説明

非水電解質二次電池

【課題】 非水電解質二次電池に用いる負極活物質と非水電解液とを改良し、高容量でサイクル特性に優れた非水電解質二次電池が得られるようにする。
【解決手段】 リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質を含む正極11と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質を含む負極12と、非水電解液とを備えた非水電解質二次電池において、負極活物質に、黒鉛材料からなる第1材料と、黒鉛材料とケイ素又はケイ素化合物とが非晶質炭素材料によって被覆された複合体であって複合体中におけるケイ素の割合が17質量%以上30質量%以下である第2材料とを用い、負極活物質中における第2材料の割合を5質量%以上13質量%以下にすると共に、非水電解液に、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体を添加させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質を含む負極と、非水電解液とを備えた非水電解質二次電池に係り、特に、負極活物質と非水電解液とを改良し、高容量であってサイクル特性が大きく向上された非水電解質二次電池が得られるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電子機器や電力貯蔵用等の電源として、非水電解液を用い、リチウムイオンを正極と負極との間で移動させて、充放電を行うようにした非水電解質二次電池が利用されている。
【0003】
そして、このような非水電解質二次電池においては、その負極における負極活物質として黒鉛材料が広く利用されている。
【0004】
ここで、黒鉛材料の場合、放電電位が平坦であると共に、リチウムイオンがこの黒鉛結晶層間に挿入・脱離されて充放電されるため、針状の金属リチウムの発生が抑制され、充放電による体積変化も少ないという利点がある。
【0005】
一方、近年においては、携帯電子機器等の多機能化・高性能化に対応させるために、さらに高容量の非水電解質二次電池が要望されているが、上記の黒鉛材料の場合、層間化合物のLiC6の理論容量は372mAh/gと小さく、上記のような要望に十分に対応す
ることができないという問題があった。
【0006】
このため、近年においては、高容量の負極活物質として、リチウムイオンと合金を形成するケイ素、スズ、アルミニウム等を用いることが検討され、特に、ケイ素の場合、単位質量あたりの理論容量が約4200mAh/gと非常に大きいため、実用化に向けて種々の検討がなされている。
【0007】
しかし、リチウムイオンと合金を形成するケイ素等は、リチウムイオンの吸蔵・放出に伴う体積変化が大きく、非水電解質二次電池のサイクル特性が悪くなるという問題があった。
【0008】
このため、従来においては、特許文献1に示されるように、負極活物質に、リチウムイオンと合金を形成するケイ素やスズ等を用いると共に、LiB(C242からなる第1
の電解質塩と、LiPF6等の第2の電解質塩とを含み、溶媒に4−フルオロエチレンカ
ーボネート等のハロゲン原子を有する炭酸エステル誘導体を含有させた非水電解液を用い、負極に安定な被膜を形成させて、非水電解液が、リチウムイオンと合金を形成する上記のケイ素やスズ等の負極活物質と反応して分解するのを抑制するようにし、サイクル特性を向上させるようにしたものが提案されている。
【0009】
しかし、負極活物質にリチウムイオンと合金を形成するケイ素やスズ等を用いた場合、上記のように充放電による体積変化が大きくて、負極活物質における膨張・収縮が大きくなり、負極活物質間における電子伝導性が低下して、断続的に容量が低下し、非水電解質二次電池のサイクル特性を十分に向上させることができないという問題があった。
【0010】
また、近年においては、特許文献2〜4に示されるように、負極活物質に、炭素粒子の表面にリチウムイオンと合金を形成するケイ素やアルミニウム等を担持させ、さらにこの炭素粒子の表面を炭素材で被覆した複合炭素質材料を用い、リチウムイオンの吸蔵・放出に伴うケイ素やアルミニウム等の体積変化を上記の炭素粒子により吸収させて、負極活物質間における電子伝導性が低下するのを防止し、非水電解質二次電池のサイクル特性を向上させるようにしたものが提案されている。
【0011】
しかし、このように負極活物質に、炭素粒子の表面にケイ素やアルミニウム等を担持させ、さらにこの炭素粒子の表面を炭素材で被覆した複合炭素質材料を用いた場合においても、充放電サイクル時に、非水電解液が、複合炭素質材料に含まれる上記のケイ素やアルミニウム等、また複合炭素質材料の表面における炭素と継続的に反応して分解し、非水電解質二次電池のサイクル特性を十分に向上させることができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−228565号公報
【特許文献2】特許第3369589号公報
【特許文献3】特開2007−87956号公報
【特許文献4】特開2008−27897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、非水電解質二次電池における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0014】
そして、本発明者等は、負極活物質に、上記のように炭素粒子の表面にケイ素やアルミニウム等を担持させ、さらにこの炭素粒子の表面を炭素材で被覆した複合炭素質材料を用いると共に、4−フルオロエチレンカーボネート等のハロゲン原子を有する環状炭酸エステル誘導体を含有させた非水電解液を用いることを検討した。
【0015】
しかし、上記のような負極活物質と非水電解液とを組み合わせて使用した場合においても、非水電解液が、複合炭素質材料の表面における炭素と継続的に反応して分解し、長期にわたって充放電を繰り返して行うと、上記の非水電解液中における4−フルオロエチレンカーボネート等のハロゲン原子を有する炭酸エステル誘導体が消費されて、サイクル特性が低下することが分かった。
【0016】
そして、本発明においては、このような問題を解決するため、非水電解質二次電池に用いる負極活物質をさらに改良し、高容量であってサイクル特性がさらに向上された非水電解質二次電池が得られるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明においては、上記のような課題を解決するため、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質を含む負極と、非水電解液とを備えた非水電解質二次電池において、上記の負極活物質に、黒鉛材料からなる第1材料と、黒鉛材料とケイ素又はケイ素化合物とが非晶質炭素材料によって被覆された複合体であって複合体中におけるケイ素の割合が17質量%以上30質量%以下である第2材料とを用い、この負極活物質中における第2材料の割合を5質量%以上13質量%以下にすると共に、上記の非水電解液に、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体を添加させるようにした。
【発明の効果】
【0018】
本発明における非水電解質二次電池においては、上記のように負極活物質に、黒鉛材料からなる第1材料と、黒鉛材料とケイ素又はケイ素化合物とが非晶質炭素材料によって被覆された複合体からなる第2材料とを用いるようにしたため、黒鉛材料とケイ素又はケイ素化合物とが非晶質炭素材料によって被覆された複合体を単独で用いた場合よりも、負極活物質の充填密度が向上されて、十分な電池容量が得られると共に、初期の充放電効率も向上する。
【0019】
また、本発明における非水電解質二次電池においては、上記のように非水電解液に、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体を添加させたため、このフッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体によって充放電時に前記の負極活物質の表面に安定な被膜が形成されるようになり、非水電解液が充放電時に前記の負極活物質と反応して分解するのが抑制され、非水電解質二次電池におけるサイクル特性が向上する。
【0020】
また、本発明における非水電解質二次電池においては、上記の負極活物質における第2材料の複合体として、複合体中におけるケイ素の割合が17質量%以上になるようにしたため、非水電解質二次電池における容量がさらに向上され、また複合体中におけるケイ素の割合が30質量%以下になるようにしたため、充放電時における複合体の体積変化が少なくなって、非水電解質二次電池の充放電サイクル特性が低下するのがさらに防止されるようになる。
【0021】
また、本発明における非水電解質二次電池においては、上記の負極活物質中において、黒鉛材料とケイ素又はケイ素化合物とが非晶質炭素材料によって被覆された複合体からなる第2材料の割合を5質量%以上にしたため、非水電解質二次電池における容量がさらに向上され、またこの第2材料の割合を13質量%以下にしたため、充放電サイクル時に、この複合体からなる第2材料の表面で、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体を添加させた非水電解液が分解するのが抑制され、非水電解質二次電池の充放電サイクル特性が低下するのがさらに防止されるようになる。なお、この複合体からなる第2材料の表面において、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体を添加させた非水電解液が分解するのをより適切に抑制するためには、負極活物質中における第2材料の割合を10質量%以下にすることが好ましい。
【0022】
この結果、本発明においては、高容量で、充放電サイクル特性にも優れた非水電解質二次電池が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例及び比較例において作製した扁平電極体の部分断面説明図及び概略斜視図である。
【図2】上記の実施例及び比較例において作製した非水電解質二次電池の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明に係る非水電解質二次電池の実施形態について具体的に説明する。なお、本発明における非水電解質二次電池は、下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0025】
この発明の非水電解質二次電池においては、上記のように負極活物質に、黒鉛材料からなる第1材料と、黒鉛材料とケイ素又はケイ素化合物とが非晶質炭素材料によって被覆された複合体からなる第2材料とを用いるようにしている。
【0026】
ここで、上記の第1材料における黒鉛材料としては、充放電特性等に優れた人造黒鉛や天然黒鉛を用いることが好ましく、一般に、X線回折法により測定した格子面間隔d002
が0.337nm以下、c軸方向の結晶子の大きさLcが30nm以上の黒鉛を用いることが好ましい。また、この黒鉛材料としては、質量積分50%における平均粒径(メジア
ン径D50)が10〜25μmの範囲のものを用いることが好ましい。
【0027】
また、上記の第1材料における黒鉛材料としては、人造黒鉛や天然黒鉛の表面をさらに炭素質材料で被覆した炭素被覆黒鉛を用いることも可能である。ここで、人造黒鉛や天然黒鉛の表面を被覆する炭素質材料の前駆体としては、ピッチ系材料や、タール系材料や、ビニル系樹脂,セルロース系樹脂,フェノール系樹脂等の樹脂系材料を用いることができる。
【0028】
また、黒鉛材料とケイ素又はケイ素化合物とが非晶質炭素材料によって被覆された複合体からなる上記の第2材料において、そのケイ素としては、単結晶ケイ素、多結晶ケイ素、非晶質ケイ素の何れを用いることも可能であるが、結晶子の大きさが60nm以下の多結晶ケイ素や非晶質ケイ素を用いることが好ましい。これは、結晶子の大きさが60nm以下の多結晶ケイ素や非晶質ケイ素においては、結晶子の方位が無秩序であるため、充放電時に1つの粒子の結晶子の界面で割れが生じた場合においても、割れが伝播しにくく、上記の複合体の構造が破壊されるのが抑制され、充放電サイクル特性が低下するのが抑制されるためである。
【0029】
また、上記のケイ素化合物としては、ニッケル,銅,コバルト,クロム,鉄,銀,チタン,モリブデン,タングステン等の金属元素とケイ素とが非晶質化したケイ素合金や、酸化ケイ素などを用いることができる。
【0030】
また、上記のケイ素やケイ素化合物の粒径が大きくなりすぎると、充放電時における上記の複合体の膨張・収縮が大きくなって、複合体の構造を維持することが困難になり、非水電解質二次電池の充放電サイクル特性が低下するため、上記のケイ素やケイ素化合物としては、質量積分50%における平均粒径(メジアン径D50)が0.1〜10μmの範囲
のものを用いることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmの範囲のものを用いるようにする。なお、上記のような粒径のケイ素やケイ素化合物を得るにあたっては、ケイ素やケイ素化合物をジェットミルやボールミル等の乾式粉砕法や、ビーズミルやボールミル等の湿式粉砕法により粉砕させて得ることができる。
【0031】
また、上記の複合体における黒鉛材料としては、充放電特性等に優れたものを用いることが好ましく、人造黒鉛や天然黒鉛やメソフェーズ小球体の黒鉛化物などを用いることができ、X線回折法により測定した格子面間隔d002が0.337nm以下、c軸方向の結
晶子の大きさLcが30nm以上の黒鉛を用いることが好ましい。
【0032】
ここで、上記の複合体における黒鉛材料の粒径が小さすぎると、初回の充放電時に非水電解液と副反応が生じ、初期効率が低下して非水電解質二次電池の容量が低下する一方、黒鉛材料の粒径が大きくなりすぎると、充放電時における上記のケイ素やケイ素化合物の膨張・収縮を十分に緩和することができなくなって、非水電解質二次電池の充放電サイクル特性が低下する。このため、上記の複合体における黒鉛材料としては、質量積分50%
における平均粒径(メジアン径D50)が1〜25μmの範囲のものを用いることが好ましく、より好ましくは5〜20μmの範囲のものを用いるようにする。
【0033】
また、上記の複合体における非晶質炭素材料としては、前駆体として、ピッチ系材料や、タール系材料や、ビニル系樹脂,セルロース系樹脂,フェノール系樹脂等の樹脂系材料を用い、これを窒素,アルゴン,ヘリウム等の不活性ガス雰囲気中において、700〜1300℃の温度で炭素化させたものを用いることができる。
【0034】
また、上記の複合体としては、黒鉛材料の表面にケイ素又はケイ素化合物を付着させ、これを非晶質炭素材料によって被覆させたものを用いることができ、さらにこの複合体の表面を炭素質材料で被覆させたものを用いることもできる。
【0035】
ここで、複合体の表面を炭素質材料で被覆させるにあたっては、炭素質材料の前駆体として、前記のピッチ系材料や、タール系材料や、ビニル系樹脂,セルロース系樹脂,フェノール系樹脂等の樹脂系材料を用い、これを複合体の表面に付与し、上記のように窒素,アルゴン,ヘリウム等の不活性ガス雰囲気中において、700〜1300℃の温度で炭素化させて、複合体の表面を炭素質材料で被覆させることができる。
【0036】
そして、上記のような負極活物質を用いて負極を作製するにあたっては、上記の負極活物質と導電剤とバインダー等を含む負極合剤を負極集電体の表面に塗布させるようにすることができる。
【0037】
ここで、上記の負極集電体の材料は、耐還元性に優れた導電性材料であればよく、例えば、銅、ニッケル及びこれらを含む合金等を用いることができる。
【0038】
また、上記の導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、黒鉛、カーボンブラック等を用いることができる。また、上記のバインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、EPDM、SBR、NBR、フッ素ゴム等を用いることができる。
【0039】
また、この発明の非水電解質二次電池において、その正極に用いる正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出することができ、その電位が貴な材料であれば特に限定されず、一般に使用されている公知の正極活物質を用いることができる。例えば、LiCoO2等のリチウム・コバルト複合酸化物、LiNiO2等のリチウム・ニッケル複合酸化物、LiMn24,LiMnO2等のリチウム・マンガン複合酸化物、LiNi1-xCox2(0<x<1)等のリチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物、LiMn1-xCox2
0<x<1)等のリチウム・マンガン・コバルト複合酸化物、LiNixCoyMnz2(x+y+z=1)等のリチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物、LiNix
CoyAlz2(x+y+z=1)等のリチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム複
合酸化物等のリチウム含有遷移金属酸化物や、MnO2等のマンガン酸化物、V25等の
バナジウム酸化物等の金属酸化物や、その他の酸化物や硫化物を用いることができる。
【0040】
さらには、正極活物質として、少なくともニッケルを含むリチウム・ニッケル複合酸化物を含むことが好ましい。リチウム・ニッケル複合酸化物を含む正極活物質を用いた場合、充放電サイクルに伴って正極活物質表面上にLiCOが生成する。そして生成したLiCOが電解液中に存在する微量なHOと反応しCOが発生する。そして発生したCOが、充放電サイクルに伴って第2材料中の表面上に形成される有機化合物被膜に良好に作用し、サイクル特性が更に向上する。
【0041】
そして、上記のような正極活物質を用いて正極を作製するにあたっては、例えば、上記の正極活物質と導電剤とバインダー等を含む正極合剤を正極集電体の表面に塗布させるようにすることができる。
【0042】
ここで、上記の正極集電体の材料は、耐酸化性に優れた導電性材料であればよく、例えば、アルミニウム、ステンレス、チタン等を用いることができる。
【0043】
また、上記の導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、黒鉛、カーボンブラック等を用いることができる。また、上記のバインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、EPDM、SBR、NBR、フッ素ゴム等を用いることができる。
【0044】
また、この発明の非水電解質二次電池における非水電解液としても、一般に使用されている非水系溶媒に溶質を溶解させたものを用いることかできる。
【0045】
また、上記の非水系溶媒についても特に限定されず、一般に使用されているものを用いることができ、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネートと、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネートとの混合溶媒や、環状カーボネートと1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等のエーテル系溶媒との混合溶媒を使用することができる。
【0046】
また、上記の溶質についても特に限定されず、一般に使用されているものを用いることができ、例えば、LiPF6,LiBF4,LiCF3SO3,LiN(CF3SO22,L
iN(C25SO22,LiN(CF3SO2)(C49SO2),LiC(CF3SO23,LiC(C25SO23,LiAsF6,LiClO4,Li210Cl10,Li212Cl12や、これらの混合物等を用いることができる。
【0047】
そして、上記の非水電解液に添加させるフッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体としては、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−(フルオロメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−(トリフルオロメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いることができ、好ましくは、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いるようにする。
【0048】
そして、このようなフッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体を非水電解液に添加させるにあたり、非水電解液に対する添加量が0.1質量%未満であると、非水電解質二次電池のサイクル特性を十分に向上させる効果が得られない一方、その添加量が30質量%以上になると、高温下において充電状態で保存させた場合に、前記の負極活物質と反応して分解し、電池が膨化しやすくなる。このため、このようなフッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体を、非水電解液に対して0.1質量%以上30質量%未満の範囲で添加させることが好ましい。
【0049】
また、上記の非水電解液には、上記のフッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体と共にビニレンカーボネートを添加させることが好ましい。
【0050】
このように、非水電解液にフッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体と共にビニレンカーボネートを添加させると、このビニレンカーボネートが分解して、上記の負極活物質における複合体からなる第2材料の表面に安定な有機系被膜が形成され、これによりフッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体が過剰に分解するのが抑制され、非水電解質二次電池の充放電サイクル特性がさらに向上されるようになる。
【0051】
ここで、このように非水電解液にビニレンカーボネートを添加させるにあたり、その量が少ないと、上記のような効果が十分に得られなくなる一方、その量が多くなりすぎると、初期効率が低下して非水電解質二次電池の容量が低下する。このため、非水電解液に対して添加させるビニレンカーボネートの量を0.1質量%以上10質量%未満の範囲にすることが好ましい。
【実施例】
【0052】
次に、この発明に係る非水電解質二次電池について実施例を挙げて具体的に説明すると共に、この実施例に係る非水電解質二次電池においては、サイクル特性が向上することを、比較例を挙げて明らかにする。
【0053】
(実施例1)
実施例1においては、下記のようにして作製した正極と負極と非水電解液とを用いるようにした。
【0054】
[正極の作製]
正極を作製するにあたっては、Li2CO3とCo34とを、LiとCoとのモル比が1:1になるようにして石川式らいかい乳鉢において混合した後、これを空気雰囲気中において850℃で20時間熱処理し、その後、これを粉砕させて、正極活物質のLiCoO2からなるリチウム・コバルト複合酸化物を得た。
【0055】
そして、この正極活物質と、導電剤の炭素と、バインダーのポリフッ化ビニリデンとの質量比が95:2.5:2.5になるようにし、これに分散媒のN−メチル−2−ピロリドンを加え、これらを混練して正極合剤スラリーを作製した。
【0056】
次いで、この正極合剤スラリーをアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布し、これを乾燥させた後、これを圧延させて正極を作製し、この正極に正極集電タブを取り付けた。なお、このように作製した正極における正極合剤の充填密度は3.60g/cm3
であった。
【0057】
[負極の作製]
負極を作製するにあたっては、単結晶ケイ素原料と溶媒のメチルナフタレンとを窒素ガス雰囲気中においてビーズミルに入れて湿式粉砕し、単結晶ケイ素の平均粒径(メジアン径D50)が0.2μmになった単結晶ケイ素含有スラリーを得た。なお、この単結晶ケイ素の結晶子サイズはその粒径に等しい。
【0058】
そして、上記の単結晶ケイ素含有スラリーに黒鉛と炭素ピッチとを加えて混合し、この混合物を炭化させて分級した後、これに炭素ピッチを加えて被覆し、これをさらに炭化させて、黒鉛とケイ素とが非晶質炭素材料によって被覆された複合体からなる第2材料を得た。なお、この複合体からなる第2材料中におけるケイ素の含有量は20.9質量%であった。
【0059】
また、第1材料の黒鉛材料としては、X線回折法により測定した格子面間隔d002が0
.3355nm、c軸方向の結晶子の大きさLcが116.1nmの人造黒鉛を用いた。
【0060】
そして、上記の人造黒鉛からなる第1材料と、上記の複合体からなる第2材料とを、質量比が88.8:11.2になるように混合して負極活物質を得た。
【0061】
そして、増粘剤のカルボキシメチルセルロースを水に溶かした水溶液中に、上記の負極活物質と、バインダーのSBRとを、負極活物質とバインダーと増粘剤との質量比が97.5:1.5:1.0になるように加えて混練し、負極合剤スラリーを作製した。
【0062】
次いで、この負極合剤スラリーを銅箔からなる負極集電体の両面に塗布し、これを乾燥させた後、圧延させて負極を作製し、この負極に負極集電タブを取り付けた。なお、このように作製した負極における負極合剤の充填密度は1.60g/cm3であった。
【0063】
[非水電解液の作製]
非水電解液を作製するにあたっては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを3:7の体積比で混合させた混合溶媒に、溶質としてヘキサフルオロリン酸リチウムLiPF6を1mol/lの濃度になるように溶解させた非水電解液に対して、フッ素
原子を有する環式炭酸エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを10.0質量%添加させた。
【0064】
そして、非水電解質二次電池を作製するにあたっては、図1(A),(B)に示すように、上記の正極11と負極12とを、ポリプロピレン製の微多孔膜からなるセパレータ13を介して対向するようにして巻回し、これをプレスして扁平電極体10を作製し、上記の正極11と負極12とに設けた正極集電タブ11aと負極集電タブ12aとをこの扁平電極体10から突出させた。
【0065】
次いで、図2に示すように、上記の扁平電極体10をアルミニウムラミネートフィルムで構成された電池容器20内に収容させると共に、この電池容器20内に上記の非水電解液を加え、上記の正極11に設けた正極集電タブ11aと負極12に設けた負極集電タブ12aとを外部に取り出すようにして、上記の電池容器20の開口部を封口させ、縦6.2cm,横3.5cm,厚み3.6mmになった非水電解質二次電池を作製した。
【0066】
(実施例2)
実施例2においては、上記の実施例1における非水電解液の作製において、上記の非水電解液に対して、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを10.0質量%添加させると共に、ビニレンカーボネートを2.0質量%添加させ、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例2の非水電解質二次電池を作製した。
【0067】
(実施例3)
実施例3においては、上記の実施例2と同様に、上記の非水電解液に対して、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを10.0質量%添加させると共に、ビニレンカーボネートを2.0質量%添加させたものを用いるようにした。
【0068】
また、この実施例3においては、上記の実施例1における負極の作製において、上記の複合体からなる第2材料中におけるケイ素の含有量を22.8質量%にすると共に、前記の人造黒鉛からなる第1材料と、上記の複合体からなる第2材料とを、質量比が92.4:7.6になるように混合させた負極活物質を用いるようにした。
【0069】
そして、これら以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例3の非水電解質二次電池を作製した。
【0070】
(実施例4)
実施例4においては、上記の実施例2と同様に、上記の非水電解液に対して、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを10.0質量%添加させると共に、ビニレンカーボネートを2.0質量%添加させたものを用いるようにした。
【0071】
また、この実施例4においては、上記の実施例1における負極の作製において、黒鉛とケイ素とが非晶質炭素材料によって被覆された複合体からなる第2材料を得るにあたり、上記の単結晶ケイ素に代えて、高純度三塩化シランSiHCl3を原料として熱還元法に
より作製した多結晶ケイ素を用い、複合体からなる第2材料中におけるケイ素の含有量を18.6質量%にすると共に、前記の人造黒鉛からなる第1材料と、上記の複合体からなる第2材料とを、質量比が91.5:8.5になるように混合させた負極活物質を用いるようにした。
【0072】
そして、これら以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例4の非水電解質二次電池を作製した。
【0073】
(実施例5)
実施例5においては、上記の実施例2と同様に、上記の非水電解液に対して、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを10.0質量%添加させると共に、ビニレンカーボネートを2.0質量%添加させたものを用いるようにした。
【0074】
また、この実施例5においては、上記の実施例1における負極の作製において、上記の複合体からなる第2材料中におけるケイ素の含有量を22.0質量%にすると共に、前記の人造黒鉛からなる第1材料と、上記の複合体からなる第2材料とを、質量比が92.4:7.6になるように混合させた負極活物質を用いるようにした。
【0075】
また、この実施例5においては、上記の実施例1における正極の作製において、LiOHと、ニッケルを含む複合水酸化物(Ni0.80Co0.15Al0.05(OH))を、モル比が1.05:1となるようにして石川式らいかい乳鉢にて混合した後、酸素雰囲気中にて720℃で20時間熱処理後に粉砕することにより得られたリチウム・ニッケル複合酸化物を用いるようにした。
【0076】
そして、これら以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例5の非水電解質二次電池を作製した。
【0077】
(比較例1)
比較例1においては、上記の実施例2と同様に、非水電解液に対して、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを10.0質量%添加させると共に、ビニレンカーボネートを2.0質量%添加させたものを用いるようにした。
【0078】
また、この比較例1においては、上記の実施例1における負極の作製において、上記の複合体からなる第2材料中におけるケイ素の含有量を4.0質量%にすると共に、前記の人造黒鉛からなる第1材料と、上記の複合体からなる第2材料とを、質量比が45.0:55.0になるように混合させた負極活物質を用いるようにした。
【0079】
そして、これら以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、比較例1の非水電解質二次電池を作製した。
【0080】
(比較例2)
比較例2においては、上記の実施例2と同様に、非水電解液に対して、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを10.0質量%添加させると共に、ビニレンカーボネートを2.0質量%添加させたものを用いるようにした。
【0081】
また、この比較例2においては、上記の実施例1における負極の作製において、上記の複合体からなる第2材料中におけるケイ素の含有量を15.8質量%にすると共に、前記の人造黒鉛からなる第1材料と、上記の複合体からなる第2材料とを、質量比が85.8:14.2になるように混合させた負極活物質を用いるようにした。
【0082】
そして、これら以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、比較例2の非水電解質二次電池を作製した。
【0083】
(比較例3)
比較例3においては、上記の実施例2と同様に、非水電解液に対して、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを10.0質量%添加させると共に、ビニレンカーボネートを2.0質量%添加させたものを用いるようにした。
【0084】
また、この比較例3においては、上記の実施例1における負極の作製において、上記の複合体からなる第2材料中におけるケイ素の含有量を19.0質量%にすると共に、前記の人造黒鉛からなる第1材料と、上記の複合体からなる第2材料とを、質量比が85.5:14.5になるように混合させた負極活物質を用いるようにした。
【0085】
そして、これら以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、比較例3の非水電解質二次電池を作製した。
【0086】
先ず、上記のようにして作製した実施例1,2及び比較例1の各非水電解質二次電池について、それぞれ室温条件の下で、800mAの定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電させ、さらに4.2Vの定電圧で電流値が40mAになるまで充電させた後、800mAの定電流で電池電圧が2.75Vに達するまで放電させて、それぞれ1サイクル目の放電容量Q1を求めた。
【0087】
そして、この実施例1,2及び比較例1の各非水電解質二次電池に対して、上記の1サイクル目と同様にして、それぞれ200サイクルの充放電を繰り返して行い、それぞれ200サイクル目の放電容量Q200を求め、下記の式により200サイクル後の容量維持率
を求め、その結果を下記の表1に示した。なお、下記の表においては、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンをFECと、ビニレンカーボネートをVCと略して記載した。
200サイクル後容量維持率(%)=Q200÷Q1×100

【0088】
【表1】

【0089】
この結果、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを添加させた非水電解液を用いた場合において、負極活物質に、黒鉛材料からなる第1材料と、黒鉛材料とケイ素又はケイ素化合物とが非晶質炭素材料によって被覆された複合体からなる第2材料とを用い、この複合体中におけるケイ素の割合が17質量%以上30質量%以下で、負極活物質中における第2材料の割合が5質量%以上13質量%以下になった実施例1,2の各非水電解質二次電池は、上記の複合体中におけるケイ素の割合が17質量%未満の4.0質量%で、負極活物質中における第2材料の割合が13質量%を越える55.0質量%になった比較例1の非水電解質二次電池に比べて、充放電サイクル特性が大きく向上していた。
【0090】
また、上記の非水電解液に対して、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと共にビニレンカーボネートを添加させた実施例2の非水電解質二次電池は、非水電解液に対してビニレンカーボネートを添加させていない実施例1の非水電解質二次電池よりもさらに充放電サイクル特性が向上していた。
【0091】
次に、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを10.0質量%、ビニレンカーボネートを2.0質量%添加させた非水電解液を用いた実施例2〜5及び比較例2,3の各非水電解質二次電池について、前記のように室温条件の下で、800mAの定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電させ、さらに4.2Vの定電圧で電流値が40mAになるまで充電させた後、実施例2〜5及び比較例2,3の各非水電解質二次電池について800mAの定電流で電池電圧が2.75Vに達するまで放電させ、それぞれ1サイクル目の放電容量Q1を求めた。
【0092】
そして、この実施例2〜5及び比較例2,3の各非水電解質二次電池に対して、上記の1サイクル目と同様にして、それぞれ300サイクルの充放電を繰り返して行い、それぞれ300サイクル目の放電容量Q300を求め、下記の式により300サイクル後の容量維
持率を求め、その結果を下記の表2に示した。
300サイクル後容量維持率(%)=Q300÷Q1×100

【0093】
【表2】

【0094】
この結果、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体とビニレンカーボネートとを添加させた非水電解液を用いた場合において、負極活物質に、黒鉛材料からなる第1材料と、黒鉛材料とケイ素又はケイ素化合物とが非晶質炭素材料によって被覆された複合体からなる第2材料とを用い、この複合体中におけるケイ素の割合が17質量%以上30質量%以下で、負極活物質中における第2材料の割合が5質量%以上13質量%以下になった実施例2〜5の各非水電解質二次電池は、上記の複合体中におけるケイ素の割合が17質量%以下の15.8質量%であり、負極活物質中における第2材料の割合が13質量%を超える14.2質量%である比較例2や,上記の複合体中におけるケイ素の割合が17質量%以上30質量%以下であるが、負極活物質中における第2材料の割合が13質量%を超える14.5質量%になった比較例3の非水電解質二次電池に比べて、充放電サイクル特性が大きく向上していた。
【0095】
また、実施例2〜4の非水電解質二次電池を比較した場合、負極活物質中における第2材料の割合が10質量%以下になった実施例3,4の非水電解質二次電池は、負極活物質中における第2材料の割合が10質量%越えた実施例2の非水電解質二次電池よりもさらに充放電サイクル特性が向上しており、また上記の複合体におけるケイ素に結晶子サイズが60nm以下の多結晶ケイ素を用いた実施例4の非水電解質二次電池は、複合体におけるケイ素に結晶子サイズが60nmを越える単結晶ケイ素を用いた実施例3の非水電解質二次電池によりもさらに充放電サイクル特性が向上していた。
【0096】
また、実施例3、5の非水電解質二次電池を比較した場合、正極活物質にリチウム・ニッケル複合酸化物を用いた実施例5の非水電解質二次電池は、正極活物質にリチウム・コバルト複合酸化物を用いた実施例3の非水電解質二次電池よりも更に充放電サイクル特性が向上していた。
【符号の説明】
【0097】
10 扁平電極体
11 正極
11a 正極集電タブ
12 負極
12a 負極集電タブ
13 セパレータ
20 電池容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質を含む負極と、非水電解液とを備えた非水電解質二次電池において、上記の負極活物質に、黒鉛材料からなる第1材料と、黒鉛材料とケイ素又はケイ素化合物とが非晶質炭素材料によって被覆された複合体であって複合体中におけるケイ素の割合が17質量%以上30質量%以下である第2材料とを用い、この負極活物質中における第2材料の割合を5質量%以上13質量%以下にすると共に、上記の非水電解液に、フッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体を添加させたことを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項2】
請求項1に記載の非水電解質二次電池において、前記の非水電解液に、前記のフッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体と共にビニレンカーボネートを添加させたことを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の非水電解質二次電池において、前記のフッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体として、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンから選択される少なくとも1種を添加させたことを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の非水電解質二次電池において、前記の非水電解液に対して、前記のフッ素原子を有する環式炭酸エステル誘導体が0.1質量%以上30質量%未満の範囲で添加されていることを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の非水電解質二次電池において、前記の正極活物質が、少なくともニッケルを含むリチウム・ニッケル複合酸化物を含むことを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の非水電解質二次電池において、前記の複合体中におけるケイ素又はケイ素化合物の結晶子サイズが60nm以下であることを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の非水電解質二次電池において、前記の負極活物質中における第2材料の割合が、5質量%以上10質量%以下であることを特徴とする非水電解質二次電池。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−92830(P2010−92830A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29322(P2009−29322)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】