非常に微細な凝集体の混合物
本発明は、スクラップタイヤ、ポリマーの自動車構成物、使用済みのゴム材料、及びプラスチック容器などの再利用可能なポリマー材料の熱分解から形成された微細凝集体の混合物に向けられている。この混合物は、該微細凝集体混合物の約80重量%〜約95重量%の間の範囲の炭素含有量を有する。微細凝集体の混合物は、平均して35nm以下の凝集体粒子を有する。微細凝集体の混合物はまた、73m2/g以上の窒素表面積を有し、該微細凝集体混合物の約5重量%〜約20重量%の間の範囲で無機機能性フィラーを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、望ましい化学的性質及び物理的性質を有する微細凝集体の混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
この出願は、
2007年11月7日出願の米国特許仮出願第60/986,126号;
2007年10月9日出願の米国特許仮出願第60/998,197号;
2007年11月8日出願の米国特許仮出願第60/986,318号;
2007年11月8日出願の米国特許仮出願第60/986,369号;
の各出願の利益を請求する。
【0003】
上記の各出願の開示を、参照により本明細書中に援用する。
発明の背景
ゴム産業において、乗り物のタイヤ及びシールなどのゴム製品は、典型的には、カーボンブラック又はシリカなどのフィラーの混合物をゴム中に混ぜ、次いで加硫処理することによって作られる。乗り物のタイヤに関しては、コードを埋め込み、トレッド、側壁、及び内部のライニングにおいて違う種類のゴムを用いることにより、追加の構造的な性質を導入する。
【0004】
タイヤ製造者などのゴム材料の製造者は、典型的には、異なった供給源から原材料を受け取る。ゴムは、ベールで、又は場合により屑若しくは粉末として受け取る。ゴムを作る際には、カーボンブラックなどのフィラー材料を用いる。
【0005】
タイヤなどのゴムのコンパウンドにおけるフィラーとして用いるために最も望ましいカーボンブラックは、その元々の状態において綿毛状の(fluffy)カーボンブラックと呼ばれる。次いで、それはペレット化されるか、又はスラリー中に混合される。綿毛状のカーボンブラックは、ナノメートル(nm)の単位で測定され、非常に低いバルク密度を有する微細粒子又は微細凝集体からなるカーボンブラック凝集体である。油炉プロセスを含む、カーボンブラックを作るためのいくつかのプロセスが存在する。油炉プロセスにより、本質的に、油を熱分解して、しばしばバージン(virgin)カーボンブラックと呼ばれる純粋な炭素粒子が製造される。より最近は、スクラップタイヤなどの使用済みのゴム製品から綿毛状のカーボンブラックを含むカーボンブラックを製造し、及び/又は再生することに大きな関心が寄せられている。かかるプロセスは、本質的に、カーボンブラックフィラーを使用済みのゴム製品から抽出又は回収し、新しいゴム製品にフィラー材料として再利用することを可能にする。
【0006】
タイヤ及びその他のゴム製品を再利用して、熱分解と呼ばれるプロセスの使用を通して利用可能な炭化水素を再生しようとする多くの試みがなされてきた。熱分解を通して、タイヤ及びその他の油ベースのコンパウンドは処理されて、燃料及びその他の炭化水素のコンパウンドが製造される。熱分解プロセスの結果として生ずる一つの特定の副生成物は、プロセスが完了した後の残留物である炭素質の灰、又は炭材料である。この炭を、ある種類のフィラーとして用いるための低級カーボンブラックとして用いようとする試みがなされてきた。しかしながら、この試みはいくつかの欠点に遭遇しており、最も重大な欠点は、炭の粒子サイズのランダムな分布から生ずる炭中の不純物、ならびに灰などの望ましくない不純物である。更に、粒子の表面の化学的性質は、フィラー材料として用いるためのカーボンブラック材料の能力に影響を与え、いくつかの過去の試みは、好ましくない表面の化学的性質を有するブラックカーボン凝集体粒子を生じている。
【0007】
それ故に、バージンカーボンブラック材料に匹敵する高級フィラー材料として用いるために適した、再生された炭素質の混合物を提供する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、スクラップタイヤ、ポリマーの自動車構成物、使用済みのゴム材料、及びプラスチック容器などの再利用可能なポリマー材料の熱分解から形成される微細凝集体の混合物に向けられている。この混合物は、微細凝集体の混合物の約80重量%〜約95重量%の間の範囲の炭素含有量を有する。微細凝集体の混合物は、平均して35nm以下の凝集体粒子を有する。微細凝集体の混合物はまた、73m2/g以上の窒素表面積を有し、微細凝集体の混合物の約5重量%〜約20重量%の間の範囲における無機機能性フィラーを含む。
【0009】
本発明の記載は実際には単なる例示であり、それ故に、本発明の骨子から逸脱しない変化は、本発明の範囲内であると意図している。かかる変化は、本発明の精神及び範囲から逸脱するものとはみなされない。
【0010】
詳細な記載、及び添付の図面から、本発明をより完全に理解することになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、分級及び識別装置の先行技術の概略図である。
【図2】図2は、本発明に従った、粉砕ミル及びそれを通るカーボンブラックのフローの平面概略図である。
【図3】図3は、本発明に従った分級器の平面概略図である。
【図4a】図4aは、本発明の教示に従った、水溶液中に分散させて、265650倍に拡大した、微細凝集体の混合物の顕微鏡写真である。
【図4b】図4bは、本発明の教示に従った、水溶液中に分散させて、26565倍に拡大した、微細凝集体の混合物の顕微鏡写真である。
【図5a】図5aは、水溶液中に分散させて、265650倍に拡大した、KHC1集合体の顕微鏡写真である。
【図5b】図5bは、水溶液中に分散させて、26565倍に拡大した、KHC1集合体の顕微鏡写真である。
【図6a】図6aは、本発明の教示に従った、微細凝集体の混合物の粒子サイズ分布を説明するグラフである。
【図6b】図6bは、KHC1サンプルの粒子サイズ分布を説明するグラフである。
【図6c】図6cは、KHC2サンプルの粒子サイズ分布を説明するグラフである。
【図6d】図6dは、CBp0サンプルの粒子サイズ分布を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の好ましい各実施態様の記載は、実際には単なる例示であり、本発明、その用途、又はその使用を限定することを意図するものではまったくない。
本発明は、エラストマーのコンパウンドにおけるフィラー材料として用いるために適した微細凝集体の混合物の形成に向けられている。微細凝集体の混合物は、本発明の一つの側面に従って識別及び分離設備10を用いて処理した、熱分解されたポリマー材料から準備される。図1は、本発明に従った識別及び分離設備10の概略図を示す。まず、全ての図面、特に図1を参照すると、設備10は粉砕ミル12及び分級器14を含む。ホッパー16は、再生された炭素質の材料のための、設備10への供給源として役立つ。ホッパー16を用いて、これらに限定されないが、スクラップタイヤ、ポリマーの自動車構成物、使用済みのゴム材料、及びプラスチック容器などの、再利用されたポリマー材料の熱分解によって準備された、再生された炭素質の材料を収集する。再生された炭素質の材料は、カーボンブラック及びその他の材料の、大きな凝集体及び小さな凝集体からなる。収集ホッパー16を使用して、は再生された炭素質の材料を保持するが、再生された炭素質の材料を、ホッパー16中にまず収集することなく、熱分解反応器(図示せず)から設備10に直接供給することも可能である。
【0013】
バルブ18は、再生された炭素質の材料の、ホッパー16から磁気分離器20へのフローを制御する。再生された炭素質の材料は、再利用されたポリマー材料中に熱分解より前に存在していた金属粒子を有することもある。これらの金属粒子は、粉砕ミル12を傷つける可能性があり、磁気分離器20はこれらの望ましくない金属粒子を取り除く。磁気分離器20の使用は必須ではなく、より多くの数の、又はより少ない数の磁気分離器を使用しても良い。
【0014】
磁気分離器20を通過した後、再生された炭素質の材料は、回転しかつ材料の粉砕ミル12へのフローを制御するスクリュー22に現れる。バルブ24を用いて、再生された炭素質の材料の混合節点26へのフローを出したり止めたりする。混合節点26では、再生された炭素質の材料を、空気供給源28から生成された、ろ過された乾燥高圧空気と混合する。乾燥し加圧された空気と再生された炭素質の材料との混合物は、粉砕ミル12の供給入口30(図2を参照)を通して導入される供給物である。
【0015】
図2は、渦カラム28を有する粉砕ミル12の概略的な図を示す。粉砕ミル12において、加圧された供給物は供給入口30を通して導入され、渦カラム28の周囲を旋回し、これにより供給物中に存在する小さな凝集体が渦カラム28の頂部に移動し、一方でより大きな凝集体は下方に落ちる。単一の供給入口30が記載されているが、渦カラム28中における旋回を調節し、又は促進するために、より多くの数の供給入口を有することも可能である。分級ディスク32が渦カラム28中に存在し、供給物の旋回に寄与し、大きな凝集体が分級ディスク22を通り越して移動することを防ぐ。分級ディスク32は凝集体及び空気を渦カラム28中で旋回させ、比重を用いて、重く密な凝集体及び粒子をより軽い低密度の凝集体及び粒子から分離する。それ故に、重く密な凝集体は渦カラム28の底部に沈降し、一方で低密度の凝集体は渦カラム28の頂部に移動する。
【0016】
より大きな凝集体は渦の底部に移動して、粉砕ミル12の細分化チャンバー34に入る。チャンバーの相対する側でお互いのほうに向けて大きな凝集体粒子を吹き飛ばすために、少なくとも二つの相対する空気入口36が細分化チャンバー34に存在する。二つの相対する空気入口36を論じたが、より多くの数の、又はより少ない数の相対する空気入口36を有することが可能である。大きな凝集体粒子はお互いのほうに向けて加速され、衝突し、そしてより小さな凝集体に細分化される。より小さな凝集体は、渦カラム28中に再び導入され、ここでその密度が十分に低い場合には分級ディスク32を通り越し、次いで小凝集体ポート38を出発する。細分化されなかったより大きな凝集体は、チャンバー出口38を出て収集される。場合により、チャンバー出口38を経由して出た大きな凝集体は、再生された炭素質の材料にバルブ24で再び導入することが出来る。
【0017】
小凝集体ポート38を通過した小さな凝集体は、二つのフィルターホッパー40、40’の一つへ流れる。フィルターホッパーは、渦カラム28を出た後に空気に浮遊することとなる傾向を有する小さな凝集体を収集するポリマー表面積フィルターを含有する。本発明は小さな凝集体を収集するために二つのフィルターホッパーの使用を記載するが、粉砕ミル12からの生産速度に依存して、より多くの数の、又は少ない数のフィルターホッパーを用いることは、この発明の範囲内である。バルブ42、42’は、フィルターホッパー40、40’から、小さな凝集体を分級器14に供給するために用いられる小凝集体供給ホッパー44への、小さな凝集体のフローを制御する。図1はフィルターホッパー40、40’に関連する複数のバルブ42、42’を示すが、より多くの数の、又はより少ない数のバルブを有することも可能である。小凝集体供給ホッパー44を出た後、小さな凝集体は任意に第2の磁気フィルター46を通過して、存在する全ての金属不純物を更に取り除く。供給スクリュー48は小さな凝集体を受け取り、小さな凝集体を別の供給スクリュー52及びバルブ54に移動させるコンベヤー50に供給される小さな凝集体のフローを制御し、バルブ54は小さな凝集体の分級器14へのフローを制御する。供給スクリュー48によりフローを分級器14に直接流すことはこの発明の範囲内であるが、識別及び分離設備10における構成物の物理的なサイズは小さな凝集体が構成物の間の距離を移動することを必要とするので、好ましくは複数の供給スクリュー及びコンベヤーを用いる。
【0018】
図1及び図3を参照すると、小さな凝集体は二つの高圧入口66の一つを通って分級器14に入る。小さな凝集体は加圧された乾燥空気と混合され、二つの入口66の一つを通って供給され、分級器14の渦カラム56内で旋回し、分級器14で小さな凝集体は粗大凝集体の混合物及び微細凝集体の混合物に分離される。小さな凝集体のいくらかは、粗大凝集体から出来ており、微細凝集体が粗大凝集体に付着している。小さな凝集体の旋回により、低い密度を有し、ナノメートルの範囲のサイズである微細凝集体は、より非常に密であり、ミクロンの単位で測定される粗大凝集体粒子から分離される。渦カラム56における旋回運動は高圧入口66及び回転分級ホイール58を通って流れる空気圧によって起こり、より密度が低くより小さな粒子サイズの微細凝集体を渦カラム56の頂部に移動させる。より密度が高く、小さな凝集体よりサイズが一般的に大きな粗大凝集体は、渦カラムの底部に移動する。より多くの数の、又はより少ない数の空気入口66を有すること、ならびに一つより多くの高圧入口66を通して小さな凝集体を渦カラム56に導入することは、この発明の範囲内である。
【0019】
回転分級ホイール58は、一定のサイズ、及び一定の密度の凝集体のみが微細凝集体出口64を通って渦カラム58から出て行くことを可能にすることにより、粉砕ミル12の分級ディスク32と同じように動作する。粗大凝集体は渦カラム56の底部に沈降し、粗大凝集体が許容されるプロセスにおいてフィラーとして用いるために容器62に収集される。微細凝集体出口64を通過した微細凝集体は、微細凝集体を収集するポリマー表面積フィルターを含有するフィルターホッパー68に流れる。微細凝集体は、容易に空気に浮遊ほどサイズが小さく、この工程が必要である。フィルターホッパー68を通過した後、微細凝集体は、次いで、任意に磁気分離器70を通過して、存在する可能性のある全ての金属の不純物を取り除き、次いで、微細凝集体は保持領域72に移動し、ここで微細凝集体の混合物を形成し、容器、ペレタイザー、袋中に貯蔵されるか、又はエラストマーとブレンドされて、微細凝集体が空気に浮遊することを防ぐ。微細凝集体の混合物及び粗大凝集体の混合物は、多量のカーボンブラックを含有し、バージンカーボンブラックに匹敵する有用なフィラー材料である。
【0020】
保持領域72における微細凝集体の混合物は、本発明に従ったカーボンブラック粒子を含む粒子のクラスターである。微細凝集体の混合物は、タイヤ、ポリマーの自動車構成物、ミルクカートン及びその他の容器などの再利用可能なポリマー構成物、アスファルト、又は、ゴムの混合プロセスにおいてフィラーとして用いるために適した微細凝集体を生み出すポリマー材料の任意のその他の適切な供給源などのポリマー材料の熱分解から形成される。微細凝集体の混合物は、一般的に、本発明の好ましい実施態様において、微細凝集体の混合物の約80重量%〜約95重量%、典型的には約85重量%〜約90重量%、好ましくは約89重量%〜約91重量%、そして約90重量%の炭素含有量を含む。
【0021】
微細凝集体の混合物の平均凝集体サイズは、4ミクロン以下であり、水溶液に分散させ、電子顕微鏡を用いて測定した場合には、平均で35nm以下の微細凝集体粒子のクラスターから形成される。微細凝集体粒子のサイズは、凝集体サイズが小さいほど、N500〜N600級のバージンカーボンブラックに匹敵する高級フィラーとして用いるためにより良いという観点から重要である。
【0022】
微細凝集体の混合物の窒素表面積は、フィラー材料が高級フィラー材料として適しているかどうかを決定する際における、別の重要な要素である。窒素表面積は、ゴムの混合において用いた場合にフィラー材料が有する結合親和性の指標である。本発明の微細凝集体の混合物は、一般的に、二つの異なる手法である、BET法及びヨウ素吸収法を用いて測定した窒素表面積を有する。微細凝集体の混合物は、一般的に約46m2/g〜約72m2/g、好ましくは約58m2/gのBET法を用いて決定した窒素表面積を有する。微細凝集体の混合物は、約53mgI2/g〜約254mgI2/g、好ましくは約176mgI2/gのヨウ素吸収法を用いて決定した窒素表面積を有する。
【0023】
微細凝集体の混合物はまた、熱分解されたカーボンブラック粒子と、微細凝集体の混合物が分離及び識別装置によって処理した後にN500〜N600の格付けを有する市販のカーボンブラックのように機能することを可能にする無機機能性フィラー材料とを有する。無機機能性フィラーは、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化鉄、酸化カルシウム、マグネシウム、又はこれらの組み合わせの群から選択された一種類であることができる。微細凝集体の混合物を望ましい等級のバージンカーボンブラックのように機能させることができるならば、その他の無機フィラー材料を用いることも可能である。本発明は、一般的に、該微細凝集体の混合物の約5重量%〜約20重量%、典型的には約8重量%〜約15重量%。そして好ましくは約9重量%〜約11重量%、そして本発明の好ましい実施態様においては約10重量%の機能性無機フィラーを有する。
【実施例】
【0024】
実施例1
識別及び分離装置10から得られる微細凝集体の混合物を、これ以降、再生された炭素質の混合物として言及する。識別及び分離装置10からの微細凝集体の混合物は、該再生された炭素質の混合物の、一般的には約80重量%〜約95重量%、典型的には約85重量%〜約91重量%、好ましくは約89重量%〜約91重量%、そして好ましい実施態様においては約90重量%の炭素含有量を含む。本発明に従った微細凝集体の混合物は、該微細凝集体の混合物の、一般的には約5重量%〜約20重量%、そして典型的には約8重量%〜約15重量%、好ましくは約9重量%〜約11重量%、そして好ましい実施態様においては約10重量%である機能性無機フィラーを有する。機能性無機フィラーは、これらに限定されないが、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)を含む、鉱物である。これらの機能性無機フィラーが熱分解され、識別及び分離設備10を通過した後、微細凝集体の混合物は、N500及びN600シリーズのカーボンブラックであるバージンカーボンブラックに等しい機械的性質及び化学的性質を有する。
【0025】
微細凝集体の混合物のより重要な性質のうちの2つは、凝集体の凝集サイズ及び窒素表面積である。小さな凝集体サイズ、高い窒素表面積、及び低い相対凝集体粒子密度を有することが望ましい。微細凝集体の混合物は、水溶液中に分散させた場合には、約10nm〜35nm、典型的には約15nm〜約30nmの間の範囲、そして好ましくは約25nmの粒子サイズを有する。本発明の微細凝集体の混合物は、一般的に、二つの異なる手法である、BET法及びヨウ素吸収法を用いて測定された窒素表面積を有する。微細凝集体の混合物は、一般的には約46m2/g〜72m2/g、そして好ましくは約58m2/gのBET法を用いて決定した窒素表面積を有する。微細凝集体の混合物は、約53mgI2/g〜約254mgI2/g、そして好ましくは約176mgI2/gのヨウ素吸収法を用いて決定した窒素表面積を有する。
【0026】
実施例2
上記の識別及び分級装置10を用いて準備された微細凝集体の混合物の分析を実行し、その性質を、材料の熱分解を通して製造された混合物を含有するその他のカーボンブラックと比較した。以下に参照する表1は、分析した各々の混合物の炭素及び灰の含有量の分析を示している。070614、23615、09620B、09629MとラベルされたサンプルはCPH Companyから入手し、周囲圧力での熱分解を用いて製造し、次いで、材料を同じ条件において空気波によって処理した。CBpとラベルされたサンプルは、本発明の一実施態様に従って準備された微細凝集体の混合物だった。CBP0とラベルされたサンプルは、カナダのPyrovac Companyから入手した材料の混合物であり、減圧熱分解によって得られた。KHC2及びKHKC1とラベルされたサンプルは、台湾のKHC Companyからのサンプルであり、減圧熱分解によって(KHC2)、及び同様に酸溶液で洗浄することによって無機コンパウンドの不純物から分級した後に(KHC1)得られた。
【0027】
【表1】
CBpサンプルは、研究下のいくつかのサンプルと比較した場合に、相対的に高い炭素含有量、ならびにより低い灰の含有量を有していた。KHC1サンプルはより低い灰の含有量を有しており、これは熱分解後に行われる洗浄プロセスの結果であると決定された。洗浄プロセスは、いくらかの灰を取り除くことができる。しかしながら、以下で議論するように、これは窒素表面積に望ましくない影響を及ぼしうる。
【0028】
バージンカーボンブラックと同等な適したフィラーを作り出すために、粒子サイズ及び窒素表面積という2つの特性が存在する。表2は、分析したサンプルから得られた窒素表面積データを説明する。二つの異なる手法である、BET法及びヨウ素吸収法を用いて窒素表面積を決定した。
【0029】
【表2】
特に、平均凝集体粒子サイズを考慮した場合には、CBP材料は良好な窒素表面積値を有していたことが見出された。070614、023615、026202B、及び026220M、ならびにCBP0サンプルは全て、CBPサンプルと比較してより高い窒素表面積値を有していた。しかしながら以下に見られるように、これらのサンプルはまた、望ましくない特性である、より非常に大きな凝集体サイズを有していた。
【0030】
それぞれのサンプルの粒子サイズに関して、以下に参照する表3は、研究下のサンプルに関して見出された平均凝集体粒子サイズを説明する。粒子サイズは、凝集体が水溶液に分散された場合に凝集体を形成する粒子のサイズ、すなわち平均直径を意味する。
【0031】
【表3】
この発明に従ったCBPサンプルは、テストしたサンプルのうち最も小さな平均粒子サイズを有していた。
【0032】
図4aは、285650倍に拡大された微細凝集体の混合物CBPの顕微鏡写真であり、一方図4bは28650倍に拡大された同じ凝集体である。図5a及び図5bは、それぞれ285650倍及び28650倍に拡大されたKHC1凝集体の顕微鏡写真である。かかる顕微鏡写真の分析は、CBpサンプル中の、より軽く、より綿毛状の凝集体を示している。KHC1凝集体は、より固体状の、より暗い凝集体を示しており、KHC1凝集体はCBp凝集体よりも密度が高いことを示している。これは、これらの凝集体の結合表面積がそれほど大きくないことを示している。その他のサンプルの顕微鏡写真は得られなかった。
【0033】
図6a〜図6dは、テストしたCBP、KHC1、KHC2、及びCBP0サンプルの粒子サイズ分布を説明するグラフである。図6aは、CBPサンプルが、22〜25nmの間に中心があり、粒子の分布がこの点から変化する粒子サイズ分布又は凝集体サイズ分布を有することを示している。図6bは、KHC1サンプルに関する粒子サイズ分布データのグラフである。このデータは、25〜30nmから40〜50nmの範囲のとても幅広い粒子サイズ分布を示している。図6cは、KHC2サンプルに関する粒子サイズ分布のグラフであり、とても幅広い粒子の分散を示しており、40nm〜65nmまでの至る所で最も高い頻度である。図6dは、CBP0サンプルの粒子サイズ分布を示すグラフであり、本発明に従って準備されたCBP混合物と比較して、25〜45nmの範囲でより非常に低い粒子頻度を有する。また、CBP0サンプルは、45〜60nmの範囲において、より高い粒子頻度を有する。図6a〜図6dに示す全体的な粒子サイズの分散は、CBPサンプルが、テストしたその他のサンプルと比較した場合に、粒子が一貫してより高い頻度を有することを説明している。
【0034】
本発明に従って用いた材料の追加の情報及び実施例は、2007年10月9日出願の、「再生されたフィラー材料を用いたエラストマー組成物」と名付けられた米国特許出願第60/998,197号明細書、2007年11月8日出願の、「熱分解された炭中の粒子の分級方法」と名付けられた米国特許出願第60/986,318号明細書、2007年11月8日出願の、「熱分解された炭素質の材料を用いたアスファルト組成物」と名付けられた米国特許出願第60/986,369号明細書、及び2007年11月7日出願の、「非常に微細な凝集体の混合物」と名付けられた米国特許出願第60/986,126号明細書、に見出され、ここで各々の出願の全体を参照により本明細書中に援用する。
【0035】
本発明の記載は実際には単なる例示であり、それ故に、本発明の骨子から逸脱しない変化は、本発明の範囲内であると意図している。かかる変化は、本発明の精神及び範囲から逸脱するものとはみなされない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、望ましい化学的性質及び物理的性質を有する微細凝集体の混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
この出願は、
2007年11月7日出願の米国特許仮出願第60/986,126号;
2007年10月9日出願の米国特許仮出願第60/998,197号;
2007年11月8日出願の米国特許仮出願第60/986,318号;
2007年11月8日出願の米国特許仮出願第60/986,369号;
の各出願の利益を請求する。
【0003】
上記の各出願の開示を、参照により本明細書中に援用する。
発明の背景
ゴム産業において、乗り物のタイヤ及びシールなどのゴム製品は、典型的には、カーボンブラック又はシリカなどのフィラーの混合物をゴム中に混ぜ、次いで加硫処理することによって作られる。乗り物のタイヤに関しては、コードを埋め込み、トレッド、側壁、及び内部のライニングにおいて違う種類のゴムを用いることにより、追加の構造的な性質を導入する。
【0004】
タイヤ製造者などのゴム材料の製造者は、典型的には、異なった供給源から原材料を受け取る。ゴムは、ベールで、又は場合により屑若しくは粉末として受け取る。ゴムを作る際には、カーボンブラックなどのフィラー材料を用いる。
【0005】
タイヤなどのゴムのコンパウンドにおけるフィラーとして用いるために最も望ましいカーボンブラックは、その元々の状態において綿毛状の(fluffy)カーボンブラックと呼ばれる。次いで、それはペレット化されるか、又はスラリー中に混合される。綿毛状のカーボンブラックは、ナノメートル(nm)の単位で測定され、非常に低いバルク密度を有する微細粒子又は微細凝集体からなるカーボンブラック凝集体である。油炉プロセスを含む、カーボンブラックを作るためのいくつかのプロセスが存在する。油炉プロセスにより、本質的に、油を熱分解して、しばしばバージン(virgin)カーボンブラックと呼ばれる純粋な炭素粒子が製造される。より最近は、スクラップタイヤなどの使用済みのゴム製品から綿毛状のカーボンブラックを含むカーボンブラックを製造し、及び/又は再生することに大きな関心が寄せられている。かかるプロセスは、本質的に、カーボンブラックフィラーを使用済みのゴム製品から抽出又は回収し、新しいゴム製品にフィラー材料として再利用することを可能にする。
【0006】
タイヤ及びその他のゴム製品を再利用して、熱分解と呼ばれるプロセスの使用を通して利用可能な炭化水素を再生しようとする多くの試みがなされてきた。熱分解を通して、タイヤ及びその他の油ベースのコンパウンドは処理されて、燃料及びその他の炭化水素のコンパウンドが製造される。熱分解プロセスの結果として生ずる一つの特定の副生成物は、プロセスが完了した後の残留物である炭素質の灰、又は炭材料である。この炭を、ある種類のフィラーとして用いるための低級カーボンブラックとして用いようとする試みがなされてきた。しかしながら、この試みはいくつかの欠点に遭遇しており、最も重大な欠点は、炭の粒子サイズのランダムな分布から生ずる炭中の不純物、ならびに灰などの望ましくない不純物である。更に、粒子の表面の化学的性質は、フィラー材料として用いるためのカーボンブラック材料の能力に影響を与え、いくつかの過去の試みは、好ましくない表面の化学的性質を有するブラックカーボン凝集体粒子を生じている。
【0007】
それ故に、バージンカーボンブラック材料に匹敵する高級フィラー材料として用いるために適した、再生された炭素質の混合物を提供する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、スクラップタイヤ、ポリマーの自動車構成物、使用済みのゴム材料、及びプラスチック容器などの再利用可能なポリマー材料の熱分解から形成される微細凝集体の混合物に向けられている。この混合物は、微細凝集体の混合物の約80重量%〜約95重量%の間の範囲の炭素含有量を有する。微細凝集体の混合物は、平均して35nm以下の凝集体粒子を有する。微細凝集体の混合物はまた、73m2/g以上の窒素表面積を有し、微細凝集体の混合物の約5重量%〜約20重量%の間の範囲における無機機能性フィラーを含む。
【0009】
本発明の記載は実際には単なる例示であり、それ故に、本発明の骨子から逸脱しない変化は、本発明の範囲内であると意図している。かかる変化は、本発明の精神及び範囲から逸脱するものとはみなされない。
【0010】
詳細な記載、及び添付の図面から、本発明をより完全に理解することになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、分級及び識別装置の先行技術の概略図である。
【図2】図2は、本発明に従った、粉砕ミル及びそれを通るカーボンブラックのフローの平面概略図である。
【図3】図3は、本発明に従った分級器の平面概略図である。
【図4a】図4aは、本発明の教示に従った、水溶液中に分散させて、265650倍に拡大した、微細凝集体の混合物の顕微鏡写真である。
【図4b】図4bは、本発明の教示に従った、水溶液中に分散させて、26565倍に拡大した、微細凝集体の混合物の顕微鏡写真である。
【図5a】図5aは、水溶液中に分散させて、265650倍に拡大した、KHC1集合体の顕微鏡写真である。
【図5b】図5bは、水溶液中に分散させて、26565倍に拡大した、KHC1集合体の顕微鏡写真である。
【図6a】図6aは、本発明の教示に従った、微細凝集体の混合物の粒子サイズ分布を説明するグラフである。
【図6b】図6bは、KHC1サンプルの粒子サイズ分布を説明するグラフである。
【図6c】図6cは、KHC2サンプルの粒子サイズ分布を説明するグラフである。
【図6d】図6dは、CBp0サンプルの粒子サイズ分布を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の好ましい各実施態様の記載は、実際には単なる例示であり、本発明、その用途、又はその使用を限定することを意図するものではまったくない。
本発明は、エラストマーのコンパウンドにおけるフィラー材料として用いるために適した微細凝集体の混合物の形成に向けられている。微細凝集体の混合物は、本発明の一つの側面に従って識別及び分離設備10を用いて処理した、熱分解されたポリマー材料から準備される。図1は、本発明に従った識別及び分離設備10の概略図を示す。まず、全ての図面、特に図1を参照すると、設備10は粉砕ミル12及び分級器14を含む。ホッパー16は、再生された炭素質の材料のための、設備10への供給源として役立つ。ホッパー16を用いて、これらに限定されないが、スクラップタイヤ、ポリマーの自動車構成物、使用済みのゴム材料、及びプラスチック容器などの、再利用されたポリマー材料の熱分解によって準備された、再生された炭素質の材料を収集する。再生された炭素質の材料は、カーボンブラック及びその他の材料の、大きな凝集体及び小さな凝集体からなる。収集ホッパー16を使用して、は再生された炭素質の材料を保持するが、再生された炭素質の材料を、ホッパー16中にまず収集することなく、熱分解反応器(図示せず)から設備10に直接供給することも可能である。
【0013】
バルブ18は、再生された炭素質の材料の、ホッパー16から磁気分離器20へのフローを制御する。再生された炭素質の材料は、再利用されたポリマー材料中に熱分解より前に存在していた金属粒子を有することもある。これらの金属粒子は、粉砕ミル12を傷つける可能性があり、磁気分離器20はこれらの望ましくない金属粒子を取り除く。磁気分離器20の使用は必須ではなく、より多くの数の、又はより少ない数の磁気分離器を使用しても良い。
【0014】
磁気分離器20を通過した後、再生された炭素質の材料は、回転しかつ材料の粉砕ミル12へのフローを制御するスクリュー22に現れる。バルブ24を用いて、再生された炭素質の材料の混合節点26へのフローを出したり止めたりする。混合節点26では、再生された炭素質の材料を、空気供給源28から生成された、ろ過された乾燥高圧空気と混合する。乾燥し加圧された空気と再生された炭素質の材料との混合物は、粉砕ミル12の供給入口30(図2を参照)を通して導入される供給物である。
【0015】
図2は、渦カラム28を有する粉砕ミル12の概略的な図を示す。粉砕ミル12において、加圧された供給物は供給入口30を通して導入され、渦カラム28の周囲を旋回し、これにより供給物中に存在する小さな凝集体が渦カラム28の頂部に移動し、一方でより大きな凝集体は下方に落ちる。単一の供給入口30が記載されているが、渦カラム28中における旋回を調節し、又は促進するために、より多くの数の供給入口を有することも可能である。分級ディスク32が渦カラム28中に存在し、供給物の旋回に寄与し、大きな凝集体が分級ディスク22を通り越して移動することを防ぐ。分級ディスク32は凝集体及び空気を渦カラム28中で旋回させ、比重を用いて、重く密な凝集体及び粒子をより軽い低密度の凝集体及び粒子から分離する。それ故に、重く密な凝集体は渦カラム28の底部に沈降し、一方で低密度の凝集体は渦カラム28の頂部に移動する。
【0016】
より大きな凝集体は渦の底部に移動して、粉砕ミル12の細分化チャンバー34に入る。チャンバーの相対する側でお互いのほうに向けて大きな凝集体粒子を吹き飛ばすために、少なくとも二つの相対する空気入口36が細分化チャンバー34に存在する。二つの相対する空気入口36を論じたが、より多くの数の、又はより少ない数の相対する空気入口36を有することが可能である。大きな凝集体粒子はお互いのほうに向けて加速され、衝突し、そしてより小さな凝集体に細分化される。より小さな凝集体は、渦カラム28中に再び導入され、ここでその密度が十分に低い場合には分級ディスク32を通り越し、次いで小凝集体ポート38を出発する。細分化されなかったより大きな凝集体は、チャンバー出口38を出て収集される。場合により、チャンバー出口38を経由して出た大きな凝集体は、再生された炭素質の材料にバルブ24で再び導入することが出来る。
【0017】
小凝集体ポート38を通過した小さな凝集体は、二つのフィルターホッパー40、40’の一つへ流れる。フィルターホッパーは、渦カラム28を出た後に空気に浮遊することとなる傾向を有する小さな凝集体を収集するポリマー表面積フィルターを含有する。本発明は小さな凝集体を収集するために二つのフィルターホッパーの使用を記載するが、粉砕ミル12からの生産速度に依存して、より多くの数の、又は少ない数のフィルターホッパーを用いることは、この発明の範囲内である。バルブ42、42’は、フィルターホッパー40、40’から、小さな凝集体を分級器14に供給するために用いられる小凝集体供給ホッパー44への、小さな凝集体のフローを制御する。図1はフィルターホッパー40、40’に関連する複数のバルブ42、42’を示すが、より多くの数の、又はより少ない数のバルブを有することも可能である。小凝集体供給ホッパー44を出た後、小さな凝集体は任意に第2の磁気フィルター46を通過して、存在する全ての金属不純物を更に取り除く。供給スクリュー48は小さな凝集体を受け取り、小さな凝集体を別の供給スクリュー52及びバルブ54に移動させるコンベヤー50に供給される小さな凝集体のフローを制御し、バルブ54は小さな凝集体の分級器14へのフローを制御する。供給スクリュー48によりフローを分級器14に直接流すことはこの発明の範囲内であるが、識別及び分離設備10における構成物の物理的なサイズは小さな凝集体が構成物の間の距離を移動することを必要とするので、好ましくは複数の供給スクリュー及びコンベヤーを用いる。
【0018】
図1及び図3を参照すると、小さな凝集体は二つの高圧入口66の一つを通って分級器14に入る。小さな凝集体は加圧された乾燥空気と混合され、二つの入口66の一つを通って供給され、分級器14の渦カラム56内で旋回し、分級器14で小さな凝集体は粗大凝集体の混合物及び微細凝集体の混合物に分離される。小さな凝集体のいくらかは、粗大凝集体から出来ており、微細凝集体が粗大凝集体に付着している。小さな凝集体の旋回により、低い密度を有し、ナノメートルの範囲のサイズである微細凝集体は、より非常に密であり、ミクロンの単位で測定される粗大凝集体粒子から分離される。渦カラム56における旋回運動は高圧入口66及び回転分級ホイール58を通って流れる空気圧によって起こり、より密度が低くより小さな粒子サイズの微細凝集体を渦カラム56の頂部に移動させる。より密度が高く、小さな凝集体よりサイズが一般的に大きな粗大凝集体は、渦カラムの底部に移動する。より多くの数の、又はより少ない数の空気入口66を有すること、ならびに一つより多くの高圧入口66を通して小さな凝集体を渦カラム56に導入することは、この発明の範囲内である。
【0019】
回転分級ホイール58は、一定のサイズ、及び一定の密度の凝集体のみが微細凝集体出口64を通って渦カラム58から出て行くことを可能にすることにより、粉砕ミル12の分級ディスク32と同じように動作する。粗大凝集体は渦カラム56の底部に沈降し、粗大凝集体が許容されるプロセスにおいてフィラーとして用いるために容器62に収集される。微細凝集体出口64を通過した微細凝集体は、微細凝集体を収集するポリマー表面積フィルターを含有するフィルターホッパー68に流れる。微細凝集体は、容易に空気に浮遊ほどサイズが小さく、この工程が必要である。フィルターホッパー68を通過した後、微細凝集体は、次いで、任意に磁気分離器70を通過して、存在する可能性のある全ての金属の不純物を取り除き、次いで、微細凝集体は保持領域72に移動し、ここで微細凝集体の混合物を形成し、容器、ペレタイザー、袋中に貯蔵されるか、又はエラストマーとブレンドされて、微細凝集体が空気に浮遊することを防ぐ。微細凝集体の混合物及び粗大凝集体の混合物は、多量のカーボンブラックを含有し、バージンカーボンブラックに匹敵する有用なフィラー材料である。
【0020】
保持領域72における微細凝集体の混合物は、本発明に従ったカーボンブラック粒子を含む粒子のクラスターである。微細凝集体の混合物は、タイヤ、ポリマーの自動車構成物、ミルクカートン及びその他の容器などの再利用可能なポリマー構成物、アスファルト、又は、ゴムの混合プロセスにおいてフィラーとして用いるために適した微細凝集体を生み出すポリマー材料の任意のその他の適切な供給源などのポリマー材料の熱分解から形成される。微細凝集体の混合物は、一般的に、本発明の好ましい実施態様において、微細凝集体の混合物の約80重量%〜約95重量%、典型的には約85重量%〜約90重量%、好ましくは約89重量%〜約91重量%、そして約90重量%の炭素含有量を含む。
【0021】
微細凝集体の混合物の平均凝集体サイズは、4ミクロン以下であり、水溶液に分散させ、電子顕微鏡を用いて測定した場合には、平均で35nm以下の微細凝集体粒子のクラスターから形成される。微細凝集体粒子のサイズは、凝集体サイズが小さいほど、N500〜N600級のバージンカーボンブラックに匹敵する高級フィラーとして用いるためにより良いという観点から重要である。
【0022】
微細凝集体の混合物の窒素表面積は、フィラー材料が高級フィラー材料として適しているかどうかを決定する際における、別の重要な要素である。窒素表面積は、ゴムの混合において用いた場合にフィラー材料が有する結合親和性の指標である。本発明の微細凝集体の混合物は、一般的に、二つの異なる手法である、BET法及びヨウ素吸収法を用いて測定した窒素表面積を有する。微細凝集体の混合物は、一般的に約46m2/g〜約72m2/g、好ましくは約58m2/gのBET法を用いて決定した窒素表面積を有する。微細凝集体の混合物は、約53mgI2/g〜約254mgI2/g、好ましくは約176mgI2/gのヨウ素吸収法を用いて決定した窒素表面積を有する。
【0023】
微細凝集体の混合物はまた、熱分解されたカーボンブラック粒子と、微細凝集体の混合物が分離及び識別装置によって処理した後にN500〜N600の格付けを有する市販のカーボンブラックのように機能することを可能にする無機機能性フィラー材料とを有する。無機機能性フィラーは、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化鉄、酸化カルシウム、マグネシウム、又はこれらの組み合わせの群から選択された一種類であることができる。微細凝集体の混合物を望ましい等級のバージンカーボンブラックのように機能させることができるならば、その他の無機フィラー材料を用いることも可能である。本発明は、一般的に、該微細凝集体の混合物の約5重量%〜約20重量%、典型的には約8重量%〜約15重量%。そして好ましくは約9重量%〜約11重量%、そして本発明の好ましい実施態様においては約10重量%の機能性無機フィラーを有する。
【実施例】
【0024】
実施例1
識別及び分離装置10から得られる微細凝集体の混合物を、これ以降、再生された炭素質の混合物として言及する。識別及び分離装置10からの微細凝集体の混合物は、該再生された炭素質の混合物の、一般的には約80重量%〜約95重量%、典型的には約85重量%〜約91重量%、好ましくは約89重量%〜約91重量%、そして好ましい実施態様においては約90重量%の炭素含有量を含む。本発明に従った微細凝集体の混合物は、該微細凝集体の混合物の、一般的には約5重量%〜約20重量%、そして典型的には約8重量%〜約15重量%、好ましくは約9重量%〜約11重量%、そして好ましい実施態様においては約10重量%である機能性無機フィラーを有する。機能性無機フィラーは、これらに限定されないが、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)を含む、鉱物である。これらの機能性無機フィラーが熱分解され、識別及び分離設備10を通過した後、微細凝集体の混合物は、N500及びN600シリーズのカーボンブラックであるバージンカーボンブラックに等しい機械的性質及び化学的性質を有する。
【0025】
微細凝集体の混合物のより重要な性質のうちの2つは、凝集体の凝集サイズ及び窒素表面積である。小さな凝集体サイズ、高い窒素表面積、及び低い相対凝集体粒子密度を有することが望ましい。微細凝集体の混合物は、水溶液中に分散させた場合には、約10nm〜35nm、典型的には約15nm〜約30nmの間の範囲、そして好ましくは約25nmの粒子サイズを有する。本発明の微細凝集体の混合物は、一般的に、二つの異なる手法である、BET法及びヨウ素吸収法を用いて測定された窒素表面積を有する。微細凝集体の混合物は、一般的には約46m2/g〜72m2/g、そして好ましくは約58m2/gのBET法を用いて決定した窒素表面積を有する。微細凝集体の混合物は、約53mgI2/g〜約254mgI2/g、そして好ましくは約176mgI2/gのヨウ素吸収法を用いて決定した窒素表面積を有する。
【0026】
実施例2
上記の識別及び分級装置10を用いて準備された微細凝集体の混合物の分析を実行し、その性質を、材料の熱分解を通して製造された混合物を含有するその他のカーボンブラックと比較した。以下に参照する表1は、分析した各々の混合物の炭素及び灰の含有量の分析を示している。070614、23615、09620B、09629MとラベルされたサンプルはCPH Companyから入手し、周囲圧力での熱分解を用いて製造し、次いで、材料を同じ条件において空気波によって処理した。CBpとラベルされたサンプルは、本発明の一実施態様に従って準備された微細凝集体の混合物だった。CBP0とラベルされたサンプルは、カナダのPyrovac Companyから入手した材料の混合物であり、減圧熱分解によって得られた。KHC2及びKHKC1とラベルされたサンプルは、台湾のKHC Companyからのサンプルであり、減圧熱分解によって(KHC2)、及び同様に酸溶液で洗浄することによって無機コンパウンドの不純物から分級した後に(KHC1)得られた。
【0027】
【表1】
CBpサンプルは、研究下のいくつかのサンプルと比較した場合に、相対的に高い炭素含有量、ならびにより低い灰の含有量を有していた。KHC1サンプルはより低い灰の含有量を有しており、これは熱分解後に行われる洗浄プロセスの結果であると決定された。洗浄プロセスは、いくらかの灰を取り除くことができる。しかしながら、以下で議論するように、これは窒素表面積に望ましくない影響を及ぼしうる。
【0028】
バージンカーボンブラックと同等な適したフィラーを作り出すために、粒子サイズ及び窒素表面積という2つの特性が存在する。表2は、分析したサンプルから得られた窒素表面積データを説明する。二つの異なる手法である、BET法及びヨウ素吸収法を用いて窒素表面積を決定した。
【0029】
【表2】
特に、平均凝集体粒子サイズを考慮した場合には、CBP材料は良好な窒素表面積値を有していたことが見出された。070614、023615、026202B、及び026220M、ならびにCBP0サンプルは全て、CBPサンプルと比較してより高い窒素表面積値を有していた。しかしながら以下に見られるように、これらのサンプルはまた、望ましくない特性である、より非常に大きな凝集体サイズを有していた。
【0030】
それぞれのサンプルの粒子サイズに関して、以下に参照する表3は、研究下のサンプルに関して見出された平均凝集体粒子サイズを説明する。粒子サイズは、凝集体が水溶液に分散された場合に凝集体を形成する粒子のサイズ、すなわち平均直径を意味する。
【0031】
【表3】
この発明に従ったCBPサンプルは、テストしたサンプルのうち最も小さな平均粒子サイズを有していた。
【0032】
図4aは、285650倍に拡大された微細凝集体の混合物CBPの顕微鏡写真であり、一方図4bは28650倍に拡大された同じ凝集体である。図5a及び図5bは、それぞれ285650倍及び28650倍に拡大されたKHC1凝集体の顕微鏡写真である。かかる顕微鏡写真の分析は、CBpサンプル中の、より軽く、より綿毛状の凝集体を示している。KHC1凝集体は、より固体状の、より暗い凝集体を示しており、KHC1凝集体はCBp凝集体よりも密度が高いことを示している。これは、これらの凝集体の結合表面積がそれほど大きくないことを示している。その他のサンプルの顕微鏡写真は得られなかった。
【0033】
図6a〜図6dは、テストしたCBP、KHC1、KHC2、及びCBP0サンプルの粒子サイズ分布を説明するグラフである。図6aは、CBPサンプルが、22〜25nmの間に中心があり、粒子の分布がこの点から変化する粒子サイズ分布又は凝集体サイズ分布を有することを示している。図6bは、KHC1サンプルに関する粒子サイズ分布データのグラフである。このデータは、25〜30nmから40〜50nmの範囲のとても幅広い粒子サイズ分布を示している。図6cは、KHC2サンプルに関する粒子サイズ分布のグラフであり、とても幅広い粒子の分散を示しており、40nm〜65nmまでの至る所で最も高い頻度である。図6dは、CBP0サンプルの粒子サイズ分布を示すグラフであり、本発明に従って準備されたCBP混合物と比較して、25〜45nmの範囲でより非常に低い粒子頻度を有する。また、CBP0サンプルは、45〜60nmの範囲において、より高い粒子頻度を有する。図6a〜図6dに示す全体的な粒子サイズの分散は、CBPサンプルが、テストしたその他のサンプルと比較した場合に、粒子が一貫してより高い頻度を有することを説明している。
【0034】
本発明に従って用いた材料の追加の情報及び実施例は、2007年10月9日出願の、「再生されたフィラー材料を用いたエラストマー組成物」と名付けられた米国特許出願第60/998,197号明細書、2007年11月8日出願の、「熱分解された炭中の粒子の分級方法」と名付けられた米国特許出願第60/986,318号明細書、2007年11月8日出願の、「熱分解された炭素質の材料を用いたアスファルト組成物」と名付けられた米国特許出願第60/986,369号明細書、及び2007年11月7日出願の、「非常に微細な凝集体の混合物」と名付けられた米国特許出願第60/986,126号明細書、に見出され、ここで各々の出願の全体を参照により本明細書中に援用する。
【0035】
本発明の記載は実際には単なる例示であり、それ故に、本発明の骨子から逸脱しない変化は、本発明の範囲内であると意図している。かかる変化は、本発明の精神及び範囲から逸脱するものとはみなされない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー材料の熱分解から形成される微細凝集体の混合物であって、
35nm以下の平均粒子サイズを有する微細凝集体と、前記微細凝集体及び熱分解カーボンブラック粒子の混合物の約5重量%〜約20重量%の間の範囲における無機機能性フィラーと、
を含む、前記微細凝集体の混合物。
【請求項2】
前記ポリマー材料は、スクラップタイヤから本質的になる、請求項1に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項3】
前記ポリマー材料は、使用済みのポリマーの自動車構成物から本質的になる、請求項1に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項4】
前記ポリマー材料は、再利用可能なポリマー材料から本質的になる、請求項1に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項5】
前記微細凝集体の混合物は、46m2/g以上の窒素表面積を有する、請求項1に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項6】
前記微細凝集体の混合物は、53mgI2/g以上の窒素表面積を有する、請求項1に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項7】
微細凝集体の混合物であって、
前記混合物の実質的に約80重量%〜約95重量%の間の範囲における炭素含有量を有するポリマー材料の熱分解から形成される微細凝集体と、前記微細凝集体の混合物の約5重量%〜約20重量%の間の範囲における無機機能性フィラーと、
を含む、前記微細凝集体の混合物。
【請求項8】
前記微細凝集体は、35nm以下の平均粒子サイズを有する、請求項7に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項9】
前記微細凝集体は、73m2/g以上の窒素表面積を有する、請求項7に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項10】
前記ポリマー材料は、スクラップタイヤから本質的になる、請求項7に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項11】
前記ポリマー材料は、使用済みのポリマーの自動車構成物から本質的になる、請求項7に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項12】
該ポリマー材料は、再利用可能なポリマー材料から本質的になる、請求項7に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項13】
前記微細凝集体の混合物は、53mgI2/g以上の窒素表面積を有する、請求項7に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項14】
微細凝集体の混合物であって、
スクラップタイヤの熱分解から形成される微細凝集体と、前記微細凝集体の混合物の約5重量%〜約20重量%の間の範囲における無機機能性フィラーとを含み、73m2/g以上の窒素表面積を有する、前記微細凝集体の混合物。
【請求項15】
前記微細凝集体の混合物は、炭素が約80重量%〜約95重量%の間である、請求項14に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項16】
前記微細凝集体は、53mgI2/g以上の窒素表面積を有する、請求項14に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項1】
ポリマー材料の熱分解から形成される微細凝集体の混合物であって、
35nm以下の平均粒子サイズを有する微細凝集体と、前記微細凝集体及び熱分解カーボンブラック粒子の混合物の約5重量%〜約20重量%の間の範囲における無機機能性フィラーと、
を含む、前記微細凝集体の混合物。
【請求項2】
前記ポリマー材料は、スクラップタイヤから本質的になる、請求項1に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項3】
前記ポリマー材料は、使用済みのポリマーの自動車構成物から本質的になる、請求項1に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項4】
前記ポリマー材料は、再利用可能なポリマー材料から本質的になる、請求項1に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項5】
前記微細凝集体の混合物は、46m2/g以上の窒素表面積を有する、請求項1に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項6】
前記微細凝集体の混合物は、53mgI2/g以上の窒素表面積を有する、請求項1に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項7】
微細凝集体の混合物であって、
前記混合物の実質的に約80重量%〜約95重量%の間の範囲における炭素含有量を有するポリマー材料の熱分解から形成される微細凝集体と、前記微細凝集体の混合物の約5重量%〜約20重量%の間の範囲における無機機能性フィラーと、
を含む、前記微細凝集体の混合物。
【請求項8】
前記微細凝集体は、35nm以下の平均粒子サイズを有する、請求項7に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項9】
前記微細凝集体は、73m2/g以上の窒素表面積を有する、請求項7に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項10】
前記ポリマー材料は、スクラップタイヤから本質的になる、請求項7に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項11】
前記ポリマー材料は、使用済みのポリマーの自動車構成物から本質的になる、請求項7に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項12】
該ポリマー材料は、再利用可能なポリマー材料から本質的になる、請求項7に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項13】
前記微細凝集体の混合物は、53mgI2/g以上の窒素表面積を有する、請求項7に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項14】
微細凝集体の混合物であって、
スクラップタイヤの熱分解から形成される微細凝集体と、前記微細凝集体の混合物の約5重量%〜約20重量%の間の範囲における無機機能性フィラーとを含み、73m2/g以上の窒素表面積を有する、前記微細凝集体の混合物。
【請求項15】
前記微細凝集体の混合物は、炭素が約80重量%〜約95重量%の間である、請求項14に記載の微細凝集体の混合物。
【請求項16】
前記微細凝集体は、53mgI2/g以上の窒素表面積を有する、請求項14に記載の微細凝集体の混合物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【公表番号】特表2011−503248(P2011−503248A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528886(P2010−528886)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/011616
【国際公開番号】WO2009/048593
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(510100254)シービーピー・カーボン・インダストリーズ・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/011616
【国際公開番号】WO2009/048593
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(510100254)シービーピー・カーボン・インダストリーズ・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】
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