非接触型通信装置及びこれを備えた携帯型情報処理端末並びに非接触通信方法
【課題】 簡易な構成にて、リーダライタ装置との通信の安定化を図ることができる非接触型通信装置を提供すること。
【解決手段】 リーダライタ装置10から電波を受信し、この受信した電波による誘起電圧を用いてリーダライタ装置10と通信を行う非接触型通信装置であって、アンテナ5と複数の容量値の設定が可能な蓄電手段4とを有する共振手段と、アンテナ5にて受信した電波によって生じた誘起電圧の値を検出する誘起電圧検出手段6と、蓄電手段4を所定の容量値に設定する容量値制御手段2と、を備え、容量値制御手段2は、誘起電圧検出手段6からの検出値の変化に基づいて当該検出値が上がるよう蓄電手段4の容量値を制御する。
【解決手段】 リーダライタ装置10から電波を受信し、この受信した電波による誘起電圧を用いてリーダライタ装置10と通信を行う非接触型通信装置であって、アンテナ5と複数の容量値の設定が可能な蓄電手段4とを有する共振手段と、アンテナ5にて受信した電波によって生じた誘起電圧の値を検出する誘起電圧検出手段6と、蓄電手段4を所定の容量値に設定する容量値制御手段2と、を備え、容量値制御手段2は、誘起電圧検出手段6からの検出値の変化に基づいて当該検出値が上がるよう蓄電手段4の容量値を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型通信装置にかかり、特に、近接したリーダライタ装置から送信される電波に応じて生じる誘起電力を用いてデータ通信を行う非接触型通信装置に関する。また、これを備えた携帯型情報処理端末及び非接触通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、リーダライタ装置に近接して非接触にてデータ通信を行う非接触型ICカードや、携帯電話などに組み込まれた非接触型通信装置が実用化されている。このようなリーダライタ装置と通信を行うICカードあるいは通信装置は、リーダライタ装置側から送信された電波を受信してこれによって生じる誘起電圧を用いて、つまり、リーダライタ装置側から電力の供給を受けて作動し、データ通信を行う。
【0003】
ここで、図11に、携帯電話100に装備された従来例における非接触型通信装置の回路例を示す。従来例における装置は、携帯電話100内に、非接触通信用アンテナ101と、共振周波数調整用のコンデンサ102と、RFID用のLSI103と、携帯電話100のCPU104と、を備えている。この図に示すように、従来例における共振周波数調整用のコンデンサ102は定数固定である。
【0004】
ところが、リーダライタ装置200は、通常、むきだしの状態ではなく何らかのケースに覆われているものの、当該リーダライタ装置200のアンテナは周囲に金属などが無い自由空間上で共振周波数の設計がされている。このため、リーダライタ装置200を覆うケース部分に金属が含まれていた場合には、その金属の影響を受けてアンテナの共振周波数が設計値からずれることになる。また、リーダライタ装置自身の共振周波数のばらつきも生じうる。このようなことから、リーダライタ装置側の共振周波数がずれることが原因で誘起電圧が下がり、安定した通信が行えなくなる、という不都合も生じていた。
【0005】
そこで、安定した通信を行うことを目的とした非接触型ICカードに関する技術が、下記の特許文献1に開示されている。この文献に開示された技術では、非接触型ICカード内に、アンテナに接続される同調回路の出力レベルを検出するレベル検出回路と、この検出結果に基づいて共振周波数を制御する同調制御回路と、を備えている。そして、通信時の出力レベルが高くなるよう制御している。
【0006】
【特許文献1】特開2005−73113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の記載では、共振周波数を調整して出力レベルが最大となるよう制御するとあるが、具体的な制御方法が記載されていない。このため、リーダライタ装置との短時間の通信の間で、いかに制御して出力レベルを最大とするか、ということが不明であり、依然として上述したように安定した通信を行うことができない、という問題を有する。また、かかる文献記載の技術は、非接触型ICカードに搭載する技術であるため、実際に共振周波数を調整するための可変容量素子の容量値を適切に設定するための構成を搭載することは困難である、という問題が生じうる。
【0008】
このため、本発明では、上記従来例の有する不都合を改善し、特に、簡易な構成にて、リーダライタ装置との通信の安定化を図ることができる非接触型通信装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明の一形態である非接触型通信装置は、
リーダライタ装置から電波を受信し、この受信した電波による誘起電圧を用いてリーダライタ装置と通信を行う非接触型通信装置であって、
アンテナと複数の容量値の設定が可能な蓄電手段とを有する共振手段と、アンテナにて受信した電波によって生じた誘起電圧の値を検出する誘起電圧検出手段と、蓄電手段を所定の容量値に設定する容量値制御手段と、を備え、
容量値制御手段は、誘起電圧検出手段からの検出値の変化に基づいて当該検出値が上がるよう蓄電手段の容量値を制御する、
ことを特徴としている。
【0010】
上記発明によると、容量値制御手段にて蓄電手段の容量値を変化させることによって共振周波数が変化し、誘起電圧が変化する。このとき、この誘起電圧の値を検出して、前回の検出値と比較して上がるよう蓄電手段の容量値を変化させる。これにより、非接触型通信装置は、誘起電圧が高い状態でリーダライタ装置と通信を実現でき、安定した通信を行うことができる。
【0011】
また、容量値制御手段は、誘起電圧検出手段からの検出値が、前回の検出値と比較して上がっている場合には前回と同一の方向に、下がっている場合には前回とは逆の方向に、蓄電手段の容量値を高くあるいは低く設定するよう制御する、ことを特徴としている。特に、容量値制御手段は、誘起電圧検出手段からの検出値が最大となるよう蓄電手段の容量値を制御する、ことを特徴としている。このとき、容量値制御手段は、誘起電圧検出手段からの検出値の変化が上昇から下降に変化したときの容量値を最大と判断し、蓄電手段の容量値の制御を停止する、ことを特徴としている。
【0012】
このように、検出した誘起電圧の値の上下変化に基づいて容量値を制御することで、容易かつ適切に誘起電圧が上がるよう制御することができ、また、短時間にて最大と成るよう制御することができる。従って、短時間の通信時間内に、より安定した通信を実現できる。
【0013】
また、蓄電手段は、電圧が印加されることにより容量値が可変する可変容量素子であり、容量値制御手段は、可変容量素子に電圧を印加して当該可変容量素子の容量値を制御する、ことを特徴としている。
【0014】
あるいは、蓄電手段は、アンテナとの接続の切替が可能な複数の容量素子群からなり、容量値制御手段は、アンテナに少なくとも1つの容量素子が接続されるようアンテナに対する容量素子群の接続を切り替えて蓄電手段の容量値を制御する、ことを特徴としている。
【0015】
これにより、可変容量素子の容量値を可変させたり、あるいは、アンテナに接続される容量素子を切り替えて容量値を変化させることで、容易に誘起電圧の上昇制御を行うことができ、簡易な構成にて実現できる。
【0016】
そして、上記非接触型通信装置は、携帯電話などの携帯型情報処理端末に組み込まれることにより、当該携帯電話にて非接触型通信機能を利用することができる。そして、特に、携帯型情報処理端末の動作を制御する制御手段が、上記容量値制御手段を備えた、ことを特徴としている。
【0017】
また、本発明の他の形態である非接触通信方法は、
リーダライタ装置から電波を受信し、この受信した電波による誘起電圧を用いてリーダライタ装置と通信を行う非接触通信方法であって、
アンテナにて受信した電波によって生じた誘起電圧の値を検出し、
この検出値の変化に基づいて当該検出値が上がるよう、アンテナに接続され共振手段を構成する複数の容量値の設定が可能な蓄電手段の容量値を設定制御する、
ことを特徴としている。
【0018】
また、検出した誘起電圧の値が、前回の検出値と比較して上がっている場合には同様の方向に、下がっている場合には逆の方向に、蓄電手段の容量値を高くあるいは低く設定するよう制御する、ことを特徴としている。そして、特に、検出した誘起電圧の値が、最大となるよう蓄電手段の容量値を制御する、ことを特徴としている。このとき、検出した誘起電圧の値の変化が、上昇から下降に変化したときの容量値を最大と判断し、蓄電手段の容量値の制御を停止する、ことを特徴としている。
【0019】
また、蓄電手段が、電圧が印加されることにより容量値が可変する可変容量素子である場合に、当該可変容量素子に対して電圧を印加して容量値の制御を行う、ことを特徴としている。あるいは、蓄電手段が、アンテナとの接続の切替が可能な複数の容量素子群からなる場合には、アンテナに少なくとも1つの前記容量素子が接続されるようアンテナに対する容量素子群の接続を切り替えて蓄電手段の容量値の制御を行う、ことを特徴としている。
【0020】
上記構成の非接触通信方法であっても、上述した非接触型通信装置と同様の作用、効果を有するため、上記本発明の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上のように構成され機能するので、これによると、非接触型通信装置は、誘起電圧の値を上昇させた状態でリーダライタ装置との通信を行うため、安定した通信を実現することができる、という従来にない優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明である非接触型通信装置は、共振周波数の調整を自動的に行い、リーダライタ装置の共振周波数がずれていても、安定した誘起電圧が得られる、という点に特徴を有する。以下では、非接触型通信装置が携帯電話に搭載されている場合を実施例にて説明する。但し、非接触型通信装置は、他の携帯型情報処理端末に搭載されていてもよく、あるいは、単独で非接触型通信装置として構成されていてもよい。
【実施例1】
【0023】
本発明の第1の実施例を、図1乃至図8を参照して説明する。図1は、携帯電話の構成を示すブロック図であり、図2は、そのCPUの構成を示す機能ブロック図である。図3乃至図6は、携帯電話の動作を説明する説明図であり、図7乃至図8は、携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【0024】
[構成]
本実施例における携帯電話1は、一般的な携帯電話が装備する機能の他に、リーダライタ装置10と非接触で通信を行う機能を装備している。すなわち、リーダライタ装置10から電波を受信し、この受信した電波による誘起電圧を用いてリーダライタ装置10と通信を行う非接触型通信装置を装備している。
【0025】
具体的には、図1に示すように、携帯電話1全体の動作を制御するCPU2と、非接用IC機能を実現するLSI3と、リーダライタ装置10から搬送波(電波)を受信するアンテナ5と、このアンテナ5に接続されて共振手段を実現するコンデンサ4と、を備え、さらに、検波回路6とAFC回路7とを備えている。以下、上記構成について詳述する。
【0026】
CPU2は、携帯電話1による通話やパケット通信を制御する機能のほかに、リーダライタ装置10との非接触の無線通信をも制御する機能を備えている。特に、非接触無線通信にて用いられる13.56MHzの搬送波の電圧が最大となるように、後述するように、可変コンデンサ4の容量を変化させるためにAFC回路7から出力する電圧を決定するよう作動し、容量値制御手段として機能する。このため、CPU2には、所定のプログラムが組み込まれることにより、図2に示すように、誘起電圧検出処理部21と、誘起電圧変化判断処理部22と、容量値可変指令処理部23と、が構築されている。これら各処理部21,22,23の機能については後述する。
【0027】
LSI3は、リーダライタ装置10からの搬送波(電波)により携帯電話1が非接触型通信装置として機能するために構成されている。
【0028】
可変コンデンサ4(蓄電手段)は、電圧が印加されることにより容量値が可変する可変容量素子である。この可変コンデンサ4は、後述するように、リーダライタ装置10から受信する搬送波により発生する誘起電圧が上昇あるいは最大になるように、CPU2からの指令に応じてAFC回路7から出力される電圧に基づいて容量値が変化される。なお、可変コンデンサ4は、必ずしも電圧の印加により容量値が可変することに限定されず、他の制御指令によって容量値が可変する構成であってもよい。
【0029】
アンテナ5は、リーダライタ装置10からの13.56MHzの搬送波を受信するためのものである。そして、上記可変コンデンサ4が接続され、共振回路(共振手段)を形成している。
【0030】
検波回路6(誘起電圧検出手段)は、上記共振回路に接続され、アンテナ5がリーダライタ装置10から受信する搬送波により発生する誘起電圧を検波する。そして、検出した誘起電圧値を、AFC回路6を介してCPU2に通知する。
【0031】
AFC回路7は、検波回路6及び可変コンデンサ4に接続されている。そして、検波回路6からの検出値を直流電圧に変えてCPU2に通知する。また、これに応じてCPU2から発せられる指令に従い、リーダライタ装置10からの搬送波により発生する誘起電圧を最大にするために、可変コンデンサ4の容量を変化させる電圧を当該可変コンデンサ4に出力する。具体的には、あらかじめ内部に、後述するようにCPU2から出力されるデータと、これに応じて可変コンデンサ4に対して出力すべき直流電圧と、が1対1で対応しているテーブルを記憶しており、これに基づいてCPU2からの出力指令に応じた出力すべき電圧を計算する。そして、算出された電圧を可変コンデンサ4に対して出力することにより、当該可変コンデンサ4の容量を変化させる。これにより、アンテナ5との共振周波数が変化するため、誘起電圧も変化することとなる。
【0032】
次に、上述したCPU2の構成について詳述する。まず、リーダライタ装置10からの搬送波により誘起された電圧は、検波回路6にて検波されAFC回路7にて直流電圧に変換されてCPU2に送られるが、誘起電圧検出処理部21が、かかる直流電圧を受信し、内部に格納されたレジスタによってデジタルデータに変換する。そして、誘起電圧値であるデジタルデータは、誘起電圧変化判断処理部22に通知される。
【0033】
誘起電圧判断処理部22は、通知を受けた誘起電圧値に応じてAFC回路7に可変コンデンサ4の容量値を変化させる指令を発する。このとき、既に通知されている誘起電圧値を記憶保持しており、現在取得した誘起電圧値と比較して、その変化に基づいて、誘起電圧値が上がるよう容量値を変化させる指令を出す。具体的には、上述したようにリーダライタ装置10(R/W)との通信が開始されると、図3に示すように、可変コンデンサ4の容量を変化させて共振周波数の調整を行う調整モードに入る。すると、誘起電圧変化判断処理部22は、可変コンデンサ4の容量を変化させるたびに誘起電圧の検出を行う。そして、検出した誘起電圧値が、前回に検出した誘起電圧値と比較して上がっている場合には、前回に可変コンデンサ4の容量を変化させた同一の方向に変化させるよう判断する。一方、誘起電圧値が下がっている場合には、前回に可変コンデンサ4の容量を変化させた方向とは逆の方向に容量値を変化させる。そして、誘起電圧が最大となるよう調整する。その調整例を、さらに図4乃至図5を参照して説明する。また、誘起電圧が最大となったことの判断例を図6を参照して説明する。
【0034】
まず、上述したように可変コンデンサ4の容量値を変化させて、共振周波数を変化させる。このとき、図4のF1が初期状態であり、その後、可変コンデンサ4の容量値を変化させて、F2に共振周波数が変化したとする。この場合には、誘起電圧が上がっているため、F1からF2に変化するよう可変コンデンサ4の容量値を変化させたときと同一の方向にさらに容量値を変化させ、共振周波数がF3となるようにする。このとき、誘起電圧変化判断処理部22からは、そのような容量値を変化させる指令が容量値可変指令処理部23に通知され、この容量値可変指令処理部23にて、容量値可変の指令がAFC回路7に発せられる。
【0035】
一方、図5に示すように、初期状態がF1であり、ここから可変コンデンサ4の容量値を可変したところ、F2の共振周波数となり、誘起電圧が下がったとする。この場合には、F1からF2に変化するよう可変コンデンサ4の容量値を変化させたときと逆の方向に容量値を変化させる。これにより、共振周波数もF1からF2への変化とは逆にF3となるようする。このとき、誘起電圧変化判断処理部22からは、そのような容量値を変化させる指令が容量値可変指令処理部23に出され、ここからさらにAFC回路6にデータが送られる。そして、上記ルーチンを繰り返す。
【0036】
上述したように、誘起電圧値の変化に応じて可変コンデンサ4の容量値を高くあるいは低く設定するよう制御することにより、図4乃至図5に示すように、誘起電圧値を上昇させることができる。
【0037】
また、誘起電圧変化判断処理部22は、上述したように、誘起電圧が上昇するよう変化させた後に、その最大値を検出する。これは、誘起電圧の変化が上昇から下降に変化したときを検出することにより行う。例えば、図6に示すように、F0,F1,F2と共振周波数が変化するよう容量値を変化させ、誘起電圧が上昇した後に、さらに同一方向に容量値を変化させ、共振周波数がF3になり、誘起電圧が下がったとする。この場合に、誘起電圧が下がったF3の直前であるF2の状態での可変コンデンサ4の容量値に固定する。つまり、誘起電圧変化判断処理部22は、内部のレジスタに記憶している誘起電圧が最大になった時の容量値に相当するデジタルデータに固定し、可変コンデンサ4の容量値の調整を終了する。
【0038】
このように、容量値の調整が終了したら、CPU2はリーダライタ装置10との通信が終了するまでは、可変コンデンサ4の容量を固定して変化させない(以下、固定モードと呼ぶ(図3参照))。そして、次に再びアンテナ5によりリーダライタ装置10から搬送波を受信し、携帯電話1に電圧が誘起されたら、CPU2は調整モードとなり、上述した制御を行う。
【0039】
[動作]
次に、上記構成の携帯電話1における非接触無線通信時の動作を、図7乃至図8のフローチャートを参照して説明する。
【0040】
まず、アンテナ5によりリーダライタ装置10から搬送波を受信することにより、携帯電話1に電圧が誘起されると、検波回路6にて誘起電圧の検出を行う(ステップS1)。そして、このときの誘起電圧値V1は、AFC回路7を介してCPU2に通知される。その後、CPU2は、AFC回路7から送られた直流電圧を内部に格納されたレジスタによってデジタルデータに変換し、そのデジタルデータを可変コンデンサ4の容量値を制御する指令に変換してAFC回路7に出力する制御を行う。このとき、通知された誘起電圧値V1はレジスタに記憶保持しておく。AFC回路7は、CPU2から出力されたデータを、CPU2から出力されたデータとその時に出力すべき直流電圧とが1対1で対応しているあらかじめ内部に格納されたテーブルに基づいて出力すべき電圧を計算し、その電圧を出力することにより可変コンデンサ4の容量を、任意の容量に変化させる(ステップS2)。
【0041】
可変コンデンサ4の容量を変化させた後に、上述同様に、検波回路6及びAFC回路7及びCPU2にて誘起電圧値V2の確認を行う(ステップS3)。つまり、検出した誘起電圧値V2と、レジスタに記憶保持していた前回に検出した誘起電圧値V1とを比較する(ステップS4)。このとき、誘起電圧V2が前回の誘起電圧V1よりも上がっていたら(ステップS4にて肯定判断)、可変コンデンサ4の容量を、ステップS2にて変化させたときと同じ方向に変化させる(ステップS5)。つまり、図4に示すように、共振周波数がF1,F2,F3となるように変化させる。逆に、新たに検出した誘起電圧V2がステップS1で検出した誘起電圧V1よりも下がっていたら(ステップS4にて否定判断)、可変コンデンサ4の容量をステップS2のときの変化と逆の方向に変化させる(ステップS6)。つまり、図5に示すように、共振周波数がF1,F2,F3と移動するように変化させる。
【0042】
続いて、再び検波回路6及びAFC回路7及びCPU2にて誘起電圧V3の検出を行い(ステップS7)、前回検出した誘起電圧値V2との比較を行う(ステップS8)。そして、検出した誘起電圧値V3が、前回の誘起電圧値V2よりもさらに上昇している場合には(ステップS8にて肯定判断)、ステップS5又はS6にて変化させたときと同じ方向に、可変コンデンサ4の容量値を変化させる(ステップS9)。その後も上記処理を繰り返し、誘起電圧値V4を検出して(ステップS11)、この検出した誘起電圧値V4が前回の検出値V3と比較して上昇していれば(ステップS12にて肯定判断)、可変コンデンサ4の容量値を同じ方向に変化させ続ける(ステップS9)。なお、その後の処理においては、前回に検出した誘起電圧値V4をV3として扱い、新たに検出した誘起電圧値を新たなV4として扱う(ステップS10)。
【0043】
その後、新たに検出した誘起電圧値V4が、前回検出した誘起電圧値V3よりも下がっていたら(ステップS12にて否定判断)、可変コンデンサ4の容量を誘起電圧が下がり始める直前の容量に固定する(ステップS13)。つまり、図6に示すように、F0,F1,F2と誘起電圧が上昇してきた場合に、F3で下がると、その直前のF2の状態になるよう可変コンデンサ4の容量値を固定する。
【0044】
以上のようにすることにより、携帯電話1に搭載された非接触型通信装置は、誘起電圧が高い状態でリーダライタ装置と通信を実現できる。従って、安定した通信を行うことができると共に、通信距離の劣化を抑制することができる。
【実施例2】
【0045】
次に、本発明の第2の実施例を、図9乃至図10を参照して説明する。図9は、本実施例における携帯電話の構成を示すブロック図であり、図10は、本実施例における携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【0046】
[構成]
本実施例では、上述した可変コンデンサに替えて、共振回路を構成するアンテナとの接続の切替が可能な複数のコンデンサ(容量素子)から成るコンデンサ群を備えている点で異なる。以下、その構成について、図9を参照して説明する。
【0047】
図9に示すように、本実施例における非接触型通信装置を備えた携帯電話1は、上記同様の構成のCPU12、LSI13,アンテナ16、検波回路17、AFC回路18を備えている。そして、さらに、コンデンサ切替スイッチ15と、容量のそれぞれ異なるコンデンサ14A(容量大)、コンデンサ14B(容量中)、コンデンサ14C(容量小)を装備している。なお、切替可能なコンデンサの数は、上述した数に限定されない。
【0048】
コンデンサ切替スイッチ15は、アンテナ16と各コンデンサ14A,14B,14Cとを切り替えて接続する構成となっており、AFC回路18からの信号により切替動作を実行する。なお、アンテナ16と接続されるコンデンサは、必ずしも1つであることに限定されない。
【0049】
また、AFC回路18によるコンデンサ切替スイッチ15に対する制御信号は、CPU12から出力された信号に基づくものである。従って、CPU12によるコンデンサの容量値の可変制御は、上記実施例1とは異なる。かかる制御について詳述する。
【0050】
本実施例におけるCPU12には、所定のプログラムが組み込まれることにより、以下のように作動する機能が構築される。まず、リーダライタ装置10からの搬送波により誘起された電圧は、検波回路17にて検波されAFC回路18にて直流電圧に変換されてCPU12に送られ、検出される。これに応じて、CPU12はコンデンサ切替の制御信号をAFC回路18に出力する。例えば、コンデンサ14B(容量中)からコンデンサ14A(容量大)のものに切り替えられる。なお、AFC回路18は、CPU12から出力されたコンデンサ切替のデータを直流電圧に変換し、コンデンサ切替スイッチ15に出力して切り替える。その後、さらに検波回路17、AFC回路18を介して誘起電圧を検出し、コンデンサ切替前の誘起電圧と比較する。このとき、誘起電圧が前回と比較して上がった場合には、CPU12は共振周波数を固定するためにコンデンサを固定し、これ以上コンデンサの切替は行わない。逆に誘起電圧が下がった場合には、CPU2はさらに別のコンデンサ14Cへの切替を行う。そして、同様に、コンデンサ14Cへコンデンサの切替を行った後に誘起電圧の確認を行い、初期状態のコンデンサ14Bの時に比べて誘起電圧が上がっていればこれ以上コンデンサの切替は行わない。逆に初期状態のコンデンサ14Bの時に比べて誘起電圧が下がっていたら、コンデンサを初期状態の14Bに切替える制御を行う。
【0051】
このように、実施例1と同様に、アンテナ16にてリーダライタ装置10から搬送波を受信すると調整モードに移行し、各コンデンサに切り替えて、そのときの起動電圧を検出し、かかる誘起電圧が高くなるときのコンデンサに設定する。こうして固定モードに移り、リーダライタ装置10との通信が終了するまでは、コンデンサが固定される。
【0052】
[動作]
次に、図10のフローチャートを参照して、本実施例の動作を説明する。まず、アンテナ16によりリーダライタ装置10から搬送波を受信することにより、携帯電話11に電圧が誘起される。このときアンテナ16に接続されているコンデンサは、符号14Bのコンデンサであり、このときの誘起電圧VBを検波回路17及びAFC回路18及びCPU12にて確認する(ステップS21)。その後、CPU2は、コンデンサ14Bからコンデンサ14Aへ切り替える制御信号をAFC回路18に出力する。すると、AFC回路18は、CPU12から出力されたコンデンサ切替のデータを電圧に変換し、コンデンサ切替スイッチ15に出力し、使用しているコンデンサを符号14Aに切替える(ステップS22)。
【0053】
そして、コンデンサの容量を変化させた後に、検波回路17及びAFC回路18及びCPU12にて誘起電圧VAの確認を行う(ステップS23)。この誘起電圧VAと、コンデンサ14Bのときの誘起電圧VBとを比較して(ステップS24)、以前のときよりも誘起電圧が上がっていたら(ステップS24にて肯定判断)、コンデンサを符号14Aのものに固定して(ステップS25)、これ以上のコンデンサの切替は行わない。つまり、この状態でリーダライタ装置10との通信を続行する。
【0054】
一方、ステップS24にて、誘起電圧VAが誘起電圧VBよりも下がっている場合には(ステップS24にて否定判断)、上述同様に、コンデンサを符号14Cのものに切り替える(ステップS26)。そして、コンデンサの容量を変化させた後に、検波回路17及びAFC回路18及びCPU12にて誘起電圧VCの確認を行う(ステップS27)。この誘起電圧VCが、はじめに確認した誘起電圧VBよりも上がっていたら(ステップS28にて肯定判断)、コンデンサを符号14Cのものに固定して(ステップS30)、これ以上コンデンサの切り替えは行わない。逆に、誘起電圧VCが誘起電圧VBよりも下がっていたら、コンデンサをはじめの符号14Bのものに切替える(ステップS29)。そして、この状態でリーダライタ装置10との通信を続行する。
【0055】
このようにすることにより、リーダライタ装置10との通信時には、誘起電圧が高い状態に維持されるため、安定した通信を行うことができると共に、通信距離の劣化を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明である非接触型通信装置は、携帯電話などの情報処理端末に搭載することができ、電子マネーの決済などに利用することができるため、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例1における非接触型通信装置を搭載した携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に開示した携帯電話のCPUの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】非接触通信時における誘起電圧の変化を示す説明図である。
【図4】コンデンサの容量値の変更方法を示す説明図である。
【図5】コンデンサの容量値の変更方法を示す説明図である。
【図6】コンデンサの容量値の変更方法を示す説明図である。
【図7】実施例1における非接触型通信装置を搭載した携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【図8】実施例1における非接触型通信装置を搭載した携帯電話の動作を示すフローチャートであり、図7の続きを示す。
【図9】実施例2における非接触型通信装置を搭載した携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図10】実施例2における非接触型通信装置を搭載した携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【図11】従来例における非接触型通信装置を搭載した携帯電話の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0058】
1,11 携帯電話(携帯型情報処理端末)
2,12 CPU(容量値制御手段)
3,13 LSI
4 可変コンデンサ(可変容量素子、蓄電手段)
5,16 アンテナ
6,17 検波回路(誘起電圧検出手段)
7,18 AFC回路(容量値制御手段)
10 リーダライタ装置
21 誘起電力検出処理部
22 誘起電圧変化判断処理部
23 容量値可変指令処理部
14A,14B,14C コンデンサ群(容量素子群、蓄電手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型通信装置にかかり、特に、近接したリーダライタ装置から送信される電波に応じて生じる誘起電力を用いてデータ通信を行う非接触型通信装置に関する。また、これを備えた携帯型情報処理端末及び非接触通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、リーダライタ装置に近接して非接触にてデータ通信を行う非接触型ICカードや、携帯電話などに組み込まれた非接触型通信装置が実用化されている。このようなリーダライタ装置と通信を行うICカードあるいは通信装置は、リーダライタ装置側から送信された電波を受信してこれによって生じる誘起電圧を用いて、つまり、リーダライタ装置側から電力の供給を受けて作動し、データ通信を行う。
【0003】
ここで、図11に、携帯電話100に装備された従来例における非接触型通信装置の回路例を示す。従来例における装置は、携帯電話100内に、非接触通信用アンテナ101と、共振周波数調整用のコンデンサ102と、RFID用のLSI103と、携帯電話100のCPU104と、を備えている。この図に示すように、従来例における共振周波数調整用のコンデンサ102は定数固定である。
【0004】
ところが、リーダライタ装置200は、通常、むきだしの状態ではなく何らかのケースに覆われているものの、当該リーダライタ装置200のアンテナは周囲に金属などが無い自由空間上で共振周波数の設計がされている。このため、リーダライタ装置200を覆うケース部分に金属が含まれていた場合には、その金属の影響を受けてアンテナの共振周波数が設計値からずれることになる。また、リーダライタ装置自身の共振周波数のばらつきも生じうる。このようなことから、リーダライタ装置側の共振周波数がずれることが原因で誘起電圧が下がり、安定した通信が行えなくなる、という不都合も生じていた。
【0005】
そこで、安定した通信を行うことを目的とした非接触型ICカードに関する技術が、下記の特許文献1に開示されている。この文献に開示された技術では、非接触型ICカード内に、アンテナに接続される同調回路の出力レベルを検出するレベル検出回路と、この検出結果に基づいて共振周波数を制御する同調制御回路と、を備えている。そして、通信時の出力レベルが高くなるよう制御している。
【0006】
【特許文献1】特開2005−73113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の記載では、共振周波数を調整して出力レベルが最大となるよう制御するとあるが、具体的な制御方法が記載されていない。このため、リーダライタ装置との短時間の通信の間で、いかに制御して出力レベルを最大とするか、ということが不明であり、依然として上述したように安定した通信を行うことができない、という問題を有する。また、かかる文献記載の技術は、非接触型ICカードに搭載する技術であるため、実際に共振周波数を調整するための可変容量素子の容量値を適切に設定するための構成を搭載することは困難である、という問題が生じうる。
【0008】
このため、本発明では、上記従来例の有する不都合を改善し、特に、簡易な構成にて、リーダライタ装置との通信の安定化を図ることができる非接触型通信装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明の一形態である非接触型通信装置は、
リーダライタ装置から電波を受信し、この受信した電波による誘起電圧を用いてリーダライタ装置と通信を行う非接触型通信装置であって、
アンテナと複数の容量値の設定が可能な蓄電手段とを有する共振手段と、アンテナにて受信した電波によって生じた誘起電圧の値を検出する誘起電圧検出手段と、蓄電手段を所定の容量値に設定する容量値制御手段と、を備え、
容量値制御手段は、誘起電圧検出手段からの検出値の変化に基づいて当該検出値が上がるよう蓄電手段の容量値を制御する、
ことを特徴としている。
【0010】
上記発明によると、容量値制御手段にて蓄電手段の容量値を変化させることによって共振周波数が変化し、誘起電圧が変化する。このとき、この誘起電圧の値を検出して、前回の検出値と比較して上がるよう蓄電手段の容量値を変化させる。これにより、非接触型通信装置は、誘起電圧が高い状態でリーダライタ装置と通信を実現でき、安定した通信を行うことができる。
【0011】
また、容量値制御手段は、誘起電圧検出手段からの検出値が、前回の検出値と比較して上がっている場合には前回と同一の方向に、下がっている場合には前回とは逆の方向に、蓄電手段の容量値を高くあるいは低く設定するよう制御する、ことを特徴としている。特に、容量値制御手段は、誘起電圧検出手段からの検出値が最大となるよう蓄電手段の容量値を制御する、ことを特徴としている。このとき、容量値制御手段は、誘起電圧検出手段からの検出値の変化が上昇から下降に変化したときの容量値を最大と判断し、蓄電手段の容量値の制御を停止する、ことを特徴としている。
【0012】
このように、検出した誘起電圧の値の上下変化に基づいて容量値を制御することで、容易かつ適切に誘起電圧が上がるよう制御することができ、また、短時間にて最大と成るよう制御することができる。従って、短時間の通信時間内に、より安定した通信を実現できる。
【0013】
また、蓄電手段は、電圧が印加されることにより容量値が可変する可変容量素子であり、容量値制御手段は、可変容量素子に電圧を印加して当該可変容量素子の容量値を制御する、ことを特徴としている。
【0014】
あるいは、蓄電手段は、アンテナとの接続の切替が可能な複数の容量素子群からなり、容量値制御手段は、アンテナに少なくとも1つの容量素子が接続されるようアンテナに対する容量素子群の接続を切り替えて蓄電手段の容量値を制御する、ことを特徴としている。
【0015】
これにより、可変容量素子の容量値を可変させたり、あるいは、アンテナに接続される容量素子を切り替えて容量値を変化させることで、容易に誘起電圧の上昇制御を行うことができ、簡易な構成にて実現できる。
【0016】
そして、上記非接触型通信装置は、携帯電話などの携帯型情報処理端末に組み込まれることにより、当該携帯電話にて非接触型通信機能を利用することができる。そして、特に、携帯型情報処理端末の動作を制御する制御手段が、上記容量値制御手段を備えた、ことを特徴としている。
【0017】
また、本発明の他の形態である非接触通信方法は、
リーダライタ装置から電波を受信し、この受信した電波による誘起電圧を用いてリーダライタ装置と通信を行う非接触通信方法であって、
アンテナにて受信した電波によって生じた誘起電圧の値を検出し、
この検出値の変化に基づいて当該検出値が上がるよう、アンテナに接続され共振手段を構成する複数の容量値の設定が可能な蓄電手段の容量値を設定制御する、
ことを特徴としている。
【0018】
また、検出した誘起電圧の値が、前回の検出値と比較して上がっている場合には同様の方向に、下がっている場合には逆の方向に、蓄電手段の容量値を高くあるいは低く設定するよう制御する、ことを特徴としている。そして、特に、検出した誘起電圧の値が、最大となるよう蓄電手段の容量値を制御する、ことを特徴としている。このとき、検出した誘起電圧の値の変化が、上昇から下降に変化したときの容量値を最大と判断し、蓄電手段の容量値の制御を停止する、ことを特徴としている。
【0019】
また、蓄電手段が、電圧が印加されることにより容量値が可変する可変容量素子である場合に、当該可変容量素子に対して電圧を印加して容量値の制御を行う、ことを特徴としている。あるいは、蓄電手段が、アンテナとの接続の切替が可能な複数の容量素子群からなる場合には、アンテナに少なくとも1つの前記容量素子が接続されるようアンテナに対する容量素子群の接続を切り替えて蓄電手段の容量値の制御を行う、ことを特徴としている。
【0020】
上記構成の非接触通信方法であっても、上述した非接触型通信装置と同様の作用、効果を有するため、上記本発明の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上のように構成され機能するので、これによると、非接触型通信装置は、誘起電圧の値を上昇させた状態でリーダライタ装置との通信を行うため、安定した通信を実現することができる、という従来にない優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明である非接触型通信装置は、共振周波数の調整を自動的に行い、リーダライタ装置の共振周波数がずれていても、安定した誘起電圧が得られる、という点に特徴を有する。以下では、非接触型通信装置が携帯電話に搭載されている場合を実施例にて説明する。但し、非接触型通信装置は、他の携帯型情報処理端末に搭載されていてもよく、あるいは、単独で非接触型通信装置として構成されていてもよい。
【実施例1】
【0023】
本発明の第1の実施例を、図1乃至図8を参照して説明する。図1は、携帯電話の構成を示すブロック図であり、図2は、そのCPUの構成を示す機能ブロック図である。図3乃至図6は、携帯電話の動作を説明する説明図であり、図7乃至図8は、携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【0024】
[構成]
本実施例における携帯電話1は、一般的な携帯電話が装備する機能の他に、リーダライタ装置10と非接触で通信を行う機能を装備している。すなわち、リーダライタ装置10から電波を受信し、この受信した電波による誘起電圧を用いてリーダライタ装置10と通信を行う非接触型通信装置を装備している。
【0025】
具体的には、図1に示すように、携帯電話1全体の動作を制御するCPU2と、非接用IC機能を実現するLSI3と、リーダライタ装置10から搬送波(電波)を受信するアンテナ5と、このアンテナ5に接続されて共振手段を実現するコンデンサ4と、を備え、さらに、検波回路6とAFC回路7とを備えている。以下、上記構成について詳述する。
【0026】
CPU2は、携帯電話1による通話やパケット通信を制御する機能のほかに、リーダライタ装置10との非接触の無線通信をも制御する機能を備えている。特に、非接触無線通信にて用いられる13.56MHzの搬送波の電圧が最大となるように、後述するように、可変コンデンサ4の容量を変化させるためにAFC回路7から出力する電圧を決定するよう作動し、容量値制御手段として機能する。このため、CPU2には、所定のプログラムが組み込まれることにより、図2に示すように、誘起電圧検出処理部21と、誘起電圧変化判断処理部22と、容量値可変指令処理部23と、が構築されている。これら各処理部21,22,23の機能については後述する。
【0027】
LSI3は、リーダライタ装置10からの搬送波(電波)により携帯電話1が非接触型通信装置として機能するために構成されている。
【0028】
可変コンデンサ4(蓄電手段)は、電圧が印加されることにより容量値が可変する可変容量素子である。この可変コンデンサ4は、後述するように、リーダライタ装置10から受信する搬送波により発生する誘起電圧が上昇あるいは最大になるように、CPU2からの指令に応じてAFC回路7から出力される電圧に基づいて容量値が変化される。なお、可変コンデンサ4は、必ずしも電圧の印加により容量値が可変することに限定されず、他の制御指令によって容量値が可変する構成であってもよい。
【0029】
アンテナ5は、リーダライタ装置10からの13.56MHzの搬送波を受信するためのものである。そして、上記可変コンデンサ4が接続され、共振回路(共振手段)を形成している。
【0030】
検波回路6(誘起電圧検出手段)は、上記共振回路に接続され、アンテナ5がリーダライタ装置10から受信する搬送波により発生する誘起電圧を検波する。そして、検出した誘起電圧値を、AFC回路6を介してCPU2に通知する。
【0031】
AFC回路7は、検波回路6及び可変コンデンサ4に接続されている。そして、検波回路6からの検出値を直流電圧に変えてCPU2に通知する。また、これに応じてCPU2から発せられる指令に従い、リーダライタ装置10からの搬送波により発生する誘起電圧を最大にするために、可変コンデンサ4の容量を変化させる電圧を当該可変コンデンサ4に出力する。具体的には、あらかじめ内部に、後述するようにCPU2から出力されるデータと、これに応じて可変コンデンサ4に対して出力すべき直流電圧と、が1対1で対応しているテーブルを記憶しており、これに基づいてCPU2からの出力指令に応じた出力すべき電圧を計算する。そして、算出された電圧を可変コンデンサ4に対して出力することにより、当該可変コンデンサ4の容量を変化させる。これにより、アンテナ5との共振周波数が変化するため、誘起電圧も変化することとなる。
【0032】
次に、上述したCPU2の構成について詳述する。まず、リーダライタ装置10からの搬送波により誘起された電圧は、検波回路6にて検波されAFC回路7にて直流電圧に変換されてCPU2に送られるが、誘起電圧検出処理部21が、かかる直流電圧を受信し、内部に格納されたレジスタによってデジタルデータに変換する。そして、誘起電圧値であるデジタルデータは、誘起電圧変化判断処理部22に通知される。
【0033】
誘起電圧判断処理部22は、通知を受けた誘起電圧値に応じてAFC回路7に可変コンデンサ4の容量値を変化させる指令を発する。このとき、既に通知されている誘起電圧値を記憶保持しており、現在取得した誘起電圧値と比較して、その変化に基づいて、誘起電圧値が上がるよう容量値を変化させる指令を出す。具体的には、上述したようにリーダライタ装置10(R/W)との通信が開始されると、図3に示すように、可変コンデンサ4の容量を変化させて共振周波数の調整を行う調整モードに入る。すると、誘起電圧変化判断処理部22は、可変コンデンサ4の容量を変化させるたびに誘起電圧の検出を行う。そして、検出した誘起電圧値が、前回に検出した誘起電圧値と比較して上がっている場合には、前回に可変コンデンサ4の容量を変化させた同一の方向に変化させるよう判断する。一方、誘起電圧値が下がっている場合には、前回に可変コンデンサ4の容量を変化させた方向とは逆の方向に容量値を変化させる。そして、誘起電圧が最大となるよう調整する。その調整例を、さらに図4乃至図5を参照して説明する。また、誘起電圧が最大となったことの判断例を図6を参照して説明する。
【0034】
まず、上述したように可変コンデンサ4の容量値を変化させて、共振周波数を変化させる。このとき、図4のF1が初期状態であり、その後、可変コンデンサ4の容量値を変化させて、F2に共振周波数が変化したとする。この場合には、誘起電圧が上がっているため、F1からF2に変化するよう可変コンデンサ4の容量値を変化させたときと同一の方向にさらに容量値を変化させ、共振周波数がF3となるようにする。このとき、誘起電圧変化判断処理部22からは、そのような容量値を変化させる指令が容量値可変指令処理部23に通知され、この容量値可変指令処理部23にて、容量値可変の指令がAFC回路7に発せられる。
【0035】
一方、図5に示すように、初期状態がF1であり、ここから可変コンデンサ4の容量値を可変したところ、F2の共振周波数となり、誘起電圧が下がったとする。この場合には、F1からF2に変化するよう可変コンデンサ4の容量値を変化させたときと逆の方向に容量値を変化させる。これにより、共振周波数もF1からF2への変化とは逆にF3となるようする。このとき、誘起電圧変化判断処理部22からは、そのような容量値を変化させる指令が容量値可変指令処理部23に出され、ここからさらにAFC回路6にデータが送られる。そして、上記ルーチンを繰り返す。
【0036】
上述したように、誘起電圧値の変化に応じて可変コンデンサ4の容量値を高くあるいは低く設定するよう制御することにより、図4乃至図5に示すように、誘起電圧値を上昇させることができる。
【0037】
また、誘起電圧変化判断処理部22は、上述したように、誘起電圧が上昇するよう変化させた後に、その最大値を検出する。これは、誘起電圧の変化が上昇から下降に変化したときを検出することにより行う。例えば、図6に示すように、F0,F1,F2と共振周波数が変化するよう容量値を変化させ、誘起電圧が上昇した後に、さらに同一方向に容量値を変化させ、共振周波数がF3になり、誘起電圧が下がったとする。この場合に、誘起電圧が下がったF3の直前であるF2の状態での可変コンデンサ4の容量値に固定する。つまり、誘起電圧変化判断処理部22は、内部のレジスタに記憶している誘起電圧が最大になった時の容量値に相当するデジタルデータに固定し、可変コンデンサ4の容量値の調整を終了する。
【0038】
このように、容量値の調整が終了したら、CPU2はリーダライタ装置10との通信が終了するまでは、可変コンデンサ4の容量を固定して変化させない(以下、固定モードと呼ぶ(図3参照))。そして、次に再びアンテナ5によりリーダライタ装置10から搬送波を受信し、携帯電話1に電圧が誘起されたら、CPU2は調整モードとなり、上述した制御を行う。
【0039】
[動作]
次に、上記構成の携帯電話1における非接触無線通信時の動作を、図7乃至図8のフローチャートを参照して説明する。
【0040】
まず、アンテナ5によりリーダライタ装置10から搬送波を受信することにより、携帯電話1に電圧が誘起されると、検波回路6にて誘起電圧の検出を行う(ステップS1)。そして、このときの誘起電圧値V1は、AFC回路7を介してCPU2に通知される。その後、CPU2は、AFC回路7から送られた直流電圧を内部に格納されたレジスタによってデジタルデータに変換し、そのデジタルデータを可変コンデンサ4の容量値を制御する指令に変換してAFC回路7に出力する制御を行う。このとき、通知された誘起電圧値V1はレジスタに記憶保持しておく。AFC回路7は、CPU2から出力されたデータを、CPU2から出力されたデータとその時に出力すべき直流電圧とが1対1で対応しているあらかじめ内部に格納されたテーブルに基づいて出力すべき電圧を計算し、その電圧を出力することにより可変コンデンサ4の容量を、任意の容量に変化させる(ステップS2)。
【0041】
可変コンデンサ4の容量を変化させた後に、上述同様に、検波回路6及びAFC回路7及びCPU2にて誘起電圧値V2の確認を行う(ステップS3)。つまり、検出した誘起電圧値V2と、レジスタに記憶保持していた前回に検出した誘起電圧値V1とを比較する(ステップS4)。このとき、誘起電圧V2が前回の誘起電圧V1よりも上がっていたら(ステップS4にて肯定判断)、可変コンデンサ4の容量を、ステップS2にて変化させたときと同じ方向に変化させる(ステップS5)。つまり、図4に示すように、共振周波数がF1,F2,F3となるように変化させる。逆に、新たに検出した誘起電圧V2がステップS1で検出した誘起電圧V1よりも下がっていたら(ステップS4にて否定判断)、可変コンデンサ4の容量をステップS2のときの変化と逆の方向に変化させる(ステップS6)。つまり、図5に示すように、共振周波数がF1,F2,F3と移動するように変化させる。
【0042】
続いて、再び検波回路6及びAFC回路7及びCPU2にて誘起電圧V3の検出を行い(ステップS7)、前回検出した誘起電圧値V2との比較を行う(ステップS8)。そして、検出した誘起電圧値V3が、前回の誘起電圧値V2よりもさらに上昇している場合には(ステップS8にて肯定判断)、ステップS5又はS6にて変化させたときと同じ方向に、可変コンデンサ4の容量値を変化させる(ステップS9)。その後も上記処理を繰り返し、誘起電圧値V4を検出して(ステップS11)、この検出した誘起電圧値V4が前回の検出値V3と比較して上昇していれば(ステップS12にて肯定判断)、可変コンデンサ4の容量値を同じ方向に変化させ続ける(ステップS9)。なお、その後の処理においては、前回に検出した誘起電圧値V4をV3として扱い、新たに検出した誘起電圧値を新たなV4として扱う(ステップS10)。
【0043】
その後、新たに検出した誘起電圧値V4が、前回検出した誘起電圧値V3よりも下がっていたら(ステップS12にて否定判断)、可変コンデンサ4の容量を誘起電圧が下がり始める直前の容量に固定する(ステップS13)。つまり、図6に示すように、F0,F1,F2と誘起電圧が上昇してきた場合に、F3で下がると、その直前のF2の状態になるよう可変コンデンサ4の容量値を固定する。
【0044】
以上のようにすることにより、携帯電話1に搭載された非接触型通信装置は、誘起電圧が高い状態でリーダライタ装置と通信を実現できる。従って、安定した通信を行うことができると共に、通信距離の劣化を抑制することができる。
【実施例2】
【0045】
次に、本発明の第2の実施例を、図9乃至図10を参照して説明する。図9は、本実施例における携帯電話の構成を示すブロック図であり、図10は、本実施例における携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【0046】
[構成]
本実施例では、上述した可変コンデンサに替えて、共振回路を構成するアンテナとの接続の切替が可能な複数のコンデンサ(容量素子)から成るコンデンサ群を備えている点で異なる。以下、その構成について、図9を参照して説明する。
【0047】
図9に示すように、本実施例における非接触型通信装置を備えた携帯電話1は、上記同様の構成のCPU12、LSI13,アンテナ16、検波回路17、AFC回路18を備えている。そして、さらに、コンデンサ切替スイッチ15と、容量のそれぞれ異なるコンデンサ14A(容量大)、コンデンサ14B(容量中)、コンデンサ14C(容量小)を装備している。なお、切替可能なコンデンサの数は、上述した数に限定されない。
【0048】
コンデンサ切替スイッチ15は、アンテナ16と各コンデンサ14A,14B,14Cとを切り替えて接続する構成となっており、AFC回路18からの信号により切替動作を実行する。なお、アンテナ16と接続されるコンデンサは、必ずしも1つであることに限定されない。
【0049】
また、AFC回路18によるコンデンサ切替スイッチ15に対する制御信号は、CPU12から出力された信号に基づくものである。従って、CPU12によるコンデンサの容量値の可変制御は、上記実施例1とは異なる。かかる制御について詳述する。
【0050】
本実施例におけるCPU12には、所定のプログラムが組み込まれることにより、以下のように作動する機能が構築される。まず、リーダライタ装置10からの搬送波により誘起された電圧は、検波回路17にて検波されAFC回路18にて直流電圧に変換されてCPU12に送られ、検出される。これに応じて、CPU12はコンデンサ切替の制御信号をAFC回路18に出力する。例えば、コンデンサ14B(容量中)からコンデンサ14A(容量大)のものに切り替えられる。なお、AFC回路18は、CPU12から出力されたコンデンサ切替のデータを直流電圧に変換し、コンデンサ切替スイッチ15に出力して切り替える。その後、さらに検波回路17、AFC回路18を介して誘起電圧を検出し、コンデンサ切替前の誘起電圧と比較する。このとき、誘起電圧が前回と比較して上がった場合には、CPU12は共振周波数を固定するためにコンデンサを固定し、これ以上コンデンサの切替は行わない。逆に誘起電圧が下がった場合には、CPU2はさらに別のコンデンサ14Cへの切替を行う。そして、同様に、コンデンサ14Cへコンデンサの切替を行った後に誘起電圧の確認を行い、初期状態のコンデンサ14Bの時に比べて誘起電圧が上がっていればこれ以上コンデンサの切替は行わない。逆に初期状態のコンデンサ14Bの時に比べて誘起電圧が下がっていたら、コンデンサを初期状態の14Bに切替える制御を行う。
【0051】
このように、実施例1と同様に、アンテナ16にてリーダライタ装置10から搬送波を受信すると調整モードに移行し、各コンデンサに切り替えて、そのときの起動電圧を検出し、かかる誘起電圧が高くなるときのコンデンサに設定する。こうして固定モードに移り、リーダライタ装置10との通信が終了するまでは、コンデンサが固定される。
【0052】
[動作]
次に、図10のフローチャートを参照して、本実施例の動作を説明する。まず、アンテナ16によりリーダライタ装置10から搬送波を受信することにより、携帯電話11に電圧が誘起される。このときアンテナ16に接続されているコンデンサは、符号14Bのコンデンサであり、このときの誘起電圧VBを検波回路17及びAFC回路18及びCPU12にて確認する(ステップS21)。その後、CPU2は、コンデンサ14Bからコンデンサ14Aへ切り替える制御信号をAFC回路18に出力する。すると、AFC回路18は、CPU12から出力されたコンデンサ切替のデータを電圧に変換し、コンデンサ切替スイッチ15に出力し、使用しているコンデンサを符号14Aに切替える(ステップS22)。
【0053】
そして、コンデンサの容量を変化させた後に、検波回路17及びAFC回路18及びCPU12にて誘起電圧VAの確認を行う(ステップS23)。この誘起電圧VAと、コンデンサ14Bのときの誘起電圧VBとを比較して(ステップS24)、以前のときよりも誘起電圧が上がっていたら(ステップS24にて肯定判断)、コンデンサを符号14Aのものに固定して(ステップS25)、これ以上のコンデンサの切替は行わない。つまり、この状態でリーダライタ装置10との通信を続行する。
【0054】
一方、ステップS24にて、誘起電圧VAが誘起電圧VBよりも下がっている場合には(ステップS24にて否定判断)、上述同様に、コンデンサを符号14Cのものに切り替える(ステップS26)。そして、コンデンサの容量を変化させた後に、検波回路17及びAFC回路18及びCPU12にて誘起電圧VCの確認を行う(ステップS27)。この誘起電圧VCが、はじめに確認した誘起電圧VBよりも上がっていたら(ステップS28にて肯定判断)、コンデンサを符号14Cのものに固定して(ステップS30)、これ以上コンデンサの切り替えは行わない。逆に、誘起電圧VCが誘起電圧VBよりも下がっていたら、コンデンサをはじめの符号14Bのものに切替える(ステップS29)。そして、この状態でリーダライタ装置10との通信を続行する。
【0055】
このようにすることにより、リーダライタ装置10との通信時には、誘起電圧が高い状態に維持されるため、安定した通信を行うことができると共に、通信距離の劣化を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明である非接触型通信装置は、携帯電話などの情報処理端末に搭載することができ、電子マネーの決済などに利用することができるため、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例1における非接触型通信装置を搭載した携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に開示した携帯電話のCPUの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】非接触通信時における誘起電圧の変化を示す説明図である。
【図4】コンデンサの容量値の変更方法を示す説明図である。
【図5】コンデンサの容量値の変更方法を示す説明図である。
【図6】コンデンサの容量値の変更方法を示す説明図である。
【図7】実施例1における非接触型通信装置を搭載した携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【図8】実施例1における非接触型通信装置を搭載した携帯電話の動作を示すフローチャートであり、図7の続きを示す。
【図9】実施例2における非接触型通信装置を搭載した携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図10】実施例2における非接触型通信装置を搭載した携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【図11】従来例における非接触型通信装置を搭載した携帯電話の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0058】
1,11 携帯電話(携帯型情報処理端末)
2,12 CPU(容量値制御手段)
3,13 LSI
4 可変コンデンサ(可変容量素子、蓄電手段)
5,16 アンテナ
6,17 検波回路(誘起電圧検出手段)
7,18 AFC回路(容量値制御手段)
10 リーダライタ装置
21 誘起電力検出処理部
22 誘起電圧変化判断処理部
23 容量値可変指令処理部
14A,14B,14C コンデンサ群(容量素子群、蓄電手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダライタ装置から電波を受信し、この受信した電波による誘起電圧を用いて前記リーダライタ装置と通信を行う非接触型通信装置であって、
アンテナと複数の容量値の設定が可能な蓄電手段とを有する共振手段と、前記アンテナにて受信した電波によって生じた誘起電圧の値を検出する誘起電圧検出手段と、前記蓄電手段を所定の容量値に設定する容量値制御手段と、を備え、
前記容量値制御手段は、前記誘起電圧検出手段からの検出値の変化に基づいて当該検出値が上がるよう前記蓄電手段の容量値を制御する、
ことを特徴とする非接触型通信装置。
【請求項2】
前記容量値制御手段は、前記誘起電圧検出手段からの検出値が、前回の検出値と比較して上がっている場合には前回と同一の方向に、下がっている場合には前回とは逆の方向に、前記蓄電手段の容量値を高くあるいは低く設定するよう制御する、ことを特徴とする請求項1記載の非接触型通信装置。
【請求項3】
前記容量値制御手段は、前記誘起電圧検出手段からの検出値が最大となるよう前記蓄電手段の容量値を制御する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の非接触型通信装置。
【請求項4】
前記容量値制御手段は、前記誘起電圧検出手段からの検出値の変化が上昇から下降に変化したときの容量値を最大と判断し、前記蓄電手段の容量値の制御を停止する、ことを特徴とする請求項3記載の非接触型通信装置。
【請求項5】
前記蓄電手段は、電圧が印加されることにより容量値が可変する可変容量素子であり、
前記容量値制御手段は、前記可変容量素子に電圧を印加して当該可変容量素子の容量値を制御する、
ことを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の非接触型通信装置。
【請求項6】
前記蓄電手段は、前記アンテナとの接続の切替が可能な複数の容量素子群からなり、
前記容量値制御手段は、前記アンテナに少なくとも1つの前記容量素子が接続されるよう前記アンテナに対する前記容量素子群の接続を切り替えて前記蓄電手段の容量値を制御する、
ことを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の非接触型通信装置。
【請求項7】
請求項1乃至6記載の非接触型通信装置が組み込まれた携帯型情報処理端末。
【請求項8】
携帯型情報処理端末の動作を制御する制御手段が、前記容量値制御手段を備えた、ことを特徴とする請求項7記載の携帯型情報処理端末。
【請求項9】
リーダライタ装置から電波を受信し、この受信した電波による誘起電圧を用いて前記リーダライタ装置と通信を行う非接触通信方法であって、
アンテナにて受信した電波によって生じた誘起電圧の値を検出し、
この検出値の変化に基づいて当該検出値が上がるよう、前記アンテナに接続され共振手段を構成する複数の容量値の設定が可能な蓄電手段の容量値を設定制御する、
ことを特徴とする非接触通信方法。
【請求項10】
検出した誘起電圧の値が、前回の検出値と比較して上がっている場合には同様の方向に、下がっている場合には逆の方向に、前記蓄電手段の容量値を高くあるいは低く設定するよう制御する、ことを特徴とする請求項9記載の非接触通信方法。
【請求項11】
検出した誘起電圧の値が、最大となるよう前記蓄電手段の容量値を制御する、ことを特徴とする請求項9又は10記載の非接触通信方法。
【請求項12】
検出した誘起電圧の値の変化が、上昇から下降に変化したときの容量値を最大と判断し、前記蓄電手段の容量値の制御を停止する、ことを特徴とする請求項11記載の非接触通信方法。
【請求項13】
前記蓄電手段が、電圧が印加されることにより容量値が可変する可変容量素子である場合に、当該可変容量素子に対して電圧を印加して容量値の制御を行う、ことを特徴とする請求項9,10,11又は12記載の非接触通信方法。
【請求項14】
前記蓄電手段が、前記アンテナとの接続の切替が可能な複数の容量素子群からなる場合に、前記アンテナに少なくとも1つの前記容量素子が接続されるよう前記アンテナに対する前記容量素子群の接続を切り替えて前記蓄電手段の容量値の制御を行う、ことを特徴とする請求項9,10,11又は12記載の非接触通信方法。
【請求項1】
リーダライタ装置から電波を受信し、この受信した電波による誘起電圧を用いて前記リーダライタ装置と通信を行う非接触型通信装置であって、
アンテナと複数の容量値の設定が可能な蓄電手段とを有する共振手段と、前記アンテナにて受信した電波によって生じた誘起電圧の値を検出する誘起電圧検出手段と、前記蓄電手段を所定の容量値に設定する容量値制御手段と、を備え、
前記容量値制御手段は、前記誘起電圧検出手段からの検出値の変化に基づいて当該検出値が上がるよう前記蓄電手段の容量値を制御する、
ことを特徴とする非接触型通信装置。
【請求項2】
前記容量値制御手段は、前記誘起電圧検出手段からの検出値が、前回の検出値と比較して上がっている場合には前回と同一の方向に、下がっている場合には前回とは逆の方向に、前記蓄電手段の容量値を高くあるいは低く設定するよう制御する、ことを特徴とする請求項1記載の非接触型通信装置。
【請求項3】
前記容量値制御手段は、前記誘起電圧検出手段からの検出値が最大となるよう前記蓄電手段の容量値を制御する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の非接触型通信装置。
【請求項4】
前記容量値制御手段は、前記誘起電圧検出手段からの検出値の変化が上昇から下降に変化したときの容量値を最大と判断し、前記蓄電手段の容量値の制御を停止する、ことを特徴とする請求項3記載の非接触型通信装置。
【請求項5】
前記蓄電手段は、電圧が印加されることにより容量値が可変する可変容量素子であり、
前記容量値制御手段は、前記可変容量素子に電圧を印加して当該可変容量素子の容量値を制御する、
ことを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の非接触型通信装置。
【請求項6】
前記蓄電手段は、前記アンテナとの接続の切替が可能な複数の容量素子群からなり、
前記容量値制御手段は、前記アンテナに少なくとも1つの前記容量素子が接続されるよう前記アンテナに対する前記容量素子群の接続を切り替えて前記蓄電手段の容量値を制御する、
ことを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の非接触型通信装置。
【請求項7】
請求項1乃至6記載の非接触型通信装置が組み込まれた携帯型情報処理端末。
【請求項8】
携帯型情報処理端末の動作を制御する制御手段が、前記容量値制御手段を備えた、ことを特徴とする請求項7記載の携帯型情報処理端末。
【請求項9】
リーダライタ装置から電波を受信し、この受信した電波による誘起電圧を用いて前記リーダライタ装置と通信を行う非接触通信方法であって、
アンテナにて受信した電波によって生じた誘起電圧の値を検出し、
この検出値の変化に基づいて当該検出値が上がるよう、前記アンテナに接続され共振手段を構成する複数の容量値の設定が可能な蓄電手段の容量値を設定制御する、
ことを特徴とする非接触通信方法。
【請求項10】
検出した誘起電圧の値が、前回の検出値と比較して上がっている場合には同様の方向に、下がっている場合には逆の方向に、前記蓄電手段の容量値を高くあるいは低く設定するよう制御する、ことを特徴とする請求項9記載の非接触通信方法。
【請求項11】
検出した誘起電圧の値が、最大となるよう前記蓄電手段の容量値を制御する、ことを特徴とする請求項9又は10記載の非接触通信方法。
【請求項12】
検出した誘起電圧の値の変化が、上昇から下降に変化したときの容量値を最大と判断し、前記蓄電手段の容量値の制御を停止する、ことを特徴とする請求項11記載の非接触通信方法。
【請求項13】
前記蓄電手段が、電圧が印加されることにより容量値が可変する可変容量素子である場合に、当該可変容量素子に対して電圧を印加して容量値の制御を行う、ことを特徴とする請求項9,10,11又は12記載の非接触通信方法。
【請求項14】
前記蓄電手段が、前記アンテナとの接続の切替が可能な複数の容量素子群からなる場合に、前記アンテナに少なくとも1つの前記容量素子が接続されるよう前記アンテナに対する前記容量素子群の接続を切り替えて前記蓄電手段の容量値の制御を行う、ことを特徴とする請求項9,10,11又は12記載の非接触通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−67494(P2007−67494A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247343(P2005−247343)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】
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