説明

非常に低振幅な信号を収集、記憶、処理、伝送および提示するためのシステムおよび方法

本発明に係る方法および装置は、物質に雑音を注入し、雑音と物質によって放出された信号との組合せを検出し、確率的共振によって、この組合せ信号が、その物質によって生み出される信号の特性を帯びるまで、雑音を調整し、このような特性信号を、反応性の化学、生化学または生物系に適用する。生成された信号は、記憶し、操作し、かつ/または遠隔受信器に伝送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号を電磁波に変換するシステムが読むことができる信号、および該信号を生成し適用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学および生化学の分野で受け入れられている1つのパラダイムは、化学または生化学エフェクタ作用因子(effector agent)、例えば分子が、イオン力、電荷力、分散力などのさまざまな物理化学的な力を介して、あるいは電荷誘導性共有結合の切断または形成を介して、標的系と相互作用するというものである。これらの力は、エフェクタ作用因子または標的系(target system)の振動または回転エネルギーモードを含むことができる。
【0003】
このパラダイムの必然の結果は、作用因子−標的系において、エフェクタ作用因子が標的環境内にあるという要件である。しかし、まだ分かっていないまたは理解されていないことは、この要件が、エフェクタの実際の存在に関係しているかどうか、または、この要件が、少なくともある種のエフェクタ機能に関して、そのエフェクタに特徴的なエネルギーモードの存在によることができるかどうかである。ある種の特徴的なエネルギーモードによって、エフェクタ機能を、少なくとも部分的にシミュレートすることができる場合には、そのエフェクタに特徴的なある種のエネルギーモードに標的系を暴露することによって、標的系におけるエフェクタ作用因子の効果を「シミュレート」することができるかもしれない。その場合、おのずから生じる問題は、どのエフェクタ−分子エネルギーモードが有効なのか、どうすれば、測定可能な信号の形態にそれらを変換することができるのか、これらの信号をどのように使用すれば、標的系に影響を及ぼす、すなわち標的系における分子のエフェクタ機能の少なくとも一部を模倣することができるのか、ということである。
【0004】
これらの問題は、最近出願された同一所有権者の特許文献1および特許文献2に取り上げられている。この出願に記載された発明を支持して実行された実験は、エフェクタ化合物の時間領域信号(time-domain signal)を「変換」することによって生成された電磁波に標的系(この場合、いくつかの生物系の1つ)を暴露することによって、その標的系に対するある種のエフェクタ機能を再現することができることを証明している。前述の文献によれば、この時間領域信号は、化合物によって生成された低周波確率的事象(low-frequency stochastic events)を観察する能力を高めるレベルの雑音(noise)を記録装置に注入しながら、遮蔽された環境(shielded environment)内でその化合物によって生成される信号を記録することによって生成される。前述の文献では、変換信号が、エフェクタ化合物の実際の化合物時間領域信号であった。
【0005】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/593,006号明細書
【特許文献2】米国特許仮出願第60/591,549号明細書
【非特許文献1】Bendat & Piersol, "Engineering Applications of Correlation and Spectral Analysis", 1993
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特性エフェクタ−分子信号(characteristic effector-molecule signals)に標的系を暴露することによって、エフェクタ作用因子が実際に存在する必要なしに、エフェクタ−分子機能を達成することが可能であると、重要で興味深いいくつかの応用が考えられる。薬物の投与によって生物を治療する代わりに、薬物固有信号にその生物を暴露することによって、同じ効果を達成することができる。ナノファブリケーション(nanofabrication)の分野では、所望の自己集合パターンを助長する能力を有する多価(multivalent)エフェクタ分子の特性を示す信号を、集合系に導入することによって、自己集合パターンを触媒しまたは促進することが可能かもしれない。
【0007】
本明細書に掲げられた見出し(headings)は、単に便宜上のものであり、請求の発明の範囲または意味に影響を及ぼすものでは必ずしもない。
【0008】
本出願は、2004年7月30日に出願された「SYSTEM AND METHOD FOR PRODUCING CHEMICAL OR BIOCHEMICAL SIGNALS」という名称の米国特許仮出願第60/593,006号明細書(弁理士整理番号38547.8010)、2004年7月27日に出願された「SIGNAL PROCESSING SYSTEM, SUCH AS FOR PRODUCING AND MANIPULATING SIGNALS FROM CHEMICAL OR BIOCHEMICAL COMPOUNDS OR SAMPLES」という名称の米国特許仮出願第60/591,549号明細書(弁理士整理番号38547.8011US)、2004年8月19日に出願された「TRANSDUCING SIGNALS AND METHODS」という名称の米国特許仮出願第60/602,962号明細書(弁理士整理番号38547.8012US)、および2005年4月21日に出願された「SYSTEM AND METHOD FOR PRODUCING CHEMICAL OR BIOCHEMICAL SIGNALS」という名称の米国特許仮出願第60/674,083号明細書(弁理士整理番号38547.8010US)の恩典を求めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
I.定義
以下の用語は、特に明示されない限り、以下の定義を有する。
【0010】
「分子回転を示す試料(sample that exhibits molecular rotation)」は、その試料物質を構成し、またはその試料物質中に存在する分子化合物または原子イオンのうちの1種または数種の分子化合物または原子イオンが回転を示す試料物質を指し、試料物質は、気体でも、液体でもまたは固体(固体金属を除く)でもよい。
【0011】
「磁気遮蔽(magnetic shielding)」は、遮蔽材料の透磁性の結果として、磁束の通過を減らし、抑制しまたは妨げる遮蔽を指す。
【0012】
「電磁遮蔽(electromagnetic shielding)」は例えば、標準ファラデー電磁遮蔽を指し、または電磁放射の通過を低減させる他の方法を指す。
【0013】
「時間領域信号(time-domain signal)」ないし「時系列信号(time-series signal)」は、時間の経過とともに変化する過渡的な信号特性を有する信号を指す。
【0014】
「試料源放射(sample-source radiation)」は、分子双極子の回転などの磁場内での試料の分子運動に起因する磁束または電磁束の放出を指す。
【0015】
「ガウス雑音(gaussian noise)」は、ガウス出力分布を有する不規則雑音を意味する。「定常白色(stationary white)ガウス雑音」は、予測可能な将来の成分を持たない不規則ガウス雑音を意味する。「構造化(structured)雑音」は、そのスペクトルの1つの領域から別の領域へエネルギーをシフトする対数関数的特性を含むことができ、または、振幅が一定である間、不規則な時間要素を提供するように設計することができる。これらの2つは、予測可能な将来の成分を持たない真に不規則な雑音と比較して均一なピンク(pink)雑音を表す。「均一な雑音」は、一定の振幅を有する雑音を意味する。
【0016】
「周波数領域スペクトル(frequency-domain spectrum)」は、時間領域信号のフーリエ周波数プロット(plot)を指す。
【0017】
「スペクトル成分(spectral components)」は、周波数、振幅および/または位相領域で測定することができる時間領域信号内の単一の性質または繰り返す性質を指す。スペクトル成分は一般に、周波数領域に存在する信号を指す。
【0018】
第1の試料と「同様の試料(similar sample)」とは、第1の試料と同じ試料、または第1の試料と実質的に同じ試料成分を有する試料を指す。
【0019】
「ファラデー箱(Faraday cage)」は、不要な電磁放射の接地電気経路となり、それによって電磁環境を静穏化する電磁遮蔽構成を指す。
【0020】
「スペクトル特徴スコア(spectral-features score)」は、作用因子または試料に固有の識別可能なスペクトル特徴を明らかにするために適当な方法、例えば本明細書に記載された3つの方法のうちの1つによって処理された、その作用因子または試料に対して記録された時間領域信号の、選択された低周波数範囲、例えばDCから1kHzまたはDCから8kHzの範囲にわたって観察された作用因子固有(agent-specific)スペクトルピークの数および/または振幅に基づくスコアを指す。
【0021】
「最適化された作用因子固有時間領域信号」は、最大または最大に近いスペクトル特徴スコアを有する時間領域信号を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
II.時間領域信号の生成および処理に適した装置
以下では、関心のある試料(sample of interest)の低周波電磁放出または低周波電磁信号を検出し、処理し、提示するためのシステムおよび方法を詳細に説明する。一実施形態では、周知の白色またはガウス雑音信号が試料に導入される。このガウス雑音は、試料からの電磁放出を、信号検出システムによって十分に検出できるように構成される。繰返し性(repeatability)および統計的関連性(statistical relevance)を保証するため、検出された信号のセットは一緒にして処理される。その結果得られる放出パターンまたはスペクトルを表示し、記憶し、かつ/または特定の物質として同定することができる。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態は、その電磁波の場の中に置かれた標的系に作用することができる化合物固有電磁波を生成するための変換システムで使用するための信号、および該信号を生成する方法を示す。他の実施形態は、該信号を生成し、配布することに関する。
【0024】
以下の説明は、本発明の実施形態の完全な理解および本発明の実施形態を可能にする記述のための具体的な詳細を提供する。しかし、本発明は、これらの詳細なしでも実施することができることを当業者は理解しよう。また、本発明の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるため、周知の構造および機能を詳細に示し、または説明することはしなかった。
【0025】
後に詳細に説明されるように、本発明の実施形態は、後の遠隔使用のために、低しきい値分子電磁信号を繰返し可能に検出し、記録するための装置および方法を提供することを対象とする。磁気遮蔽されたファラデー箱(faraday cage)が、試料物質および検出装置を外来電磁信号から遮蔽する。磁気遮蔽されたファラデー箱の中では、コイルが白色またはガウス雑音を注入し、非鉄トレー(tray)が試料を保持し、グラジオメータ(gradiometer)が低しきい値分子電磁信号を検出する。この装置はさらに、超伝導量子干渉素子(「SQUID」)および前置増幅器を含む。
【0026】
この装置は、磁気遮蔽されたファラデー箱の中の雑音コイルおよびグラジオメータの近くに、試料を置くことによって使用される。雑音コイルによって白色雑音が注入され、この白色雑音は、分子電磁信号が確率的共振(stochastic resonance)によって強められるまで調整される。雑音コイルによって生成された場およびファラデー箱によって外部干渉から遮蔽されたこの強められた分子電磁信号は次いで、グラジオメータおよびSQUIDによって検出され、測定される。この信号は次いで増幅され、適当な記録または測定機器に伝送される。
【0027】
図1を参照すると、遮蔽構造10が示されており、遮蔽構造10は、外側から内側へ向かって、磁気シールド(shield)である導電性ワイヤケージ(wire cage)16、電磁遮蔽を提供する内側導電性ワイヤケージ18および20を含む。他の実施形態では、外側磁気シールドが、アルミニウム−ニッケル合金のコーティングを有する中実アルミニウム(solid aluminum)板材料から形成され、電磁遮蔽が、それぞれが中実アルミニウムから形成された2つの内側壁構造によって提供される。
【0028】
図2を参照すると、ファラデー箱10は頂部が開いており、側面開口12および14を含む。ファラデー箱10はさらに、互いに入れ子にされた3つの銅メッシュ(mesh)ケージ16、18および20からなる。それぞれの銅メッシュケージ16、18および20は、それぞれのケージ間の誘電障壁(図示せず)によって、他のケージから電気的に分離されている。
【0029】
側面開口12および14はさらに、ファラデー箱10の内部へのアクセスを提供し、その一方で外部干渉源からケージの内部を分離する減衰管(attenuation tube)22および24を含む。図3を参照すると、減衰管24は、互いに入れ子にされた3つの銅のメッシュ管26、28および30からなる。外側銅メッシュケージ16、18および20はそれぞれ、1つの銅メッシュ管26、28および30に電気的に接続されている。減衰管24にはさらにキャップ(cap)32がされており、キャップは穴34を有する。減衰管22も同様に銅メッシュ管26、28および30からなるが、キャップ32は含まない。
【0030】
図2を再び参照すると、ファラデー箱10の内部に、低密度非鉄試料トレー(low-density nonferrous sample tray)50が取り付けられている。試料トレー50は、減衰管22および側面開口12を介してファラデー箱10から取り外すことができるように取り付けられている。それぞれファラデー箱10の中心縦軸から減衰管22の最も外側の縁までの距離よりも長い3本の棒52が、試料トレー50に取り付けられている。これらの3本の棒52は、減衰管22の内側の湾曲に合致するように適合されており、そのため、これらの棒を減衰管の中に置くことによって、ファラデー箱10の中央に試料トレー50を配置することができる。この示された実施形態では試料トレー50および棒52が、ガラス繊維エポキシ樹脂でできている。当業者には直ちに明らかになることだが、試料トレー50および棒52は他の非鉄材料から製作することができ、トレーは、他の手段、例えば1本の棒によって、ファラデー箱10の中に取り付けることができる。
【0031】
図2を再び参照すると、ファラデー箱10の中の試料トレー50の上方に、低温デューア(cryogenic dewar)100が取り付けられている。この開示された実施形態では、デューア100が、ファラデー箱10の頂部の開口にはまるように適合されており、デューア100は、Tristan Technologies,Inc.社製のModel BMD−6 Liquid Helium Dewarである。デューア100は、ガラス繊維エポキシ樹脂複合材料から構築される。デューア100内の所定の位置に、視野が非常に狭いグラジオメータ110が、その視野が試料トレー50を包含するように、取り付けられている。この示された実施形態では、グラジオメータ110が、公称直径1センチメートル、バランス(balance)2%の1次軸検出コイルであり、超電導体から形成されている。このグラジオメータは、平面(planar)グラジオメータ以外の任意の形態のグラジオメータとすることができる。グラジオメータ110は、1つの低温直流電流超伝導量子干渉素子(「SQUID」)120の入力コイルに接続されている。この開示された実施形態では、SQUIDが、Tristan Technologies,Inc.社製のModel LSQ/20 LTS dc SQUIDである。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、高温または交流SQUIDを使用することができることは当業者によって理解されよう。代替実施形態ではSQUID120が雑音抑圧コイル124を含む。
【0032】
この開示されたグラジオメータ110とSQUID120の組合せは、磁場を測定するときに、5マイクロテスラ/√Hzの感度を有する。
【0033】
SQUID120の出力は、Tristan Technologies,Inc.社製のModel SP Cryogenic Cable130に接続される。低温ケーブル130は、デューア100の内部および外部の温度に耐える能力を有し、SQUID120からの信号を、ファラデー箱10およびデューア100の外部に取り付けられたフラックスロックループ(Flux-Locked Loop)140に転送する。この開示された実施形態のフラックスロックループ140は、Tristan Technologies,Inc.社製のiFL−301−L Flux Locked Loopである。
【0034】
図1を参照すると、フラックスロックループ140は、SQUID120から受け取った信号を増幅し、その信号を、高レベル出力回路142を介して、iMC−303 iMAG(登録商標)SQUIDコントローラ150に出力する。フラックスロックループ140はさらに、モデルCC−60 6メートル光ファイバ複合接続ケーブル144を介して、SQUIDコントローラ150に接続されている。光ファイバ接続ケーブル144およびSQUIDコントローラ150はTristan Technologies,Inc.社製である。コントローラ150は、磁気遮蔽ケージ40の外側に取り付けられる。光ファイバ接続ケーブル144は、SQUIDコントローラ150からフラックスロックループ140へ制御信号を運び、測定対象信号との電磁干渉の可能性をさらに低減させる。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、他のフラックスロックループ、接続ケーブルおよびSquidコントローラを使用することができることは、当業者には明白であろう。
【0035】
SQUIDコントローラ150はさらに、高分解能アナログ−ディジタル変換器152、ディジタル化された信号を出力する標準GP−IBバス154、およびアナログ信号を出力するBNCコネクタ156を含む。この示された実施形態では、BNCコネクタが、パッチコード162を介して2重掃引(dual trace)オシロスコープ160に接続されている。
【0036】
図2を参照すると、ファラデー箱10の中に試料トレーが完全に挿入された場合の試料トレー50の両側に、2要素型ヘルムホルツ変成器(two-element Helmholtz transformer)60が設置されている。この示された実施形態では、ヘルムホルツ変成器60のコイル巻線(coil windings)62および64が、直流から50キロヘルツの範囲で動作するように設計されており、中心周波数は25キロヘルツ、自己共振周波数は8.8メガヘルツである。この示された実施形態では、コイル巻線62および64が一般に長方形であり、高さが約8インチ(20.32cm)、幅が約4インチ(10.16cm)である。他のヘルムホルツコイル形状を使用することもできるが、形状および寸法は、グラジオメータ110および試料トレー50が、ヘルムホルツコイルによって生成される場の中に位置するようにしなければならない。コイル巻線62および64はそれぞれ、2つの低密度非鉄フレーム(frame)66および68のうちの一方に取り付けられる。フレーム66および68は互いに蝶番式に接続され、脚70によって支持される。デューア100の下部に対するフレームの垂直移動を可能にするため、フレーム66および68は脚70に滑動可能に取り付けられる。フレームの移動は、グラジオメータ110で受け取られる白色雑音の振幅を変化させるためのヘルムホルツ変成器60のコイル巻線62および64の調整を可能にする。脚70は、ファラデー箱10の底に置かれ、またはファラデー箱10の底にエポキシ樹脂で接着される。この示された実施形態では、フレーム66、68および脚70がガラス繊維エポキシ樹脂でできている。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、試料トレー50の周囲の変成器またはコイルの他の配置を使用することができる。
【0037】
図4を参照すると、ファラデー箱およびファラデー箱の内容物の断面が示されており、この断面は、ヘルムホルツ変成器60の巻線62を、デューア100およびファラデー箱10に対して示している。図4では、試料トレー50および試料200の配置にも留意されたい。
【0038】
再び図1を参照すると、磁気遮蔽ケージ40の外側に振幅調整可能白色雑音発生器80があり、これは、電気ケーブル82によって、フィルタ90を介してヘルムホルツ変成器60に電気的に接続されている。図3を参照すると、側面開口12、減衰管24およびキャップ32の穴34の中にケーブル82が通されている。ケーブル82は、内側および外側磁気遮蔽86および88のそれぞれによって取り囲まれた銅導体の撚り線対(twisted pair)84をさらに含む同軸ケーブルである。他の実施形態では、この導体を、銀、金などの任意の非磁性導電材料とすることができる。内側および外側磁気遮蔽86および88はキャップ32までで終わり、エンドキャップから図1に示されたヘルムホルツ変成器60までの残りの距離をつなぐ撚り線対84を後に残す。内側磁気遮蔽86は、キャップ32を介してファラデー箱16に電気的に接続され、外側磁気遮蔽は、図1に示された磁気遮蔽されたケージ40に電気的に接続されている。
【0039】
図1を参照すると、白色雑音発生器80は、ゼロから100キロヘルツまでの周波数スペクトルにわたってほぼ均一な雑音を生成することができる。この示された実施形態では、フィルタ90が、50キロヘルツを超える雑音を除去するが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく他の周波数範囲を使用することもできる。
【0040】
白色雑音発生器80はさらに、パッチコード164を通して、2重掃引オシロスコープ160のもう一方の入力に電気的に接続される。
【0041】
図1、2および3を参照すると、試料トレー50の上に、測定対象の物質の試料200が置かれ、この試料トレーが、ファラデー箱10の中に置かれる。第1の実施形態では、白色雑音発生器80を使用して、白色雑音をヘルムホルツ変成器60を通して注入する。この雑音信号は、グラジオメータ110内に誘導電圧を生み出す。グラジオメータ110内の誘導電圧は、次いでSQUID120によって検出、増幅され、SQUIDからの出力は、フラックスロックループ140によってさらに増幅され、SQUIDコントローラ150に送られ、次いで、2重掃引オシロスコープ160に送られる。2重掃引オシロスコープ160は、白色雑音発生器80によって生成された信号を表示する目的にも使用される。
【0042】
白色雑音信号は、白色雑音発生器80の出力を変更することによって、および図2に示された試料200の周囲でヘルムホルツ変成器60を回転させることによって、調整される。フレーム66および68の蝶番式の接続の軸のまわりのヘルムホルツ変成器60の回転は、グラジオメータ110に関してその位相調整を変化させる。所望の位相変更に応じて、フレーム66および68の蝶番式の接続は、巻線62および64が、試料トレー50のまわりで約30から40度回転する間、互いに平行なままでいることを可能にする。ヘルムホルツ変成器60によって生成された場のグラジオメータ110に対する信号位相を変更するために、蝶番式の接続はさらに、巻線62および64が、平行から約60度も回転することを可能にする。一般的な位相調整は、この非平行配向を含むが、ある状況では、例えば不規則な形状の試料200を収容するために平行配向が好ましいこともある。雑音が適用され、検出しようとする分子電磁放出よりも雑音が30から35デシベル高くなるまで調整される。この雑音レベルで、雑音は、よく知られた確率的共振現象によって、分子電磁信号の特徴を帯びる。この追求される確率的成果(product)は、グラジオメータ110によって検出された信号を映すオシロスコープの掃引線が、白色雑音発生器80からの信号を直接に映す掃引線から変化した場合に観察される。代替実施形態では、市販の任意の機器によって、この信号を記録しまたは処理することができる。
【0043】
代替実施形態では、分子電磁信号を検出する方法がさらに、ヘルムホルツ変成器60に適用された本来の雑音信号とは180度位相がずれた雑音を、SQUID120の雑音抑圧コイル124を通して注入することを含む。次いで、グラジオメータ110によって検出された信号を映すオシロスコープの掃引線が非ランダムになった場合に、追求される確率的成果を観察することができる。
【0044】
雑音がどのように注入され、調整されるかにかかわらず、確率的成果は、スペクトルピークの増大が起こるときを観察することによっても決定することができる。スペクトルピークは、オシロスコープ160上の線プロットとして、または数値として、または他のよく知られている測定装置によって、観察することができる。
【0045】
本発明の実施形態は、極めて低しきい値の分子電磁信号を外部干渉なく検出するための方法および装置を提供する。本発明の実施形態はさらに、さまざまな信号記録および処理機器が容易に使用可能なフォーマットでそれらの信号の出力を提供する。
【0046】
次に図5を参照すると、上記の図の分子電磁放出検出/処理システムの代替実施形態が示されている。システム700は、処理ユニット704に結合された検出ユニット702を含む。処理ユニット704は検出ユニット702の外部に示されているが、処理ユニットの少なくとも一部分は、検出ユニットの中に位置することができる。
【0047】
図5の断面図に示されている検出ユニット702は、互いに入れ子にされた、または互いに同心の複数の構成要素を含む。試料室またはファラデー箱706は、金属ケージ708の中に入れ子にして入れられている。試料室706および金属ケージ708はそれぞれ、アルミニウム材料からなることができる。試料室706は真空に維持することができ、予め設定された温度に温度制御することができる。金属ケージ708は、低域フィルタとして機能するように構成される。
【0048】
試料室706と試料室706を取り囲む金属ケージ708との間に、1組の平行加熱コイルまたはエレメント710がある。さらに、加熱エレメント710および試料室706のすぐ近くに、1つまたは複数の温度センサ711が位置する。例えば、試料室706の外面の周囲の異なる位置に、4つの温度センサを配置することができる。加熱エレメント710および温度センサ711は、試料室706の内部をある温度に維持するように構成することができる。
【0049】
金属ケージ708をシールド712が取り囲んでいる。シールド712は、追加の磁場遮蔽または分離を試料室706に提供するように構成されている。シールド712は、鉛または他の磁気遮蔽材料からなることができる。試料室706および/または金属ケージ708によって十分な遮蔽が提供される場合には、シールド712は任意である。
【0050】
シールド712の周囲に、G10絶縁を有するクリオゲン(cryogen)層716がある。クリオゲンは液体ヘリウムとすることができる。クリオゲン層716(低温デューアとも呼ばれる)の動作温度は4Kである。クリオゲン層716の周囲には外側シールド718がある。外側シールド718はニッケル合金からなり、磁気遮蔽となるように構成される。検出ユニット702によって提供される磁気遮蔽の総量は、デカルト座標系の3つの直交面に沿って約−100dB、−100dBおよび−120dBである。
【0051】
上述のさまざまな要素は、空隙または誘電障壁(図示せず)によって、互いに電気的に分離されている。また、説明を分かりやすくするために、これらの要素は互いに対して一定の尺度では描かれてはいないことを理解されたい。
【0052】
試料室706の中に試料ホルダ(holder)720を手動または機械で配置することができる。試料ホルダ720は降ろし、持ち上げ、または試料室706の頂部から取り出すことができる。試料ホルダ720は、渦電流を導入しない材料からなり、固有分子回転をほとんどまたは全く示さない。一例として、試料ホルダ720は、高品質ガラスまたはPyrex(登録商標)からなることができる。
【0053】
検出ユニット702は、固体、液体または気体試料を取り扱うように構成されている。検出ユニット702ではさまざまな試料ホルダを利用することができる。例えば、試料のサイズに応じて、より大きな試料ホルダを利用することができる。他の例として、試料が空気に対して反応性である場合には、試料をカプセル化しまたは試料の周囲に気密シールを形成するように、試料ホルダを構成することができる。さらに他の例では、試料が気体の状態にある場合に、試料ホルダ720なしで試料室706に試料を導入することができる。このような試料では、試料室706が真空に維持される。試料室706の頂部の真空シール(vacuum seal)721は、真空を維持し、かつ/または試料ホルダ720を収容するのを助ける。
【0054】
試料ホルダ720の上下にそれぞれ、検出コイルとも呼ばれるセンスコイル(sense coil)722およびセンスコイル724が提供される。センスコイル722、724のコイル巻線は、直流(DC)から約50キロヘルツ(kHz)までの範囲で動作するように構成され、中心周波数は25kHz、自己共振周波数は8.8MHzである。センスコイル722、724は二次微分形態(second derivative form)であり、約100%の結合を達成するように構成されている。一実施形態では、コイル722、724が全体に長方形であり、G10ファスナ(fastener)によって適当な位置に保持される。コイル722、724は、二次微分(second derivative)グラジオメータとして機能する。
【0055】
シールド712と金属ケージ708の間に、本明細書において説明されたヘルムホルツコイル726および728を垂直に配置することができる。コイル726および728はそれぞれ、互いに独立に上げ下げすることができる。白色またはガウス雑音発生コイルとも呼ばれるコイル726および728の温度は室温または周囲温度である。コイル726、728によって生成される雑音は約0.10ガウスである。
【0056】
コイル722、724に対して試料ホルダ720を配置しなおすことによって、または試料ホルダ720に対してコイル726、728の一方または両方を配置しなおすことによって、試料からの放出とコイル722、724からの放出との間の結合度を変化させることができる。
【0057】
処理ユニット704は、コイル722、724、726および728に電気的に結合されている。処理ユニット704は、コイル726、728によって試料に注入される白色またはガウス雑音を指定する。処理ユニット104はさらに、試料の電磁放出と注入されたガウス雑音との混合に由来する、コイル722、724の誘導電圧を受け取る。
【0058】
図6を参照すると、本発明の諸態様を使用する処理ユニットは、ファラデー箱844およびヘルムホルツコイル746に試料842を挿入し、ファラデー箱844およびヘルムホルツコイル746から試料842を取り出すことを可能にする試料トレー840を含む。低温デューア850の中に、SQUID/グラジオメータ検出器アセンブリ848が配置されている。SQUID/グラジオメータ検出器アセンブリ848とSQUIDコントローラ854の間に、フラックスロックループ852が結合されている。SQUIDコントローラ854は、Tristan社によって供給されるモデルiMC−303 iMAGマルチチャネルコントローラとすることができる。
【0059】
アナログ雑音発生器856は、(前述の)雑音信号を位相同期ループ858に供給する。位相同期ループ(phase lock loop)のx軸出力は、ヘルムホルツコイル846に供給され、この出力は、例えば20dB減衰させることができる。位相同期ループのy軸出力は信号スプリッタ860によって分割される。y軸出力の一部はSQUIDの雑音消去コイルに入力され、SQUIDは、グラジオメータ用の別個の入力を有する。y軸信号の残りの部分は、Tektronix TDS 3000b(例えばモデル3032b)のような、フーリエ関数を有するアナログ/ディジタルオシロスコープなどのオシロスコープ862に入力される。すなわち、位相同期ループのx軸出力はヘルムホルツコイルを駆動し、(反転された形態の)y軸出力は、SQUIDおよびオシロスコープに入力するために分割される。したがって、位相同期ループは、信号反転器(signal inverter)として機能する。オシロスコープの掃引線(trace)は、アナログ雑音信号を監視して、例えば非定常スペクトル成分を生み出す十分な雑音レベルが達成されたときを判断するために使用される。コントローラ854に結合されたアナログテープレコーダまたは記録装置864は、装置から出力された信号を記録し、レコーダ864は、広帯域(例えば50kHz)レコーダであることが好ましい。PCコントローラ866は、例えばRS232ポートを介してコントローラ854とインタフェースするMS Windows(登録商標)ベースのPCとすることができる。
【0060】
図7には、処理ユニットの他の実施形態のブロック図が示されている。2位相ロックイン増幅器(dual phase lock-in amplifier)202は、第1の信号(例えば「x」または雑音信号)をコイル726、728に提供し、第2の信号(例えば「y」または雑音消去信号)を超伝導量子干渉素子(SQUID)206の雑音消去コイルに提供するように構成されている。増幅器202は、外部参照なしでロックするように構成されており、Perkins Elmerモデル7265DSPロックイン増幅器とすることができる。この増幅器は、増幅器が最初の基準周波数にロックし、次いでその基準周波数を除去して、増幅器が自由に動作し、「雑音」にロックすることを可能にする、「仮想モード」で機能する。
【0061】
アナログ雑音発生器200は増幅器202に電気的に結合されている。発生器200は、増幅器202を介して、コイル726、728に、アナログ白色ガウス雑音を発生させ、または誘導するように構成されている。一例として、発生器200は、General Radio社製のモデル1380とすることができる。
【0062】
SQUID206と増幅器202の間に、インピーダンス変成器204が電気的に結合されている。インピーダンス変成器204は、SQUID206と増幅器202の間のインピーダンス整合を提供するように構成されている。
【0063】
SQUID206の雑音消去機能はオンまたはオフにすることができる。雑音消去機能がオンのとき、SQUID206は、注入された雑音成分を、検出された放出から消去しまたは取り消す能力を有する。雑音消去を提供するため、コイル726、728への第1の信号は、検出しようとしている分子電磁放出よりも20dBまたは35dB高い雑音信号である。このレベルで、注入された雑音は、確率的共振によって、分子電磁信号の特性を帯びる。SQUID206への第2の信号は、雑音消去信号であり、SQUID出力の雑音をゼロにするのに十分な振幅で第1の信号から反転されている(例えば第1の信号に対して180度位相がずれている)。
【0064】
SQUID206は低温直流要素(low temperature direct element)SQUIDである。一例として、SQUID206は、Tristan Technologies,Inc.社製のmodel LSQ/20 LTS dC SQUIDとすることができる。あるいは、高温または交流SQUIDを使用することもできる。コイル722、724(例えばグラジオメータ)とSQUID206の組合せ(集合的にSQUID/グラジオメータ検出器アセンブリと呼ばれる)は、約5マイクロテスラ/√Hzの磁場測定感度を有する。コイル722、724の誘導電圧は、SQUID206によって検出され、増幅される。SQUID206の出力は、約0.2〜0.8マイクロボルトの範囲の電圧である。
【0065】
SQUID206の出力は、SQUIDコントローラ208への入力である。SQUIDコントローラ208は、SQUID206の動作状態を制御し、検出された信号をさらに調節するように構成されている。一例として、SQUIDコントローラ208は、Tristan Technologies,Inc.社製のiMC−303 iMAGマルチチャネルSQUIDコントローラとすることができる。
【0066】
SQUIDコントローラ208の出力は、増幅器210に入力される。増幅器210は、0〜100dBの範囲の利得(gain)を提供するように構成されている。SQUID206の雑音消去ノードがオンのときには、約20dBの利得が提供される。SQUID206が雑音消去を提供していないときには、約50dBの利得が提供される。
【0067】
増幅された信号は、レコーダまたは記憶装置212に入力される。レコーダ212は、増幅されたアナログ信号をディジタル信号に変換し、そのディジタル信号を記憶するように構成されている。一実施形態では、レコーダ212が1Hzあたり8600個のデータ点を記憶し、毎秒2.46Mビットを取り扱うことができる。一例として、レコーダ212は、Sonyディジタルオーディオテープ(DAT)レコーダとすることができる。DATレコーダを使用して、未処理の信号またはデータセットを、所望の表示または特定の処理のために、第三者に送ることができる。
【0068】
低域フィルタ214は、レコーダ212からのディジタル化されたデータセットをフィルタリングする。低域フィルタ214はアナログフィルタであり、バタワース(Butterworth)フィルタとすることができる。カットオフ周波数は約50kHzである。
【0069】
次に帯域フィルタ216が、このフィルタリングされたデータセットをフィルタリングする。帯域フィルタ216は、DCから50kHzの帯域幅を有するディジタルフィルタとして構成されている。帯域フィルタ216は、さまざまな帯域幅用に調整することができる。
【0070】
帯域フィルタ216の出力は、フーリエ変換プロセッサ218への入力である。フーリエ変換プロセッサ218は、時間領域にあるデータセットを周波数領域にあるデータセットに変換するように構成されている。フーリエ変換プロセッサ218は、高速フーリエ変換(FFT)型の変換を実行する。
【0071】
フーリエ変換されたデータセットは、相関/比較プロセッサ220への入力である。レコーダ212の出力も、プロセッサ220への入力である。プロセッサ220は、このデータセットを、以前に記録されたデータセットと相関させ、しきい値を決定し、(SQUID206によって雑音消去が提供されないときには)雑音消去を実行するように構成されている。プロセッサ220の出力は、試料の分子低周波電磁放出のスペクトルを表す最終的なデータセットである。
【0072】
さらに、信号処理パラメータを指定するため、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)などのユーザインタフェース(UI)222を、少なくともフィルタ216およびプロセッサ220に接続することができる。フィルタ216、プロセッサ218およびプロセッサ220は、ハードウェア、ソフトウェアまたはファームウェアとして実装することができる。例えば、フィルタ216およびプロセッサ218は、1つまたは複数の半導体チップ上に実装することができる。プロセッサ220は、コンピューティング装置中に実装されたソフトウェアとすることができる。
【0073】
この増幅器は、増幅器が最初の基準周波数にロックし、次いでその基準周波数を除去して、増幅器が自由に動作し、「雑音」にロックすることを可能にする、「仮想モード」で機能する。アナログ雑音発生器(General Radio社製。真のアナログ雑音発生器)は、ヘルムホルツおよび雑音消去コイルに対してそれぞれ20dBおよび45−dBの減衰を必要とする。
【0074】
ヘルムホルツコイルは、1/100パーセントのバランスで、約1立方インチ(約16.4cm3)のスイートスポット(sweet spot)を有することができる。代替実施形態では、ヘルムホルツコイルが、垂直に移動し、(垂直軸を中心に)回転し、平行な状態からパイ形に広がった状態まで移動する。一実施形態では、SQUID、グラジオメータおよび駆動変成器(コントローラ)がそれぞれ、1.8、1.5および0.3マイクロヘンリーの値を有する。ヘルムホルツコイルは、スイートスポットで、1アンペアあたり0.5ガウスの感度を有することができる。
【0075】
確率的応答のために約10から15マイクロボルトが必要となることがある。雑音を注入することによって、このシステムは、SQUID装置の感度を増大させた。SQUID装置の感度は雑音なしで約5フェムトテスラであった。このシステムは、雑音を注入し、この確率的共振応答を使用することによって、25から35dB、感度を向上させることができた。これは約1,500%の増大に相当する。
【0076】
信号をシステムから受け取り、記録した後に、メインフレームコンピュータ、スーパーコンピュータ、高性能コンピュータなどのコンピュータが前処理と後処理の両方を実行し、前処理には例えば、米カリフォルニア州RichmondのSystat Software社によるAutosignalソフトウェア製品を使用し、後処理はFlexproソフトウェア製品が実行する。Flexproは、Dewetron,Inc社によって供給されるデータ(統計)解析ソフトウェアである。AutosignalおよびFlexpro製品では、以下の式またはオプションを使用することができる。
【0077】
システム100によって実行される信号検出および処理の流れ図が図8に示されている。試料が関心のある試料であるとき、少なくとも4つの信号検出またはデータラン(data run)、すなわち時刻t1の試料なしの第1のデータラン、時刻t2の試料ありの第2のデータラン、時刻t3の試料ありの第3のデータラン、および時刻t4の試料なしの第4のデータランが実行される。2つ以上のデータランからのデータセットを実行し、集めることによって、最終的な(例えば相関させた)データセットの正確さが増大する。これらの4つのデータランにおいては、システム100のパラメータおよび条件(例えば温度、増幅の量、コイルの位置、雑音信号など)が一定に保たれる。
【0078】
ブロック300で、システム100内に適当な試料が置かれる(第1または第4のデータランの場合には試料はなし)。所与の試料は、雑音の注入なしで、DCから50kHzの範囲の電磁放出を、約0.001マイクロテスラ以下の振幅で放出する。このような低い放出を捕獲するため、ブロック301で、白色ガウス雑音が注入される。
【0079】
ブロック302で、コイル722、724は、試料の放出および注入された雑音を表す誘導電圧を検出する。この誘導電圧は、電圧値(振幅および位相)の連続ストリームを、データランの持続期間の時間の関数として含む。データランの長さは2〜20分とすることができ、したがって、そのデータランに対応するデータセットは、2〜20分間の電圧値を、時間の関数として含む。
【0080】
ブロック304で、誘導電圧が検出されている最中に、注入された雑音が消去される。SQUID206の雑音消去機能がオフのとき、このブロックは省略される。
【0081】
ブロック304で雑音消去が実行されたかどうかに応じて、ブロック306で、データセットの電圧値が、20〜50dB増幅される。ブロック308で、この増幅されたデータセットが、アナログ−ディジタル(A/D)変換を受け、レコーダ212に記憶される。ディジタル化されたデータセットは、数100万列のデータを含むことができる。
【0082】
獲得されたデータセットが記憶された後、ブロック310で、その試料に対して少なくとも4つのデータランが実行された(例えば少なくとも4つのデータセットを獲得した)かどうかを見るチェックが実行される。所与の試料に対して4つのデータセットが得られた場合には、ブロック312で、低域フィルタリングが実行される。まだ得られていない場合には、次のデータランが開始される(ブロック300に戻る)。
【0083】
ディジタル化されたデータセットの低域フィルタリング(ブロック312)および帯域フィルタリング(ブロック314)の後、フーリエ変換ブロック316で、データセットは、周波数領域に変換される。
【0084】
次に、ブロック318で、同様のデータセットを、それぞれのデータ点で、互いに相関させる。例えば、第1のデータラン(例えばベースラインまたは周囲雑音データラン)に対応する第1のデータセットと、第4のデータラン(例えば他の雑音データラン)に対応する第4のデータセットとを、互いに相関させる。所与の周波数における第1のデータセットの振幅値が、その所与の周波数における第4のデータセットの振幅値と同じである場合、その所与の周波数に対する相関値または数値は1.0となるだろう。あるいは、相関値の範囲は0〜100の間で設定することもできる。このような相関または比較は、第2および第3のデータラン(例えば試料データラン)に対しても実行される。獲得されたデータセットは記憶されているので、後に残りのデータランが完了したときに、記憶されたデータセットにアクセスすることができる。
【0085】
SQUID206が雑音消去を提供しないときには、統計学的に関連のない相関値を排除するために、相関させたそれぞれのデータセットに、所定のしきいレベルが適用される。データランの長さ(データランが長いほど、獲得されたデータの正確さは大きい)、および他のタイプの試料に対するその試料の実際の放出スペクトルのありそうな類似性に応じて、さまざまなしきい値を使用することができる。しきい値レベルに加えて、相関が平均される。しきい値および相関の平均を使用すると、結果として生じる相関させたデータセット中の注入雑音成分が、非常に小さくなる。
【0086】
SQUAID206で雑音消去が提供される場合、しきい値および相関の平均の使用は必要ない。
【0087】
2つの試料データセットが、相関させた試料データセットにリファイン(refine)され、2つの雑音データセットが、相関させた雑音データセットにリファインされた後、相関させた試料データセットから、相関させた雑音データセットが差し引かれる。その結果得られるデータセットが、最終的なデータセット(例えば試料の放出スペクトルを表すデータセット)である(ブロック320)。
【0088】
1Hzあたり8600個のデータ点がある可能性があり、最終的なデータセットは、DC〜50kHzの周波数範囲のデータ点を有することができるので、最終的なデータセットは、数億列のデータを含むことができる。それぞれのデータ列は、周波数、振幅、位相および相関値を含むことができる。
【0089】
III.最適化された時間領域信号を生成する方法
本発明の一態様によれば、信号記録中に試料に注入された雑音の電力利得である雑音レベル範囲にわたって試料の時間領域信号を記録することによって、所与の試料に対して得られた低周波時間領域信号の試料依存スペクトル特徴を最適化することができることが分かった。次いで、スペクトル信号特徴を明らかにするために、記録された信号が処理され、後述する最適スペクトル特徴スコアを有する時間領域信号が選択される。本発明によれば、化学または生物系を、最適化された時間領域信号で変換すると、最適化されていない時間領域信号で変換するよりもより強くより予測可能な反応が得られることが分かっているため、最適化されたまたはほぼ最適化された時間領域信号の選択は有用である。別の見方をすれば、最適化された(またはほぼ最適化された)時間領域信号を選択することは、標的系が試料信号によって変換されたときに、信頼性の高い検出可能な試料効果を達成するのに有用である。
【0090】
一般に、時間領域信号が記録される注入雑音レベル範囲は一般に約0から1ボルトであり、あるいは、注入される雑音は、検出しようとする分子電磁放出よりも約30から35デシベル高い、例えば70〜80−dbmであることが好ましい。記録される試料の数、すなわち時間領域信号が記録される間の雑音レベル間隔の数は一般に10〜100またはそれ以上とすることができ、いずれにせよ、良好な最適信号を識別できるように十分に小さな間隔で記録される。例えば、雑音発生器レベルの電力利得は、50個の20mV間隔にわたって変化させることができる。後に示すように、信号のスペクトル特徴スコアを注入雑音レベルに対してプロットすると、雑音レベルの増分が適当に小さいとき、そのプロットは、異なるいくつかの雑音レベルにまたがるピークを示す。
【0091】
本発明は、記録された時間領域信号のスペクトル特徴スコアを計算する異なる3つの方法を企図する。これらは、(1)ヒストグラムビン(histogram bin)法、(2)自己相関信号のFFTを生成する方法、および(3)FFTを平均する方法であり、これらのそれぞれの方法は次に詳細に説明される。
【0092】
具体的には説明しないが、これらの方法はそれぞれ、スペクトル特徴スコアの基となるスペクトルをユーザが評価し、次の記録のための雑音レベル調整をユーザが実施し、ピークスコアに達したことをユーザが判定する手動モードで実行することができ、あるいは、雑音レベルの連続増分および/またはスペクトル特徴スコアの評価がコンピュータ駆動のプログラムによって実行される自動または半自動モードで実行することができることを理解されたい。
【0093】
A.スペクトル情報を生成するヒストグラム法
図9は、スペクトル情報を生成するためのヒストグラム法の高レベルデータ流れ図である。SQUIDから獲得されたデータ(ボックス2002)または記憶されたデータ(ボックス2004)は、16ビットWAVデータとして保存され(ボックス2006)、倍精度浮動小数点データに変換される(ボックス2008)。変換されたデータは、保存し(ボックス2010)、または未処理の波形として表示する(ボックス2012)ことができる。変換されたデータは次いで、フーリエ解析と標識されたボックス2014によって示されている、図10に関して後述されるアルゴリズムに渡される。2016でヒストグラムを表示することができる。あるいは、変換されたデータは、後述するように、2つの追加のアルゴリズムの一方に渡される。
【0094】
図10を参照すると、このヒストグラムアルゴリズムの全体的な流れは、サンプリングされた離散時間領域信号を獲得し、この信号を、フーリエ解析を使用して、さらなる解析のために周波数領域スペクトルに変換するというものである。この時間領域信号は、ADC(アナログ/ディジタル変換器)から獲得され、2102に示されたバッファに記憶される。このサンプルの長さはSampleDuration秒であり、このサンプルはSampleRateサンプル毎秒でサンプリングされ、したがってSampleCount(SampleDuration×SampleRate)個のサンプルを提供する。この信号から回復することができる周波数範囲FrequencyRangeは、ナイキストの定理によって定義されるとおり、サンプルレートSampleRateの1/2と定義される。したがって、時系列信号が10,000サンプル毎秒でサンプリングされる場合、FrequencyRangeは0Hzから5kHzである。使用することができる1つのフーリエアルゴリズムは、216までの2の累乗の選択可能な周波数領域分解能(FFTSize)を有する基数2の実高速フーリエ変換(RFFT)である。FrequencyRangeが8kHzを超えない限り1ヘルツあたり少なくとも1つのスペクトルビン(spectrum bin)を有する十分な分解能を提供するように、FFTSizeは8192が選択される。信頼できる結果を保証するため、SampleDurationは、SampleCount>(2×)FFTSize×10となるように十分に長くなければならない。
【0095】
このFFTは、一度にFFTSize個のサンプルにしか作用できないため、このプログラムは、サンプルに対して順番にFFTを実行し、それらの結果を一緒に平均して、最終的なスペクトルを得なければならない。FFTのたびにFFTSize個のサンプルをスキップすることを選択した場合には、統計誤差1/FFTSize0.5が導入される。しかし、FFT入力を1/2FFTSizeだけ重ねることを選択した場合、この誤差は、1/(0.81×2×FFTSize)0.5まで低減される。これによって、誤差は、0.0110485435から0.0086805556まで低減する。誤差および相関解析全般についての追加情報は、非特許文献1を参照されたい。
【0096】
所与のウインドウ(window)にFFTを実行する前に、サンプリングエイリアシング(aliasing)に起因するスペクトル漏れを回避するために、データテーパリング(tapering)フィルタを適用することができる。このフィルタは、例えばRectangular(フィルタなし)、Hamming、Hanning、Bartlett、BlackmanおよびBlackman/Harrisの中から選択することができる。
【0097】
例示的な1つの方法では、ボックス2104に示されているように、変数FFTSizeに対して8192を選択した。これは、一度に演算される時間領域サンプルの数およびFFTによって出力される離散周波数の数である。FFTSize=8192は、分解能、またはサンプリングレートによって決定される範囲中のビンの数であることに留意されたい。実行される離散RFFT(実FFT)の回数を決定する変数nは、SampleCountを、FFTビンの数FFTSize×2で割ることによって設定される。このアルゴリズムが敏感な結果を生成するためには、この数nが、少なくとも10から20でなければならず(ただし他の値も可能である)、より弱い信号を拾い上げるためにより大きいことが好ましいこともある。これは、所与のSampleRateおよびFFTSizeに対して、SampleDurationは十分に長くなければならないことを意味する。やはりボックス2104に示されているように、0からnまでカウントするカウンタmの初期設定はゼロである。
【0098】
このプログラムは最初に3つのバッファ、すなわちビン周波数ごとにカウントを蓄積するFFTSizeヒストグラムビンのためのバッファ2108、それぞれのビン周波数の平均パワー(average power)のためのバッファ2110、およびそれぞれのmに対してFFTSize個のコピーされた試料を含むバッファ2112を確立する。
【0099】
このプログラムは、ヒストグラムおよびアレイを初期化し(ボックス2113)、2114で、waveデータのFFTSize個の試料をバッファ2112にコピーし、waveデータにRFFTを実行する(ボックス2115)。FFTは、最大振幅が1になるように正規化され(ボックス2116)、この正規化された信号から、FFTSize個の全てのビンに対する平均パワーが決定される(ボックス2117)。ビン周波数ごとに、その周波数のFFTの正規化された値が、バッファ2108の中のそれぞれのビンに追加される(ボックス2118)。
【0100】
このプログラムは次いで、ボックス2119で、それぞれのビン周波数のパワーを、上で計算された平均パワーと比較する。そのパワーが、平均パワーのイプシロン(0から1)倍の範囲内にある場合、そのパワーがカウントされ、ヒストグラムバッファ内の対応するビンが16増分される。そうでなければそのパワーは破棄される。
【0101】
それが比較している平均パワーは、このFFT事例だけに対するものであることに留意されたい。低速とはいえ強化されたアルゴリズムは、そのデータを通して2つのパスをとり、ヒストグラムレベルをセットする前に、全ての時間にわたって平均を計算するかもしれない。イプシロンとの比較は、1つの周波数ビンに対して十分に有意なパワー値を表すのを助ける。または、より広く言えば、イプシロンを使用したこの式は、「この時、この周波数に信号があるか?」という質問に答えるのに役立つ。答えがイエスの場合、その信号は、2つのうちの1つである:(1)まさにこのときにこのビンにある定常雑音、または(2)ほぼ毎回起こる実際の低レベル周期信号。したがって、ヒストグラムカウントは、雑音ヒットを除去し、低レベル信号ヒットを強化する。そのため、平均算出およびイプシロン係数は、有意と考えられる最も小さなパワーレベルを選択することを可能にする。
【0102】
ボックス2120で、カウンタmが増分され、n個のそれぞれのWAVデータセットに対して上記のプロセスが、mがnに等しくなるまで(ボックス2121)反復される。2118で、サイクルごとに、それぞれのビンの平均パワーが関連するビンに追加され、2114のパワー振幅条件が満たされたときに、それぞれのヒストグラムビンが1増分される。
【0103】
全てのn個のデータサイクルが検討されたとき、それぞれのビンの累算された合計平均パワーを、総サイクル数nで割ることによって、それぞれのビンの平均パワーが決定され(ボックス2122)、結果が表示される(ボックス2123)。構造化雑音が存在する場合を除き、例えばDC=0または60Hzの倍数で、それぞれのビンの平均パワーは比較的に低い数である。
【0104】
この方法の関連設定は、雑音利得およびイプシロンの値である。この値は、平均値を超える事象を区別するために使用されるパワー値を決定する。値1で、事象は検出されない。なぜなら、パワーが平均パワーよりも大きいことはないからである。イプシロンが0に近づくにつれて、事実上すべての値がビンに置かれる。0と1の間で、一般に構造化雑音に対する合計ビンカウントの約20〜50%のビンカウント数を与える値で、イプシロンは、確率的共振事象が純粋な雑音よりも最も好ましいことを意味する最大「スペクトルキャラクタ(character)」を有する。
【0105】
したがって、雑音入力に対する電力利得を系統的に、例えば0から1Vの間の50mV刻みで増大させることができ、それぞれのパワー設定で、明確なピークを有するヒストグラムが観察されるまでイプシロンを調整することができる。例えば、処理中のサンプルが20秒の時間間隔を表す場合、それぞれの異なるパワーおよびイプシロンに対する合計処理時間は約25秒である。明確な信号が観察されたら、識別可能なピークを最も多く有するヒストグラムを意味する最適ヒストグラムが生み出されるまで、パワー設定またはイプシロンあるいはその両方をリファインすることができる。
【0106】
このアルゴリズム下で、多数のビンを満たすことができ、関連ヒストグラムを、低周波数に対して、それらの低周波数での雑音発生全般(環境雑音など)によって、レンダリング(render)することができる。したがって、このシステムは単純に、所与の周波数よりも低い(例えば1kHzよりも低い)ビンを無視することができるが、依然として、より高い周波数で十分なビン値をレンダリングして、サンプル間の一意的な信号シグネチャ(signature)を決定することができる。
【0107】
あるいは、変数イプシロンの目的は、それぞれのサイクルにおいて決定されるさまざまな平均パワーレベルに対応することなので、このプログラムは、平均パワーレベルをイプシロンの最適値に関係づける定義済みの関数を使用して、イプシロンを自動的に調整することができる。
【0108】
同様に、このプログラムは、それぞれのパワー設定におけるピーク高さを比較することができ、最適ピーク高さまたはキャラクタがヒストグラムで観察されるまで、雑音パワー設定を自動的に調整することができる。
【0109】
イプシロンの値は全ての周波数に対して固定値とすることができるが、より高い値に対して、低周波数、例えばDCから1,000で観察される平均エネルギーを調整するため、周波数に依存するイプシロン値を使用することも企図される。周波数依存イプシロン係数は、例えば、多数の低周波FFT領域を平均し、平均値を、より高い周波数で観察される値に匹敵する値に「調整する」イプシロンの値を求めることによって決定することができる。
【0110】
B.自己相関信号のFFT
スペクトル特徴スコアを決定する第2の一般法では、選択された雑音で記録された時間領域信号を自己相関させ、この自己相関させた信号の高速フーリエ変換(FFT)を使用して、スペクトル特徴プロット、すなわち周波数領域の信号プロットを生成する。次いでこのFFTを使用して、選択された周波数範囲、例えばDCから1kHzまたはDCから8kHzにわたって、平均雑音レベルよりも高いスペクトル信号の数を採点する。
【0111】
図11は、記録された時間領域信号をこの第2の実施形態に従って採点する際に実行されるステップの流れ図である。時間領域信号は前述のとおりにサンプリング、ディジタル化、フィルタリングされ(ボックス402)、404で、その雑音レベルに対する利得が初期レベルに設定される。408で、サンプル成分に対する一般的な時間領域信号402が、標準自己相関アルゴリズムを使用して自己相関され、410で、標準FFTアルゴリズムを使用して、自己相関させた関数のFFTが生成される。
【0112】
412で、自己相関させたFFTにおいて観察された平均雑音よりも統計学的に大きなスペクトルピークの数をカウントすることによって、FFTプロットが採点され、414でスコアが計算される。このプロセスは、ステップ416および406を経て、ピークスコアが記録されるまで、すなわち雑音利得の増大に伴って所与の信号に対するスコアが低下し始めるまで反復される。418で、ピークスコアが記録され、プログラムまたはユーザが、422の時間領域信号のファイルから、ピークスコアに対応する信号を選択する(ボックス420)。
【0113】
上記のとおり、この実施形態は、ユーザが雑音設定の増分を手動で調整し、FFTスペクトルプロットを手動で解析し(ピークをカウントし)、このピークスコアを使用して1つまたは複数の最適時間領域信号を識別する手動モードで実施することができる。あるいは、ステップの1つまたは複数の態様を自動化することもできる。
【0114】
C.平均FFT
スペクトルピークスコアを決定するための他の実施形態では、スペクトルピークプロットを生み出すために、雑音利得ごとに多数の、例えば10〜20個の時間領域信号のFFTが平均され、上記のとおりにスコアが計算される。
【0115】
図12は、記録された時間領域信号をこの第3の実施形態に従って採点する際に実施されるステップの流れ図である。時間領域信号は前述のとおりにサンプリング、ディジタル化、フィルタリングされ(ボックス424)、426で、その雑音レベルに対する利得が初期レベルに設定される。プログラムは次いで、428で、雑音利得ごとに時間領域信号の一連のFFTを生成し、430で、これらのプロットが平均される。平均されたFFTプロットを使用して、432、434で、平均されたFFTにおいて観察された平均雑音よりも統計学的に大きなスペクトルピークの数をカウントすることによって、採点が実行される。このプロセスは、436および437の論理を経て、ピークスコアが記録されるまで、すなわち雑音利得の増大に伴って所与の信号に対するスコアが低下し始めるまで反復される。438で、ピークスコアが記録され、プログラムまたはユーザが、442の時間領域信号のファイルから、ピークスコアに対応する信号を選択する(ボックス440)。
【0116】
上記のとおり、この方法は、手動、半自動または全自動モードで実行することができる。
【0117】
IV.変換信号の形成
さまざまな治療に使用するための信号、または別の方法で生物系に影響を及ぼすために使用する信号を、処理された時間領域信号から直接に生成することができる。信号はさらに、識別された特定のピーク周波数を有する信号を構築することによって形成することができる。例えば、このシステムは、化合物の分子信号特徴、例えば特性ピーク周波数がその化合物の実際の化学活性に関係づけられた、従来のドラッグデザイン(drug design)において使用される構造−活性関係に類似の「信号−活性関係」を利用することができる。一般的な一応用では、信号−活性関係が、薬物スクリーニングに使用され、一例では以下の方法に従って使用される。
【0118】
最初に、所望の活性を有する1つまたは複数の化合物、例えば生物系に所望の反応を生じさせる能力を有する1つまたは複数の化合物を識別する。システムは、これらの化合物のうちの1つの時系列信号を記録し、波形が処理され、または他の方法で最適化されて、その化合物の低周波ピークを識別する(この場合「低周波」は10kHz以下のピークを指す)。構造上同類の一群の化合物のそれぞれの化合物に対してこれらのステップを繰り返す。構造上同類の化合物には、試験された生物反応に対して活性な(所望の反応を生じさせる)化合物、および試験された生物反応に対して不活性な化合物が含まれる。これらの2群の化合物のスペクトル成分を比較して、化合物活性に一意的に関連したスペクトル成分を識別する。例えば、3つの活性化合物および2つの不活性化合物の波形を解析することによって、活性化合物には見られるが、不活性化合物には見られない信号中のピークを識別することができ、そのうちのいくつかは、所望の生物反応を提供すると推定される。
【0119】
同様に、このシステムは、未知の化合物を記録し、最適化することができる。次いで、結果として生じた波形を、既知の化合物に関連づけられた信号を用いて解析して、活性化合物の識別を助けるために、その未知の化合物が、所望の活性に関連した構造特徴を示し、不活性成分に関連した成分を欠くかどうかを見ることができる。多数の構造変数とではなく、比較的に少数のピーク周波数と活性を相関させることができるため、信号−構造関係から導き出されるルール(rule)は、構造−活性関係から導き出されるルールよりも利用しやすく、予測に役立つ。したがって、ドラッグデザインにおける使用では、あるいくつかのピーク周波数の有無を使用して、改良された薬物動態または標的活性を有する薬物の合成を手引きすることができる。例えば、劣等な薬物動態特性、または望ましくない副作用を、あるピーク周波数と相関させることができる場合、これらの周波数において振幅を欠きまたは低い振幅を有する新規の化合物が提案されるであろう。その結果、本発明のシステムは、有用なドラッグデザインルールを策定する作業を大幅に単純化する。なぜなら、これらのルールは、比較的に少数のピーク周波数に基づくからである。
【0120】
多数の化合物を表すスペクトルピーク周波数の大きなデータベースは、事実上任意の所望の薬物または薬物組合せ特性を「合成する」ために、信号特徴を組み合わせることを可能にする。このデータベースを化学化合物データベースと組み合わせることによって、所望のピーク周波数セットを示す化学構造を生成することができる。この方法は、関心の新規の化合物の化合物合成を生成するために使用される現行のコンピュータ支援の化学合成プログラムに似ている。
【0121】
このシステムは、本明細書に記載された多数の信号処理技法を使用することができる。例えば、構造上同類の2つ以上の化合物からの信号を、構造上同類だが不活性の化合物または構造上同類だが望ましくない化合物からの1つまたは複数の信号と比較して、それらの信号間で所望の周波数成分だけを識別することができる。したがって、所望のピークだけを含む信号を構築することができる。次いで時間領域信号を生成することによって、その時間領域信号を治療目的に使用することができる。
【0122】
もちろん、単一の化合物の処理された周波数領域信号から、時間領域信号を生成することができる。例えば、所望の試料の周波数領域信号を獲得し、処理された所望の信号を生成することができる。この処理された信号から、周知の技法を使用して、時間領域信号を生成することができ、次いでこの時間領域信号を、その化合物自体の類似物として、治療または他の用途に使用することができる。
【0123】
図15Aに、試料化合物の典型的な時間領域信号、このケースでは除草剤グリホスファート(glyphosphate)(Roundup(登録商標))を示す。この図に示された部分は、14.08から14.16秒の時間間隔でとられたものである。次いで、標準自己相関アルゴリズムを使用してこの時間領域信号を自己相関させ、標準FFTアルゴリズムを使用して、その自己相関関数のFFTを生成する。
【0124】
例えば図15B〜15Eに示すプロットなどのFFTプロットを使用し、この自己相関FFTにおいて観察される平均雑音よりも統計的に大きなスペクトルピークの数を計数することによって、そのプロットのスコアがとられる。このプロセスは、ピークスコアが記録されるまで、すなわち、所与の信号に対するスコアが、雑音利得の増大とともに下落し始めるまで、繰り返される。このピークスコアは記録され、プログラムまたはユーザは、時間領域信号のファイルから、このピークスコアに対応する信号を選択する。
【0125】
図15B〜15Eの一連の自己相関FFTプロットは、この方法に含まれる信号解析を例示する。雑音レベル70.9−dbm(図15B)では、背景雑音よりも高いピークが非常に少ししか観察されない(最も高いスパイクは60サイクル雑音を表す)。最適雑音レベル74.8−dbm(図15Cおよび15D。これらは同じ雑音レベルでの異なる記録を表す)では、DC〜8kHzの周波数範囲の全体を通じて、平均雑音よりも統計的に大きな多数のピークが観察される。より高い雑音利得78.3−dbm(図15E)では、これらのピークのいくつかが小さくなり、または消失した。
【0126】
図15Fに示すように、これらの信号に対するスペクトル特徴スコアを、雑音設定の関数としてプロットすると、雑音設定約75−dbmにピークスコアが観察される。このプロットから、1つまたはそのピークスコアに対応する時間領域信号が選択される。
【0127】
V.変換装置およびプロトコル
このセクションでは、本発明の諸態様に従って形成された信号で試料を変換するための機器および方法を説明し、本発明の時間領域信号に対するさまざまな生物系の反応を証明する実験の概要を示す。前述の方法に従って形成された最適化された時間領域信号である、これらの実験において使用された信号は、さまざまな生物系に化合物固有反応を生じさせる本発明に基づく信号の能力を証明する。
【0128】
図13に、作用因子固有信号で試料を変換するための本発明に基づく機器のレイアウトを示す。この特定のレイアウトは、変換コイルの中に保持され、電磁信号に暴露される3つの試料444、446および448、制御(control)の役目を果たす試料450、ならびに化学誘導制御(chemical-induction control)の役目を果たす試料452を含む、5つの異なる試料を収容することができる。図13のシステムを実験に使用することができ、患者を治療するために使用する場合には、448、450、452などのいくつかの要素を省略することができる。
【0129】
最適化された作用因子固有信号がCD上に記録されており、前置増幅器456および可聴周波増幅器458を通してCDプレーヤ454上で再生される場合、作用因子固有信号による変換は、最適化された作用因子固有信号を試料に「再生(play)」することによって実行することができる。この信号は、図示のように別個のチャネルを通して、電磁コイル444および446に供給される。一実施形態では、Sony Model CDP CE375 CDプレーヤが使用される。プレーヤのチャネル1は、Adcom Pre Amplifier Model GFP 750のCD入力1に接続される。チャネル2は、Adcom Pre Amplifier Model GFP 750のCD入力2に接続される。CDは、それぞれのチャネルからの同一の信号を再生するように記録されている。あるいはCDは、それぞれのチャネルから異なる信号を再生するように記録されている。試料448のコイルは主に、実験の対照として白色雑音場を生み出すために使用される。例えば、GRアナログ雑音発生器が、このコイルの白色ガウス雑音源を提供する。あるいは、このコイルを使用して、予め録音された任意の変換信号を第2のCrown増幅器を介して再生することができる。
【0130】
図14に、図13の試料444、446および448のうちの任意の1つの試料によって表されているものなどの試料変換機器466を示す。この機器は、電磁石470と、室内の条件、例えば温度を監視するためのさまざまなプローブとを収容した室468を含む。この電磁石はベース474の上に位置し、従来通り、強磁性環状心およびワイヤ巻線を含む。
【0131】
一実施形態ではこれらのコイルが、コイル間で性能が均一になるようにAmerican Magnetics社によって設計され製造されたコイルである。それぞれのコイルは、2インチ(5.08cm)空心の周りに416回巻かれたエナメルコーティングされた#8ゲージ(awg)正方形銅マグネットワイヤからなる。それぞれのコイルは、10ボルトRMS、10アンペアRMS、11ヘルツで、15℃を超える温度上昇なく、その中心において約1500ガウスを生み出すことができる。
【0132】
動作時、コイル間の中央に試料、例えば人間の患者または患者の体の一部が置かれる。したがって、例えば、コイルを支持ベッドの両方の端部または両方の側面に置くことができ、患者の頭部の両側に置くことができる。このコイルは次いで、図13に示されているような信号発生機器を使用して、所定の治療期間の間、例えば1時間から数時間、活動化される。
【0133】
図16に、本発明のシステムの下で信号を生み出し適用するためのプロセスの一例を示す。ブロック3102の下で、システムは、前述の方法で、1つまたは複数の試料から時間領域信号を受け取り、記録する。ブロック3104の下で、システムは周波数領域信号を生成し、次いでその信号を処理して、所望の周波数成分を非所望成分から分離する。ブロック3106の下で、処理された周波数領域信号が再び時間領域信号に変換される。次いで、ブロック3108の下でこの時間領域信号を、所望の結果を生み出すために生物系に適用することができる。
【0134】
図18を参照すると、波形を変更するための方法3300は、ブロック3302から開始され、そこでユーザは出発波形を得る。例えば、ユーザは、標準ユーザインタフェース技法を使用して、所望の波形を選択し、それをデータ記憶装置から取り出す。あるいは、ユーザは、試料の「ライブ(live)」問合せ中に信号を得てもよい。
【0135】
ブロック3304で、ユーザは、出発波形を他の波形と組み合わせることができ、組み合わせたい場合には、ユーザは、ブロック3306の下で、他の波形を取り出す。当然ながら、希望する場合には、ユーザは、単純に出発波形を変更することができる。
【0136】
ブロック3308の下で、ユーザは、さまざまな技法のうちの任意の技法を使用して出発波形を変更する。図19Cに、ユーザが単純に、マウスなどの標準ユーザインタフェース技法を使用して、ポインタ3404を操作し、表示装置上に表示された出発波形の1つまたは複数の周波数ピークを減衰させる(または増幅する)ことができる一例を示す。例えば、ユーザは単純に、波形の表示された部分のピーク3402をクリックし、マウスを使用してそのピークを下へドラッグして、その大きさを、図19Dに示されているように減衰させることができる。
【0137】
他の多くの技法を使用することができる。ユーザは単純に波形の一部分を選択し、それを切り取りまたはコピーし、次いでそれを、出発波形に貼り付けることができる。例えば、図19Aを参照すると、ユーザは、波形の一部分の周りでカーソルを移動させて、その波形のその部分を選択することができる(破線のボックス3406として示されている)。選択した後、ユーザは、波形からその部分を切り取るなど、いくつかあるメニュー選択肢の1つを選択することができる。あるいは、選択した後、ユーザは、例えばそれを平らな線に置き換えることによって波形のその部分を変更し、またはその部分を減衰させ、またはその部分を増幅し、または他のさまざまな信号処理技法を実行することができる。
【0138】
このシステムは、希望に応じてユーザが挿入または使用することができる波形のライブラリを使用することができる。ユーザは、信号の一部分を選択し、その部分の全てのピークを除去し、それによってその波形中の雑音または望ましくない周波数成分を排除することができる。例えば、図19Bに、ライブラリに記憶しておくことができる波形またはフィルタ信号3408の一例を示す。信号3408を図19Aの波形に適用することによって、このシステムは、図19Cに示された処理された波形を提供する。
【0139】
このシステムは、ブロック3308の下で、さまざまな数学的技法を使用して、出発波形を変更することができる。例えば、さまざまな数学的技法を使用して、出発波形を、ブロック3306の下で取り出された1つまたは複数の波形と組み合わせることができる。このような数学的操作の例には、加算、減算、乗算、畳込み、相互相関、他の波形の線形または非線形関数としての出発波形(SW)のスケーリング(scaling)などがある。
【0140】
ブロック3310の下で、ルーチン3300は、出発波形をさらに変更したいかどうかについてユーザに問い合わせる。さらに変更したい場合、ルーチンは元に戻り、ブロック3304から3308の下で再び実行する。そうでない場合には、ブロック3312で、ユーザは、その結果得られた波形を記憶することができる。次いで、記憶された波形を、他の出発波形の将来の変更に使用し、または治療効果のために使用し、あるいは本発明に記載されたさまざまな他の理由で使用することができる。
【0141】
以下は、時系列の波形または波形セットを整形する追加の技法のいくつかの例である。
【0142】
受動フィルタ:単純な電子フィルタは、抵抗器、インダクタおよびコンデンサの組合せ(あるいはそれらの論理またはプログラム表現)に基づく。これらのフィルタを使用して、記録前、処理前または変換前に、波形を整形することができる。既存のさまざまなソフトウェアパッケージまたはルーチンは、ユーザが、これらの応答電子フィルタをモデル化することを可能にする。本発明のシステムの下で、このようなソフトウェアルーチンを使用し、このような電子フィルタのソフトウェアモデル化バージョンを使用して、周波数領域波形をフィルタリングすることができる。
【0143】
能動フィルタ:能動フィルタを生み出すために、受動素子と増幅器の組合せを使用して、ハードウェアまたはソフトウェアフィルタを実現することもできる。これらのフィルタは高いQを有することができ、インダクタを使用せずに共振を達成することができる。受動フィルタと同様に、能動フィルタの応答をモデル化するためのソフトウェアアプリケーションまたはルーチンが存在し、このようなルーチンを使用し、1つまたは複数の能動フィルタモデルを使用して、波形を変更することができる。本発明のシステムは、既存の同様のソフトウェアルーチンを使用し、これらのフィルタを用いて、後に説明する処理および整形を実現することができる。
【0144】
ディジタルフィルタ:ディジタルフィルタは、通常はディジタル電子計算を介して実現される、離散時間の、電子フィルタ(通常は線形フィルタ)である。ディジタルフィルタは一般に、有限インパルス応答(FIR)または無限インパルス応答(IIR)フィルタであるが、トランケート(truncated)無限インパルス応答(TIIR)フィルタとして知られ、IIR構成要素から作られているにもかかわらず有限インパルス応答を示すハイブリッド型のフィルタなど、他のフィルタもある。
【0145】
ディジタル信号処理:(例えばコンピュータプログラムとして実行される)ディジタル信号処理は、例えばタップ付き遅延線を有する櫛形フィルタをシミュレートすることができる。そのプログラムは、タップ付き遅延線の櫛をシミュレートする間隔で、その信号を表すディジタル値列から数値を選択する。これらの数値には定数が乗じられ、互いに加算されて、フィルタの出力を作る。DSPは、複数の通過帯域または複数のバンドギャップを可能にし、本質的に、選択された周波数セットだけが出力段に入ることを可能にする。
【0146】
波形整形:(例えば)全波整流器またはパルス幅変調を使用して、その立上り時間、持続時間および減衰時間を変更することによって、または他の方法で正弦波からまたは正弦波に信号を変更することによって、波形を整形する多くの周知の方法が存在する。
【0147】
本明細書に記載された機器は全て、さまざまな用途のためのより大きなサイズまたは強度あるいはより小さなサイズまたは強度のシステムを生み出すためにスケーリングすることができる。例えば、人間の患者を治療するために使用されるシステムの場合には、患者に導かれる電磁波を生成するためのコイルを有するシステムを構築することができる。一例では、その中に円形または正方形のヘルムホルツコイルが埋め込まれたベッドが、処理された周波数領域信号から生み出された時間領域信号を受け取る。患者は次いで、例えばその信号が生成される基となった化合物を摂取することによって得られるであろう所望の生物効果を生じさせる電磁波を受け取る。
【0148】
より目標を絞って電磁波を患者に適用するシステムももちろん可能である。例えば、小さな装置(例えばヘルメットまたはハンドヘルドワンド(handheld wand))の中に、1つまたは複数のコイルを配置することができる。この出力装置は、前述のとおりに所望の周波数領域信号から生み出された時間領域信号を受け取る。結果として生じる電磁波を、出力装置を介して患者の体の特定の部分に導いて、患者の限局された部分に所望の効果を生じさせることができる。
【0149】
図17にこのような信号出力装置の一例を示す。データベース3202は、1つまたは複数の化合物または試料からの信号を記憶している。あるいは、信号は、前述のとおりに生成された未処理の周波数領域信号または時間領域信号とすることができる。コンピュータ3204は、その(1つまたは複数の)信号を取り出し、それを信号発生器3206に提供する。例えば、コンピュータは、特定の化合物から生み出された処理された周波数領域信号から生成された所望の時間領域信号を取り出す。コンピュータは次いで、その時間領域信号を信号発生器3206に提供して、その信号を単純に増幅する。あるいは、コンピュータが処理された周波数領域信号を取り出し、信号発生器が、その周波数領域信号を時間領域信号に変換する。信号発生器3206から出力された信号は、信号モディファイヤ(modifier)3208によって変更することができる。信号モディファイヤは、追加の増幅、フィルタリングなどを実行することができる。代替実施形態では、コンピュータ3204が必要な信号生成及び変更を実行し、したがって信号発生器3206および信号モディファイヤ3208のための別個の回路を省略することができる。あるいは、信号発生器3206または信号モディファイヤ3208を排除することができる。
【0150】
信号出力装置3210はこの信号を受け取り、患者3212に適用する。前述のとおり、信号出力装置は、電磁波を出力するための1つまたは複数のコイルがその中に埋め込まれた患者ベッドとすることができる。あるいは、信号出力装置3210を、小さなハンドヘルド装置、ウェアラブル装置(コイルを含む衣料品など)等とすることもできる。
【0151】
検出器702は試料200から信号を得、その信号は、処理ユニット704によって処理されて、.wavファイルなどのディジタルファイル1501が生成される。次いでそのファイルを記憶媒体1502に記憶し、リモートコンピュータまたは他の装置に配布しまたは移送することができる。信号またはデータファイルを移送するのには、前述の任意の記憶媒体を使用することができる。
【0152】
本発明の諸態様は、汎用コンピュータ、例えばサーバコンピュータ、ワイヤレス装置またはパーソナルコンピュータによって実行されるルーチンなどのコンピュータ実行可能命令として実現することができる。本発明は、インターネット機器、(パーソナルディジタルアシスタント(PDA)を含む)ハンドヘルド装置、ウェアラブルコンピュータ、あらゆる種類の携帯または移動電話、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースの家電またはプログラマブル家電、セットトップボックス、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む、他の通信、データ処理またはコンピュータシステム構成を用いて実施することもできることを当業者は理解されたい。実際に、用語「コンピュータ」、「コンピューティング装置」および同様の用語は、本明細書では一般に、相互に交換可能に使用され、上記の任意の装置およびシステム、ならびに任意のデータプロセッサを指す。
【0153】
本発明の諸態様は、本明細書の中で詳細に説明される1つまたは複数のコンピュータ実行可能命令を実行するように特にプログラムされ、構成されまたは構築された専用コンピュータまたはデータプロセッサで具体化することができる。本発明の諸態様はさらに、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、またはインターネットなどの通信ネットワークによってリンクされた遠隔処理装置によってタスクまたはモジュールが実行される、分散コンピューティング環境で実現することができる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールを、局所記憶装置と遠隔記憶装置の両方に配置することができる。
【0154】
データファイルなどの本発明の諸態様は、磁気によってまたは光学的に可読のコンピュータディスク、ハードワイヤードチップまたは事前にプログラムされたチップ(例えばEEPROM半導体チップ)、ナノテクノロジーメモリ、生物メモリあるいは他のデータ記憶媒体を含むコンピュータ可読媒体上に記憶し、または分散させることができる。実際に、コンピュータ実装命令、データ構造、画面表示、wave/信号ファイル、および本発明の諸態様の下にあるその他のデータを、ある時間の間、インターネットまたは(無線ネットワークを含む)他のネットワークを介して、伝搬媒質(例えば電磁波、音波など)上の被伝搬信号上に分散させることができ、または、これらを、任意のアナログまたはディジタルネットワーク(パケット交換、回線交換または他のスキーム)上に供給することができる。
【0155】
あるいは、信号収集/処理/伝送システム1500内の伝送器1504が、そのファイルを、適当なケーブルまたはワイヤによって、あるいは無線で、ネットワーク1506(例えばインターネット)に伝送する。次いでそのファイルを(やはり有線または無線で)コンピュータ1512に伝送することができる。
【0156】
このファイルを、変換器−受信器1508などの遠隔位置へ、ネットワークを介して伝送することができる。例えば、衛星ネットワーク1510を使用して、変換器−受信器1508にファイルを伝送することができる。
【0157】
変換器−受信器1508は、ファイルを受け取る標準受信器とすることができ、そのファイルを適用電磁信号として変換する変換器を含む。一実施形態では、埋込み変換器−受信器が、患者、体または構造に埋め込まれる。変換器−受信器1508の受信器構成要素が無線受信器である場合、この変換器/受信器は、ネットワーク(または衛星)を介して無線でファイルを受け取ることができる。代替実施形態では、携帯電話または移動装置1514が、ネットワークからファイルを受け取り、それを、Bluetoothなどの短距離無線プロトコル、IEEE802.11プロトコルを含む周知かつ任意の無線プロトコルによって、変換器−受信器へ中継する。
【0158】
変換器−受信器1508と同様の変換器−トランシーバ1516は、センサ1518を有する。したがって、変換器−トランシーバ1516は、同様に、伝送されたファイル1501を受け取り、それを変換し、または生物系に適用するだけでなく、センサ1518からデータを取得し、そのデータを(例えばネットワークを介して)システム1500に送信する。
【0159】
図21によれば、装置に電力を供給するための電源1530を含む、変換器−受信器1508および変換器−トランシーバ1516の一例が提供されている。受信器−トランシーバ1532は、有線または無線でファイル1501を受け取り、次いでこのファイルを変換し、または変換器1534を介して被検者または試料に適用することができる。ファイルは、増幅器1536によって増幅することができ、かつ/または、プロセッサ1538によって処理することができる。メモリ1540は、このファイルを記憶し、あるいは任意選択の1つまたは複数のセンサ1518から得られたデータを記憶することができる。
【0160】
図22および23に、本発明の諸態様において使用するのに適した変換コイルを示す。図22の変換器494は、例えば長さ数フィートまでの長いソレノイドである。ソレノイドの内部の場はソレノイドの軸に平行であり、ソレノイド内で一定であり、ソレノイドの外側ではゼロになる(無限長ソレノイドの近似)。この有限長コイルは、その中心付近においてのみ実質的に均一な場を有する。したがって、試料または被検者をこのコイルの中心に置くことによって、データファイル1501またはMIDS信号によってコイルに通電されたときに、その試料のところに実質的に均一な磁場が生み出される。
【0161】
図23のソレノイド496の追加の巻500などの追加の巻をソレノイドに追加することによって、コイルの両端に追加の磁場強度を追加して、その両端のコイルの磁場の低下を補償することができる。
【0162】
両方の実施形態または追加の実施形態では、この変換コイルを、コイルの両端に取り付けられた電極によって、または(システム1508、1516のような)埋込み可能なシステムによって、または患者の胸部の体表の近くに電磁石が置かれ、埋め込まれたコイルに信号が誘導的に伝送される遠隔誘導システムによって変換信号を受け取る能力を有する血管ステントコイルなどの埋込み可能な小さな強磁性コイルとすることができる。
【0163】
前述のとおり、このシステムは、確率的共振実験において得られたサウンドファイルを入力として利用し、その内容(content)正弦曲線の周波数、振幅および位相を出力する。このシステムは、「peakfinder」と呼ばれるソフトウェアルーチンを使用することができ、このルーチンは、ともに現在サポートされているオープンソースのソフトウェアプラットホームであるOctave、Pdなどの他のソフトウェアパッケージを使用することができる。
【0164】
さらに、2つの環境変数、すなわち一時ディレクトリを指定するPF_TMPおよびpeakfinderフォルダの位置を指定するPF_BASEを使用することができる。PF_BASEが供給されない場合、peakfinder.shスクリプトは、それ自体の呼出しによってそれを推論しようとする(絶対パス名として呼び出されると仮定する)。入力ファイルは、標準サンプルレート44100と仮定されるステレオサウンドファイルである。ファイルフォーマットは、16、24または32ビットサンプルフレームの「wav」、「au」または「aiff」とすることができる。出力ファイルは、1つの正弦曲線を指定するASCIIファイルである。例えば:
【0165】
【表1】

【0166】
上表で、第1のフィールドは、後に説明する基本解析周波数を単位にして表した周波数、第2のフィールドは、ヘルツで表された周波数、第3のフィールドは、入力サウンドファイルネイティブ(native)単位で表した正弦曲線のピーク絶対値、第4および第5のフィールドは、複素振幅の実数部および虚数部である、正弦曲線の余弦および正弦成分の振幅である。もちろん、実数および虚数成分から絶対値を推論することができる。第1のフィールドは物理的意味を持たず、デバッグ目的に使用される。
【0167】
白色雑音の単一の正弦曲線の振幅および周波数を決定する1つの技法は、複数の正弦曲線に拡張された最大尤度(ML)法である。この方法は、正弦曲線の数が予め分かっていると仮定する。予め定められていない数の正弦曲線を見つける問題は、数学的に取り扱うことがより難しいが、問題の正弦曲線が周波数において十分に分離されていると仮定すると、取り扱うことができる。さらに、正弦曲線の存在の有無を識別するための方法が必要である。
【0168】
以下の解析は、白色雑音の単一の正弦曲線を考えることから出発し、複数正弦曲線および非白色(例えば桃色)雑音の問題へ進む。下記の測定された信号が与えられると、
x[n],n=0,...,N、
(離散時間)非正規化フーリエ変換は下式によって定義される。
【0169】
【数1】

【0170】
上式で、kは、この解析の基本周波数(サンプルあたり2π/Nラジアン)を単位にして表した周波数である。kは整数とは限らず、実際には、kの余分値は、必要に応じて信号をゼロ−パディング(zero-padding)することによって埋めることができる。単一の正弦曲線が存在すると仮定すると、その最も有望な周波数は下式によって与えられる。
【0171】
k=arg max|FT{x[n]}(k)|
言い換えると、最良推定値は単純に、フーリエ変換の絶対値が最大であるkの値である。
【0172】
次に、このシステムは、推定されたkの値が、真の正弦曲線に対応するか、または単に無作為変動に対応するのかを判定する。そのために、x[n]だけが、例えば平均0およびRMS振幅σを有する白色雑音を含むかどうかを判定する帰無仮説が解析される。それぞれの点kのフーリエ変換は、それぞれサンプルx[n]に単位絶対値の複素数を掛けたものに等しいN個の独立確立変数の和であり、そのため、フーリエ変換のそれぞれの点の平均は依然としてゼロであり、標準偏差は
【0173】
【数2】

【0174】
である。個々の雑音サンプルのテール(tail)の振舞いが良い(例えばそれがガウスまたは均一雑音の振舞いである)場合、結果として生じる確率変数FT{x[n]}(k)は、使用されるNの値(106程度)に対してほぼガウスである。そのため、約
【0175】
【数3】

【0176】
を超える確率は非常に小さい。
【0177】
一方、ピーク振幅aおよび周波数k(2π/Nの通常の単位)を有する実数値正弦曲線は、フーリエ変換絶対値aN/2を有する。絶対値
【0178】
【数4】

【0179】
を得るためには、aが少なくとも
【0180】
【数5】

【0181】
であればよい。
【0182】
この方法は、記録されたサウンドファイルをゼロパディングし(次の2の累乗に応じて2倍から4倍)、次いで、この振幅しきい値を超えるピークを報告する。ピークは、所与の値kに対してその隣接値よりも大きな絶対値を有し、さらに、kの20個の隣接値の絶対値の少なくとも半分を有すると定義される(1分サンプルに対して概ね20π/N Hzまたは1/3Hzのバンド)。
【0183】
いくつかの正弦曲線が存在し、それらの周波数が互いに約20π/Nを超えて分離されている場合、上記の方法は、それらを別々に解かなければならず、計算されたフーリエ変換に対するそれぞれの正弦曲線の影響は、ピークからk周波数単位のところの振幅で2/3πkに低下する。
【0184】
雑音信号の非白色性を補償するため、測定された信号のスペクトル包絡線が推定される。雑音は、それぞれの狭い周波数範囲(上記のとおり20π/N)で局所的に白色であると仮定することができ、σの値は、選択された周波数範囲に応じて穏やかに変化する。他の問題は、注入された雑音試料を、実験の測定された出力から差し引くことができるかどうかを判定することである。このような状況では、これらの2つを関係づけている容易に測定可能な伝達関数を用い、たとえそれが非線形であるとしても、伝達関数の推定値を使用して、測定された信号から雑音のバルクを除去する。これはさらにこの方法の感度を増大させる。
【0185】
以上の説明から分かるように、このシステムは、治療効果のために使用することができ、または他の方法で生物系の反応を誘導することができる波形をユーザが生み出すことを可能にする。2つ以上の化合物から生成された波形またはスペクトル系列を得ることができる。次いでこれらの2つの信号を組み合わせて、これらの2つの個々の信号の特性を有する組み合わされた単一の信号を生み出すことができる。例えば、これらの2つの原信号が、2つの異なる治療特性を有する2つの異なる化合物に関係づけられている場合、結果として生じる組み合わされた信号は、これらの2つの化合物の組み合わされた治療特性を有するであろう。次いでこの組み合わされた信号を操作して、生物系において副作用または陰性反応に関連していることが分かっている不要な周波数成分を除去することができる。
【0186】
あるいは、これらの2つの化合物が、生物系において同様の反応を生み出す場合、それらの化合物から生成された2つの信号を比較して、生物効果の生成に関連した共通する周波数成分を識別することができる。次いで、その生物効果に関連した周波数成分だけを含む第3の信号を生成することができる。したがって、例えば、ある複数の鎮痛薬からの信号を比較して、共通する周波数成分を識別し、次いで、伝送、記憶または生物系への適用に使用する信号を生成することができる。実際に、このシステムは、1つまたは複数の化合物から生成された信号に直接には基づいていない新しい信号を構築することを可能にし、その代わりに、このシステムは、生物系において所望の結果を与える所望の周波数のピークだけを有する信号を生成することを可能にする。したがって、合成されたこのような信号は、既存の化合物から独立している。
【0187】
結論
以上の説明および請求項の全体を通じて、文脈が明らかに要求しない限り、語「含む」および同様の他の表現は、排他的ないし網羅的な意味で使用されているのではなく、包括的な意味、すなわち「〜を含むが、それに限定されるわけではない」といった意味で使用されているものと解釈されたい。本明細書で使用される場合、語「結合」は一般に、直接に接続された、あるいは1つまたは複数の中間要素を介して接続された2つ以上の要素について使用される。さらに、本出願で使用される場合、語「本明細書において」、「上記」、「下記」および同様の意味の語は、本出願全体について言っているのであって、本出願の特定の部分について言っているのではない。文脈が許す場合、上記「発明を実施するための最良の形態」中の単数または複数形を使用した語はそれぞれ、複数または単数を含むことができる。2つ以上の項目のリストに関する語「または」は、この語の以下の全ての解釈をカバーする:リスト中の任意の項目、リスト中の全ての項目およびリスト中の項目の任意の組合せ。
【0188】
本発明の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的なものでもなく、または上記の説明に開示された正確な形態に本発明を限定するものでもない。本発明の具体的な実施形態および本発明の例を例示目的で説明したが、当業者なら理解するとおり、本発明の範囲内で、等価のさまざまな変更が可能である。例えば、プロセスまたはブロックは所与の順序で提示されているが、代替実施形態は、ステップを有するルーチンを異なる順序で実行し、またはブロックを有するシステムを異なる順序で使用することができ、いくつかのプロセスまたはブロックを削除し、移動させ、追加し、再分割し、組み合わせ、かつ/または変更することができる。これらのプロセスまたはブロックはそれぞれ、異なるさまざまな方法で実現することができる。さらに、プロセスまたはブロックは時に、順次に実行されるものとして示されるが、その代わりに、これらのプロセスまたはブロックを同時に実行し、または別々の時刻に実行することもできる。
【0189】
本明細書に提供された本発明の教示は、上述のシステムに限らず、他のシステムにも適用することができる。上述のさまざまな実施形態の要素および操作を組み合わせて、別の実施形態を提供することもできる。
【0190】
添付の出願文書に記載されているものを含め、上記の特許および特許出願ならびにその他の参照文献は全て、参照によって本明細書に組み込まれる。必要ならば、上述のさまざまな参照文献のシステム、機能およびコンセプトを使用して本発明の諸態様を変更し、本発明の他の実施形態を提供することができる。
【0191】
上記「発明を実施するための最良の形態」に照らして、これらの変更およびその他の変更を本発明に加えることができる。上記の説明は、本発明のある種の実施形態を詳述し、企図される最良の形態を説明しているが、その説明がどんなに詳細であっても、本発明はさまざまな方法で実施することができる。本明細書に開示された発明に包含される限り、信号処理システムの詳細は、その実施態様において相当に変更することができる。上述のとおり、本発明のある特徴または態様を説明する場合に使用される特定の用語を、本明細書ではその用語が、その用語が関連づけられた先の本発明の特定の特性、特徴または態様に限定されるように再定義されているというように解釈してはならない。一般に、上記「発明を実施するための最良の形態」セクションにおいてその用語が明確に定義されていない限り、請求項で使用されている用語を、本明細書に開示された特定の実施形態に本発明を限定するものと解釈してはならない。したがって、本発明の実際の範囲は、開示された実施形態を包含するだけでなく、請求項の下で本発明を実施しまたは実現する全ての等価の方法をも包含する。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明の一実施形態に従って形成された分子電磁信号検出装置の一実施形態の等角図である。
【図2】図1に示されたファラデー箱およびその内容物の拡大詳細図である。
【図3】図1および2に示された一方の減衰管の拡大断面図である。
【図4】図2に示されたファラデー箱およびその内容物の断面図である。
【図5】代替の電磁放出検出システムを示す図である。
【図6】検出システムに含まれる処理ユニットを示す図である。
【図7】図6の処理ユニットの代替処理ユニットを示す図である。
【図8】本発明のシステムによって実行される信号検出および処理の流れ図である。
【図9】本発明のヒストグラムスペクトルプロット法のデータフローの高レベル流れ図である。
【図10】スペクトルプロットヒストグラムを生成するための本発明に基づくアルゴリズムの流れ図である。
【図11】本発明の方法の第2の実施形態に従って最適な時間領域信号を識別する諸ステップの流れ図である。
【図12】本発明の方法の第3の実施形態に従って最適な時間領域信号を識別する諸ステップの流れ図である。
【図13】典型的な変換実験における変換機器レイアウトを示す図である。
【図14】典型的な変換実験において使用される変換コイルおよび容器を示す図である。
【図15A】除草剤化合物を40%含む試料の時間領域信号の一部分を示す図である。
【図15B】雑音レベル70.9−dbmで記録された図15Aの試料の自己相関時間領域信号のFFTを示す図である。
【図15C】雑音レベル74.8−dbmで記録された図15Aの試料の自己相関時間領域信号のFFTを示す図である。
【図15D】雑音レベル74.8−dbmで記録された図15Aの試料の自己相関時間領域信号のFFTを示す図である。
【図15E】雑音レベル78.3dbmで記録された図15Aの試料の自己相関時間領域信号のFFTを示す図である。
【図15F】図15の試料の雑音設定に対する自己相関スコアのプロットである。
【図16】生物系に適用することができる信号を試料から生み出すためのプロセスフローを示すブロック図である。
【図17】本発明のシステムの下で試料から生み出された信号から生成された電磁波を患者に適用するのに適したシステムを示すブロック図である。
【図18】1つまたは複数の出発波形を変更するための信号処理ルーチンの一例を示す流れ図である。
【図19A】グラフィカルユーザインタフェースを使用したスペクトルプロットの変更を示す図である。
【図19B】グラフィカルユーザインタフェースを使用したスペクトルプロットの変更を示す図である。
【図19C】グラフィカルユーザインタフェースを使用したスペクトルプロットの変更を示す図である。
【図19D】グラフィカルユーザインタフェースを使用したスペクトルプロットの変更を示す図である。
【図20】検出システムおよび処理ユニットによって生成され処理された信号を配布するための代替形態を示すブロック図である。
【図21】図20の分散システムの変換器−受信器/トランシーバを示すブロック図である。
【図22】本発明のシステムとともに使用されるヘルムホルツ型誘導コイルを示す図である。
【図23】本発明の諸実施形態の下で試料を変換するための埋込み可能なコイルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料から分子信号を提供する装置であって、
(a)少なくとも部分的に前記試料から生成された信号源と、
(b)前記試料の近くに配置された、電磁放出信号を検出する手段と、
(c)前記電磁放出検出コイルに電気的に接続された超伝導量子干渉素子(SQUID)であって、低温冷却手段内に配置されたSQUIDと、
(d)前記信号源および前記信号検出手段を雑音で取り囲む手段であって、前記試料内に確率的共振を誘導して、前記試料の特性信号を増幅するのに十分な雑音を生成する手段と、
(e)前記信号源、電磁放出検出コイル、SQUID、および雑音手段を、外部電磁放射から電磁遮蔽する手段と、
(f)前記SQUIDを制御する手段と、
(g)前記信号検出手段によって検出された前記信号を観察し、記憶する手段と、
(h)ユーザ定義の基準に基づいて前記記憶された信号を変更する手段と、
(i)化学または生物系内に効果を誘導するために、前記変更された信号を前記化学または生物系に無線で提供する手段と
を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
化学または生化学作用因子に反応する系に対する該化学または生化学作用因子の効果を生み出す方法であって、
(a)(i)磁気遮蔽と電磁遮蔽の両方を有する容器の中に、前記作用因子を含む試料を入れるステップであって、前記試料は、分子信号の信号源として作用し、前記磁気遮蔽は低温容器の外部にあるステップと、
(ii)複数の周波数にわたって実質的に均一な振幅を有する雑音を、他の信号源からの他の信号がない状況で、確率的共振を生じさせるのに十分な雑音振幅で、前記試料に雑音を注入するステップと、
(iii)前記低温容器内で、生成された前記他の信号がない状況で、前記注入された雑音に重ね合わされた試料源放射からなる時間領域電磁信号を記録するステップと、
(iv)前記試料源放射を前記注入された雑音から十分に区別できない場合に、選択された雑音レベル範囲内の複数のそれぞれの雑音レベルで、ステップ(ii)〜(iii)を、前記重ね合わされた信号が、確率的共振によって、前記信号源によって生成された前記信号の特性を帯びるまで繰り返すステップと
によって、複数の低周波時間領域信号を生成すること、
(b)(a)で生成された前記信号を解析することによって、前記時間領域信号の支配的特性を表す周波数を識別すること、
(c)前記試料の前記識別された周波数の中から少なくとも1つの周波数を選択し、または
2つ以上の作用因子試料の前記識別された周波数の中から選択された周波数を組み合わせる
ことによって、反応生成信号を合成すること、および
(d)前記作用因子反応系を電磁変換器の磁場の中に置き、前記合成された信号を、前記変換器によって、ある信号振幅で、前記作用因子反応系内に作用因子固有効果を生じさせるのに十分な期間、適用することによって、前記作用因子反応系を、前記合成された反応生成信号に暴露すること
を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
前記合成された反応生成信号は、
1つまたは複数の作用因子試料の化学または生物効果を表す、前記1つまたは複数の試料の前記識別された周波数の組合せ、あるいは、
1つまたは複数のそれぞれの作用因子試料の化学または生物効果のうちのいくつかの態様を表す、前記1つまたは複数の作用因子試料の識別された周波数から選択された周波数の組合せ
であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記解析(b)は、
(i)DCから8kHzまでの範囲の選択された周波数範囲にわたって、事象ビンfごとに、それぞれのビンの事象カウント数を示すヒストグラムを生成し、fは、前記時間領域信号をサンプリングするサンプリングレートであり、所与のしきい値よりも高いビンの数に関係づけられたスコアを前記ヒストグラムに割り当て、前記スコアに基づいて時間領域信号を選択すること、
(ii)前記時間領域信号を自己相関させ、DCから8kHzまでの範囲の選択された周波数範囲にわたって、前記自己相関させた信号のFFT(高速フーリエ変換)を生成し、平均雑音値よりも高いピークの数に関係づけられたスコアを前記FFT信号に割り当て、前記スコアに基づいて時間領域信号を選択すること、および
(iii)複数の定義されたそれぞれの時間にわたって、DCから8kHzまでの選択された周波数範囲で、前記時間領域信号の一連のフーリエスペクトルを計算し、前記フーリエスペクトルを平均し、平均雑音値よりも高いピークの数に関係づけられたスコアを前記平均されたFFT信号に割り当て、前記スコアに基づいて時間領域信号を選択すること
のうちの1つによって実行されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記電磁変換器は、前記暴露の前に生物系に埋め込まれた埋込み可能なコイル、またはハンドヘルド移動装置、あるいはその両方を含み、信号は、有線または無線によって前記変換器に到達し、無線信号は、直接にまたは衛星を経由して伝送されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
試料内の選択された物質を、DCから10kHzまでの周波数範囲の前記試料の特性信号を使用して検出する装置であって、
検出コイルに隣接させて前記試料を配置して、試料源放射からなる時間領域電磁信号を発生させる手段と、
前記時間領域信号を操作して、前記信号を、選択された周波数よりも高い周波数成分が除去された、増幅され操作された信号に変換する手段と、
前記操作された信号をフィルタリングして、(i)DCから10kHzまでの周波数範囲にあり、(ii)選択された物質に特徴的な低周波スペクトル成分を選択的に通過させる手段と、
前記フィルタリングされた信号を、(i)DCから10kHzまでの周波数範囲にあり、(ii)前記選択された物質に特徴的な低周波スペクトル成分のデータセットと相互相関させて、DCから10kHzまでの前記周波数範囲の周波数領域スペクトルを生成する手段と、
前記周波数領域スペクトルが、前記選択された物質に特徴的であり、前記試料内の該物質の存在の有無の判定に役立つ1つまたは複数の低周波信号成分を含むかどうかを判定する手段と
を含むことを特徴とする装置。
【請求項7】
化学または生化学作用因子に反応する系に対する該作用因子の諸態様の治療効果を生み出す装置であって、
(i)作用因子の試料を受け取るように適合された容器であって、磁気遮蔽と電磁遮蔽の両方を有する容器と、
(ii)選択された範囲の複数のそれぞれの雑音レベルで、前記試料を含む前記容器へ雑音を注入する出力調整可能な雑音源と、
(iii)前記注入された雑音に重ね合わされた試料源放射からなる時間領域電磁信号を記録する検出器と、
(iv)異なる注入雑音レベルで記録された複数のそれぞれの時間領域信号を記憶する記憶装置と、
(v)(a)前記記憶装置に記憶された時間領域信号を取り出し、
(b)スペクトルプロットの情報に基づいて、最適化された作用因子固有時間領域信号を識別することを可能にする、前記時間領域信号の前記スペクトルプロットを作成し、
(c)前記時間領域信号を解析することによって、前記最適化された作用因子固有信号を表す周波数を識別し、
(d)前記識別された周波数の中から少なくとも1つの周波数を選択し、または
前記識別された周波数の中から選択された周波数を、生物効果の生成に関連した他の選択された周波数と組み合わせることによって、
反応生成信号を生成する
ように適合されたコンピュータと、
(vi)前記作用因子反応系を、ある信号振幅の前記合成された信号に、前記系に対する作用因子固有効果を前記系内に生じさせるのに十分な期間、暴露する電磁変換器と
を含むことを特徴とする装置。
【請求項8】
前記雑音源は、出力調整可能なガウス雑音発生器と、1ボルトまでの範囲の選択された雑音出力信号を前記雑音発生器から受け取るヘルムホルツコイルとを含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記容器は、試料保持領域と、前記領域を取り囲む磁気遮蔽ケージと、前記磁気遮蔽ケージの中に含まれ、前記領域を取り囲むファラデー箱とを有する減衰管であり、前記ガウス雑音源は、ガウス雑音発生器と、前記磁気ケージおよび前記ファラデー箱の中に含まれ、前記雑音発生器から雑音出力信号を受け取るヘルムホルツコイルとを含み、前記ヘルムホルツコイルはさらに、前記時間依存信号内の定常雑音成分を除去する際に使用するために、前記雑音源および前記SQUID(超伝導量子干渉素子)に動作可能に接続され、前記雑音源からガウス雑音を受け取り、前記試料に注入された前記ガウスの雑音に関して反転された形態のガウス雑音を前記SQUIDに出力する信号反転器を含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記電磁変換器は、整列した一対の電磁コイルを有し、前記電磁コイル間に暴露ステーションを画定するヘルムホルツコイルであり、前記暴露は、前記ステーション内に前記試料を配置することを含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項11】
化学活性または生物活性作用因子の諸態様を表す最適化された低周波反応生成信号であって、
(a)(i)選択された雑音振幅で前記作用因子の試料に雑音を注入して、確率的共振を生じさせるステップと、
(ii)前記注入された雑音に重ね合わされた試料源放射からなる時間領域電磁信号を記録するステップと、
(iii)前記試料源放射が前記注入された雑音から十分に区別できない場合に、選択された範囲内の複数のそれぞれの雑音レベルで、ステップ(ii)〜(iii)を繰り返すステップと
によって、作用因子の複数の低周波時間領域信号を発生させるステップと、
(b)好ましい時間領域信号を解析することによって、最適化された作用因子固有信号を表す周波数を識別するステップと、
(d)作用因子試料の前記識別された周波数の中から少なくとも1つの周波数を提供し、または
2つ以上の作用因子試料の前記識別された周波数の中から選択された周波数を組み合わせる
ことによって、反応生成信号を合成するステップであって、前記選択された周波数は、所望の化学または生物効果に関連した信号の選択された態様を表すステップと
によって生成されることを特徴とする信号。
【請求項12】
前記信号は、生物標的に導かれることを特徴とする請求項11に記載の信号。
【請求項13】
前記信号は、受信器に無線で伝送され、前記受信器は、埋込み可能な変換器、あるいはハンドヘルドコンピューティング装置またはハンドヘルド通信装置を含むことを特徴とする請求項11に記載の信号。
【請求項14】
データ処理システムが読むことができる1つまたは複数の生成されたデータ信号であって、
(a)化学または生物作用因子を雑音信号に暴露するステップと、
(b)前記雑音と確率的共振の結果として前記作用因子によって放出された信号との組合せを検出するステップと、
(c)前記作用因子によって生成された前記信号を前記雑音から十分に区別できるようになるまで、前記雑音を調整するステップと、
(d)前記作用因子信号の周波数内容を得るステップと、
(e)前記作用因子信号の前記周波数内容を変更して、前記信号に関連した少なくとも1つの属性を強化するステップと、
(f)作用因子の前記変更された周波数の中の少なくとも1つの周波数を強調し、または
少なくともステップ(a)、(b)、および(d)の下で2つ以上の作用因子試料によって生み出された信号の中から選択された周波数を組み合わせること
によってデータ信号を定義するステップであって、前記選択された周波数は、前記2つ以上の作用因子試料の選択された化学または生物態様を表すステップと
を含む方法によって生成されることを特徴とする信号。
【請求項15】
使用された化学または生物作用因子の諸態様に由来する選択された化学または生物効果を生じさせる電磁信号を生成する方法であって、
磁気遮蔽された検出装置に試料を挿入して、分子信号を提供すること、
前記磁気遮蔽された検出装置に雑音を注入すること、
前記注入された雑音と前記試料によって放出された前記信号との組合せを検出すること、
前記作用因子固有信号を雑音から分離すること、
前記作用因子固有信号の周波数内容を計算すること、
周波数成分をスケーリングしまたは排除することによって、前記作用因子固有信号の前記周波数内容を強化すること、
所望の作用因子属性を表す周波数内容を識別すること、および
異なる作用因子から検出された選択された強化された周波数を使用して、電磁効果生成信号を合成すること
を含み、
前記選択された周波数は、前記作用因子の前記化学または生物効果の所望の部分または全体を表す
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
少なくとも、前記作用因子固有信号の前記周波数内容の強化が、ユーザがユーザインタフェースを利用することによって実行されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
1つまたは複数の化学または生化学作用因子の諸効果のうちの少なくとも1つのサブセットを有する信号を生成する装置であって、
(i)作用因子の試料を受け取るように適合されたホルダと、
(ii)前記ホルダの中の前記試料に雑音を適用する調整可能な雑音源と、
(iii)前記試料放射と前記雑音とからなる時間領域信号を記録する検出器と、
(iv)検出された信号を記憶する記憶装置と、
(v)(a)前記記憶された信号を前記記憶装置から取り出し、
(b)作用因子固有時間領域信号の識別を可能にする、前記信号のスペクトル表現を作成し、
(c)ユーザインタフェースまたはソフトウェアプログラムを介して、前記取り出された信号の部分を変更して、前記取り出された信号の少なくとも1つの所望の部分を強調しまたは強調されないようにする
ように適合されたコンピュータと、
(vi)少なくとも1つの作用因子信号の選択された変更された部分の組合せを利用することによって信号を生成する合成器と
を含むことを特徴とする装置。
【請求項18】
要素(v)または(vi)あるいはその両方は、装置の残りの要素に関して遠隔地に位置し、残りの要素と無線で結ばれていることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
生物または化学系に影響を及ぼすための生成された信号であって、前記信号のフーリエ変換は、生物標的に検出可能な反応を誘導することが知られている化合物によって引き起こされる化合物固有の確率的事象の周波数にそれぞれ対応する複数のピークを含み、前記ピークはそれぞれ、選択された雑音振幅で前記試料に雑音を注入しながら、前記化合物の試料の時間領域信号を記録することによって観察され、前記選択された雑音振幅は、前記時間領域信号が前記周波数領域に変換されたときに前記ピーク周波数の識別を可能にする振幅であり、
前記信号周波数ピークは、1つまたは複数の化合物の識別されたピーク周波数であり、前記化合物の化学または生物効果を表し、あるいは
前記信号周波数ピークは、1つまたは複数の化合物の識別されたピーク周波数の中から選択された操作された周波数であり、前記化学または生物化合物のいくつかの態様の強化された効果を表す
ことを特徴とする生成された信号。
【請求項20】
(i)それぞれ所与の生物標的に検出可能な所与の反応を生じさせるのに有効な2つ以上の化合物の前記ピーク周波数を識別し、
(ii)前記化合物に共通するピーク周波数を識別し、
(iii)(ii)で識別された前記共通するピーク周波数を重ね合わせて、電磁波を生み出すこと
によって生成されることを特徴とする請求項19に記載の生成された信号。
【請求項21】
(i)所与の生物標的に検出可能な所与の反応または検出可能な所望の反応を生じさせるのに有効な化合物の第1のセット、および前記標的に該所望の反応を生じさせる効果のない化合物の第2のセットの前記ピーク周波数を識別し、
(ii)前記第1のセット内の全ての前記化合物に共通するが、前記第2のセット内のどの前記化合物にも共通しないピーク周波数を識別し、
(iii)(ii)で識別された前記共通するピーク周波数のうちの少なくともいくつかを組み合わせて、電磁波を生み出すこと
によって生成されることを特徴とする請求項19に記載の生成された信号。
【請求項22】
(i)所与の生物標的に検出可能な所与の反応または検出可能な所望の反応を生じさせるのに有効な化合物の第1のセットの前記ピーク周波数を識別し、
(ii)同じ生物標的に検出可能な他の所望の反応を生じさせるのに有効な化合物の第2のセットの前記ピーク周波数を識別し、
(iii)前記第1のセット内の全ての前記化合物に共通するピーク周波数、および前記第2のセットの全ての前記化合物に共通するピーク周波数を識別し、
(iv)(iii)で識別された共通するピーク周波数の2つのセット内の少なくともいくつかの周波数を重ね合わせて、電磁波を生み出すこと
によって生成されることを特徴とする請求項19に記載の生成された信号。
【請求項23】
前記信号の生成は、
(i)所与の化合物の前記ピーク周波数を識別するステップと、
(ii)ベースライン雑音周波数の少なくとも2×の選択された振幅で、前記周波数を組み合わせるステップと、
を含むことを特徴とする請求項19に記載の生成された信号。
【請求項24】
前記信号を生成する前記ステップはさらに、
ステップ(i)が、それぞれ所与の生物標的に検出可能な所与の反応を生じさせるのに有効な2つ以上の化合物の前記ピーク周波数を識別し、前記化合物に共通するピーク周波数を識別することを含み、
ステップ(ii)が、そのようにして識別された前記共通するピーク周波数を重ね合わせて、電磁波を生み出すことを含む
ことを特徴とする請求項23に記載の生成された信号。
【請求項25】
前記信号を生成する前記ステップはさらに、
ステップ(i)が、所与の生物標的に検出可能な所与の反応または検出可能な所望の反応を生じさせるのに有効な化合物の第1のセット、および前記標的に該所望の反応を生じさせるのに有効な化合物の第2のセットの前記ピーク周波数を識別し、前記第1のセット内の全ての前記化合物に共通するが、前記第2のセット内のどの前記化合物にも共通しないピーク周波数を識別することを含み、
ステップ(ii)が、そのようにして識別された前記共通するピーク周波数のうちの少なくともいくつかを組み合わせて、電磁波を生み出すことを含む
ことを特徴とする請求項23に記載の生成された信号。
【請求項26】
前記信号を生成する前記ステップはさらに、
ステップ(i)が、所与の生物標的に検出可能な所与の反応または検出可能な所望の反応を生じさせるのに有効な化合物の第1のセットの前記ピーク周波数を識別し、同じ生物標的に検出可能な他の所望の反応を生じさせるのに有効な化合物の第2のセットの前記ピーク周波数を識別し、前記第の1セット内の全ての前記化合物に共通するピーク周波数、および前記第2のセットの全ての前記化合物に共通するピーク周波数を識別することを含み、
ステップ(ii)が、そのようにして識別された共通するピーク周波数の2つのセット内の少なくともいくつかの周波数を重ね合わせて、電磁波を生み出すことを含む
ことを特徴とする請求項23に記載の生成された信号。
【請求項27】
前記信号は、遠隔変換器に伝送され、化学または生物系に適用されて反応を誘導し、前記変換器は、前記系内に埋め込まれており、前記系の近くに位置し、またはハンドヘルド移動装置であることを特徴とする請求項19に記載の生成された信号。
【請求項28】
励起された物質から放射された電磁信号シグネチャを生成する方法であって、
前記物質を含まない容器に、制御された電磁雑音を注入すること、
前記容器内の前記電磁放射の第1の周波数スペクトルを計算すること、
前記容器の中に関心のある前記物質を配置すること、
前記物質を含む前記容器に、前記制御された電磁雑音を注入すること、
前記容器内の前記電磁放射の第2の周波数スペクトルを計算すること、
前記第1の計算された周波数スペクトルを、前記第2の計算された周波数スペクトルと比較することによって、前記物質の前記周波数スペクトルを得ること、
前記物質の前記周波数スペクトルの内容を強化すること
を含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
前記信号の前記強化された周波数内容についての情報は、遠隔変換器に伝送され、
前記変換器は、前記生物実体内に埋め込まれており、前記生物実体の近くに位置し、またはハンドヘルド移動装置であることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
化学または生化学試料を表す信号を生成する装置であって、
(i)前記試料を受け取るように適合されたホルダであって、磁気遮蔽または電磁遮蔽あるいはその両方を有するホルダと、
(ii)前記ホルダの中の前記試料に対して雑音を適用して、前記試料からの電磁放射に関する確率的共振を誘導する調整可能な雑音源と、
(iii)前記試料の電磁放射と前記雑音とからなる時間領域信号を記録する検出器と、
(iv)前記時間領域信号を記憶する記憶装置と、
(v)(a)前記記憶装置に記憶された前記時間領域信号を取り出し、
(b)スペクトルプロットの情報に基づいて、最適化された作用因子固有時間領域信号を識別することを可能にする、前記時間領域信号の前記スペクトルプロットを作成し、
(c)ユーザインタフェースを介して、前記取り出された時間領域信号の部分を操作して、前記取り出された時間領域信号の少なくとも1つの所望の部分を強調しまたは強調しないようにする
ように適合された電子コンピュータと
を含むことを特徴とする装置。
【請求項31】
前記信号の前記操作された周波数内容についての情報は、遠隔変換器に伝送され、前記変換器は、前記生物実体内に埋め込まれており、前記生物実体の近くに位置し、またはハンドヘルド移動装置であることを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
少なくとも1つの化学または生化学作用因子に反応する系に対する前記少なくとも1つの作用因子の諸態様の効果を生み出す装置であって、
処理された信号を受け取るための受信器
を含み、前記処理された信号は、
前記作用因子の試料に雑音を注入して、確率的共振を生じさせ、
前記注入された雑音に重ね合わされた試料源放射からなる信号を、注入雑音の異なるレベルで記録し、
好ましい記録された時間領域信号を解析することによって、最適化された作用因子固有信号を表す周波数を識別し、
作用因子試料の前記識別された周波数の中から選択された少なくとも1つの周波数によって、または
2つ以上の作用因子試料の前記識別された周波数の中から選択された周波数を組み合わせることによって、
反応生成信号を合成する
ことによって生成され、
前記選択された周波数は、前記使用された作用因子試料の化学または生物効果の選択された態様を表す
ことを特徴とする装置。
【請求項33】
少なくとも1つの化学活性または生物活性作用因子の一部または全部の効果を表す電磁信号の再放射を容易にする、信号または情報を伝送する伝送器であって、
原作用因子固有電磁信号特徴または強化された作用因子固有電磁信号特徴を記憶する手段と、
信号処理、情報検索、操作、記憶またはこれらの任意の組合せのために、前記作用因子固有電磁信号特徴を、他の領域に変換する手段と、
所望の位置での作用因子固有電磁信号の再生成および放射のために後に伝送される、前記原作用因子固有電磁信号特徴または前記変換された作用因子固有電磁信号特徴を記録する手段と、
1つまたは複数の作用因子固有電磁信号の前記特徴の一部または全部を選択し、強化し、組み合わせる手段と
を含み、前記作用因子固有電磁信号特徴は、
前記作用因子を含む試料を容器の中に配置し、
前記試料に雑音を投射し、
試料源放射と前記雑音とからなる電磁信号を記録し、
前記信号を解析し、作用因子固有信号を識別し、および
前記作用因子固有信号を変更して、最適化された作用因子固有時間領域信号を生成する
ことによって得られる
ことを特徴とする伝送器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図15F】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図19D】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2008−508523(P2008−508523A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523767(P2007−523767)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/026629
【国際公開番号】WO2006/015038
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(504154182)ナティビス インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】