説明

非同期デジタル回路用スリープ・ウォッチドッグ回路

本発明の非同期回路用スリープウォッチドッグ回路は、クロック手段、多数のトリガ入力機能有するカウント手段、およびデジタル供給手段を備える。回路が通常モードにある場合は、周期的なリセットまたはウォッチドッグカウンタをリセットするアクティビティ信号が存在する。その結果、クロック手段が動作し続け、デジタル供給手段が“通常”モードで駆動する。回路が“スリープ/スタンバイ”状態に入った場合は、“アクティビティ”信号が非アクティブとなり、カウンタが終了する前にウェイクアップイベントが発生しなかった場合は、クロック手段が停止され、デジタル供給手段が低電力モードへと変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非同期デジタル回路用スリープ・ウォッチドッグ回路、およびスリープ・ウォッチドッグ回路を用いて、非同期回路を通常動作モードとスリープ・モードとの間で切替える方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)は、マイクロプロセッサ、オーディオおよびビデオ機器、並びに自動車を含むさまざまな装置において使用されている。自動車部品における電力系統の電力制限により、低消費電流の自動車用ICへの需要が高まっている。
【0003】
回路のデザインスタイルを、2つの主要カテゴリー、すなわち同期および非同期に類別できることは既知である。デジタルおよび混合、すなわちデジタルとアナログとが混合した混合信号の回路設計の大部分は、同期回路に関する。同期回路を簡単に定義すると、クロックと呼ばれる1つ以上の、グローバルに分布する周期的なタイミング信号によって順序付けられる回路と云うことができる。
【0004】
非同期回路は、グローバルな同期クロックの必要性を排除するものである。一般に、状態変化のタイミングを管理するクロックは存在しない。サブシステムは、外部のタイミング規制なく、互いにネゴシエートした時間で情報を交換する。その代わり、計算プロセスは、ローカルクロック、並びに隣接するユニット間のローカルハンドシェークおよびハンドオフを介して制御することができる。このようなローカル制御により、リソースは、それらが必要とされるときのみ利用されるようになる。標準的な同期回路は、現行の計算において未使用の回路部分をクロックしなければならない。非同期回路は、しばしば計算中に同期回路よりも多くのトランジションを必要とするが、それらは一般に、現行の計算に含まれるエリアにおけるトランジションを有するだけである。その結果、非同期回路は電力をほとんど消費せず、このことは、自動車用アプリケーションにおいて特に重要である。
【0005】
Gloor等による米国特許6014749号明細書には、非同期に動作する、セルフタイマーで命令を実行するユニットを有するデータ処理回路が開示されている。使用される電源電圧は、プロセッサの負荷に応じて、時間内に命令を実行するのに十分な程高速に処理パワーを提供できるように見積もられる。
【0006】
しかしながら、非同期回路デザインは同期回路よりも電力効率がよいが、それでもなお、特に自動車用アプリケーションにおいて、長時間の駐車後にバッテリーがあがるのを防ぐためにスタンバイ電流を低減する必要がある。
【0007】
多くの混合信号製品には、電流消費を抑える一種のスタンバイ/スリープモードが用意されており、さらに、通常の動作状態に変化させるための、ウェイクアップ機能が備えられている。後者のモードにおいてのみ、電流消費が高くなり得る。
【0008】
混合信号非同期回路のスタンバイ/スリープモードにおいて、大部分のアナログブロックはスイッチオフされ、デジタル供給手段、クロックとして働く発振器、およびデジタル部のみが、アクティブなクロックのために電流を消費している。
【0009】
スリープ電流を低減するための幾つかの技術が既知である。同期デジタルデザインの場合における1つの方法は、クロック・ゲーティング法であり、すなわちウェイクアップ機能に関与するデジタル部のみが動作しかつ電流を消費する。
【0010】
非同期デザインの場合は、デジタル装置の制御にクロックを必要としない。イベントがない場合は、デジタル装置は電流を消費しない。しかしながら、大部分のウェイクアップイベントは、誤作動に起因する誤ったウェイクアップ条件を防ぐためのフィルタを必要とする。アナログタイマは大きなチップ領域をとるため、これらのタイマは、アナログタイマではなくデジタル様式で実装される。デジタルタイマ/フィルタは、時間基準を必要とし、これは多くの場合、入力としてクロックを有するリップルカウンタに基づく。このデジタル部は常に駆動しており、従って電流を消費する。
【0011】
非同期デザインにおいて零入力電流を低減するための一例として、対応する発振器(クロック)をスイッチオフすることもある。これは、メインステートマシンの一部としての発振器を、オン/オフ制御することによって行うことができる。スリープ/スタンバイ状態に入るとすぐに、メインのデジタル装置はクロックを停止させる。ウェイクアップ呼出しの場合は、発振器が動作を再開するための信号を受信し、時間基準を提供する。ウェイクアップ条件が妥当である場合は、状態がスリープ状態から通常状態へと変化し、さらに、クロックが駆動し続ける。誤作動である場合は、メインのデジタル装置は、再度発振器を停止させる必要がある。
【0012】
この解決策は、メインのデジタル装置があらゆる場合にクロックを明確に停止させる必要がある、という欠点がある。その結果、どんな新しいデザインに対しても、発振器が必要に応じて動作しているかどうかをチェックする必要があり、設計の複雑性が増すことになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、非同期ロジックを用いてスリープ/スタンバイモードにおける電力を節約する、フレキシブルな装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するための本発明の一態様によれば、非同期回路用スリープウォッチドッグ回路が提供され、タイミングをとり、かつオン/オフ入力端を有するクロック手段、時間間隔をカウントしリセット端子を有するカウント手段、および、前記非同期回路に供給するためのデジタル供給手段を備え、前記クロック手段が前記カウント手段および前記非同期回路に結合されており、前記カウント手段が前記クロック手段の前記オン/オフ入力端および前記デジタル供給手段に結合されており、さらに、前記非同期回路が前記カウント手段の前記リセット端子に結合され、リセット信号を送信する。
【0015】
好適には、前記クロック手段は発振器で実現し、前記カウント手段はリップルカウンタで実現する。前記リセット信号は、アクティビティおよび/またはウェイクアップ信号から成る。
【0016】
本発明の利点は、本発明によるスリープウォッチドッグ回路が、デジタル供給手段およびクロック手段を、自立的にスイッチオンおよびスイッチオフすることにある。カウンタのリセットにより、動作しながらカウンタをリセットすることができ、従って、結合された非同期回路からのアクティビティに対応するリセット信号を受信した後に、クロック手段およびデジタル供給手段を含むシステムを駆動し続けることができる。カウンタがスタンバイ/スリープモードにある場合は、リセット信号によりウェイクアップさせることができ、さらに、非同期回路からのウェイクアップ信号に対応するリセット信号を受信した後に、カウンタをリセットすることができる。カウンタは、結合されたデジタル供給手段およびクロック手段をウェイクアップする。クロック手段は、結合されたカウンタおよび非同期回路に対してタイミングをとる。このようにして、本発明は、非同期回路を用いて、既存の低電力デザイン法のスリープ/スタンバイモードにおける電力を節約することができる。
【0017】
好適には、前記非同期回路はデジタル信号または混合信号の非同期回路とする。前記カウント手段で規定される時定数は、好適には、前記リセット信号の最大繰り返し速度と同程度に大きくする。
【0018】
時間基準を必要とするスリープ/スタンバイモードにある全てのファンクションが、リセット信号を送信する能力を備えるのが有利である。
【0019】
好適例では、前記非同期回路は、入力端が前記クロック手段に、かつ出力端が非同期主要デジタル部のデジタルコンポーネントに結合されている分配器で実現し、前記分配器は、前記タイミング信号を、前記非同期主要デジタル部の前記少なくとも1つのデジタルコンポーネントと、少なくとも1つのウェイクアップソースからウェイクアップ信号を受信するための入力ポートを有する前記非同期主要デジタル部に結合されている、少なくとも1つのアナログコンポーネントとに分配する。前記非同期主要デジタル部は、好適には、少なくとも1つのアクティビティ信号を提供する。前記リセット信号、すなわちアクティビティ信号およびウェイクアップ信号は、好適には、前記カウント手段のリセットへオアゲートを介して送信される。
【0020】
本発明の他の好適例では、前記非同期主要デジタル部はローカル・インターコネクト・ネットワーク(LIN)とし、かつ前記アナログブロックはI/Oポートで実現する。この例において、前記アクティビティ信号は、前記ローカル・インターコネクト・ネットワークの内部RxD信号および前記回路のコンポーネントの最長タイマの出力から得る。
【0021】
従って、本発明は、スリープウォッチドッグ回路を利用して非同期回路の通常動作モードとスリープ・モードとを切替える方法を提供し、前記通常動作モードは、カウント手段、クロック手段、およびデジタル供給手段を駆動することに関連し、通常モードからスリープモードへ切り替えが、前記カウント手段を駆動するステップ;前記カウント手段のリセット端子に結合された非同期回路の全コンポーネントからの、アクティビティまたはウェイクアップ信号の送信を停止するステップ;リセット信号を受信していない前記カウント手段のカウントを終了するステップ、および;前記カウント手段によって、前記クロック手段およびデジタル供給手段をスイッチオフするステップ;を含むステップとを含み、さらに、スリープモードから通常モードへ切り替えるステップが、前記非同期回路における少なくとも1つのコンポーネントから、前記カウント手段の前記リセット端子へアクティビティまたはウェイクアップ信号を送信するステップ;前記カウント手段をリセットするステップ;前記クロック手段をスイッチオンするステップ;および前記デジタル供給手段をスイッチオンするステップを含む。
【0022】
従って、本方法は、デジタル供給手段およびクロック手段を、自立的に低電力モードに切り替えることができる。その結果、電力消費を最小限に低減することができ、回路のデザインの複雑さを軽減させる。
【0023】
好適には、前記カウント手段の出力端の電圧レベルを、カウントが終了した際には低く、さもなければ高く設定する。
【0024】
他の好適例では、前記カウント手段の前記出力端の電圧レベルを、カウントが終了した際には0に、さもなければ1に設定する。
【0025】
好適には、スリープモードから通常モードへ切り替える前記ステップがさらに、前記クロック手段によって、前記カウント手段および前記非同期回路をクロックするステップを含む。
【0026】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴、および利点を、添付図面に示す本発明の好適実施例の、これ以降の詳細な説明により明らかにしていく。
【0027】
これより、本発明を添付図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、最先端の混合信号用の集積回路(IC)を示す。この集積回路は、バッテリー28に結合されている。一般に、混合信号用ICには、アナログおよびデジタルコンポーネントが設けられている。図1のICは、デジタル供給手段16、発振器48、アプリケーションにピン26を介して結合されるアナログコンポーネント24、およびデジタルユニット50を備える。デジタルユニット50は、RAM/ROM52、マイクロプロセッサ(μC)54、およびロジック56を備える。発振器48は、クロックとして機能し、この回路(IC)のデジタル部をクロックする。しかしながら、ICは、デジタルコンポーネントのみを備えることもできる。
【0029】
スタンバイ/スリープモードにおいて、アナログブロック24の大部分はスイッチオフされ、発振器48によるクロッキングがアクティブであるため、デジタル供給手段16、発振器48およびデジタルユニット50のみが電流を消費する。
【0030】
図2は、従来既知の非同期デザインにおいて、零入力電流を削減する一例を示す図である。この回路は、バッテリー28、起こり得るウェイクアップソースにピン26を介して結合されるアナログコンポーネント24、デジタル供給手段16、分配器20、オン/オフ機能を有する発振器12、非同期のメインデジタル部44、フリップフロップ46、およびオアゲート18を備える。デジタル供給手段16は分配器20に結合されており、分配器20は、前記発振器12によってクロックされ、またクロックを分配する。分配器20は、非同期のメインデジタル部44の、例えばT0−T4のような入力端に結合される。メインデジタル部44は、フィルタを介してアナログコンポーネント24に結合される。アナログコンポーネント24は、さらに、前記オアゲート18を介して、フリップフロップ(FF)46のセット入力端Sに結合されている。非同期メインデジタル部44は、ゴー・トゥー・スリープ(go to sleep)信号をフリップフロップ46のリセットRへ供給する。フリップフロップ46の出力端Qは、発振器12のオン/オフ入力端に結合されている。
【0031】
このような回路において、発振器12のスイッチオフは、メインデジタル部44の制御下で行うことができる。スリープ/スタンバイ状態に入った際に、フリップフロップ46にリセット信号が与えられ、Qが‘0’となって発振器12が動作を停止する。ウェイクアップ条件において、フリップフロップ46がオアゲート18を介して設定され、発振器12が、ウェイクアップのフィルタリングのために時間基準を提供すべく動作を開始する。ウェイクアップ条件が妥当である場合は、状態がスリープから通常へと変化する。誤作動であった場合は、メインデジタル部は、発振器12を再度停止させる必要がある。
【0032】
この解決策は、発振器12のオン/オフ制御がメインステートマシン44の役割であり、かつ、各新しいデザインに対して、発振器12が必要に応じて動作しているかをチェックしなければならない、という欠点がある。このことは、ソフトウェアオーバーヘッド、より多くのスペース、および、回路デザインのより一層の複雑化をももたらす。
【0033】
本発明は、残余アクティブデジタル回路をシャットダウンすることによって零入力電流を低減するのに自律スリープ・ウォッチドッグを用い、さらに、デジタル供給ブロックを低電力モードに設定する。図3に対応するブロック図を示す。
【0034】
図3の回路10は、パワーユニット28によって電力を供給され、多数のトリガ入力機能を有し、クロック手段12、カウント手段14、およびデジタル供給手段16を備える本発明による自律ウォッチドッグ100を示しており、ウォッチドッグは、非同期回路58に結合されている。カウント手段14は、クロック用入力端14a、リセット用入力端14b、および出力端14cを備える。カウント手段のクロック用入力端14aは、クロック手段の出力端12bに結合されている。カウント手段のリセット端子14bは、非同期回路58から、例えばアクティビティおよび/またはウェイクアップ信号を含むリセット信号を受信する。カウント手段の出力端14cは、クロック手段12aのオン/オフスイッチおよびデジタル供給手段16に結合されている。デジタル供給手段16は、非同期回路58のデジタルコンポーネントへ電力を供給するため正電源電圧vddおよび負電源電圧vssを有する。
【0035】
クロック手段12は、発振器とするのが好適である。カウント手段14は、リップルカウンタとするのが好適である。パワーユニット28は、自動車アプリケーションの場合は例えばバッテリーとするか、あるいは、他の任意の電源とすることができる。タイムインターバルカウンタ14は、タイムインターバルを、対応するクロック発振器12の周期の倍数に設定する。タイムインターバルカウンタ14は、カウント値が所定値に到達した場合に、それ自体の出力信号を変更する。この値は例えば0にすることができる。
【0036】
発振器を、同期ロジックにおいて用いられているように、関連するCPUおよびロジックに対するグローバルクロックとして用いていないことに留意されたい。非同期ロジックは、その有利な低電力動作のために用いられる。発振器は、時間基準を提供するために用いる。
【0037】
回路10が“通常”状態にある場合は、周期的なリセットまたはウォッチドッグカウンタをリセットする“アクティビティ”信号が存在する。このことは、発振器12が動作を続けること、および、デジタル供給手段16が“通常”モードにおいて駆動していることを意味する。
【0038】
図4は、本発明による、通常モードからスリープ/スタンバイモードへの、自律ウォッチドッグの状態の変化のフローチャートを示す。
【0039】
通常モードにおいて、ここでは例えばリップルカウンタのようなカウンタ手段、ここでは例えば発振器のようなクロック手段、およびデジタル供給手段は、“オン”である。カウンタはカウントをしている。例えばアクティビティまたはウェイクアップ信号のようなリセット信号をカウンタが受信すると、カウンタは、その出力状態は不変のままリセットされて、カウントを再開する。カウンタの出力と結合されている発振器およびデジタル供給手段も、不変のままである。従って、システム全体としては通常モードのままであり、結合された非同期回路はアライブおよびアクティブのままである。
【0040】
さもなければ、カウンタがアクティビティまたはウェイクアップ信号の受信を停止した場合、カウンタのリセットが全く発生せず、カウンタは所定時間後にカウントを終了し、その後その出力状態がオンからオフへと変化する。その結果、カウンタの出力と結合されている発振器およびデジタル供給手段もまた、それらの状態がオンからオフへ変化してしまい、従って、システムがスリープ/スタンバイモードへと変化してしまう。
【0041】
図5は、本発明による、通常モードからスリープ/スタンバイモードへの、自律ウォッチドッグ100の状態の変化のフローチャートを示す。最初は、回路はスタンバイ/スリープモードであり、すなわちカウンタ14、発振器12、およびデジタル供給手段16は全てスリープしており、従って低電力モードである。カウンタ14が、例えばアクティビティまたはウェイクアップ信号のような形式においてリセット信号を受信すると、カウンタ14はリセットされて、その後カウントを再開する。カウンタ出力部14cは、オフからオンへ変化し、後に発振器12およびデジタル供給手段16が続いて、それらのモードもオフからオンへと変化する。ここで、システムは通常モードとなる。
【0042】
最初にカウンタ14がリセット信号を受信しなかった場合は、何も変化せず、従ってシステムはスリープ/スタンバイモードのままである。
【0043】
いわゆる“アクティビティ”信号は、ある特定の機能に対して用いられる信号とすることも、あるいは、非同期回路58において用いられる分配器の出力の1つとすることもできる。ICが“スリープ/スタンバイ”状態に入ると、“アクティビティ”信号が非アクティブとなり、さらに、カウンタ14が終了する前にウェイクアップイベントが発生しなかった場合は、発振器12が停止し、その後、デジタル供給手段16が低電力モードへと変化する。
【0044】
デジタル供給手段16の低電力モードとは、出力電圧が安定しない代わりに電流消費がより少なくなることを意味する。このことは、デジタルコンポーネント58とともに非同期回路を設けた場合に可能であり、これは、この種類の回路が、低電源電圧では低速になるだけで、正確に機能し続けるためである。スリープ/スタンバイ条件においては、高速デジタルである必要がないことに留意されたい。本発明は、簡易な実装で、対応する低電力モードに確実になる方法を開示するものである。
【0045】
誤作動の場合は、発振器12が動作を開始する。デジタル部は、ウェイクアップソースを評価して、ソースが全く存在しない場合はウェイクアップを無視し、スリープ/スタンバイモードに留まる。アクティビティ信号のリセットは非アクティブのままであり、ウォッチドッグ100は、所定のタイムアウト後に自動的に低電力になる。
【0046】
既存の解決策(図2参照)との違いは、自動的にスリープ状態になる点である。上述したプロセスのために、デジタル回路に機能を追加する必要はない。それに対し、図2に示す解決策においては、デジタル回路が、誤作動に起因するウェイクアップと判定した後に、さらに発振器12を停止させる必要がある。
【0047】
好適例では、満足すべき2つの条件が存在する。第1は、ウォッチドッグ100におけるカウンタ58によって規定される時定数が、“アクティビティ”信号の最大繰り返し時間と比べて、従ってICにおいて用いられる他のタイマと比べて同程度に大きくなければならない、ということである。これは、デジタル部だけが満足する必要のある条件であるため、この条件を監視することは簡単である。第2の条件は、ウェイクアップのために時間基準を必要とするスリープ/スタンバイ状態におけるどんな機能も、リセット入力部14bを介してウォッチドッグ100をリセットできる、ということである。
【0048】
図6は、図3の本発明による自律ウォッチドッグ100を、非同期回路58の詳細図とともに示す図である。非同期回路は、前記クロック手段12によりクロックされ、例えばポートT0−T4のような、非同期メインデジタル部22の入力ポートに結合されている分配器20、ピン26を介して起こり得るウェイクアップソースに結合されているアナログブロック24、および、例えばアクティビティまたはウェイクアップ信号のようなリセット信号を入力され、かつ出力端でカウンタ14と結合されているオアゲート18を備える。
【0049】
本発明は、多様な混合信号またはデジタル製品に用いることができる。図7は、自動車用製品において通信用に用いられる、ローカル・インターコネクト・ネットワーク(LIN)に対するアプリケーションを示す図である。なお、本発明を自動車産業において用いられる回路に適用するが、これは単なる例示に過ぎないことに留意されたい。本発明は、任意の混合信号またはデジタル回路に適用することができる。さらに本発明は、例えばコントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)のような、異なる通信ネットワークに適用することもできる。
【0050】
図7におけるデジタル部はLINコントローラ30であり、アナログ部は、8つのIOポート32、LINトランスミッタ36、LINレシーバ38、アドレスコンフィギュレーション42に対する3つの専用入力端、およびインヒビットINHスイッチ40を備える。
【0051】
LINスレーブは、多数のオペレーティングモードを有し、結果的にスリープ/スタンバイ動作を要する3つの異なる状態をもたらす。スリープにおいて、LINバス31および入力端を構成する8つのIOピン34の1つを介して、装置をウェイクアップすることが可能である。アクティビティ信号は、内部のRxD信号および最長タイマの出力端からもたらされる。アナログIOブロック32の出力およびLINコントローラ30から到達するアクティビティ信号が、スリープウォッチドッグ100に対するリセット信号を構成する。ウォッチドッグ時間は、最長の機能タイマと比べて長くなるように選ぶ。
【0052】
非自律の解決策(図2参照)は、スリープになる信号を供給しなければならず、その信号は3つの異なる状態に起因するため、デザインをより複雑にし、さらに、ゴー・トゥー・スリープ信号が起動しない特定の状態となる機会を増加させていた。
【0053】
本発明の自律ウォッチドッグは、非同期デジタルを用い、低電流消費が重要である状態を有する全てのデジタルおよび混合信号ICに適用することができる。
【0054】
本発明をそれらの具体的な実施例とともに説明したが、当業者には、多くの代替、変形および変更を考えうることは明らかであろう。従って、ここで開示した本発明の好適例は例示にすぎず、限定するものではない。添付の請求の範囲に規定される本発明の趣旨を逸脱することなく、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】最先端の混合信号集積回路のブロック図である。
【図2】当該技術分野で既知の非同期デザインにおける、零入力電流を削減する一例のブロック図である。
【図3】本発明の好適例における、スリープ・ウォッチドッグ装置のブロック図である。
【図4】本発明による、通常モードからスリープ/スタンバイモードへの、自律ウォッチドッグの状態の変化のフローチャートである。
【図5】本発明による、通常モードからスリープ/スタンバイモードへの、自律ウォッチドッグの状態の変化のフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施例における、スリープ・ウォッチドッグ装置のブロック図である。
【図7】本発明の実施例における、ローカル・インターコネクト・ネットワークに結合されたスリープ・ウォッチドッグ装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0056】
100 スリープウォッチドッグ
10 非同期回路
12 クロック手段/発振器
12a オン/オフ端
12b 出力端
14 カウント手段/カウンタ
14a 入力端
14b リセット入力端子
14c 出力端
16 デジタル供給手段
18 オアゲート
20 分配器
22 メインデジタル部
24 アナログコンポーネント
26 ピン
28 パワーユニット/バッテリー
30 LINコントローラ
31 LINバス
32 入力/出力端
34 ピン
36 Tx
38 Rx
40 インヒビットINHスイッチ
42 アドレスコンフィギュレーション
44 メインデジタル部
46 フリップフロップ
48 発振器
50 デジタル回路
52 メモリ
54 マイクロプロセッサ
56 ロジック
58 非同期回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非同期回路用スリープウォッチドッグ回路であって、
‐ タイミングをとり、かつオン/オフ入力端を有するクロック手段、
‐ 時間間隔をカウントしリセット端子を有するカウント手段、および、
‐ 前記非同期回路に供給するためのデジタル供給手段を備え、
前記クロック手段が前記カウント手段および前記非同期回路に結合されており、前記カウント手段が前記クロック手段の前記オン/オフ入力端および前記デジタル供給手段に結合されており、さらに、前記非同期回路が前記カウント手段の前記リセット端子に結合され、リセット信号を送信するようにしたことを特徴とする非同期回路用スリープウォッチドッグ回路。
【請求項2】
前記クロック手段は発振器で実現する、
ことを特徴とする請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記カウント手段はリップルカウンタで実現する、
ことを特徴とする請求項1に記載の回路。
【請求項4】
前記リセット信号がアクティビティおよび/またはウェイクアップ信号から成る、
ことを特徴とする請求項1に記載の回路。
【請求項5】
前記非同期回路がデジタル信号または混合信号の非同期回路である、
ことを特徴とする請求項1に記載の回路。
【請求項6】
前記カウント手段で規定される時定数が、前記リセット信号の最大繰り返し速度程度に大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の回路。
【請求項7】
時間基準を必要とするスリープ/スタンバイモードにある全てのファンクションが、リセット信号を送信する能力を備える、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の回路。
【請求項8】
前記非同期回路は、入力端が前記クロック手段に、かつ出力端が非同期主要デジタル部のデジタルコンポーネントに結合されている分配器で実現し、前記分配器は、前記タイミング信号を、前記非同期主要デジタル部の前記少なくとも1つのデジタルコンポーネントと、少なくとも1つのウェイクアップソースからウェイクアップ信号を受信するための入力ポートを有する前記非同期主要デジタル部に結合されている、少なくとも1つのアナログコンポーネントとに分配する、
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の回路。
【請求項9】
前記非同期主要デジタル部が、少なくとも1つのアクティビティ信号を提供する、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の回路。
【請求項10】
前記アクティビティ信号および前記ウェイクアップ信号が、前記カウント手段のリセット端子へオアゲートを介して送信される、
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の回路。
【請求項11】
前記非同期主要デジタル部がローカル・インターコネクト・ネットワークであり、かつ前記アナログブロックをI/Oポートで実現する、
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の回路。
【請求項12】
前記アクティビティ信号は、前記ローカル・インターコネクト・ネットワークの内部RxD信号および前記回路のコンポーネントの最長タイマの出力から得る、
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の回路。
【請求項13】
スリープウォッチドッグ回路を利用して非同期回路の通常動作モードとスリープ・モードとを切替える方法であって、
前記通常動作モードは、カウント手段、クロック手段、およびデジタル供給手段を駆動することに関連し、
通常モードからスリープモードへの切り替えが:
前記カウント手段を駆動するステップ;
前記カウント手段のリセット端子に結合された非同期回路の全コンポーネントからの、リセット信号の送信を停止するステップ;
リセット信号を受信していない前記カウント手段のカウントを終了するステップ、および;
前記カウント手段によって、前記クロック手段およびデジタル供給手段をスイッチオフするステップ;
を含み、さらに、
スリープモードから通常モードへ切り替えるステップが、
前記非同期回路における少なくとも1つのコンポーネントから、前記カウント手段の前記リセット端子へリセット信号を送信するステップ;
前記カウント手段をリセットするステップ;
前記クロック手段をスイッチオンするステップ、および;
前記デジタル供給手段をスイッチオンするステップを含む、
ことを特徴とする非同期回路の動作モード切替え方法。
【請求項14】
前記リセット信号が、アクティビティおよび/またはウェイクアップ信号から成る、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記カウント手段の出力端の電圧レベルを、カウントが終了した際には低く、さもなければ高く設定する、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記カウント手段の前記出力端の電圧レベルを、カウントが終了した際には0に、さもなければ1に設定する、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
スリープモードから通常モードへ切り替える前記ステップがさらに、前記クロック手段によって、前記カウント手段および前記非同期回路をクロックするステップを含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−508362(P2009−508362A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510693(P2008−510693)
【出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051389
【国際公開番号】WO2006/120612
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(507219491)エヌエックスピー ビー ヴィ (657)
【Fターム(参考)】