説明

非経口投与に適したコアとマイクロカプセル並びにそれらの製造方法

本発明は、特定ポリマーと生物学的活性物質のコア、及びシェルを有するこのようなコア、即ち、マイクロカプセルの新規な製造方法、このように製造されるコア及びマイクロカプセル、並びにこのようなマイクロカプセルを含む薬剤組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的活性物質(以下では、BASs)を投与するための生薬製剤、より正確には、前記BASsの非経口投与を目的とした制御放出用マイクロカプセルの分野にある。より具体的には、本発明は、前記BASsを含有する該マイクロカプセルの製造方法と、このようにして得られたマイクロカプセルに関する。
発明の背景
例えば、非経口的に投与される、タンパク質、ペプチド及びその他の薬物のような、BASsのための制御放出製剤には大きな需要がある。多くの発表されたアプローチにも拘わらず、完全に満足できるテクノロジーは存在しない。
【0002】
このようなテクノロジーでは、幾つかの特徴は単独で又は組み合わせて好ましい。例えば、現在用いられている物質、しばしばポリマーは、監督機関によって承認されることが望ましい。さらに、BASのカプセル封入が、高い効率で、そしてBASの統合性(integrity)を、例えば生体活性に関して判定して、保持しながら行なわれることが望ましい。生物学的活性の保持のためにそして例えば好ましくない免疫反応を回避するために、それらの三次元構造に依存する、例えばタンパク質のようなBASsに関して、製造方法が物質の完全な状態を保持しうることが望ましい。さらに、投与後の物質の放出動力学を制御することも望ましい、そして放出の持続時間の他に、関連するのは放出速度の変化である。BASの不利な効果と浪費を生じる可能性がある、投与後最初の高すぎる放出を回避することが望ましい。単独で又は上記で列挙した特徴又はその他の特徴の一つ以上と組み合わせて、望ましいと考えられうる他の特徴は、該テクノロジーが、製剤中の薬物の含量が低い場合及び高い場合の両方で、薬物の適切な放出を与えることである。
【0003】
高度に分枝した高分子量アミロペクチンとhGHのコアを含み、さらに、薬物を含まないポリマーの放出制御シェルを含む。注射可能なマイクロカプセルは知られている(Reslow et al . , Sustained release of human growth hormone (hGH) from PLG- coated starch microspheres. Drug Delivery Systems and Sciences, 2002, 2,1 103-109)。
【0004】
このような被覆マイクロカプセルを製造するための既知テクノロジーは、水性二相系中の高分枝状澱粉(エマルジョン)を用いる、この場合にマイクロカプセルへの小滴の凝固が、澱粉の自然のゲル化能力によって達成され(WO97/14408、WO02/28370)、その後にエアサスペンジョン・テクノロジーを用いて塗装が行なわれる。これは、BASの有機溶媒への暴露を回避することを可能にする。しかし、長い工程所要時間は不利である。さらに、このテクノロジーによって作用すると実証されているのは、1種類のみのポリマー、即ち、高分子量の高分枝状澱粉であると考えられる。WO02/28908、WO02/28909及びWO02/28370では、非経口的に投与可能なマイクロカプセルを製造するために、この澱粉に関する高度に特異的な必要条件が述べられており、良好な性質を有する澱粉マイクロカプセルを製造するには澱粉の濃度が少なくとも20%であるべきだと述べられている。該特定の澱粉は非経口的投与のために監督機関によってまだ認可されていず、これは複雑な精製方法によってのみ製造することができる。場合によっては、このテクノロジーによって得られている又は得ることができるよりも、高い含量の生物学的活性物質を有することが望ましい。WO02/28370によると、凝固が、澱粉のゲル化する自然の傾向又は能力によって生じ、例えば有機溶媒による沈降によって生じるのではないことが必要である。
【0005】
非経口投与用の制御放出製剤を含めて、生物学的活性物質の制御放出製剤における多くの進歩は知られているが、改良が望ましいと考えられる。
発明の説明
本発明は、持続放出製剤の製造に適した中間体である、非経口投与可能なコア、及び該コアとシェルを含むマイクロカプセルの製造方法、並びに該コア及び該マイクロカプセルそのものに関する。本発明はさらに、本発明のマイクロカプセルを含む薬剤組成物を提供する。
【0006】
本発明は、エアサスペンジョン・テクノロジーを用いる塗装に適したコアに関連して、下記利点の一つ以上を、単独で又は他の利点若しくは特徴と組み合わせて実現する、改良された製造方法及び改良された生成物を包含する:
・ エアサスペンジョン・テクノロジーによる塗装に適し、かつ制御放出製剤の製造における有用な中間体であるBAS含有コアを製造する可能性、
・ 該コアのマトリックスとして、非経口的使用に関して既に認可されているポリマーを用いる可能性、
・ コアの製造のために数種類の異なるポリマーを別々に又は組み合わせて用いる可能性、
・ 種々な凝固原理を組み合わせて用いる可能性、
・ 今までに利用可能な方法によるよりも迅速に、コア及びマイクロカプセルを製造する可能性、
・ 該ポリマーマトリックス中で、BASとある一定の物質、例えばバッファー物質との直接接触を回避する可能性、
・ 低分子量水溶性物質を効果的に、例えば薬物とタンパク質安定剤とを高収率でカプセル封入する可能性、
・ 該中間体及びマイクロカプセル中のBAS及び任意の安定剤の含量を広範囲内で変化させる可能性、
・ このようなコア及びマイクロカプセルによって今まで可能であったよりも高い含量のBASを得る可能性、
・ 放出特性、特にバースト放出を良好に制御しながら、高い薬物含量を得る可能性、
・ 得られるマイクロカプセル中に充分に高い薬物含量をなおも保持しながら、所望の放出特性を得るために、いっそう多くの少なくとも1種類の放出制御ポリマーを適用する可能性。
【0007】
本発明は、下記を開示する:
(1)下記工程:
(a)少なくとも1種類の非経口投与可能なポリマーを含むポリマー溶液を調製する工程;
(b)生物学的活性物質を用意する工程;
(c)工程(a)のポリマー溶液を工程(b)の生物学的活性物質と一緒にする工程;及び
(d)不連続相としての工程(c)で得られた組成物を、連続相中に分散させる工程
を含む方法。
【0008】
(2)工程(d)で得られた組成物を凝固させて、エアサスペンジョン塗装に適し、物質の80%が10〜200μm、1実施態様では20〜180μmの範囲内であるようなサイズを有するコアを得る工程(e)を含む、非経口的に受容されるコアを製造する、(1)記載の方法、前記凝固は任意に、有機溶媒中に溶解したポリマー、特に放出制御ポリマー、例えば、本発明のシェルポリマーのいずれかの不存在下で行なわれる。
【0009】
(3)工程(c)におけるBAS/コアポリマー比率が0.1〜99%である、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)BAS/コアポリマー比率が30〜99%である、(1)又は(2)に記載の方法。
【0010】
(5)BAS/コアポリマー比率が40〜99%である、(1)又は(2)に記載の方法。
(6)BAS/コアポリマー比率が50〜99%である、(1)又は(2)に記載の方法。
【0011】
(7)BAS/コアポリマー比率が60〜99%である、(1)又は(2)に記載の方法。
(8)BAS/コアポリマー比率が70〜99%である、(1)又は(2)に記載の方法。
【0012】
(9)工程(a)中のポリマーを水溶液中に溶解するが、該溶解の前又は後で任意に有機溶媒を、前記ポリマーを沈殿させない濃度で、例えば1〜40%(V/V)の範囲内の濃度で加える、(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
【0013】
(10)該ポリマー濃度が20〜65%、好ましくは30〜65%の範囲内である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(11)工程(b)のBASを溶解形又は粒状形で用意する、(1)〜(3)及び(10)のいずれかに記載の方法。
【0014】
(12)工程(b)のBASを非溶解形で、好ましくは、20μm未満の直径、より好ましくは10μm未満の直径の粒子として、任意に、以下で定義したとおりの少なくとも1種類の溶解防止物質の存在下で用意する、(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
【0015】
(13)工程(a)におけるポリマー濃度が0.5〜15%、好ましくは0.5〜10%の範囲内である、(12)と組み合わせた、(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(14)工程(e)の凝固が化学的架橋剤及び/又は、ラジカル重合によって重合することができる物質の不存在下で行なわれる、(2)〜(13)のいずれかに記載の方法。
【0016】
(15)工程(e)の凝固が、不連続相の1種類以上の有機溶媒への暴露、物理的架橋の形成、複合体の生成、複合体コアセルベーション、凍結又はこれらの組み合わせによって行なわれる、(2)〜(14)のいずれかに記載の方法。
【0017】
(16)連続相が1種類以上の有機溶媒、1種類以上の油、1種類以上のポリマーを含有する水溶液又はガスを含む、(1)〜(15)のいずれかに記載の方法。
(17)工程(a)におけるポリマーが、以下で定義するとおりの水溶性コアポリマーの群から選択される、(1)〜(16)のいずれかに記載の方法。
【0018】
(18)該ポリマーが、以下で定義されるとおりの特定水溶性コアポリマーのいずれかから選択される、(1)〜(17)のいずれかに記載の方法。
(19)工程(e)の凝固が16時間以内、好ましくは8時間以内、より好ましくは4時間以内、そして最も好ましくは2時間以内に行なわれる、(2)〜(18)のいずれかに記載の方法。
【0019】
(20)工程(a)のポリマーが、以下で定義するとおりの低分子量物質の低含量を有する、(1)〜(19)のいずれかに記載の方法。
(21)BASが、任意に、以下で定義するとおりのタンパク質薬物の特定サブクラスからの、タンパク質薬物及び低分子量薬物から選択される、(1)〜(20)のいずれかに記載の方法。
【0020】
(22)BASが、以下で定義するとおりの特定タンパク質BASsから選択される、(1)〜(21)のいずれかに記載の方法。
(23)凝固したコアを、凍結乾燥、真空によって、又はエアサスペンジョン装置内での流動化によって乾燥させる、(2)〜(22)のいずれかに記載の方法。
【0021】
(24)1種類又は数種類のコア表面物質をコア上に、エアサスペンジョン塗装装置内での噴霧によって適用することを含み、前記物質が好ましくは、pHを安定化し、凝集を防止若しくは軽減し、安定性を改良することができる又はBASの放出動力学に影響を及ぼすことができるような物質から選択される、(2)〜(23)のいずれかに記載の方法。
【0022】
(25)該コア表面物質をポリマー中に、又は好ましくはポリマーの不存在下で分散させる、(24)記載の方法。
(26)コア表面物質の量が、0.1〜30%、又は0.2〜25%、又は0.4〜20%、又は0.8〜15%さえもの範囲内である、(24)又は(25)に記載の方法。
【0023】
(27)該コア表面物質が粒子状であり、10μm未満、又は5μm未満、又は2μm未満、又は1μm未満さえもの直径を有する、(24)〜(26)のいずれかに記載の方法。
【0024】
(28)該物質がバッファー物質である、(24)〜(27)のいずれかに記載の方法。
(29)該バッファー物質が、以下で定義するとおりの特定コア表面物質から選択される、(28)記載の方法。
【0025】
(30)(2)〜(29)のいずれかに従って得られるコア上に放出制御シェルを適用することを含む、非経口的持続放出マイクロカプセルの製造方法。
(31)該シェルが、1種類以上のフィルム形成性で、生分解性の、非経口投与可能なポリマー又はコポリマーを含む、(30)記載の方法。
【0026】
(32)該ポリマー又はコポリマーが、以下で定義するとおりの特定シェルポリマーから選択される、(30)又は(31)に記載の方法。
(33)該ポリマー又はコポリマーが、α−ヒドロキシ酸反復単位を含む、(30)〜(32)のいずれかに記載の方法。
【0027】
(34)該α−ヒドロキシ酸が乳酸及び/又はグリコール酸である、(33)記載の方法。
(35)該放出制御シェルを適用する方法が、エアサスペンジョン塗装、噴霧乾燥法、又は任意に水中乾燥を含むエマルジョンに基づく方法から選択され、エアサスペンジョン塗装が好ましい、(30)〜(34)のいずれかに記載の方法。
【0028】
(36)放出制御ポリマーをエアサスペンジョン塗装によって適用し、適用するポリマーの比率が、コア1gにつき約0.3〜10g、又は0.4〜6g、又は0.5〜2g、又は約0.6〜1.1gである、(30)〜(35)のいずれかに記載の方法。
【0029】
(37)BASの放出持続期間が、任意に、如何なる遅延相も存在せず、かつ塗膜を破裂させずに、3日間から約1か月間までの範囲内であるように、該放出制御ポリマーの組成及び量が選択される、(30)〜(36)のいずれかに記載の方法。
【0030】
(38)以下で定義するとおりの少なくとも1種類の凝集防止物質を、マイクロカプセルの表面上に加える、(30)〜(37)のいずれかに記載の方法。
(39)該物質が、以下で定義するとおりの、凝集防止物質の特定の群から選択される、(38)記載の方法。
【0031】
(40)該コアポリマーが、任意に該ポリマー濃度が10%より高濃度、好ましくは20%より高濃度である場合に、80%が10kDaを超えるような分子量を有する、Amioca50若しくはアミロペクチンではない、(1)〜(39)のいずれかに記載の方法。
【0032】
(41)工程(a)のポリマーを少なくとも1種類の有機溶媒中に溶解するが、この場合に、該ポリマーが水不溶性若しくはごく僅かに水溶性の合成又は半合成ポリマーから選択される、(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
【0033】
(42)該ポリマーが、以下で定義するとおりの水不溶性コアポリマーから選択される、(41)記載の方法。
(43)(21)〜(23)のいずれかと組み合わせた、(41)又は(42)に記載の方法。
【0034】
(44)(30)〜(39)のいずれかと組み合わせた、(41)〜(43)のいずれかに記載の方法。
(45)(a)少なくとも1種類の非経口投与可能な水溶性ポリマーと、(b)少なくとも1種類の非経口投与可能な生物学的活性物質とを含み、前記生物学的活性物質の含量が、前記水溶性ポリマーと前記生物学的活性物質との総重量の乾燥重量の少なくとも30%である、非経口的に受容されるコア。
【0035】
(46)該中間体の80%が直径10〜200μm、好ましくは直径20〜180μmの範囲内である、(45)記載のコア。
(47)前記BASの含量が、少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは60%、及び最も好ましくは少なくとも80%である、(45)又は(46)に記載のコア。
【0036】
(48)in vitro又はin vivoで、3日間以内、好ましくは1日間以内にカプセル封入されたBASの少なくとも80%、好ましくは少なくとも95%、そして最も好ましくは本質的に100%を放出する、(45)〜(47)のいずれかに記載のコア。
【0037】
(49)非経口投与可能なポリマーが、以下で定義するとおりの、好ましくは1種類のポリマーから成る水溶性コアポリマーの群から選択される、(45)〜(48)のいずれかに記載のコア。
【0038】
(50)前記ポリマーが、以下で定義するとおりの特定水溶性コアポリマーのいずれかから選択される、(45)〜(49)のいずれかに記載のコア。
(51)該BASが、タンパク質薬物及び低分子量薬物から、任意に、以下で定義するとおりのタンパク質薬物の特定サブクラスから選択される、(45)〜(50)のいずれかに記載のコア。
【0039】
(52)該BASが、以下で定義するとおりの特定タンパク質BASsから選択される、(51)記載のコア。
(53)該BASが、コア中の個別の粒子として存在する、(52)記載のコア。
【0040】
(54)(45)〜(53)のいずれかに記載のコアと、1種類以上のフィルム形成ポリマー又はコポリマーの放出制御シェルとを含む持続放出マイクロカプセル。
(55)乾燥重量で少なくとも15%の生物学的活性物質の含量を有する、(54)記載のマイクロカプセル。
【0041】
(56)乾燥重量で少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%の生物学的活性物質の含量を有する、(55)記載のマイクロカプセル。
(57)該シェルポリマー又はコポリマーが、好ましくは乳酸及び/又はグリコール酸である、α−ヒドロキシ酸反復単位を含む、(54)〜(56)のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【0042】
(58)(24)〜(29)のいずれかで定義したとおりの少なくとも1種類の機能性物質(functional substance)又はそれらの組み合わせを含む(53)〜(57)のいずれかで記載のマイクロカプセルであって、該生物学的活性物質と前記機能性物質とが本質的に相互に接触していないことを特徴とするマイクロカプセル。
【0043】
(59)該機能性物質が該生物学的活性物質と放出制御シェルとの間に本質的に配置された固体バッファー物質であり、好ましくは、ポリマー中に分散していない、(58)記載のマイクロカプセル。
【0044】
(60)好ましくは塗膜若しくはシェルを形成するように配置される放出制御ポリマー又はコポリマーのガラス転移温度以上15℃まで高い温度に暴露されたときに、自由流動性粉末の状態で留まる、(57)〜(59)のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【0045】
(61)該コアと該シェルが、電子顕微鏡検査によって相互から識別される、(53)〜(60)のいずれかに記載のマイクロカプセル。
(62)マイクロカプセルの少なくとも50%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも98%さえもが、単一の明確なコアを有する、(54)〜(61)のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【0046】
(63)前記単一コアが、マイクロカプセル全体の直径の少なくとも1/2、好ましくは3/4である直径を有する、(62)記載のマイクロカプセル。
(64)21G以下の細さの注射針、好ましくは23G以下の細さの注射針、最も好ましくは25G以下の細さの注射針によって注射することができる、(53)〜(63)のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【0047】
(65)該BASの完全な状態(integrity)が本質的に保持される、(53)〜(64)のいずれかに記載のマイクロカプセル。
(66)投与後最初の24時間中の放出が20%未満、好ましくは10%未満であることを特徴とする、(53)〜(65)のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【0048】
(67)該BASが免疫応答を惹起する意図又は可能性を持って投与される物質、例えば抗原、ワクチン又はウイルスではなく、該組成が、免疫応答を惹起すると知られている如何なる他の成分も含有しない、(1)〜(66)のいずれかに記載の内容(subject-matter)。
【0049】
(68)該BASが免疫応答を惹起する意図又は可能性を持って投与される物質、例えば抗原、ワクチン又はウイルスを含む、(1)〜(66)のいずれかに記載の内容であって、任意に、前記化合物が、本明細書でパルス化放出として定義される、二つの識別可能な段階、又は投与後少なくとも1か月間、好ましくは少なくとも3か月間遅延した一つの段階のいずれかで放出される該内容。
【0050】
図1は、実施例3(黒三角)と実施例4(無地四角)で製造したマイクロカプセルの、皮下投与後の時間の関数としてhGHホルモンの血漿濃度を示す。
図2は、実施例4で製造したマイクロカプセルのin vitro及びin vivoでの累積放出量(対比)を比較する。in vivo放出量(無地四角)は、100%バイオアベイラビリティを想定した血漿レベルから算出し、in vitro放出量(黒四角)は、マイクロカプセル40mgのみを用いたこととα−アミラーゼを加えなかったことを除いてReslow et al.(上記文献)に従って、算出した。
【0051】
本発明に有用な、特にコア形成に又はシェル形成に有用なポリマーは、全て、無制限に生体適合性である、即ち、これらのポリマーは非経口投与のために認可されているか、又は認可されるようになることができる。コア形成に用いる場合には、これらを水若しくは水性媒質中に、又は有機溶媒と水との混合物中に溶解することができ、BASを含有する、個別の固体単位、即ちコアに、本発明に開示する凝固原理のいずれかを用いて凝固させることができ、これらのコアをエアサスペンジョン・テクノロジーによって被覆することができる。これらのポリマーを本発明では水溶性コアポリマーと呼ぶことにする。他の実施態様では、これらを有機溶媒中に又は有機溶媒混合物中に溶解することができ、これらを本発明では水不溶性コアポリマーと呼ぶことにする。シェル形成に用いる場合には、これらのポリマーを有機溶媒中に溶解して、コア上に適用して、シェルを形成することができ、これらはシェルポリマー又はコーティングポリマーと呼ばれる。
【0052】
該ポリマーは好ましくは生分解性である。これらのポリマーは、例えばヒトのような哺乳動物用の非経口製剤に既に用いられているようなポリマーから好ましく選択される。
本発明では、全ての割合は、他に指定しない限り、重量によるものである。本発明では、BASの含量は、重量%(weight percentage)として表現して、コア中のBASとポリマーとの総乾燥重量によって割ったBASの乾燥重量(以下では、BAS/コアポリマー比率と呼ぶ)として算出する。マイクロカプセル中のBASの含量は、マイクロカプセルの乾燥重量によって割ったBASの乾燥重量として表現する。本発明では、“希釈剤粒子”は、如何なるBASも含有しない、直径20μm未満、好ましくは直径10μm未満のサイズを有する粒子として定義される。前記希釈剤は、下記群:単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類、ポリアミノ酸、グリコサミノグリカン(ムコ多糖)、水溶性合成ポリマー類、固体バッファー物質類及び水不溶性ポリマー類の少なくとも1種類の物質を含む粒子から選択することができる。希釈剤粒子の前記水不溶性ポリマーは、コア又は放出制御シェルの形成に適した、全てのポリマーを包含する。
【0053】
本発明では、分子量分布を有する物質の分子量は、製造者によって表示するとおりの、ある一定分子量に相当するある一定の孔度を有する膜を通過する能力として、機能的に定義される。特に、物質の分子量は、その分子量カットオフ(MWCO)値によって特徴付けることができる。したがって、コア製造に用いられているようなポリマー中の低分子量物質の含量は、徹底的透析(exhaustive dialysis)によって及び前記膜を通過した量の測定によって、当業者が容易に知ることができる。
【0054】
例えば、3.5kDa未満又は10kDa未満の分子量を有する画分は、好ましくは、それぞれ、約3.5kDa及び10kDaのMWCOを有する再生セルロース膜による透析を用いて、決定される。最も好ましくは、Spectra/Por(登録商標)3と7(Spectrum Laboratories, Inc., Rancho Dominguez,CA)が用いられる。該透析は、該物質を溶解状態に維持するような条件下で、例えば、充分に高い温度、好ましくは約55℃において、透析液量とサンプル量との少なくとも100の比率で、透析液として精製水又は蒸留水を用いて、3日間の持続期間、毎日2回透析液を交換して行なわれる。一緒にした透析液中の該物質量を、必要に応じて、乾燥し、より少ない量中に再溶解した後に、当該技術分野で知られた方法によって、例えば乾燥重量測定、アミノ酸分析又は酵素分解とその後のグルコース測定によって決定する。
【0055】
本発明では、1実施態様では水溶性ポリマーであるポリマーに関連した“低分子量物質の低含量”なる用語は、3.5kDa未満の分子量を有するポリマー画分の含量が5%未満であり、1実施態様では3%未満であり、1実施態様では1%未満そして1実施態様では0.5%未満であることを意味する。低分子量物質の含量の減少は、当該技術分野で知られた方法、例えば透析、トランス流(trans-flow)若しくはクロス流(cross-flow)濾過によって達成することができる。
【0056】
本発明では、“低アミノ酸窒素含量”又は“低タンパク質含量”なる用語は、ポリマーの乾燥重量1gあたりのアミノ酸窒素μgとして表現される含量が20未満であり、1実施態様では5未満であり、1実施態様では1未満であり、又はさらに低くさえあることを意味する。多糖中のタンパク質量は、当該技術分野で知られた方法によって決定することができる。本発明による一つの方法は、アミノ酸分析によるアミノ酸窒素含量の測定である。
【0057】
本発明では、“コア表面物質”は、放出調節シェルを適用する前にコア上に適用される物質として定義される。前記物質は、pHを安定化し、凝集を防止若しくは軽減することができる、又はBASの放出動力学若しくは安定性を改良若しくは制御することができるような物質から選択することができる。一組の実施態様では、バッファー物質を用いる。水中で弱溶解性(reduced solubility)を有するような物質、例えば酸化亜鉛を、結合剤を用いない固体粒子の形状で適用することが可能であると判明しており、このことが本発明の一組の実施態様を定義する。機能性物質の量は0.1〜30%、又は0.2〜25%、又は0.4〜20%、又は0.8〜15%でさえもの範囲内でありうる。該機能性物質の粒度は、10μm未満、又は5μm未満、又は2μm未満、又は1μm未満でさえありうる。該物質はバッファー物質であることができる。適当な粒状物質の例は、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、塩基性炭酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム及びマガルドレートを包含する。炭酸亜鉛と酸化亜鉛が好ましい。一組の実施態様では、酸化亜鉛を用いる。
【0058】
本発明では、“コアポリマー”は、該方法の工程(a)で溶解するポリマーである。本発明の1態様では、前記ポリマーは水溶性であり、本明細書では、“水溶性コアポリマー”と呼ぶ。一組の実施態様では、前記ポリマーを下記群:ポリアミノ酸類、多糖類、グリコサミノグリカン類(ムコ多糖類)及び水溶性合成ポリマー類から選択することができる。
【0059】
本発明の1態様では、前記ポリマーは水中に溶解性ではなく、本明細書では、“水不溶性コアポリマー”と呼ばれる。一組の実施態様では、前記ポリマーは、下記群:水不溶性若しくはごく僅かに水溶性の合成若しくは半合成ポリマー類から選択される。“溶解性”、“弱溶解性”、“ごく僅かに溶解性”等のような、溶解性の用語は、the Handbook of Pharmaceutical Excipients (Third edition, edited by Arthur H. Kibbe, 2000, American Pharmaceutical Association and Pharmaceutical Press)に従って定義される。
【0060】
本発明の“特定の水溶性コアポリマー”は下記:(1)コラーゲン、アテロコラーゲン、プロタミン、ポリアルギニン及びポリオルニチンを包含するポリアミノ酸類;(2)アミロペクチン、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、マルトデキストリン、デキストラン及びグリコーゲンを包含する多糖類;(3)ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン及び硫酸デルマタンを包含するグリコサミノグリカン類(ムコ多糖類);(4)ポリビニルピロリドン(PVP)及びポリエチレングリコール又はポリエチレンオキシド(両方とも、ここからPEGと呼ばれる)を包含する水溶性合成ポリマー類を包含する。動物ソースに由来するゼラチンは免疫応答を惹起しうる危険性があるので、好ましくは、このようなゼラチンは、本発明の1実施態様では用いられない。しかし、他の実施態様では、例えば組み換えゼラチンのような、非動物ソースのゼラチンを水溶性コアポリマーとして用いることができる。
【0061】
特定の“水不溶性コアポリマー”は、ポリタルトレート、ポリアンヒドリド(polyanhydrides)、ポリオルトエステル、ヒアルロン酸ベンジルエステル、ポリアセタール、ポリ(エチレンカーボネート)コポリマー類と、ヒドロキシル基を含むコポリマー類と、乳酸又はグリコール酸に基づく上記ポリマー類、例えばグルコース−PLGAを包含する。ポリマー類の混合物を用いることも可能である。前記ポリマー類は当業者に周知である。
【0062】
ヒアルロン酸は、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンの反復単位を有する線状ポリマーから成る自然発生グリコサミノグリカン(ムコ多糖)である。ヒアルロン酸ナトリウムは、薬局方に包含され、眼投与、関節内投与及び非経口投与に、化学的に修飾されない又は修飾された形で用いられる。本発明では、ヒアルロン酸とは、全ての非経口投与可能な形態、例えば、ヒアルロン酸;例えばヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カルシウム、ヒアルロン酸亜鉛のような塩;例えば塩化ベンズアルコニウム及びBASsとの錯体のような錯体;例えばFe3+による架橋形のようなイオン架橋形;例えばエステル(例えば、ベンジルエステル)のような化学的修飾形;及び本発明の方法の工程(a)で用いられる前に化学的に架橋されている形を含むように定義される。同じことが、他の非経口投与可能なグルコサミノグリカン(ムコ多糖類)、例えば硫酸コンドロイチン及び硫酸デルマタンにも該当する。ヒアルロン酸の分子量は制限されないが、50〜5000kDa又は400〜4000kDaの範囲内であることが可能である。
【0063】
コラーゲン又は、アテロコラーゲン及びゼラチンのような、コラーゲンから得られるポリマーは、非経口投与用に認可された製品に用いられているものから、好ましくは、組み換え手段によって製造されるものから選択することができる。1実施態様では、アテロコラーゲンが選択される。本発明に有用なゼラチンは、好ましくは、組み換えゼラチンであり、動物ソースに由来するものではない。一組の実施態様では、該ポリマーは低分子量物質の低い含量を有する。
【0064】
本発明に有用なアミロペクチンの分子量は、1実施態様では3〜3000kDa、1実施態様では3〜900kDaの範囲内である。1実施態様におけるアミロペクチンの分子量は、その少なくとも60重量%、又は80重量%、又は90重量%さえも、又は100重量%が10kDa未満であることを特徴とする。一組の実施態様では、アミロペクチンは低分子量物質の低い含量を有し、このことは、特に凝固特性、例えば凝固速度に関して、改良された性質を与える。
【0065】
1態様では、本発明は、本明細書で10kDa未満の平均分子量と低いアミノ酸窒素含量を有するとして定義された、非経口投与可能なマルトデキストリンに関する。1実施態様では、該マルトデキストリンは、低分子量物質の低い含量を有する。これは、溶解形又は粒状形の両方で、BASsを含有するミクロスフェアの製造のために意外にも良好な性質を有する。これは、商業的に入手可能なマルトデキストリンから、タンパク質含量と低分子量物質含量の低減によって製造することができ、タンパク質含量と低分子量物質含量の低減の両方は当該技術分野で知られた方法によって達成することができる。
【0066】
PLGA、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、ゼラチン、マルトデキストリン、PEG及びPVPに関するさらなる詳細はHandbook of Pharmaceutical Excipients(上記文献)に見出すことができる。
【0067】
本発明の1態様によると、多糖類又はグリコサミノグリカン類、例えば、マルトデキストリン、アミロペクチン、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、グリコーゲン又はヒアルロン酸中のタンパク質の含量は、低減される。このことは、非経口投与のために、特に反復非経口投与のために充分に高い純度を得ることに必要であると考えられる。1実施態様では、該低減は、イオン交換クロマトグラフィーによって、例えば、アニオン交換クロマトグラフィーによって行なわれる、このことはWO02/28908とWO02/28909に詳細に記載されている。さらに、低分子量物質の含量は、当該技術分野で知られた方法によって低減される。例えば、非溶解物質若しくは沈殿を除去するための濾過及び当該技術分野で知られた方法によるエンドトキシンの除去のような、付加的工程を用いることができる。低分子量物質、非溶解物質若しくは沈殿及びエンドトキシンの前記低減は、本発明の水溶性コアポリマーのいずれにも適用することができる。
【0068】
1実施態様では、コアの製造に1種類のみのポリマーを用いる。1実施態様では、該コアポリマーは、それが生分解して化学的中性種になり、酸性の分解産物にはならないように選択される。他の実施態様では、本発明の水溶性コアポリマー類から選択された、1種類のみのポリマーが用いられる。BASによるコア負荷が0.1〜20%の範囲内である場合には、マルトデキストリンが好ましく、コア中のBAS含量が30〜99%の範囲内である場合には、ヒアルロン酸が好ましい、又はコア中のBAS含量が0.5〜80%の範囲内であり、希釈剤粒子が用いられる場合には、ヒアルロン酸が好ましい。
【0069】
該ポリマーを、当該技術分野で知られた方法に従って、例えば、加熱によって溶媒中に溶解する。ポリマー(単数又は複数)の濃度は、得られるコアが所望のBAS含量と、エアサスペンジョン塗装に受容されるサイズ分布及び機械的統合性を有する限り、無制限である。
【0070】
タンパク質安定剤、バッファー物質、表面活性物質(surface active substance)、BAS及び/又はコアポリマーの溶解性の調整に用いられる物質、及び該溶液の浸透圧(osmolarity)の調節に用いられる物質を加えることができる。1%を超える濃度及び/又は持続効果(prolonged effect)が望ましい場合には、前記物質を固体形で用いることが好ましい。例は、スクロース、ゼラチン、トレハロース、マンニトール及び固体バッファー物質を包含する。
【0071】
1実施態様では、BASは、工程(c)においてポリマーと混合するときに、溶解した形である。
1実施態様では、BASは、工程(c)においてポリマーと混合するときに、例えば、プロセスにおいてその統合性を保持すること及び受容できる収率を得ることを可能にする形態で、好ましくは粒子、20μm未満、好ましくは10μm未満の直径を有する粒子として、非溶解形である。本発明の目的のために、BASに関連した非溶解形なる用語は、BASが実際には、該方法の工程(e)で本発明の組成物を成形する前に、小粒子として扱うことができることを意味する。BASは任意の形態、例えば:非晶質、半結晶質又は結晶質の形態で存在することができる;BASは錯化されて、非経口投与可能な錯化剤及び安定剤になることができる;BASは任意の非経口投与可能な錯化剤若しくは錯化剤混合物を用いて得られる沈殿を構成することができる;又はBASはポリマー、例えばポリエチレングリコール、アミロペクチン、マルトデキストリン、ヒアルロン酸を用いて、沈殿していることも若しくは高度に濃縮されていることもありうる;BASは、任意にポリマー、例えばPEGの存在下で、加熱若しくは冷却によって、例えば凍結によって固体形に転化していることもありうる;BASは、外部相流体としての超臨界流体と迅速加圧放出(rapid pressure release)を用いることによって小粒子に成形することができる、BASは、粒状形若しくは溶解形で、ナノ粒子、ミクロ粒子、リポソーム又は固体脂質分散系中に封入することができる;BASは、コアポリマーの溶解に用いられる溶媒と混和しない分散相中に、例えば水と混和しない小滴中に封入する又は該分散相を構成することができる。
【0072】
1実施態様では、コアを形成する前に又はコアの形成に関連してのいずれかで、BASを、少なくとも1種類の低分子量物質(本明細書では“低分子量コア物質”と呼ばれる)を含む又は該低分子量物質から成る粒子中に固定化又は封入することによって粒状形に転化させる。前記低分子量物質は、非経口的に投与されることができ、BASの前記固定化を生じることができる任意の物質から、制限なく、選択することができるが、水溶性物質が好ましい。低分子量物質をそれから選択することができる群は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類及びアミノ酸を包含する。1実施態様では、該低分子量物質はスクロース又はトレハロースである。
【0073】
非溶解形で用いる場合に、BASを例えば水、水溶液又は有機溶媒のような媒質中に、付加的な物質と共に又は付加的な物質なしで、懸濁させる。BASを非溶解形又は本質的に非溶解形に維持する目的で、前記物質を選択する場合には、本明細書では、これらの物質を“溶解防止物質”と呼ぶ。前記物質は、非経口的に投与されうる物質から選択される。例は、50kDa未満又は1000Da未満の分子量を有するような低分子量物質と、マクロ分子錯化剤、pH調節剤、水混和性有機溶媒及び水溶性ポリマーである。特定の例は、亜鉛及びカルシウムのような二価イオン、PEG、ゼラチン、アミロペクチン、マルトデキストリン、リン酸塩(phosphate)、クエン酸塩(citrate)、炭酸水素塩(hydrogencarbonate)等を包含する。
【0074】
コア中のBAS及び/又はポリマーの所望の濃度に希釈するため、及び/又は前記BASを安定化するために、希釈剤又は希釈剤粒子をBASの懸濁液に又はコア形成ポリマーの溶液に又は両方に加えることができる。
【0075】
BASとコアポリマーとの混合(工程(c))は、慣用的な方法によって行なうことができる。BASを該ポリマー溶液に加えることができる、又はこの逆も可能である。温度は、該ポリマー溶液の溶解特性及びBASの温度感受性に基づいて選択される。該温度は、一組の実施態様では、60℃未満であり、任意に50℃未満である。BASの統合性の維持をサポートするためには、低い温度が好ましいと考えられる。
【0076】
該BASは、有益な効果又は治療効果を導出するために非経口的に投与可能であるBASから選択される。一つの好ましい実施態様では、免疫応答を惹起する意図で又は可能性によって投与される物質、例えば抗原、ワクチン又はウイルスは除外され、前記除外物質は、本明細書では、免疫学的活性物質(IASと略記)として定義される。
【0077】
該BASは、タンパク質薬物又は非タンパク質薬物から選択されうる。ペプチドを包含するタンパク質薬物は、下記特定サブクラス:グリコシル化タンパク質類、非グリコシル化タンパク質類、組み換えタンパク質類、化学的修飾タンパク質類、成長因子類、サイトカイン類、血液凝固因子類、ペプチド類、T細胞免疫調節酵素類、ペプチド類似体類、ソマトスタチン類似体類、モノクローナル抗体類及び修飾モノクローナル抗体類から選択することができる。
【0078】
本発明におけるタンパク質BASsの特定の例は、ヒト成長ホルモン、エリスロポイエチン、インターフェロン(例えば、α型、β型又はγ型)、第VII因子、第VIII因子、LHRH類似体、グルカゴン様ペプチド(GLP)、インシュリン様成長因子I、C−ペプチド、骨形態形成タンパク質、オクトレオチド卵胞刺激ホルモン、上皮成長因子、インシュリン、マクロファージ・コロニー刺激因子、マクロファージ顆粒球刺激因子、インドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ、顆粒球コロニー刺激因子、トリプトレリン及びインターロイキンである。本発明に用いるために特に好ましいタンパク質BASsは、ヒト成長ホルモン、エリスロポイエチン、インターフェロンγ、及びグルカゴン様ペプチドである。上記物質の類似体又はフラグメント及び同様な治療機能を有するマクロ分子も、本発明に包含される。
【0079】
1実施態様では、該非タンパク質BASsは、一般に3.5kDa未満、好ましくは1kDa未満のような、本発明で定義される低分子量を有する非タンパク質BASsから選択することができる。1実施態様では、前記非タンパク質BASsは、抗腫瘍薬、抗生物質、抗炎症薬、抗ヒスタミン剤、抗アルコール依存症物質(anti-alcohol dependence substances)、鎮静剤、筋肉弛緩剤、抗癲癇薬、抗うつ薬、抗アレルギー薬、気管支拡張剤、強心剤、抗不整脈薬、血管拡張剤、抗糖尿病薬、抗凝血薬、止血剤、麻酔剤及びステロイドから選択することができる。特定の例は、リスペリドン、ナルトレキソン、モルヒネ、ブピバカイン、ロペラミド及びインドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ阻害剤を包含する。1実施態様では、該BASは低分子量ヘパリンである。
【0080】
工程(e)における組成物を、好ましくは、例えばサイズ分布に関して、エアサスペンジョン・テクノロジーを用いる塗装に適する粒子を得ることができるように、成形する。前記成形は、非経口的に投与することができない化合物であって、その後のプロセス工程で除去することができない化合物の不存在下で、行なう。コア製造の1実施態様では、コアポリマーとBASを含有する水性不連続相を連続相中に作製して、工程(c)で得られた組成物を成形する。不連続相、例えば小滴のサイズは、好ましくは、得られたコアが乾燥状態で物質の80%が10〜200μm、好ましくは20〜180μmの範囲内であるようなサイズを有するように選択される。連続相は、有機溶媒若しくは油、水性ポリマー溶液又はガスを含むことができる。連続相としてのガスの使用に関しては、US6,753,014が参照され、これの開示は、その全体で本明細書に援用される。1実施態様では、連続相は油を含む。
【0081】
1実施態様では、連続相は、水と不混和性又は本質的に不混和性である有機溶媒又は油を構成する。連続相は2種類以上の有機溶媒若しくは油の混合物、又はこれらの組み合わせであることができる。前記有機溶媒及び油は、当業者に周知であり、酢酸エチル、オレイン酸エチル、安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル、塩化メチレン、クロロホルム、中鎖トリグリセリド、パラフィン油、シリコーン油及び例えばココナッツ油、ごま油、落花生油、ひまし油、綿実油、菜種油及びコーンオイルのような植物油を包含する。
【0082】
他の実施態様では、連続相は、コアポリマーとBASの不連続相と組み合わせて水性二相系の作製を可能にする、少なくとも1種類のポリマー又は他の物質を含有する水溶液である。水性二相系を形成する能力を有するポリマー及び他の物質は、当該技術分野で知られている。最も好ましいポリマーはポリエチレングリコールである。分子量は5〜35kDa、又は15〜25kDa、又は約20kDaでありうる。該ポリマーを水中又は例えばバッファー物質と塩を含有することができる水溶液中に適当な濃度で溶解する。濃度は、20〜55重量%、又は25〜45重量%、又は30〜40重量%であることができる。
【0083】
連続相の温度は、−196℃から60℃までの範囲内であることができる。ガスに関しては、不連続相の凝固点よりも例えば少なくとも20℃低くなるように温度を選択することが有利である可能性がある。連続相にコアポリマーとBASの水溶液を混合する前に、前者の温度をBASに有害でない温度に、例えば50℃以下に調節することができる。
【0084】
一組の実施態様では、不連続相と連続相が、W/Oエマルジョンを形成する。エマルジョンを安定化するために、当業者に知られた界面活性剤を用いることができる。この実施態様は、外部相への水輸送速度を非常に緩慢にすることができるので、不連続相中の例えばポリマー濃度の良好な制御を可能にする。この実施態様はまた、水性連続相中に拡散していると考えられる物質の高収率を与えることもできる。
【0085】
適当な時間後に、不連続相を形成する小滴は凝固して、個別単位になる(工程(e))。本発明では、“凝固”は、微細に分散した又は小滴として存在する不連続相が、エアサスペンジョン・テクノロジーによる塗装を可能にするサイズ分布を有する固体形(コア)に転化することを意味する。前記凝固は、好ましくは、有機溶媒中に溶解したポリマーの不存在下、特に放出制御ポリマー、例えば、本発明のシェルポリマーのいずれもの不存在下で行なわれる、この理由は、その後の工程で適用される放出制御シェルが放出を制御することが望ましいからである。
【0086】
凝固は、幾つかの方法で行なうことができる。凝固原理の選択に関する基本は、BASの統合性が許容できるレベルに保持されることである。このことは、コアポリマーが、好ましくは、共有修飾も化学架橋もなしに、ラジカル重合可能な物質の不存在下で凝固することを意味する。コアポリマーは共有修飾されてから又は化学的に架橋されてから、BASと混合される又は本発明の方法に用いられることができる。このことはさらに、凝固が、用いられる活性物質の特定の形態にとって少なくとも有害な濃度での、タンパク質を変性させうる物質の不存在下、そして非経口投与されることができないポリマー及び他の物質の不存在下で行なわれることが好ましいことを意味する。このことはさらに、凝固が、BASにとって不利である温度、例えば60℃を超える温度に加熱することを避けて行なわれることが好ましいことを意味する。
【0087】
本発明では、凝固はさらに、コアが任意に乾燥状態に転化することを意味する。乾燥は、好ましくは、エアサスペンジョン・テクノロジーを用いる塗装に耐えるほどの、充分な機械的安定性を有する自由流動形又は同様な形で、乾燥したコアを得るために通常必要である。
【0088】
本発明によって有用な第1凝固原理又は方法は、コアポリマーとBASを含有する不連続相中の水分含量を、該不連続相を水と混和可能な適当な有機溶媒に暴露することによって、除去する又は低減することである。種々な有機溶媒の混合物を用いることができ、これらと水との混合物も用いることができる。水分含量の除去若しくは低減、又は脱水は、固体コアが得られるような程度に水分を除去することを意味する。この工程では、完全に乾燥した製剤が得られるとは限らない。有機溶媒は、非経口製剤の製造のために受容され;仕上げ処理し、その後に乾燥させることができる固体単位を生成するほど、充分な脱水を達成することができ;BASの許容される統合性保持を可能にするような有機溶媒から選択される。例は、アセトン、エタノール、メタノール、イソプロパノール及び酢酸エチルを包含する。適当に選択した有機溶媒への暴露にも拘わらず、幾らかでも感受性の組み換えタンパク質の統合性を保持することが可能であると判明している。凝固を迅速に誘発するには、過剰な有機溶媒を用いることが好ましい。一般に、1実施態様では、不連続相中の水分量に比べて、少なくとも3〜100倍量の有機溶媒を用いることが有用である。
【0089】
第2の代替凝固原理は、物理的架橋の形成又はポリマーの凝固能力の利用である。この凝固原理は、一般に、例えば、仕上げ及び乾燥プロセスがより時間のかかる、複雑なものになる傾向があるので、有機溶媒への暴露によって凝固を行なう際にBASがその統合性を充分に保持しない場合に、選択される。例えば、コアポリマー、凝固を可能にする時間及び温度のような、正確な条件が選択されている場合には、この原理を用いて、例えばゼラチン、アテロコラーゲン、マルトデキストリン及びアミロペクチンを凝固させることが、特にこれらが低分子量物質の低い含量を有する場合に、可能である。
【0090】
低分子量物質の低い含量を有するマルトデキストリンを、本発明の原理によって、短時間内に凝固させることができることが判明している。凝固を物理的架橋の形成のみによって、例えば、ポリマーの自然のゲル化能力によって、特に16時間以内又は8時間若しくは4時間以内の時間内に達成する実施態様において、一組の実施態様では、不連続相は、非経口的に投与可能ではない澱粉溶液又は物質の80%が10〜10000kDa、40〜800kDa又は200〜600kDaの分子量範囲内である高分枝状澱粉の溶液を、g当たりアミノ酸窒素50μg若しくは20μg若しくは10μg若しくは5μgより高いアミノ酸窒素含量と組み合わせて、含まない。例えば、非経口的に投与可能ではないアミロペクチン、例えば、Amioca 50(National Starch)の商標名による澱粉、又は同じ若しくは同様な性質を有する任意の澱粉の使用は避けることができる。
【0091】
本発明に用いることができる第3凝固原理は、弱溶解性を有し、沈殿を形成することができる錯体の形成を含む。前記錯体は、コアポリマーと他のポリマーとの間、コアポリマーとBASとの間、又はコアポリマーと低分子量物質との間に形成することができる。例は、ゼラチン−ヒアルロン酸、ヒアルロン酸−ベンズアルコニウムクロリド等を包含する。
【0092】
やはり用いることができる第4凝固原理は、不連続相の凍結と、その後の、例えば噴霧中又はエマルジョン中での凍結乾燥である。上記(2)〜(8)で定義したとおりのBAS/コアポリマー比率を有し、非経口製剤の製造のために及びエアサスペンジョン塗装のために受容される物質のみを含むコアは、好ましくは固体形の、少なくとも1種類のBASと、少なくとも1種類のコアポリマーとを含有する小滴を、低温ガス若しくは液化ガス、例えば液体窒素を用いて、乾燥重量に基づいて5%未満のコアポリマー濃度を用いて急速凍結させて、得ることができる。低温ガス又は液化ガスの一方又は両方中で、凝固が起こりうることを、当業者は理解するであろう。この凝固原理では、コアポリマーがポリマー結合剤として作用する。1実施態様では、コアポリマーは、本発明の特定の水溶性コアポリマー又は本発明の特定の水不溶性コアポリマーから選択され、BAS/コアポリマー比率は上記(2)〜(8)のいずれかで定義したとおりであり、コアポリマーの濃度は4%未満、好ましくは3%未満である。1実施態様では、BAS/コアポリマー比率は上記(2)〜(8)のいずれかで定義したとおりであり、コアポリマーは、本発明の特定の水溶性ポリマーから選択され、コアポリマー、好ましくはヒアルロン酸ナトリウムの濃度は約2.5%以下である。所望のBAS及び/又は乾燥重量を得るために適切である場合には、希釈剤粒子を用いることができる。各場合に、凝固後に、凍結した水分を除去する。方法の例は、有機溶媒による抽出、例えば、他の物質、例えばPEGをも除去すべきである場合に好ましいアセトンによる抽出、又は好ましくは、あらゆる他の場合に好ましい昇華による方法を包含する。
【0093】
上記凝固原理の組み合わせも、本発明に用いることができる。例えば、物理的架橋をある一定の時間にわたって生じさせて、その後に、水分を例えば有機溶媒への暴露によって除去する、これは、今までの利用可能であるテクノロジーに比べてプロセス時間の短縮を可能にする。さらに、特にアテロコラーゲンの場合には、pH及び/又はイオン強度を変化させることによって、又はプロセスにおける適当な工程で錯体形成物質を加えることによって、凝固の改良を達成して、より迅速な凝固又は改良された固体特性を得ることができる。
【0094】
本発明に用いることができる、他の凝固原理は、有機溶媒の除去を含む。これは、当該技術分野で知られた手段によって達成することができる。1実施態様では、該除去は、最初の有機溶媒と混和可能で、かつコアポリマーを凝固させることができる、他の有機溶媒への暴露によって行なわれる。他の実施態様では、該除去は、有機溶媒と混和可能な水相への暴露によって行なわれる。他の実施態様では、該除去は、水中乾燥によって、好ましくは、水中油滴、又は固体−油−水、又は水−油−水エマルジョンの加熱又は減圧によって行なわれる。BASを、統合性を保持しながら、有機溶媒に暴露させることができ、コア形成に用いられるポリマー(単数又は複数)を該有機溶媒に溶解することができる場合に、この凝固原理を用いることができる。
【0095】
これらの凝固原理のいずれに関しても又はこれらの組み合わせに関しても、受容できる固体コアを得るために必要である限り、凝固を続けさせる。ポリマーとBASsとの幾つかの組み合わせに関して、凝固は、24時間以上かかる問題でありうる。一般に、連続相中にBASと特定ポリマーの不連続水相を作製した後にできるだけ早く凝固を完了すべきである。1実施態様では、凝固は、前記混合から16時間以内に完了する。多くの場合に、凝固は8時間以内に、又は4時間以内に、又は2時間以内にさえも行なわれる。
【0096】
上記方法によって製造される固体コアは、当該技術分野で知られた方法によって分離することができる。例えば、遠心分離による、沈降、濾過又は洗浄を用いて、連続相及び加えた有機溶媒を除去することができる。
【0097】
凝固と、分離を含めた、任意の仕上げ処理後に、コアを乾燥させることができる。任意の乾燥方法を用いることができる。好ましくは、乾燥方法は、BASの統合性が充分に保持され、適切な乾燥が得られ、コアの統合性が保持されるように、選択される。乾燥方法の例は、風乾、真空乾燥、凍結乾燥、及び流動床を用いる乾燥、又はエアサスペンジョン乾燥である。コアの直径は乾燥工程後に測定するのが好ましい。1実施態様では、乾燥は60℃未満の温度で行なわれる。処理時間を短縮するために、乾燥を、その後にエアサスペンジョン塗装に用いる装置内で、又は小粒子乾燥のための同等の能力を有する装置内で行なうことができる。
【0098】
コアが凝集を示すような場合には、一組の実施態様では、凝集を10容量%未満に、又は5%未満若しくは2%未満にさえも維持することができる。コア中の成分、凝固方法と乾燥方法の選択によって及び/又は凝固中(例えば、錯化剤)若しくは仕上げ処理中(例えば、洗浄に用いるアセトン中のマンニトール)コアの表面を修飾する作用剤の使用によって、凝集を低く維持することができる。エアサスペンジョン塗装が脱凝集を生じる場合には、より高い割合の凝集が許容されうる。エアサスペンジョン乾燥を用いる場合には、例えば、コアがコア表面物質若しくは放出制御シェルの適用を受ける用意ができたときに、又は一組の実施態様では、放出制御ポリマー及び任意の凝集防止物質がコア上に適用された後に、凝集の程度を評価する。
【0099】
本発明のコア中に封入した後のBASの統合性は、当該技術分野で知られた方法によって判定することができる。この判定をin vivoで行なう場合には、コア又はマイクロカプセルを、出来る限り溶解形で非経口投与して、効果を適当な形、例えば溶液形での同量のBASによって得られた効果と比較する。例えば、幾つかのin vitroアッセイで、生物学的活性物質が溶解形であることが必要である場合には、該物質をコアから水性媒質中に拡散させることができる、又は該コアを溶解することができる。好ましい方法は、溶媒、pH、加熱又は酵素処理、又はこれらの組み合わせを変えることである。ゼラチン及びコラーゲンを、コラーゲナーゼ及びゼラチナーゼ、例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ2を用いて溶解することができる。アミロペクチン又はマルトデキストリンから製造されたコアは、α−アミラーゼ及び/又はアミログルコシダーゼを、任意に組み合わせて、用いて溶解することができ、ヒアルロン酸のコアは、ヒアルロニダーゼによって溶解することができる。有機溶媒に溶解可能な、PLGA及び他のポリマーから製造されたコアは、当該技術分野で知られた方法による、有機溶媒への暴露によって溶解することができ、適当な場合には、乾燥させ、その後にBASを分析のために溶解することができる。
【0100】
一つの好ましい実施態様では、該方法はさらに、コア上に放出制御シェルを適用する工程を含み、前記コアは持続放出製剤を製造するための中間体である。前記適用は、エマルジョン又は噴霧に基づく方法によって行なうことができる。エマルジョンに基づく方法では、上記で定義したとおりの予め成形したコアを乾燥形で用いることが好ましい。少なくとも1種類の有機溶媒中に溶解した放出制御ポリマー(単数又は複数)の溶液中に、該コアを懸濁させる。例えば、該コア上への放出制御ポリマーの沈着を改良するために、コアを溶解するのではなく、湿潤させるために充分な量で水又はバッファーを加えることができる。コア上の前記ポリマーの沈積は、界面沈着、逆溶剤(anti-solvent)の添加、任意に凍結後に、抽出又は蒸発による有機溶媒の除去等によって得ることができる。エマルジョンに基づく方法では水中乾燥による有機溶媒の除去が好ましい。前記方法は、このテクノロジー分野で周知であり、これ以上詳しく記載する必要はない。エアサスペンジョン塗装は、本質的に又は排他的に単一コア・マイクロカプセルを生成するが、エマルジョン及び噴霧に基づく方法はマルチコア・マイクロカプセルを生成する傾向がある。
【0101】
放出制御ポリマー(単数又は複数)を適用するための好ましい方法は、本明細書に援用されるWO97/14408によるエアサスペンジョン塗装であり、これに関する詳細はこの明細書から得ることができる。この方法は、ポリマーが溶解している有機溶媒を非常に迅速に蒸発させることができ、非毒性溶媒の使用をも可能にする。
【0102】
放出制御ポリマーは、制限なしに、非経口投与可能であって、本発明に開示されるコア上の放出制御シェルを形成することができる、任意のポリマー(本明細書では“シェルポリマー”と呼ぶ)であることができる。該ポリマーは生分解性であることが好ましい。特定のシェルポリマーは、例えば、α−ヒドロキシ酸、好ましくは乳酸及び/又はグリコール酸から、又はグリコリド及びラクチドから選択される環状ダイマーから製造されるポリマー若しくはコポリマー、例えばPLA、PLGA、ポリタルトレート、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリ(エチレンカーボネート)コポリマー、及びヒドロキシル基を含むコポリマーと、乳酸若しくはグリコール酸に基づく上記ポリマー、例えばグルコース−PLGAである。該ポリマーの混合物も用いることができる。PLGAが好ましい。1実施態様では、放出制御ポリマーは、コアの形成に用いるポリマーと同じポリマーではない。
【0103】
適用する放出制御ポリマーの量と組成は、所望の放出特性によって決定され、幾つかの要因、例えば、コアのサイズ分布、BASの治療的及び有害な血漿濃度と、放出と治療効果の所望の持続期間に依存する。これは、放出制御シェルの量の関数として、in vitro又は好ましくはin vivoでの放出動力学の測定によって、当業者が決定することができる。許容できるほど低いバースト(burst)を得ることが、好ましい。一般に、放出制御シェルの性質は、ヒトへの投与後間もなくBASの放出が開始され、許容できるほど低いバーストをなおも有しながら、長い遅延段階を回避して、その後に連続した、若しくは本質的に連続した放出を生じるように選択される。シェルの性質は、また、前記シェルのないコアからの放出に比べて、BASの放出が持続されるようにも選択され、放出の持続期間は少なくとも1日間、3日間、1週間、2週間、約1か月又はそれ以上であることができる。これは、一般に、コア直径が40〜120μmであるときに、コア1g当たり約0.3〜10g、又は0.4〜6g、又は0.5〜2g、又は約0.6〜1.1gのポリマー(単数又は複数)を必要とする。
【0104】
放出制御シェル(塗膜)は、非錯体形若しくは錯体形のいずれかで、同様な若しくは異なる化学的組成を有する数種類の異なるポリマー、並びに溶解形若しくは固体形のいずれかで加えられる添加剤、例えばバッファー物質、界面活性剤、塩及びその他のイオン性化合物を含むことができる。該シェルの最適の組成は、要因計画及び応答面最適化のような簡単な実験によって、例えばラット、ブタ又はサルにおける動物実験での放出動力学の測定によって決定することができる。封入されたタンパク質に対して発生した抗体が評価に影響を与えるような場合には、当該技術分野で知られた方法による免疫抑制を、選択した適当なトランスジェニック動物に対して用いることができる。
【0105】
放出制御シェルを適用する前に、1種類又は数種類の機能性物質をコア上に適用することができ、本明細書では、これを“コア表面物質”と呼ぶ。該物質は、エアサスペンジョン塗装装置内での噴霧によって適用することが好ましい。該物質は、コアマトリックスを構成するポリマーに比べて、同じポリマー又は異なるポリマー又はこれらの混合物の溶液中に分散させることができる。本発明に有用なコア表面物質は、pHを安定化し、BASの放出動力学又は安定性を改良する又は調節することができる物質から選択することができる。一組の実施態様では、バッファー物質が用いられる。
【0106】
水中で弱溶解性を有する物質、例えば酸化亜鉛を、固体粒子の形態で、結合剤を用いずに適用することが可能であることが判明しており、このことが本発明の一組の実施態様を定義する。機能性物質の量は、0.1〜30%、又は0.2〜25%、又は0.4〜20%、又は0.8〜15%さえもの範囲内であることができる。機能性物質の粒度は、10μm未満、又は5μm未満、又は2μm未満、又は1μm未満でさえありうる。該物質はバッファー物質であることができる。本発明の“特定の粒状バッファー物質”の例は、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、塩基性炭酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム及びマガルドレートを包含する。炭酸亜鉛と酸化亜鉛が好ましい。一組の実施態様では、酸化亜鉛を用いる。
【0107】
一般に、エアサスペンジョン塗装は、個別の自由流動性マイクロカプセルを生じる。さらに、マイクロカプセルがシェル中のポリマーのガラス転移温度に接近した又は該ガラス転移温度を超える温度に暴露されるような場合にも自由流動性を保持するために、マイクロカプセルの表面上に物質を加えることができ、前記物質は本明細書では“凝集防止物質”と呼ばれる。前記物質は下記群:水溶性糖類、水溶性多糖類、水溶性グリコサミノグリカン類、バッファー物質類、粒状バッファー物質類、アミノ酸類、界面活性剤類、小粒子類、好ましくは、水中に僅かに不溶性、ごく僅かに不溶性、実質的に不溶性又は水不溶性である小粒子類、生体適合性ポリマーを含む、ミクロ粒子類又はナノ粒子類から選択することができる。一組の実施態様では、マンニトールが用いられる。一組の実施態様では、ヒアルロン酸ナトリウム又はカルボキシメチルセルロース・ナトリウムが用いられる。
【0108】
凝集を防止するために、粒子、好ましくは小粒子をマイクロカプセルの表面に適用することができることが、現在判明しており、これは一組の実施態様で起こりうることである。前記粒子を、本明細書では、“凝集防止粒子”と呼び、水中で限定された又は非常に低い溶解性を有し、体液中で徐々に溶解する又は酵素によって溶解するように選択することができる。1実施態様では、徐々に溶解する粒子が選択される。例は、本発明の特定の粒状バッファー物質又は本発明の特定のコアポリマーから製造される粒子を包含する。一組の実施態様では、酸化亜鉛が用いられる。
【0109】
該マイクロカプセルは、例えば冷凍を経由して(via refrigeration)、例えば2〜25℃の範囲内の温度において、乾燥状態で貯蔵することができる。該マイクロカプセルは、例えば21G以下、好ましくは23G以下、そして最も好ましくは25G以下のサイズを有する微細な注射針を用いて、又は乾燥粉末として投与する前に、適当な液体中に懸濁させることができる。前記投与は、脂肪腫内(intralipomatous)、筋肉内、皮下、又は局所、例えば関節、脳若しくは特定器官内に行なうことができる。
【0110】
本発明の他の実施態様は、上記方法を用いて得られる、コア及びマイクロカプセルに関する。コアは、これらの方法に関連して上記で列挙した、群又は特定のポリマーから選択される、少なくとも1種類のポリマーを含む。一組の実施態様では、コアマトリックスは、1種類のポリマーから成る。
【0111】
該方法に関して記述したように、コアマトリックスは、化学的に架橋しないものであるように選択することができる。該コアは本質的に均質であることができ、中空ではありえない。コアのサイズは、例えば光学顕微鏡又は電子顕微鏡検査によって乾燥状態で測定される直径によって特徴付けられる。不規則な形状の粒子に関しては、最長の距離を測定し、凝集体は1個の実体として処理する。平均直径は10〜250μm、又は15〜200μm、又は20〜120μm、又は30〜100μmでさえの範囲内である。1実施態様では、コアの少なくとも80%は20〜180μmの範囲内であり、1%未満は10μmに達しない。
【0112】
コアは、少なくとも1種類のBASを含有する。該コアは2種類のBASを含有することができ、非限定的に、例えば、C−ペプチドとインシュリン、インターフェロンとコロニー刺激因子、例えば顆粒球−マクロファージ刺激因子とインターフェロンγ、抗ウイルス剤とインターフェロン、又は1種類、2種類若しくはそれ以上のワクチン成分とアジュバントを含有することができる。
【0113】
一組の実施態様では、in vivoで又はin vitroの適当な条件下で、コアは3日間以内に、又は2日間以内に、又は1日間以内でさえBASを放出し、多くの場合に、コアはBASの持続放出は生じない。放出の所望の持続期間がコアから得られる持続期間よりも長く、前記コアを用いて、所望の持続期間を有する持続放出製剤を製造することが可能である場合には、該コアを、本発明では持続放出製剤を製造するための中間体として定義することができる。In vitro放出を37℃で測定する。多くの場合に、コアは水溶液中に簡単に溶解することができる、又は非溶解状態のコアにBASを放出させることができる。適当な場合には、特にin vivo環境をシミュレートするために酵素を用いて、コアを溶解することができる。コア(30〜75mg)を試験管中に秤入れ、バッファー1.5mlを加えて、サンプルを混合する。該バッファーは好ましくはリン酸塩バッファー(30mM、pH7.4)であり、これにイオン強度を調節するための塩化ナトリウム(82mM)と、任意に、所望の酵素活性を得るための適当な酵素及び当該技術分野で知られた作用剤と、任意に、殺菌剤、例えばアジ化ナトリウム(3mM)を一緒にする。BASの統合性が許す場合には、サンプルを連続振動するクレードル上に載せる;そうでない場合には、振動の周波数を弱める。アミロペクチン・コア及びマルトデキストリン・コアに関しては、α−アミラーゼ(185U/l、最終濃度)を該バッファーに加える。アテロコラーゲン及びゼラチンに関しては、コラゲナーゼ及び/又はマトリックス・メタロプロテイナーゼを該バッファーに加えることができる。ヒアルロン酸に関しては、ヒアルロニダーゼを加えることができる。サンプル(例えば、1ml)を例えば1時間後、0.25、1、2及び3日間後に取り出し、同量の新鮮なバッファーを補充する。サンプルを遠心分離する(例えば、Heraeus Biofuge Frescoを用いて、13000rpmにおいて3日間)、上澄み液中のBAS量を当業者に知られた方法、例えばHPLC分析によって測定し、コアから放出されているBASの割合を算出する。
【0114】
コアは、ポリマー中に分散されていない実施態様では、該方法に関して上述したように、任意に、コア表面上に1種類又は数種類の機能性物質を適用されることができ、これからさらなる詳細を得ることができる。例えば酸分解生成物を発生する可能性がある放出制御シェルとコア中のBASとの間の機能性物質の配置は、この実施態様のマイクロカプセルの特徴であり、例えば、局部的なpH相異及び固体バッファー粒子と感受性生物学的活性物質との接触の回避といったような、先行技術を凌駕する改良を与えることができる。例えば、BASと機能性物質とは相互に直接接触することはありえない、即ち、BASの多くとも20%、若しくは多くとも10%、若しくは多くとも4%、若しくは多くとも2%でさえ、該機能性物質から0.05μmより短い、若しくは0.1μmより短い、若しくは0.2μmより短い、若しくは0.4μmより短くさえある距離に存在する。
【0115】
本発明のマイクロカプセルは、BASとポリマーを含有するコア、並びに上記で定義したとおりの放出制御シェルを含む。コアとシェルは、電子顕微鏡検査によって相互から識別することができる。コア中のポリマーとシェル中のポリマーは、異なる性質を有することも、同じ性質を有することも可能である。異なる性質が好ましく、コアとシェルが化学的に識別可能なポリマーを含むことが最も好ましい。一組の実施態様では、放出制御シェルがBASを含有しない、例えば、コアに比べて2%未満、又は0.2%未満、又は0.01%未満のBASを含有する。一組の実施態様では、マイクロカプセルの少なくとも50%、若しくは少なくとも80%、若しくは少なくとも90%、若しくは少なくとも98%でさえ単一の識別可能なコアを有する。
【0116】
1実施態様では、BASの非経口投与のための本発明のマイクロカプセルは(a)pHを低下させる物質を同時に発生させながら生分解することができる、少なくとも1種類のポリマー、(b)BAS、及び(c)pHを安定化させる能力を有する、少なくとも1種類の固体物質を含み、該BASは、前記固体物質と接触していないか、又は前記固体物質の近くに存在しない。一組の実施態様では、該固体物質(c)は該BAS(b)と該ポリマー(a)との間に本質的に局限される。例えば、一組の実施態様では、該固体物質(c)はポリマー中に分散されない。
【0117】
他の組の実施態様では、該マイクロカプセルは、上記で定義したように、それらの表面に適用された凝集防止物質を有することをさらに特徴とする。1実施態様では、BASの生物学的活性は、封入前のBASの生物学的活性に比べて、本質的に保持される、例えば、少なくとも70%、若しくは少なくとも80%、若しくは少なくとも90%、若しくは少なくとも97%でさえ保持される。例えば、ヒト成長ホルモンに関しては、コアへの封入中にダイマー又はポリマーの含量に増加はないか、又は許容される程度の増加(an acceptable increase)がある。
【0118】
他の組の実施態様では、マイクロカプセルは少なくとも15%のBASを含有し、投与後最初の24時間内に、所望の放出量を超える量が20%以下、好ましくは15%以下、そして最も好ましくは10%以下である、濃度−時間曲線下面積として定義される初期放出量を示す。他の組の実施態様では、マイクロカプセルは少なくとも20%のBASを含有し、1週間にわたってBASの検出可能な血清レベルを生じる製剤では20%未満の初期放出量、そして約2〜4週間にわたって検出可能な血清レベルを生じる製剤では10%未満の初期放出量を有する。これらの実施態様では、少なくとも1日間、少なくとも3日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも約1か月間又はそれ以上でさえのBAS放出持続期間を有することが好ましい。これらの実施態様は、タンパク質BAS若しくはペプチドBAS、特にヒト成長ホルモン、エリスロポイエチン、インターフェロンγ及びグルカゴン様ペプチドと組み合わせて用いる場合に、有利であると判明している。
【実施例】
【0119】
実施例1
ヒト成長ホルモン(GH)を酢酸アンモニウムの存在下で凍結乾燥させ(6.3:1モル比の酢酸アンモニウム:タンパク質)、次に、イソプロパノール中に懸濁させて、風乾させた。マルトデキストリン(Paselli MD6, Avebe, Veendam, Holland, 5g)を50℃において、膜(Spectra/Por)を用いて水(Milliq, Millipore,3回、1500ml)に対して透析して、約3.5kDa未満の分子量を有する物質を除去して、次に凍結乾燥させた。約18%の低分子量グルコース含有物質が除去された。
【0120】
マルトデキストリン・ミクロスフェアの3バッチ(酢酸ナトリウム10mM、pH6.4、2mM酢酸亜鉛中50重量%、それぞれ、1ml、1ml及び1.8ml)を調製し、これらの中にGHを手動で懸濁させた。これらの組成物をMiglyol 829に移して(それぞれ、10、20及び30ml)、均質化(Turrax)によって、W/Oエマルジョンを作製して、冷凍下に一晩(約16時間)放置して、次に遠心分離し(Sorvall SS34、7000rpm、10分間)、冷アセトン(約30g、遠心分離5分間)で3回洗浄して、風乾させて、篩い分けした。これらのバッチを篩い分けしてから、プールした。38〜125μm画分は11%(w/w)の負荷を有し、125〜180μm画分は18%の負荷を有し、これらは目標コア負荷の53%と90%に相当する。遠心分離後に、Reslow et al.(上記文献)によるHPLCサイズ排除クロマトグラフィー(SEC-HPLC,TSK2000 SWX1, Tosoh Corporation)を用いて、該タンパク質の品質を分析した。ダイマー含量は、出発物質中の約2.4%に比べて、約3%であり、ポリマー形は検出されなかった。これらの画分をプールして、コアの約0.57gを得た。
実施例2
室温で電磁気撹拌しながらMilli Q水中に溶解した酢酸亜鉛を、3:1の亜鉛対タンパク質のモル比率を得るように、添加することによって(10mg/ml、一回に100μlずつ)、GH(20mg/ml)を高効率(>99%)で沈殿させた。撹拌を室温において一晩にわたって続けた。
【0121】
Zn:GH(700mg)とヒアルロン酸ナトリウム(Fermentech、凍結乾燥させ、10mM酢酸ナトリウム+10mM酢酸亜鉛、pH5.0中に2%で溶解し、GH及び追加のバッファー溶液と混合後に1%の最終濃度を得たもの)を用いて、コアを製造した。この組成物を3バッチに分割して、各バッチに対して、外部相としてのMiglyol 829(20ml)と共にW/Oエマルジョンを作製した(Propeller撹拌、810rpm、2分間)。撹拌しながらアセトン(120ml)中に注入することによって、不連続相を凝固させた。
【0122】
プールしたバッチに関して、コア負荷は約75%であった。該コアをバッファー(50mM HEPES、10mM EDTA、pH7.3)中に懸濁させた後に、タンパク質統合性を評価した。約1時間、穏やかに混合した後に、コアは溶解した。hGHのポリマーも凝集体も検出することができず、ダイマー含量は約2%増加した。
【0123】
実施例3
実施例1によって製造したコアに、WO97/14408の実施例6に本質的に従ったエアサスペンジョン・テクノロジーによって、総量50gまで磁気粒子を添加し、コア1g当たり0.6gのPLGAの理論量に対して70%RG502Hと30%RH504H(Boehringer Ingelheim)のポリ(乳酸/グリコール酸)組成物を用いて塗装して、6.4%(w/w)のGHを含有する制御放出製剤を製造した。マンニトールを該マイクロカプセル上に吹き付けによって適用し、これらのマイクロカプセルを次に真空下で乾燥させ、冷凍下で貯蔵した。
【0124】
光学顕微鏡検査によって評価すると、自由流動性単一コア・マイクロカプセルが得られた。塩化メチレンとアセトンの混合物によるPLGA塗膜の除去を含めて、Reslow et al.(上記文献)に本質的に従って、タンパク質統合性を評価した。ポリマー形も凝集体形も検出されず、未塗装コアに比較して、ダイマー含量の増加は得られなかった。
実施例4
実施例2に従って製造したコアを、コア1g当たり0.8gのPLGAの理論量を適用したことを例外として、実施例3に従って塗装し、分析した。該マイクロカプセル中のGH含量は約26.3%(w/w)であり、GHのポリマー形は見られず、ダイマー形の増加は生じなかった。
実施例5
実施例3と4で得られたマイクロカプセルを、ラットに皮下投与した(3.5mg hGH/ラット)。該製剤を室温に達しさせ、次に、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム(Hercules Blanose, type 7LF)の溶液中に懸濁させた。血漿中のhGHの濃度を測定した(GH IRMA Immunotech IM1397)。図1に示した結果は、BASの相対的に低い負荷と高い負荷の両方における優れた持続放出特性を実証する。図2のin vitro-in vivo相関関係から理解することができるように、該放出は連続的であり、本質的に直線的である。最初の24時間中の所望の放出量(1週間製剤では約14%)を控除した最初の24時間中の実測放出量として定義された過剰な初期放出量は、実施例3のマイクロカプセルでは約21%、そして実施例4で製造したマイクロカプセルでは約9%であった。後者は、非常に高い負荷における優れた放出制御を実証する。シェルの性質がBASの放出特性を決定すること、及びコア、固体形でのBASの高い含量とシェルとの組み合わせ、放出制御ポリマー対コアの比率が、該放出制御ポリマー中にBASが封入されることなく、特有の性質を与えることは明らかである。1週間のGH放出を生じる製剤を用いて、GHの非経口投与を必要とする状態を治療することができる。必要な場合には、該塗膜の組成を変えることによって、放出のさらなる延長を得ることができる。
実施例6
GHを実施例1に記載したように凍結乾燥させて(250mg)、イソプロパノール中に分散させ、風乾させて、次に、酢酸亜鉛(10mM)とPEG(10%、MW20,000)を含有する酢酸ナトリウム(10mM、pH5.0)中に溶解したヒアルロン酸ナトリウム(1%、550mg、Fermentech Medical Ltd)と混合した。Miglyol 829(12g)によって油中水滴エマルジョンを作製した(パドル撹拌、2000rpm、1分間)。該エマルジョンをアセトン(150ml)中に注入した。コアを沈降させ、過剰なアセトンを吸引除去し(suctioned off)、新鮮なアセトンを2回加えて、コアを風乾させた。
【0125】
この方法を用いて、第2バッチも製造した、但し、この場合には、ヒアルロン酸ナトリウム溶液(約487mg)と混合する前にさらに乳棒を用いて、イソプロパノール中のhGH(406mg)のサイズを縮小させ、アセトン量を増加した(アセトン、250ml)。コアをアセトン(50ml)で2回洗浄した。
【0126】
コア中のhGHの含量は約65%(w/w)であった。hGHの統合性を上述したように評価した。固定化後に、hGHのポリマーも凝集体も検出することができなかった。該hGHは、固定化前に約2.4%のダイマーを含有し、固定化後に4.4%のダイマーを含有した。
実施例7
コアを、本質的に実施例6の第2バッチに関して記載したように製造し、マイクロカプセルは本質的に実施例3に従って製造した、但し、この場合には、コアを篩い分けし(<160μm)、シェル・ポリマーはPLGA65:35(Lakeshore Biomaterials)であり、コア製造及び塗膜の適用を含めた全プロセスは約8時間内に行なった。GHのポリマー形は見られず、ダイマー含量はコアの製造中に約4%増加し、塗装中に2%増加した。該マイクロカプセル中のGH含量は約24.3%(w/w)であり、in vivo放出は1か月間を超える持続期間を有した。
実施例8
実施例1又は2に本質的に従って、表1に要約した条件下でコアを製造した。コアポリマー(CP)は、CP1:ヒアルロン酸ナトリウム(Fermentech Medical Limited, 無菌)、CP2:カルボキシメチルセルロース・ナトリウム(Blanose Type 7LF 00290 Hercules)、CP3:ゼラチンA型(Gelita, 260bloom)、CP4:アミロペクチン(約MW399kDa)、CP5:アミロペクチン(約840kDa)、CP6:アミロペクチン(約3300kDa、WO02/28909の実施例2に従って製造)、CP7:マルトデキストリン(Maltodextrin 6, Avebe)、CP8:実施例1に記載したように低分子量化合物を除去するためにCP7を透析したもの、CP9:デキストラン(10%、T2000、Pharmacia)、CP10:グリコーゲン(10%)、CP11:PEG(10%、20kDa)、CP12:ゼラチンB型、Sigma;CP13:アミロペクチン(約215kDa)、CP14:低分子量化合物を除去するためにCP7をクロス流濾過したものであった。CP、BAS、DP及びCOの量は、重量(g)、濃度(%)又は体積(ml)で表現する。
【0127】
BASsは、BAS1:実施例1に従って酢酸アンモニウムの存在下で凍結乾燥させたhGH、BAS2:実施例2に従って亜鉛によって沈殿させたhGH、BAS3:Reslow et al.(上記文献)に従ってポリエチレングリコールを用いて沈降させたhGH、BAS4:pH約9.2の炭酸水素ナトリウムバッファー中で酢酸亜鉛によって沈殿させたブタソマトトロピン(モル比率3:1のZn:タンパク質)、BAS5:亜鉛インシュリン(Ultratard, Novo, Nordisk);BAS6:ナルトレキソン塩基、BAS7:ロペラミド塩基、BAS8:トリプトレリン・パモエート、BAS9:C−ペプチド(約pH3.5で沈殿させ、凍結乾燥させ、乳棒でサイズを縮小したもの)、BAS10:澱粉顆粒(Cerestar 06090, 非溶解BASsのモデル)、BAS11:ウシ血清アルブミン(BSA)、溶解BASsのモデル、BAS12:酢酸アンモニウム(2mg/ml、10:1酢酸アンモニウム:タンパク質)の存在下で凍結乾燥させたブタソマトトロピン、BAS13:塩酸ロペラミドであった。
【0128】
連続相(CO)は、CO1:Miglyol 829、CO2:水溶液中に溶解したポリエチレングリコール(40%平均分子量20kDa)、CO3:菜種油、CD4:PEG(20%6kDa)、CD5:冷ガス(気体+液体の窒素)であった。
【0129】
凝固原理(SP)は、SP1:アセトンに暴露;SP2:物理的架橋;SP3:凝固に用いるアセトン中でのベンズアルコニウムクロリド(1mg/ml)による錯体形成;SP4:酢酸エチルへの暴露;SP5:該容器を、アセトンとドライアイスを含有する別の容器中に入れることによるエマルジョン中での凍結;SD6:イソプロパノールへの暴露;SP7:冷ガス中での凍結であった。
【0130】
仕上げ処理方法(WU)は、WU1:遠心分離管(Millipore,PVDF)中で0.45μmフィルターを用いる濾過による油の除去、アセトン(5℃)による洗浄3回及び風乾;WU2:アセトンによる洗浄3回及び風乾;WU3:酢酸エチルによる洗浄及び風乾;WU4:冷(4℃)アセトンによるPEGの抽出及び風乾;WU5:10mM酢酸ナトリウム、10mM酢酸亜鉛、pH7.3による洗浄;WU6:イソプロパノール;WU7:液体窒素の蒸発及び凍結乾燥であった。
【0131】
希釈剤粒子(DP)は、DP1:澱粉顆粒、DP2:コア製造中に溶液から形成されるスクロース粒子、DP3:PLGAミクロスフェア(RG502H)であった。
BASコアポリマー比率(BCR)は、BASと該ポリマーの総乾燥重量によって割った、BASの乾燥重量として算出して、BCR欄に重量%で表現し、得られた負荷はLO欄に示す。任意に篩い分け後のエアサスペンジョン塗装のために許容されるサイズを有するコアの存在は、光学顕微鏡検査(LM欄)によって評価した。凝固のための時間(T)は、6分間を超えない場合は、0.1時間として記載する。コア負荷(LO)は一般にHPLCによって測定したが、実験14〜16、18及び40では、分光測光法を用いて、近似値を得た。
【0132】
基準実施例R1は、ヒアルロン酸のコアが、非溶解BASの不存在下では製造することができなかったことを示す。基準実施例R2とR3は、実験例#1と#2に比べて、このマルトデキストリンが高濃度では用いることができず、物理的架橋による凝固が低分子量化合物を予め除去しないとコア製造に用いることができないことを示す。実験11〜13は、コア中のBAS含量が希釈剤粒子の添加によってどのように制御されることができるかを実証する。実験20では、CP1+BAS11+DP2を全て、同じ溶液中にそれぞれ2%、0.7%及び60%の濃度まで溶解した、コア製造中にスクロース希釈剤粒子が形成された。実験24〜26では、同じアプローチを用いたが、BASは省略し、CP1の濃度は変化させた;この場合には、ベンズアルコニウムクロリドの添加が凝固を改良して、より分離したコアを生成した。実験27は、スクロース(50%)、CP1(1%)及びBAS11(0.7%)の濃度を別として、同じであった。
実施例9
ヒアルロン酸ナトリウム(67重量%、1%水溶液、Fermentech)と澱粉顆粒を含む組成物(5g)を、非溶解BAS(33重量%)のモデルとして吹き付け、約98%のBAS/コアポリマー供給量(ration)を得て、冷ガスを用いて凍結させることによって、コアを製造した。エアサスペンジョン・コーター(Huettlin Kugelcoater、1mmノズル直径)に通常用いられる空気圧噴霧ノズル(pneumatic spray nozzle)に、約1分間中に注射器を用いて、該組成物を供給し、液体窒素と電磁気スターラーを含有するステンレス鋼容器中に噴霧した。該ノズルに噴霧空気(1.5bar)と、Kugelcoaterからのミクロクライメート空気(0.5bar)を供給した。凍結した小滴をスチールトレイに移して、窒素が蒸発した直後に凍結乾燥器に入れた。エアサスペンジョン塗装に適したコアが、篩い分け後に得られた。
実施例10
水に不溶なコアポリマーを含むコアの製造方法
PLGA(Resomer RG756 150mg、酢酸エチル2.86gまで)の溶液中に塩酸ロペラミド(300mg)を懸濁させ、PVA(0.5%、86〜89%加水分解、15kDa)、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム(1.5%、Blanose 7LF)及びクエン酸塩/リン酸塩バッファー(2.5mM,pH7.6)を含む外部水相(13.1g)と共にエマルジョンを作製することによって、BASを含むコアを製造した。有機相を追加のクエン酸塩/リン酸塩バッファー(5mM、pH7.6、200g)によって約1時間抽出した、コアをフィルター上で同じバッファーを用いて、続いて水(MilliQ)によって洗浄してから、凍結乾燥させた。該コアを篩い分けして(<160μm)、BAS含量はHPLCによって約61%と測定された。
実施例11
マイクロカプセルの注射可能性
本質的に実施例2と4に従って、マイクロカプセルを製造した、BASはブタソマトトロピンであり、これを酢酸アンモニウムの存在下で凍結乾燥させ、乾式篩い分けし(50〜100μm)、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム(Hercules Blanose , 7LF型、3.5%、オートクレーブ処理)によって10重量%の濃度に再構成した。該マイクロカプセルは、25G針(Terumo)を用いて、外皮を有するブタ肉中に容易に注射された。
【0133】
【表1−1】

【0134】
【表1−2】

【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1は、実施例3(黒三角)と実施例4(無地四角)で製造したマイクロカプセルの、皮下投与後の時間の関数としてhGHホルモンの血漿濃度を示す。
【図2】図2は、実施例4で製造したマイクロカプセルのin vitro及びin vivoでの累積放出量(対比)を比較する。in vivo放出量(無地四角)は、100%バイオアベイラビリティを想定した血漿レベルから算出し、in vitro放出量(黒四角)は、マイクロカプセル40mgのみを用いたこととα−アミラーゼを加えなかったことを除いてReslow et al.(上記文献)に従って、算出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非経口的に受容されるコアの製造方法であって、下記工程:
(a)非経口投与のために受容可能であり、そしてコラーゲン、アテロコラーゲン、プロタミン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、組み換えゼラチン、アミロペクチン、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、マルトデキストリン、デキストラン、グリコーゲン、ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン、硫酸デルマタン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及びポリエチレンオキシドから選択される、少なくとも1種類のポリマーのポリマー水溶液を調製する工程、
(b)少なくとも1種類の非経口投与可能な生物学的活性物質を非溶解状態で用意する工程、
(c)工程(a)のポリマー溶液に工程(b)の生物学的活性物質を、重量パーセントで表現したときに、該生物学的活性物質が、前記ポリマーと前記生物学的活性物質との総重量の乾燥重量の少なくとも30%を構成するような、前記ポリマーに対する比率で一緒にする工程、
(d)工程(c)で得られた組成物を連続相中の不連続相として分散させる工程、及び
(e)該組成物を凝固させて、任意に乾燥後に、エアサスペンジョン塗装に適したコアを得る工程
を含む方法。
【請求項2】
非経口的に受容されるコアの製造方法であって、下記工程:
(a)組み換えゼラチン、アテロコラーゲン、マルトデキストリン及びアミロペクチンから選択された、1種類以上のポリマーを含む水溶液を調製する工程、この場合、該マルトデキストリン及び該アミロペクチンは、物質の少なくとも50重量%が10kDaより低い分子量を有することを特徴とする、
(b)少なくとも1種類の非経口投与可能な生物学的活性物質を非溶解状態で用意する工程、
(c)工程(a)の水性ポリマー溶液に工程(b)の生物学的活性物質を一緒にする工程、
(d)工程(c)で得られた組成物を連続相中の不連続相として分散させる工程、及び
(e)該不連続相を凝固させて、任意に乾燥後に、エアサスペンジョン塗装に適したコアを得る工程
を含む方法。
【請求項3】
該得られたコアが、物質の80%は10〜200μm、好ましくは20〜180μmの範囲内であるようなサイズを有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
工程(c)における前記比率が少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、そして最も好ましくは少なくとも70%である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
工程(e)の凝固が、化学架橋剤及び/又は、ラジカル重合によって重合しうる物質の不存在下で、任意に有機溶媒中に溶解した放出調節ポリマーの不存在下で行なわれる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
工程(e)の凝固が、該不連続相の1種類以上の有機溶媒への暴露、物理的架橋の形成、複合体の形成、凍結、任意に続いての凍結乾燥、又はこれらの組み合わせによって行なわれる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
該連続相が1種類以上の有機溶媒、1種類以上の油、1種類以上のポリマー含有水溶液、又はガスを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
工程(e)の凝固が、16時間以内に、好ましくは8時間以内に、より好ましくは4時間以内に、そして最も好ましくは2時間以内に行なわれる、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
該生物学的活性物質が免疫学的活性物質ではない、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の方法によって得られる、非経口的に受容されるコア。
【請求項11】
(a)コラーゲン、アテロコラーゲン、プロタミン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、組み換えゼラチン、アミロペクチン、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、マルトデキストリン、デキストラン、グリコーゲン、ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン、硫酸デルマタン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール又はポリエチレンオキシドから選択される、少なくとも1種類の非経口的に投与可能な水溶性ポリマー、及び
(b)少なくとも1種類の非経口的に投与可能な生物学的活性物質
を含む、非経口的に受容されるコアであって、
前記生物学的活性物質の含量が前記溶解性ポリマーと前記生物学的活性物質との総重量の乾燥重量の少なくとも30%を構成する、非経口的に受容されるコア。
【請求項12】
(a)組み換えゼラチン、アテロコラーゲン、マルトデキストリン及びアミロペクチンから選択された、1種類以上のポリマー、この場合、該マルトデキストリン及び該アミロペクチンは、物質の少なくとも50重量%が10kDaより低い分子量を有することを特徴とする、及び
(b)少なくとも1種類の非経口的に投与可能な生物学的活性物質
を含む、非経口的に受容されるコア。
【請求項13】
物質の80%が10〜200μm、好ましくは20〜180μmの範囲内であるようなサイズを有する、請求項11記載のコア。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれかで定義したとおりのコアに放出制御シェルを適用することを含む、非経口的持続放出マイクロカプセルの製造方法。
【請求項15】
前記適用がエアサスペンジョン塗装によって行なわれる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
請求項10〜13のいずれかで定義したとおりのコアと放出制御シェルを含むマイクロカプセル。
【請求項17】
少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%又は最も好ましくは少なくとも30%の生物学的活性物質の含量を有する、請求項16記載のマイクロカプセル。
【請求項18】
該放出制御シェルが、1種類以上のフィルム形成ポリマー又は(コ)ポリマーから製造され、前記フィルム形成ポリマー又は(コ)ポリマーがコア1gにつき0.3〜10g、又は0.4〜6g、又は0.5〜2gの割合で存在する、請求項16又は17に記載のマイクロカプセル。
【請求項19】
請求項10〜13のいずれかで定義したとおりのコア、又は請求項16〜18のいずれかで定義したとおりのマイクロカプセルを含む薬剤製剤。
【請求項20】
(a)マイクロカプセルの少なくとも20重量%を占める、そしてグリコシル化タンパク質、非グリコシル化タンパク質、組み換えタンパク質、化学的修飾タンパク質、成長因子、サイトカイン、血液凝固因子、ペプチド、T細胞免疫調節酵素、ペプチド類似体、ソマトスタチン類似体、モノクローナル抗体及び修飾モノクローナル抗体から成る群から選択される生物学的活性物質、及び
(b)少なくとも1種類の放出調節酵素
を含む非経口的持続放出マイクロカプセルであって、
乾燥状態で物質の80%が10〜200μm、好ましくは20〜180μmの範囲内であるようなサイズを有し、
皮下投与後に、前記生物学的活性物質を放出するが、該放出が少なくとも7日間の持続期間を有することと、投与後最初の24時間中に15%以下の過剰放出をすることを特徴とするマイクロカプセル。
【請求項21】
該生物学的活性物質の含量が少なくとも30重量%である、請求項20記載のマイクロカプセル。
【請求項22】
該生物学的活性物質が粒状形で存在し、任意に、pHを安定化させる能力を有する少なくとも1種類の固体物質の存在下で、その生物学的活性を本質的に保持している、請求項20又は21に記載のマイクロカプセル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2008−542220(P2008−542220A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512759(P2008−512759)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004940
【国際公開番号】WO2006/125620
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(507391203)ストラトスフィア・ファーマ・アクチボラグ (2)
【Fターム(参考)】