説明

非小細胞肺ガン患者についての予後遺伝子発現シグネチャー

本発明は、遺伝子のセットについてのRNA水準を決定することにより、非小細胞肺ガン細胞の型を決める方法に関する。該分類は該ガン細胞の転移能力を決定する為に用いられうる。本発明はさらに、非小細胞肺ガン細胞を分類するために用いられうるプローブのセット及びプライマーのセットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガンの予後及び診断の分野に関する。より特には、本発明は、非小細胞肺ガンを患う個体のRNA試料の型を決める方法に関する。本発明はさらに、該個体のRNA試料の型を決めることにおける使用の為の遺伝子又はプローブのセットに関する。
【背景技術】
【0002】
肺ガンは、ヒトにおいて診断される全てのガンの約15%を占め、そして、男性及び女性の両方において最も多くのガン関連死亡を引き起こす(情報源:Cancer facts and Figures 2007,American Cancer Society)。原発性肺ガンの3つの主な型は、中皮腫、小細胞肺ガン、及び非小細胞肺ガンである。中皮腫は、まれな型のガンであり、肺の膜(胸膜)を冒す。それはしばしば、アスベストへの曝露により引き起こされる。小細胞肺ガン(SCLC:燕麦細胞肺ガンとも呼ばれる)は、核からほとんど全てが成る小細胞の存在により特徴付けられる。SCLCはしばしば、喫煙者又は元喫煙者に起こり、そして、喫煙したことがない人々については非常にまれである。SCLCは腫瘍の発症において早期に広がる傾向にあり、そして、しばしば、手術よりも化学療法により処置される。非小細胞肺ガン(NSCLC)は肺ガンの最も一般的な型であり、そして、全肺ガン患者の約85%に診断される。NSCLCは、主なグループが扁平上皮細胞癌、腺癌、及び大細胞癌である種々のグループのガンを表す。他の、少数派のグループは、多形性癌、カルチノイド腫瘍、唾液腺ガン、及び分類されない癌を含む。
【0003】
腺癌は、NSCLCの最も一般的なサブタイプであり、NSCLCの50%〜60%を占める。それは、肺のガス交換表面の付近で始まる型である。腺癌の大抵の症例は、喫煙に関連する。しかしながら、非喫煙者及び説くには女性の非喫煙者のうちで、腺癌は、肺ガンの最も一般的な型である。腺癌のサブタイプ、気管支肺胞上皮癌、は女性の非喫煙者により一般的であり、そして、処置に対する種々の応答を有しうる。扁平細胞癌(NSCLCの20〜25%を占める)も、より大きな呼吸管において始まるが、よりゆっくりと成長し、これらの腫瘍のサイズが診断に際して変わりうることを意味する。大細胞癌はNSCLCの約10%〜15%を占める。それは、肺の任意の部分に始まりうる。それは、迅速に成長しそして広がる傾向にある。
【0004】
NSCLCを発症することについての既知の危険因子は、喫煙(能動的又は受動的)、空気汚染への曝露、及び放射線への曝露である。喫煙が他の危険因子と組み合わされたとき、肺ガンを発症するリスクは増加される。
【0005】
非小細胞肺ガンを検出し、診断し及び段階分けするための複数の試験及び手順がある。もし患者が肺ガンを示唆しうる症状を報告するならば、胸部X線を実施することがしばしば最初の手段である。これは、明白な塊、縦隔の拡張(そこのリンパ節への広がりを示唆する)、無気肺(虚脱)、硬化(感染)及び胸水貯留を明らかにしうる。もしX線所見が無いが疑いが高い(例えば、血痰を伴うヘビースモーカー)ならば、気管支鏡検査及び/又はCTスキャンが必要な情報を提供しうる。いずれの症例においても、気管支鏡検査又はCTガイド下生検が、腫瘍の型を同定する為に及び期を決定する為に、ほぼ常に実施される。
【0006】
もし調査が肺ガンを確認したならば、スキャン結果及びしばしば陽電子放出トモグラフィー(PET)が、病気が局在化され且つ手術を受けうるかどうか、又は、それが外科的に治癒されることができない点に広がったかどうかを決定する為に用いられる。
【0007】
予後及び治療選択肢は、ガンの期、ガンの型、及び患者の全身健康状態による。早期ガンは、手術により主に処置され、これは全てのガン細胞を除去することを目的とする。手術は、ガンの場所及びサイズに依存して、肺の全部又は一部の摘出をもたらしうる。
【0008】
代わりの処置は、放射線治療又は、三次元原体照射法及び近接照射療法を含む放射線療法、並びに光線力学的療法を含む化学療法である。
【0009】
一般に、小細胞肺ガン(SCLC)は、肺を超えてのそれの広がりを減速し又は停止するための化学療法により最も一般的に処置される。早期非小細胞肺ガン(NSCLC)は、最初に手術により並びに、もし必要ならば、腫瘍成長を減速し及び症状を緩和する為の追加的な放射線治療及び化学療法により処置される。
【0010】
手術後、もしリンパ節が、切除された肺組織において陽性であるならば(II期)又は縦隔において陽性であるならば(気管周囲の領域、III期)、アジュバント化学療法が最大で15%だけ生存(survival)を改善しうる。しかしながら、I期のNSCLCを有する患者に対するアジュバント化学療法の利益は、なお議論の余地がある。切除可能なNSCLCにおける術前化学療法の試みは、結論が出なかった
(情報源:Clinical Evidence: concise, BMJ Publishing Group, London. 2006. ISBN 1-90554501206 ISSN 1465-9225)。NCI Canadaの研究のJBR.10において(Pepe C. et al., J Clin Oncol. 2007; 25(12): 1553-61)、IB〜IIB期のNSCLCを有する患者が、ビノレルビン及びシスプラチン化学療法により処置され、そして、5年を超える、15%の有意な生存利益(survival benefit)を示した。しかしながら、IB期にある患者のサブグループ分析は、化学療法が、有意な生存獲得を何ら結果しないことを示した。同様に、イタリアのANITAの研究は、IB期〜IIIA期におけるビノレルビン及びシスプラチン化学療法による、5年を超える8%の生存利益を示す一方で、サブグループ分析もまたIB期において利益を示さなかった(Douillard, JU. et al.,Lancet Oncol 2006; 7(9): 719-27)。
【0011】
A Cancer and Leukemia Group B(CALGB)の研究(プロトコール9633)(IB期のNSCLCにおけるカルボプラチン及びパクリタキセルの無作為化された試験に関する)は、2006年6月のAmerican Society of Clinical Oncologyのミーティングで生存優位性(survival advantage)が無かったことを報告した。しかしながら、サブグループ分析は、4センチメートルより大きい腫瘍に対する利益を示唆した。II〜IIIA期のNSCLCを摘出した患者について、標準的なプラクティスは、アジュバントの第三世代の白金に基づく化学療法(例えばシスプラチン及びビノレルビン)を提供することである。
【0012】
肺ガン処置において用いられる化学療法薬剤は、白金アルキル化剤、ポドフィリンアルカロイド、ビンカアルカロイド、アントラサイクリン、トポイソメラーゼ阻害剤、タキサン、抗代謝剤、チロシンキナーゼ阻害剤、及び葉酸拮抗剤を含む。近年、分子を標的とした種々の治療法が、進行性肺ガンの処置の為に開発された。ゲフィニチブ(イレッサ)は、NSCLCの多くの症例において発現される上皮成長因子受容体(EGF−R)を標的とする。それは生存時間を増すと示されていなかったが、女性、アジア人、非喫煙者及び腺癌細胞タイプを有するそれらの者がゲフィニチブから利益を得ると分かる。
【0013】
エルロチニブ(タルセバ)と呼ばれる他の薬剤(これもEGF−Rを阻害する)は、肺ガン患者における生存時間を増加し、そして、最近、進行性非小細胞肺ガンの第二選択治療としてFDAにより認可された。
【0014】
早期SCLCについての最も一般的な処置は、もしガンが単一結節に限局されているならば、手術である。手術は、エトポシドと一緒のシスプラチン又はカルボプラチンと組み合わされうる。放射線治療と組み合わせられた化学療法は、治療のアウトカム(outcome)を改善する。後期SCLCもまた、シスプラチン又はカルボプラチンとエトポシドとの組み合わせにより処置される。他の化学療法薬剤、例えば様々な組み合わせでのシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、イホスファミド、トポテカン、パクリタキセル、メトトレキセート、ビノレルビン、ゲムシタビン、イリノテカン及びドセタキセルなど、が、もしSCLCが前述された薬剤に対し耐性になったならば、処方される。SCLCにおいてしばしば起こる、脳への転移は、放射線治療により処置される。
【0015】
NSCLCの処置は主に、ガンの期により決定される。0期のガン(該ガンは肺の内張りを越えて広がっていない)はしばしば手術だけにより治癒可能である。1期のガン(これはリンパ節に広がっていない)の処置もまたしばしば手術、肺葉切除又は区域切除のいずれか、に限定される。1期を有する患者の5年生存率は55〜70%である。2期のガン(該ガンはいくつかのリンパ節に広がっている)は、最近では、手術の後にほぼ常に化学療法が続く。3期のガン(該ガンは隣接組織に又は異なるリンパ節に広がっている)及び4期のガン(該ガンは異なる器官に拡がっている)は、化学療法と放射線療法の組み合わせにより処置される。手術はときどき、1以上の局在化したガン結節を除去する為に実施される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
アジュバント治療を含む化学療法は通常は副作用、例えば吐き気、嘔吐、食欲喪失、毛の喪失、口の渇き、及び重度の下痢など、を引き起こす。全ての患者について、ガンの再発のリスクは、積極的治療により引き起こされる重度の副作用に対して重み付けされる必要がある。これは特に、ガンが肺の内張りを越えて広がったがまだリンパ節に到達していない1期NSCLC患者を説明する。ガン再発の増加したリスクを有する患者は、アジュバント治療から利益を受けるであろう一方で、減少されたリスクを有する患者は、アジュバント治療により引き起こされる重度の副作用を不必要に患うであろう。それ故に、NSCLC患者を分類して彼らのガン再発のリスクを決定する方法についてのニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
それ故に、本発明は、非小細胞肺ガンを患っている個体又はそれを患っていると疑われる個体の試料、好ましくはRNA試料の型を決める為の方法を提供し、該方法は該個体からの非小細胞肺ガン細胞を含む組織試料又は非小細胞肺ガン細胞を含むと疑われる組織試料を用意すること;該組織試料からRNAを調製すること;該RNAにおける遺伝子のセットについてのRNA水準を決定すること;及び該遺伝子のセットについて決定された該RNA水準に基づき該試料の型を決めること;ここで該遺伝子のセットは、表3に記載された遺伝子の少なくとも2つを含む、を含む。
【0018】
RNAの水準は、試料中に存在するRNAの量をいい、好ましくは試料中の他のRNAと比較した該試料中に存在するRNAの量をいう。該RNAの水準は、該組織試料の細胞における遺伝子の発現の水準の尺度である。該RNAの水準が、試料中の遺伝子からのmRNA転写物の量をいうこと、好ましくは他のmRNA、例えば全mRNAなど、に対する、試料中の遺伝子からのmRNA転写物の量をいうことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】leave-one-outトレーニングアプローチを用いて同定されたときの、良い(低リスク)プロファイルを有する患者及び悪い(高リスク)プロファイルを有する患者の全生存のKaplan−Meierプロット生存推定を示す図である。
【図2】頑健な最近傍識別子(a robust nearest mean classifier)の開発の為に用いられた複数試料手順の模式的概観を示す図である。10−foldクロスバリデーションループが、全生存時間及び無再発生存時間と発現割合が相関する遺伝子を同定する為に用いられた。
【図3】試験サンプルの複数サンプリングアウトカムに基づく全生存(OS)及び無再発生存(RFS)のKaplan−Meierプロット生存推定を示す図である。
【図4】種々の遺伝子セットサイズを用いた該最近傍識別子の予後予測力(prognostic power)(P値)を示す図である。全生存(黒い線)及び無再発生存(青い線)の両方についての最高の力(最も低いp値)が、72の遺伝子の遺伝子セットサイズを用いたときに到達される。
【図5】leave-one-outクロスバリデーションの結果を示す図である。左のパネル;103のトレーニングサンプルの低リスク予後予測識別子の相関アウトカム(Classfier prognostic low-risk correlation outcome)(leave-one-outクロスバリデーション)。−0.145より上の相関は、低リスクプロファイルを有するサンプルを示し、そして、−0.145より低い相関は、高リスクプロファイルを有するサンプルを示す。該サンプルは、それらの正確な生存状態に従い色付けされる。右のパネル、72遺伝子予後シグネチャーの可視化。それぞれの行(row)は、1のサンプルを表し、そして、それぞれの列は1の遺伝子を表す。サンプルは、それらの正確な生存状態に従い標識される(1:3年以内の再発又は死亡;0:少なくとも3年の間の無再発生存)。赤は、遺伝子の上方制御を示し、緑は、遺伝子の下方制御を示す。
【図6】低リスクの72遺伝子プロファイルを有する103のトレーニングサンプル及び高リスクの72遺伝子プロファイルを有する患者の全生存(OS)及び無再発生存(RFS)のKaplan−Meierプロット生存推定を示す図である。
【図7−1】69の独立のサンプルに対する72遺伝子シグネチャーのバリデーションを示す図である。69の独立のバリデーションサンプルについての図5中の右のパネルと同様。
【図7−2】69の独立のサンプルに対する72遺伝子シグネチャーのバリデーションを示す図である。独立のバリデーションサンプルについての図6と同様。
【図8】診断後3年間の全生存についての予後予測価値(prognostic value)を有する237の遺伝子からの順位付けされたサブセットの性能を示す図である。陰性適中度(NPV)、陽性適中度(PPV)及び総合精度(total accuracy)が、237の遺伝子の増加する順位付けされたサブセットについて計算される(上位2つ、上位3つ、上位3つ、・・・、上位230、231全ての遺伝子)。
【図9】237の遺伝子の全セットからの種々のサイズのランダムサブセットの予後予測性能を示す図である。全ての種々のサブセットサイズ(2、3、4、・・・、236、237)について、平均値及び95%信頼区間が、陰性適中度(NPV)、陽性適中度(PPV)及び総合精度について計算された。
【図10】該72遺伝子シグネチャーによる(良いプロファイル又は悪いプロファイル)及び腫瘍の期(I期又はII期)による分類に基づく、172の非小細胞肺ガン患者の全生存(OS)及び無再発生存(RFS)のKaplan−Meierプロット生存推定を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
表3に記載された遺伝子は、非小細胞肺ガン細胞試料において差異を示して発現されるとして同定され及び確認された。非小細胞肺ガン試料が無作為に、トレーニングセット(a training set)とバリデーションセット(a validation set)とに分けられた。第1の実験シリーズにおいて、ガン再発についての高いリスクを有する個体からの試料とガン再発についての低いリスクを有する個体からの試料との間でRNA水準が異なる遺伝子が、ガン試料の該トレーニングセットを用いて、同定された。得られた遺伝子が、非小細胞肺ガン試料の該独立のバリデーションセットを用いて、第2の実験シリーズにおいて確認された。表3に記載された遺伝子の少なくとも2つを含む遺伝子セットが、非小細胞肺ガンを患う個体の試料を、ガン再発の低いリスク又は増大したリスクを有するとして、型を決める為の予後シグネチャー(prognostic signature)を提供する。本発明の方法により得られうる予後の情報は3つのありうるエンドポイントを含み、これらは、手術から遠隔転移までの時間、無病生存の時間、及び全生存の時間である。Kaplan−Meierプロット(Kaplan and Meier. J Am Stat Assoc 53:457-481 (1958))が、これら3つのエンドポイントのいずれか又は全てについての時間対イベント(time-to-event)曲線を描く為に用いられうる。
【0021】
型を決める(typing)とは、該非小細胞肺ガンの再発のリスクを評価することをいう。該型を決めるとは、NSCLC患者の臨床評価において助けとなるための予後情報を提供することが意図される。この点において、関連のある時間間隔(relevant time interval)内における再発が無いことが「低いリスク」と定義される。該関連のある時間間隔内の再発が「高いリスク」と定義される。関連のある時間間隔は、少なくとも1年、より好ましくは少なくとも2年、より好ましくは少なくとも3年、より好ましくは少なくとも5年、またはより好ましくは少なくとも10年である。
【0022】
本発明の方法は特に、3年以内の再発の高い又は低いリスクの間を区別するのに適している。
【0023】
ガン再発は、原発ガン(original cancer)と同じ場所に又は体内の他のところにおけるガンの再発をいう。局所再発は、原発ガンと同じ場所において又は原発ガンと非常に近くに再発したガンをいう一方で、遠隔再発は、原発ガンの部位から離れた器官又は組織にひろがり、又は転移したガンを意味する。
【0024】
該組織試料は、ガン性増殖(ガン性腫瘍:a cancerous growth)のサイズに依存して、ガン性増殖の全部若しくは一部、又はガン性であると疑われる腫瘍の全部又は一部から得られうる。ガン性増殖は、気管支の一部を伴う又は伴わない、肺葉切除、二肺葉切除又は肺切除を含む外科的処置により除去されうる。該組織試料は、吸引生検、針生検、切開生検及び切除生検を含む生検によっても得られうる。組織試料中の細胞の少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、及び最も好ましくは少なくとも30%がNSCLC細胞であることが好ましい。腫瘍細胞の前記パーセンテージは、該ガン性増殖からの染色された区域、例えばヘマトキシリン及びエオシンにより染色された区域、の分析により決定されうる。該分析は、病理学者により実施され又は確認されうる。
【0025】
該NSCLCを患っている個体、又はNSCLCを患っていると疑われる個体は、0期のガン(該ガンは顕微鏡で見ると、肺の内張りを超えてひろがっておらず且つ、手術だけによりしばしば治癒可能である)を患っている個体でありうる。該個体は、1期のガン(これはリンパ節に拡がっていない);2期のガン(該ガンはいくつかのリンパ節に広がっている);3期のガン(該ガンは隣接組織に又は離れたリンパ節に広がっている);又は4期のガン(該ガンは離れた器官に広がっている)を患っていてよい。
【0026】
該個体が、早期のNSCLCを患っていること、又はそれを患っていると疑われることが好ましい。早期NSCLCは0期のガン、1期のガン、又は2期のガンである。
【0027】
好ましい実施態様において、該個体は、1期のNSCLCを患っており、又はそれを患っていると疑わしい。
【0028】
本発明の方法は好ましくは、ガンの再発についての該患者についてのリスクを決定する為に用いられる。このリスクはさらに、他の予後因子、例えば齢、性別、腫瘍直径及び喫煙歴など、と組合されうる。決定されたリスクは、患者が追加の化学療法から利益を受けうること、及び患者が追加の化学療法から利益を受けそうにないことについての決定をするために、臨床医により用いられうる。
【0029】
該組織試料から調製されたRNAは好ましくは、ガンからの組織試料の収集のときに発現されていた遺伝子の量的なコピーを表す。これは、RNAの特性(quality)を保存する保護条件下において該組織試料を処理し及び貯蔵することにより達成されうる。そのような保存条件の例は、例えばホルマリンを用いる固定化、RNaseインヒビター、例えばRNAsin(商標)(Pharmingen)又はRNAsecure(商標)(Ambion)など、の使用、及び保存溶液、例えばRNAlater(商標)(Ambion)及びRNARetain(商標)(Assuragen)など、の使用である。さらに、該保存条件が、室温での該組織試料の貯蔵及び輸送を許すことが好ましい。好ましい保存条件は、RNARetain(商標)(Assuragen)の使用である。
【0030】
該RNA試料は、Trizol(Invitrogen;カールズバッド、カリフォルニア州)、RNAqueous(商標)Technology(Qiagen;フェンロ、オランダ),Total RNA Isolation method(Agilent;サンタクララ、カリフォルニア州)、及びMaxwell(商標)16 Total RNA Purification Kit(Promega;マディソン、ウィスコンシン州)を含むがこれらに限定されない、当技術分野において既知の任意の技術により該組織試料から分離されうる。好ましいRNA分離手順は、RNAqueous(商標)Technology(Qiagen;フェンロ、オランダ)の使用を含む。
【0031】
表3に記載された遺伝子のそれぞれについて、ガン再発の低いリスクを有する個体からの試料中の相対的発現水準が、非小細胞肺ガン試料の混合物を含む参照試料における平均発現水準と比較された。該相対的発現水準は、表3の第2列内の正の数字により示されるとおり、低リスクNSCLC試料において増加され、又は該相対的発現水準は、表3の第2列内の負の数字により示されるとおり、低リスクNSCLC試料において減少される。
【0032】
好ましい実施態様において、該少なくとも2つの遺伝子のうちの1つは、参照試料中の該遺伝子の平均発現水準と比較して、低リスクNSCLC試料において増大される一方、該少なくとも2つの遺伝子からの第2の遺伝子は低リスクNSCLC試料において、参照試料における該遺伝子の平均発現水準と比較して減少される。
【0033】
該遺伝子のセットが、表3に記載された遺伝子の少なくとも3つ、より好ましくは表3に記載された遺伝子の4つ、より好ましくは表3に記載された遺伝子の5つ、より好ましくは表3に記載された遺伝子の6つ、より好ましくは表3に記載された遺伝子の7つ、より好ましくは表3に記載された遺伝子の8つ、より好ましくは表3に記載された遺伝子の9つ、より好ましくは表3に記載された遺伝子の10、より好ましくは表3に記載された遺伝子の15、より好ましくは表3に記載された遺伝子の20、より好ましくは表3に記載された遺伝子の30、より好ましくは表3に記載された遺伝子の40、より好ましくは表3に記載された遺伝子の60、より好ましくは表3に記載された遺伝子の70、より好ましくは表3に記載された遺伝子の72、より好ましくは表3に記載された遺伝子の80、より好ましくは表3に記載された遺伝子の90、より好ましくは表3に記載された遺伝子の100、より好ましくは表3に記載された遺伝子の200、より好ましくは表3に記載された遺伝子の全てを含むことがさらに好ましい。
【0034】
参照試料中の該遺伝子の平均発現水準と比較して、低リスクNSCLC試料において増加されている遺伝子、並びに、参照試料中の該遺伝子の平均発現水準と比較して、低リスクNSCLC試料において減少されている遺伝子を選択することがさらに好ましい。
【0035】
図9において示されるとおり、0.598837の平均精度を結果した表3に記載された遺伝子の少なくとも4つ;より好ましくは0.6046512の平均精度を結果した表3に記載された遺伝子の少なくとも9つ;より好ましくは0.6337209の平均精度を結果した表3に記載された遺伝子の少なくとも49;より好ましくは0.6453488の平均精度を結果した表3に記載された遺伝子の少なくとも90;より好ましくは0.651163の平均精度を結果した表3に記載された遺伝子の全てを、該遺伝子のセットが含むことが特に好ましい。
【0036】
表3に記載された遺伝子は順位付けされうる。順位付けは全生存時間との相関、又は無再発生存時間との相関、若しくは低リスク及び高リスク患者からの腫瘍試料の間において異なる発現との相関に基づいてよく、又は当業者に知られているように、複数試料アプローチ(the multiple samples approach)の間の遺伝子の選抜パーセンテージに基づいてよい(Michiel et al., Lancet 365: 488-92 (2005))。表3に記載された遺伝子の順位付けは、該複数試料の間のそれら選抜パーセンテージに従い実施され、ここで最高位に順位付けされた遺伝子は、予後シグネチャーの開発の為に最もしばしば選択された遺伝子を表す。
【0037】
本発明の方法における使用にとって好ましい遺伝子のセットは、図8に示されるように、0.7857143の陰性適中度を結果する、表3に記載された最初の2つの順位付けされた遺伝子;より好ましくは0.8681319の陰性適中度を結果する、表3に記載された最初の8つの順位付けされた遺伝子;より好ましくは0.8829787の陰性適中度を結果する、表3に記載された最初の36の順位付けされた遺伝子;より好ましくは0.8977273の陰性適中度を結果する、表3に記載された最初の57の順位付けされた遺伝子;及び最も好ましくは0.9166667の陰性適中度を結果する、表3に記載された最初の72の順位付けされた遺伝子を含む。
【0038】
本発明の方法における使用のための遺伝子のセットが、表3に記載された遺伝子の少なくとも2つを含み、該少なくとも2つの遺伝子のうち1つは参照配列番号XM_04626であることがさらに好ましい。より好ましい実施態様において、本発明に従う遺伝子のセットは、参照配列番号XM_04626及び参照配列番号NM_052966;より好ましくは参照配列番号XM_04626、参照配列番号NM_052966、及び参照配列番号NM_002664;より好ましくは参照配列番号XM_04626、参照配列番号NM_052966、参照配列番号NM_002664、及び参照配列番号NM_004310;より好ましくは参照配列番号XM_04626、参照配列番号NM_052966、参照配列番号NM_002664、参照配列番号NM_004310、及び参照配列番号NM_004288;より好ましくは参照配列番号XM_04626、参照配列番号NM_052966、参照配列番号NM_002664、参照配列番号NM_004310、参照配列番号NM_004288及び参照配列番号NM_003195;より好ましくは参照配列番号XM_04626、参照配列番号NM_052966、参照配列番号NM_002664、参照配列番号NM_004310、参照配列番号NM_004288、参照配列番号NM_003195、及び参照配列番号NM_024560;より好ましくは参照配列番号XM_04626、参照配列番号NM_052966、参照配列番号NM_002664、参照配列番号NM_004310、参照配列番号NM_004288、参照配列番号NM_003195、参照配列番号NM_024560及び参照配列番号NM_014358;より好ましくは参照配列番号XM_04626、参照配列番号NM_052966、参照配列番号NM_002664、参照配列番号NM_004310、参照配列番号NM_004288、参照配列番号NM_003195、参照配列番号NM_024560、参照配列番号NM_014358、及び参照配列番号NM_201286;より好ましくは参照配列番号XM_04626、参照配列番号NM_052966、参照配列番号NM_002664、参照配列番号NM_004310、参照配列番号NM_004288、参照配列番号NM_003195、参照配列番号NM_024560、参照配列番号NM_014358、参照配列番号NM_201286、及び参照配列番号NM_172006を含む。
【0039】
表3に記載された遺伝子は、表3において提供されるとおり、遺伝子名により又はNCBI Reference Sequencesに従う固有の分類子(参照配列)により同定されうる。好ましくは、該遺伝子は、表3において提供された該遺伝子の配列の一部により同定されうる。
【0040】
表3に記載された少なくとも2つの遺伝子のRNA水準は、ノザンブロッティング、リボヌクレアーゼ保護アッセイ、マルチプレックス技術、例えばロックド核酸により修飾された捕捉プローブ及びマルチアナライトプロファイリングビーズなど、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、及びマイクロアレイにより媒介された分析を含むがこれらに限定されない、当技術分野で既知の任意の方法により決定されうる。もし必要ならば、RNA試料は、既知の方法により、例えばランダムプライムド逆転写反応又はオリゴ(dT)プライムド逆転写反応などにより、発現水準の決定の前にコピーDNAへと逆転写されうる。qPCRは、エンドポイントポリメラーゼ反応及びリアルタイムポリメラーゼ反応を含む。PCRに代わるもの、例えば鎖置換増幅、分岐DNA、ループ仲介等温増幅及び核酸配列に基づく増幅など、が特にこの実施態様において含まれる。
【0041】
本発明に従う好ましい方法において、RNA水準は、アレイ又はマイクロアレイの手段により決定される。
【0042】
RNA試料中の表3に記載された遺伝子の少なくとも2つのRNA水準を決定する為の(マイクロ)アレイ仲介分析は、組織試料からのRNA中に存在する特定のRNAの水準を決定する為の固体表面上のプローブの使用を含む。該プローブは、デオキシリボ核酸(DNA)分子、例えばゲノムDNA又はその断片など、リボ核酸分子、cDNA分子又はその断片、PCR産物、合成オリゴヌクレオチド、又はそれらの任意の組み合わせでありうる。該プローブは、核酸分子の誘導体又は変異体、例えばペプチド核酸分子など、でありうる。
【0043】
該プローブは、表3に記載された遺伝子に特異的である。プローブが、該遺伝子のRNA産物のヌクレオチド配列に対し完全に相補的である連続的な一続きのヌクレオチド、又はそのcDNA産物を含む場合、プローブは特異的でありうる。プローブは、それが該遺伝子のRNA産物のヌクレオチド配列に対し部分的に相補的である連続的な一続きのヌクレオチド、又はそのcDNA産物を含む場合もまた特異的でありうる。「部分的に」は、連続的な一続きの少なくとも20のヌクレオチド中のヌクレオチドから最大で5%が、該遺伝子のRNA産物の対応するヌクレオチド配列と異なることを意味する。語「相補的」は、当技術分野で既知であり、そして、ベースペアルールにより、検出されるべき配列に関係付けられた配列をいう。該プローブの配列が注意深く設計されて、該プローブへの非特異的ハイブリダイゼーションを最小化することが好ましい。該プローブが、一本鎖核酸分子であるか又は一本鎖核酸分子を模倣することが好ましい。該相補的な連続的な一続きのヌクレオチドの長さは、15塩基〜数キロ塩基であってよく、そして好ましくは20塩基〜1キロ塩基であり、より好ましくは40〜100塩基であり、そして最も好ましくは60ヌクレオチドである。
【0044】
表3に記載された遺伝子の少なくとも2つのRNA水準を決定する為に、該RNA試料は好ましくは、直接的に又は間接的に、標識され、そして、プローブと該標識されたRNA試料中の相補的分子との間の二重鎖形成に有利である条件下で、該アレイ上のプローブと接触される。該マイクロアレイの洗浄後のプローブと連合したままである標識の量が決定されることができ、そして、該プローブと相補的である核酸分子のRNA水準についての尺度として用いられる。
【0045】
マイクロアレイ実験における試料の取り扱いの間に、体系的バイアス(systemic bias)が導入されうる。体系的バイアスを減少するために、該決定されたRNA水準は好ましくは、バックグラウンドの非特異的なハイブリダイゼーションについて補正され、そして、例えばFeature Extractionソフトウェア(Agilent Technologies)を用いて正規化される。当技術分野の当業者に知られている又は知られているであろう他の方法、例えばdye swap実験(Martin-Magniette et al., Bioinformatics 21:1995-2000 (2005))(これはdyeバイアスにより導入された差異を正規化するために実施される)など、もまた適用されうる。
【0046】
本発明に従う好ましい方法において、RNA水準の決定は、該試料中の該遺伝子のセットの該決定されたRNA水準を正規化することを含む。
【0047】
正規化は、総合的な性能におけるアレイ間差異(これは例えばアレイ製造、染色及びスキャニングにおける不一致に起因しうる)に起因する変動、及び標識されたRNA試料の間の変動(これは例えば純度における変動に起因しうる)を補正する。アレイデータの正規化の為の慣用の方法は、大域解析を含み、これは、アレイ上の遺伝子マーカーの大部分が試料間で異なって発現されないとの仮定に基づく(Yang et al., Nucl Acids Res 30: l5 (2002))。代わりに、該アレイは、正規化の為に用いられる特定のプローブを含みうる。これらのプローブは好ましくは、ハウスキーピング遺伝子、例えばグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼなど、からのRNA産物及び18S rRNA水準(該RNA水準は、或る細胞において一定であると考えられ且つ該細胞の発達段階又は予後から独立であると考えられる)を検出する。該特定のプローブは好ましくは、RNA水準が広い範囲の水準にわたって変化する遺伝子に特異的である。
【0048】
好ましい実施態様において、本発明の方法はさらに、表3に記載された遺伝子の少なくとも2つのRNA水準を、参照試料中の該遺伝子のRNA水準と比較することを含む。
【0049】
該参照試料は、健康な個体からの肺組織から、若しくはNSCLCを患っている個体からのいわゆる正常隣接組織から分離されたRNA試料、又は関連細胞株又は細胞株の混合物からのRNA試料でありうる。該参照試料はNSCLCを患っている個体のガン性増殖からのRNA試料でもありうる。該NSCLCを患っている個体は、ガン再発の増加したリスク、又はガン再発の低いリスクを有しうる。
【0050】
該参照試料が、非小細胞肺ガンを患っており且つガン再発の低リスクを有する個体からのRNA試料であることが好ましい。より好ましい実施態様において、該参照試料は、非小細胞肺ガンを患っており且つガン再発の低リスクを有する個体からのNSCLC細胞を含む複数の組織試料からプールされたRNA試料である。該複数の組織試料が、10超の組織試料、より好ましくは20超の組織試料、より好ましくは30超の組織試料、より好ましくは40超の組織試料、最も好ましくは50超の組織試料を含むことが好ましい。
【0051】
試料と参照試料との比較は、種々の方法で実施されうる。好ましくは、試料と該参照試料との類似性又は相違性の尺度である係数が決定される。多くの様々な係数は、個体からのRNA試料及び参照試料におけるRNA発現水準の間の相関を決定する為に用いられうる。好ましい方法は、データの正規分布を仮定するパラメトリック方法である。これらの方法の1つは、ピアソンの積率相関係数であり、これは2つの変数の共分散を、それらの標準偏差の積により割り算することにより得られる。好ましい方法は、コサイン角、中心化されていない(un-centered)相関、及びより好ましくはコサイン相関を含む(Fan et al., Conf Proc IEEE Eng Med Biol Soc. 5:4810-3 (2005))。
【0052】
好ましくは、参照試料との該相関は、用いられる遺伝子のセットについての全体的類似性スコアを生成する為に用いられる。類似性スコアは、個体からのRNA試料及び参照試料における遺伝子のセットのRNA水準の平均相関の尺度である。該類似性スコアは、+1(個体の該RNA試料及び該参照試料における該遺伝子のセットのRNA発現水準の間の高い相関を示す)と−1(逆相関を示し及びそれ故にガン再発の増加したリスクを有することを示す)との間の数値である(van 't Veer et al., Nature 415: 484-5 (2002))。
【0053】
特に好ましい実施態様において、任意の閾値が、該類似性スコアについて決定される。該閾値より低いスコアであるRNA試料は、ガン再発の増加したリスクを示し、一方で該閾値より上のスコアである試料は、ガン再発の低いリスクを示す。
【0054】
類似性スコア及び/又は該スコアの結果(これはガン再発の増加したリスク又は低いリスクの大きさである)は好ましくは、ユーザーインターフェースデバイス、コンピュータ可読の記憶媒体、又はローカルコンピューターシステム又はリモートコンピューターシステムに表示され又は出力される。
【0055】
他の局面において、本発明は、NSCLCを患っている個体、又はそれを患っていると疑われる個体の試料の型を決める為のプローブのセットを提供し、ここで該プローブのセットは、表3に記載された遺伝子の少なくとも2つに対して特異的であるプローブを含む。
【0056】
表3に記載された遺伝子の少なくとも2つを含む遺伝子のセットのRNA水準は、NSCLCを患い且つ該ガンの再発の増加したリスクを有する個体からのRNA試料と、NSCLCを患い且つ該ガンの再発の減少したリスクを有する個体からのRNA試料との間で区別できることが分かった。
【0057】
該セットプローブが、表3に記載された遺伝子の少なくとも3つ、より好ましくは表3に記載された遺伝子の4つ、より好ましくは表3に記載された遺伝子の5つ、より好ましくは表3に記載された遺伝子の6つ、より好ましくは表3に記載された遺伝子の7つ、より好ましくは表3に記載された遺伝子の8つ、より好ましくは表3に記載された遺伝子の9つ、より好ましくは表3に記載された遺伝子の10、より好ましくは表3に記載された遺伝子の15、より好ましくは表3に記載された遺伝子の20、より好ましくは 表3に記載された遺伝子の30、より好ましくは表3に記載された遺伝子の40、より好ましくは表3に記載された遺伝子の60、より好ましくは表3に記載された遺伝子の70、より好ましくは表3に記載された遺伝子の72、より好ましくは表3に記載された遺伝子の80、より好ましくは表3に記載された遺伝子の90、より好ましくは 表3に記載された遺伝子の100、より好ましくは表3に記載された遺伝子の200、より好ましくは表3に記載された遺伝子の全て、に対して特異的であるプローブを含むことが好ましい。
【0058】
好ましくは該プローブのセットは、表3に記載された遺伝子の、227より多くない種々の遺伝子(different genes)、より好ましくは150より多くない種々の遺伝子、より好ましくは72より多くない種々の遺伝子に対して特異的であるプローブを含む。
【0059】
さらに他の局面において、本発明は、NSCLCを患っている個体又は該ガンを患っていると疑われる個体にとっての該ガンの再発についてのリスクを決定する為の本発明の遺伝子のセットに対し特異的であるプローブのセットの使用方法を提供する。
【0060】
この局面に従い、本発明は、低い転移能力を有するNSCLC細胞と高い転移能力を有するNSCLC細胞を、NSCLCを患っている患者又は該ガンを患っていると疑われる患者からのRNA試料中の該マーカー遺伝子のセットの核酸発現水準を決定することにより区別する為の、本発明の遺伝子のセットに特異的であるプローブのセットの使用方法を提供する。
【0061】
さらに、本発明は、2〜12,000のプローブを含むアレイを提供し、このプローブのうち2以上のプローブが、表3に記載された遺伝子の少なくとも2つに対し特異的である。本発明はさらに、NSCLC細胞の型を決める為の、本発明に従うアレイの使用方法を提供する。
【0062】
本発明はまた、非小細胞肺ガンを患っている個体又はそれを患っていると疑われる個体の試料の型を決める為のプライマーのセットも提供し、ここで該プライマーのセットは、表3に記載された遺伝子の少なくとも2つに対し特異的であるプライマーを含む。
【0063】
該プライマーのセットは、試料中の表3に記載された遺伝子の該少なくとも2つについてのRNA水準を決定する為に用いられうる。RNA水準を決定する為の既知の方法は、ポリメラーゼ連鎖反応、例えばマルチプレックスPCR及びマルチプレックスライゲーション依存プローブ増幅など、及び核酸配列に基づく増幅を含むがこれらに限定されない増幅方法を含む。
【0064】
好ましくは、該プライマーのセットは、表3に記載された遺伝子の、227より少ない種々の遺伝子、より好ましくは150より多くない種々の遺伝子、より好ましくは72より多くない種々の遺伝子に対して特異的であるプライマーを含む。
【0065】
この局面に従い、本発明はさらに、NSCLCを患っている個体についての該ガンの再発についてのリスクを決定する為の、本発明に従うプライマーのセットの使用方法を提供する。本発明はまた、低い転移能力を有するNSCLC細胞と高い転移能力を有するNSCLC細胞を区別する為の、本発明のプライマーのセットの使用方法も提供する。
【0066】
さらなる局面において、本発明は、NSCLCを患っている個体、又はNSCLCLを患っていると疑われる個体からの試料を分類する方法であって、該個体からの試料を用意すること;該試料中の表3に記載された遺伝子の少なくとも2つを含む遺伝子のセットについてRNA水準を決定すること;該試料中の該RNA水準及び初期診断の3年以内の再発を有さない患者における該遺伝子のセットについてのRNA水準についての類似性の値を決定すること;並びにもし該類似性の値が第1の類似性の閾値より低いならば不良な予後を有すると該個体を分類し、及びもし該類似性の値が該第1の類似性の閾値を越えるならば良好な予後を有すると該個体を分類することを含む方法により、上記試料を不良な予後又は良好な予後を有する個体から得られたと分類することを含む上記方法を提供する。
【0067】
該参照試料は好ましくは、正常肺組織から、正常隣接組織から、細胞株又は細胞株の混合物から、の試料であり、又はNSCLCを患っている個体からの関連試料である。好ましくは、参照試料は、非小細胞肺ガンを患い且つガン再発の低いリスクを有する個体からのものである。より好ましい実施態様において、該参照試料は、非小細胞肺ガンを患い且つガン再発の低いリスクを有する個体からのNSCLC細胞を含む複数の組織試料からプールされたRNA試料である。
【0068】
参照試料はまた、非小細胞肺ガンを患い且つガン再発の低いリスクを有する個体からの試料も含みうる。その場合において、本発明は同様に、NSCLSを患っている個体、又はNSCLCを患っていると疑われる個体を分類する為の方法であって、試料を、該個体からの試料を用意すること;該試料中の表3に記載された遺伝子の少なくとも2つを含む遺伝子のセットについてのRNA水準を決定すること;該試料中の該RNA水準及び初期診断の3年以内の病気再発を有する患者における該遺伝子のセットについてのRNA水準についての類似性の値を決定すること;並びに、もし該類似性の値が最初の類似性の閾値より低いならば良好な予後を有すると該個体を分類し、及びもし該類似性の値が該最初の類似性の閾値を越えるならば不良な予後を有すると該個体を分類することを含む方法により、不良な予後又は良好な予後を有する個体から得られたと分類することを含む上記方法を提供する。
【実施例1】
【0069】
非小細胞肺ガン試料が、Agilent 44K アレイ上で、65のNSCLC試料からのRNAのプールからなる肺参照プールに対して分析された。全部で103の試料が、予測シグネチャーのトレーニングの為に用いられ、そして、69が独立のバリデーションセットとして用いられた。試料は、5の異なるヨーロッパの機関から得られ、そして、主に扁平上皮細胞癌及び腺癌を含んだ。試料及び患者の特徴の概説が、表1に与えられる。全ての試料は、Helsinki宣言の倫理基準に従い、患者のインフォームドコンセントとともにとられた。RNA分離及びcRNAラベリングは標準的プロトコルに従った(Glas et al., BMC Genomics 2006; 7: 278)。ハイブリダイゼーションは、Agilent platform(Agilent 44K アレイ)上で、製造者により記載された標準的手順に従い及び他に記載されたように(Glas et al., BMC genomics 2006; 7: 278)実施された。Bioconductor project( www. bioconductor.org )から入手可能なR and Bioconductor packagesが、データの統計的分析の為に用いられた。
【0070】
最近傍識別子の開発のためのleave-one-outクロスバリデーションは、このタイプのクロスバリデーション手順を用いて確認されることができるシグネチャーを結果しなかった(図1)。階層的クラスタリングに従い、この発見は、分析された試料の遺伝子発現データが、全生存と相関する非常に一致し且つ顕著な遺伝子発現パターンを宿さないことを示した。明らかに、良いアウトカムの患者からの腫瘍試料と悪いアウトカム患者からの腫瘍試料との間の遺伝子発現における大きな不均一に起因して、該シグネチャーのトレーニングについての1つの試料の排除が、独立の追加の試験試料についても働く、バイアスのかけられていない遺伝子シグネチャーを同定する為に十分でない。代わりに、それは、生存予測シグネチャー遺伝子のバイアスのかけられていないセットを同定する為のより頑健な複数サンプリング手順を要求した。
【0071】
10−foldクロスバリデーション手順が、予測的な遺伝子のより頑健であり且つよりバイアスのかけられていない同定の為に用いられた(図2)。トレーニング試料の10%が無作為に該トレーニングセットから除かれ、そして、全ての遺伝子について、コックス比例ハザード割合が、生存(又は再発)イベントを有する及び有さないそれらの患者の間の識別力についてのLog−rankの生存スコア及びp値(Welsh t検定)とともに計算された。3つの生存統計が、全生存(又は無再発生存)とのそれらの関連に従い遺伝子を順位付けする為に用いられた1つのスコア(a single score)へ結合された。次に、上位に順位付けされた遺伝子が、10の抜き出された試料の予測の為に、最近傍識別子を用いて、用いられた。この10−foldクロスバリデーション手順を少なくとも500回繰り返すことにより、我々は、分類子のバイアスのかけられていない性能(これは異なるトレーニングセットに全て基づいた)を決定した。該異なるトレーニングセットから得られたとおりの複数の分類子が、全生存(OS)の予測に対して訓練され(P=0.001、図3A)、並びに、無再発生存(RFS)の予測のための分類子(P=0.011、図3B)が、試験試料の正確な予測についての有意な性能を示し、そして、10−foldクロスバリデーション手順が、該用いられたトレーニング試料に対してバイアスがかけられていないことを示した。より重要には、この複数サンプリングアプローチは、我々に、該シグネチャーを構築する為に最も安定的に選択されたそれらの予測遺伝子を同定することを許した。これらの安定的に選択された遺伝子は、バイアスのかけられていない最適な予測シグネチャーにとって最も好ましい。
【0072】
全生存(OS)並びに無再発生存(RFS)の予測にとって最適な性能を有する分類子の開発の為に、OS及びRFSについての該複数サンプル手順により生成された遺伝子選抜スコアが順位付けされ、そして、両方の生存分析において高いランキングを有する遺伝子が選抜された。40の最高に順位付けされた遺伝子の最小リストにより開始し、予測遺伝子のセットは徐々に拡大されて、全てのトレーニング試料に対して最高の予測精度(OS及びRFSの両方について)を有する最適な遺伝子セットサイズを決定した(図4)。最も強い予測力は、72の予測遺伝子のセットにより達せられ、表3に記載された72の最も高く順位付けされた遺伝子に対応する。該トレーニング試料に対するleave-one-outクロスバリデーションによる該72遺伝子シグネチャーの性能の調査は(図5A)、最適な予測が、良いアウトカムプロファイルとの試料相関に基づき達成されることを示した(図5B、閾値:0.145)。平均の低リスクプロファイルは、該分類子のさらなるバリデーションのために該低リスクプロファイルとして働く該72遺伝子シグネチャーについて計算された(表2、第2列)。高リスク及び低リスクのトレーニング試料は、該72シグネチャー遺伝子の遺伝子発現において、明白な差異を示した(図5C)。該トレーニング試料の生存分析は、肺の腫瘍試料が低リスクプロファイルを示す患者が、高リスク腫瘍プロファイルを有する患者よりも、全生存(OS)について及び無再発生存(RFS)について有意に良い生存を有することを確認した(P<0.0001)(図6)。
【0073】
該予測シグネチャーが、69のバリデーション試料の独立セットに対し確認された(表1)。該バリデーション試料の遺伝子発現プロファイルは、該予測シグネチャーが、独立試料においても存在することを示した(図7A)。該独立バリデーション試料の生存分析は、低リスク及び高リスクのNSCLC患者の同定の為に該72遺伝子シグネチャーの識別力を確認した(図7B−C)。該バリデーションセットについてのいくぶんより低い有意性が、診断後3年以内の打ち切りイベント(censoring events)(追跡の喪失;死亡の他の原因)の比較的高い数により(部分的に)引き起こされた(表1も参照されたい)。
【0074】
該分類子の感度、特異性、陰性的中度(NPV)、陽性的中度及び総合精度(表2)は、該分類子が、病気の進行について、特には低リスク患者の予測に対して、高リスク及び低リスクを有する患者を識別することができることの発見を確認する(該バリデーションセットについての93%のNPV)。低リスク患者及び高リスク患者の中央値全生存時間はそれぞれ、47及び31月であり(P<1e−4、ウィルコクソンの順位和検定)、そして、両方の患者集団についての中央値無再発生存時間はそれぞれ、47対24月である(P<1e−5)(表4)。
【実施例2】
【0075】
正確な予後シグネチャーにとって必要とされるシグネチャー遺伝子の最小数を決定する為に、該237の遺伝子のセットが、個体遺伝子の予後予測力に従い順位付けされ、そして、該237の遺伝子のセットが、2つの上位に順位付けされた遺伝子だけを含む遺伝子セットまで、逐次的に減少された。それぞれの異なる遺伝子セットサイズ(すなわち2つの遺伝子から最大で237の遺伝子を含む)について、陰性的中度(NPV)、陽性的中度(PPV)及び総合精度が、少なくとも3年間の全生存の予後予測について決定された。図8は、該シグネチャーの予測力が、順位付けされたシグネチャー遺伝子のより少ない数の場合に、わずかにだけ減少すること(上位2つの遺伝子だけを含む予後シグネチャーは80%のNPV及び70%の総合精度を有する)を示す。すなわち、少数の上位に順位付けされた遺伝子がすでに、低リスク患者の予測における高い精度を示した(83%の全生存NPV)。
【0076】
我々はさらに、237の遺伝子のセットから選択された2以上の遺伝子のランダムなサブセットの性能を分析した。2つの遺伝子から237の全遺伝子までの種々のサイズを有するランダムなサブセットが選択された。合計で、100の無作為にコンピューターにより生成されたサブセットが選択され、もし可能ならば、それぞれの種々のサイズについて及びそれぞれの種々のサブセットについて、NPV、PPV及び総合精度が計算された。次に、平均性能及び95%信頼区間が、それぞれの種々のサブセットサイズについて計算された。図9に示されたデータは、237のシグネチャー遺伝子の2以上のランダムなサブセットが予測性能のわずかな低下だけを示すことを示す(図9)。この結果は、該シグネチャー遺伝子の該予測価値が、遺伝子の少数だけが予後シグネチャーにおいて用いられる場合でも、実質的に低下しないことを確認した。しかしながら、予測性能の95%信頼区間は、より少ないシグネチャーの使用の際に、増加する。これは、全部で237の遺伝子セットからの遺伝子の少数のランダムな選択が、大きなサブセットの選択よりも、予後のアウトカムにおけるはるかに大きな変動を結果するであろうという事実により説明される。変動におけるこの増加にもかかわらず、予後シグネチャーサブセットの陰性的中度は、80〜90%のままである。これらの結果は、表3に記載された最高に順位付けされた72の遺伝子に対応する72の遺伝子の完全セットを用いて最高の性能が達成されるが、2つの遺伝子だけの使用が正確な予測シグネチャーをすでに結果することを示す。
【実施例3】
【0077】
該分類子が、他の2つの予後因子である腫瘍の型及び腫瘍悪性度(tumor grade)と独立的に生存を予測したかどうかを試験する為に(図1)、一変量分析及び多変量分析が実施された(表4)。一変量分析において、該72遺伝子シグネチャーが、OSについて4.83のハザード比(95%信頼区間:2.47〜9.44、P=4.1e−6)及びRFSについて4.86のハザード比(95%信頼区間:2.40〜9.50、P=3.7e−6)を有する最も有意な予後因子であった。他の2つの予後因子との多変量分析において、該シグネチャーの予測力は同様のままであった(全生存及び無再発生存のそれぞれについて、4.70及び4.61のハザード比、表4)。これは、該予後の72遺伝子分類子が、該他の2つの因子と独立的に生存アウトカムを予測したことを明示した。該多変量分析は、腫瘍悪性度が、該遺伝子分類子に加えて、追加された予測価値を有することを示した(表4)。腫瘍悪性度(グレードI又はII)とシグネチャーアウトカム(低リスク又は高リスク)との組み合わせは、非常に有意な全生存分類(P=6.2e−8、図10A)及び無再発生存予測(P=3.3e−7、図10B)を結果した。
【0078】

【0079】

【0080】












【0081】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非小細胞肺ガンを患っている個体又はそれを患っていると疑われる個体の試料の型を決める為の方法であって、
a.該個体からの、非小細胞肺ガン細胞を含む組織試料又は非小細胞肺ガン細胞を含むと疑われる組織試料を用意すること;
b.該組織試料からRNAを調製すること;
c.該RNA中の遺伝子のセットについてRNA水準を決定すること;及び
d.該遺伝子のセットについて決定された該RNA水準に基づき該試料の型を決めること、
ここで該遺伝子のセットは、表3に記載された遺伝子の少なくとも2つを含む、
を含む上記方法。
【請求項2】
該試料が、早期NSCLC(非小細胞肺ガン)を患っている個体又はそれを患っていると疑われる個体の試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該試料が、1期NSCLCを患っている個体又はそれを患っていると疑われる個体の試料である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
該遺伝子のセットについて決定された該RNA水準に基づき該試料の型を決めることが、表3に記載された遺伝子の少なくとも2つのRNA水準と参照試料中の該遺伝子のRNA水準とを比較することを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該少なくとも2つの遺伝子の1つが、参照試料中の該遺伝子の平均発現水準と比較して、低リスクNSCLC試料中に誘発されており、一方該少なくとも2つの遺伝子からの第2の遺伝子が、参照試料中の該遺伝子の平均発現水準と比較して、低リスクNSCLCL試料中において抑制されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該遺伝子のセットが、表3に記載された遺伝子の72を含み、該遺伝子が1〜72に順位付けされている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
該試料中の該遺伝子のセットの該決定されたRNA水準を正規化することをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
非小細胞肺ガンを患っている個体又はそれを患っていると疑われる個体の試料の型を決める為のプローブのセットであって、表3に記載された遺伝子の少なくとも2つに対して特異的であるプローブを含む前記プローブのセット。
【請求項9】
NSCLCを患っている個体にとっての該ガンの再発についてのリスクを決定する為に、請求項8に記載のプローブのセットを使用する方法。
【請求項10】
低い転移能力を有するNSCLC細胞と高い転移能力を有するNSCLC細胞を区別する為に、請求項8に記載のプローブのセットを使用する方法。
【請求項11】
非小細胞肺ガンを患っている個体又はそれを患っていると疑われる個体の試料の型を決める為のプライマーのセットであって、表3に記載された遺伝子の少なくとも2つに対して特異的であるプライマーを含む前記プライマーのセット。
【請求項12】
NSCLCを患っている個体にとっての該ガンの再発についてのリスクを決定する為に、請求項11に記載のプライマーのセットを使用する方法。
【請求項13】
低い転移能力を有するNSCLC細胞と高い転移能力を有するNSCLC細胞を区別する為に、請求項11に記載のプライマーのセットを使用する方法。
【請求項14】
NSCLCを患っている個体又はNSCLCを患っていると疑われる個体からの試料を分類する方法であって、
該個体からの試料を用意すること;
該試料中における、表3に記載された遺伝子の少なくとも2つを含む遺伝子のセットについてのRNA水準を決定すること;
該試料中の該RNA水準と、初期診断の3年以内に再発した病気を有さない患者における該遺伝子のセットについてのRNAの水準とについて類似性の値を決定すること;及び
もし該類似性の値が第1の類似性の閾値より低いならば不良な予後を有すると該個体を分類し、及びもし該類似性の値が該第1の類似性の閾値を超えるならば良好な予後を有すると該個体を分類すること
を含む方法により、上記試料を、不良な予後又は良好な予後を有する個体から得られたと分類することを含む上記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−528602(P2010−528602A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510245(P2010−510245)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【国際出願番号】PCT/NL2008/050342
【国際公開番号】WO2008/147205
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(509330080)アジェンディア ビー.ブイ. (1)
【Fターム(参考)】