説明

非常時持出用物品収納具

【課題】地震による災害時に保管場所を容易に確認することのできる非常時持出用物品収納具を提供する。
【解決手段】地震時に感震スイッチによって所定の大きさ以上の揺れが検知されると、収納具本体1の外部に向かって各LED3が発光するようにしたので、保管開始から長期間が経過して保管場所を忘れたり、或いは災害時の停電により保管場所が暗くなった場合など、物品収納具の所在位置が分からなくなったときでも、各LED3の発光により物品収納具の所在位置を容易に確認することができ、物品収納具を速やかに持ち出すことができる。この場合、各LED3は、感震スイッチによって揺れが検知されてから所定時間が経過すると自動的に消灯するので、人手によって消灯する必要がなく、電力を無用に消費することもないという利点がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば住居やオフィス等に常備され、地震による災害時に持ち出すための物品を収納する非常時持出用物品収納具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の非常時持出用物品収納具としては、リュックサックからなる収納具本体内に、飲料水や缶詰等の非常食、懐中電灯、ラジオ、救急用品等の非常時持出用の物品を収納し、地震等による災害時に持ち出すようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3016863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように非常時持出用の物品を収納した物品収納具は、住居やオフィス等に常備されているが、非常時以外は必要がないため、通常は比較的目立たない場所に保管されている。しかしながら、保管開始から長期間が経過して保管場所を忘れたり、或いは災害時の停電により保管場所が暗くなった場合など、物品収納具の所在位置が分からなくなることが想定される。このため、地震による災害時において、物品収納具を速やかに持ち出すことができなかったり、或いは持ち出しを断念せざるを得なくなるという問題点があった。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、地震による災害時に保管場所を容易に確認することのできる非常時持出用物品収納具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するために、非常時に持ち出す物品を収納する非常時持出用物品収納具において、前記物品を収納可能に形成された収納具本体と、収納具本体の揺れを検知する感震手段と、感震手段によって所定の大きさ以上の揺れが検知されると、収納具本体の外部に向かって所定時間だけ発光する発光手段とを備えている。
【0007】
これにより、地震時に感震手段によって所定の大きさ以上の揺れが検知されると、収納具本体の外部に向かって発光手段が発光することから、保管開始から長期間が経過して保管場所を忘れたり、或いは災害時の停電により保管場所が暗くなった場合など、物品収納具の所在位置が分からなくなったときでも、発光手段の発光により物品収納具の所在位置を容易に確認することができる。この場合、発光手段は、感震手段によって揺れが検知されてから所定時間だけ発光することから、所定時間が経過すると自動的に消灯する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、地震による災害時において、保管開始から長期間が経過して保管場所を忘れたり、或いは災害時の停電により保管場所が暗くなった場合など、物品収納具の所在位置が分からなくなったときでも、発光手段の発光により物品収納具の所在位置を容易に確認することができ、物品収納具を速やかに持ち出すことができる。この場合、発光手段は、感震手段によって揺れが検知されてから所定時間が経過すると自動的に消灯するので、人手によって消灯する必要がなく、電力を無用に消費することもないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態を示す非常時持出用物品収納具の斜視図
【図2】非常時持出用物品収納具の正面断面図
【図3】制御系を示すブロック図
【図4】制御部の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至図4は本発明の一実施形態を示すもので、地震による災害時に持ち出すための物品を収納する非常時持出用物品収納具に関するものである。
【0011】
この物品収納具は、任意の物品を収納可能に形成された収納具本体1と、収納具本体1の揺れを検知する感震手段としての感震スイッチ2と、収納具本体1の外部に向かって発光する発光手段としての複数のLED3と、所定の音を出力する音出力手段としてのブザー4と、各LED3及びブザー4を制御する制御部5とを備えている。
【0012】
収納具本体1は周知の手提げバッグからなり、非常時に持ち出す任意の物品を収納するようになっている。収納具本体1は一対の提げ手1aを有し、ファスナ1bによって上面側を開閉するようになっている。収納具本体1の下部には、上部よりも硬質に形成された底面部1c及び周壁部1dが設けられ、底面部1c及び周壁部1dによって収納具本体1の下部が横長の箱状に形成されている。
【0013】
感震スイッチ2は、例えば球体の転動や変位を利用したものなど、所定の大きさ以上の揺れによって電気的にスイッチをオンにする周知の機器からなり、収納具本体1内に配置されている。
【0014】
各LED3は、収納具本体1の外面に取り付けられ、収納具本体1の長手方向一方の面の周壁部1dに横一列に配置されている。
【0015】
ブザー4は所定の電子音を出力する周知の機器からなり、収納具本体1内に配置されている。
【0016】
制御部5はマイクロコンピュータによって構成され、感震スイッチ2、各LED3及びブザー4に接続されている。また、制御部5はタイマ5aを有し、乾電池からなる電源6に接続されている。制御部5は制御ユニット5b内に配置された回路基板(図示せず)に設けられ、制御ユニット5bは各LED3が配置される周壁部1dの内面に取り付けられている。また、制御ユニット5b内には電源6が配置されている。
【0017】
以上のように構成された物品収納具は、例えばヘルメット、懐中電灯、救急用品、軍手、安全靴、非常食、ラジオ等、非常時持出用の物品が収納具本体1内に収納され、住所やオフィスにおける所定の場所に保管される。
【0018】
ここで、地震が起きた場合の制御部5の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0019】
まず、地震時の収納具本体1の揺れによって感震スイッチ2がオンになると(S1)、各LED3を点灯するとともに(S2)、ブザー4を作動し(S3)、タイマ5aの計時を開始する(S4)。ここで、所定時間T1 (例えば3分間)が経過する前に(S5)、再度感震スイッチ2がオンになった場合は(S6)、タイマ5aをリセットし(S7)、その時点から時間T1 を計時する(S4)。そして、ステップS5において時間T1 が経過すると、各LED3を消灯するとともに(S8)、ブザー4を停止し(S9)、タイマ5aをリセットした後(S10)、ステップS1に戻る。
【0020】
このように、本実施形態によれば、地震時に感震スイッチ2によって所定の大きさ以上の揺れが検知されると、収納具本体1の外部に向かって各LED3が発光するようにしたので、保管開始から長期間が経過して保管場所を忘れたり、或いは災害時の停電により保管場所が暗くなった場合など、物品収納具の所在位置が分からなくなったときでも、各LED3の発光により物品収納具の所在位置を容易に確認することができ、物品収納具を速やかに持ち出すことができる。この場合、各LED3は、感震スイッチ2によって揺れが検知されてから所定時間T1 が経過すると自動的に消灯するので、人手によって消灯する必要がなく、電力を無用に消費することもないという利点がある。
【0021】
また、所定時間T1 が経過する前に、再度感震スイッチ2がオンになった場合は、その時点から時間T1 を計時するようにしたので、地震が連続または断続的に長く続いた場合でも、最後の揺れを検知してから所定時間T1 が経過するまでは各LED3の発光を継続させることができ、物品収納具の所在位置を確認する際の各LED3の発光時間を十分に確保することができる。
【0022】
更に、物品収納具を持って歩く場合には、収納具本体1に常に揺れが生じて各LED3が発光し続けるので、懐中電灯の代わりにもなり、夜間の避難時に有効である。この場合、収納具本体1は手提げバッグによって形成され、各LED3は収納具本体1の長手方向一方の面に配置されているので、各LED3が前方を向くように収納具本体1を片手に持って提げることができ、物品収納具を持ち歩きながら前方を照明する際に極めて有利である。
【0023】
また、感震スイッチ2によって所定の大きさ以上の揺れが検知されると、ブザー4によって所定の音を出力するようにしたので、各LED3の発光のみならず音によっても物品収納具の所在位置を確認することができ、物品収納具をより速やかに持ち出すことができる。この場合、ブザー4は、各LED3と同様、感震スイッチ2によって揺れが検知されてから所定時間T1 が経過すると自動的に停止するので、人手によって停止する必要がなく、電力を無用に消費することもないという利点がある。また、ブザー4は、各LED3と同様、最後の揺れを検知してから所定時間T1 が経過するまで作動を継続するので、物品収納具の所在位置を確認する際のブザー4の作動時間を十分に確保することができる。
【0024】
更に、発光体としてLED3を用いているので、消費電力を少なくすることができ、電源6の電力消費を低減することができる。
【0025】
尚、前記実施形態では、収納具本体1を手提げバッグによって形成したものを示したが、例えばリュックサックや鞄等、他の形状のものを用いて収納具本体を形成することも可能である。
【符号の説明】
【0026】
1…収納具本体、2…感震スイッチ、3…LED、4…ブザー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常時に持ち出す物品を収納する非常時持出用物品収納具において、
前記物品を収納可能に形成された収納具本体と、
収納具本体の揺れを検知する感震手段と、
感震手段によって所定の大きさ以上の揺れが検知されると、収納具本体の外部に向かって所定時間だけ発光する発光手段とを備えた
ことを特徴とする非常時持出用物品収納具。
【請求項2】
前記所定時間が経過する前に再度感震手段によって所定の大きさ以上の揺れが検知された場合は、その時点から前記所定時間を計時するように構成した
ことを特徴とする請求項1記載の非常時持出用物品収納具。
【請求項3】
前記感震手段によって所定の大きさ以上の揺れが検知されると、所定時間だけ所定の音を出力する音出力手段を備えた
ことを特徴とする請求項1または2記載の非常時持出用物品収納具。
【請求項4】
前記収納具本体を手提げバッグによって形成した
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の非常時持出用物品収納具。
【請求項5】
前記発光体にLEDを用いた
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の非常時持出用物品収納具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−5924(P2013−5924A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140696(P2011−140696)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(591199741)株式会社プロップ (26)
【Fターム(参考)】