説明

非接触型リライトサーマルラベル

【課題】レーザ光を用いて繰り返し行う記録・消去性能を維持しながら、書き換え耐久性(耐熱破壊性)を向上させ得ると共に、印刷適性を向上させることが可能な、可視情報の書き込み及び/又は消去を人手を介することなく、レーザ光を用いて非接触状態で自動的に行い得る非接触型リライトサーマルラベルを提供する。
【解決手段】レーザ光により、非接触で可視情報の書き換えを行うラベルであって、透明基材の一方の面に、順にリライトサーマル層、さらにその上に接着剤層を有することを特徴とする非接触型リライトサーマルラベルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非接触型リライトサーマルラベルに関する。さらに詳しくは、本発明は、レーザ光を用いて繰り返し行う記録・消去性能を維持しながら、書き換え耐久性(耐熱破壊性)を向上させ得ると共に、印刷適性を向上させることが可能な、可視情報の書き込み及び/又は消去を人手を介することなく、レーザ光を用いて非接触状態で自動的に行い得る非接触型リライトサーマルラベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品管理に使用されるラベルにおいては、表面基材として、接触型感熱記録材料が主として使用され、接触型のサーマルプリンタなどを用いて、宛先、送り主、品名、数量、重量、製造年月日、賞味期限、固有識別番号、ロット番号などの情報や、それらをバーコード化したものを印字し、被着体に貼付していた。そして、ラベルとしての役目が終了すると、被着体であるコンテナや段ボールなどを再利用するために、ラベルを人手で剥がすのに多くの時間と手間を要していた。また、ラベルが剥がされた被着体は、別のラベルが再度貼付され、繰り返し利用される。
このように、被着体が繰り返し利用される度に、ラベルの剥離及び貼付が行われているのが実状である。このため、ラベルを被着体からその都度剥がすことなく、被着体に貼付した状態で繰り返し情報の記録及び消去が可能なリライトサーマルラベルが注目され、例えば支持体上に染料前駆体と可逆性顕色剤を含む感熱発色層を設けてなる可視情報記録・消去手段を有する非接触型可逆性感熱記録材料が開発されている。
従来、光学読み取り性を確保するために、白色の基材の上に感熱発色層、光吸収熱変換層を塗布していた。この場合、レーザ光が直接リライト層に与えられることから、記録・消去を複数回繰り返した場合、繰り返し照射されるレーザ光の熱により記録媒体の表面が破壊するという問題が発生していた。また、可変情報の感熱発色の記録以外に、固定情報や各色の色を印刷方式で印刷を行うにあたり、印刷インキと感熱記録層との密着(接着性)が乏しく、印刷が行えないという課題もあった。
【特許文献1】特開2003−118238号公報
【特許文献2】特開2003−320695号公報
【特許文献3】特開2004−90026号公報
【特許文献4】特開2005−250578号公報
【特許文献5】特開2005−111869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような事情のもとで、レーザ光を用いて繰り返し行う記録・消去性能を維持しながら、書き換え耐久性(耐熱破壊性)を向上させ得ると共に、印刷適性を向上させることが可能な、可視情報の書き込み及び/又は消去を人手を介することなく、レーザ光を用いて非接触状態で自動的に行い得る非接触型リライトサーマルラベルを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、透明基材の一方の面に、少なくとも可逆性感熱発色層と外側表面に設けられた接着剤層を有する非接触で可視情報の書き換えを行うラベルであって、該透明基材を介して可逆性感熱発色層にレーザ光を照射することにより、書き換え耐久性(耐熱破壊性)を向上させ得ること、そして透明基材の片面又は両面に印刷用コート層を設けることにより、印刷適性を向上させ得ること、また、接着剤層を白色とすることにより、これまでの白色基材と同様に光学式読み取り性能をもたせることができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1]レーザ光により、非接触で可視情報の書き換えを行うラベルであって、透明基材の一方の面に、順にリライトサーマル層、さらにその上に接着剤層を有することを特徴とする非接触型リライトサーマルラベル、
[2]リライトサーマル層が、透明基材の一方の面に順に光吸収熱変換層と可逆性感熱発色層の2層又は光吸収熱変換剤を含む可逆性感熱発色層の1層で構成されてなる上記[1]項に記載の非接触型リライトサーマルラベル、
[3]接着剤層が白色である上記[1]又は[2]項に記載の非接触型リライトサーマルラベル、
[4]接着剤層に接して透明基材側にアンカーコート層を介在させてなる上記[1]〜[3]項のいずれかに記載の非接触型リライトサーマルラベル、
[5]透明基材の紫外線透過率が10%以下である上記[1]〜[4]項のいずれかに記載の非接触型リライトサーマルラベル、
[6]透明基材の片面又は両面に印刷用コート層を施してなる上記[1]〜[5]項のいずれかに記載の非接触型リライトサーマルラベル、
[7]透明基材の材質がポリエステル系樹脂である上記[1]〜[6]項のいずれかに記載の非接触型リライトサーマルラベル、
[8]700〜1500nmの波長領域をもつレーザ光で記録・消去を行う上記[1]〜[7]項のいずれかに記載の非接触型リライトサーマルラベル、及び
[9]上記[1]〜[8]項のいずれかに記載の非接触型リライトサーマルラベルの接着剤層面に、非接触型で不可視情報の読み書きが可能なICタグを対面するように貼り合わせたことを特徴とする非接触型ICタグ付き非接触型リライトサーマルラベル、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、レーザ光を用いて繰り返し行う記録・消去性能を維持しながら、書き換え耐久性(耐熱破壊性)を向上させ得ると共に、印刷適性を向上させることが可能な、可視情報の書き込み及び/又は消去を人手を介することなく、レーザ光を用いて非接触状態で自動的に行い得る非接触型リライトサーマルラベルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の非接触型リライトサーマルラベル(以下、単にリライトサーマルラベルと称することがある。)は、レーザ光により、非接触で可視情報の書き換えを行うラベルであって、透明基材の一方の面に、順にリライトサーマル層、さらにその上に被着体に貼付するための接着剤層を有することを特徴とする。
従来の非接触型リライトサーマルラベルにおいては、基材の一方の面にリライトサーマル層を有し、基材の他方の面に接着剤層が設けられた構造を有しており、このリライトサーマルラベルを、前記接着剤層を介して被着体に貼付し、前記可逆性感熱発色層にレーザ光を照射して、情報の記録や消去を繰り返し行っていた。
この場合、レーザエネルギーが直接可逆性感熱発色層に与えられることから、情報の記録・消去を複数回繰り返した場合に、リライトサーマルラベルの表面が熱破壊を受けやすいという問題があった。
本発明は、このような問題に対処するためになされたものであり、リライトサーマルラベルの層構成を前記の本発明に係る構成とすることにより、情報の記録・消去において、レーザエネルギーが可逆性感熱発色層に直接与えられずに、透明基材を介して与えられることから、前記従来のリライトサーマルラベルにおける表面の熱破壊の問題を解決することが可能となった。
【0007】
本発明のリライトサーマルラベルにおける透明基材としては、一定の光学特性要件を満たすもの、例えば使用するレーザ光の透過率が、好ましくは80%以上で、可視光線透過率が、好ましくは80%以上であればよく、特に制限されず、任意のフィルム材料を用いることができるが、使用するレーザ光による熱破壊が少ないものが好ましい。このようなフィルム材料としては、例えばポリエステル系樹脂や塩化ビニル系樹脂が好ましく、特にポリエステル系樹脂が好適である。
ポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンナフタレート系樹脂などを用いることができる。
一方、塩化ビニル系樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニルを主体とする共重合体(例えばエチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−ハロゲン化オレフィン共重合体など)、あるいはこれらのポリ塩化ビニル又は塩化ビニル共重合体を主体とする他の相溶性の樹脂(例えばポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、部分ケン化ポリビニルアルコールなど)とのブレンド物などが挙げられる。
この塩化ビニル系樹脂としては、通常その100質量部に対して、可塑剤0〜70質量部程度配合したものが用いられる。
【0008】
当該透明基材には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により各種添加剤、例えば耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、汚染防止剤などを含有させることができる。
当該透明基材の厚さに特に制限はないが、レーザ光の透過性とラベルとしての性能を維持する観点から、10〜300μm程度が好ましく、20〜200μm程度がより好ましい。
また、この透明基材が紫外線の吸収性を有していると、記録されたリライトサーマルラベルが記録後に放置された場合、太陽光をはじめとする紫外線による画像濃度の低下や、染料前駆体である色素や光吸収熱変換剤の分解を抑制できるため、リライトサーマルラベルの耐光性向上に大きく寄与することができる。したがって、透明基材の紫外線透過率は10%以下であることが好ましい。
透明基材としてプラスチックフィルムを用いる場合には、その表面に設けられる各層との密着性を向上させる目的で、所望により酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は透明基材の種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
【0009】
当該透明基材においては、印刷適性や印刷耐久性を付与するために、その片面又は両面に、印刷用コート層(インキ受理層)を設けることができる。この印刷用コート層の形成に用いる印刷用コート剤の種類は、リライトサーマル層に形成された可視情報が透視可能であれば特に制限はなく、使用する印刷方式に合わせてコート剤組成を決めることができる。コート剤のガラス転移温度(Tg)は20〜100℃の範囲がインキ密着性の面で好ましい。更に好ましくは30〜70℃である。このようなコート剤としては、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましく、特にポリエステル系樹脂がレーザ光に対する耐久性(耐熱破壊性)に優れるため好ましい。これらのコート剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの樹脂を含むコート剤は無溶媒型、溶媒型のいずれであってもよい。
当該透明基材の片面又は両面に、前記コート剤を塗布・乾燥して印刷用コート層を形成する方法に特に制限はなく、従来公知の方法、例えばグラビア、マイヤーバー、エアーナイフ、ダイコーターなどを用いて、塗布し、乾燥処理する方法を用いることができる。印刷用コート層の厚さに特に制限はないが、通常0.01〜10μm程度、好ましくは0.05〜5μmである。
このような印刷用コート層を形成することにより、周知の印刷方式により、印刷層を密着性よく設けることができる。印刷方式としては、例えばレタープレス(凸版)、グラビア、フレキソ、スクリーン、インクジェット、電子写真方式などを採用することができる。また、印刷インキに特に制限はないが、インキの耐久性の面から、紫外線硬化型インキが好適である。
【0010】
本発明のリライトサーマルラベルにおいては、前記透明基材の一方の面に、リライトサーマル層を設ける。このリライトサーマル層は、基材面から順に(a)光吸収熱変換層と可逆性感熱発色層、(b)可逆性感熱発色層と光吸収熱変換層、(c)光吸収熱変換剤を含む可逆性感熱発色層の3つの形態があるが、(a)の形態と(c)の形態が好適に用いられる。
前記(a)及び(b)における可逆性感熱発色層(以下、単に感熱発色層と称することがある。)は、一般に無色ないし淡色の染料前駆体、可逆性顕色剤及び必要に応じて用いられるバインダー、消色促進剤、無機顔料、各種添加剤などから構成されている。
前記染料前駆体としては特に制限はなく、従来感熱記録材料において、染料前駆体として用いられている公知の化合物の中から、任意のものを適宜選択して使用することができる。例えば3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリドなどのトリアリールメタン系化合物、ローダミンBアニリノラクタム、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランなどのキサンテン系化合物、4,4'−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミンなどのジフェニルメタン系化合物、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピランなどのスピロ系化合物、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーなどのチアジン系化合物などの中から1種を選び用いてもよく、2種以上を選び組み合わせて用いてもよい。
【0011】
一方、可逆性顕色剤としては、加熱後の冷却速度の違いにより、前記染料前駆体に可逆的な色調変化を生じさせるものであればよく、特に制限はないが、発色濃度、消色性、繰り返しの耐久性などの点から、長鎖アルキル基を有するフェノール誘導体からなる電子受容性化合物が好ましい。
前記フェノール誘導体は、分子中に酸素、硫黄などの原子やアミド結合を有していてもよい。アルキル基の長さや数は、消色性と発色性のバランスなどを考慮して選定されるが、アルキル基としては、炭素数8以上のものが好ましく、特に8〜24程度のものが好ましい。また、長鎖アルキル基を側鎖にもつヒドラジン化合物、アニリド化合物、尿素化合物なども使用することができる。
このような長鎖アルキル基を有するフェノール誘導体としては、例えば4−(N−メチル−N−オクタデシルスルホニルアミノ)フェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N'−n−オクタデシルチオ尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N'−n−オクタデシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N'−n−オクタデシルチオアミド、N−[3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N'−オクタデカノヒドラジド、4'−ヒドロキシ−4−オクタデシルベンズアニリドなどを挙げることができる。
このような可逆性顕色剤の結晶性を利用して、情報を記録する際には、加熱後急冷することにより、一方消去する際には、加熱後徐冷を行うことにより、繰り返し情報の記録及び消去が可能となる。
【0012】
また、感熱発色層を構成する各成分の保持、均一分散性を維持するなどの目的で、必要に応じて用いられるバインダーとしては、例えばポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコールなどの重合体やそれらを構成するモノマーの共重合体を挙げることができる。
さらに、必要に応じて用いられる消色促進剤としては、例えばアンモニウム塩などが、無機顔料としては、例えばタルク、カオリン、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが、その他添加剤としては、例えば公知のレベリング剤や分散剤などが挙げられる。
【0013】
感熱発色層を形成するには、まず適当な有機溶剤中に、前記の染料前駆体、可逆性顕色剤及び必要に応じて用いられる各種添加成分を溶解又は分散させて塗工液を調製する。この際、有機溶剤としては、例えばアルコール系、エーテル系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系などを用いることができるが、特にテトラヒドロフランが分散性などに優れ、好適である。染料前駆体と可逆性顕色剤の割合については特に制限はないが、染料前駆体100質量部に対し、可逆性顕色剤が、通常50〜700質量部、好ましくは100〜500質量部の範囲で用いられる。
次に、このようにして調製された塗工液を、従来公知の手段で塗工し、乾燥処理することにより、感熱発色層を形成する。乾燥処理温度については特に制限はないが、染料前駆体が発色しないように低温で乾燥するのが望ましい。このようにして形成された感熱発色層の厚さは、通常1〜10μm、好ましくは2〜7μmの範囲である。
【0014】
次に、前記の(a)及び(b)における光吸収熱変換層は、一般に光吸収熱変換剤、バインダー及び必要に応じて用いられる無機顔料、帯電防止剤、その他各種添加剤などから構成されている。
前記光吸収熱変換剤は、照射するレーザ光を吸収して熱に変換する作用を有するものであって、使用するレーザ光によって、適宜選択される。レーザ光としては、装置の簡便性や走査性などの面から、発振波長が700〜1500nmの範囲にあるものを選定するのがよく、例えば半導体レーザ光、YAGレーザ光及びFAYbレーザ光が好適である。
該光吸収熱変換剤は、このような近赤外のレーザ光を吸収し、発熱するものであって、可視光域の光はあまり吸収しないものが好ましい。該光吸収熱変換剤が可視光を吸収すると本発明のリライトサーマルラベルの視認性やバーコード読み取り性が低下する。このような要求性能を満たす光吸収熱変換剤としては、有機染料及び/又は有機金属系色素を挙げることができる。具体的には、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、アントラキノン系色素、アズレン系色素、スクワリリウム系色素、金属錯体系色素、トリフェニルメタン系色素、インドレニン系色素などの中から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0015】
前記バインダーとしては、前述の感熱発色層におけるバインダーとして例示したものと同じものを用いることができるが、この光吸収熱変換層は、透明性のものが好ましい。したがって、バインダーとしては、架橋タイプの樹脂が好ましく、特に紫外線や電子線などの電離放射線硬化型樹脂が好適である。
この光吸収熱変換層を形成するには、まず、前記の光吸収熱変換剤、バインダー及び必要に応じて用いられる各種添加剤を含む塗工液を調製する。この際、バインダーの種類によっては、必要に応じ適当な有機溶剤を用いてもよい。バインダーと光吸収熱変換剤の割合については特に制限はないが、バインダー100質量部に対し、光吸収熱変換剤が、通常0.01〜50質量部、好ましくは0.03〜10質量部の範囲で用いられる。しかし、前記光吸収熱変換剤は、可視光域の光も吸収する場合があるため、光吸収熱変換剤の配合量が多いと光吸収熱変換層が着色されるおそれがある。光吸収熱変換層が着色すると、リライトサーマルラベルの外観のみでなく、情報の視認性、バーコードの読み取り性などを低下させるために、発熱による発色感度とのバランスを考慮し、光吸収熱変換剤の配合量を少なく抑えることが好ましい。
次に、このようにして調製された塗工液を、従来公知の手段により塗工し、乾燥処理後、加熱や電離放射線の照射などにより架橋化することによって、光吸収熱変換層を形成する。このようにして形成された光吸収熱変換層の厚さとしては、通常0.05〜10μm、好ましくは0.1〜3μmの範囲である。
【0016】
前記(c)においては、光吸収熱変換剤を含む可逆性感熱発色層が透明基材上に形成される。
この場合、該光吸収熱変換剤の含有量については特に制限はないが、可逆性感熱発色層全質量に基づき、通常0.1〜30質量%、好ましくは0.2〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
この光吸収熱変換剤を含む可逆性感熱発色層を形成する方法に特に制限はなく、前述の感熱発色層形成用塗工液に光吸収熱変換剤を所定の割合で添加してなる塗工液を用い、前記感熱発色層の形成の場合と同様にして形成することができる。
このようにして形成された光吸収熱変換剤を含む可逆性感熱発色層の厚さは、通常1〜10μm、好ましくは2〜7μmの範囲である。
本発明のリライトサーマルラベルにおいては、前記のようにして形成された可逆性感熱発色層又は光吸収熱変換層又は光吸収熱変換剤を含む可逆性感熱発色層(これらを総称して機能層と称する。)上に、必要に応じアンカーコート層を設けることができる。このアンカーコート層は、前記機能層とその上に形成される接着剤層との密着性を向上させる目的や、接着剤層中の成分による機能層への影響を保護する目的などにより、設けられる。
当該アンカーコート層を構成する樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂などを好ましく挙げることができる。
これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。当該アンカーコート層の厚さに特に制限はないが、通常0.05〜10μm、好ましくは0.1〜5μmである。
なお、本発明のリライトサーマルラベルにおける前記の感熱発色層、光吸収熱変換層及びアンカーコート層は、それぞれの塗工液を、ダイレクトグラビア、グラビアリバース、マイクログラビア、マイヤーバー、エアーナイフ、ブレード、ダイ、ロールナイフ、リバース、カーテンコートなどのコート法や、フレキソ、レタープレス、スクリーンなどの印刷方法で塗工、乾燥し、必要ならばさらに加熱することにより、形成することができる。特に、感熱発色層は、発色しないように低温で乾燥するのが望ましい。また、電離放射線硬化型の場合は、電離放射線を照射して硬化させる。
【0017】
本発明のリライトサーマルラベルにおいて、前記の機能層上に、あるいは必要により該機能層表面に設けられたアンカーコート層上に形成される接着剤層としては、被着体へ貼付する利便性の面から、粘着剤からなることが好ましい。
前記接着剤層を構成する粘着剤は、被着体に対して良好な接着性を示し、かつ該被着体とラベルを共にリサイクルする場合、このリサイクルを阻害しない樹脂組成のものが好ましく、特に樹脂成分として、アクリル酸エステル系共重合体を含む粘着剤は、被着体として採用されることが多い、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂などとの相溶性が高いためリサイクル性に優れ好適である。その他、ゴム系、ポリエステル系、ポリウレタン系粘着剤なども使用することができる。また、耐熱性に優れるシリコーン系粘着剤も使用可能であるが、リサイクル工程において、被着体との相溶性が悪いために、リサイクル樹脂が不均一になりやすく、強度低下や外観不良の原因となることがある。また、この粘着剤はエマルション型、溶剤型、無溶剤型のいずれでもよく、また架橋タイプであれば、被着体を繰り返し使用するために施される洗浄工程での耐水性に優れ、ラベル保持の耐久性も向上するために好ましい。該接着剤層の厚さは、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μmの範囲である。
なお、架橋タイプの場合、架橋剤としては、例えばイソシアネート系、エポキシ系、キレート系などの公知の架橋剤を用いることができる。
本発明のリライトサーマルラベルにおいては記録内容の視認性向上や光学式バーコード読み取り性を向上するために、接着剤層として白色接着剤を用いることができる。白色接着剤としては、前記粘着剤へ酸化チタンや白色顔料を添加したものが好ましく用いられる。光学式バーコード読み取り性をもたせるには、白色接着剤層の可視光反射率が50%以上、好ましくは70%以上であるのがよい。
【0018】
本発明のリライトサーマルラベルにおいては、前記接着剤層上に、必要に応じて剥離シートを設けることができる。この剥離シートとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、発泡PET、ポリプロピレンなどのプラスチックフィルムや、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙、クレーコート紙などの剥離シート用基材に、必要により離型剤を塗布したものが用いられる。該離型剤としては、シリコーン系のものが好ましく、その他フッ素系、長鎖アルキル基含有カルバメイト系のものなども使用することができる。離型剤の塗布厚さは、通常0.1〜5.0μm、好ましくは0.2〜3.0μmの範囲である。また、剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常10〜150μm程度である。
接着剤層の形成は、接着剤をロールナイフコーター、リバースコーター、ダイコーター、グラビアコーター、マイヤーバーなどの公知の方法で必要に応じてアンカーコート層が設けられた透明基材の前記機能層側に直接塗布、乾燥して形成してもよいし、あるいは剥離シートの剥離処理面に接着剤を前記方法で塗布、乾燥して接着剤層を設けたのち、これを前記機能層又はアンカーコート層に貼着し、該接着剤層を転写してもよい。後者の転写方法は、感熱発色層を発色させることなく、接着剤の乾燥効率を上げることができるので、好ましい。
【0019】
図1は、本発明の非接触型リライトサーマルラベルの一例のイメージ図である。
リライトサーマルラベル10は、透明基材1の一方の側の面に、光吸収熱変換層2、感熱発色層3、接着剤層4及び剥離シート7が順次設けられていると共に、透明基材1の他方の面に、印刷用コート層5が設けられた構造を有している。図1においては、印刷層6は、透明基材1に設けられた印刷用コート層5上の必要部分に形成されているが、透明基材1の光吸収熱変換層2側に印刷用コート層を設け、その印刷用コート層上の必要部分に形成してもよい。なお、図1において、符号11は、光吸収熱変換層2と感熱発色層3とからなるリライトサーマル層である。
図1で示されるリライトサーマルラベル10は、接着剤層4に貼付された剥離シート7を剥離し、管理すべき物品である被着体8へ貼着され、輸送することができる。
本発明においては、レーザ光(レーザビーム)として、波長が700〜1500nmの範囲にある近赤外レーザビームを用いることが好ましい。波長が700nmより短いものは、視認性及び光学反射読み取り記号の読み取り性が低下するため好ましくない。波長が1500nmより長いものは、パルス単位当たりのエネルギーが高く、熱の影響が大きいため前記機能層が徐々に破壊され、繰り返し記録、消去を行う耐久性が低下するおそれがある。
また、本発明のリライトサーマルラベルにおける記録方式としては、スキャニングミラーを、レーザ光の発振を行うことなく連続駆動させ、レーザ光を発振した場合に想定されるレーザビームの軌跡(仮想レーザビーム)が実質上等速運動している場合のみに、レーザ光を発振させてレーザ光の走査を行い、描画する記録方式が好ましい。
【0020】
また、記録を行う際の、リライトサーマルラベル表面とレーザ光源の距離は、スキャンスピード及び照射出力によって異なるが、文字濃度(バーコード読み取り性)、文字の大きさを考慮して選定する必要がある。好ましくは記録の際はレーザ出力が2.0〜20W程度、照射距離150〜250mm程度、デューティ70〜100%、消去の際はレーザ出力が5〜30W程度、照射距離200〜500mm程度、デューティ70〜100%である。なお、スキャンスピードについては、印字性能又は消去性能を損なわない範囲で速くすることが好ましい。
記録用レーザビームを、記録に必要なエネルギーだけを短時間で照射することにより、急冷効果をもたらし、良好な画像を得ることができる。また、冷風の送風によって、急冷効果をもたらしてもよい。この冷却は、レーザ光の走査と冷却風によって急冷することを交互に行ってもよい。
このようにして情報を記録したリライトサーマルラベルは、被着体に、機械又は人による手作業で貼付される。機械貼りする場合は、グリッドによる圧着方式、ロールで圧着するローラープランジャー方式、エアーによるエアー吹き付け方式などを採用することができる。このようにしてリライトサーマルラベル付きの被着体は、物品の輸送などの目的を果たしたのち、再度利用するために、必要に応じて洗浄される。洗浄方法としては、エアーを吹き付けてゴミなどを除去する方法、水洗い方法、アルカリ温水による洗浄方法などが用いられる。
【0021】
使用済の被着体を再度利用するために、貼付されているリライトサーマルラベルの情報を、新しい情報へ書きなおす必要がある。そのためには、まず記録画像の消去を行う。
本発明のリライトサーマルラベルにおける記録画像の消去方法は、レーザ光による加熱、熱風による加熱などが挙げられ、特に加熱手段を限定するものではない。次に、消去方法の一例を記す。
リライトサーマルラベルの情報を新しい情報に書き直すために消去を行う。この場合、まず、記録されたリライトサーマルラベル表面に700〜1500nmの近赤外レーザ光を照射する。所定のエネルギー量によるレーザ光の照射に加えて、熱ロールなどを接触させる方法、熱風を吹き付ける方法などによって冷却速度を更に遅くすることにより画像残存率を更に低減することができる。
加熱ロールは、100〜140℃程度に加熱することができ、リライトサーマルラベル表面を損傷しないものであれば、特に制限することなく公知の加熱ロールを使用することができる。例えば、ゴムロール、ステンレスロールなどを使用することができる。特に耐熱性に優れるシリコーンゴムロールを好適に使用することができる。ゴム硬度は40度以上が好ましい。
また、熱風を送風することにより、記録画像を消去することができる。この場合、80〜400℃程度の熱風を0.01〜30秒間程度送風する。リライトサーマルラベル及び被着体の熱変形や消去速度を考慮すると、100〜350℃の高温熱風を0.01〜3秒間程度の極短時間送風して加熱することが好ましい。
【0022】
次に、このようにして情報を消去したのち、前述で説明した非接触方式により、新しい情報の記録を行う。このように、前記工程を繰り返すことにより、被着体及びリライトサーマルラベルを繰り返し利用することができる。
本発明のリライトサーマルラベルにおいては、レーザエネルギーが可逆性感熱発色層に直接与えられるのではなく、透明基材を介して与えられるので、書き換え耐久性(耐熱破壊性)を向上させることができ、記録と消去の繰り返し回数は、500回以上が可能である。所定回数利用した被着体及びリライトサーマルラベルは、必要に応じて一緒にリサイクル工程へ送ることも可能である。
本発明のリライトサーマルラベルは、管理対象物に貼付して、非接触で情報の消去又は書き込みを自動的に行う物品管理システムを構築することができる。本発明はまた、前記本発明の非接触型リライトサーマルラベルを、その接着剤層面に、非接触型で不可視情報の読み書きが可能なICタグを対面するように貼り合わせたことを特徴とする非接触型ICタグ付き非接触型リライトサーマルラベルをも提供する。
この非接触型ICタグ付き非接触型リライトサーマルラベルは、ICタグにおける不可視情報記録・消去手段及びリライトサーマルラベルにおける可視情報記録・消去手段の両方に対して、情報の消去及び書き込みを行うことができるため、物品管理システムの構築に好適に用いられる。
【実施例】
【0023】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られたリライトサーマルラベルの性能評価は、以下に示す方法に従って行った。
<記録(印字)方法>
レーザビームを照射するレーザマーカーとして、FAYbレーザ(波長1064nm)[サンクス(株)製、商品名「LP−V10」]を用いて記録を行った。
照射距離180mm、レーザ出力10W、デューティ100%、スキャンスピード1000mm/秒、パルス周期100μs、線幅0.1mm、塗りつぶし間隔0.05mmになるように調節し、アルファベットA〜Jまでの10文字の記録を行った。
<消去方法>
記録媒体に吹き出し口の先端温度300℃の熱風を距離10mmから2秒間送風して、その後自然冷却で消去を行った。
<書き換え試験>
前記の記録方法及び消去方法を100回及び500回繰り返し行った。
(1)記録画像評価
各例で得られた試験用サンプルについて、所定書き換え回数における表面破壊状態、及びバーコード読み取り適性を評価した。
(a)表面破壊状態
表面粗さ計[ミツトヨ社製、機種名「SV300S4」]を用い、各例における書き換え試験前のサンプル及び書き換え試験後のサンプルについて、10点平均表面粗さRzを測定し、それぞれの試験前後におけるRzの差を求め、下記の判定基準に従って評価した。
○:Rzの変化1.0μm未満
△:Rzの変化1.0〜2.0μm未満
×:Rzの変化2.0μm以上
なお、印字なしの場合(基準)、Rzは2.11μmであった。
(b)バーコード読み取り適性
書き換え試験後のサンプルについて、バーコード読み取り適性を、バーコード読取検証機[和泉データロジック社製、「RJS INSPECTOR3000」]を用いて求め、ANSI(American National Standards Institute)規格基準に従って評価した。
○:ANSI評価A〜D
△:ANSI評価F
×:検証機認識不可
(2)耐光性
各例における1回のみ印字を行ったサンプルを、屋外に3日間曝露放置して、耐光試験を実施した。曝露試験後のバーコード読み取り性を前記(b)に記載のバーコード読み取り適性の評価と同様の判定基準に従って評価した。
○:ANSI評価A〜D
△:ANSI評価F
×:検証機認識不可
【0024】
製造例1 感熱発色層形成用塗工液(A液)の調製
染料前駆体として、トリアリールメタン系化合物である3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド10質量部、可逆性顕色剤として4−(N−メチル−N−オクタデシルスルホニルアミノ)フェノール30質量部、分散剤のポリビニルアセタール1.5質量部及び希釈溶剤テトラヒドロフラン2500質量部を、粉砕機及びディスパーにより粉砕、分散させて、感熱発色層形成用塗工液(A液)を調製した。
製造例2 光吸収熱変換層形成用塗工液(B液)の調製
近赤外光吸収熱変換剤(ニッケル錯体系色素)[(株)トスコ製、商品名「SDA−5131」]を、1質量部、紫外線硬化型バインダー(ウレタンアクリレート)[大日精化工業(株)製、商品名「PU−5(NS)」]100質量部及び無機顔料(シリカ)[日本アエロジル工業(株)製、商品名「アエロジルR−972」]3質量部を、ディスパーにより分散させて、光吸収熱変換層形成用塗工液(B液)を調製した。
製造例3 剥離シート付き接着剤層の作製
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[東レ(株)製、商品名「ルミラーT−60」]上に、触媒を添加したシリコーン樹脂[東レ・ダウコーニング(株)製、商品名「SRX−211」]を、乾燥後の厚みが0.7μmになるように塗布した剥離シートを作製した。この剥離シートのシリコーン樹脂層上に、アクリル系粘着剤[東洋インキ製造(株)製、商品名「オリバインBPS−1109」]100質量部に架橋剤[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]を3質量部添加した粘着剤塗液を乾燥後の厚みが30μmになるようにロールナイフコーター方式で塗布した。この粘着剤塗布フィルムを温度100℃のオーブンで2分間乾燥し剥離シート付き接着剤層を作製した。
【0025】
実施例1
基材として厚さ100μm、紫外線透過率85%の透明ポリエチレンテレフタレートフィルム[東レ(株)製、「ルミラーTタイプ」]に、製造例2で調製したB液を、乾燥後の厚さが1.2μmになるようにフレキソ方式にて塗布し、60℃のオーブンで1分間乾燥させた後、紫外線を光量220mJ/cm2で照射して光吸収熱変換層を作製した。次いで、この光吸収熱変換層上に、製造例1で調製したA液をグラビア方式にて乾燥後の厚さが4μmとなるように塗布し、60℃のオーブンで5分間乾燥させ、感熱発色層を形成して2層からなるリライトサーマル層とした。
製造例3で作製した剥離シート付き接着剤層をラミネーターで前記基材の感熱発色層及び光吸収熱変換層が形成されている面と貼り合わせ、リライトサーマルラベルを作製した。
なお、前記基材について、レーザ光線波長1064nm及び可視光線波長550nmにおける透過率を、分光光度計[(株)島津製作所製、機種名「UV−3100PC」]にて測定したところ、それぞれ90%及び90%であった。
このリライトサーマルラベルについて、性能を評価した。結果を第1表に示す。
【0026】
実施例2
実施例1と同じ基材に、製造例1及び2で調製したA液とB液の質量比25:1の混合液を、乾燥後の厚さが5.0μmになるようにフレキソ方式にて塗布し、60℃のオーブンで5分間乾燥させた後、紫外線を光量220mJ/cm2で照射して光吸収熱変換剤を含む感熱発色層の1層からなるリライトサーマル層を形成した。
次に、製造例3で作製した剥離シート付き接着剤層をラミネーターで、前記基材の感熱発色層が形成されている面と貼り合わせ、リライトサーマルラベルを作製し、その性能を評価した。結果を第1表に示す。
実施例3
実施例1において、剥離シート付き接着剤層として、下記の方法で得られたものを用いた以外は、実施例1と同様にして白色接着剤層を有するリライトサーマルラベルを作製し、その性能を評価した。結果を第1表に示す。なお、白色接着剤層面の可視光反射率は75%であった。
<剥離シート付き接着剤層の作製>
製造例3に記載のアクリル系粘着剤100質量部に、架橋剤「コロネートL」(前出)3質量部及び白色顔料[ビックテクノス(株)製、商品名「リキダインOPカラーホワイト5112」]5質量部を溶解又は分散させて粘着剤塗液を調製し、製造例3と同様にして剥離シート付き接着剤層を作製した。
実施例4
実施例3において、感熱発色層上に、ポリウレタンアクリレート系樹脂塗工液[荒川工業(株)製、商品名「ビームセット500」]を用いて厚さ3μmのアンカーコート層を設け、その上に、剥離シート付き接着剤層を貼り合わせた以外は、実施例3と同様にしてリライトサーマルラベルを作製し、その性能を評価した。結果を第1表に示す。
【0027】
実施例5
実施例3において、基材のリライトサーマル層側とは反対側の表面に、ポリエステル樹脂[東洋紡績(株)製、商品名「バイロン20SS」]を乾燥厚さが0.1μmになるように塗布、乾燥して印刷用コート層を形成した以外は、実施例3と同様にしてリライトサーマルラベルを作製し、その性能を評価した。結果を第1表に示す。
また、前記印刷用コート層に、UV硬化型インキ[T&K TOKA社製、商品名「BESTCURE161墨」]を用いてリンテック(株)製、ラベル印刷機「LPM3000」にて印刷を行い、下記のようにして印刷適性を評価した。
<印刷適性>
JIS K 5600−8−5に基づき、セロハン製粘着テープを貼付して引き剥がした際の印刷インキのとられ具合を、(優)0、1、2、3、4、5(劣)の6段階で数値化した。
その結果、本実施例のリライトサーマルラベルの印刷適性は0であった。
なお、実施例3で得られたリライトサーマルラベル(印刷用コート層なし)について、上記と同様の試験を行ったところ、印刷適性は5であった。
実施例6
実施例3において、基材として、厚さ100μmの紫外線吸収性のある(紫外線透過率5%)透明ポリエチレンテレフタレートフィルム[(株)トチセン社製、商品名「PET100UVトチセン」]を用いた以外は、実施例3と同様にしてリライトサーマルラベルを作製し、その性能を評価した。結果を第1表に示す。
なお、前記基材について、実施例1と同様にして測定したレーザ光線波長1064nm及び可視光線波長550nmにおける透過率は、それぞれ90%及び90%であった。
実施例7
不可視情報記録・消去手段であるICチップと、それに接続されているアンテナ回路から構成されている非接触ICタグ[リンテック(株)製、商品名「TS−L102CC」]の表面(上層面)に、実施例6のリライトサーマルラベルの剥離シートを剥がし、接着剤層を介して貼合したのち、所定形状に裁断して非接触型ICタグ付き非接触型リライトサーマルラベルを作製した。
【0028】
比較例1
基材として厚さ100μm、白色のポリエチレンテレフタレートフィルム[東レ(株)製、商品名「ルミラー」]に、製造例1で調製したA液をグラビア方式にて乾燥後の厚さが4μmとなるように塗布し、60℃のオーブンで5分間乾燥させ、感熱発色層を形成した。その後この感熱発色層上に、製造例2で調製したB液を乾燥後の厚さが1.2μmになるようにフレキソ方式にて塗布し、60℃のオーブンで1分間乾燥させた後、紫外線を光量220mJ/cm2で照射して光吸収熱変換層を作製した。次に、製造例3で作製した剥離シート付き接着剤層をラミネーターで、前記基材の感熱発色層及び光吸収熱変換層が形成されている側とは反対側の面と貼り合わせ、リライトサーマルラベルを作製した。
このリライトサーマルラベルについて、その性能を評価した。結果を第1表に示す。
【0029】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の非接触型リライトサーマルラベルは、レーザ光を用いて繰り返し行う記録・消去性能を維持しながら、書き換え耐久性(耐熱破壊性)を向上させ得ると共に、印刷適性を向上させることが可能であって、管理対象物に貼付することにより、非接触で情報の消去又は書き込みを自動的に行う物品管理システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の非接触型リライトサーマルラベルの一例のイメージ図である。
【符号の説明】
【0032】
1 透明基材
2 光吸収熱変換層
3 感熱発色層
4 接着剤層
5 印刷用コート層
6 印刷層
7 剥離シート
8 被着体
10 リライトサーマルラベル
11 リライトサーマル層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光により、非接触で可視情報の書き換えを行うラベルであって、透明基材の一方の面に、順にリライトサーマル層、さらにその上に接着剤層を有することを特徴とする非接触型リライトサーマルラベル。
【請求項2】
リライトサーマル層が、透明基材の一方の面に順に光吸収熱変換層と可逆性感熱発色層の2層又は光吸収熱変換剤を含む可逆性感熱発色層の1層で構成されてなる請求項1に記載の非接触型リライトサーマルラベル。
【請求項3】
接着剤層が白色である請求項1又は2に記載の非接触型リライトサーマルラベル。
【請求項4】
接着剤層に接して透明基材側にアンカーコート層を介在させてなる請求項1〜3のいずれかに記載の非接触型リライトサーマルラベル。
【請求項5】
透明基材の紫外線透過率が10%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の非接触型リライトサーマルラベル。
【請求項6】
透明基材の片面又は両面に印刷用コート層を施してなる請求項1〜5のいずれかに記載の非接触型リライトサーマルラベル。
【請求項7】
透明基材の材質がポリエステル系樹脂である請求項1〜6のいずれかに記載の非接触型リライトサーマルラベル。
【請求項8】
700〜1500nmの波長領域をもつレーザ光で記録・消去を行う請求項1〜7のいずれかに記載の非接触型リライトサーマルラベル。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の非接触型リライトサーマルラベルの接着剤層面に、非接触型で不可視情報の読み書きが可能なICタグを対面するように貼り合わせたことを特徴とする非接触型ICタグ付き非接触型リライトサーマルラベル。

【図1】
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【公開番号】特開2008−146030(P2008−146030A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286108(P2007−286108)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】