説明

非破壊検査装置

【課題】きずや減肉の検出部位を的確に特定でき探傷作業が容易に行え精度のよい探傷波形を得ることができる非破壊検査装置を提供することである。
【解決手段】作業員は探傷プローブ11を手に持ち、検査対象物の表面を摺動走査させる。測定器12は、検査対象物の表面を摺動走査する探傷プローブ11の検出信号を測定するとともに、探傷プローブ11の検出信号に基づいて探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを判定する。そして、探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したとき、測定器12からの停止指令により、停止装置13は探傷プローブ11の摺動走査の動作を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の表面を探傷プローブを摺動走査させて検査対象物を非破壊検査する非破壊検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、配管等の検査対象物の非破壊検査は作業員による手作業により行われている。例えば、大径配管の非破壊検査においては、大径配管の表面に形成されている探傷用走査線を頼りに探傷プローブを配管に接触させ、測定器の表示装置に表示された画面上の探傷波形を確認しながら探傷する。そして、検査対象物にきずや減肉部があった場合には、その箇所で詳細な探傷波形を記録し、記録した探傷波形に基づききずや減肉部の定量的及び定性的な評価を行う。
【0003】
ここで、検査対象物の探傷を自動的に行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。これは、継手溶接部の探傷が板端を含む溶接線方向の全範囲に亘って完全自動的に、しかも高能率・高精度で行え、かつ構成がコンパクトで取扱いが容易であり、大形被検体等の作業能率向上に大きく寄与できる自動超音波探傷装置であり、溶接線方向に沿う板端を検出して板端位置で台車の走行を停止させる停止手段を有している。
【特許文献1】特開平6−160358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の手作業による検査対象物の非破壊検査では、探傷プローブを検査対象物の表面上で移動させながら探傷を行い、その操作と同時に測定器の表示装置に表示された画面上の探傷波形も確認することが必要となる。従って、作業員は探傷プローブ側と表示画面側との双方を視認しなければならず、作業員の視線は複数方向となってしまう。そのため、探傷波形の見落としや迅速かつ正確なきずや減肉の位置の同定が困難になることがある。
【0005】
また、きずや減肉が検出されたことを視認した場合、そのきずや減肉の検出部位の近傍で探傷プローブの位置、探傷プローブの姿勢、接触媒質の量などを微妙に調整しながら最適な探傷波形が記録できるまで、その近傍を探傷することが必要となるので探傷作業に時間がかかる。
【0006】
一方、特許文献1のものでは、溶接線方向に沿う板端を検出して板端位置で走行を停止させ、台車の停止位置で板端の溶接部を探傷する走査範囲を設定し、自動的に検査対象物の超音波探傷を行うものであり、きずや減肉を検出したとき、そのきずや減肉の検出部位の近傍で詳細に探傷するというものではない。
【0007】
本発明の目的は、きずや減肉の検出部位を的確に特定でき探傷作業が容易に行え精度のよい探傷波形を得ることができる非破壊検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係わる非破壊検査装置は、作業員により検査対象物の表面を摺動走査する探傷プローブと、前記探傷プローブの検出信号を測定するとともに前記探傷プローブの検出信号に基づいて前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを判定する測定器と、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したとき前記探傷プローブの摺動走査の動作を停止させる停止装置とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明に係わる非破壊検査装置は、請求項1の発明において、前記停止装置は、前記探傷プローブに設けられ、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したときに前記検査対象物に電磁力で張り付く電磁石であることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明に係わる非破壊検査装置は、請求項1の発明において、前記停止装置は、前記探傷プローブに設けられ、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したときに前記検査対象物に吸引力で張り付く吸盤であることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明に係わる非破壊検査装置は、請求項1の発明において、前記停止装置は、前記探傷プローブに設けられ、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したときに前記検査対象物との間に摩擦力を発生させる摩擦力発生装置であることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明に係わる非破壊検査装置は、請求項1ないし4のいずれか1項の発明において、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したときその旨を作業員に対し体感報知する体感報知装置を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明に係わる非破壊検査装置は、作業員により検査対象物の表面を摺動走査する探傷プローブと、前記探傷プローブの検出信号を測定するとともに前記探傷プローブの検出信号に基づいて前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを判定する測定器と、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したときその旨を作業員に対し体感報知する体感報知装置とを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明に係わる非破壊検査装置は、請求項5または6の発明において、前記体感報知装置は、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを作業員の視覚に訴える視覚報知装置であることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明に係わる非破壊検査装置は、請求項5または6の発明において、前記体感報知装置は、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを作業員の聴覚に訴える聴覚報知装置であることを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明に係わる非破壊検査装置は、請求項5または6の発明において、前記体感報知装置は、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを作業員の触覚に訴える触覚報知装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、探傷プローブが検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したとき探傷プローブの摺動走査を停止させたり、または作業員に体感で報知するので、探傷プローブまたは探傷する手が一時的にロックされる。このため、きずや減肉の検出部位の位置を的確に特定できる。従って、きずや減肉の検出部位の見落としやきずや減肉の検出部位の位置を同定する時間が短縮され、探傷作業が容易に行え精度のよい探傷波形を得ることができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係わる非破壊検査装置の構成図である。探傷プローブ11には、探傷プローブ11の摺動走査の動作を停止させる停止装置13が設けられている。この停止装置13は、探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したとき探傷プローブ11の摺動走査の動作を停止させるものである。
【0019】
作業員は停止装置13が設けられた探傷プローブ11を手に持って検査対象物の表面に接触させる。そして、検査対象物の表面への接触を維持しつつ摺動走査し探傷プローブ11で探傷波形を検出する。例えば、探傷プローブ11が超音波探触子である場合には、図2に示すような探傷波形信号が検出され、検出された探傷波形信号は測定器12に入力され記憶される。
【0020】
図2に示すように、測定器12は予め探傷波形信号の閾値Lを記憶しており、探傷プローブ11で検出された探傷波形信号がその閾値Lを超えたか否かを判定している。探傷プローブ11は検査対象物のきずや減肉の検出部位ではレベルが大きな探傷波形信号を検出するので、閾値Lはきずや減肉の検出部位であると判定するレベルに設定される。
【0021】
一方、測定器12は探傷波形信号が閾値Lを超えたときは、停止装置13に対して探傷プローブ11の摺動走査の動作を停止させる停止指令信号を出力する。これにより、停止装置13は探傷プローブ11の摺動走査の動作を停止させる。すなわち、探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したときは、探傷波形信号が閾値Lを超えるので、測定器12はこれを検出して停止装置13に対して探傷プローブ11の摺動走査の動作を停止させる停止指令信号を出力する。停止装置13は、測定器12から停止指令信号を受信すると、作業員が手に持っている探傷プローブ11の検査対象物の表面での摺動走査の動作を阻止するように動作する。
【0022】
図1では停止装置13として電磁石を用いた場合を示しており、探傷波形信号が閾値Lを超えたときは、測定器12は電磁石のコイルを励磁して検査対象物に電磁力で張り付かせる。これにより、探傷プローブ11を手に持って探傷走査を行っていた作業員の探傷走査が阻止されるので、探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを認識できる。そして、きずや減肉の検出部位が認識できた後にそのきずや減肉の検出部位の同定作業を行うことになるが、その同定作業の際は停止装置13の動作を解除しておく。これにより、作業員はそのきずや減肉の検出部位で探傷プローブ11による同定作業が容易に行え、正確なきずや減肉の位置の同定が行える。
【0023】
図1では停止装置13である電磁石を探傷プローブ11の外部に取り付けた場合を示したが探傷プローブ11の内部に組み込むようにしてもよい。また、複数個の電磁石を用いてもよい。
【0024】
第1の実施の形態によれば、探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したとき探傷プローブ11の摺動走査を停止させるので、探傷プローブ11の探傷走査の動作が一時的に停止する。このため、きずや減肉の検出部位の位置を的確に特定でき、きずや減肉の検出部位の見落としやきずや減肉の検出部位の位置を同定する時間が短縮される。
【0025】
(第2の実施の形態)
図3は本発明の第2の実施の形態に係わる非破壊検査装置の構成図である。この第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、停止装置13としての電磁石に代えて、検査対象物に吸引力で張り付く吸盤14としたものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0026】
図3に示すように、探傷プローブ11には、探傷プローブ11が検査対象物の表面に接触する側に停止装置13としての吸盤14が設けられ、また、測定器12からの停止装置13の停止指令信号により吸盤14内部の空気を真空引きする吸引ポンプ15が設けられている。
【0027】
検査対象物の探傷作業を行う際には、作業員は探傷プローブ11を手に持って、探傷プローブ11を検査対象物の表面に接触させながら摺動走査させる。この状態では吸引ポンプ15は駆動していないので、吸盤14には吸引力は発生しない。従って、探傷プローブ11は作業員の探傷走査の動作に従って移動し、探傷プローブ11は検査対象物の探傷波形を順次検出し、測定器12にその探傷波形の検出信号を出力する。測定器12は、探傷プローブ11で検出された探傷波形信号を順次入力し記憶する。
【0028】
そして、計測装置13は探傷プローブ11で検出された探傷波形信号が閾値Lを超えたときは、吸引ポンプ15を駆動して吸盤14の内部の空気を真空引きする。これにより、吸盤14が吸引力で検査対象物に張り付き、探傷プローブ11を手に持って探傷走査を行っていた作業員の探傷走査が阻止される。これにより、探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを認識できる。
【0029】
きずや減肉の検出部位が認識できた後に停止装置13の動作を解除し、そのきずや減肉の検出部位の同定作業を行う。これにより、作業員はそのきずや減肉の検出部位で探傷プローブ11による同定作業が容易に行え、正確なきずや減肉の位置の同定が行える。
【0030】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な効果が得られる。また、電磁石の電磁力ではなく、吸盤の吸引力で探傷プローブ11の摺動走査を停止させるので、検査対象物が強磁性体でない場合にも適用できる。
【0031】
(第3の実施の形態)
図4は本発明の第3の実施の形態に係わる非破壊検査装置の構成図である。この第3の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、停止装置13としての電磁石に代えて、検査対象物との間に摩擦力を発生させる摩擦力発生装置16としたものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0032】
図4に示すように、探傷プローブ11には、探傷プローブ11が検査対象物の表面に接触する側に停止装置13としての摩擦力発生装置16が設けられている。摩擦力発生装置16は摩擦部材17を内蔵し、測定器12からの停止装置13の停止指令信号により摩擦部材17を検査対象物の表面に突出させて摩擦力を発生させる。
【0033】
検査対象物の探傷作業を行う際には、作業員は探傷プローブ11を手に持って、探傷プローブ11を検査対象物の表面に接触させながら摺動走査させる。これにより、探傷プローブ11は検査対象物の探傷波形を検出し、測定器12にその探傷波形の検出信号を出力する。
【0034】
そして、測定器12は、探傷プローブ11で検出された探傷波形信号が閾値Lを超えたときは、摩擦力発生装置16を駆動し摩擦部材17を突出させる。これにより、摩擦部材17が検査対象物の表面と接触して摩擦力を発生させるので、探傷プローブ11を手に持って探傷走査を行っていた作業員の探傷走査が阻止される。これにより、作業員は探傷プローブが検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを認識できる。
【0035】
きずや減肉の検出部位が認識できた後には停止装置13の動作を解除し、そのきずや減肉の検出部位の同定作業を行う。これにより、作業員はそのきずや減肉の検出部位で探傷プローブ11による同定作業が容易に行え、正確なきずや減肉の位置の同定が行える。
【0036】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な効果が得られる。また、電磁石の電磁力ではなく、摩擦力発生装置16の摩擦部材17と検査対象物との摩擦力で探傷プローブ11の摺動走査を停止させるので、検査対象物が強磁性体でない場合にも適用できる。
【0037】
(第4の実施の形態)
図5は本発明の第4の実施の形態に係わる非破壊検査装置の構成図である。この第4の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、停止装置13に加え、作業員に対し体感報知する体感報知装置18を設けたものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0038】
体感報知装置18は、探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したとき、計測器13から体感出力指令信号により動作し、作業員に探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを体感報知するものである。人間の体感には、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚があるが、第4の実施の形態では、視覚により感知させる視覚報知装置、聴覚により感知させる聴覚報知装置、触覚により感知させる触覚報知装置を用いる。
【0039】
視覚報知装置としては、例えばヘッドマウントディスプレイやLED等を用意し、ヘッドマウントディスプレイ上に探傷波形を表示したり、ヘッドマウントディスプレイやヘルメットにLEDを設け、探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したときにLEDを点灯させたりして作業員の視覚に訴える。
【0040】
聴覚報知装置としては、例えばイヤホンや骨伝導装置を用意し、これらを身体に装着し、探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したときにイヤホンや骨伝導装置から音情報を出力して作業員の聴覚に訴える。
【0041】
また、触覚報知装置としては、例えば電圧発生装置やベルト締付装置を用意し、これらを身体に装着し、探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したときに電圧発生装置から作業員に筋電位を与えたり、ベルト締付装置により機械的に筋肉を締め付けたりして作業員の触覚に訴える。
【0042】
以上の説明では、第1の実施の形態に対し、体感報知装置18を追加して設けた場合について説明したが、第2の実施の形態や第3の実施の形態に対して、体感報知装置18を追加して設けるようにしてもよい。また、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態の停止装置13を省略し、体感報知装置18だけを設けるようにしてもよい。
【0043】
図6は、作業員による探傷作業現場の斜視図である。図6では、体感報知装置18として、視覚報知装置(ヘッドマウントディスプレイ)19と聴覚報知装置(イヤホン)20とを装着し、小型化された測定器12を作業服のポケットに入れて携帯して、検査対象物21である大型配管の探傷作業を行う場合を示している。また、探傷プローブ11には停止装置13が設けられている場合を示している。
【0044】
検査対象物21の表面には探傷用の基準線22が設けられており、この基準線22に沿って探傷プローブ11を摺動走査して探傷波形を検出する。探傷プローブ11で検出された探傷波形は、測定器12に入力され記憶されるとともに、視覚報知装置19に表示出力される。作業員は検査対象物21の基準線22の位置及び視覚報知装置19に表示された探傷波形23を見ながら探傷プローブ11を摺動走査することになる。
【0045】
そして、探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したときには、停止装置13が動作するだけでなく体感報知装置18も動作する。すなわち、探傷波形23が急峻に立ち上がるので、視覚報知装置19により探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを容易に識別できる。また、聴覚報知装置20には音情報が出力されるので、それによっても探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを容易に識別できる。これにより、探傷波形の見落としを軽減でき、またきずや減肉の位置の同定を容易に行える。
【0046】
小型化された測定器12は、例えば、パルサーレシーバーなどを小型化して作業員のポケットに入るサイズまで装置をコンパクトにする。これにより、探傷プローブ11と測定器12との間の配線引き回しを少なくできる。なお、既存の測定器12を用いる場合は、測定器12を作業現場の平らな部分に設置することになるが、その場合であっても体感報知装置18により、探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを作業員に報知するので、作業員の視線は測定器12の表示画面側に向ける必要はなく、探傷プローブ11側の方向だけでよいので、探傷波形の見落としを防止できる。
【0047】
第4の実施の形態によれば、探傷プローブ11が検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したとき、その旨を作業員に体感で報知するので、探傷する作業員の手が一時的にロックされる。このため、きずや減肉の検出部位の位置を的確に特定でき、きずや減肉の検出部位の見落としやきずや減肉の検出部位の位置を同定する時間が短縮される。
【0048】
また、体感報知装置として、視覚報知装置(ヘッドマウントディスプレイ)だけでなく、聴覚報知装置や触覚報知装置を併用することで、きずや減肉の部位の検出を見落とすことを軽減できる。また、骨伝導の聴覚報知装置の場合は、ヘッドホンでは音が聞こえない環境でも確実に報知できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる非破壊検査装置の構成図。
【図2】探傷プローブで検出された探傷波形の検出信号の一例を示す探傷波形図。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係わる非破壊検査装置の構成図。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係わる非破壊検査装置の構成図。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係わる非破壊検査装置の構成図。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係わる非破壊検査装置を用いた作業員による探傷作業現場の斜視図。
【符号の説明】
【0050】
11…探傷プローブ、12…測定器、13…停止装置、14…吸盤、15…吸引ポンプ、16…摩擦力発生装置、17…摩擦部材、18…体感報知装置、19…視覚報知装置、20…聴覚報知装置、21…検査対象物、22…基準線、23…探傷波形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業員により検査対象物の表面を摺動走査する探傷プローブと、前記探傷プローブの検出信号を測定するとともに前記探傷プローブの検出信号に基づいて前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを判定する測定器と、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したとき前記探傷プローブの摺動走査の動作を停止させる停止装置とを備えたことを特徴とする非破壊検査装置。
【請求項2】
前記停止装置は、前記探傷プローブに設けられ、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したときに前記検査対象物に電磁力で張り付く電磁石であることを特徴とする請求項1記載の非破壊検査装置。
【請求項3】
前記停止装置は、前記探傷プローブに設けられ、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したときに前記検査対象物に吸引力で張り付く吸盤であることを特徴とする請求項1記載の非破壊検査装置。
【請求項4】
前記停止装置は、前記探傷プローブに設けられ、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したときに前記検査対象物との間に摩擦力を発生させる摩擦力発生装置であることを特徴とする請求項1記載の非破壊検査装置。
【請求項5】
前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したときその旨を作業員に対し体感報知する体感報知装置を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の非破壊検査装置。
【請求項6】
作業員により検査対象物の表面を摺動走査する探傷プローブと、前記探傷プローブの検出信号を測定するとともに前記探傷プローブの検出信号に基づいて前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを判定する測定器と、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したときその旨を作業員に対し体感報知する体感報知装置とを備えたことを特徴とする非破壊検査装置。
【請求項7】
前記体感報知装置は、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを作業員の視覚に訴える視覚報知装置であることを特徴とする請求項5または6記載の非破壊検査装置。
【請求項8】
前記体感報知装置は、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを作業員の聴覚に訴える聴覚報知装置であることを特徴とする請求項5または6記載の非破壊検査装置。
【請求項9】
前記体感報知装置は、前記探傷プローブが前記検査対象物のきずや減肉の検出部位に位置したことを作業員の触覚に訴える触覚報知装置であることを特徴とする請求項5または6記載の非破壊検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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