説明

非水電解液二次電池用正極活物質

【課題】低コストで、且つ、充放電容量及び出力特性が向上した正極活物質を提供する。
【解決手段】一般式LiNiMn1−b(但し1<a<1.2、0.5≦b≦0.7、0<c≦0.02)表されるリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池用正極活物質に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ビデオカメラ、携帯電話、ノートパソコン等の携帯機器の普及及び小型化が進み、その電源用にリチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池が用いられるようになってきている。更に、最近の環境問題への対応から、電気自動車等の動力用電池としても注目されている。
【0003】
リチウム二次電池用正極活物質としてはLiCoO(コバルト酸リチウム)が4V級の二次電池を構成できるものとして一般的に広く採用されている。LiCoOを正極活物質として用いた場合、放電容量が約160mA/gで実用化されている。
【0004】
LiCoOの原料であるコバルトは希少資源であり且つ偏在しているため、コストがかかり、また、原料供給について不安が生じる。
【0005】
こうした事情に応じ、LiNiO(ニッケル酸リチウム)も検討されている。LiNiOは実用的には4V級で放電容量約200mA/gの二次電池を実現可能である。しかし、充放電時の正極活物質の結晶構造の安定性に難がある。
【0006】
そこでLiNiOのニッケル原子を他元素で置換し、結晶構造の安定性を向上させつつLiCoO並みの放電容量を低コストで実現する研究もなされている。例えばLiNi0.5Mn0.5などニッケルとマンガンを必須元素とした正極活物質では約160mA/gの放電容量が得られている。
【0007】
その上で更に過酷な状況、例えば従来よりも高い4.3Vで充電しての使用、あるいはより高い放電電流での使用においても充放電容量が維持できるよう更に別の元素でニッケル原子を置換させる例も存在する(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−235628号公報
【特許文献2】特開2007−073425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方、より大型の応用製品への搭載、より高機能な機器への搭載、あるいは搭載する二次電池のより一層の小型化には、正極活物質の充放電容量及び出力特性の更なる向上が必要である。しかし、上記技術等の従来技術では低コストと、充放電容量及び出力特性の向上とを両立させるまでには至っていないのが現状である。
【0010】
本願発明はこのような事情に鑑みなされたものである。本願発明の目的は、従来よりも低コストで充放電容量及び出力特性が向上した正極活物質を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本願発明者らは鋭意検討を重ね、本願発明を完成するに至った。本願発明者らは特定組成のリチウム遷移金属複合酸化物にタングステンを含有させることで、充放電容量及び出力特性を向上させられることを見出した。
【0012】
本願発明の非水電解液二次電池用正極活物質は、一般式LiNiMn1−b(但し1<a<1.2、0.5≦b≦0.7、0<c≦0.02)で表されることを特徴とする。
【0013】
前記リチウム遷移金属複合酸化物の結晶子径は、0.5≦b≦0.55の場合は340Å以上、0.55<b≦0.7の場合は400Å以上であることが好ましい。
【0014】
さらに、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子が凝集した二次粒子からなり、該二次粒子の中心粒径が20μm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本願発明の正極活物質は上記の特徴を備えているため、コストのかかるコバルトを用いずに充放電容量と出力特性を向上させられる。そのため、本願発明の正極活物質を正極に用いることで充放電容量と出力特性の高い非水電解液二次電池を低コストで得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願発明の正極活物質について、実施の形態及び実施例を用いて詳細に説明する。但し、本願発明はこれら実施の形態及び実施例に限定されるものではない。
【0017】
リチウム遷移金属複合酸化物の組成は、LiNiMn1−bで表され、1<a<1.2、0.5≦b≦0.7、0<c≦0.02を満たす必要がある。aについて、1以下だと充放電容量と出力特性の低下を招き好ましくない。また、1.2以上だと焼結を起こしやすいので好ましくない。bについて、その下限を下回ると放電容量と出力特性の低下を招き好ましくない。また、上限を上回ると放電容量低下、製造コスト上昇、副相生成の点で好ましくない。cについて、c=0だと出力特性低下の点で好ましくない。さらに、c>0の場合に比べ、より低温で焼結する傾向にあり、結晶子径や中心粒径の制御が困難である。また、上限を上回ると充放電容量低下、出力特性低下の点で好ましくない。これらa、b及びcの好ましい範囲は、1.12≦a≦1.18、0.58≦b≦0.62、0.007≦c≦0.011であり、充放電容量と出力特性の点で有利である。
【0018】
リチウム遷移金属複合酸化物の結晶子径はある程度以上の大きさがあることが好ましい。好ましい結晶子径の範囲は、リチウム遷移金属複合酸化物の組成にもよるが、0.5≦b≦0.55なら340Å以上、0.55<b≦0.7なら400Å以上あれば好ましい。結晶子径がこのように大きければ出力特性が特に良くなる。上限は特に存在しないが、600Å程度までその効果は顕著である。さらに好ましいのは550Å以下である。
【0019】
本願の正極活物質の構造はヘルマン‐モーガンの記号を用いた空間群R‐3mで表される三方晶系であり、その結晶子径は、X線回折法で求められた(104)面に起因する回折ピークを基に、下記式(1)(シェラーの式)より算出される値を用いる。X線回折法は、例えば、管電流40mA、管電圧40kVの条件で行うことができる。
Dc=Kλ/(βcosθ)(1)
(Dc:結晶子径、K:シェラー定数(光学系調整用焼結Si(株式会社リガク製)を使用し、(220)面に起因する回折ピークに基づく結晶子径が1000Åとなる値を使用)、λ:X線源の波長(CuKα1の場合λ=1.540562Å)、β:試料に基づく回折線の半値幅(弧度法による、β=Byより算出(B:観測される半値幅(弧度法による)、y=0.9991−0.019505b−2.8205b+2.878b−1.0366b(b:装置系に基づく半値幅(弧度法による))))、θ:回折角)
【0020】
リチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子が凝集した二次粒子からなり、該二次粒子の中心粒径が20μm以下であることが好ましい。この範囲であれば出力特性が特に向上する。より好ましい範囲は11μm以下、さらに好ましい範囲は3μm以上6μm以下である。
【0021】
中心粒径は、レーザー回折法により得られる値を採用する。
【0022】
[正極活物質の製造]
次に正極活物質の製造例を説明する。
【0023】
まず、リチウム化合物、ニッケル化合物、マンガン化合物及びタングステン化合物を目的の組成に応じて秤量し混合する。混合方法は各原料粉末を混合機で混合するのでもよいし、溶液中でpH調整、錯化剤の使用等で共沈塩を形成し、濾過、乾燥するのでもよい。あるいはスラリーやエマルジョンを作製し、噴霧乾燥等で混合体を得るのでもよい。
【0024】
リチウム化合物、ニッケル化合物、マンガン化合物及びタングステン化合物は、いずれも酸化物や、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等加熱分解して酸化物となる物質が使用できる。タングステンについては、金属タングステンを用いてもよい。
【0025】
ニッケル化合物、マンガン化合物、あるいはこれらを含む複合化合物の中心粒径は正極活物質の中心粒径に影響するので、目的とする正極活物質の中心粒径に合わせて適宜原料の中心粒径を選択あるいは調整する。
【0026】
次に、原料混合物を焼成する。焼成温度は、低すぎればリチウムとの反応が不十分になる、あるいは十分な結晶子径を得られない傾向に、また、高すぎればリチウムが揮発する、あるいは焼結が起こる傾向にあるので注意が必要である。目的組成のb値にもよるが、概ね800℃以上1100℃以下が好ましい。より好ましくは900℃以上1050℃以下である。焼成時間は最高温度を保持する時間として9時間以上あれば十分である。焼成時の雰囲気として、大気雰囲気あるいは酸素雰囲気が使用できる。コスト面より、大気焼成がより好ましい。結晶子径の調整は焼成温度を変更することで行う。前述のように800℃以上なら十分な大きさの結晶子径を得られ、一般に焼成温度が高ければ結晶子径は大きくなる。
【0027】
焼成後、必要に応じて粗砕、粉砕、乾式篩い等の処理を行い、本願発明の正極活物質を得る。
【0028】
以下、実施例にてより具体的な例を説明する。
【実施例1】
【0029】
炭酸リチウム0.545mol、中心粒径5μmのニッケルマンガン複合酸化物(Ni(II)/Mn(II)=6/4)1.00mol、酸化タングステン(VI)0.01molを混合し、大気雰囲気中1020℃で9時間焼成する。焼成後処理を行い、組成Li1.09Ni0.60Mn0.400.01の正極活物質を得る。
【実施例2】
【0030】
混合する炭酸リチウムが0.59molであること以外実施例1と同様にして、組成Li1.18Ni0.60Mn0.400.01の正極活物質を得る。
【実施例3】
【0031】
水酸化リチウム1.18mol、中心粒径5μmのニッケルマンガン複合酸化物(Ni(II)/Mn(II)=7/3)1.00mol、酸化タングステン(VI)0.01molを混合し、酸素雰囲気中920℃で9時間焼成する。焼成後粉砕して組成Li1.18Ni0.70Mn0.300.01の正極活物質を得る。
【実施例4】
【0032】
炭酸リチウム0.59mol、中心粒径5μmのニッケルマンガン複合酸化物(Ni(II)/Mn=5/5)1.00mol、酸化タングステン(VI)0.01molを混合し、大気雰囲気中1050℃で9時間焼成する。焼成後粉砕して組成Li1.18Ni0.50Mn0.500.01の正極活物質を得る。
【実施例5】
【0033】
混合する酸化タングステン(VI)が0.02molである以外実施例2と同様にして、組成Li1.18Ni0.60Mn0.400.02の正極活物質を得る。
【実施例6】
【0034】
焼成温度が960℃である以外実施例2と同様にして、組成Li1.18Ni0.60Mn0.400.01の正極活物質を得る。
【実施例7】
【0035】
焼成温度が930℃である以外実施例2と同様にして、組成Li1.18Ni0.60Mn0.400.01の正極活物質を得る。
【実施例8】
【0036】
焼成温度が890℃である以外実施例2と同様にして、組成Li1.18Ni0.60Mn0.400.01の正極活物質を得る。
【実施例9】
【0037】
中心粒径10μmのニッケルマンガン複合酸化物(Ni(II)/Mn(II)=6/4)を用いること以外実施例2と同様にして組成Li1.18Ni0.60Mn0.400.01の正極活物質を得る。
【実施例10】
【0038】
中心粒径8μmのニッケルマンガン複合酸化物(Ni(II)/Mn(II)=6/4)を用いること以外実施例2と同様にして組成Li1.18Ni0.60Mn0.400.01の正極活物質を得る。
【0039】
[比較例1]
混合する炭酸リチウムが0.48molである以外実施例1と同様にして、組成Li0.96Ni0.60Mn0.400.01の正極活物質を得る。
【0040】
[比較例2]
混合する炭酸リチウムが0.62molである以外実施例1と同様にして、組成Li1.24Ni0.60Mn0.400.01の正極活物質を得る。この正極活物質は粉砕しても篩を通らず、処理ができない。
【0041】
[比較例3]
酸化タングステン(VI)を混合しないことと焼成温度を890℃とする以外実施例2と同様にして、組成Li1.18Ni0.60Mn0.40の正極活物質を得る。
【0042】
[比較例4]
水酸化リチウム1.18mol、中心粒径10μmのニッケルマンガン複合酸化物(Ni(II)/Mn(II)=6/4)1.00molを混合し、大気雰囲気中890℃で9時間焼成する。焼成後処理を行い、組成Li1.18Ni0.60Mn0.40の正極活物質を得る。
【0043】
[比較例5]
中心粒径8μmのニッケルマンガン複合酸化物(Ni(II)/Mn(II)=6/4)を用いること以外比較例5と同様にして、組成Li1.18Ni0.60Mn0.40の正極活物質を得る。
【0044】
[比較例6]
中心粒径5μmのニッケルマンガン複合酸化物(Ni(II)/Mn(II)=6/4)を用いること以外比較例5と同様にして、組成Li1.18Ni0.60Mn0.40の正極活物質を得る。
【0045】
実施例1〜10及び比較例1〜6は、一次粒子が凝集した二次粒子を形成していることが走査型電子顕微鏡によって確認できる。
【0046】
[正極活物質の評価]
[結晶子径]
得られる正極活物質についてX線回折法を行う。X線回折法は、X線回折装置(株式会社リガク製Ultima)を用い、X線源としてCuKα1を用い、管電流40mA、管電圧40kVの条件で行う。X線回折法により得られたX線回折パターンを基に、上記式(1)で表されるシェラーの式から、正極活物質の結晶子径Dcを求める。
【0047】
[二次粒子の粒径]
得られる正極活物質について、レーザー回折法で二次粒子の中心粒径D50を測定する。
【0048】
[電池特性の評価]
[二次電池の作製]
以下の要領で二次電池を作製し、各種評価に用いる。
【0049】
[電池抵抗評価用]
正極活物質の粉末90重量%と、導電材となる炭素粉末5重量%と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)5重量%とをノルマルメチルピロリドン(NMP)に分散・溶解し、混練してペーストを調整する。これをアルミニウム箔からなる集電体に塗布して乾燥させ、圧延して正極板とする。
【0050】
負極活物質として、黒鉛材料を用いる。負極活物質の粉末97.5重量%と、カルボキシメチルセルロース(CMC)1.5重量%と、スチレンブタジエンゴム(SBR)1.0重量%とを水に分散し、混練してペーストを調整する。これを銅箔からなる集電体に塗布し乾燥させ、圧延して負極板とする。
【0051】
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)を体積比3:7で混合する。得られる混合溶媒に電解質として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を溶解し、濃度1mol/lの非水電解液を調整する。
【0052】
セパレータとして多孔性ポリエチレンフィルムを用いる。
【0053】
正極板及び負極板にリード電極を取り付け、正極、セパレータ、負極の順に重ねる。これらをラミネートパックに収納し、電解液を注入してラミネートパックを封止してラミネート型二次電池を得る。これを電池抵抗評価用に用いる。
【0054】
[充放電容量評価用]
負極活物質として金属リチウムを用い、薄いシート状に成型して負極板とする。正極板、セパレータは電池抵抗評価用と同じものを用いる。
【0055】
正極板にリード電極を取り付け、負極、セパレータ、正極を順に容器に収納する。負極はステンレス製の容器底部に電気的に接続され、容器底部が負極端子となる。セパレータはテフロン(登録商標)製の容器側部によって固定される。正極のリード電極の先端は容器外部に導出され、正極端子となる。正負極の端子は、容器側部によって電気的に絶縁されている。収納後電解液を注入し、ステンレス製の容器蓋部によって封止し、密閉型の試験電池を得る。これを充放電容量の評価に用いる。
【0056】
[電池抵抗]
以下の要領で電流と電位を測定し、電池抵抗を求める。
【0057】
測定温度25℃において、満充電電圧を4.2Vとして充電深度50%まで定電流充電し、その後特定の電流値iでパルス放電・充電を行う。パルスは10秒印加後開放3分で放電と充電を順次繰り返す。パルス放電・充電の電流値iは0.04A、0.08A、0.12A、0.16A及び0.20Aとする。電流値iをグラフ横軸に、パルス放電10秒後の電圧値Vをグラフ縦軸にそれぞれプロットし、i−Vプロットにおいて直線線形が保たれる電流範囲で傾きの絶対値を求め、電池抵抗R(25)とする。
【0058】
測定温度−25℃において、満充電電圧を4.2Vとして充電深度50%まで定電流充電し、その後特定の電流値でパルス放電を行う。パルスは10秒印加後開放10分で放電のみ行う。パルス放電の電流値iは0.04A、0.06A、0.08A、0.10Aとする。以下R(25)同様にして電池抵抗を求め、R(−25)とする。これらRが低いことは、出力特性が高いことを意味する。
【0059】
[初期充電容量]
満充電電圧4.3V、充電負荷0.2C(1C:満充電の状態から1時間で放電を終了させる電流値)で定電流定電圧充電し、満充電電圧までに蓄積した電荷を初期充電容量Qc0とする。
【0060】
[初期放電容量]
満充電電圧4.3V、放電電圧2.75V、放電負荷0.2Cで定電流放電し、放電電圧までに放出した電荷を初期放電容量Qd0とする。
【0061】
[負荷放電容量]
充電電位4.3V、放電電位2.75V、放電負荷0.2C、1C、3Cの順で、それぞれ充電と放電を行う。3Cのときの放電容量を負荷放電容量Q’とする。
【0062】
[初期効率]
初期放電容量の初期充電容量に対する比(≡Qd0/Qc0)を初期効率Eとする。
【0063】
[負荷効率]
負荷放電容量の初期放電容量に対する比(≡Q’/Qd0)を負荷効率E’とする。Q’及びE’が高いことは、負荷特性が良いことを意味する。
【0064】
実施例1〜10及び比較例1〜6について、a値と各種特性の関係について表1に、b値と各種特性の関係について表2に、c値と各種特性との関係について表3に、焼成温度と結晶子径Dc及び各種特性の関係を表4に、二次粒子の中心粒径D50と各種特性の関係を表5にまとめた。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
表1より、0<a<1.2で出力特性及び充放電容量が向上することが分かる。また、表2、3より0.5≦b≦0.7及び0<c≦0.2を満たすことで出力特性が向上することが分かる。また、表4より、結晶子径の増加と共に出力特性及び充放電容量が向上すること、負荷特性も考慮すると結晶子径は400Å以上が好ましいことが分かる。また、表5より、D50が小さいと出力特性が向上すること、同程度のD50だとタングステンが存在することで出力特性が向上することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本願発明の正極活物質を用いることで、大電流で使用可能な出力特性の高い非水電解液二次電池を、従来よりも安価に実現できる。こうして実現される非水電解液二次電池は、電動工具、電動アシスト自転車などの中型機器、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の大型機器といった高出力の用途に特に好適に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
LiNiMn1−b
(但し1<a<1.2、0.5≦b≦0.7、0<c≦0.02)
で表されるリチウム遷移金属複合酸化物からなる非水電解液二次電池用正極活物質。
【請求項2】
前記リチウム遷移金属複合酸化物の結晶子径が、0.5≦b≦0.55の場合は340Å以上、0.55<b≦0.7の場合は400Å以上である非水電解液二次電池用正極活物質。
【請求項3】
前記リチウム遷移金属複合酸化物が、一次粒子が凝集した二次粒子からなり、該二次粒子の中心粒径が20μm以下である非水電解液二次電池用正極活物質。

【公開番号】特開2012−43637(P2012−43637A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183687(P2010−183687)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】