説明

非水電解質二次電池用負極活物質合剤の製造方法及び非水電解質二次電池

【課題】負極芯体に対する負極活物質合剤層の密着性が良好で、放電負荷特性及び充放電サイクル特性に優れていると共にガスの発生の少ない非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】正極活物質を有する正極と、負極活物質合剤層が負極芯体の表面に設けられている負極と、非水溶媒と電解質塩を有する非水電解質とを備える非水電解質二次電池において、前記負極活物質合剤層は、負極活物質粒子と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースのナトリウム(CMC−Na)塩及びカルボキシメチルセルロースのアンモニウム(CMC−NH)塩とを含み、前記負極活物質粒子は、その表面がCMC−Na塩を主成分とする増粘剤で覆われ、更にその周囲をCMC−NH塩を主成分とする増粘剤で覆われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池用負極活物質合剤の製造方法及び非水電解質二次電池の発明に関し、特に負極芯体に対する負極活物質合剤層の密着性が良好で、放電負荷特性及び充放電サイクル特性に優れていると共にガスの発生の少ない非水電解質二次電池用負極活物質合剤の製造方法及び非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の携帯電話機、携帯型パーソナルコンピューター、携帯型音楽プレイヤー等の携帯型電子機器の駆動電源として、更には、ハイブリッド電気自動車(HEV)や電気自動車(EV)用の電源として、高エネルギー密度を有し、高容量であるリチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池が広く利用されている。中でも、負極活物質として黒鉛粒子を用いた非水電解質二次電池は、安全性が高く、かつ、高容量であるために広く用いられている。
【0003】
これらの非水電解質二次電池の正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能なリチウム遷移金属複合酸化物、すなわち、LiCoO、LiNiO、LiNixCo1−x(x=0.01〜0.99)、LiMnO、LiMn、LiCoMnNi(x+y+z=1)又はLiFePOなどが1種単独もしくは複数種を混合して用いられている。
【0004】
このうち、特に各種電池特性が他のものに対して優れていることから、リチウムコバルト複合酸化物や異種金属元素添加リチウムコバルト複合酸化物が多く使用されている。しかしながら、コバルトは高価であると共に資源としての存在量が少ない。そのため、これらのリチウムコバルト複合酸化物や異種金属元素添加リチウムコバルト複合酸化物を非水電解質二次電池の正極活物質として使用し続けるには非水電解質二次電池の更なる高性能化が望まれている。
【0005】
これらの非水電解質二次電池に対する高性能化の要望の一つとして、高容量化がある。非水電解質二次電池の高容量化の手法としては、活物質合剤質量の増大化、電極板に用いられる芯体の薄膜化が考えられる。しかしながら、副作用として活物質合剤の塗布厚さが厚くなったことによる電極板の巻回適性の悪化や充放電の繰り返しによる電極板の膨潤が起こりやすくなること、電極作製工程においては芯体からの活物質合剤の剥離が生じること、及び、電池特性においては放電負荷特性の低下に起因する容量維持率の劣化が生じるという問題点が存在していた。このような充放電の繰り返しによる電極体の膨潤は密度が低くかつ厚さが厚い負極板の場合に特に大きく現れる。
【0006】
一方、下記特許文献1には、負極活物質合剤に増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を含有させることによって、集電体との密着性に優れ、放電容量の低下が少なく、充放電サイクルに対する耐久性に優れた負極が得られることが開示されている。また、下記特許文献2には、負極活物質合剤に増粘剤としてCMC−NH塩を含有させることにより、CMC−Na塩を含有させた場合よりも過充電時の発熱量が少ない非水電解質二次電池が得られることが開示されている。更に、下記特許文献3には、負極活物質合剤に増粘剤としてCMC−Na塩を含有させることにより、CMC−NH塩を含有させた場合よりも低温放電容量が大きい非水電解質二次電池が得られることが開示されている。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1及び2には、負極活物質合剤の一成分としてCMCの塩を用いた際の負極活物質合剤層と負極芯体との間の密着性及び得られた非水電解質二次電池の放電負荷特性を示唆する記載はない。
【0008】
一方、本発明者らは、増粘剤としてCMC−NH塩を使用した負極活物質合剤は負極芯体との密着性が良好であること、及び、増粘剤としてCMC−Na塩又はCMCのリチウム(CMC−Li)塩を用いた負極活物質合剤層を用いると負荷特性に優れた負極が得られることを知見し、既に、負極芯体の表面に増粘剤としてCMC−NH塩を使用した第1の負極活物質合剤層を形成すると共に、この表面に増粘剤としてCMC−Na塩及びCMC−Li塩から選択された少なくとも1種を用いた第2の負極活物質合剤層を形成した負極を用いた非水電解質二次電池を開発し、特願2007−250210号(以下、「先願」という)として特許出願している。
【0009】
この先願発明にかかる非水電解質二次電池は、負極芯体の表面に増粘剤としてCMC−NH塩を使用した第1の負極活物質合剤層を形成することで負極芯体と負極活物質合剤層との間の密着性を確保した上で、更にこの第1の負極活物質合剤層表面に増粘剤としてCMC−Na塩及びCMC−Li塩から選択された少なくとも1種を用いた第2の負極活物質合剤層を形成することで、放電負荷特性及び容量維持率を確保できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−294230号公報
【特許文献2】特開2005−100773号公報
【特許文献3】特開2005−228620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記先願発明によれば、負極芯体に対する負極活物質合剤の密着性が良好で、放電負荷特性及び容量維持率に優れた非水電解質二次電池が得られている。しかしながら、CMC−NH塩は、密着性に優れるが吸液性が劣るため、負極活物質粒子の表面に付着しすぎると界面抵抗が大きくなりすぎて負荷特性の悪化を招く。逆に、CMC−Na塩は、吸液性が良好であるために負荷特性に優れるが、密着性が劣る。
【0012】
本発明者らは、負極活物質合剤と負極芯体との密着性及び負荷特性の両立を達成することにより負極極板の高密度化を達成できるという考え方に基いて鋭意研究を重ねた。その結果、集電体との密着性に優れたCMC−NH塩と、比較的吸液性が良く負荷特性に優れたCMC−Na塩とを、特定の混練条件で負極活物質粒子の表面に被覆することにより、負極芯体に対する負極活物質合剤層の密着性が良好で、放電負荷特性及び充放電サイクル特性が優れていると共にガスの発生の少ない負極極板が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0013】
すなわち、本発明は、負極芯体に対する負極活物質合剤層の密着性が良好で、放電負荷特性及び充放電サイクル特性に優れていると共にガスの発生の少ない非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の非水電解質二次電池用負極活物質合剤の製造方法は、CMC−Na塩の水溶液と負極活物質粒子とを撹拌する第1の混練工程と、その後にCMC−NH塩の水溶液を追加して撹拌する第2の混練工程を経ることを特徴とする。
【0015】
本発明の非水電解質二次電池用負極活物質合剤の製造方法においては、第1の混練工程でCMC−Na塩の水溶液と負極活物質粒子とを撹拌し、第2の混練工程でCMC−NH塩の水溶液を追加して撹拌する。そのため、本発明の非水電解質二次電池用負極活物質合剤は、負極活物質粒子の表面にCMC−Na塩を主成分とする被膜が形成され、その表面にCMC−NH塩を主成分とする皮膜が形成され、CMC−Na塩を主成分とする被膜とCMC−NH塩を主成分とする皮膜との間は、両成分が互いに拡散して混合しているため、境界は明確でなくなっている。しかも、第2の混練工程で追加されたCMC−NH塩は負極活物質粒子の表面にまでは達し難いので、負極活物質の表面側の層に含まれているCMC−NH塩の濃度は小さい。なお、CMC−Na塩を主成分とする被膜の最も負極活物質側には、CMC−NH塩が含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。
【0016】
CMC−NH塩は密着性に優れるが吸液性が劣り、CMC−Na塩は吸液性が良好であるが密着性が劣る。本発明の製造方法で得られた非水電解質二次電池用負極活物質合剤は、負極活物質の表面側に吸液性の良好なCMC−Na塩を主成分とする被膜が形成されているので、高密度に圧縮しても界面抵抗が大きくならない。しかも、この非水電解質二次電池用負極活物質合剤は、外周側には密着性が良好なCMC−NH塩を主成分とする皮膜が形成されているため、負極芯体の表面に塗布した場合には密着性が良好となる。そのため、本発明の製造方法で得られた非水電解質二次電池用負極活物質合剤を用いて活物質合剤が高密度に圧縮された負極極板を作製すると、充放電サイクルを繰り返しても負極活物質合剤層の膨潤が少なくなるために充放電サイクル特性に優れるようになり、しかも、負荷特性が優れていると共にガスの発生の少ない負極極板が得られるようになる。
【0017】
また、本発明の非水電解質二次電池用負極活物質合剤の製造方法においては、前記CMC−Na塩と前記CMC−NH塩の比率は、質量比でCMC−Na塩:CMC−NH塩=5:5〜8:2であることが好ましい。
【0018】
本発明の非水電解質二次電池用負極活物質合剤の製造方法によれば、CMC−Na塩の水溶液と負極活物質粒子とを撹拌する第1の混練工程と、その後にCMC−NH塩の水溶液を追加して撹拌する第2の混練工程を経ていれば、上述のように充放電サイクル特性、負荷特性が優れていると共にガスの発生の少ない負極極板が得られる。しかしながら、CMC−Na塩とCMC−NH塩の比率を質量比でCMC−Na塩:CMC−NH塩=5:5〜8:2となるようにすると、本発明の上記効果が顕著に表れる。
【0019】
また、本発明の非水電解質二次電池用負極活物質合剤の製造方法においては、更に結着剤水溶液を追加して撹拌する第3の混練工程を経ることが好ましい。
【0020】
結着剤は、負極活物質合剤を形成する負極活物質粒子間の結合及び負極活物質粒子と負極芯体との間の密着性を向上させるために、従来から普通に添加されている成分である。本発明の非水電解質二次電池用負極活物質合剤の製造方法においても第3の混練工程において結着剤を添加して混練しているので、本発明の製造方法で得られた非水電解質二次電池用負極活物質合剤を用いて活物質合剤が高密度に圧縮された負極極板を作製すると、負極活物質層の密着性が高くなることで、充放電時に負極極板に撓みが発生することによる容量劣化が起こりにくくなるため、充放電サイクル特性に優れるようになる。
【0021】
また、本発明の非水電解質二次電池用負極活物質合剤の製造方法においては、前記負極活物質粒子として、炭素質材料を用いることが好ましい。
【0022】
負極活物質としての炭素質材料、特に黒鉛材料からなる負極活物質は、リチウム金属やリチウム合金に匹敵する放電電位を有しながらも、デンドライトが成長することがないために安全性が高く、更に初期効率に優れ、電位平坦性も良好であり、また、密度も高いという優れた性質を有する。なお、負極活物質としての炭素質材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、又はこれらの焼成体の1種あるいは複数種混合したもの等の炭素を主体としたものを使用し得る。
【0023】
更に、上記目的を達成するため、本発明の非水電解質二次電池の発明は、正極活物質合剤層を有する正極と、負極活物質合剤層を有する負極と、非水溶媒と電解質塩を有する非水電解質と、を備える非水電解質二次電池において、前記負極活物質合剤層は、負極活物質粒子と、CMC−Na塩とCMC−NH塩とを含み、前記負極活物質粒子は、その表面がCMC−Na塩を主成分とする層で覆われ、更にその周囲がCMC−NH塩を主成分とする層で覆われていることを特徴とする。
【0024】
本発明の非水電解質二次電池は、負極活物質合剤層は、負極活物質粒子と、CMC−Na塩とCMC−NH塩とを含み、前記負極活物質粒子は、その表面がCMC−Na塩を主成分とする層で覆われ、更にその周囲がCMC−NH塩を主成分とする層で覆われているので、充放電サイクルを繰り返しても負極活物質合剤層の膨潤が少なくなるために充放電サイクル特性に優れるようになり、しかも、負荷特性が優れていると共にガスの発生の少ない非水電解質二次電池が得られる。
【0025】
本発明の非水電解質二次電池で使用する正極活物質としては、上述したように、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能なリチウム遷移金属複合酸化物、すなわち、LiCoO、LiNiO、LiNiCo1−x(x=0.01〜0.99)、LiMnO、LiMn、LiCoMnNi(x+y+z=1)又はLiFePOなどが1種単独もしくは複数種を混合して用いることができる。更には、リチウムコバルト複合酸化物にジルコニウムやマグネシウム等の異種金属元素を添加したものも使用し得る。
【0026】
また、本発明の非水電解質二次電池で使用する非水電解質を構成する非水溶媒(有機溶媒)としては、カーボネート類、ラクトン類、エーテル類、エステル類などを使用することができ、これら溶媒の2種類以上を混合して用いることもできる。これらの中では特に環状カーボネートと鎖状カーボネートを混合して用いることが好ましい。
【0027】
具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、シクロペンタノン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、3−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル、1,4−ジオキサンなどを挙げることができる。
【0028】
なお、本発明における非水電解質の溶質としては、非水電解質二次電池において一般に溶質として用いられるリチウム塩を用いることができる。このようなリチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiAsF、LiClO、Li10Cl10、Li12Cl12など及びそれらの混合物が例示される。これらの中でも、LiPF(ヘキサフルオロリン酸リチウム)を用いることが好ましい。前記非水溶媒に対する溶質の溶解量は、0.5〜2.0mol/Lとするのが好ましい。
【0029】
また、本発明の非水電解質二次電池においては、前記CMC−Na塩と前記CMC−NH塩の比率は質量比でCMC−Na塩:CMC−NH塩=5:5〜8:2であることが好ましく、前記負極活物質合剤層は更に結着剤を含んでいることが好ましく、更に、前記負極活物質粒子は炭素質材料からなることが好ましい。
【0030】
このような構成の非水電解質二次電池によれば、上記本発明の非水電解質二次電池用負極活物質合剤の製造方法において述べたように、充放電サイクル特性に優れ、しかも、安全性が高く、更に初期効率に優れ、電位平坦性も良好な非水電解質二次電池が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態を実施例及び比較例を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための非水電解質二次電池の一例を例示するものであって、本発明をこの実施例に限定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
【0032】
最初に、実施例1〜5及び比較例1〜4に共通する非水電解質二次電池の具体的製造方法について説明する。
[正極極板の作製]
正極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO)95質量部と、導電剤としての炭素粉末5質量部とを混合した。この混合物の95質量%と結着剤としてのポリビニリデンフルオライド(PVDF)粉末5質量%とを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて正極活物質合剤スラリーを調製した。この正極活物質合剤スラリーを厚さ15μmのアルミ箔からなる正極芯体の両面にドクターブレード法により均一な厚みで塗布した後、この極板を乾燥機内に通してNMPを乾燥除去することで、正極芯体の両面に正極活物質合剤層を形成した。その後、この極板をロールプレス機を用いて充填密度が3.75g/mlとなるように圧延し、所定の大きさに切り出して、実施例1〜5及び比較例1〜4で共通して使用する各正極極板を作製した。
【0033】
[負極極板の作製]
後述する方法で調製した、実施例1〜5及び比較例1〜4にかかる各負極活物質スラリーを厚さ10μmの銅箔からなる負極芯体の両面にドクターブレード法により均一な厚みで塗布した後、この極板を乾燥機内に通して水分を乾燥除去することで、負極芯体の両面に活物質合剤層を形成した。その後、ロールプレス機を用いて充填密度が1.66g/mlとなるように圧延し、所定の大きさに切り出して、実施例1〜5及び比較例1〜4で使用する各負極極板をそれぞれ作製した。なお、正極と負極の充電容量比は、電池電圧を4.2Vとしたときに、負極充電容量÷正極充電容量が1.1となるように、調整した。
【0034】
[偏平状巻回電極体の作製]
上記のようにして作製された正極極板と各負極極板とポリエチレン系樹脂からなる微多孔膜製のセパレータとを、巻き取り機により巻回し、巻回終端部に絶縁性の巻き止めテープを取り付け、プレスすることによって、実施例1〜5及び比較例1〜4で使用する各偏平状巻回電極体をそれぞれ作製した。
【0035】
[非水電解質の調製]
非水電解質としては、エチレンカーボネ一ト、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネ一トを、20:50:30(1気圧、25℃での体積比)となるよう混合した非水溶媒に、電解質塩としての六フッ化燐酸リチウム(LiPF)を0.9M(mol/l)となるように溶解させた非水電解質を、実施例1〜5及び比較例1〜4で共通して使用した。
【0036】
[電池の作製]
上記のようにして得られた各偏平状巻回電極体と非水電解質とを角形外装缶内に挿入し、外装缶の開口部に封口板を嵌め合わせてレーザー溶接することにより、実施例1〜5及び比較例1〜4で使用する厚み4.3mm×幅34mm×高さ43mmの非水電解質二次電池をそれぞれ作製した。得られた各非水電解質二次電池の定格容量は750mAhである。
【0037】
[負極活物質スラリーの調製]
次に、実施例1〜5及び比較例1〜4の負極極板作製に用いる負極活物質スラリーの調製方法について説明する。
【実施例1】
【0038】
増粘剤としてのCMC−Na塩の1.5質量%水溶液90gに、天然黒鉛粉末95gを加え撹拌してスラリーを得る。このスラリーにCMC−NH塩の1.5質量%水溶液10gを加えて撹拌し、次いで、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)を50質量%となるように分散させた水溶液4gを加えて撹拌することで、実施例の負極極板作製に用いる負極活物質スラリーを調製した。このときのCMC−Na塩とCMC−NH塩の質量比は9:1である。
【実施例2】
【0039】
増粘剤としてのCMC−Na塩の1.5質量%水溶液80gに、天然黒鉛粉末95gを加え撹拌してスラリーを得る。このスラリーにCMC−NH塩の1.5質量%水溶液20gを加えて撹拌し、次いで、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)を50質量%となるように分散させた水溶液4gを加えて撹拌することで、実施例2の負極極板作製に用いる負極活物質スラリーを調製した。このときのCMC−Na塩とCMC−NH塩の質量比は8:2である。
【実施例3】
【0040】
増粘剤としてのCMC−Na塩の1.5質量%水溶液70gに、天然黒鉛粉末95gを加え撹拌してスラリーを得る。このスラリーにCMC−NH塩の1.5質量%水溶液30gを加えて撹拌し、次いで、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)を50質量%となるように分散させた水溶液4gを加えて撹拌することで、実施例3の負極極板作製に用いる負極活物質スラリーを調製した。このときのCMC−Na塩とCMC−NH塩の質量比は7:3である。
【実施例4】
【0041】
増粘剤としてのCMC−Na塩の1.5質量%水溶液50gに、天然黒鉛粉末95gを加え撹拌してスラリーを得る。このスラリーにCMC−NH塩の1.5質量%水溶液50gを加えて撹拌し、次いで、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)を50質量%となるように分散させた水溶液4gを加えて撹拌することで、比較例5の負極極板作製に用いる負極活物質スラリーを調製した。このときのCMC−Na塩とCMC−NH塩の質量比は5:5である。
【実施例5】
【0042】
増粘剤としてのCMC−Na塩の1.5質量%水溶液40gに、天然黒鉛粉末95gを加え撹拌してスラリーを得る。このスラリーにCMC−NH塩の1.5質量%水溶液60gを加えて撹拌し、次いで、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)を50質量%となるように分散させた水溶液4gを加えて撹拌することで、比較例6の負極極板作製に用いる負極活物質スラリーを調製した。このときのCMC−Na塩とCMC−NH塩の質量比は4:6である。
【0043】
[比較例1]
増粘剤としてのCMC−Na塩の3質量%水溶液100gに、天然黒鉛粉末95gを加えて撹拌してスラリーを得る。このスラリーに結着剤としてのSBRを50質量%となるように分散させた水溶液4gを加えて撹拌することで、比較例1の負極極板作製に用いる負極活物質スラリーを調製した。
【0044】
[比較例2]
増粘剤としてのCMC−NH塩の3質量%水溶液100gに、天然黒鉛粉末95gを加え撹拌してスラリーを得る。このスラリーに結着剤としてのSBRを50質量%となるように分散させた水溶液4gを加えて撹拌することで、比較例2の負極極板作製に用いる負極活物質スラリーを調製した。
【0045】
[比較例3]
増粘剤としてのCMC−NH塩の1.5質量%水溶液70gに、天然黒鉛粉末95gを加え撹拌してスラリーを得る。このスラリーにCMC−Na塩の1.5質量%水溶液30gを加え所定時間撹拌し、結着剤としてのSBRを50質量%となるように分散させた水溶液4gを加えて撹拌することで、比較例3の負極極板作製に用いる負極活物質スラリーを調製した。このときのCMC−Na塩とCMC−NH塩の質量比は3:7である。
【0046】
[比較例4]
増粘剤としてのCMC−Na塩を1.5質量%溶かした水溶液50gと、同じく増粘剤としてのCMC−NH塩の1.5質量%水溶液50gと、を混ぜ合わせた混合水溶液100gに、天然黒鉛粉末95gを加え撹拌してスラリーを得る。このスラリーに結着剤としてのSBRを50質量%となるように分散させた水溶液4gを加えて撹拌することで、比較例4の負極極板作製に用いる負極活物質スラリーを調製した。このときのCMC−Na塩とCMC−NH塩の質量比は5:5である。
【0047】
以上のようにして作製した、実施例1〜5及び比較例1〜4の負極極板及び非水電解質二次電池について、以下に示す各試験をそれぞれ実施した。
【0048】
[極板剥離試験]
アクリル板に両面テープを介して貼り付けた実施例1〜5及び比較例1〜4にかかる各負極極板を垂直に引き上げ、銅箔と活物質層とを剥離させる際の剥離強度を測定し、各測定値の比較例1の測定値を100とした場合の相対値を、それぞれの極板の密着性として算出した。
【0049】
[放電負荷特性試験]
実施例1〜5及び比較例1〜4の各非水電解質二次電池を、25℃に維持された恒温槽中において、1It(750mA)の定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで充電し、電池電圧が4.2Vに達した後は、更に、4.2Vの定電圧で電流値が1/50It(15mA)になるまで充電した。次いで、1Itの定電流で電池電圧が2.75Vになるまで放電し、このときの放電容量を1It放電容量として求めた。続いて、上記と同様に1Itの定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで充電し、電池電圧が4.2Vに達した後は、更に、4.2Vの定電圧で電流値が1/50Itになるまで充電した後、3It(2250mA)の定電流で電池電圧が2.75Vになるまで放電し、このときの放電容量を3It放電容量として求め、以下の計算式に基づいて放電負荷特性を算出した。結果を表1に纏めて示した。
放電負荷特性(%)=(3It放電容量/1It放電容量)×100
【0050】
[充放電試験]
実施例1〜5及び比較例1〜4の各非水電解質二次電池を、25℃に維持された恒温槽中において、1Itの定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで充電し、電池電圧が4.2Vに達した後は、更に、4.2Vの定電圧で電流値が1/50Itになるまで充電した。次いで、1Itの定電流で電池電圧が2.75Vになるまで放電を行うことを1サイクル目の充放電とし、300サイクルの充放電を行った。1サイクル目の放電容量と300サイクル目の放電容量から、以下の計算式に基づいて容量維持率を算出すると共に、300サイクル後の電池の厚みについて測定した。以上の試験の結果を、表1に纏めて示した。
容量維持率(%)
=(300サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
【0051】
【表1】

【0052】
表1に示した結果から、以下のことが分かる。まず、密着性の良好な順番に実施例及び各比較例を並べると、次のとおりとなる。
比較例2>実施例5>実施例4>実施例3>実施例2>実施例1=比較例4>比較例3>比較例1
【0053】
すなわち、CMC−NH塩のみを含む比較例2の負極極板の方が、CMC−Na塩のみを含む比較例1の負極極板よりも密着性が優れており、増粘剤としてのCMC−Na塩はCMC−NH塩よりも密着性が劣っていることが分かる。更に、CMC−NH塩とCMC−Na塩とを混合した増粘剤を含む比較例4の負極極板の密着性は、CMC−Na塩のみを含む比較例1の負極極板とCMC−NH塩のみを含む比較例2の負極極板との中間の特性となっている。
【0054】
一方、増粘剤として、第1の混練工程でCMC−NH塩水溶液を用い、第2の混練工程でCMC−Na塩水溶液を用いた比較例3の負極極板の密着性は、増粘剤としてCMC−Na塩のみを含む比較例1の負極極板よりは良好であるが、CMC−NH塩とCMC−Na塩とを混合した増粘剤を含む比較例4の負極極板よりも劣っている。このことは、密着性を規定する要因として、負極活物質粒子の表面外側を覆っている増粘剤の組成が重要であることを示している。すなわち、比較例4では負極活物質粒子を覆う増粘剤層が密着性の低いCMC−Na塩と密着性の高いCMC−NH塩とを同程度均一に含んでいるのに対し、比較例3では負極活物質粒子を覆う増粘剤層の表面外側に密着性の低いCMC−Na塩を主成分とする層が存在するため、負極活物質粒子間及び負極活物質粒子と負極芯体と間の密着性が低下しているものと考えられる。
【0055】
それに対し、第1の混練工程でCMC−Na塩水溶液を用い、第2の混練工程でCMC−NH塩水溶液を用いた実施例1〜5の負極極板の密着性は、CMC−NH塩のみを含む比較例2の負極極板よりは劣るが、CMC−NH塩とCMC−Na塩とを混合した増粘剤を含む比較例4の負極極板と同等もしくはそれ以上であり、しかも、CMC−NH塩の含有割合が高くなる程密着性が高くなることが分かる。このことは、実施例1〜5では、第2の混練工程でCMC−NH塩を用いているため、CMC−NH塩の含有割合に比例して負極活物質粒子間及び負極芯体と負極活物質粒子との間に密着性が良好なCMC−NH塩を主成分とする層が形成されていることによるもの思われる。
【0056】
次に、放電負荷特性の良好な順番に実施例及び各比較例を並べると、次のとおりとなる。
実施例3>実施例2>実施例4>実施例1=比較例1>実施例5=比較例4>比較例2=比較例3
【0057】
すなわち、増粘剤としてCMC−Na塩のみを含む比較例1の負極極板の方が、CMC−NH塩のみを含む比較例2の負極極板よりも放電負荷特性が優れており、増粘剤としてのCMC−Na塩はCMC−NH塩よりも放電負荷特性に良好な影響を与えることが分かる。このことは、CMC−Na塩は比較的吸液性が良好であるために抵抗が小さく、CMC−NH塩は吸液性が悪いために抵抗が大きいことにより生じたものと思われる。
【0058】
更に、増粘剤としてCMC−NH塩のみを含む比較例2の負極極板及び第1の混練工程でCMC−NH塩水溶液を用い、第2の混練工程でCMC−Na塩水溶液を用いた比較例3の負極極板の場合は、同様の放電負荷特性が得られているが、最も劣っている。このことは、比較例2及び比較例3ともに、負極活物質粒子の表面が吸液性の悪いCMC−NH塩で被覆されていることにより負荷特性が低下したものと思われる。一方、CMC−NH塩とCMC−Na塩とを混合した増粘剤を含む比較例4の負極極板の放電負荷特性は、CMC−Na塩のみを含む比較例1の負極極板とCMC−NH塩のみを含む比較例2の負極極板との中間の特性となっている。
【0059】
それに対し実施例1〜4では比較例1と同等もしくはそれ以上すなわち最も優れた放電負荷特性が得られており、実施例5ではCMC−Na塩の含有量が少ないにもかかわらず比較例4と同等の負荷特性を示している。このことは、実施例1〜5では、負極活物質粒子の表面内側に吸液性に優れているCMC−Na塩を主成分とする層が存在し、負極活物質粒子の表面外側に負極活物質粒子間及び負極芯体と負極活物質粒子との間の密着性を良好なものとするCMC−NH塩を主成分とする層が存在しており、両者のバランスが良いので最も優れた放電負荷特性が得られたものと思われる。
【0060】
更に、容量維持率の良好な順番に実施例及び各比較例を並べると、次のとおりとなる。
実施例2=実施例3>実施例4=比較例1>実施例1=実施例5>比較例4>比較例3>比較例2
【0061】
すなわち、増粘剤としてCMC−Na塩のみを含む比較例1の負極極板の方が、CMC−NH塩のみを含む比較例2の負極極板よりも容量維持率が優れている。増粘剤としてのCMC−Na塩は、CMC−NH塩よりも吸液性に優れているから、この吸液性が容量維持率に良好な影響を与えているものと思われる。
【0062】
一方、増粘剤としてCMC−NH塩のみを含む比較例2の負極極板の容量維持率は、第1の混練工程でCMC−NH塩水溶液を用い、第2の混練工程でCMC−Na塩水溶液を用いた比較例3の負極極板の容量維持率よりも劣っている。また、CMC−NH塩とCMC−Na塩とを混合した増粘剤を含む比較例4の負極極板の容量維持率は、CMC−Na塩のみを含む比較例1の負極極板とCMC−NH塩のみを含む比較例2の負極極板との中間の特性となっている。
【0063】
それに対し実施例1及び5の負極極板の容量維持率は、CMC−Na塩のみを含む比較例1のものには劣るが、ほぼ均一にCMC−Na塩とCMC−NH塩とを同程度含んでいる比較例4のものよりは優れており、更に実施例2〜4の負極極板の容量維持率は、比較例1の負極極板のもの以上の値を示し、最も優れている。このことは、実施例1〜5では、負極活物質粒子の表面内側に吸液性に優れているCMC−Na塩を主成分とする層が存在し、更に負極活物質粒子の表面外側に負極活物質粒子間及び負極芯体と負極活物質粒子との間の密着性を良好なものとするCMC−NH塩を主成分とする層が存在することにより、優れた容量維持率が得られたものと思われる。
【0064】
ここで、容量維持率が負極活物質粒子の表面内側の増粘剤層の吸液性によってのみ定まるのであれば、比較例1の負極極板の方が実施例1〜5の負極極板よりも容量維持率が良好になるはずである。しかしながら、実施例2〜4において比較例1以上の結果が得られているということは、比較例1では、増粘剤として密着性が低いCMC−Na塩のみを用いているため、充放電時に負極極板に撓みが発生する等して容量維持率が低下したものと思われる。実施例2〜4は、密着性と吸液性の両方が高いレベルで満足されており、放電負荷特性と同様に容量維持率に関しても最も優れたものとなっている。
【0065】
更に、電池の厚み変化に対する効果が良好、すなわち厚み変化の少ない順番に実施例及び各比較例を並べると、次のとおりとなる。
実施例4>実施例3>実施例2>比較例4>実施例1=比較例2>実施例5>比較例3=比較例1
【0066】
すなわち、増粘剤としてCMC−Na塩のみを含む比較例1の負極極板より、CMC−NH塩のみを含む比較例2の負極極板の方が電池の厚み変化が小さく、増粘剤としてのCMC−NH塩はCMC−Na塩よりも電池の厚み変化を抑えることが分かる。一方、増粘剤としてCMC−Na塩及びCMC−NH塩をほぼ均一に同程度含む比較例4の負極極板の電池の厚み変化は、比較例2の場合よりも更に小さくなっており、増粘剤としてCMC−Na塩及びCMC−NH塩をそれぞれ単独で含む場合よりも優れたものとなっている。しかしながら、第1の混練工程でCMC−NH塩水溶液を用い、第2の混練工程でCMC−Na塩水溶液を用いた比較例3の負極極板電池の厚み変化は、比較例1の場合と同等であることから、単にCMC−NH塩を増粘剤として含有するだけでは上記の電池の厚み変化を抑える効果は得られず、負極活物質粒子の表面内側にCMC−Na塩が含まれている必要があることが示唆される。
【0067】
また、第1の混練工程でCMC−Na塩水溶液を用い、第2の混練工程でCMC−NH塩水溶液を用いた実施例1〜5の電池の厚み変化は、比較例1の場合よりも小さくなっており、特に実施例2〜4においては比較例4よりも小さく、電池の厚み変化を抑える効果が最も優れている。このことは、実施例2〜4の負極極板が最もガスの発生が少ないことを意味している。
【0068】
さらに、第1の混練工程で用いるCMC−Na塩と第2の混練工程で用いるCMC−NH塩の質量比について比較すると、第2の混練工程で加えるCMC−NH塩の質量比が実施例2〜4よりも小さい実施例1では密着性が低下する傾向にあり、また第2の混練工程で加えるCMC−NH塩の質量比が実施例2〜4よりも多い実施例5では密着性は高くなるが、吸液性が低下することによって放電負荷特性及び容量維持率が低下し、電池厚みが大きくなる傾向にある。したがって、CMC−Na塩とCMC−NHの質量比は、CMC−Na塩:CMC−NH塩=5:5〜8:2が好ましい。
【0069】
なお、負極合剤に混合するCMC(CMC−Na塩とCMC−NHの合計)の割合は少なくなるとスラリーの安定性が低下しやすく、多くなると負極極板の柔軟性が低下し電極体生産時に極板の割れが生じやすくなる。したがって、負極極板を効率よく製造するためには、負極合剤に混合するCMCの割合は好ましくは0.5〜2質量%、さらに好ましくは0.7〜1.8質量%、さらに好ましくは0.9〜1.6質量%の範囲にするのが好ましい。
【0070】
以上述べたとおり、増粘剤として第1の混練工程でCMC−Na塩水溶液を用い、第2の混練工程でCMC−NH塩水溶液を用いた実施例1〜5の負極極板は、負極芯体に対する負極活物質合剤層の密着性が良好で、放電負荷特性及び充放電サイクル特性に優れていると共にガスの発生の少ないという優れた効果を奏していることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(以下、「CMC−Na塩」という。)の水溶液と負極活物質粒子とを撹拌する第1の混練工程と、その後にカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩(以下、「CMC−NH塩」という。)の水溶液を追加して撹拌する第2の混練工程を経ることを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質合剤の製造方法。
【請求項2】
前記CMC−Na塩と前記CMC−NH塩の比率は、質量比でCMC−Na塩:CMC−NH塩=5:5〜8:2であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質合剤の製造方法。
【請求項3】
更に、結着剤水溶液を追加して撹拌する第3の混練工程を経ることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用負極活物質合剤の製造方法。
【請求項4】
前記負極活物質粒子として、炭素質材料を用いたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極活物質合剤の製造方法。
【請求項5】
正極活物質合剤層を有する正極と、負極活物質合剤層を有する負極と、非水溶媒と電解質塩を有する非水電解質と、を備える非水電解質二次電池において、
前記負極活物質合剤層は、負極活物質粒子と、CMC−Na塩とCMC−NH塩とを含み、
前記負極活物質粒子は、その表面がCMC−Na塩を主成分とする層で覆われ、更にその周囲がCMC−NH塩を主成分とする層で覆われていることを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項6】
前記CMC−Na塩と前記CMC−NH塩の比率は、質量比でCMC−Na塩:CMC−NH塩=5:5〜8:2であることを特徴とする請求項5に記載の非水電解質二次電池。
【請求項7】
前記負極活物質合剤層は、更に結着剤を含んでいることを特徴とする請求項5又は6に記載の非水電解質二次電池。
【請求項8】
前記負極活物質粒子は、炭素質材料からなることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の非水電解質二次電池。

【公開番号】特開2010−186716(P2010−186716A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31693(P2009−31693)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】