションを含む幅広い用途に用いられてきた。カタディオプトリック系には、中央式(central)と非中央式(non−central)とがあり得る。
【0003】
中央カタディオプトリック系
中央カタディオプトリック系は、単一の有効視点を可能にするように配置された単一のカメラ−鏡の対を用いる。すなわち、カメラセンサによって取得された画像を形成する全ての光線は、1点で交わる。中央カタディオプトリック系の例には、双曲面鏡または楕円面鏡の焦点のうちの1つに配置された透視投影カメラと、放物面鏡の軸上に配置された正投影カメラとが含まれる。
【0004】
非中央カタディオプトリック系
非中央カタディオプトリック系は、コンピュータビジョン用途で広く用いられている。非中央カタディオプトリック系の例には、球面鏡の外側に配置された透視投影カメラと、カメラが双曲面鏡または楕円面鏡の焦点に配置されない構成とが含まれる。中央カタディオプトリック系と対照的に、非中央カタディオプトリック系では、光線は1点で交わらない。その代わりに、光線は線に沿って交わる場合もあるし、円またはより複雑な形状に接する場合もある。
【0005】
多くの用途において、非中央カタディオプトリック系をモデル化することが重要であり、非中央カタディオプトリック系は、シーン内の点(PS)の、カタディオプトリック系のカメラの投影中心(COP)に対する3次元(3D)投影を求めることを必要とする。非中央カタディオプトリック系は、有効な投影中心を持たない。COPは、カタディオプトリック系において用いられる物理的な透視投影カメラの投影中心を指す。
【0006】
この投影は、3次元(3D)のPSをカタディオプトリック系のカメラの像面の2次元(2D)の画素にマッピングする。
【0007】
たとえば、カタディオプトリック系が鏡等の反射器を含む場合、PSをカメラの像面に投影するには、鏡面反射を介したPSからCOPまでの光線の経路を計算する必要がある。したがって、鏡の表面の反射点を求める必要がある。同様に、カタディオプトリック系が屈折器、たとえば屈折率球体を含む場合、投影をモデル化するには、2つの屈折点を求める必要がある。
【0008】
中央カタディオプトリック系の投影の解析解は知られている。しかし、カメラが反射器または屈折器に対して任意の位置に配置されているときに、一般的な非中央カタディオプトリック系の投影の解析解はない。
【0009】
いくつかの従来の方法が、非中央カタディオプトリック系を、投影の解析解を可能にする中央カタディオプトリック系として近似している。しかし、これらの方法は、歪んだ3D推定値等、不正確なものとなる。
【0010】
代替的な方法は、中央の近似を用いて反射点または屈折点を初期化することにより反復による非線形最適化を用いる。しかし、これらの方法は、時間がかかり、不適切な初期化により不正確な解となる。さらに別の方法は、一般的な線形カメラ表現を用いて、解析投影を可能にするアフィンモデルにより非中央カタディオプトリックカメラを局所的に近似するが、この方法も近似を導入する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、非中央カタディオプトリック系の投影の解析解を提供することが望ましい。また、PSから非中央カタディオプトリック系のCOPへの光線の少なくとも1つの反射点の3次元(3D)ロケーションを解析的に求めることが望ましい。
【0012】
この発明の目的は、非中央カタディオプトリック系の投影を解析的に求める方法を提供することである。
【0013】
この発明の更なる目的は、シーン内の点(PS)と、カタディオプトリック系のカメラの投影中心(COP)との間の光線の反射点を求める方法を提供することである。
【0014】
この発明の更なる目的は、COPが反射器の対称軸の外側に配置されているカタディオプトリック系の反射点を求める方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明のいくつかの実施の形態は、COPと、PSと、反射点の法線の、反射器の対称軸との交点とによって規定される反射面を用いて、解析式を導出することができるという認識に基づいている。解析式を、反射法則および反射器の式と併せて用いて、反射点のロケーションを求めることができる。
【0016】
1つの実施の形態は、カタディオプトリック系の反射器が回転対称である場合、座標系全体を回転して、COPを少なくとも1つの軸上に位置決めすることができるという別の認識に基づいている。これを実現することによって、実施の形態が1つの未知数の順投影式(FPE)の次数を低減することが可能となり、ここで、未知数は反射点の座標である。たとえば、1つの実施の形態は8次のFPEを求めて解く。
【0017】
したがって、この発明の1つの実施の形態は、シーン内の点(PS)と、カタディオプトリック系のカメラの投影中心(COP)との間の光線の反射点の3次元(3D)ロケーションを求める方法であって、カタディオプトリック系は非中央式であり、カメラおよび反射器を含み、該反射器の表面は対称軸の周りに回転対称な2次曲面であり、反射点は、表面上の光線の反射点であり、カタディオプトリック系の構成は、3Dロケーションによって特定されるPSおよびCOPを含む。本方法は、
COPと、PSと、反射点の法線の、対称軸との交点によって規定された反射面を示す第1の式を求めることと、
反射点において反射法則に基づいて第2の式を求めることと、
反射器の式として第3の式を求めることと、
第1の式、第2の式、および第3の式を解くことであって、反射点の3Dロケーションを求める、解くことと、
を含み、該方法のステップはプロセッサによって実行される。
【0018】
本方法は、任意選択で、以下のうちの1つまたは複数を含むことができる。たとえば、カタディオプトリック系の構成は第1の座標系において取得することができ、本方法は、第1の座標系を、COPの少なくとも1つの座標が第2の座標系における軸上にあるように、対称軸の周りに第2の座標系まで回転させることと、反射点の3Dロケーションを第1の座標系にマッピングすることとを含むことができる。
【0019】
たとえば、1つの変形形態は、第1の式、第2の式、および第3の式に基づいて、1つの未知数の8次の順投影式(FPE)を構成することであって、該未知数は、第2の座標系における反射点の3Dロケーションの第1の座標である、構成することと、
FPEを解くことであって、第1の座標を求める、解くことと、
第1の座標と、第1の式、第2の式、および第3の式とに基づいて、第2の座標系における反射点の3Dロケーションの第2の座標および第3の座標を求めることであって、第2の座標系における反射点の3Dロケーションを得る、求めることと、
反射点の3Dロケーションを第1の座標系にマッピングすることと、
をさらに含むことができる。
【0020】
様々な実施の形態は、反射点の3Dロケーションを用いて、カメラに対する反射器の姿勢を、バンドル調整を用いて求め、シーン内のスパースな3D点を求め、かつ/またはシーンの密な深さマップを求めることができる。
【0021】
別の実施の形態は、シーン内の点(PS)と、カタディオプトリック系のカメラの投影中心(COP)との間の光線の反射点Mの3次元(3D)ロケーションを求める方法であって、カタディオプトリック系は非中央式であり、カメラおよび鏡を含み、該鏡の表面は対称軸の周りに回転対称な2次曲面であり、反射点は、表面上の光線の反射点であり、光線を入射光線と反射光線とに分割し、PSおよびCOPは3Dロケーションによって特定される。本方法は、
x軸、y軸、およびz軸の第1の座標系においてカタディオプトリック系の構成を取得することであって、鏡はz軸の周りに回転対称である、取得することと、
回転行列Rを求めることと、
第1の座標系を、第2の座標系におけるCOPのx座標がゼロになるように、該第2の座標系まで回転させることと、
第2の座標系において、1つの未知数の8次の順投影式(FPE)を求めることであって、該未知数は反射点の座標であり、該FPEを求めることは、鏡の式、COPと、PSと、法線nの、対称軸との交点とによって規定される反射面を示す式、および反射法則を示す式に基づく、FPEを求めることと、
FPEに基づいて第2の座標系における反射点の3Dロケーションを求めることと、
回転行列の逆行列を用いて、反射点の3Dロケーションを第1の座標系にマッピングすることと、
を含む。
【0022】
さらに別の実施の形態は、カタディオプトリック系であって、シーン内の点(PS)と、該カタディオプトリック系の投影中心(COP)との間の光線の反射点の3次元(3D)ロケーションを求めるように構成され、PSおよびCOPは3Dロケーションによって特定され、該カタディオプトリック系は非中央式であり、
反射器であって、反射点は該反射器の表面上の光線の反射によって生じ、該表面は対称軸の周りに回転対称な2次曲面である、反射器と、
表面から或る距離に配置されたカメラであって、カタディオプトリック系のCOPは該カメラのCOPである、カメラと、
反射法則、反射器の式、およびCOPと、PSと、反射点における反射器に対する法線の、対称軸との交点とによって規定される反射面を示す式に基づいて反射点の3Dロケーションを求めるプロセッサと、
を備える、カタディオプトリック系を開示する。
【発明の効果】
【0023】
この発明の実施の形態は、カタディオプトリック撮像の分野を理論的かつ実用的に進化させる。実施の形態は、多様な非中央カタディオプトリック系の順投影の解析式を提供する。この発明のいくつかの実施の形態は、カメラが鏡の対称軸外側に位置決めされているカタディオプトリック系において反射点を解析的に求めることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態1によるカタディオプトリック系の概略図である。
【図2】この発明のいくつかの実施の形態による反射点を求める方法のブロック図である。
【図3】この発明のいくつかの実施の形態によるカタディオプトリック系の座標系の回転の概略図である。
【図4】この発明の1つの実施の形態による反射点を求める方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
方法およびシステムの概観
この発明の実施の形態は、シーン内の点(PS)と、カタディオプトリック系のカメラの投影中心(COP)との間の光線の反射点の3次元(3D)ロケーションは、該カタディオプトリック系の3D構造を、COPと、PSと、反射点の法線の、カタディオプトリック系の反射器の対称軸との交点とによって規定される2次元(2D)平面上にマッピングすることを用いて解析的に求めることができるという認識に基づく。
【0026】
そのような構成は、反射器の表面から或る距離に配置されたカメラを有する非中央カタディオプトリック系を含む。反射器の表面は2次曲面であり、対称軸の周りに回転対称である。重要なことには、いくつかの実施の形態の場合、カタディオプトリック系において用いられるカメラの投影中心(COP)の位置に制限がない。たとえば、COPを対称軸の外側に配置することができる。
【0027】
図1は、カタディオプトリック系100の構成の一例を示している。カタディオプトリック系100は非中央式であり、反射器の表面は、対称軸、たとえば軸110の周りに回転対称な2次曲面である。COP120は対称軸上に、または対称軸から離して位置決めされる。1つの実施の形態では、カメラはピンホールカメラである。
【0028】
いくつかの実施の形態は、或るPS、たとえばPS130と、光学折り返し素子の或る表面、たとえば表面105の表面から或る距離に配置された或るカメラ、たとえばカメラ121を有するカタディオプトリック系の或るCOP、たとえばCOP120との間の光線の1つの反射点160の3次元(3D)ロケーションを求める。反射点は、表面からの光線の反射点であり、折り返し点が光線を入射光線131と反射光線132とに分割するようになっている。PSおよびCOPは3Dロケーションによって特定される。
【0029】
この発明のいくつかの実施の形態は、COP120と、PS130と、反射点160の法線135の、対称軸z110との交点とによって規定される反射面140を求める。
【0030】
本明細書において、3D座標系のz軸は、対称軸、たとえば鏡の軸である。1つの実施の形態では反射器は球面鏡であり、対称軸は球面鏡の中心を通り、反射器の式は球面鏡の式である。
【0031】
カタディオプトリック系の構成は、x軸、y軸、およびz軸を有するワールド座標系において取得することができる。この座標系において、COPはCOP=[c,c,cであり、ここで、Tは転置演算子であり、PSはPS=[X,Y,Z]である。入射光線vはv=M−COPとして表され、ここで、Mは反射点を表し、法線nは反射点Mにおける鏡に対する法線を表し、反射光線vはv=P−Mとして表される。2次曲面の回転対称の鏡は、
【数1】

にしたがって示すことができる。ここで、A、B、Cは鏡の表面のパラメータである。
【0032】
反射法則から、以下の制約を導出することができる。
(a)平面性:光線v、v、および法線nは同じ平面上に位置する。
(b)角度制約:入射光線vと法線nとの間の角度は、反射光線vと法線nとの間の角度に等しい。
【0033】
これらの2つの制約は、以下の反射式で表される。
【数2】

【0034】
また、反射点Mは鏡の表面上にあり、このため、反射点の座標は鏡の式(1)を満たす。
【0035】
図2は、この発明の実施の形態による方法のブロック図を示している。本方法は、カタディオプトリック系100の取得された(170)構成175にしたがって、シーン内の点(PS)と、カタディオプトリック系100のカメラの投影中心(COP)との間の光線の少なくとも1つの反射点の3次元(3D)ロケーション199を求める。様々な実施の形態において、構成175は、既存のカタディオプトリック系またはカタディオプトリック系のモデルの構成である。本方法のステップはプロセッサ101によって実行される。
【0036】
反射面は第1の式186を用いて示される。第2の式は反射点における反射法則を用いて定義され、第3の式185は反射器の式を用いて定義される。第1の式、第2の式、および第3の式を用いて、1つの未知数の順投影式(FPE)を求めて解く(190)。ここで、未知数は第1の座標191である。次に、第1の座標と、第1の式、第2の式、および第3の式とに基づいて、第1の座標、第2の座標、および第3の座標を含む3Dロケーション199を求めることができる(195)。
【0037】
この発明の1つの実施の形態は、カタディオプトリック系の構成が第1の座標系において取得される場合、第1の座標系は、COPの少なくとも1つの座標が第2の座標系における軸上にあるように第2の座標系まで回転させる(176)ことができるという別の認識に基づく。この実施の形態では、第1の式、第2の式、および第3の式は、第2の座標系において定義されて解かれ、それによって、反射点の3Dロケーションは該第2の座標系において求められ、その後、第1の座標系にマッピングして戻される。
【0038】
図3は、例示の目的でのみ提供される、回転176の概略図を示している。鏡はz軸の周りに回転対称であるので、図3(右)に示すように、座標系全体を、z軸の周りに回転させ、COPをy軸上に位置決めすることができる。
【0039】
いくつかの実施の形態は、
【数3】

にしたがって回転行列Rを求め、第1の座標系を、たとえば第2の座標系におけるCOPのx座標がゼロになるように、第2の座標系まで回転させる。ここで、
【数4】

である。COP320の新たな座標は
【数5】

によって与えられ、ここで、演算子*は乗算である。
【0040】
COPのx座標をゼロに設定することによって、後続の式、たとえばFPE式の次数が低減される。重要なことには、回転176はPSから独立している。回転後のPS330の新たな座標は、PS=R*PS=[u,v,s]によって与えられる。いくつかの実施の形態は、第2の座標系におけるCOP320および交点350を用いて該第2の座標系における反射点M360の3Dロケーションを求め、次に回転行列の逆行列R−1を用いて、反射点の3Dロケーションを第1の座標系にマッピングする。
【0041】
図4は、1つの実施の形態による方法のフローチャートを示している。ステップ410は、COPの少なくとも1つの座標が第2の座標系における軸上にあるように、第1の座標系を第2の座標系に回転させることを含む。ステップ420は、第1の式、第2の式、および第3の式に基づいて、1つの未知数の8次の順投影式(FPE)を求めることであって、ここで、未知数は第2の座標系における反射点の3Dロケーションの第1の座標である、求めることと、FPEを解いて該第1の座標を求めることとを含む。
【0042】
ステップ430は、第1の座標と、第1の式、第2の式、および第3の式とに基づいて、第2の座標系における反射点の3Dロケーションの第2の座標および第3の座標を求めて、第2の座標系における反射点の3Dロケーションを得ることを含む。最後に、ステップ440は、第2の座標系における反射点の3Dロケーションを第1の座標系にマッピングすることを含む。
【0043】
反射面に基づいて第1の式を求める
第2の座標系における反射点はM=[x,y,z]である。反射平面πは、光線v、vおよび法線nを含む。反射点Mにおける法線は、鏡の式から以下のように求めることができる。
【数6】

【0044】
鏡は、たとえばz軸の周りに回転対称であるので、法線は点K=[0,0,z−Az−B/2]においてz軸と交差する。この点は反射面上にも位置する。このため、反射面の式は、点K350、COP320、およびPS330を用いて求めることができ、その結果、
【数7】

となる。ここで、
【数8】

である。
【0045】
式(4)は、座標xおよびyについて線形である。この式(4)を用いて、座標xは
【数9】

にしたがって、座標yおよびzの観点で定義することができる。
【0046】
鏡の式に座標xを代入することによって、
【数10】

にしたがう第1の式IEが得られる。
【0047】
第1の式は座標yの2次式であるが、係数は座標zの関数である。この式は、反射面の、鏡との交線によって与えられる曲線Γ310を示している。この曲線上の反射点は、角度制約を満たさなくてはならない。後述するように、反射法則の式に基づいて求められた第2の式IEも、座標yの2次式である。第1の式IEと、第2の式IEとの間でyを消去することによって、zの単一の8次式、すなわちFPEを求めることができる。
【0048】
反射法則に基づいて第2の式を求める
反射光線vはシーン内の点PSを通過し、
【数11】

が得られる。ここで、演算子×は外積である。入射光線v
【数12】

である。
【0049】
反射光線vは、反射式(2)にvおよびnを代入することによって求めることもできる。次に、式(7)に、反射光線v、並びにPSおよびMの値を代入することによって、以下の3つの式(外積が3Dであるため)が得られる。
【数13】

【0050】
多項式k31、k32、k33
【数14】

にしたがって求められる。
【0051】
3つの式(9)は独立しておらず、このため、これらの式のいずれも第2の式として選択することができる。たとえば、1つの実施の形態は、式Eがxから独立しているので、式Eを選択する。
【0052】
順投影式
順投影式(FPE)は、たとえば第1の式および第2の式からyを消去して1つのみの未知数、たとえば(z)のみの単一の式を得ることによって求めることができる。たとえば、1つの実施の形態は、第1の式および第2の式を以下のように書き換える。
【数15】

ここで、k41(z)=c(z)+c(z)、k42(z)=2c(z)c(z)、およびk43(z)=c(z)+c(z)(Az+Bz−C)である。
【0053】
を消去することによって、以下が得られる。
【数16】

【0054】
次に、第1の式および第2の式にyを代入することによって、
【数17】

にしたがってFPEが得られる。ここで、k41(z)=c(z)+c(z)、k42(z)=2c(z)c(z)、およびk43(z)=c(z)+c(z)(Az+Bz−C)=0はzの多項式である。
【0055】
この実施の形態によれば、FPEはzの8次多項式である。FPEの係数は既知の鏡パラメータ(A,B,C)、COPの既知のロケーション(0,d,d)、およびPSの既知のロケーション(u,v,w)に依拠する。回転176が実行されない場合、FPEは12次多項式である。
【0056】
表1は、様々な鏡の形状およびカメラの配置についてのFPEの次数を列挙している。符号「−」は、その特定の鏡および該鏡の対称軸上に配置されたカメラを用いて中央構成を達成するのが実際的でない場合があることを示している。
【0057】
【表1】

【0058】
一般的な2次曲面および軸外カメラ配置の場合、FPEは次数8を有する。放物面鏡(A=0、C=0)の場合、次数は7に低減する。外側を研磨された円筒形鏡(A=0、B=0、C>0)の場合において、軸外カメラ配置のとき、次数は4に低減する。円筒形鏡を用いた軸上カメラ構成は、鏡が内側を研磨されているときに実際的であり、これによって、FPE式の次数が2に低減する。パラメータA≠0の場合、鏡をz軸に沿ってシフトすることによってパラメータBをゼロに設定することができる。表1は、円錐形鏡(C=0、A<0)、双曲線形鏡(A<0、C<0)、および楕円形鏡(A>0、C>0)の場合のFPEの次数も示している。
【0059】
順投影式の適用
いくつかの実施の形態は、バンドル調整アルゴリズムを用いてシーン内の3D点およびカタディオプトリック系のパラメータを同時に求めるために順投影式を用いる。シーン内の3D点を求めることは、スパースな3D再構成に対応するのに対し、カタディオプトリック系のパラメータを求めることは、系の較正に対応する。
【0060】
1つの実施の形態では、カタディオプトリック系は、複数の放物面鏡を撮像する単一の透視投影カメラを備える。カメラの内部パラメータはオフラインで別個に計算され、鏡の形状のパラメータは既知である。初期解から始めて誤差を最小にすることによってバンドル調整を実行することができる。カメラに対する鏡の初期姿勢は、取得された画像内の鏡の境界に基づいて取得することができる。3D点の初期ロケーションは、複数の鏡に対応するそれぞれの後方投影光線の最短横断線の中心として取得することができる。順投影は、誤差を、バンドル調整における各反復での再投影誤差の和として計算する必要がある。このため、解析順投影式は、反復順投影を用いた既存の手法と比較してバンドル調整の処理時間を大幅に低減する。
【0061】
いくつかの実施の形態は、対応する画像点が、スケール不変の特徴変換(SIFT)等の特徴マッチングアルゴリズムを用いて推定され、異常値および誤一致を常に含むことを考慮する。これらの実施の形態は、異常値除去とともにバンドル調整を反復することによって、スパースな3D再構成と較正とを同時に実行する。各バンドル調整ステップの後、再投影誤差が平均再投影誤差の2倍より大きい3D点が除去される。順投影式に起因して、異常値除去は効率的に複数回繰り返すことができる。
【0062】
別の実施の形態は、順投影式を、シーンの密な深さマップを再構成するのに用いる。密な深さマップは、複数の鏡を介してシーン内の密な3Dロケーションを画像に投影し、対応する画像ピクセルの中で、色濃度コスト、たとえば色の差分2乗和(sum of squared difference)を計算することによって再構成することができる。順投影式は、密な深さ再構成プロセスが効率的に実行されることを可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーン内の点(PS)と、カタディオプトリック系のカメラの投影中心(COP)との間の光線の反射点の3次元(3D)ロケーションを求める方法であって、前記カタディオプトリック系は非中央式であり、前記カメラおよび反射器を含み、該反射器の表面は対称軸の周りに回転対称な2次曲面であり、前記反射点は、前記表面上の前記光線の反射点であり、前記カタディオプトリック系の構成は、3Dロケーションによって特定される前記PSおよび前記COPを含み、該方法は、
前記COPと、前記PSと、前記反射点の法線の、前記対称軸との交点によって規定された反射面を示す第1の式を求めるステップと、
前記反射点において反射法則に基づいて第2の式を求めるステップと、
前記反射器の式として第3の式を求めるステップと、
前記第1の式、前記第2の式、および前記第3の式を解き、前記反射点の3Dロケーションを求める、解くステップと、
を含み、該方法の前記ステップはプロセッサによって実行される、シーン内の点(PS)と、カタディオプトリック系のカメラの投影中心(COP)との間の光線の反射点の3次元(3D)ロケーションを求める方法。
【請求項2】
前記反射点の前記3Dロケーションは、第1の座標、第2の座標、および第3の座標を含み、前記方法は、
前記第1の式、前記第2の式、および前記第3の式から、1つの未知数の順投影式(FPE)を構成するステップであって、ここで、該未知数は前記第1の座標である、構成するステップと、
前記FPEを解いて前記第1の座標を求める、解くステップと、
前記第1の座標と、前記第1の式、前記第2の式、および前記第3の式とに基づいて前記第2の座標および前記第3の座標を求めるステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記FPEは8次式である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記反射器は球面鏡であり、前記対称軸は該球面鏡の中心を通り、前記反射器の前記式は前記球面鏡の式である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記カタディオプトリック系の前記構成は第1の座標系において取得され、前記方法は、
前記第1の座標系を、前記COPの少なくとも1つの座標が第2の座標系における軸上にあるように、前記対称軸の周りに前記第2の座標系まで回転させるステップ、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の式、前記第2の式、および前記第3の式は、前記第2の座標系において、前記反射点の前記3Dロケーションが該第2の座標系内で求められるように定義され、解かれ、前記方法は、
前記反射点の前記3Dロケーションを前記第1の座標系にマッピングするステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の式、前記第2の式、および前記第3の式に基づいて、1つの未知数の8次の順投影式(FPE)を構成するステップであって、該未知数は、前記第2の座標系における前記反射点の前記3Dロケーションの第1の座標である、構成するステップと、
前記FPEを解いて前記第1の座標を求める、解くステップと、
前記第1の座標と、前記第1の式、前記第2の式、および前記第3の式とに基づいて、前記第2の座標系における前記反射点の前記3Dロケーションの第2の座標および第3の座標を求め、前記第2の座標系における前記反射点の前記3Dロケーションを得る、求めるステップと、
前記反射点の前記3Dロケーションを前記第1の座標系にマッピングするステップと、
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記反射点の前記3Dロケーションを用いて、前記カメラに対する前記反射器の姿勢を、バンドル調整を用いて求めるステップ、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記反射点の前記3Dロケーションを用いて、シーン内のスパースな3D点を求めるステップ、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記反射点の前記前記3Dロケーションを用いて、シーンの密な深さマップを求めるステップ、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
シーン内の点(PS)と、カタディオプトリック系のカメラの投影中心(COP)との間の光線の反射点Mの3次元(3D)ロケーションを求める方法であって、前記カタディオプトリック系は非中央式であり、前記カメラおよび鏡を含み、該鏡の表面は対称軸の周りに回転対称な2次曲面であり、前記反射点は、前記表面上の前記光線の反射点であり、前記光線を入射光線と反射光線とに分割し、前記PSおよび前記COPは3Dロケーションによって特定され、該方法は、
x軸、y軸、およびz軸の第1の座標系において前記カタディオプトリック系の構成を取得するステップであって、前記鏡はz軸の周りに回転対称であり、前記COPはCOP=[c,c,cであり、ここで、Tは転置演算子であり、PSはPS=[X,Y,Z]であり、前記入射光線vはv=M−COPであり、法線nは前記反射点Mにおける前記鏡に対する法線であり、前記反射光線vはv=P−Mである、取得するステップと、
【数1】

にしたがって回転行列Rを求めるステップであって、ここで、
【数2】

である、回転行列Rを求めるステップと、
【数3】

にしたがって、前記第1の座標系を、第2の座標系における前記COPのx座標がゼロになるように、該第2の座標系まで回転させるステップであって、ここで、演算子*は乗算である、回転させるステップと、
前記第2の座標系において、1つの未知数の8次の順投影式(FPE)を求めるステップであって、該未知数は前記反射点の座標であり、該FPEを求めるステップは、前記鏡の式、前記COPと、前記PSと、前記法線nの、前記対称軸との交点とによって規定される反射面を示す式、および反射法則を示す式に基づく、FPEを求めるステップと、
前記FPEに基づいて前記第2の座標系における前記反射点の前記3Dロケーションを求めるステップと、
前記回転行列の逆行列R−1を用いて、前記反射点の前記3Dロケーションを前記第1の座標系にマッピングするステップと、
を含む、シーン内の点(PS)と、カタディオプトリック系のカメラの投影中心(COP)との間の光線の反射点の3次元(3D)ロケーションを求める方法。
【請求項12】
【数4】

にしたがって、第3の式を前記鏡の式として求めるステップであって、ここで、A、B、およびCは前記鏡の前記表面のパラメータである、第3の式を求めるステップと、
【数5】

にしたがって、前記反射面を示す第1の式を求めるステップであって、ここで、zおよびyは前記反射点の座標であり、
【数6】

であり、ここで、u、v、およびwは前記第2の座標系における前記PSの座標であり、[u,v,s]=R*PSである、第1の式を求めるステップと、
【数7】

にしたがって、反射法則に基づいて第2の式を求めるステップであって、ここで、多項式k31、k32、k33
【数8】

にしたがって求められる、第2の式を求めるステップと、
前記第1の式、前記第2の式、および前記第3の式に基づいて前記FPEを求めるステップと、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
【数9】

にしたがって前記FPEを求めるステップであって、ここで、k41(z)=c(z)+c(z)、k42(z)=2c(z)c(z)、およびk43(z)=c(z)+c(z)(Az+Bz−C)=0はzの多項式である、求めるステップ、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記鏡の形状は、球形、楕円形、双曲形、放物形、円錐形、および円筒形からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
カタディオプトリック系であって、シーン内の点(PS)と、該カタディオプトリック系の投影中心(COP)との間の光線の反射点の3次元(3D)ロケーションを求めるように構成され、前記PSおよび前記COPは3Dロケーションによって特定され、該カタディオプトリック系は非中央式であり、
反射器であって、前記反射点は該反射器の表面上の前記光線の反射によって生じ、該表面は対称軸の周りに回転対称な2次曲面である、反射器と、
前記表面から或る距離に配置されたカメラであって、前記カタディオプトリック系の前記COPは該カメラのCOPである、カメラと、
反射法則、前記反射器の式、および前記COPと、前記PSと、前記反射点における前記反射器に対する法線の、前記対称軸との交点とによって規定される反射面を示す式に基づいて前記反射点の前記3Dロケーションを求めるプロセッサと、
を備える、カタディオプトリック系。
【請求項16】
前記反射器は球面鏡であり、前記対称軸は該球面鏡の中心を通り、前記反射器の式は前記球面鏡の式である、請求項15に記載のカタディオプトリック系。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記カタディオプトリック系の座標系を、前記対称軸の周りに回転させ、該座標系の軸上に前記COPの少なくとも1つの座標を位置決めし、前記反射点の前記3Dロケーションが求められた後に前記回転を逆に行う、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−215855(P2012−215855A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−64698(P2012−64698)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】