説明

非接触式給電装置

【課題】送電装置から受電装置への電力の伝送にともない受電装置の無線通信が適切に行なわれなくなることを抑制することのできる非接触式給電装置を提供する。
【解決手段】非接触式給電装置1には、送電装置10および受電装置20が設けられている。受電装置20には、送電装置10とは別の外部機器と無線通信を行なうための無線通信部70が設けられている。そして、受電装置20と上記外部機器との間で無線通信が行なわれている状態を「通信実行状態」とし、受電装置20と同外部機器との間で無線通信が行なわれていない状態を「通信停止状態」とし、通信実行状態のときに送電装置10から受電装置20に伝送される電力を「通信時電力」とし、通信停止状態のときに送電装置10から受電装置20に伝送される電力を「停止時電力」としたとき、通信時電力が停止時電力よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電装置および受電装置を含む非接触式給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記非接触式給電装置として、特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−206231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記非接触式給電装置においては、送電装置から受電装置に電力を伝送するため、高周波の磁束を発生させる。このため、受電装置に無線通信機能が搭載されている場合には、送電装置から受電装置への電力の伝送にともない送電装置とは別の外部機器と受電装置との無線通信が適切に行なわれないおそれがある。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、送電装置から受電装置への電力の伝送にともない受電装置の無線通信が適切に行なわれなくなることを抑制することのできる非接触式給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための手段を以下に記載する。
・本発明の非接触式給電装置は、送電装置および受電装置を含み、前記送電装置とは別の外部機器と無線通信を行なうための無線通信機能が前記受電装置に設けられていること、ならびに、前記受電装置と前記外部機器との間で無線通信が行なわれている状態を「通信実行状態」とし、前記受電装置と前記外部機器との間で無線通信が行なわれていない状態を「通信停止状態」とし、前記通信実行状態のときに前記送電装置から前記受電装置に伝送される電力を「通信時電力」とし、前記通信停止状態のときに前記送電装置から前記受電装置に伝送される電力を「停止時電力」として、前記通信時電力が前記停止時電力よりも小さいことを特徴としている。
【0007】
・本発明の非接触式給電装置は、送電装置および受電装置を含み、前記送電装置とは別の外部機器と無線通信を行なうための無線通信機能が前記受電装置に設けられていること、ならびに、前記受電装置と前記外部機器との間で無線通信が行なわれている状態を「通信実行状態」とし、前記受電装置と前記外部機器との間で無線通信が行なわれていない状態を「通信停止状態」とし、前記通信実行状態のときに前記送電装置から前記受電装置に伝送される電力を「通信時電力」として、前記通信時電力が予め設定された制限電力よりも小さいことを特徴としている。
【0008】
・この非接触式給電装置においては、前記通信停止状態のとき、前記送電装置の1次側コイルに共振周波数の電流が供給されること、ならびに、前記通信実行状態のとき前記送電装置の1次側コイルに前記共振周波数とは異なる周波数の電流が供給されることが好ましい。
【0009】
・この非接触式給電装置においては、前記通信実行状態のとき、前記送電装置から前記受電装置への電力の伝送が停止されることが好ましい。
・本発明の非接触式給電装置は、送電装置および受電装置を含み、前記送電装置とは別の外部機器と無線通信を行なうための無線通信機能が前記受電装置に設けられていること、ならびに、前記受電装置と前記外部機器との間で無線通信が行なわれているとき、前記送電装置の1次側コイルに供給される電流の周波数が無線通信周波数帯域から外れていることを特徴としている。
【0010】
・この非接触式給電装置においては、前記送電装置の1次側コイルが前記受電装置の2次側コイルよりも小さいことが好ましい。
・この非接触式給電装置においては、前記受電装置の2次側コイルに磁性体が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、送電装置から受電装置への電力の伝送にともない受電装置の無線通信が適切に行なわれなくなることを抑制することのできる非接触式給電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態の非接触式給電装置について、その断面構造を示す断面図。
【図2】同実施形態の非接触式給電装置について、その回路構成を示す回路図。
【図3】同実施形態の非接触式給電装置について、充電時電力変更制御の処理手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2実施形態の非接触式給電装置について、充電時周波数変更制御の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示されるように非接触式給電装置1には、2次電池22を有する携帯電話としての受電装置20と、受電装置20に電力を電送する送電装置10とが設けられている。
【0014】
送電装置10には、受電装置20に電力および信号を伝送する1次側コイルモジュール30と、1次側コイルモジュール30をはじめとする各種の構成要素を収容するハウジング11とが設けられている。ハウジング11には、受電装置20を載せるための搭載面11Aが形成されている。
【0015】
1次側コイルモジュール30には、電力が供給されることにより磁束を発生する1次側コイル31と、1次側コイル31からの磁束の漏れを抑制する磁性体32とが設けられている。
【0016】
1次側コイル31としては、平面方向に導電線が巻き回された平面コイルが用いられている。導電線としては、複数の銅線により構成される銅線の束と、この銅線の束の外周を被覆する絶縁体とにより構成されたリッツ線が用いられている。
【0017】
磁性体32としては、アモルファス材料により形成された円筒形状のものが用いられている。磁性体32には、1次側コイル31の底面に対向する底壁部分と、1次側コイル31の外周を取り囲む周壁部分とが設けられている。
【0018】
受電装置20には、送電装置10から伝送される電力および信号を受ける2次側コイルモジュール40と、2次側コイルモジュール40および2次電池22をはじめとする各種の構成要素を収容するハウジング21とが設けられている。
【0019】
2次側コイルモジュール40には、1次側コイル31で発生した磁束と鎖交することにより電流を発生する2次側コイル41と、2次側コイル41からの磁束の漏れを抑制する磁性体42とが設けられている。1次側コイル31と対向する2次側コイル41の面とは反対側の面に磁性体42が設けられている。
【0020】
各コイルモジュール30,40の寸法関係は次のように設定されている。
(a)1次側コイル31の外径R1が2次側コイル41の外径R2よりも小さい。
(b)磁性体42の大きさが2次側コイル41の外径R2よりも大きい。
【0021】
非接触式給電装置1の充電態様について説明する。
送電装置10の搭載面11Aに受電装置20が搭載された状態において、1次側コイル31に交番電力が供給されたとき、送電装置10の1次側コイル31と受電装置20の2次側コイル41との電磁誘導により2次電池22の充電が行われる。
【0022】
図2を参照して、送電装置10および受電装置20の回路構成について説明する。
送電装置10には、交番電力を生成する1次側回路50が設けられている。
1次側回路50には、1次側コイル31と、交流電源ACの交流電力を直流電力に変換する電源回路51と、複数のスイッチング素子により構成された発振回路52と、複数のスイッチング素子の制御等を行う制御部53とが設けられている。またこの他に1次側コイル31に直列に接続されるコンデンサ54が設けられている。1次側コイル31およびコンデンサ54により共振回路55が構成されている。
【0023】
受電装置20には、交番電力を直流電力に変換する2次側回路60と、送電装置10とは別の外部機器と無線通信を行うための無線通信機能としての無線通信部70とが設けられている。
【0024】
2次側回路60には、1次側コイル31で発生した磁束を受ける2次側コイル41と、2次側コイル41の交番電力を直流電力に変換する整流回路61と、2次電池22の充電状態の検知等を行う制御部62とが設けられている。
【0025】
無線通信部70は、上記外部機器との間で無線通信を行うための周波数帯域(以下、「無線通信周波数帯域」)の電磁波を送受信する外部アンテナにより構成されている。無線通信部70の無線通信としては、ワンセグ、インターネット、ブルートゥース、および通話が挙げられる。
【0026】
送電装置10および受電装置20の給電態様について説明する。
送電装置10の制御部53は、各スイッチング素子のオンおよびオフを切り替える。これにより、1次側コイル31に交番電力が誘起されるため、1次側コイル31に高周波の交番磁束が発生する。
【0027】
2次側コイル41においては、1次側コイル31の交番磁束と鎖交することにより交番電力が発生する。この交番電力は、整流回路61に供給されることにより平滑化された直流電力に変換される。そして、直流電力が2次電池22に供給されることにより2次電池22が充電される。
【0028】
送電装置10により行われる制御の内容について説明する。
送電装置10の制御部53は、送電装置10のハウジング11に受電装置20が載せられているか否かを判定するための「認証制御」と、受電装置20の2次電池22の充電状態に基づいて1次側コイル31の供給電力を制御する「充電制御」とを行う。またこの他に、受電装置20の充電時において1次側コイル31に供給する電力を調整する「充電時電力変更制御」と、送電装置10による受電装置の充電を停止するための「充電停止制御」とを行う。
【0029】
認証制御は次のように行われる。
送電装置10の制御部53は、1次側コイル31から受電装置20に応答要求信号KAを送信するための制御を所定時間毎に繰り返して行う。
【0030】
送電装置10に受電装置20が載せられているとき、1次側コイル31から送信された応答要求信号KAが受電装置20において2次側コイル41を介して受電装置20の制御部62により受信される。受電装置20の制御部62は、送電装置10からの応答要求信号KAを受信したとき、2次側コイル41から応答確認信号KBを送信するための制御を行う。
【0031】
送電装置10の制御部53は、受電装置20から応答確認信号KBを受信したとき、受電装置20がハウジング11に載せられている旨判定し、受電装置20の認証が成立した旨のフラグ(以下、「認証完了フラグFK」)をオンに設定する。そして、認証完了フラグFKを設定している状態において、受電装置20からの応答確認信号KBが一定期間以上にわたり受信できないとき、認証完了フラグFKをオフに設定する。
【0032】
充電制御は次のように行われる。
受電装置20の制御部62は、2次電池22の充電状態を検知する。そして、2次電池22の充電状態に応じた充電情報信号KCを送信するための制御を行う。
【0033】
送電装置10の制御部53は、受電装置20から充電情報信号KCを受信したとき、同充電情報信号KCに基づいて1次側コイル31に供給される電力量を制御する。具体的には、2次電池22の充電量が「0」から「満充電状態」に向けて上記電力量が小さくなるように制御する。
【0034】
充電時電力変更制御は次のように行われる。
以下では、無線通信部70により受電装置20と上記外部機器との間で無線通信が行われている状態を「通信実行状態」とし、無線通信部70により受電装置20と同外部機器との間で無線通信が行われていない状態を「通信停止状態」とする。また、通信実行状態のときに送電装置10から受電装置20に伝送される電力を「通信時電力」とし、通信停止状態のときに送電装置10から受電装置20に伝送される電力を「停止時電力」とする。通信時電力は、そのときどきの停止時電力の電流に対して所定量だけ小さい電流を1次側コイル30に供給するものとして設定されている。
【0035】
受電装置20の制御部62は、無線通信部70により上記外部機器に対して無線通信が行われている否かを判定する。すなわち、通信実行状態および通信停止状態のいずれかを判定する。通信実行状態のとき、無線通信部70が使用信号KDを受電装置20の制御部62に送信する。同制御部62は、使用信号KDを受信したか否かに基づいて通信実行状態および通信停止状態のいずれかを判定する。そして、通信実行状態である旨の判定をしたとき、2次側コイル41から出力低減要求信号KGを送信するための制御を行う。
【0036】
送電装置10の制御部53は、受電装置20から出力低減要求信号KGを受信したとき、通信実行状態である旨判定し、通信実行状態である旨のフラグ(以下、「通信実行フラグFT」)をオンに設定する。そして、通信実行フラグFTを設定している状態においては、停止時電力から通信時電力に変更する。
【0037】
また、通信実行フラグFTを設定している状態において、無線通信部70からの使用信号KDが一定期間以上にわたり受信できないとき、通信停止状態である旨判定し、通信実行フラグFTをオフに設定する。そして、通信実行フラグFTを設定していない状態においては、通信時電力から停止時電力に変更する。
【0038】
充電停止制御は次のように行われる。
受電装置20の制御部62は、2次電池22の充電状態が満充電状態のとき、2次側コイル41から充電停止信号KSを送信するための制御を行う。充電停止信号KSは、2次電池22の充電を終了する要求を示す信号として送信される。
【0039】
送電装置10の制御部53は、受電装置20から充電停止信号KSを受信したとき、1次側コイル31への通電を停止する。すなわち、送電装置10による受電装置20の充電を終了する。
【0040】
図3を参照して、充電時電力変更制御の処理手順について説明する。
ステップS10において、通信実行状態および通信停止状態のいずれかを判定する。この判定は、通信実行フラグFTがオンかオフかにより判定される。
【0041】
ステップS10において肯定判定されたとき、すなわち通信実行フラグFTがオンのとき、通信実行状態である旨判定する。そして、ステップS21において停止時電力から通信時電力に変更する。
【0042】
ステップS10において否定判定されたとき、すなわち通信実行フラグFTがオフのとき、通信停止状態である旨判定する。そして、ステップS22において停止時電力を維持する。
【0043】
(実施形態の効果)
本実施形態の非接触式給電装置1によれば以下の効果が得られる。
(1)非接触式給電装置1においては、充電時変更制御により通信実行状態の期間にわたり、停止時電力から通信時電力に変更される。この構成によれば、通信実行状態においては通信停止状態のときよりも1次側コイル31の交番磁束が小さくなるため、無線通信部70により無線通信が行われるときの電磁波に1次側コイル31の交番磁束が影響を及ぼすことが抑制される。したがって、送電装置10から受電装置20への電力の伝送にともない受電装置20の無線通信が適切に行なわれなくなることを抑制することができる。
【0044】
(2)非接触式給電装置1においては、2次側コイル41の外径R2が1次側コイル31の外径R1よりも大きい。この構成によれば、2次側コイル41の外径R2が1次側コイル31の外径R1よりも小さい構造と比較して、1次側コイル31および2次側コイル41の間の漏れ磁束の量を小さくすることができる。したがって、漏れ磁束に起因して無線通信部70により無線通信が行われるときの電磁波に影響を及ぼすことが抑制される。
【0045】
(3)非接触式給電装置1においては、2次側コイルモジュール40に磁性体42が設けられている。この構成によれば、2次側コイルモジュール40から磁性体42が省略された構造と比較して、1次側コイル31および2次側コイル41の間の漏れ磁束の量を小さくすることができる。したがって、漏れ磁束に起因して無線通信部70により無線通信が行われるときの電磁波に影響を及ぼすことが抑制される。
【0046】
(4)非接触式給電装置1においては、磁性体42の大きさが2次側コイル41の外径R2よりも大きい。この構成によれば、磁性体42の大きさが2次側コイル41の外径R2よりも小さい構造と比較して、1次側コイル31および2次側コイル41の間の漏れ磁束の量を小さくすることができる。したがって、漏れ磁束に起因して無線通信部70により無線通信が行われるときの電磁波に影響を及ぼすことが抑制される。
【0047】
(第2実施形態)
図4を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の非接触式給電装置1は、第1実施形態の非接触式給電装置1の一部を変更したものとして構成されている。このため、以下では第1実施形態の非接触式給電装置1と異なる点の詳細を説明し、同実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
【0048】
第1実施形態の非接触式給電装置1では、通信実行状態の期間にわたり停止時電力から通信時電力に変更している。これに対して、本実施形態の非接触式給電装置1では、通信実行状態の期間にわたり無線通信部70の無線通信周波数帯域から外れる周波数に1次側コイル31に供給される電流の周波数を設定する。
【0049】
2次電池22を充電している期間において通信停止状態のとき、非接触式給電装置1では、充電制御を行う。このとき、1次側コイル31に供給される電流の周波数は、共振回路55の共振周波数となるように制御されている。この共振周波数は、無線通信部70の無線通信周波数帯域に含まれる。
【0050】
一方、2次電池22を充電している期間において通信実行状態のとき、非接触式給電装置1では、充電時周波数変更制御を行う。すなわち、非接触式給電装置1では、2次電池22を充電している期間において通信実行状態のときには充電制御から充電時周波数変更制御に変更される。
【0051】
充電時周波数変更制御は次のように行われる。
以下では、通信実行状態のときの1次側コイル31に供給される電力の周波数を「通信時周波数」とし、通信停止状態のときの1次側コイル31に供給される電力の周波数を「停止時周波数」とする。通信時周波数は、無線通信周波数帯域から外れる周波数に設定されている。
【0052】
受電装置20の制御部62は、通信実行状態および通信停止状態のいずれかを判定する。通信実行状態のとき、使用信号KDを受電装置20の制御部62に送信する。同制御部62は、使用信号KDを受信したか否かにより通信実行状態および通信停止状態のいずれかを判定する。そして、通信実行状態である旨の判定をしたとき、2次側コイル41から周波数変更要求信号KHを送信するための制御を行う。
【0053】
送電装置10の制御部53は、受電装置20から周波数変更要求信号KHを受信したとき、通信実行状態である旨判定し、通信実行フラグFTをオンに設定する。そして通信実行フラグFTを設定している状態において、停止時周波数から通信時周波数に変更する。
【0054】
また、通信実行フラグFTを設定している状態において、無線通信部70からの使用信号KDが一定期間以上にわたり受信できないとき、通信停止状態である旨判定し、通信実行フラグFTをオフに設定する。そして、通信実行フラグFTを設定していない状態において、通信時周波数から停止時周波数に変更する。
【0055】
図4を参照して、充電時周波数変更制御の処理手順について説明する。
ステップS30において、通信実行状態および通信停止状態のいずれかを判定する。この判定は、通信実行フラグFTがオンかオフかにより判定される。
【0056】
ステップS30において肯定判定されたとき、すなわち通信実行フラグFTがオンのとき、通信実行状態である旨判定する。そして、ステップS41において停止時周波数から通信時周波数に変更する。
【0057】
ステップS30において否定判定されたとき、すなわち通信実行フラグFTがオフのとき、通信停止状態である旨判定する。そして、ステップS42において停止時周波数を維持する。
【0058】
(実施形態の効果)
本実施形態の非接触式給電装置1によれば第1実施形態の(2)〜(4)の効果に加え、以下の(5)の効果を奏することができる。
【0059】
(5)非接触式給電装置1においては、変更時周波数変更制御により通信実行状態の期間にわたり、停止時周波数から通信時周波数に変更される。この構成によれば、通信時周波数により1次側コイル31に供給される電流の周波数が無線通信周波数帯域から外れた周波数となるため、1次側コイル31の交番磁束が無線通信部70の電磁波に影響を及ぼすことが抑制される。したがって、2次電池22の充電時において、無線通信部70による無線通信が適切に行われる。
【0060】
(その他の実施形態)
本発明の実施態様は、上記第1および第2実施形態の内容に限定されるものではなく、例えば以下のように変更することもできる。また、以下の変形例は上記第1および第2実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0061】
・第1実施形態(図3)では、充電時出力低減制御において通信実行状態のとき、停止時電力から通信時電力に変更しているが、通信時電力に代えて、送電装置10から受電装置20への電力の伝送を停止することもできる。
【0062】
・第1実施形態(図3)では、充電時出力低減制御において通信時電力を停止時電力よりも所定量小さい電力量として設定しているが、通信時電力の電力量を次のように設定することもできる。すなわち、通信時電力として、停止時電力にかかわらず予め設定された制限電力よりも小さい値に設定する。ここで、制限電力とは、通信実行状態において1次側コイル31に供給される電流により生成される交番磁束により無線通信部70による無線通信が適切に行われなくなるときの電力である。
【0063】
・第1実施形態(図3)では、充電時出力低減制御において通信時電力が停止時電力よりも所定量電力が小さい電力として設定しているが、通信時電力として共振回路55の共振周波数から外れた周波数に設定することもできる。これにより通信時電力は停止時電力よりも所定量電力が小さくなる。
【0064】
・第1実施形態(図3)において、充電時出力低減制御に加え、第2実施形態の充電時周波数変更制御を行うこともできる。すなわち、通信実行状態の期間にわたり、通信時電力かつ通信時周波数に変更することもできる。
【0065】
・第1および第2実施形態(図1)では、2次側コイル41の外径R2が1次側コイル31の外径R1よりも大きくなるように2次側コイル41を形成しているが、2次側コイル41の外径R2は1次側コイル31の外径R1と同じとなるように2次側コイル41を形成することもできる。この構成によれば、第1実施形態の(2)の効果を奏することができる。
【0066】
・また、2次側コイル41の外径R2が1次側コイル31の外径R1よりも小さくなるように2次側コイル41を形成することもできる。この構成によれば、第1実施形態の(1)、(3)、および(4)の効果、または第2実施形態の(1)の効果、および第1実施形態の(3)および(4)の効果を奏することができる。
【0067】
・第1および第2実施形態(図1)において、2次側コイルモジュール40の磁性体42の構成として、1次側コイルモジュール30の磁性体32のような形状とすることもできる。
【0068】
・第1および第2実施形態(図1)において、2次側コイルモジュール40から磁性体42を省略することもできる。
・第1および第2実施形態(図1)において、スマートフォン、携帯情報端末、ポータブルオーディオプレーヤー、およびノートパソコンの少なくとも1つを受電装置20として用いることもできる。この場合には、送電装置10の大きさがこれらの受電装置に対応した大きさに変更される。
【符号の説明】
【0069】
1…非接触式給電装置、10…送電装置、20…受電装置、30…1次側コイルモジュール、31…1次側コイル、32…磁性体、40…2次側コイルモジュール、41…2次側コイル、42…磁性体、70…無線通信部(無線通信機能)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電装置および受電装置を含む非接触式給電装置において、
前記送電装置とは別の外部機器と無線通信を行なうための無線通信機能が前記受電装置に設けられていること、
ならびに、前記受電装置と前記外部機器との間で無線通信が行なわれている状態を「通信実行状態」とし、前記受電装置と前記外部機器との間で無線通信が行なわれていない状態を「通信停止状態」とし、前記通信実行状態のときに前記送電装置から前記受電装置に伝送される電力を「通信時電力」とし、前記通信停止状態のときに前記送電装置から前記受電装置に伝送される電力を「停止時電力」として、
前記通信時電力が前記停止時電力よりも小さいこと
を特徴とする非接触式給電装置。
【請求項2】
送電装置および受電装置を含む非接触式給電装置において、
前記送電装置とは別の外部機器と無線通信を行なうための無線通信機能が前記受電装置に設けられていること、
ならびに、前記受電装置と前記外部機器との間で無線通信が行なわれている状態を「通信実行状態」とし、前記受電装置と前記外部機器との間で無線通信が行なわれていない状態を「通信停止状態」とし、前記通信実行状態のときに前記送電装置から前記受電装置に伝送される電力を「通信時電力」として、
前記通信時電力が予め設定された制限電力よりも小さいこと
を特徴とする非接触式給電装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の非接触式給電装置において、
前記通信停止状態のとき、前記送電装置の1次側コイルに共振周波数の電流が供給されること、
ならびに、前記通信実行状態のとき前記送電装置の1次側コイルに前記共振周波数とは異なる周波数の電流が供給されること
を特徴とする非接触式給電装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の非接触式給電装置において、
前記通信実行状態のとき、前記送電装置から前記受電装置への電力の伝送が停止されること
を特徴とする非接触式給電装置。
【請求項5】
送電装置および受電装置を含む非接触式給電装置において、
前記送電装置とは別の外部機器と無線通信を行なうための無線通信機能が前記受電装置に設けられていること、
ならびに、前記受電装置と前記外部機器との間で無線通信が行なわれているとき、前記送電装置の1次側コイルに供給される電流の周波数が無線通信周波数帯域から外れていること
を特徴とする非接触式給電装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の非接触式給電装置において、
前記送電装置の1次側コイルが前記受電装置の2次側コイルよりも小さいこと
を特徴とする非接触式給電装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の非接触式給電装置において、
前記受電装置の2次側コイルに磁性体が設けられていること
を特徴とする非接触式給電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−200096(P2012−200096A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63307(P2011−63307)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】