説明

非水系電解液二次電池並びに非水系電解液二次電池用正極及び負極

【課題】正負極間に設けられた多孔質絶縁層がシャットダウン性を有しかつ高温環境下においてもメルトダウンを起こさず、安全性の高い非水系電解液二次電池を提供する。
【解決手段】リチウムを吸蔵・放出することが可能な正極及び負極と、該正極及び負極間に形成された多孔質絶縁層と、非水系溶媒に電解質を溶解してなる非水系電解液とを備える非水系電解液二次電池において、該多孔質絶縁層の構成成分として、分子量が20万以上、500万以下の高分子量熱可塑性樹脂と、分子量が20万未満の低分子量熱可塑性樹脂とを含むことを特徴とする非水系電解液二次電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高温環境下においても安全な非水系電解液二次電池と、この非水系電解液二次電池用正極及び負極に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気製品の軽量化、小型化に伴ない、高いエネルギー密度を持ち且つ軽量な非水系電解液二次電池であるリチウム二次電池が、携帯電話やノート型パーソナルコンピューターなどの広い分野で使用されている。特に最近の地球温暖化問題に対する世界的な関心の高まりを背景に、自動車業界では電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、そのキーデバイスとなる高容量、高出力のリチウム二次電池の開発が盛んに行われている。
【0003】
リチウム二次電池は、コバルト酸リチウムに代表されるリチウム化合物などの正極活物質を含有する活物質層を集電体上に形成させた正極と、黒鉛などに代表されるリチウムの吸蔵・放出が可能な炭素材料などの負極活物質を含有する活物質層を集電体上に形成させた負極と、LiPF等のリチウム塩等の電解質を非プロトン性の非水系溶媒に溶解した非水系電解液と、高分子多孔質膜からなるセパレータとから構成される。
【0004】
このようなリチウム二次電池で使用されるセパレータには、両極間のイオン伝導を妨げないこと、電解液を保持できること、電解液に対して耐性を有すること、などの要件を満たすことが求められている。また、セパレータの重要な機能として、短絡や過充電状態などで電池の温度が上昇したときに、電解液の分解温度以下でセパレータを構成する樹脂が溶融して多孔質膜の空孔を閉塞させ、電流を遮断することで電池の熱暴走を制御するシャットダウン機能がある。
【0005】
従来、リチウム二次電池のセパレータとしては、主としてポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンからなる高分子多孔質膜が用いられており、例えば特許文献1及び2に示すような一軸延伸あるいは二軸延伸によって作られたポリオレフィンフィルムが提供されている。ここで、延伸工程はフィルムの多孔化と電池作成時の高速捲回で要求される一定の強度をフィルムに付与するために必須の工程となっている。しかし、延伸を行うことは、フィルムの機械的強度を高めて活物質や混入異物などによる短絡の危険性を軽減する反面、フィルムに歪みを残すことになり、高温に曝された場合にその残留応力によってフィルムの熱収縮や破膜、所謂メルトダウンが生じることになる。特に大容量を必要とするEVやHEVでは短絡時に大電流が流れるため発熱も大きく、一気に樹脂の融点を大きく超えて温度が上がるために、従来のシャットダウン機能での絶縁確保が間に合わず、メルトダウンに至ってしまう。
【0006】
このようなメルトダウンによる短絡を防ぐために、セパレータとして耐熱性樹脂を用いた多孔膜や、ポリオレフィン等からなる従来のセパレータと耐熱性樹脂を組み合わせた複合多孔膜を用いる方法が提案されている(特許文献3及び4)。しかしながら、耐熱性樹脂を用いた多孔膜は、当然ながら従来のセパレータが持つシャットダウン機能を欠いており、また高温まで多孔性形状を維持するため、電解液の分解生成物が正負両極間を自由に行き来して活物質と反応することで大きな発熱を生じて暴走に至り、必ずしも充分な安全性を確保することはできなかった。これに対して、複合多孔膜よりなるセパレータであれば、従来のセパレータ材料を用いた部分がシャットダウン機能を有するため耐熱性樹脂単独の多孔膜の場合に比べて安全性は増すものの、従来セパレータ部分の熱収縮応力に負けて耐熱性樹脂層も破膜したり、あるいは破膜せずとも従来セパレータ部分のメルトダウンによってシャットダウン性がなくなると、耐熱性樹脂単独の場合と同様に両極間の物質移動が再び生じるため、安全性の充分な確保が難しかった。
【0007】
同様にメルトダウンによる短絡を防ぐために、無機微粒子などを用いた多孔質層の形成や耐熱性不織布などの多孔性基材に無機微粒子を混合する技術も提案されている(特許文献5及び6)。しかしながら、このように無機材料を使用した場合も、耐熱性樹脂の場合と同様に高温での両極間の物質移動を制御することはできず、充分な安全性の確保は難しかった。
【0008】
特許文献7では、正負極間に絶縁性粒子を備えた電池を提案しており、特に絶縁性粒子としてポリエチレンなどを選択した場合は120℃乃至130℃でシャットダウンが生じて好ましい旨の開示がある。この絶縁性樹脂粒子層を塗布などにより形成する場合、通常は歪みなどは残らないため、樹脂の融点を超えて溶融しても収縮などは生じず、延伸によって得られる従来のセパレータに比較して安全性は高い。しかしながら、これらの樹脂粒子層は溶融した後、温度の上昇に伴い粘度が低下して流動性が増すため、多孔質である活物質層に吸い込まれることが多く、この結果、正負極の短絡を招きやすく、充分な安全性の確保が難しいという問題があった。即ち、特許文献7では、絶縁性粒子として用いるポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂の分子量についての検討は全くなされておらず、分子量のもたらす安全性への効果に関する言及もなく、高温環境下におけるセパレータ代替物の絶縁性保持については何ら開示されていない。
【特許文献1】特開平7−304110号公報
【特許文献2】特開2001−164018号公報
【特許文献3】特開2003−138057号公報
【特許文献4】特開2001−23602号公報
【特許文献5】特開2007−258160号公報
【特許文献6】特表2005−536857号公報
【特許文献7】特開2006−173001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記従来の実状に鑑みてなされたものであって、正負極間に設けられた多孔質絶縁層がシャットダウン性を有しかつ高温環境下においてもメルトダウンを起こさず、安全性の高い非水系電解液二次電池並びにそのための非水系電解液二次電池用正極及び負極を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は上記課題を解決すべく、鋭意研究の結果、正負極間にセパレータとしての多孔質絶縁層を形成するに当たり、多孔質絶縁層を構成する成分の1つとして分子量が20万以上、500万以下の高分子量熱可塑性樹脂を必須成分とすることにより、シャットダウン性と少くなくとも200℃を超える温度でもメルトダウンを起こさず絶縁性を維持する耐メルトダウン性とを両立することができること、また、このような高分子量熱可塑性樹脂に、分子量20万未満の低分子量熱可塑性樹脂を併用することにより、シャットダウン応答性を高めることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
即ち、本発明の要旨は、リチウムを吸蔵・放出することが可能な正極及び負極と、該正極及び負極間に形成された多孔質絶縁層と、非水系溶媒に電解質を溶解してなる非水系電解液とを備える非水系電解液二次電池において、該多孔質絶縁層の構成成分として、分子量が20万以上、500万以下の高分子量熱可塑性樹脂と、分子量が20万未満の低分子量熱可塑性樹脂とを含むことを特徴とする非水系電解液二次電池、に存する。
【0012】
本発明の別の要旨は、リチウムを吸蔵・放出することが可能な非水系電解液二次電池用正極において、分子量が20万以上、500万以下の高分子量熱可塑性樹脂と、分子量が20万未満の低分子量熱可塑性樹脂とを含む多孔質絶縁層を有することを特徴とする非水系電解液二次電池用正極、に存する。
【0013】
本発明の更に別の要旨は、リチウムを吸蔵・放出することが可能な非水系電解液二次電池用負極において、分子量が20万以上、500万以下の高分子量熱可塑性樹脂と、分子量が20万未満の低分子量熱可塑性樹脂とを含む多孔質絶縁層を有することを特徴とする非水系電解液二次電池用負極、に存する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、非水系電解液の分解温度以下で優れたシャットダウン性を有するとともに、少なくとも200℃を超える温度でもメルトダウンを起こさず、電解液の分解物等の正負極間の移動を抑制して、電池の発熱、暴走を防止し得る、高温環境下においても安全性の高い非水系電解液二次電池が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明は、これらの具体的内容に限定はされず、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0016】
[非水系電解液二次電池]
本発明の非水系電解液二次電池は、リチウムを吸蔵・放出することが可能な正極及び負極と、該正極及び負極間に形成された多孔質絶縁層と、非水系溶媒に電解質を溶解してなる非水系電解液とを備える非水系電解液二次電池において、該多孔質絶縁層の構成成分として、分子量が20万以上、500万以下の高分子量熱可塑性樹脂と、分子量が20万未満の低分子量熱可塑性樹脂とを含むことを特徴とするものである。
【0017】
<多孔質絶縁層>
(高分子量熱可塑性樹脂及び低分子量熱可塑性樹脂)
本発明の非水系電解液二次電池の正負極間に形成される多孔質絶縁層は、該多孔質絶縁層を構成する成分として、分子量が20万以上、500万以下の高分子量熱可塑性樹脂と、分子量が20万未満の低分子量熱可塑性樹脂とを必須成分とすることを特徴とする。
【0018】
この高分子量熱可塑性樹脂の分子量が上記下限を下回ると200℃以上の高温における樹脂の流動性が高すぎて、多孔質である両極の活物質層に吸い込まれるため、絶縁性を維持することが困難である。一方、この高分子量熱可塑性樹脂の分子量が上記上限を超えると融点を超えても殆ど流動せず、シャットダウンしないので、電解液の分解物の移動を妨げることができず、分解物と電極との発熱反応を生じ、暴走に至るため好ましくない。
本発明で用いる高分子量熱可塑性樹脂の分子量は好ましくは30万以上、500万以下、より好ましくは50万以上、400万以下、更に好ましくは100万以上、400万以下、最も好ましくは200万以上、300万以下である。
【0019】
一方、本発明に係る多孔質絶縁層のもう一方の成分である分子量が20万未満の低分子量熱可塑性樹脂の分子量は、好ましくは1万以上、18万以下、より好ましくは3万以上、15万以下、更に好ましくは5万以上、15万以下である。この低分子量熱可塑性樹脂は、分子量が小さいことにより、溶融時の粘度が低く、高温溶融時に多孔質絶縁層を構成する上記高分子量熱可塑性樹脂の間隙を迅速に埋めてシャットダウン速度を上げる効果が期待されるが、この分子量が過度に小さいと溶融粘度が低すぎて、溶融直後に電極に吸い込まれてしまい、シャットダウン速度を上げる効果が得られない場合がある。
【0020】
なお、本発明における熱可塑性樹脂の分子量はサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)で測定される重量平均分子量であるが、特に分子量の高い樹脂については粘性が高くSECによる測定が困難な場合がある。その場合はJIS K−7367あるいは超高分子量ポリエチレンであればASTM D4020で規定される粘度平均分子量を分子量とする。
【0021】
本発明における分子量が20万以上、500万以下の高分子量熱可塑性樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は通常0.1以下であり、好ましくは0.06以下、より好ましくは0.04以下、更に好ましくは0.02以下である。MFRが0.1よりも大きいと200℃以上の高温における樹脂の流動性が高すぎて、多孔質である電極の活物質層に吸い込まれて絶縁性を維持できなくなる場合がある。
また、本発明における分子量が20万未満の低分子量熱可塑性樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は通常0.1より大きく、10000以下、好ましくは1以上、8000以下である。MFRが0.1よりも小さいと溶融粘度が高すぎてシャットダウン速度を上げる効果が得られない。また、MFRが10000を超えると溶融粘度が低すぎて、溶融直後に電極に吸い込まれてしまい、シャットダウン速度を上げる効果が得られない場合がある。
なお、熱可塑性樹脂のMFRはJIS K−7210に準拠して測定される。後述の実施例におけるMFRは、温度190℃、荷重2.16kgにおいて測定されたものである。また、その単位はg/10分である。
【0022】
本発明では、上記高分子量熱可塑性樹脂と低分子量熱可塑性樹脂の種類及び量比を適宜選定することにより、高温時においても正負両極間の多孔質絶縁層として必要な絶縁性を維持する。なお、ここで絶縁性維持の目安としては、後述の実施例に示すように、室温(通常20〜40℃、後述の実施例では30℃)における多孔質絶縁層の電気抵抗と250℃における多孔質絶縁層の電気抵抗の比が少なくとも100以上、好ましくは200以上、より好ましくは500以上である。
【0023】
本発明で用いる高分子量熱可塑性樹脂及び低分子量熱可塑性樹脂としては、電解液の分解温度よりも低い温度で熱可塑性樹脂が流動化することにより絶縁層の孔を閉塞して電流を遮断する機能が要求されるために、結晶性樹脂の場合はその融点が、また、非晶性樹脂の場合はそのガラス転移点が、電解液の分解温度より低いものが用いられる。このために、結晶性の熱可塑性樹脂の融点又は非晶性の熱可塑性樹脂のガラス転移点は、80℃乃至200℃、好ましくは100℃乃至180℃、さらに好ましくは120℃乃至160℃である。
【0024】
従って、本発明で用いる高分子量熱可塑性樹脂及び低分子量熱可塑性樹脂は、分子量が20万以上、500万以下、又は20万未満で、かつその熱特性が電解液の分解温度と上述の関係を満たすものであれば特に限定されることはないが、例えば結晶性樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂、ポリアセタールなどが挙げられる。また、非晶性樹脂としてはポリスチレン、AS、ABSなどのスチレン系樹脂、ポリメチルメタアクリレートなどのアクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリサルフォン、ポリアリレートなどが挙げられる。
【0025】
これらの熱可塑性樹脂のうち、本発明において多孔質絶縁層の必須成分として用いる分子量20万以上、500万以下の高分子量熱可塑性樹脂、及び分子量が20万未満の低分子量熱可塑性樹脂としては、耐熱性、耐電解液性の観点からポリオレフィン系樹脂が好ましく、特にシャットダウン性能の温度及び信頼性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレンを用いることが好ましい。
【0026】
これらの高分子量熱可塑性樹脂及び低分子量熱可塑性樹脂はそれぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
本発明に係る多孔質絶縁層に含まれる分子量が20万以上、500万以下の高分子量熱可塑性樹脂と分子量が20万未満の低分子量熱可塑性樹脂との好適割合は、その分子量や融点等によっても異なるが、重量比で、高分子量熱可塑性樹脂:低分子量熱可塑性樹脂=0.5乃至10:1、好ましくは高分子量熱可塑性樹脂:低分子量熱可塑性樹脂=1乃至5:1より好ましくは高分子量熱可塑性樹脂:低分子量熱可塑性樹脂=2乃至4:1である。この範囲より高分子量熱可塑性樹脂が少ないと高温における耐熱性を十分に得ることが難しく、低分子量熱可塑性樹脂が少ないとシャットダウン速度の向上が不十分となる。
【0028】
(その他の成分)
本発明における正負極間に形成される多孔質絶縁層は、多孔質絶縁層の構成成分として、上述の高分子量熱可塑性樹脂と低分子量熱可塑性樹脂とを必須成分として含んでいれば、その他の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、無機物等を含んでいてもよい。
【0029】
ただし、本発明において必須成分として用いる高分子量熱可塑性樹脂及び低分子量熱可塑性樹脂による前述の効果を十分に得る上で、多孔質絶縁層の全構成成分中の高分子量熱可塑性樹脂及び低分子量熱可塑性樹脂の合計の割合が通常60重量%以上、特に75重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましい。
【0030】
なお、後述の実施例においては、スラリーの増粘および樹脂粒子同士を結着させるための成分として分子量18万のアタクティックポリプロピレンを用いているが、このアタクティックポリプロピレンの代わりにスラリーの溶媒に室温で可溶で、かつ樹脂粒子と親和性のあるものであれば特に限定されない。例えば樹脂粒子がポリエチレンやポリプロピレン粒子で、溶媒がキシレンやトルエンであればSBS(スチレン−ブタジエン−スチレンエラストマー)等のエラストマー類を1種または2種以上を用いることもできる。これらのバインダー成分は、多孔質絶縁層の全構成成分中の割合が1乃至10重量%であり、好ましくは2乃至8重量%、より好ましくは3乃至6重量%である。バインダー成分が1重量%未満では樹脂粒子を結着させる効果が不充分となる場合があり、バインダー成分が10%を越えると溶媒を乾燥除去した後に多孔質絶縁層や電極の表面に皮膜を形成して電気抵抗を上げる原因になり出力等の電池特性の低下につながる場合がある。
【0031】
(樹脂粒子)
本発明に係る多孔質絶縁層は、上述の高分子量熱可塑性樹脂が微細な粒子として存在することが、リチウムの針状結晶の成長を妨げ、また電気抵抗を下げる上で好ましい。また、残留応力などの成形工程に起因する熱収縮を軽減する上でも好ましい。
また、この場合、高分子量熱可塑性樹脂粒子の平均粒径は0.1乃至200μm、特に0.5乃至150μmであることが好ましい。樹脂粒子の平均粒径が上記下限よりも小さいと、粒子が凝集しやすくなり取扱いが困難となり好ましくない。一方、樹脂粒子の平均粒径が上記上限を超えると正負両極間の距離が大きくなり、抵抗が大きくなって電池特性の低下をもたらし、好ましくない。
【0032】
一方、低分子量熱可塑性樹脂は多孔質絶縁層中に通常微細な粒子として存在する。
低分子量熱可塑性樹脂粒子の平均粒径は0.05乃至100μm、特に0.1乃至50μmが好ましい。低分子量熱可塑性樹脂粒子の平均粒径が100μmを超えると高分子量熱可塑性樹脂粒子間の間隙に入るのが難しくなりシャットダウン応答性が充分に高まらない場合がある。低分子量熱可塑性樹脂粒子の平均粒径が0.05μmを下回ると溶融しても高分子量熱可塑性樹脂粒子の間隙を充分に閉塞させることができずシャットダウン応答性が充分に高まらない場合がある。
【0033】
なお、この樹脂粒子の平均粒径は、例えば、JIS Z−8825−1などで規定されるレーザー回折法や、あるいはSEM観察により得られた粒子径の平均をとることで得ることができる。
【0034】
(空隙率)
本発明に係る多孔質絶縁層は、その多孔性の程度として、空隙率(多孔質絶縁層の見掛けの全体積に占める空隙の体積割合)が30乃至90%、特に50乃至80%、とりわけ60乃至70%であることが好ましい。多孔質絶縁層の空隙率が上記下限よりも小さいと、電気抵抗が高くなりすぎて出力などの電池性能が低下する場合がある。空隙率が上記上限よりも大きいときは機械的強度が低すぎて、充放電によって活物質が膨張・収縮する場合に形状を維持できず、内部短絡を生じる場合がある。
【0035】
本発明における多孔質絶縁層の空隙率は以下のように重量法で求められる。
即ち、まず多孔質絶縁層の厚みをt0、重量をw0として、多孔質絶縁層の平均比重をρとすると、多孔質絶縁層の空隙率Pvは次式で得ることができる。
Pv(%)=100×{1−(w0/[ρ・t0])}
(但し、サンプル面積は単位面積。)
なお、平均比重ρは多孔質絶縁層を形成する樹脂成分の比重及び重量比をそれぞれρi、kiとして、
ρ=1/(Σki/ρi)
で得ることができる。
【0036】
(厚さ)
本発明に係る多孔質絶縁層の厚さは、この多孔質絶縁層が適用される非水系電解液二次電池の規模や用途、多孔質絶縁層の形成方法等によっても異なるが、例えば、後述の塗布法で多孔質絶縁層が形成される場合、両面塗布であれば、一層当たりの多孔質絶縁層の厚みは0.1乃至100μm、より好ましくは0.5乃至75μmである。また、片面塗布であれば、0.1乃至200μm、より好ましくは0.5乃至150μmである。多孔質絶縁層の厚さがこの下限より薄くなると欠陥などが生じやすくなり好ましくない。一方、多孔質絶縁層の厚さがこの上限を超えると正負両極間の距離が大きくなり抵抗が大きくなって電池特性の低下をもたらし、好ましくない。
【0037】
(形成方法)
本発明に係る多孔質絶縁層の形成方法は特に制限されず公知の方法が用いられる。一例を挙げれば、高分子量熱可塑性樹脂が微細樹脂粒子よりなる多孔質絶縁層を形成する場合は、高分子量熱可塑性樹脂及び低分子量熱可塑性樹脂の樹脂粒子のスラリーを調製し、このスラリーをドクターブレード又はロールコータ、ダイコータ、その他ディッピングやスプレー法等などの公知の手法で電極活物質層等の多孔質絶縁層形成面に塗布し、その後溶媒を乾燥させて多孔質絶縁層を形成する。
【0038】
ここで用いる溶媒の種類や乾燥手段も特に制限はなく公知の溶媒、公知の乾燥手段が適宜使用されるが、溶媒としては例えば、樹脂粒子がポリエチレンやポリプロピレン粒子の場合は、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素、デカリン、テトラリン等の脂環式炭化水素などの1種又は2種以上を用い、樹脂粒子をこのような溶媒に1乃至40重量%程度の濃度に分散させてスラリーを調製することができる。また、乾燥温度としては、溶媒の種類にもよるが、通常80℃乃至、樹脂粒子の融点−20℃である。また、乾燥効率を上げるために熱風を吹き付けてもよい。
【0039】
なお、この場合、用いた高分子量熱可塑性樹脂の樹脂粒子は溶媒に分散するのみで溶解せず、従って、スラリー中の高分子量熱可塑性樹脂粒子の平均粒径が、形成された多孔質絶縁層中の高分子量熱可塑性樹脂粒子の平均粒径となる。一方、低分子量熱可塑性樹脂粒子も高分子量熱可塑性樹脂粒子と同様に溶媒に分散するのみであり、従って、スラリー中の低分子量熱可塑性樹脂粒子の平均粒径が、形成された多孔質絶縁層中の低分子量熱可塑性樹脂粒子の平均粒径となる。
【0040】
多孔質絶縁層形成の他の方法としては、高分子量熱可塑性樹脂及び低分子量熱可塑性樹脂を溶媒に溶解させてポリマー溶液を調製し、上述のような公知の方法で電極活物質層等の多孔質絶縁層形成面に塗布し、その後熱可塑性樹脂の貧溶媒に浸漬して溶解していた樹脂を凝固させて多孔質絶縁層を形成させる方法が挙げられる。
【0041】
(その他のセパレータの併用)
本発明に係る多孔質絶縁層は、正負極間に設けられるが、この多孔質絶縁層には、従来公知のセパレータを積層して正負極間に介在させてもよい。この場合、多孔質絶縁層は正極の活物質層上、又は負極の活物質層上、又は両極の活物質層上に形成してもよく、あるいはセパレータの少なくとも片面に形成してもよい。またセパレータの代わりに従来公知の不織布を本発明に係る多孔質絶縁層に積層して正負極間に介在してもよい。この場合、多孔質絶縁層は正極の活物質層上、又は負極の活物質層上、又は両極の活物質層上に形成してもよく、あるいは不織布の少なくとも片面に形成してもよい。
【0042】
<非水系電解液>
(非水系溶媒)
本発明の非水系電解液二次電池に使用される電解液の非水系溶媒としては、非水系電解液二次電池の溶媒として公知の任意のものを用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のジアルキルカーボネート(ジアルキルカーボネートのアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい);テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル;ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等の鎖状エーテル;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル;酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の鎖状カルボン酸エステルなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0043】
(電解質)
非水系電解液の溶質である電解質としては、通常リチウム塩が用いられる。このリチウム塩としては、任意のものを用いることができ、例えば、LiClO、LiPF、LiBF等の無機リチウム塩;LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CFSO、LiPF(CSO、LiBF(CF、LiBF(C、LiBF(CFSO、LiBF(CSO等の含フッ素有機リチウム塩などが挙げられる。これらのうち、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSOが好ましく、特にLiPF、LiBFが好ましい。なお、リチウム塩についても1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
これらのリチウム塩の非水系電解液中の濃度の下限値としては、通常0.5mol/l以上、中でも0.75mol/l以上、上限値としては、通常2mol/l以下、中でも1.5mol/l以下である。リチウム塩の濃度がこの上限値を超えると非水系電解液の粘度が高くなり、電気伝導率も低下する。また、この下限値を下回ると電気伝導率が低くなるので、上記濃度範囲内で非水系電解液を調製することが好ましい。
【0045】
(その他の成分)
本発明に係る非水系電解液には、非水系溶媒及び電解質以外に必要に応じて他の有用な成分、例えば従来公知の過充電防止剤、脱水剤、脱酸剤、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤等の各種の添加剤を含有させてもよい。
【0046】
高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤としては、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート及びエリスリタンカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、フェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブサルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、テトラメチルチウラムモノスルフィド等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルスクシイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物などが挙げられる。非水系電解液がこれらの助剤を含有する場合、その非水系電解液中の濃度は、通常0.1乃至5重量%である。
【0047】
<正極>
本発明の非水系電解液二次電池に使用される正極は、通常、正極活物質とバインダーを含有する活物質層を集電体上に形成させたものである。
【0048】
正極活物質としては、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物材料などのリチウムを吸蔵及び放出可能な材料が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0049】
バインダーとしては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば、特に限定されない。その具体例としてはポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンエラストマー)、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0050】
正極活物質層中のバインダーの割合は、下限値が通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、上限値が通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは40重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。バインダーの割合が少ないと、活物質を十分に保持できないので、正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させることがあり、逆に多すぎると電池容量や導電性を下げることになる。
【0051】
正極活物質層は、通常、導電性を高めるため導電剤を含有する。導電剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛の微粒子や、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素微粒子等の炭素質材料を挙げることができる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用してもよい。正極活物質層中の導電剤の割合は、下限値が通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上であり、上限値が通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。導電剤の割合が少ないと導電性が不十分になることがあり、逆に多すぎると電池容量が低下することがある。
【0052】
正極活物質層には、その他、増粘剤等の通常の活物質層の添加剤を含有させることができる。
【0053】
増粘剤は電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば、特に限定されない。その具体例としては、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0054】
正極の集電体には、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が使用される。正極集電体の厚さは任意であるが、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上が更に好ましく、また、通常100μm以下であり、50μm以下が好ましく、20μm以下が更に好ましい。正極集電体の厚さが、上記範囲よりも薄いと、集電体として必要な強度が不足する場合がある。また、集電体の厚さが上記範囲よりも厚いと、電池内に入れられる活物質の体積比率が下がり、必要な電池容量を得られない場合がある。
【0055】
正極は、前述の正極活物質とバインダーと導電剤、必要に応じて添加されるその他の添加剤とを溶媒でスラリー化したものを集電体に塗布して乾燥することにより形成することができる。
【0056】
スラリー化のために用いる溶媒としては、通常はバインダーを溶解する有機溶剤が使用される。例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等が用いられるがこれらに限定されない。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用してもよい。また、水に分散剤、増粘剤等を加えてSBR等のラテックスで活物質をスラリー化することもできる。
【0057】
このようにして形成される正極活物質層の厚さは、通常10乃至200μm程度である。なお、塗布・乾燥によって得られた活物質層は、活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化するのが好ましい。
【0058】
本発明の非水系電解液二次電池用正極は、このようにして集電体上に正極活物質層を形成して得られる従来の非水系電解液二次電池用正極の活物質層上に、前述の多孔質絶縁層の形成方法に従って、本発明に係る多孔質絶縁層を形成したものである。この多孔質絶縁層の厚さは、この非水系電解液二次電池用正極を適用する非水系電解液二次電池の規模や用途、他のセパレータや不織布の併用の有無、適用される非水系電解液二次電池用負極の多孔質絶縁層の有無によっても異なるが、通常0.1乃至200μm、好ましくは0.5乃至150μmである。
【0059】
<負極>
本発明の非水系電解液二次電池に使用される負極は、通常、負極活物質とバインダーを含有する活物質層を集電体上に形成させたものである。
【0060】
負極活物質としては様々な熱分解条件での有機物の熱分解物や人造黒鉛、天然黒鉛等のリチウムを吸蔵及び放出可能な炭素質材料;酸化錫、酸化珪素等のリチウムを吸蔵及び放出可能な金属酸化物材料;リチウム金属;種々のリチウム合金などを用いることができる。これらの負極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0061】
バインダーとしては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば、特に限定されない。その具体例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0062】
負極活物質層中の上述のバインダーの割合は、下限値が通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、上限値が通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは40重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。バインダーの割合が少ないと、活物質を十分に保持できないので負極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させることがあり、逆に多すぎると電池容量や導電性を下げることになる。
【0063】
負極活物質層は、更に導電性を高めるために導電剤を含有してもよい。導電剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛の微粒子や、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素微粒子等等の炭素質材料を挙げることができる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用してもよい。負極活物質層中の導電剤の割合は、下限値が通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上であり、上限値が通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。導電剤の割合が上記範囲よりも少ないと必要とする導電性の向上が得られない場合があり、導電剤の割合が上記範囲よりも多いと活物質の比率が下がって必要な導電性が得られないことがある。
【0064】
負極活物質層には、その他、増粘剤等の通常の活物質層の添加剤を含有させることができる。増粘剤は電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば、特に限定されない。その具体例としては、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0065】
負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が使用される。負極集電体の厚さは任意であるが、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上が更に好ましく、また、通常100μm以下であり、50μm以下が好ましく、20μm以下が更に好ましい。負極集電体の厚さが、上記範囲よりも薄いと、集電体として必要な強度が不足する場合がある。また、集電体の厚さが上記範囲よりも厚いと、電池内に入れられる活物質の体積比率が下がり、必要な電池容量を得られない場合がある。
【0066】
負極は、前述の負極活物質とバインダーと導電剤、必要に応じて添加されるその他の添加剤とを溶媒でスラリー化したものを集電体に塗布して乾燥することにより形成することができる。
【0067】
スラリー化のために用いる溶媒としては、通常はバインダーを溶解する有機溶剤が使用される。例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等が用いられるがこれらに限定されない。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用してもよい。また、水に分散剤、増粘剤等を加えてSBR等のラテックスで活物質をスラリー化することもできる。
【0068】
このようにして形成される負極活物質層の厚さは、通常10乃至200μm程度である。なお、塗布・乾燥によって得られた活物質層は、活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化するのが好ましい。
【0069】
本発明の非水系電解液二次電池用負極は、このようにして集電体上に負極活物質層を形成して得られる従来の非水系電解液二次電池用負極の活物質層上に、前述の多孔質絶縁層の形成方法に従って、本発明に係る多孔質絶縁層を形成したものである。この多孔質絶縁層の厚さは、この非水系電解液二次電池用負極を適用する非水系電解液二次電池の規模や用途、他のセパレータや不織布の併用の有無、適用される非水系電解液二次電池用正極の多孔質絶縁層の有無によっても異なるが、通常0.1乃至200μm、好ましくは0.5乃至150μmである。
【0070】
<電池形状>
本発明の非水系電解液二次電池の電池形状は特に制限されず、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。一般的に採用されている電池形状の例としては、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ、シート電極及びセパレータを積層したラミネートタイプなどが挙げられる。なお、ここで、セパレータとしては、前述の多孔質絶縁層を形成した本発明の非水電解液二次電池用セパレータを用いる。あるいは、本発明のセパレータと絶縁層を形成しない通常のセパレータとを積層して用いてもよい。
【0071】
<非水系電解液二次電池の組み立て方法>
本発明の非水系電解液二次電池を組み立てる方法は特に制限されず、目的とする電池の形状に合わせて、通常用いられている各種方法の中から適宜選択することができる。例えば、本発明に係る多孔質絶縁層と前述の非水系電解液、正極及び負極と、必要に応じて従来公知のセパレータ又は不織布などを用い、正負極間に多孔質絶縁層及び必要に応じて用いられる他のセパレータや不織布を介在させてこれらを積層し、正負極間に非水系電解液を注入して、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装ケース等の他の構成要素を用いることも可能である。また、予め本発明に係る多孔質絶縁層を形成した負極及び/又は正極を用い、これらを対向させて適切な形状に組み立てることにより製造される。
【0072】
<用途>
本発明の非水系電解液二次電池の用途は特に限定されず、従来公知の各種の用途に用いることが可能である。具体例としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ等の小型機器、及び、電気自動車、ハイブリッド自動車等の大型機器を挙げることができる。
【実施例】
【0073】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
【0074】
〔実施例1〕
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、プロピレンカーボネートに、十分に乾燥したLiBFを1.0mol/lの割合となるように溶解し、更に界面活性剤としてTOP(トリオクチルフォスフェイト)を液中の濃度が1重量%となるように加えて非水系電解液とした。
【0075】
<正極の作製>
正極活物質としてLiNi1/3Mn1/3Co1/3を用い、LiNi1/3Mn1/3Co1/385重量部にアセチレンブラック10重量部及びポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製商品名「KF−1000」)5重量部を加えて混合し、混合物をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状とした。これを、正極集電体である厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に均一に塗布し、乾燥後、プレス機により正極活物質層の密度が2.6g/cmになるようにプレスして厚さ60μmの正極活物質層を形成して正極とした。
【0076】
<負極の作製>
負極活物質として天然黒鉛粉末を用い、天然黒鉛粉末94重量部にポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製商品名「KF−1000」)6重量部を混合し、混合物をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状とした。これを、負極集電体である厚さ9μmの銅箔の片面に均一に塗布し、乾燥後、プレス機により負極活物質層の密度が1.45g/cmになるようにプレスして厚さ49μmの負極活物質層を形成して負極とした。
【0077】
<多孔質絶縁層の形成>
アタクティックポリプロピレン(重量平均分子量=18万)の3重量%キシレン溶液に、超高分子量ポリエチレン(三井化学社製「ミペロンXM220」、粘度平均分子量(ASTM D4020)=200万、融点=136℃、平均粒径=30μm、MFR<0.01)と低密度ポリエチレン(セイシン企業社製「SK−PE−20L」、重量平均分子量=18万、融点=103℃、平均粒径=20μm、MFR=24)を重量比1/1で、固形分濃度(超高分子量ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの合計濃度)22重量%で分散させたスラリーを調製した。200μmアプリケータを使用して、上記で作製した負極の負極活物質層上にこのスラリーを塗布した後、80℃の熱風オーブンで1時間乾燥して塗膜のキシレンを除去した。負極上の塗膜の厚みは55μmであった。テスターで銅箔と塗膜の抵抗を測定したところ1MΩ以上であり、絶縁層が形成されていた。
【0078】
<抵抗測定>
正極と、多孔質絶縁層を形成した負極とをそれぞれ直径10mmの円形、及び2cm×2cmの正方形の大きさに切り出し、正極の正極活物質層と負極の多孔質絶縁層とを対向させて重ね合わせ、非水系電解液を含浸させた。このようにして両極を積層して組み立てたサンプルをインピーダンス測定セルにセットしてミリオームメータ(アジレント・テクノロジー社製4338B)を用いて2KHzの条件下で交流インピーダンスを測定し、その実部Z’を多孔質絶縁層の電気抵抗とした。
1分当たり5℃の速度で昇温を行い、室温(30℃)及び250℃での多孔質絶縁層の抵抗を測定した。結果を表1に示す。なお、電気抵抗の測定面積は正極の面積0.785cmとした。
【0079】
〔実施例2〕
実施例1で用いたアタクティックポリプロピレンの3重量%キシレン溶液に、超高分子量ポリエチレン(三井化学社製「ミペロンXM220」、粘度平均分子量(ASTM D4020)=200万、融点=136℃、平均粒径=30μm、MFR<0.01)とポリプロピレン(セイシン企業社製「PPW−5」、重量平均分子量=15000、融点=153℃、平均粒径=10μm、MFR=約8000)を重量比1/1で、固形分濃度(超高分子量ポリエチレンとポリプロピレンの合計濃度)22重量%で分散させたスラリーを調製した。200μmアプリケータを使用して、上記で作製した負極の負極活物質層上にこのスラリーを塗布した後、80℃の熱風オーブンで1時間乾燥して塗膜のキシレンを除去した。負極上の塗膜の厚みは55μmであった。テスターで銅箔と塗膜の抵抗を測定したところ1MΩ以上であり、絶縁層が形成されていた。
この多孔質絶縁層形成負極を用いて、実施例1と同様に電気抵抗の測定を行った。結果を表1に示す。
【0080】
〔実施例3〕
実施例1で用いたアタクティックポリプロピレンの3重量%キシレン溶液に、超高分子量ポリエチレン(三井化学社製「ミペロンXM220」、粘度平均分子量(ASTM D4020)=200万、融点:136℃、平均粒径=30μm、MFR<0.01)とポリプロピレン(セイシン企業社製「PPW−5」、重量平均分子量=15000、融点=153℃、平均粒径=10μm、MFR=約8000)を重量比2/1で、固形分濃度(超高分子量ポリエチレンとポリプロピレンとの合計濃度)23重量%で分散させたスラリーを調製した。200μmアプリケータを使用して、上記で作製した負極の負極活物質層上にこのスラリーを塗布した後、80℃の熱風オーブンで1時間乾燥して塗膜のキシレンを除去した。負極上の塗膜の厚みは68μmであった。テスターで銅箔と塗膜の抵抗を測定したところ1MΩ以上であり、絶縁層が形成されていた。
この多孔質絶縁層形成負極を用いて、実施例1と同様に電気抵抗の測定を行った。結果を表1に示す。
【0081】
〔実施例4〕
実施例1で用いたアタクティックポリプロピレンの3重量%キシレン溶液に、超高分子量ポリエチレン(三井化学社製「ミペロンXM220」、粘度平均分子量(ASTM D4020)=200万、融点=130℃、平均粒径=30μm、MFR<0.01)とポリプロピレン(セイシン企業社製「PPW−5」、重量平均分子量=15000、融点=153℃、平均粒径=10μm、MFR=約8000)を重量比3/1で、固形分濃度(超高分子量ポリエチレンとポリプロピレンとの合計)23重量%で分散させたスラリーを調製した。200μmアプリケータを使用して、上記で作製した負極の負極活物質層上にこのスラリーを塗布した後、80℃の熱風オーブンで1時間乾燥して塗膜のキシレンを除去した。負極上の塗膜の厚みは66μmであった。テスターで銅箔と塗膜の抵抗を測定したところ1MΩ以上であり、絶縁層が形成されていた。
この多孔質絶縁層形成負極を用いて、実施例1と同様に電気抵抗の測定を行った。結果を表1に示す。
【0082】
〔比較例1〕
実施例1で用いたアタクティックポリプロピレンの3重量%キシレン溶液に、低密度ポリエチレン(セイシン企業社製「SK−PE−20L」、重量平均分子量=18万、融点=103℃、平均粒径=20μm、MFR=24)を固形分濃度(低密度ポリエチレン濃度)23重量%で分散させたスラリーを調製した。200μmアプリケータを使用して、上記で作製した負極の負極活物質層上にこのスラリーを塗布した後、80℃の熱風オーブンで1時間乾燥して塗膜のキシレンを除去した。負極上の塗膜の厚みは72μmであった。テスターで銅箔と塗膜の抵抗を測定したところ1MΩ以上であり、絶縁層が形成されていた。
この多孔質絶縁層形成負極を用いて、実施例1と同様に電気抵抗の測定を行った。結果を表1に示す。
【0083】
〔比較例2〕
実施例1で用いたアタクティックポリプロピレンの3重量%キシレン溶液に、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製「HY430P」、重量平均分子量=18万、融点=135℃、平均粒径=200μm、MFR=0.8)を固形分濃度(高密度ポリエチレン濃度)23重量%で分散させたスラリーを調製した。200μmアプリケータを使用して、上記で作製した負極の負極活物質層上にこのスラリーを塗布した後、80℃の熱風オーブンで1時間乾燥して塗膜のキシレンを除去した。負極上の塗膜の厚みは415μmであった。テスターで銅箔と塗膜の抵抗を測定したところ1MΩ以上であり、絶縁層が形成されていた。
この多孔質絶縁層形成負極を用いて、実施例1と同様に電気抵抗の測定を行った。結果を表1に示す。
【0084】
〔比較例3〕
延伸によって作成された市販の電池セパレータ(セルガード社製「Celgard2325」)を2cm×2cmの大きさに切り出して用いた。
正極と負極とをそれぞれ直径10mmの円形及び2cm×2cmの正方形の大きさに切り出して、互いの活物質層を対向させた状態で両極間に上記市販のセパレータを挟んで重ね合わせ、電解液を含浸させた。このようにして組み立てたサンプルを用い、実施例1と同様にして電気抵抗の測定を行った。結果を表1に示す。
【0085】
なお、表1には、各例における30℃での電気抵抗の測定値に対する250℃での電気抵抗の測定値の比(250℃/30℃)を、高温短絡防止性として示した。
【0086】
【表1】

【0087】
表1より次のことが分かる。
分子量が20万以上、500万以下の熱可塑性樹脂と分子量が20万未満の熱可塑性樹脂を用いて形成した実施例1〜4の多孔質絶縁層は、樹脂本来の融点を100℃以上超える高温においてもよく絶縁性を保っている。これは前述のように、このような高分子量のポリエチレンは分子量が大きいことから粘性が高く、溶融しても流動性が低いため、多孔質の活物質層内に吸い込まれることなく、電極の活物質層表面上に溶融被膜状態で留まるためであり、この結果、高温における短絡の発生を良好に防止しうることによる。また、分子量が20万未満の低分子量の熱可塑性樹脂を併用したことで、この低分子量の熱可塑性樹脂の流動性で、シャットダウン特性が改善される。
【0088】
これに対して分子量20万未満のポリエチレンのみを用いて多孔質絶縁層を形成した比較例1〜2では、多孔質絶縁層の高温における抵抗は実施例1〜4に比較して1桁ないしは1桁以上小さく、絶縁性が大きく低下している。これは、用いたポリエチレンの分子量が低く、溶融したときの流動性が高いため、電極の多孔質活物質層、特に間隙の大きな負極活物質層中に樹脂が吸い込まれた結果、部分的に被膜が消失して微短絡を起こしていることによるものと推定される。
【0089】
また、延伸によって作成された市販のセパレータは、比較例3に示すように比較例1〜2よりもさらに高温での抵抗が小さくなっているが、これは前述のように、熱収縮によるメルトダウンが進行しつつあることによるものと考えられる。
【0090】
なお、実施例1〜4で形成した多孔質絶縁層を、電子顕微鏡により調べたところ、いずれの多孔質絶縁層も、高分子量熱可塑性樹脂、及び低分子量熱可塑性樹脂共、樹脂粒子の集合体として形成されていた。また、前述の方法で調べた多孔質絶縁層の空隙率は何れも約60乃至70%であることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムを吸蔵・放出することが可能な正極及び負極と、該正極及び負極間に形成された多孔質絶縁層と、非水系溶媒に電解質を溶解してなる非水系電解液とを備える非水系電解液二次電池において、該多孔質絶縁層の構成成分として、分子量が20万以上、500万以下の高分子量熱可塑性樹脂と、分子量が20万未満の低分子量熱可塑性樹脂とを含むことを特徴とする非水系電解液二次電池。
【請求項2】
請求項1に記載の非水系電解液二次電池において、該高分子量熱可塑性樹脂及び/又は該低分子量熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
【請求項3】
請求項2に記載の非水系電解液二次電池において、該ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン及び/又はポリプロピレンであることを特徴とする非水系電解液二次電池。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の非水系電解液二次電池において、該高分子量熱可塑性樹脂が平均粒径0.1乃至200μmの樹脂粒子であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の非水系電解液二次電池において、該多孔質絶縁層が正極及び/又は負極に接して形成されていることを特徴とする非水系電解液二次電池。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池において、該多孔質絶縁層中の高分子量熱可塑性樹脂と低分子量熱可塑性樹脂の重量割合が、高分子量熱可塑性樹脂/低分子量熱可塑性樹脂=0.5乃至10であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
【請求項7】
リチウムを吸蔵・放出することが可能な非水系電解液二次電池用正極において、分子量が20万以上、500万以下の高分子量熱可塑性樹脂と、分子量が20万未満の低分子量熱可塑性樹脂とを含む多孔質絶縁層を有することを特徴とする非水系電解液二次電池用正極。
【請求項8】
請求項7に記載の非水系電解液二次電池用正極において、該高分子量熱可塑性樹脂及び/又は該低分子量熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする非水系電解液二次電池用正極。
【請求項9】
請求項8に記載の非水系電解液二次電池用正極において、該ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン及び/又はポリプロピレンであることを特徴とする非水系電解液二次電池用正極。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれかに記載の非水系電解液二次電池用正極において、該高分子量熱可塑性樹脂が平均粒径0.1乃至200μmの樹脂粒子であることを特徴とする非水系電解液二次電池用正極。
【請求項11】
請求項7ないし10のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池用正極において、該多孔質絶縁層中の高分子量熱可塑性樹脂と低分子量熱可塑性樹脂の重量割合が、高分子量熱可塑性樹脂/低分子量熱可塑性樹脂=0.5乃至10であることを特徴とする非水系電解液二次電池用正極。
【請求項12】
リチウムを吸蔵・放出することが可能な非水系電解液二次電池用負極において、分子量が20万以上、500万以下の高分子量熱可塑性樹脂と、分子量が20万未満の低分子量熱可塑性樹脂とを含む多孔質絶縁層を有することを特徴とする非水系電解液二次電池用負極。
【請求項13】
請求項12に記載の非水系電解液二次電池用負極において、該高分子量熱可塑性樹脂及び/又は該低分子量熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする非水系電解液二次電池用負極。
【請求項14】
請求項13に記載の非水系電解液二次電池用負極において、該ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン及び/又はポリプロピレンであることを特徴とする非水系電解液二次電池用負極。
【請求項15】
請求項12ないし14のいずれかに記載の非水系電解液二次電池用負極において、該高分子量熱可塑性樹脂が平均粒径0.1乃至200μmの樹脂粒子であることを特徴とする非水系電解液二次電池用負極。
【請求項16】
請求項12ないし15のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池用負極において、該多孔質絶縁層中の高分子量熱可塑性樹脂と低分子量熱可塑性樹脂の重量割合が、高分子量熱可塑性樹脂/低分子量熱可塑性樹脂=0.5乃至10であることを特徴とする非水系電解液二次電池用負極。

【公開番号】特開2010−146962(P2010−146962A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325842(P2008−325842)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】