非丸形流体充填レンズ光学部品
光学屈折力の変化をもたらすことができる密閉型の非丸形流体充填レンズの光学的及び機械的設計。流体レンズは、少なくとも3つの光学部品、即ち、少なくとも1つの最も硬質の光学ディスク、少なくとも1つの最も軟質の光学メンブレン及び流体レンズの屈折力を変化させるために流体レンズ内部の流体容積を増大させるよう接近できるリザーバに入っている過剰流体のリザーバと流体チャネルを介して流体連通状態にある透明な流体の層を有する。流体レンズは、球面誤差及び非点収差誤差の補正をもたらすことができ、また、像収差を最小限に抑えるよう異形メンブレンを利用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、流体充填レンズ、特に可変流体充填レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
基本的な流体レンズは、米国特許第2,836,101号明細書に記載されているように1958年頃から知られている。なお、この米国特許を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。最近における例は、タン他(Tang et al.),「ダイナミカリ・リコンフィギュラブル・フルイド・コア・フルイド・クラディング・レンズ・イン・ア・マイクロフルイディック・チャネル(Dynamically Reconfigurable Fluid Core Fluid Cladding Lens in a Microfluidic Channel)」,ラボラトリーチップ(Lab Chip),第8巻,2008年,p.395及び国際公開第2008/063442号パンフレットに見受けられ、この非特許文献及び特許文献の各々を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。流体レンズのこれらの用途は、フォトニクス、ディジタル電話及びカメラ技術並びにマイクロエレクトロニクスに向けられている。
【0003】
また、オフサルミック(眼科学)用途にあった流体レンズが提案された(これについては、例えば、米国特許第7,085,065号明細書を参照されたい。なお、この米国特許を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする)。あらゆる場合において、ダイナミックレンジが広いこと、適応補正(矯正)を提供することができること、堅牢であること及び安価であることを含む流体レンズの利点は、アパーチュアサイズの制約、漏れ傾向及び性能の一貫性に対して釣り合わされなければならない。米国特許第7,085,065号明細書は、例えば、オフサルミック用途で用いられるべき流体レンズ内への流体の効果的な収容に関する幾つかの改良例及び実施形態を開示している。ただし、これらには限定されない(これについては、例えば、米国特許第6,618,208号明細書を参照されたい。なお、この米国特許を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする)。流体レンズの屈折力調節は、追加の流体をレンズキャビティ中に注入することにより、エレクトロウェッティング(electrowetting)により、超音波衝撃を加えることにより及び膨潤剤、水の導入時に架橋ポリマー中に膨潤力を利用することにより実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第2,836,101号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/063442号パンフレット
【特許文献3】米国特許第7,085,065号明細書
【特許文献4】米国特許第6,618,208号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】タン他(Tang et al.),「ダイナミカリ・リコンフィギュラブル・フルイド・コア・フルイド・クラディング・レンズ・イン・ア・マイクロフルイディック・チャネル(Dynamically Reconfigurable Fluid Core Fluid Cladding Lens in a Microfluidic Channel)」,ラボラトリーチップ(Lab Chip),第8巻,2008年,p.395
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
あらゆる場合において、流体レンズ技術において、この技術の市場における魅了を最適化するために打ち勝つ必要のある幾つかの鍵となる欠点が存在する。例えば、流体レンズの厚さは、一般に、同一の屈折力及び直径の従来型レンズの厚さよりも大きい。加うるに、現時点においては、流体レンズ技術を用いてレンズ光学部品全体にわたって球面屈折力並びに非点収差の変化をもたらすことはできない。非丸形流体レンズの非一様な膨張の際に厄介な問題が生じるために丸形レンズ以外の任意所望の形状で製造された流体レンズが存在しない。これら欠点に対して解決手段を提供して商業化が実施可能になるようにすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の技術の背景の項で説明した従来入手できる流体レンズ技術の欠点は、流体レンズを本明細書で説明するように構成することによって除去できる。先行技術において開示された流体レンズは、光学収差のない非丸形流体レンズを製造することが困難なので、丸形レンズである場合が多かった。先行技術の流体充填レンズの中には、これが非丸形形状のものである場合にメンブレンのインフレーションによって導入される光学収差を補正するために非球面前側レンズを用いているものがある。この補正は、特定の一インフレーション度に対応したメンブレンの特定の一形状について実行可能なので、前側レンズだけの光学的性質を調節することは、問題を完全になくすには十分ではない。
【0008】
流体充填レンズの中には、流体レンズの光学収差(主として、非点収差)を減少させるために光学部品上の互いに異なる箇所に互いに異なる厚さを有する輪郭付け又は等高線付きメンブレンを用いるものがある。本発明の実施形態は、光学像分析と流体層中に生じる特定の静水圧に応答したメンブレンの機械的撓みをコンピュータ計算する有限要素ソフトウェアの使用とを組み合わせた設計最適化方法に由来する設計の改良型等高線付きメンブレンを含む。
【0009】
本発明の一実施形態では、流体レンズは、前側レンズと、メンブレンと、前側レンズとメンブレンとの間に位置する流体層を含み、前側レンズは、メンブレンのインフレーション時に流体レンズ中に生じる非点収差を補償するよう構成されている。
【0010】
或る特定の実施形態では、メンブレンは、厚さ等高線を有し、少なくとも1本の等高線は、流体レンズの光学ゾーン内に存在する。他の実施形態では、前側レンズは、メンブレンの特定のインフレーション段においてメンブレンの非球性を打ち消すための補償が行われるよう構成されている。特定のインフレーション段は、例えば、所望の屈折力の全範囲内に存在しても良く、或いは、メンブレンの全インフレーションの1/3のところに存在しても良い。
【0011】
添付の図面を参照して、本発明の別の実施形態、別の特徴並びに本発明の種々の実施形態の構造及び動作原理を以下において詳細に説明する。
【0012】
本明細書に組み込まれてその一部をなす添付の図面は、本発明を記載しており、説明と一緒になって更に、本発明の原理を説明すると共に当業者が本発明を実施して利用することができるようにするのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態としてのレンズの一部分の正面図である。
【図2】図1の実施形態に関するx軸及びy軸に沿う球面屈折力値を示すグラフ図である。
【図3A】本発明の別の実施形態としてのレンズの正面図である。
【図3B】図3Aの実施形態のy方向及びx方向における厚さのプロフィール又は変化状態を示す図である。
【図3C】図3Aの実施形態に関して水平方向における凝視角度の関数として網膜像の品質を示すグラフ図である。
【図3D】図3Aの実施形態に関して垂直方向における凝視角度の関数として網膜像の品質を示すグラフ図である。
【図4A】本発明の別の実施形態としてのレンズの正面図である。
【図4B】図4Aに示された実施形態の追加の図である。
【図4C】x軸及びy軸に沿う図4Aの実施形態の表面光学的性質を示す2つのグラフ図である。
【図4D】x軸及びy軸に沿う図4Aの実施形態の非点収差値を示す2つのグラフ図である。
【図4E】図4Aの実施形態に関する網膜スポットサイズを示すグラフ図である。
【図5】本発明の実施形態としてのレンズを設計する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付の図面を参照して本発明について説明する。
【0015】
特定の形態及び構成を説明するが、これは、例示目的でのみなされていることは理解されるべきである。当業者であれば認識されるように、他の形態及び構成を本発明の精神及び範囲から逸脱することなく使用することができる。本発明は種々の他の用途でも利用できることは当業者には明らかになろう。
【0016】
注目されるように、本明細書において「一実施形態」、「或る1つの実施形態」、「例示の実施形態」等という記載は、説明する実施形態が特定の特徴、構造又は特性を有する場合があるが、実施形態全てが必ずしも特定の特徴、構造又は特性を有する必要がないことを示している。さらに、かかる字句は、必ずしも、同一の実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造又は特性が実施形態と関連して記載されている場合、明示により記載されているにせよそうでないにせよいずれにせよ、他の実施形態と関連してかかる特徴、構造又は特性を利用することは当業者の通常の知識の範囲内にある。
【0017】
本明細書全体を通じて、「流体レンズ組立体」という用語は、硬質前側レンズ、柔軟性メンブレン及び介在する流体層の組立体を意味するために用いられ、「流体レンズ」という用語は、流体層及び流体を収容すると共に流体レンズの表面を形成する2つの表面を意味するために用いられる。「インフレーション」という用語は、本明細書においては、追加の流体を流体レンズ組立体中に注入したときにメンブレンが外方に湾曲し、それによりメンブレンが伸びて広がることを意味するために用いられている。本明細書で説明するように、流体レンズの屈折力の変化と実施されるインフレーションレベルとの間には直接的且つ比例的関係が存在する。「光学ゾーン」という用語は、ユーザの目の存在場所に対応した光軸に中心を持つ流体レンズ内の観察ゾーンを意味するために用いられている。例示の実施形態では、光学ゾーンは、幅(x軸に沿う)が約15mm、高さ(y軸に沿う)が約12mmであり、これらは、それぞれ、約±15°の水平凝視角度及び約±12°の垂直凝視角度に対応している。「等高線付き」又は「輪郭付け」という用語は、機械的寸法、例えば厚さの変化、機械的性質、例えばたるみ(sag :サグ)の変化又は光学的性質、例えばx,y平面内における非点収差又は屈折力の変化を意味している。
【0018】
本明細書において提供される非球面流体レンズは、ガラス若しくはプラスチック又は任意他の特定の材料で作られた大部分が硬質の光学レンズ、前側レンズのエッジを覆って引き伸ばされた大部分が柔軟性の等高線付きメンブレン及び前側レンズと柔軟性メンブレンとの間に形成されたキャビティを充填する流体を有する。或る1つの実施形態では、この流体レンズは、連結管を介して、異形エラストマー性の変形可能なメンブレンを有する過剰流体を収容したリザーバに連結されている。流体レンズ、連続管及びリザーバは、一緒になって、密閉ユニットを形成する。リザーバを押し潰して流体を連結管により流体レンズ中に押し出すための手段が設けられる。例えば、リザーバを押し潰すための手段は、リザーバ内の圧力を増大させるためにダイヤフラムに衝突するプランジャ、リザーバを押し潰すためのキャリパ又は当業者に知られている任意他の流体ポンプ又はアクチュエータの形態をしているのが良い。例示の密閉ユニットは、例えば、米国特許出願第12/399,368号明細書に開示されており、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0019】
本明細書において説明するように、本発明の実施形態は、光学像分析と流体層中に生じる特定の静水圧に応答したメンブレンの機械的撓みをコンピュータ計算する有限要素ソフトウェアの使用とを組み合わせた設計最適化方法に由来する設計の改良型等高線付きメンブレンを含む。この設計方法により、非丸形流体レンズの開発を可能にする一連のメンブレン厚さ等高線が得られる。
【0020】
図1は、本発明の実施形態としての流体充填レンズを示している。非球面流体レンズ100が厚肉ゾーン110、ヒンジ状区分160、移行ゾーン140及び中央ディスク領域120を有している。或る1つの実施形態では、厚肉ゾーン110の厚さは、約1mmであり、中央ディスク領域120の厚さは、約0.225mmであり、ディスクエッジ130のところの移行ゾーン140の厚さは、約0.1125mmである。或る1つの実施形態では、中央ディスク領域120の直径は、約12mmであり、ディスクエッジ130の直径は、約23.2mmである。ヒンジ状区分160が厚肉ゾーン110と移行ゾーン140との間に形成されている。この例示の実施形態の寸法は、中央ディスク領域120の中心とディスクエッジ130との間に22°の凝視角度をもたらす。或る1つの実施形態では、フレーム150は、サイズが約55mm×25mmの丸みをおびた長方形である。この形態により、中央ディスク領域120に最適な光学的性能が得られると同時にフレーム150のエッジに許容可能な特性が維持される。
【0021】
2.00D屈折範囲にわたるメンブレンインフレーションの分析結果の示すところによれば、メンブレンのインフレーションの大きさはレンズ100の厚さの増大につれて減少するが、メンブレン表面は、ますます非球面になり、非点収差が増加する。図2は、x軸とy軸に沿う低いインフレーション圧力(8ミリバール)での上述の実施形態の平面屈折力を示しており、この図は、この開きを実証している。
【0022】
図3A及び図3Bは、メンブレン350の厚さの等高線付き設計を含む本発明の別の実施形態としてのレンズ300を示している。非球面流体レンズ300が厚肉ゾーン310、中央ディスク領域320及びディスクエッジ330を有している。移行領域340がディスクエッジ330と中央ディスク領域320との間に形成されている。ヒンジ状区分360がディスクエッジ330と厚肉ゾーン310との間に配置されている。或る1つの実施形態では、中央ディスク領域320、移行ゾーン340、ヒンジ状区分360及びディスクエッジ330は、楕円形の形をしている。
【0023】
図3Bは、特に、y(図3Bの左側に示されている)方向及びx(図3Bの右側に示されている)方向におけるレンズ300の厚さのプロフィールを示している。ヒンジ状区分360の目的は、標的屈折力範囲に対応したメンブレン350の完全インフレーションを可能にするが、非点収差を蓄積させる周辺の柔軟性の低い厚肉ゾーン310に伝達される応力を最小限に抑えることにある。一観点からは、ヒンジ状区分360により、中央ディスク領域320内の中央光学ゾーンとメンブレン350の周辺の柔軟性の低い厚肉ゾーン310部分の両方に光学ディストーションを生じさせないで、たるみの変化を「吸収」することができる。
【0024】
或る1つの実施形態では、メンブレン350の中央ディスク領域320内の中央光学ゾーンは、約0.9の偏心率を有する。即ち、水平幅は、垂直幅の約1.11倍である。この設計により、ヒンジ状区分360に対応した移行ゾーンの存在場所が水平方向に押されて大きな凝視角度に至り、ここでは、可視幅及び水平眼球運動に対して移行ゾーンが加える制約が少ない。或る1つの実施形態では、垂直断面厚さは、約0.200mmであり、幅は、約3.7mmであり、アスペクト比は、約1:18.5である。或る1つの実施形態では、水平断面厚さは、約0.2mmであり、対応の厚さは、約1.45mmであり、アスペクト比は、約1:7である。
【0025】
移行ゾーンとして働くヒンジ区分(例えば、ヒンジ状区分360)の使用によりヒンジ区分のところに像飛びを生じさせるという犠牲を払っても個々の区分内のメンブレン(例えば、メンブレン350)の光学的性質を効果的に隔離することが可能である。高いアスペクト比(アスペクト比は、幅と厚さの比として定義される)を有するヒンジが特に効果的である。或る1つの実施形態では、この幅は、0.1mm〜2.5mmの範囲にある。別の実施形態では、ヒンジ区分の厚さの範囲は、0.01〜0.25mmである。さらに別の実施形態では、ヒンジ区分の厚さの範囲は、0.07mm〜0.20mmである。一般に近用視のために用いられる凝視角度(例えば、約0〜15°)に関し、この形態は、標的とする像品質を提供する(例えば、約0.5Dの非点収差又はほぼ等価な0.25Dの像のぼけに相当する約10ミクロン)。
【0026】
図3Cは、この実施形態に関する水平方向における凝視角度の関数としての網膜像品質を示すグラフ図である。図3Dは、この実施形態に関して垂直方向における網膜像品質を示すグラフ図である。図示のように、スポット半径の関数としての像品質は、光軸からの距離が増大するにつれて減少する。
【0027】
図4Aは、部分ヒンジを用いたメンブレンを有するレンズ400を含む本発明の別の実施形態を示している。光学ゾーン全体を包囲した適当なアスペクト比のヒンジには、製造上の課題が伴う場合がある。これを考慮に入れて図4Aに示されている実施形態は、図3Aに示されている実施形態と比較してフレームエッジの極めて近くに設けられた部分ヒンジ410を有する。部分ヒンジ(例えば、部分ヒンジ410)は、図3Aに示されている実施形態のヒンジ設計と比較して2重の利点を有している。第1の利点は、このヒンジがエッジの近くに位置すると共に光学ゾーンを包囲した連続区分ではなく長さが部分的なので成形が容易であるということにある。第2の利点は、ヒンジと関連した光学ディストーション(例えば、像飛び)がフレームの極めて近くで起こるので装用者がそれほど気づかないということにある。
【0028】
図4Bは、図4Aに示されている実施形態の追加の図を示しており、追加の図は、レンズ400の正面図及び断面図を含む。
【0029】
図4Cは、図4Aの実施形態のメンブレンの表面光学的性質、具体的にはx軸及びy軸に沿う屈折力のMATLAB分析結果を示すグラフ図である。これらの結果は、x軸に沿う半径が13mmであり、y軸に沿う半径が8mmの中央楕円形部分を有するモデルを適合させるために多項式を用いて得られた。
【0030】
図4Dは、図4Aの実施形態のx軸及びy軸に沿う非点収差のMATLAB分析結果を示すグラフ図である。これらの結果は、全範囲の1/3までインフレートさせたときにメンブレンに生じる非球性に対応した補正を前側レンズに適用することによって得られた。補正は、屈折率が互いに極めて似ているのでサジタル値の減算として適用されているに過ぎず、レンズは、薄手のレンズとしてモデル化されるのが良い。これら分析は、中央光学ゾーンを覆う楕円形領域を適合させるために拡張多項式を用いて実施された。モデル化された楕円形は、x軸に沿って13mm、y軸に沿って8mmの半径を有し、52°×32°の領域に及ぶ。
【0031】
図4Eは、前側レンズが補償された状態で働く図4Aの実施形態のメンブレンに関する網膜スポットサイズを示すグラフ図である。像品質分析は、補償された前側レンズと関連してこの幾何学的形状について今度はZEMAXで実施された。このグラフ図は、前側レンズの両面(ヌルレンズ)に対して同じ補正が施された状況を示している。このグラフ図の示すところによれば、網膜スポットを広げさせる非点収差及び他の光学収差が制御下において且つ水平方向と垂直方向の両方で最高10°までの凝視角について約0.5Dの非点収差(約0.25Dの像のぼけと等価である)よりも小さく保たれることを示している。
【0032】
この分析は、メンブレン全体にわたるたるみグリッド表現を用いて実施された。
【0033】
方法及び実験結果
【0034】
図5は、本発明の実施形態としてのレンズの設計方法を示す流れ図である。
【0035】
最初に、ステップ510では、メンブレンをこれが結合される前側レンズのエッジにより拘束されるエッジを有するものとして定義する。したがって、流体の静水圧を増大させることによってメンブレンをインフレートさせたとき、メンブレンの表面は、非球面形状と成る。本発明者により実施された実験的実施例では、有限要素ソフトウェアパッケージ、例えばCOMSOLを用いてこの形状をモデル化すると共に予測した。
【0036】
次に、ステップ520において、メンブレンのインフレーションレベルを予測するため、前側レンズにこのコンピュータ計算のために単純な幾何学的形状、例えば球面の幾何学的形状を与える。本発明者によって実施された実験的実施形態では、両面が球面であるゼロ屈折力の前側レンズを用いた。
【0037】
ステップ530では、メンブレンの表面を以下のパラメータ即ち、前側レンズのエッジの形状、メンブレンの厚さのプロフィール、インフレーションレベル及び静水圧のうちの1つ又は2つ以上についてインフレーションの関数として計算する。或る1つの実施形態では、有限要素ソフトウェアプログラムを用いてメンブレン表面を計算することができる。本発明者により実施された実験的実施形態では、COMSOLを用いた。
【0038】
ステップ540では、非球面を多項式又は1組の多項式に適合させることによって非球面を分析する。その目的は、メンブレン表面上のあらゆる場所の光学ゾーンについてその局所曲率から表面球面屈折力及び非点収差を計算することにある。本発明者により実施された実験的実施形態では、市販のソフトウェアパッケージであるMATLABを用いてこの分析を実施した。ステップ550において、メンブレン厚さ等高線を変化させ、同一のコンピュータ計算を実施し、このプロセスを繰り返し実施し、ついには、球面屈折力及び非点収差の許容可能な等高線(xy平面内の分布)が達成された。本明細書で用いられる屈折力は、球面屈折力又は平均球面屈折力を意味し、1/2[∂2/∂x2(Cx,y)+∂2/∂y2(Cx,y)]として測定される。メンブレン表面の屈折力及び非点収差の許容可能な等高線を両方の実験から導き出し、流体レンズ組立体の屈折力範囲の種々のレベルでの所望の光学的性質が標的にされている。
【0039】
次に、ステップ560では、メンブレンの非球性に起因した効果を補償するために前側レンズを改造する。この補償は、任意のインフレーションレベルで実施可能である。流体の屈折率が前側レンズ材料の屈折率にほぼ等しい特定の場合に関し、この補償を前側レンズからのメンブレンサジタル厚さの逐一減算に変えることができる。本発明者により実施された実験的実施形態では、COMSOLに対するそれ以上のモデル化作業を行った結果の示すところによれば、球面形状からの逸脱は、メンブレンに関する適度のインフレーションレベルでは、インフレーションレベルと比較的比例し、それにより、補償プロセスが流体レンズの所望の光学屈折力範囲の中点に対応したインフレーションレベルで実施された場合、屈折力の全範囲を通じて流体レンズの光学性能の対称的変化を達成することができ、かかる光学的性能は、屈折力範囲の最も低い端点と最も高い端点では最悪であることが分かる。
【0040】
補償は、屈折力範囲の最も低い端で実施された場合に最小であり、屈折力範囲の最も高い端で実施された場合最大である。というのは、メンブレン表面の非球性は、インフレーションレベルにつれて増大するからである。本発明者により実施された実験的実施形態では、この補償プロセスを先ず最初に屈折力範囲の中点で実施した。次に、全範囲の33%に等しい屈折力の増大に対応した33%インフレーションレベルでこの補償プロセスを実施した。補償が適応される屈折力レベルの選択は、流体レンズの屈折力範囲の種々の点における流体レンズの所望の相対的品質で決まる。
【0041】
変形例として、前側レンズの一方の表面か両方の表面かのいずれかを調節することにより補償を実施しても良いことは注目されるべきである。しかしながら、流体レンズの光学的性質に対する前側レンズの後面の寄与度は、前側レンズ材料及び流体の屈折率の差に依存する。これらが互いにほぼ同じである場合、補償をもたらすための改造のために前面だけを用いても良い。これは、段取り時間及びコストを減少させるという利点を有する。同一の補正を両方の表面(ヌルレンズ)に対して利用することにより、全範囲にわたって一様な前側の厚さを実現することができる。この補正は、凝視角を生じさせる円柱を補償するために行われる非球面補正を増大させることも又注目されるべきである。
【0042】
補償を上述したようにいったんコンピュータ計算すると、ステップ570において、流体レンズの屈折力範囲のあらゆる点において流体レンズの光学的性質を分析する。本発明者によって実施された実験的実施形態では、この目的のために市販のソフトウェアパッケージであるZEMAXを用いた。前側レンズ屈折率が流体の屈折率にほぼ等しく、この流体の屈折率がメンブレン材料の屈折率にこれ又等しい特定の場合、前側レンズを一屈折面にし、メンブレンを第2の屈折面として処理し、共通の屈折率及び全体的サジタル厚さを用いてモデル化されるべきレンズを構成することが可能である。本発明者により実施された実験的実施形態では、前側レンズ及び流体の互いに異なる屈折率を考慮して前側レンズを別体として処理した。目のモデルを用いて網膜像品質を計算し、像スポットサイズとして表した。網膜像品質を流体レンズの選択された子午線に沿うと共に凝視角範囲について計算した。
【0043】
数回の繰り返しステップが組み込まれたこのプロセス全体は、最適像品質を達成するためにメンブレンの厚さ等高線を効果的に最適化するための設計ツールチェーンと呼ばれる場合がある。本発明者によって実施された実験的実施形態では、レンズのインフレーション及び光学的性質のコンピュータ計算を実施するために3つ1組のソフトウェアパッケージが用いられたので、或る1つのソフトウェアパッケージからのデータを次のソフトウェアパッケージにエクスポートし、最終的に、このデータ伝送プロセスを自動化し、中間点で最適化を実施する効率的な方法が開発された。或る1つのソフトウェアパッケージから別のソフトウェアパッケージのデータの効率的なエクスポート、FEM及び光線追跡分析プログラムの効率的な動作のための表面の数学的シミュレーションの開発及び特定の子午線に沿う凝視角度の関数としての許容可能な非点レベル又は像収差の他の形態を定めるメリット関数(誤差関数とも呼ばれる場合がある)の創出をもたらすことが望ましい。
【0044】
別の設計要素は、流体レンズに含まれる種々の光学素子、即ち、前側レンズ、流体及びメンブレンの屈折率の相対的大きさを含む。これらのうちで、メンブレンの屈折率は、流体レンズの屈折力にそれほど影響を及ぼさないが、メンブレンに追加される場合のある厚さ等高線の視認性及び美的外観並びにメンブレンの内面からの全反射に対して影響を及ぼす。本発明者によって実施された実験的実施形態では、メンブレン材料の屈折率が特にスペクトルのナトリウムD線のところでは油の屈折率にほぼ等しいようにすることによってこれら2つの望ましくない特徴を最小限に抑えた。或る1つの実施形態では、0.02ユニット以下の差を用いるのが良い。或る1つの実施形態では、流体の屈折率は、光学屈折力の或る特定の増大を達成するのに必要なインフレーションの大きさを最小限に抑えるためにできるだけ大きいことが必要である。本発明者によって実施された実験的実施形態では、前側レンズの屈折率を流体の屈折率に一致させて前側レンズの内面の光学的寄与を無力化すると共に設計を簡単且つ堅牢にした。
【0045】
上述の非限定的な実施例は、特定のフレーム形状のためのメンブレン幾何学的形状及び流体レンズ組立体によってカバーされることが必要な所望の屈折力範囲を作って最適化する際の設計ツールチェーンの使用を実証している。
【0046】
本発明の種々の実施形態を上述したが、これら実施形態は、例示として提供されているに過ぎず、本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。本発明の精神及び範囲から逸脱することなくこれら実施形態の形態及び細部の種々の変更を実施できることは当業者には明らかであろう。かくして、本発明の広さ及び範囲は、上述の例示の実施形態のうちの任意のものによって定められるべきではなく、以下の特許請求の範囲の記載及びその均等範囲に基づいてのみ定められるべきである。
【0047】
さらに、要約書の目的は、米国特許商標庁及び一般大衆並びに特許若しくは法上の用語又は言い回しに精通していない当該技術分野における科学者、技術者及び実務者が本願の技術的開示の性質及び本質を大まかな参照から迅速に把握することができるようにすることにある。要約書の記載は、本発明の範囲を何ら制限するものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、流体充填レンズ、特に可変流体充填レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
基本的な流体レンズは、米国特許第2,836,101号明細書に記載されているように1958年頃から知られている。なお、この米国特許を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。最近における例は、タン他(Tang et al.),「ダイナミカリ・リコンフィギュラブル・フルイド・コア・フルイド・クラディング・レンズ・イン・ア・マイクロフルイディック・チャネル(Dynamically Reconfigurable Fluid Core Fluid Cladding Lens in a Microfluidic Channel)」,ラボラトリーチップ(Lab Chip),第8巻,2008年,p.395及び国際公開第2008/063442号パンフレットに見受けられ、この非特許文献及び特許文献の各々を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。流体レンズのこれらの用途は、フォトニクス、ディジタル電話及びカメラ技術並びにマイクロエレクトロニクスに向けられている。
【0003】
また、オフサルミック(眼科学)用途にあった流体レンズが提案された(これについては、例えば、米国特許第7,085,065号明細書を参照されたい。なお、この米国特許を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする)。あらゆる場合において、ダイナミックレンジが広いこと、適応補正(矯正)を提供することができること、堅牢であること及び安価であることを含む流体レンズの利点は、アパーチュアサイズの制約、漏れ傾向及び性能の一貫性に対して釣り合わされなければならない。米国特許第7,085,065号明細書は、例えば、オフサルミック用途で用いられるべき流体レンズ内への流体の効果的な収容に関する幾つかの改良例及び実施形態を開示している。ただし、これらには限定されない(これについては、例えば、米国特許第6,618,208号明細書を参照されたい。なお、この米国特許を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする)。流体レンズの屈折力調節は、追加の流体をレンズキャビティ中に注入することにより、エレクトロウェッティング(electrowetting)により、超音波衝撃を加えることにより及び膨潤剤、水の導入時に架橋ポリマー中に膨潤力を利用することにより実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第2,836,101号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/063442号パンフレット
【特許文献3】米国特許第7,085,065号明細書
【特許文献4】米国特許第6,618,208号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】タン他(Tang et al.),「ダイナミカリ・リコンフィギュラブル・フルイド・コア・フルイド・クラディング・レンズ・イン・ア・マイクロフルイディック・チャネル(Dynamically Reconfigurable Fluid Core Fluid Cladding Lens in a Microfluidic Channel)」,ラボラトリーチップ(Lab Chip),第8巻,2008年,p.395
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
あらゆる場合において、流体レンズ技術において、この技術の市場における魅了を最適化するために打ち勝つ必要のある幾つかの鍵となる欠点が存在する。例えば、流体レンズの厚さは、一般に、同一の屈折力及び直径の従来型レンズの厚さよりも大きい。加うるに、現時点においては、流体レンズ技術を用いてレンズ光学部品全体にわたって球面屈折力並びに非点収差の変化をもたらすことはできない。非丸形流体レンズの非一様な膨張の際に厄介な問題が生じるために丸形レンズ以外の任意所望の形状で製造された流体レンズが存在しない。これら欠点に対して解決手段を提供して商業化が実施可能になるようにすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の技術の背景の項で説明した従来入手できる流体レンズ技術の欠点は、流体レンズを本明細書で説明するように構成することによって除去できる。先行技術において開示された流体レンズは、光学収差のない非丸形流体レンズを製造することが困難なので、丸形レンズである場合が多かった。先行技術の流体充填レンズの中には、これが非丸形形状のものである場合にメンブレンのインフレーションによって導入される光学収差を補正するために非球面前側レンズを用いているものがある。この補正は、特定の一インフレーション度に対応したメンブレンの特定の一形状について実行可能なので、前側レンズだけの光学的性質を調節することは、問題を完全になくすには十分ではない。
【0008】
流体充填レンズの中には、流体レンズの光学収差(主として、非点収差)を減少させるために光学部品上の互いに異なる箇所に互いに異なる厚さを有する輪郭付け又は等高線付きメンブレンを用いるものがある。本発明の実施形態は、光学像分析と流体層中に生じる特定の静水圧に応答したメンブレンの機械的撓みをコンピュータ計算する有限要素ソフトウェアの使用とを組み合わせた設計最適化方法に由来する設計の改良型等高線付きメンブレンを含む。
【0009】
本発明の一実施形態では、流体レンズは、前側レンズと、メンブレンと、前側レンズとメンブレンとの間に位置する流体層を含み、前側レンズは、メンブレンのインフレーション時に流体レンズ中に生じる非点収差を補償するよう構成されている。
【0010】
或る特定の実施形態では、メンブレンは、厚さ等高線を有し、少なくとも1本の等高線は、流体レンズの光学ゾーン内に存在する。他の実施形態では、前側レンズは、メンブレンの特定のインフレーション段においてメンブレンの非球性を打ち消すための補償が行われるよう構成されている。特定のインフレーション段は、例えば、所望の屈折力の全範囲内に存在しても良く、或いは、メンブレンの全インフレーションの1/3のところに存在しても良い。
【0011】
添付の図面を参照して、本発明の別の実施形態、別の特徴並びに本発明の種々の実施形態の構造及び動作原理を以下において詳細に説明する。
【0012】
本明細書に組み込まれてその一部をなす添付の図面は、本発明を記載しており、説明と一緒になって更に、本発明の原理を説明すると共に当業者が本発明を実施して利用することができるようにするのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態としてのレンズの一部分の正面図である。
【図2】図1の実施形態に関するx軸及びy軸に沿う球面屈折力値を示すグラフ図である。
【図3A】本発明の別の実施形態としてのレンズの正面図である。
【図3B】図3Aの実施形態のy方向及びx方向における厚さのプロフィール又は変化状態を示す図である。
【図3C】図3Aの実施形態に関して水平方向における凝視角度の関数として網膜像の品質を示すグラフ図である。
【図3D】図3Aの実施形態に関して垂直方向における凝視角度の関数として網膜像の品質を示すグラフ図である。
【図4A】本発明の別の実施形態としてのレンズの正面図である。
【図4B】図4Aに示された実施形態の追加の図である。
【図4C】x軸及びy軸に沿う図4Aの実施形態の表面光学的性質を示す2つのグラフ図である。
【図4D】x軸及びy軸に沿う図4Aの実施形態の非点収差値を示す2つのグラフ図である。
【図4E】図4Aの実施形態に関する網膜スポットサイズを示すグラフ図である。
【図5】本発明の実施形態としてのレンズを設計する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付の図面を参照して本発明について説明する。
【0015】
特定の形態及び構成を説明するが、これは、例示目的でのみなされていることは理解されるべきである。当業者であれば認識されるように、他の形態及び構成を本発明の精神及び範囲から逸脱することなく使用することができる。本発明は種々の他の用途でも利用できることは当業者には明らかになろう。
【0016】
注目されるように、本明細書において「一実施形態」、「或る1つの実施形態」、「例示の実施形態」等という記載は、説明する実施形態が特定の特徴、構造又は特性を有する場合があるが、実施形態全てが必ずしも特定の特徴、構造又は特性を有する必要がないことを示している。さらに、かかる字句は、必ずしも、同一の実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造又は特性が実施形態と関連して記載されている場合、明示により記載されているにせよそうでないにせよいずれにせよ、他の実施形態と関連してかかる特徴、構造又は特性を利用することは当業者の通常の知識の範囲内にある。
【0017】
本明細書全体を通じて、「流体レンズ組立体」という用語は、硬質前側レンズ、柔軟性メンブレン及び介在する流体層の組立体を意味するために用いられ、「流体レンズ」という用語は、流体層及び流体を収容すると共に流体レンズの表面を形成する2つの表面を意味するために用いられる。「インフレーション」という用語は、本明細書においては、追加の流体を流体レンズ組立体中に注入したときにメンブレンが外方に湾曲し、それによりメンブレンが伸びて広がることを意味するために用いられている。本明細書で説明するように、流体レンズの屈折力の変化と実施されるインフレーションレベルとの間には直接的且つ比例的関係が存在する。「光学ゾーン」という用語は、ユーザの目の存在場所に対応した光軸に中心を持つ流体レンズ内の観察ゾーンを意味するために用いられている。例示の実施形態では、光学ゾーンは、幅(x軸に沿う)が約15mm、高さ(y軸に沿う)が約12mmであり、これらは、それぞれ、約±15°の水平凝視角度及び約±12°の垂直凝視角度に対応している。「等高線付き」又は「輪郭付け」という用語は、機械的寸法、例えば厚さの変化、機械的性質、例えばたるみ(sag :サグ)の変化又は光学的性質、例えばx,y平面内における非点収差又は屈折力の変化を意味している。
【0018】
本明細書において提供される非球面流体レンズは、ガラス若しくはプラスチック又は任意他の特定の材料で作られた大部分が硬質の光学レンズ、前側レンズのエッジを覆って引き伸ばされた大部分が柔軟性の等高線付きメンブレン及び前側レンズと柔軟性メンブレンとの間に形成されたキャビティを充填する流体を有する。或る1つの実施形態では、この流体レンズは、連結管を介して、異形エラストマー性の変形可能なメンブレンを有する過剰流体を収容したリザーバに連結されている。流体レンズ、連続管及びリザーバは、一緒になって、密閉ユニットを形成する。リザーバを押し潰して流体を連結管により流体レンズ中に押し出すための手段が設けられる。例えば、リザーバを押し潰すための手段は、リザーバ内の圧力を増大させるためにダイヤフラムに衝突するプランジャ、リザーバを押し潰すためのキャリパ又は当業者に知られている任意他の流体ポンプ又はアクチュエータの形態をしているのが良い。例示の密閉ユニットは、例えば、米国特許出願第12/399,368号明細書に開示されており、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0019】
本明細書において説明するように、本発明の実施形態は、光学像分析と流体層中に生じる特定の静水圧に応答したメンブレンの機械的撓みをコンピュータ計算する有限要素ソフトウェアの使用とを組み合わせた設計最適化方法に由来する設計の改良型等高線付きメンブレンを含む。この設計方法により、非丸形流体レンズの開発を可能にする一連のメンブレン厚さ等高線が得られる。
【0020】
図1は、本発明の実施形態としての流体充填レンズを示している。非球面流体レンズ100が厚肉ゾーン110、ヒンジ状区分160、移行ゾーン140及び中央ディスク領域120を有している。或る1つの実施形態では、厚肉ゾーン110の厚さは、約1mmであり、中央ディスク領域120の厚さは、約0.225mmであり、ディスクエッジ130のところの移行ゾーン140の厚さは、約0.1125mmである。或る1つの実施形態では、中央ディスク領域120の直径は、約12mmであり、ディスクエッジ130の直径は、約23.2mmである。ヒンジ状区分160が厚肉ゾーン110と移行ゾーン140との間に形成されている。この例示の実施形態の寸法は、中央ディスク領域120の中心とディスクエッジ130との間に22°の凝視角度をもたらす。或る1つの実施形態では、フレーム150は、サイズが約55mm×25mmの丸みをおびた長方形である。この形態により、中央ディスク領域120に最適な光学的性能が得られると同時にフレーム150のエッジに許容可能な特性が維持される。
【0021】
2.00D屈折範囲にわたるメンブレンインフレーションの分析結果の示すところによれば、メンブレンのインフレーションの大きさはレンズ100の厚さの増大につれて減少するが、メンブレン表面は、ますます非球面になり、非点収差が増加する。図2は、x軸とy軸に沿う低いインフレーション圧力(8ミリバール)での上述の実施形態の平面屈折力を示しており、この図は、この開きを実証している。
【0022】
図3A及び図3Bは、メンブレン350の厚さの等高線付き設計を含む本発明の別の実施形態としてのレンズ300を示している。非球面流体レンズ300が厚肉ゾーン310、中央ディスク領域320及びディスクエッジ330を有している。移行領域340がディスクエッジ330と中央ディスク領域320との間に形成されている。ヒンジ状区分360がディスクエッジ330と厚肉ゾーン310との間に配置されている。或る1つの実施形態では、中央ディスク領域320、移行ゾーン340、ヒンジ状区分360及びディスクエッジ330は、楕円形の形をしている。
【0023】
図3Bは、特に、y(図3Bの左側に示されている)方向及びx(図3Bの右側に示されている)方向におけるレンズ300の厚さのプロフィールを示している。ヒンジ状区分360の目的は、標的屈折力範囲に対応したメンブレン350の完全インフレーションを可能にするが、非点収差を蓄積させる周辺の柔軟性の低い厚肉ゾーン310に伝達される応力を最小限に抑えることにある。一観点からは、ヒンジ状区分360により、中央ディスク領域320内の中央光学ゾーンとメンブレン350の周辺の柔軟性の低い厚肉ゾーン310部分の両方に光学ディストーションを生じさせないで、たるみの変化を「吸収」することができる。
【0024】
或る1つの実施形態では、メンブレン350の中央ディスク領域320内の中央光学ゾーンは、約0.9の偏心率を有する。即ち、水平幅は、垂直幅の約1.11倍である。この設計により、ヒンジ状区分360に対応した移行ゾーンの存在場所が水平方向に押されて大きな凝視角度に至り、ここでは、可視幅及び水平眼球運動に対して移行ゾーンが加える制約が少ない。或る1つの実施形態では、垂直断面厚さは、約0.200mmであり、幅は、約3.7mmであり、アスペクト比は、約1:18.5である。或る1つの実施形態では、水平断面厚さは、約0.2mmであり、対応の厚さは、約1.45mmであり、アスペクト比は、約1:7である。
【0025】
移行ゾーンとして働くヒンジ区分(例えば、ヒンジ状区分360)の使用によりヒンジ区分のところに像飛びを生じさせるという犠牲を払っても個々の区分内のメンブレン(例えば、メンブレン350)の光学的性質を効果的に隔離することが可能である。高いアスペクト比(アスペクト比は、幅と厚さの比として定義される)を有するヒンジが特に効果的である。或る1つの実施形態では、この幅は、0.1mm〜2.5mmの範囲にある。別の実施形態では、ヒンジ区分の厚さの範囲は、0.01〜0.25mmである。さらに別の実施形態では、ヒンジ区分の厚さの範囲は、0.07mm〜0.20mmである。一般に近用視のために用いられる凝視角度(例えば、約0〜15°)に関し、この形態は、標的とする像品質を提供する(例えば、約0.5Dの非点収差又はほぼ等価な0.25Dの像のぼけに相当する約10ミクロン)。
【0026】
図3Cは、この実施形態に関する水平方向における凝視角度の関数としての網膜像品質を示すグラフ図である。図3Dは、この実施形態に関して垂直方向における網膜像品質を示すグラフ図である。図示のように、スポット半径の関数としての像品質は、光軸からの距離が増大するにつれて減少する。
【0027】
図4Aは、部分ヒンジを用いたメンブレンを有するレンズ400を含む本発明の別の実施形態を示している。光学ゾーン全体を包囲した適当なアスペクト比のヒンジには、製造上の課題が伴う場合がある。これを考慮に入れて図4Aに示されている実施形態は、図3Aに示されている実施形態と比較してフレームエッジの極めて近くに設けられた部分ヒンジ410を有する。部分ヒンジ(例えば、部分ヒンジ410)は、図3Aに示されている実施形態のヒンジ設計と比較して2重の利点を有している。第1の利点は、このヒンジがエッジの近くに位置すると共に光学ゾーンを包囲した連続区分ではなく長さが部分的なので成形が容易であるということにある。第2の利点は、ヒンジと関連した光学ディストーション(例えば、像飛び)がフレームの極めて近くで起こるので装用者がそれほど気づかないということにある。
【0028】
図4Bは、図4Aに示されている実施形態の追加の図を示しており、追加の図は、レンズ400の正面図及び断面図を含む。
【0029】
図4Cは、図4Aの実施形態のメンブレンの表面光学的性質、具体的にはx軸及びy軸に沿う屈折力のMATLAB分析結果を示すグラフ図である。これらの結果は、x軸に沿う半径が13mmであり、y軸に沿う半径が8mmの中央楕円形部分を有するモデルを適合させるために多項式を用いて得られた。
【0030】
図4Dは、図4Aの実施形態のx軸及びy軸に沿う非点収差のMATLAB分析結果を示すグラフ図である。これらの結果は、全範囲の1/3までインフレートさせたときにメンブレンに生じる非球性に対応した補正を前側レンズに適用することによって得られた。補正は、屈折率が互いに極めて似ているのでサジタル値の減算として適用されているに過ぎず、レンズは、薄手のレンズとしてモデル化されるのが良い。これら分析は、中央光学ゾーンを覆う楕円形領域を適合させるために拡張多項式を用いて実施された。モデル化された楕円形は、x軸に沿って13mm、y軸に沿って8mmの半径を有し、52°×32°の領域に及ぶ。
【0031】
図4Eは、前側レンズが補償された状態で働く図4Aの実施形態のメンブレンに関する網膜スポットサイズを示すグラフ図である。像品質分析は、補償された前側レンズと関連してこの幾何学的形状について今度はZEMAXで実施された。このグラフ図は、前側レンズの両面(ヌルレンズ)に対して同じ補正が施された状況を示している。このグラフ図の示すところによれば、網膜スポットを広げさせる非点収差及び他の光学収差が制御下において且つ水平方向と垂直方向の両方で最高10°までの凝視角について約0.5Dの非点収差(約0.25Dの像のぼけと等価である)よりも小さく保たれることを示している。
【0032】
この分析は、メンブレン全体にわたるたるみグリッド表現を用いて実施された。
【0033】
方法及び実験結果
【0034】
図5は、本発明の実施形態としてのレンズの設計方法を示す流れ図である。
【0035】
最初に、ステップ510では、メンブレンをこれが結合される前側レンズのエッジにより拘束されるエッジを有するものとして定義する。したがって、流体の静水圧を増大させることによってメンブレンをインフレートさせたとき、メンブレンの表面は、非球面形状と成る。本発明者により実施された実験的実施例では、有限要素ソフトウェアパッケージ、例えばCOMSOLを用いてこの形状をモデル化すると共に予測した。
【0036】
次に、ステップ520において、メンブレンのインフレーションレベルを予測するため、前側レンズにこのコンピュータ計算のために単純な幾何学的形状、例えば球面の幾何学的形状を与える。本発明者によって実施された実験的実施形態では、両面が球面であるゼロ屈折力の前側レンズを用いた。
【0037】
ステップ530では、メンブレンの表面を以下のパラメータ即ち、前側レンズのエッジの形状、メンブレンの厚さのプロフィール、インフレーションレベル及び静水圧のうちの1つ又は2つ以上についてインフレーションの関数として計算する。或る1つの実施形態では、有限要素ソフトウェアプログラムを用いてメンブレン表面を計算することができる。本発明者により実施された実験的実施形態では、COMSOLを用いた。
【0038】
ステップ540では、非球面を多項式又は1組の多項式に適合させることによって非球面を分析する。その目的は、メンブレン表面上のあらゆる場所の光学ゾーンについてその局所曲率から表面球面屈折力及び非点収差を計算することにある。本発明者により実施された実験的実施形態では、市販のソフトウェアパッケージであるMATLABを用いてこの分析を実施した。ステップ550において、メンブレン厚さ等高線を変化させ、同一のコンピュータ計算を実施し、このプロセスを繰り返し実施し、ついには、球面屈折力及び非点収差の許容可能な等高線(xy平面内の分布)が達成された。本明細書で用いられる屈折力は、球面屈折力又は平均球面屈折力を意味し、1/2[∂2/∂x2(Cx,y)+∂2/∂y2(Cx,y)]として測定される。メンブレン表面の屈折力及び非点収差の許容可能な等高線を両方の実験から導き出し、流体レンズ組立体の屈折力範囲の種々のレベルでの所望の光学的性質が標的にされている。
【0039】
次に、ステップ560では、メンブレンの非球性に起因した効果を補償するために前側レンズを改造する。この補償は、任意のインフレーションレベルで実施可能である。流体の屈折率が前側レンズ材料の屈折率にほぼ等しい特定の場合に関し、この補償を前側レンズからのメンブレンサジタル厚さの逐一減算に変えることができる。本発明者により実施された実験的実施形態では、COMSOLに対するそれ以上のモデル化作業を行った結果の示すところによれば、球面形状からの逸脱は、メンブレンに関する適度のインフレーションレベルでは、インフレーションレベルと比較的比例し、それにより、補償プロセスが流体レンズの所望の光学屈折力範囲の中点に対応したインフレーションレベルで実施された場合、屈折力の全範囲を通じて流体レンズの光学性能の対称的変化を達成することができ、かかる光学的性能は、屈折力範囲の最も低い端点と最も高い端点では最悪であることが分かる。
【0040】
補償は、屈折力範囲の最も低い端で実施された場合に最小であり、屈折力範囲の最も高い端で実施された場合最大である。というのは、メンブレン表面の非球性は、インフレーションレベルにつれて増大するからである。本発明者により実施された実験的実施形態では、この補償プロセスを先ず最初に屈折力範囲の中点で実施した。次に、全範囲の33%に等しい屈折力の増大に対応した33%インフレーションレベルでこの補償プロセスを実施した。補償が適応される屈折力レベルの選択は、流体レンズの屈折力範囲の種々の点における流体レンズの所望の相対的品質で決まる。
【0041】
変形例として、前側レンズの一方の表面か両方の表面かのいずれかを調節することにより補償を実施しても良いことは注目されるべきである。しかしながら、流体レンズの光学的性質に対する前側レンズの後面の寄与度は、前側レンズ材料及び流体の屈折率の差に依存する。これらが互いにほぼ同じである場合、補償をもたらすための改造のために前面だけを用いても良い。これは、段取り時間及びコストを減少させるという利点を有する。同一の補正を両方の表面(ヌルレンズ)に対して利用することにより、全範囲にわたって一様な前側の厚さを実現することができる。この補正は、凝視角を生じさせる円柱を補償するために行われる非球面補正を増大させることも又注目されるべきである。
【0042】
補償を上述したようにいったんコンピュータ計算すると、ステップ570において、流体レンズの屈折力範囲のあらゆる点において流体レンズの光学的性質を分析する。本発明者によって実施された実験的実施形態では、この目的のために市販のソフトウェアパッケージであるZEMAXを用いた。前側レンズ屈折率が流体の屈折率にほぼ等しく、この流体の屈折率がメンブレン材料の屈折率にこれ又等しい特定の場合、前側レンズを一屈折面にし、メンブレンを第2の屈折面として処理し、共通の屈折率及び全体的サジタル厚さを用いてモデル化されるべきレンズを構成することが可能である。本発明者により実施された実験的実施形態では、前側レンズ及び流体の互いに異なる屈折率を考慮して前側レンズを別体として処理した。目のモデルを用いて網膜像品質を計算し、像スポットサイズとして表した。網膜像品質を流体レンズの選択された子午線に沿うと共に凝視角範囲について計算した。
【0043】
数回の繰り返しステップが組み込まれたこのプロセス全体は、最適像品質を達成するためにメンブレンの厚さ等高線を効果的に最適化するための設計ツールチェーンと呼ばれる場合がある。本発明者によって実施された実験的実施形態では、レンズのインフレーション及び光学的性質のコンピュータ計算を実施するために3つ1組のソフトウェアパッケージが用いられたので、或る1つのソフトウェアパッケージからのデータを次のソフトウェアパッケージにエクスポートし、最終的に、このデータ伝送プロセスを自動化し、中間点で最適化を実施する効率的な方法が開発された。或る1つのソフトウェアパッケージから別のソフトウェアパッケージのデータの効率的なエクスポート、FEM及び光線追跡分析プログラムの効率的な動作のための表面の数学的シミュレーションの開発及び特定の子午線に沿う凝視角度の関数としての許容可能な非点レベル又は像収差の他の形態を定めるメリット関数(誤差関数とも呼ばれる場合がある)の創出をもたらすことが望ましい。
【0044】
別の設計要素は、流体レンズに含まれる種々の光学素子、即ち、前側レンズ、流体及びメンブレンの屈折率の相対的大きさを含む。これらのうちで、メンブレンの屈折率は、流体レンズの屈折力にそれほど影響を及ぼさないが、メンブレンに追加される場合のある厚さ等高線の視認性及び美的外観並びにメンブレンの内面からの全反射に対して影響を及ぼす。本発明者によって実施された実験的実施形態では、メンブレン材料の屈折率が特にスペクトルのナトリウムD線のところでは油の屈折率にほぼ等しいようにすることによってこれら2つの望ましくない特徴を最小限に抑えた。或る1つの実施形態では、0.02ユニット以下の差を用いるのが良い。或る1つの実施形態では、流体の屈折率は、光学屈折力の或る特定の増大を達成するのに必要なインフレーションの大きさを最小限に抑えるためにできるだけ大きいことが必要である。本発明者によって実施された実験的実施形態では、前側レンズの屈折率を流体の屈折率に一致させて前側レンズの内面の光学的寄与を無力化すると共に設計を簡単且つ堅牢にした。
【0045】
上述の非限定的な実施例は、特定のフレーム形状のためのメンブレン幾何学的形状及び流体レンズ組立体によってカバーされることが必要な所望の屈折力範囲を作って最適化する際の設計ツールチェーンの使用を実証している。
【0046】
本発明の種々の実施形態を上述したが、これら実施形態は、例示として提供されているに過ぎず、本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。本発明の精神及び範囲から逸脱することなくこれら実施形態の形態及び細部の種々の変更を実施できることは当業者には明らかであろう。かくして、本発明の広さ及び範囲は、上述の例示の実施形態のうちの任意のものによって定められるべきではなく、以下の特許請求の範囲の記載及びその均等範囲に基づいてのみ定められるべきである。
【0047】
さらに、要約書の目的は、米国特許商標庁及び一般大衆並びに特許若しくは法上の用語又は言い回しに精通していない当該技術分野における科学者、技術者及び実務者が本願の技術的開示の性質及び本質を大まかな参照から迅速に把握することができるようにすることにある。要約書の記載は、本発明の範囲を何ら制限するものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体レンズ組立体であって、
前側硬質レンズと、
半柔軟性メンブレンと、
前記前側硬質レンズと前記半柔軟性メンブレンとの間に位置する流体層とを含み、
前記前側レンズは、前記メンブレンのインフレーション時に前記流体レンズ組立体中に生じる非点収差を補償するよう構成され、
前記メンブレンは、厚さ等高線を有し、少なくとも1つのかかる等高線は、前記流体レンズ組立体の光学ゾーン内に存在する、流体レンズ組立体。
【請求項2】
前記前側レンズは、前記メンブレンの特定のインフレーション段で前記メンブレンの非球性を実質的に打ち消すよう構成され、前記特定のインフレーション段は、所望の屈折力の全範囲内に存在する、請求項1記載の流体レンズ組立体。
【請求項3】
前記特定のインフレーション段は、前記メンブレンの全インフレーションの1/3のところに存在する、請求項2記載の流体レンズ組立体。
【請求項4】
前記メンブレンは、厚さが0.01mm〜0.35mmのヒンジ区分を有する、請求項2記載の流体レンズ組立体。
【請求項5】
前記ヒンジ区分の厚さは、0.07mm〜0.25mmである、請求項4記載の流体レンズ組立体。
【請求項6】
前記メンブレンは、アスペクト比が2.0〜100.0のヒンジ区分を有する、請求項2記載の流体レンズ組立体。
【請求項7】
前記ヒンジ区分のアスペクト比は、3.0〜30.0である、請求項6記載の流体レンズ組立体。
【請求項8】
前記メンブレンの厚さは、x軸に沿って前記流体レンズの遠位端に向かって増大している、請求項2記載の流体レンズ組立体。
【請求項9】
前記前側レンズは、前記流体の屈折率の0.02ユニット内に収まる屈折率を有する、請求項1記載の流体レンズ組立体。
【請求項10】
前記メンブレンは、前記流体の屈折率の0.02ユニット内に収まる屈折率を有する、請求項1記載の流体レンズ組立体。
【請求項11】
前記メンブレンは、複数個のヒンジ状区分を有する、請求項1記載の流体レンズ組立体。
【請求項12】
前記複数個のヒンジ状区分は、2つの水平に整列した区分及び2つの垂直に整列した区分を含む、請求項12記載の流体レンズ組立体。
【請求項13】
2つの流体レンズ組立体を有する補正用アイピースであって、各流体レンズ組立体は、
前側硬質レンズと、
半柔軟性メンブレンと、
前記前側硬質レンズと前記半柔軟性メンブレンとの間に位置する流体層とを含み、
前記前側レンズは、前記メンブレンのインフレーション時に前記流体レンズ組立体中に生じる非点収差を補償するよう構成され、
前記メンブレンは、厚さ等高線を有し、少なくとも1つのかかる等高線は、前記流体レンズ組立体の光学ゾーン内に存在する、アイピース。
【請求項14】
前記前側レンズは、前記メンブレンの特定のインフレーション段で前記メンブレンの非球性を実質的に打ち消すよう構成され、前記特定のインフレーション段は、所望の屈折力の全範囲内に存在する、請求項13記載のアイピース。
【請求項15】
前記特定のインフレーション段は、前記メンブレンの全インフレーションの1/3のところに存在する、請求項14記載のアイピース。
【請求項16】
前記メンブレンは、厚さが0.01mm〜0.35mmのヒンジ区分を有する、請求項14記載のアイピース。
【請求項17】
前記ヒンジ区分の厚さは、0.07mm〜0.25mmである、請求項16記載のアイピース。
【請求項18】
前記メンブレンは、アスペクト比が2.0〜100.0のヒンジ区分を有する、請求項14記載のアイピース。
【請求項19】
前記ヒンジ区分のアスペクト比は、3.0〜30.0である、請求項18記載のアイピース。
【請求項20】
前記メンブレンの厚さは、x軸に沿って前記流体レンズの遠位端に向かって増大している、請求項14記載のアイピース。
【請求項21】
前記メンブレンは、複数個のヒンジ状区分を有する、請求項13記載のアイピース。
【請求項1】
流体レンズ組立体であって、
前側硬質レンズと、
半柔軟性メンブレンと、
前記前側硬質レンズと前記半柔軟性メンブレンとの間に位置する流体層とを含み、
前記前側レンズは、前記メンブレンのインフレーション時に前記流体レンズ組立体中に生じる非点収差を補償するよう構成され、
前記メンブレンは、厚さ等高線を有し、少なくとも1つのかかる等高線は、前記流体レンズ組立体の光学ゾーン内に存在する、流体レンズ組立体。
【請求項2】
前記前側レンズは、前記メンブレンの特定のインフレーション段で前記メンブレンの非球性を実質的に打ち消すよう構成され、前記特定のインフレーション段は、所望の屈折力の全範囲内に存在する、請求項1記載の流体レンズ組立体。
【請求項3】
前記特定のインフレーション段は、前記メンブレンの全インフレーションの1/3のところに存在する、請求項2記載の流体レンズ組立体。
【請求項4】
前記メンブレンは、厚さが0.01mm〜0.35mmのヒンジ区分を有する、請求項2記載の流体レンズ組立体。
【請求項5】
前記ヒンジ区分の厚さは、0.07mm〜0.25mmである、請求項4記載の流体レンズ組立体。
【請求項6】
前記メンブレンは、アスペクト比が2.0〜100.0のヒンジ区分を有する、請求項2記載の流体レンズ組立体。
【請求項7】
前記ヒンジ区分のアスペクト比は、3.0〜30.0である、請求項6記載の流体レンズ組立体。
【請求項8】
前記メンブレンの厚さは、x軸に沿って前記流体レンズの遠位端に向かって増大している、請求項2記載の流体レンズ組立体。
【請求項9】
前記前側レンズは、前記流体の屈折率の0.02ユニット内に収まる屈折率を有する、請求項1記載の流体レンズ組立体。
【請求項10】
前記メンブレンは、前記流体の屈折率の0.02ユニット内に収まる屈折率を有する、請求項1記載の流体レンズ組立体。
【請求項11】
前記メンブレンは、複数個のヒンジ状区分を有する、請求項1記載の流体レンズ組立体。
【請求項12】
前記複数個のヒンジ状区分は、2つの水平に整列した区分及び2つの垂直に整列した区分を含む、請求項12記載の流体レンズ組立体。
【請求項13】
2つの流体レンズ組立体を有する補正用アイピースであって、各流体レンズ組立体は、
前側硬質レンズと、
半柔軟性メンブレンと、
前記前側硬質レンズと前記半柔軟性メンブレンとの間に位置する流体層とを含み、
前記前側レンズは、前記メンブレンのインフレーション時に前記流体レンズ組立体中に生じる非点収差を補償するよう構成され、
前記メンブレンは、厚さ等高線を有し、少なくとも1つのかかる等高線は、前記流体レンズ組立体の光学ゾーン内に存在する、アイピース。
【請求項14】
前記前側レンズは、前記メンブレンの特定のインフレーション段で前記メンブレンの非球性を実質的に打ち消すよう構成され、前記特定のインフレーション段は、所望の屈折力の全範囲内に存在する、請求項13記載のアイピース。
【請求項15】
前記特定のインフレーション段は、前記メンブレンの全インフレーションの1/3のところに存在する、請求項14記載のアイピース。
【請求項16】
前記メンブレンは、厚さが0.01mm〜0.35mmのヒンジ区分を有する、請求項14記載のアイピース。
【請求項17】
前記ヒンジ区分の厚さは、0.07mm〜0.25mmである、請求項16記載のアイピース。
【請求項18】
前記メンブレンは、アスペクト比が2.0〜100.0のヒンジ区分を有する、請求項14記載のアイピース。
【請求項19】
前記ヒンジ区分のアスペクト比は、3.0〜30.0である、請求項18記載のアイピース。
【請求項20】
前記メンブレンの厚さは、x軸に沿って前記流体レンズの遠位端に向かって増大している、請求項14記載のアイピース。
【請求項21】
前記メンブレンは、複数個のヒンジ状区分を有する、請求項13記載のアイピース。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【公表番号】特表2013−507667(P2013−507667A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534289(P2012−534289)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/052362
【国際公開番号】WO2011/046956
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(511136256)アドレンズ ビーコン インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/052362
【国際公開番号】WO2011/046956
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(511136256)アドレンズ ビーコン インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】
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