説明

非脂肪媒体の中に線状スルホポリエステルと非イオン性の増粘性ポリマーを含む化粧品組成物および該組成物の使用方法および用途

【課題】耐水性のヘアスタイルを形づくる又は保持するための化粧品組成物の開発。
【解決手段】化粧品向けに許容できる非脂肪媒体の中に少なくとも一つの水分散性線状スルホポリエステルと少なくとも一つの非イオン性の増粘性ポリマーを含んでいる化粧品組成物。ヘアスタイルを固定するための、該化粧品組成物の使用方法および用途。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品向けに許容できる非脂肪媒体の中に少なくとも一つの水分散性線状スルホポリエステル(water-dispersible linear sulphonic polyester)と少なくとも一つの非イオン性の増粘性ポリマーを含んでいる化粧品組成物、およびこの組成物の使用方法に関する。本特許出願はまた、化粧品向けに許容できる非脂肪媒体の中に少なくとも一つの水分散性線状スルホポリエステルと少なくとも一つの非イオン性の増粘性ポリマーを含んでいる化粧品組成物の、ヘアスタイルを固定するための用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアスタイルを形づくるおよび/または保持するための化粧品組成物は、本質的に、通常アルコール性である溶液と、一般にポリマー樹脂でありその機能がヘア間の接合を形成するため又はヘアを被覆するためである固定用成分として知られている一つまたはそれ以上の成分とからなるスプレー組成物であってもよい。これら固定用成分はしばしば、様々な化粧品助剤との混合物として処方される。
【0003】
これら化粧品組成物は一般に、ポンプ式分配ボトルの中に又は噴射剤を使用して加圧される適切なエアゾール容器の中に包装されており、エアゾール系はそれでは一方において液相(または流体)をそして他方において噴射剤を含有している。
また、ゲル、クリームまたはムースの形態のスタイリング組成物が使用されてもよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘアに適用されたら、固定用成分はヘアの固定を可能にしなければならない。
しかしながら、スタイリング組成物の中に固定剤として普通に使用されているポリマーはヘアが水と長時間接触するようになったとき例えば雨や汗で濡れたとき又は水浴び中:海水浴中またはスイミングプールなどでの水浴び中に、ヘアスタイルの形状が維持されることを可能にしない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことには、そして有益なことには、本出願人は、化粧品向けに許容できる媒体の中に少なくとも一つの水分散性線状スルホポリエステルと少なくとも一つの非イオン性の増粘性ポリマーを含んでいる化粧品組成物の使用はヘアスタイルを固定すること及び形づくることを可能にし、そしてヘアスタイルが長時間にわたって水と接触するようになったときにもヘアスタイルの形状を維持することも可能にする、ということを見出した。
本特許出願のためには、この現象は「耐水性」と称される。
本特許出願のためには、用語「長時間」は、最低でも、1分間、好ましくは10分間、そしてより好ましくは20分間、水と接触することを意味する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の組成物は大気水分に耐性であるヘアスタイルを得ることをも可能にする。
本発明による組成物は、ヘアの良好な固定と良好な形保持、すなわち、1日中または数日間にもわたって持続するそして良好な耐水性(特に反復水浴びに対する良好な耐性)を示すスタイリング効果、を可能にする;これら組成物はシャンプーで除去できる利点をも示す。
これら組成物は良好な美粧的諸性質を付与されることをも可能にする。
【0007】
本発明の一つの主題は、化粧品向けに許容できる非脂肪媒体の中に少なくとも一つの水分散性線状スルホポリエステルと少なくとも一つの非イオン性の増粘性ポリマーを含んでいる化粧品組成物である。
【0008】
本発明の別の主題は、本発明の化粧品組成物が使用される、ヘアスタイルを形づくる又は保持する方法からなる。
【0009】
本発明の第三の主題は、化粧品向けに許容できる非脂肪媒体の中に少なくとも一つの水分散性線状スルホポリエステルと少なくとも一つの非イオン性の増粘性ポリマーを含んでいる化粧品組成物を、ヘアを固定しそして保持するためのスタイリング組成物として、特に、ヘアが長時間にわたって水と接触するようになる時に、すなわち、雨の場合、汗が出るとき、または水浴び中:たとえば海水浴やスイミングプールに入るときに、使用することに関する。
本発明のこの第三の主題によれば、組成物の使用は耐水性ヘアスタイル(形づくられたヘア)が得られることを可能にする。
【0010】
ヘアの固定または保持はヘアが水と長時間接触した後でも維持される。
本発明に従って使用される組成物はいずれの形態であってもよい:ローション、スプレー、ムース、ゲル、クリーム、ペースト。
【0011】
本発明のその他の主題、特徴、局面および利点は以下の記述および実施例を閲読することで更に明白になるであろう。
【0012】
本特許出願のためには、用語「スタイリング化粧品組成物」はヘアスタイルを形づくる又は保持するための組成物を意味する。
【0013】
本発明による化粧品組成物の中に使用される化粧品向けに許容できる媒体は非脂肪の、水性、アルコール性、または水性/アルコール性の媒体であり、場合によっては少なくとも一つの追加的な有機溶剤を含んでいてもよい。
【0014】
本発明による組成物の中に使用されるアルコールは従って、C〜C低級アルコールから選ばれたモノヒドロキシル化アルカノール、たとえば、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノールおよびn−ブタノール、であり;好ましくは、使用アルコールはエタノールである。
本発明による組成物の中のアルコールの濃度は組成物の総重量に対して0〜50重量%、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%である。
【0015】
本発明による組成物の中に使用してもよい追加的な有機溶剤は、中でも、ポリオール、たとえば、プロピレングリコール、ポリオールエーテルおよびそれらの混合物である。
本発明による組成物中の追加的な有機溶剤の濃度は組成物の総重量に対して0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%である。
【0016】
本特許出願のためには、用語「非脂肪媒体」は媒体中に存在する脂肪物質(単数または複数)の重量が組成物の総重量に対して0〜10%、好ましくは0〜5%であることを意味する。
【0017】
本特許出願による組成物の中に使用されてもよい脂肪物質はシリコーンまたは非シリコーンの脂肪物質、特に、シリコーンまたは非シリコーンの鉱物質のまたは植物性の油およびワックス、またはそれらの混合物、である。
【0018】
本特許出願のためには、用語「脂肪物質」は脂肪相の中に含まれているいずれかの脂溶性化合物、特に、いずれかの脂溶性ポリマー、であるとも考えられる。
【0019】
本発明による組成物の中に使用されてもよいシリコーン油は、周囲温度で液状またはペースト状である線状または環状シリコーン鎖を含有する揮発性または不揮発性のポリメチルシロキサンである;特に、シクロポリジメチルシロキサン類(シクロメチコン類)、たとえば、シクロヘキサシロキサン;シリコーン鎖の側鎖であるか又は末端にあるアルキル、アルコキシもしくはフェニル基を含むポリジメチルシロキサン類、これら基は2〜24個の炭素原子を含有している;フェニルシリコーン類、たとえば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、ポリメチルフェニルシロキサン;およびそれらの混合物である。
【0020】
本発明による組成物の中に使用されてもよい非シリコーンの脂肪物質は全ての天然もしくは合成の、有機もしくは無機の、非シリコーンの油、ワックスまたは樹脂である。
【0021】
本発明のためには、油は可逆性の固/液の状態変化をもつ、周囲温度(約25℃)では液状である親油性化合物である。動物油および植物油はプロパン−1,2,3−トリオールのトリエステルを必須成分として含んでいる。
【0022】
本発明による組成物の中に使用されてもよい油としては、挙げられる例は次のものを包含する:
−動物起源の炭化水素系の油例えばペルヒドロスクアレン(perhydrosqualene);
−植物起源の炭化水素系の油、例えば、炭素原子数4〜10の脂肪酸の液状トリグリセリド、たとえば、ヘプタン酸もしくはオクタン酸トリグリセリド、または、代わりに、たとえば、ひまわり油、とうもろこし油(maize oil)、大豆油、マロウ油(marrow oil)、ぶどう種子油、ごま油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカデミア油、アララ油(arara oil)、ひまわり油、ひまし油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、たとえば、ステアリネリースデュボイス(Stearineries Dubois)社によって販売のもの若しくはダイナミットノーベル(Dynamit Nobel)社によってミグリオール(Miglyol)810、812および818の名で販売のもの、ホホバ油(jojoba oil)またはシアバター油(shea butter oil);
【0023】
−合成エステルおよび合成エーテル、特に、脂肪酸のそれら、たとえば、式RCOORおよびRORの油(式中、Rは炭素原子数8〜29の脂肪酸残基を表わし、そしてRは炭素原子数3〜30の枝分れまたは非枝分れ炭化水素系鎖を表わす)、たとえば、パーセリン油(percellin oil)、イソノニルイソノナノエート、イソプロピルミリステート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−オクチルドデシルステアレート、2−オクチルドデシルエルケート(erucate)またはイソステアリルイソステアレート;ヒドロキシル化エステル、たとえば、イソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、ジイソステアリルマレエート、トリイソセチルシトレートおよび脂肪アルキルヘプタノエート、オクタノエートおよびデカノエート;ポリオールエステル、たとえば、プロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエートおよびジエチレングリコールジイソノナノエート;およびペンタエリトリトールエステル、たとえば、ペンタエリスリチルテトライソステアレート;
【0024】
−鉱物または合成起源の線状または枝分れ炭化水素、たとえば、揮発性または不揮発性の液状パラフィン、およびそれらの誘導体、黄色ワセリン(petroleum jelly)、ポリデセン、および水素化ポリイソブテンたとえばパーレアム油(parleam oil);
−炭素原子数8〜26の流体脂肪アルコール、たとえば、オクチルドデカノール、2−ブチルオクタノール、オレイルアルコール、リノレイル(linoleyl)アルコールまたはリノレニル(linolenyl)アルコール;
−アルコキシル化された、特に、エトキシル化された、脂肪アルコール、たとえば、オレト(oleth)−12;
【0025】
−炭化水素系の部分フルオロ油、たとえば、公報JP−A−2−295912の中に記載されているもの。挙げられるフルオロ油の例は次のものを包含する:ペルフルオロメチルシクロペンタンおよびペルフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、BNFLフルオロケミカルズ(Fluorochemicals)社によって「フルテック(Flutec)PC1(登録商標)」および「フルテックPC3(登録商標)」の名で販売;ペルフルオロ−1,2−ジメチルシクロブタン;ペルフルオロアルカン、たとえば、ドデカフルオロペンタンおよびテトラフルオロへキサン、3M社によって「PF5050(登録商標)」および「PF5060(登録商標)」の名で販売、又は代わりにブロモペルフルオロオクチル、アトケム(Atochem)社によって「フォルアルキル(Foralkyl)(登録商標)」の名で販売;ノナフルオロメトキシブタン、3M社によって「MSX4518(登録商標)」の名で販売、およびノナフルオロエトキシイソブタン;ペルフルオロモルホリン誘導体、たとえば、4−トリフルオロメチルペルフルオロモルホリン、3M社によって「PF5052(登録商標)」の名で販売。
【0026】
上記油リストの中の用語「炭化水素系の油」は、主として炭素と水素原子を含んでおりそしてエステル基、エーテル基、フルオロ基、カルボン酸基および/またはアルコール基を含む可能性もある全ての油を意味する。
【0027】
本発明のためには、ワックスは可逆的な固/液の状態変化をもつ、周囲温度(約25℃)で固体である親油性化合物であり、融点が約40℃より高く200℃までであってもよく、そして固体状態ではアニソトロピック結晶質組織(crystal organization)を有する。動物性および植物性ワックスは必須成分として長鎖アルコールのカルボン酸エステルを含んでいる。一般に、ワックスの結晶の大きさは、結晶が光を拡散および/または散乱してそれらを含む組成物に多少の不透明な曇った外観を与えるようなものである。ワックスをその融点にもっていくと、それを油と混和性にすることそして微視的に均質な混合物を形成することが可能であるが、混合物の温度を周囲温度に戻すと、混合物の油の中でワックスの再結晶化が得られ、その再結晶化は微視的に及び巨視的に検出できる(乳光)。
【0028】
本発明の中に使用されてもよいワックスとしては以下のものを挙げてもよい:動物起源のワックス、たとえば、蜜蝋、鯨油、ラノリンワックスおよびラノリン誘導体;植物性ワックス、たとえば、ひまわりワックス、コメワックス、ポテトワックス、カルナバ蝋、カンデリラ蝋、オーリキュリーワックス(ouricury wax)、モク蝋(Japan wax)、カカオバター、コルクファイバーワックス(cork fibre wax)またはさとうきびワックス(sugarcane wax);鉱物性ワックス、たとえば、パラフィンワックス、黄色ワセリンワックス(petroleum jelly wax)、亜炭蝋(lignite wax)または微結晶質ワックス、セレシン(ceresin)またはオゾケライト(ozokerite);合成ワックス、たとえば、ポリエチレンワックスおよびフィッシャートロプシュワックス、およびそれらの混合物。
【0029】
本発明による組成物は水分散性線状スルホポリエステルを含んでいる。
用語「水分散性線状スルホポリエステル」は、分散体(すなわち、第一相を形成している微細粒子が連続相である第二相の中に一様に分散されているところの2相系)を形成できる全てのスルホポリエステルを意味する。
用語「スルホポリエステル」は、少なくとも一つのジカルボン酸またはそのエステルと少なくとも一つのジオールと芳香核上において基−SOM(ここで、Mは水素原子または金属イオンたとえばNa、LiまたはKを表わす)で置換されている少なくとも一つの二官能性スルホアリールジカルボキシル化合物との重縮合によって得られたコポリエステルを意味する。
【0030】
水分散性線状スルホポリエステルは一般に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(またはGPC)によって測定されたときに約1000〜60000、好ましくは4000〜20000、の重量平均分子量を有する。
これらスルホポリエステルのガラス転移温度(Tg)は一般に、10℃〜100℃の範囲内にある。好ましくは、使用されるポリエステル(単数または複数)のTgは50℃以上である。
ガラス転移温度(Tg)は標準規格ASTM D3418−97に従って示差熱分析(DSC、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry))によって測定される。
【0031】
それらは特許出願US3734874号、US3779993号、US4119680号、US4300580号、US4973656号、US5660816号、US5662893号およびUS5674479号の各明細書の中に更に詳細に記載されている。
【0032】
本発明に好ましく使用されるスルホポリエステルは、少なくともいくつかの、イソフタル酸に由来する単位とスルホアリールジカルボン酸の塩に由来する単位とジエチレングリコールに由来する単位とを含んでおり、そして特に、本発明に使用されるスルホポリエステルはイソフタル酸とスルホイソフタル酸のナトリウム塩とジエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールから得られる。
スルホポリエステルの例としては、特に、ジグリコール/CHDM/イソフタレート/SIPのINCI名で知られておりそしてイーストマンケミカル(Eastman Chemical)社によって「イーストマンAQポリマー」(AQ35S、AQ38S、AQ55S、AQ48ウルトラ)の商品名で販売のものを挙げてもよい。
【0033】
好ましくは、ポリエステル(単数または複数)のTgは50℃以上である。
【0034】
本発明による組成物の中に使用される水分散性線状スルホポリエステル(単数または複数)の濃度は組成物の総重量に対して0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%、である。
【0035】
本発明による組成物は少なくとも一つの非イオン性の増粘性ポリマーを含んでいる。
本発明に従って使用されてもよい、「レオロジー改質剤(rheology modifier)」としても知られている非イオン性のタイプの増粘性ポリマーは、脂肪酸アミド(ココナッツモノエタノールアミドまたはジエタノールアミド、オキシエチレン化カルボン酸アルキルエーテルモノエタノールアミド)、セルロース系増粘剤、たとえば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース、グアーガムおよびその誘導体、たとえば、ヒドロキシプロピルグアーガムたとえばローディア(Rhodia)社によってジャグアー(Jaguar)HP105の名で販売、微生物起源のガム(キサンタンガム、セレログルカンガム(seleroglucan gum))、および非イオン性の会合性ポリマーから選択されてもよい。
【0036】
非イオン性のタイプの増粘性ポリマーは従って、好ましくは、下記の非イオン性の会合性ポリマーから選択されてもよい:
(1)少なくとも一つの脂肪鎖を含む基によって変性されたセルロース:
挙げられる例には下記のものが包含される:
−少なくとも一つの脂肪鎖を含む基(たとえば、アルキル、アリールアルキルまたはアルキルアリール基、またはそれらの混合物、ここでアルキル基は好ましくはC〜C22である)によって変性されたヒドロキシエチルセルロース、たとえば、アクアロン(Aqualon)社によって販売の製品ナトロゾールプラスグレード(Natrosol Plus Grade)330CS(登録商標)(C16アルキル)、またはベロルノーベル(Berol Nobel)社によって販売の製品ベルモセル(Bermocell)EHM100(登録商標)、
−アルキルフェニルポリアルキレングリコールエーテル基によって変性されたもの、たとえば、アメルコール(Amerchol)社によって販売の製品アメルセル(Amercell)ポリマーHM−1500(登録商標)(ノニルフェニルポリエチレングリコール(15)エーテル)。
【0037】
(2)少なくとも一つの脂肪鎖を含む基によって変性されたヒドロキシプロピルグアー、たとえば、ランベルティ(Lamberti)社によって販売の製品エサフロア(Esaflor)HM22(登録商標)(C22アルキル鎖)、およびローネポーレンク(Rhone-Poulenc)社によって販売の製品RE210−18(登録商標)(C14アルキル鎖)およびRE205−1(登録商標)(C20アルキル鎖)。
【0038】
(3)ビニルピロリドンと脂肪鎖疎水性モノマーの共重合体;
挙げられる例には下記のものが包含される:
−I.S.P.社によって販売の製品アンタロン(Antaron)V216(登録商標)またはガネックス(Ganex)V216(登録商標)(ビニルピロリドン/ヘキサデセン共重合体)。
−I.S.P.社によって販売の製品アンタロンV220(登録商標)またはガネックスV220(登録商標)(ビニルピロリドン/エイコセン共重合体)。
【0039】
(4)C〜Cアルキルメタクリレートまたはアクリレートと少なくとも一つの脂肪鎖を含む両親媒性モノマーとの共重合体、たとえば、ゴールドシュミット(Goldschmidt)社によってアンティル(Antil)208(登録商標)の名で販売のオキシエチレン化メチルアクリレート/ステアリルアクリレート共重合体。
【0040】
(5)親水性メタクリレートまたはアクリレートと少なくとも一つの脂肪鎖を含む疎水性モノマーとの共重合体、たとえば、ポリエチレングリコールメタクリレート/ラウリルメタクリレート共重合体。
【0041】
(6)鎖の中に親水性ブロック(通常、ポリオキシエチレン化された性質のもの)と疎水性ブロック(脂肪族のシーケンス(sequences)だけであってもよいしおよび/または脂環式および/または芳香族のシーケンスであってもよい)とを両方とも含んでいるポリウレタンポリエーテル。
【0042】
(7)少なくとも一つの脂肪鎖を含有するアミノプラストエーテル骨格をもつポリマー、たとえば、サドケミー(Sud-Chemie)社によって販売されているピュアシックス(Pure Thix)(登録商標)化合物。
【0043】
好ましくは、ポリウレタンポリエーテルは親水性ブロックによって隔てられた少なくとも2つのC6〜30炭化水素系疎水鎖を含んでおり、これら炭化水素系の鎖は側鎖である可能性または親水性ブロックの末端における鎖である可能性もある。特に、一つの又はそれ以上の側鎖を含むことが可能である。加えて、ポリマーは親水性ブロックの一端に又は両端に炭化水素系の鎖を含んでいてもよい。
【0044】
ポリウレタンポリエーテルは多ブロック特に3ブロック形態であってもよい。疎水性ブロックは鎖の各端にあってもよい(たとえば、親水性の中心ブロックをもつ3ブロック共重合体)または末端と鎖の中と両方に分布されていてもよい(たとえば、多ブロック共重合体)。これら同ポリマーはグラフトポリマーまたはスターバースト(starburst)ポリマーであってもよい。
【0045】
非イオン性の脂肪鎖ポリウレタンポリエーテルは親水性ブロックが50〜1000個のオキシエチレン基を含むポリオキシエチレン化された鎖であるところのトリブロック共重合体であってもよい。非イオン性ポリウレタンポリエーテルは親水性ブロック間にウレタン結合を含んでおり、名称はそれに起因している。
拡大すると、非イオン性の脂肪鎖ポリウレタンポリエーテルには、親水性ブロックが他の化学結合を介して親油性ブロックに連結されているものも包含される。
【0046】
本発明に使用されてもよい非イオン性の脂肪鎖ポリウレタンポリエーテルの例としては、レオックス(Rheox)社によって販売の尿素官能を含有するレオレート(Rheolate)205(登録商標)、またはレオレート(登録商標)208、204または212、およびアクリゾール(Acrysol)RM184(登録商標)を使用することも可能である。
アクゾ(Akzo)からの、C1214アルキル鎖を含有する製品エルファコス(Elfacos)T210(登録商標)、およびC18アルキル鎖を含有する製品エルファコスT212(登録商標)を挙げてもよい。
水中固形分20%で販売の、C20アルキル鎖とウレタン結合を含有しているロームアンドハース(Rhom & Haas)からの製品DW1206B(登録商標)も使用されてもよい。
【0047】
これらポリマーの溶液または分散物、特に、水または水性アルコール性媒体の中での、を使用することも可能である。挙げることができるかかるポリマーの例はレオックス社によって販売のレオレート(Rheolate)(登録商標)255、レオレート(登録商標)278およびレオレート(登録商標)244である。ロームアンドハース社によって販売の製品DW1206FおよびDW1206Jも使用されてもよい。
【0048】
本発明に従って使用されてもよいポリウレタンポリエーテルは特にColloid Polym. Sci 271, 380.389 (1993)に掲載のG. Fonnum, J. Bakke and Fk. Hansenによる論文の中に記載されているものである。
【0049】
更に特により好ましいのは、(i)エチレンオキシド150〜180モルを含む少なくとも一つのポリエチレングリコールと、(ii)ステアリルアルコールまたはデシルアルコールと、(iii)少なくとも一つのジイソシアネートとを含む少なくとも3つの化合物の重縮合によって得られてもよいポリウレタンポリエーテルを使用することである。
かかるポリウレタンポリエーテルは特にロームアンドハース社によってアキュリン(Aculyn)44(登録商標)およびアキュリン46(登録商標)の名で販売されている[アキュリン46(登録商標)は、マルトデキストリン(4%)と水(81%)のマトリックスの中での15重量%の、エチレンオキシド150モルまたは180モルを含有するポリエチレングリコールと、ステアリルアルコールと、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合体である;アキュリン44(登録商標)は、プロピレングリコール(39%)と水(26%)のマトリックスの中での35重量%の、エチレンオキシド150モルまたは180モルを含有するポリエチレングリコールと、デシルアルコールと、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合体である]。
【0050】
本発明による組成物の中に使用される非イオン性の増粘性ポリマー(単数または複数)の濃度は組成物の総重量に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、更により好ましくは0.1〜2重量%である。
【0051】
有利には、水分散性線状スルホポリエステル/非イオン性の増粘性ポリマーの比率は2%〜50%、好ましくは2.5%〜20%、より好ましくは3%〜15%である。
【0052】
本特許出願による組成物はまた、一つまたはそれ以上の追加的な化粧品助剤たとえば下記のものをも含んでいてもよい。
従来使用されてきたいずれかの陰イオン性、陽イオン性、両性または非イオン性の固定用ポリマーおよびそれらの混合物は本特許出願による組成物の中に使用されてもよい。
追加的な固定用ポリマーは化粧品向けに許容できる媒体の中に可溶性であってもよいし、又はこの同媒体の中に不溶性であってもよくそしてこの場合には固体または液体ポリマー粒子の分散物(ラテックスまたはプソイドラテックス)の形態で使用されてもよい。
【0053】
一般に使用される陰イオン性の固定用ポリマーはカルボン酸、スルホン酸またはリン酸に由来する基を含むポリマーであり、そして約500〜5000000の数平均分子量を有する。
カルボキシル基は次の式に相当するもののような不飽和のモノ−またはジ−カルボン酸モノマーによって与えられる:
【0054】
【化1】

【0055】
式中、nは0〜10の整数であり、Aはメチレン基を表わし、場合によって、不飽和基の炭素原子に結合されていてもよく又はnが1より大きい場合には酸素や硫黄のようなヘテロ原子を介して隣接メチレン基に結合されていてもよく、Rは水素原子またはフェニルもしくはベンジル基を表わし、Rは水素原子または低級アルキルもしくはカルボキシル基を表わし、そしてRは水素原子、低級アルキル基、または−CH−COOH、フェニルもしくはベンジル基を表わす。
上記式の中で、低級アルキル基は好ましくは、炭素原子数1〜4の基、特に、メチルおよびエチル基、を表わす。
【0056】
好ましくは、陰イオン性の固定用ポリマーは、アクリル酸およびメタクリル酸またはそれらの塩の単独重合体または共重合体、クロトン酸の共重合体、C〜Cのモノ不飽和カルボン酸または酸無水物の共重合体、カルボキシレート基を含むポリアクリルアミド、スルホン酸基を含む単独重合体または共重合体、陰イオン性ポリウレタン、および陰イオン性のグラフト化されたシリコーンポリマーから選ばれる。
【0057】
本発明によれば、カルボキシル基を含む好ましい陰イオン性の固定用ポリマーは下記のものである:
A)アクリル酸またはメタクリル酸またはそれらの塩の単独重合体または共重合体、特に、アライドコロイド(Allied Colloid)社によってバーシコール(Versicol)(登録商標)EまたはKの名でおよびBASF社によってウルトラホールド(Ultrahold)(登録商標)の名で販売の製品類、アクリル酸とアクリルアミドの共重合体それらのナトリウム塩の形態をハーキュリーズ(Hercules)社によってレテン(Reten)421、423または425の名で販売、またはポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩。
【0058】
B)アクリル酸またはメタクリル酸と、モノエチレン性モノマーたとえばエチレン、スチレン、ビニルエステルまたはアクリル酸もしくはメタクリル酸のエステルとの共重合体、場合によってはポリアルキレングリコールたとえばポリエチレングリコールの上にグラフトされていてもよいし、そして場合によっては架橋されていてもよい。かかるポリマーは特に、仏国特許第1222944号および独国特許出願第2330956号の各明細書の中に開示されており、このタイプの共重合体はそれらの鎖の中に、場合によってN−アルキル化および/または−ヒドロキシアルキル化されていてもよいアクリルアミド単位を含んでおり、たとえば、特にルクセンブルグ特許出願第75370号および第75371号の各明細書の中に開示されている又はアメリカンシアナミド(American Cyanamid)社によってクァッドレーマー(Quadramer)の名で提供される。また、アクリル酸とC〜Cアルキルメタクリレートの共重合体や、ビニルピロリドンとアクリル酸とC〜C20アルキルメタクリレートたとえばラウリルメタクリレートとの三元共重合体、たとえば、ISP社によってアクリリドン(Acrylidone)(登録商標)LMの名で販売の製品、およびメタクリル酸/エチルアクリレート/tert−ブチルアクリレート三元共重合体、たとえば、BASF社によってルビマー(Luvimer)(登録商標)100Pの名で販売の製品、を挙げてもよい。
【0059】
また、メタクリル酸/アクリル酸/エチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体の水性分散物、アメルコール(Amerchol)社によってアメルホールド(Amerhold)(登録商標)DR25の名で販売、を挙げてもよい。
【0060】
C)クロトン酸の共重合体、たとえば、それらの鎖の中にビニルアセテートまたはプロピオネート単位を含むもの、そして場合によってはその他のモノマー、たとえば、アリルもしくはメタリルエステル類、ビニルエーテル、または長い炭化水素鎖たとえば炭素原子数少なくとも5のようなものを含む線状または枝分れ飽和カルボン酸のビニルエステル、を含んでいてもよく、場合によってはこれらポリマーがグラフト化または架橋されることが可能である;または代わりに別のモノマー(それはα−もしくはβ−環式カルボン酸のビニル、アリルもしくはメタリルエステルである)を含むもの。かかるポリマーは、中でも、仏国特許第1222944号、第1580545号、第2265782号、第2265781号、第1564110号および第2439798号の各明細書の中に開示されている。このクラスに入る商品はナショナルスターチ(National Starch)社によって販売のレジン28−29−30、26−13−14および28−13−10である。
【0061】
D)C〜Cモノ不飽和カルボン酸または酸無水物から誘導された共重合体であって下記のものから選ばれる:
−(i)一つまたはそれ以上のマレイン酸、フマル酸またはイタコン酸またはそれら酸無水物と、(ii)ビニルエステル、ビニルエーテル、ハロゲン化ビニル、フェニルビニル誘導体、アクリル酸およびそのエステルから選ばれた少なくとも一つのモノマーとの共重合体、これら共重合体の酸無水物官能は場合によってはモノエステル化またはモノアミド化されていてもよい。かかるポリマーは特に米国特許第2047398号、第2723248号および第2102113号および英国特許第839805号の各明細書の中に記載されている。商品は特に、ISP社によってガントレズ(Gantrez)(登録商標)ANまたはESの名で販売のものである;
【0062】
−(i)一つまたはそれ以上の無水マレイン酸、無水シトラコン酸または無水イタコン酸の単位と、(ii)アリルまたはメタリルエステルから選ばれた一つまたはそれ以上のモノマーとを含む共重合体、場合によっては、それらの鎖の中に、一つまたはそれ以上のアクリルアミド、メタクリルアミド、α−オレフィン、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル、アクリル酸もしくはメタクリル酸、またはビニルピロリドンの基を含んでいてもよく、これら共重合体の酸無水物官能基は場合によってはモノエステル化またはモノアミド化されていてもよい。
【0063】
これらポリマーはたとえば本出願人よる仏国特許第2350384号および第2357241号の各明細書の中に記載されている。
【0064】
E)カルボキシレート基を含むポリアクリルアミド。
【0065】
スルホン酸基を含む単独重合体および共重合体はビニルスルホン酸単位、スチレンスルホン酸単位、ナフタレンスルホン酸単位またはアクリルアミド−アルキルスルホン酸単位を含むポリマーである。
【0066】
これらポリマーは特に下記のものから選ぶことができる:
−約1000〜100000の分子量を有するポリビニルスルホン酸の塩、同様に、不飽和コモノマー、たとえばアクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステル、さらには、アクリルアミドまたはその誘導体、ビニルエーテルおよびビニルピロリドン、との共重合体;
−ポリスチレンスルホン酸の塩、たとえば、ナトリウム塩、たとえば、ナショナルスターチによってフレキサン(Flexan)(登録商標)500およびフレキサン(登録商標)130の名で販売。これら化合物は仏国特許第2198719号明細書の中に開示されている;
−ポリアクリルアミドスルホン酸の塩、たとえば、米国特許第4128631号明細書の中に挙げられているもの、および特にポリアクリルアミドエチルプロパンスルホン酸、ヘンケル(Henkel)によってコスメディア(Cosmedia)ポリマーHSP1180の名で販売。
【0067】
本発明に従って使用できるその他の陰イオン性の固定用ポリマーとしては、ノベオン(Noveon)社によってフィクセート(Fixate)G−100の名で販売の陰イオン性の枝分れブロックポリマーを挙げてもよい。
【0068】
本発明によれば、陰イオン性の固定用ポリマーは好ましくは、次のものから選択される:アクリル酸共重合体、たとえば、アクリル酸/エチルアクリレート/N−tert−ブチルアクリルアミド三元共重合体(特に、BASF社によってウルトラホールド(登録商標)ストロング(Strong)の名で販売)、クロトン酸から誘導された共重合体、たとえば、酢酸ビニル/tert−ブチル安息香酸ビニル/クロトン酸三元共重合体およびクロトン酸/酢酸ビニル/ネオデカノン酸ビニル三元共重合体(特に、ナショナルスターチ社によってレジン28−29−30の名で販売)、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸またはそれらの酸無水物と、ビニルエステル、ビニルエーテル、ハロゲン化ビニル、フェニルビニル誘導体やアクリル酸やそのエステルとから誘導されたポリマー、たとえば、メチルビニルエーテル/モノエステル化無水マレイン酸共重合体(たとえば、ISP社によってガントレズ(登録商標)ES425の名で販売)、メタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合体(ロームファーマ(Rohm Pharma)社によってユードラギット(Eudragit)(登録商標)Lの名で販売)、メタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体(BASF社によってルビマー(Luvimer)(登録商標)MAEXまたはMAEの名で販売)、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(BASF社によってルビセット(Luviset)CA66の名で販売)、ポリエチレングリコールによってグラフト化された酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(BASF社によってアリストフレックス(Aristoflex)(登録商標)Aの名で販売)、およびノベオン(Noveon)社によってフィクセート(Fixate)G−100の名で販売のポリマー。
【0069】
上記の陰イオン性の固定用ポリマーの中でも、本発明の関連での使用に特に好ましいのは、ISP社によってガントレズ(登録商標)ES425の名で販売のメチルビニルエーテル/モノエステル化無水マレイン酸共重合体、BASF社によってウルトラホールド(Ultrahold)(登録商標)ストロングの名で販売のアクリル酸/エチルアクリレート/N−tert−ブチルアクリルアミド三元共重合体、ロームファーマ社によってユードラギット(登録商標)Lの名で販売のメタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合体、酢酸ビニル/tert−ブチル安息香酸ビニル/クロトン酸三元共重合体およびクロトン酸/酢酸ビニル/ネオドデカン酸ビニル三元共重合体(ナショナルスターチ社によってレジン28−29−30の名で販売)、BASF社によってルビマー(登録商標)MAEXまたはMAEの名で販売のメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体、ISP社によってアクリリドン(登録商標)LMの名で販売のビニルピロリドン/アクリル酸/メタクリル酸ラウリル三元共重合体、およびノベオン社によってフィクセートG−100の名で販売のポリマーである。
【0070】
本発明に従って使用されてもよい皮膜形成性の陽イオン性の固定用ポリマーは好ましくは、重合鎖の部分を形成している又はそれに直接結合している第一、第二、第三または第四アミン基を含んでおりそして500〜約5000000の分子量、好ましくは1000〜3000 000の分子量を有するポリマーから選ばれる。
好ましくは、陽イオン性の固定用ポリマーは、アミン官能を含有しているアクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドの単独重合体または共重合体、陽イオン性多糖類、ビニルピロリドンとビニルイミダゾールの第四級共重合体、およびキトサンから選ばれる。
【0071】
これらポリマーの中でも、特に下記の陽イオン性ポリマーを挙げてもよい:
(1)下記式の単位の少なくとも一つを含んでいるアクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドから誘導された単独重合体または共重合体;
【0072】
【化2】

【0073】
式中、
は水素原子またはCH基を表わし;
Aは炭素原子数1〜6の線状もしくは枝分れアルキル基または炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基であり;
、RおよびRは、同一または異なり、炭素原子数1〜18のアルキル基またはベンジル基を表わし;
およびRは、同一または異なり、各々は水素原子、または炭素原子数1〜6のアルキル基を表わし;
Xはメトスルフェートアニオンまたはハライドたとえばクロライドやブロマイドを表わす。
【0074】
系統(1)の共重合体はさらにコモノマーに由来する一つまたはそれ以上の単位を含有しており、コモノマーは、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ジアセトンアクリルアミド類、窒素上において低級(C〜C)アルキル基で置換されているアクリルアミド類およびメタクリルアミド類、アクリル酸またはメタクリル酸またはそれらのエステルから誘導された基、ビニルラクタム類たとえばビニルピロリドンまたはビニルカプロラクタム、およびビニルエステル類の系統から選ばれてもよい。
【0075】
それ故に、系統(1)のこれら共重合体の中でも、下記のものを挙げてもよい:
−アクリルアミドと、硫酸ジメチルによって又はハロゲン化メチルによって第4級化されているジメチルアミノエチルメタクリレートとの共重合体、たとえば、ハーキュリーズ(Hercules)社によってヘルコフロック(Hercofloc)(登録商標)の名で販売の製品、
−アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドの共重合体、たとえば特許出願EP−A−080976号公開公報の中に開示されてそしてチバガイギー(Ciba-Geigy)社によってビナクァット(Bina Quat)P100の名で販売、
−アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトスルフェートの共重合体、たとえば、ハーキュリーズ社によってレテンの名で販売の製品、
【0076】
−4級化された又はされてないビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレートまたはメタクリレート共重合体、たとえば、ISP社によって「ガフクァット(Gafquat)(登録商標)」の名で販売の製品、たとえば、「ガフクァット(登録商標)734」または「ガフクァット(登録商標)755」、または代わりに「コポリマー(Copolymer)(登録商標)845、958および937」として知られた製品。これらポリマーは仏国特許第2077143号および第2393573号の各明細書の中に詳細に記載されている、
−ビニルピロリドン単位を含む脂肪鎖ポリマー、たとえば、ISP社によってスタイレゼ(Styleze)W20およびスタイレゼW10の名で販売の製品、
【0077】
−ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン三元共重合体、たとえば、ISP社によってガフィックス(Gaffix)VC713の名で販売の製品、
−4級化されたビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体、たとえば、ISP社によって「ガフクァット(登録商標)HS100」の名で販売の製品。
【0078】
(2)陽イオン性多糖類、好ましくは、第四アンモニウムを含有、たとえば、米国特許第3,589,578号および第4,031,307号の各明細書の中に開示されているもの、たとえば、トリアルキルアンモニウムカチオン基を含有するグアーガム。かかる製品は特に、メイホール(Meyhall)社によってジャグアーC13S、ジャグアーC15およびジャグアーC17の商品名で販売されている。
【0079】
(3)ビニルピロリドンとビニルイミダゾールの第四級共重合体。
【0080】
(4)キトサンまたはそれらの塩;使用できる塩は特に、キトサンアセテート、ラクテート、グルタメート、グルコネートまたはピロリドンカルボキシレートである。
これら化合物の中でも、アバー・テクノロジーズ(Aber Technologies)社によってキタンブルトスタンダード(Kytan Brut Standard)の名で販売の90.5重量%の脱アセチル化度を有するキトサン、またはアメルコール社によってキタマー(Kytamer)(登録商標)の名で販売のキトサンピロリドンカルボキシレート、を挙げてもよい。
【0081】
(5)陽イオン性セルロース誘導体、たとえば、第四アンモニウムを含んでいる、セルロースの、または水溶性モノマーによってグラフト化されたセルロース誘導体の、共重合体、特に、特許US4131576号明細書の中に開示されており、たとえば、特にメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムまたはジメチルジアリルアンモニウム塩によってグラフト化されているヒドロキシアルキルセルロースたとえばヒドロキシメチル−、ヒドロキシエチル−またはヒドロキシプロピルセルロースの共重合体。
この定義に相当する市販製品は特に、ナショナルスターチ社によって「セルクァット(Celquat)L200」および「セルクァットH200」の名で販売の製品である。
【0082】
本発明に従って使用できる両性の固定用ポリマーは重合鎖の中に無作為に分布された単位BおよびCを含むポリマーから選ぶことができ、ここで、Bは少なくとも1個の塩基性窒素原子を含むモノマーに由来する単位を表わし、そしてCは一つまたはそれ以上のカルボキシル基またはスルホン酸基を含む酸性モノマーに由来する単位を表わす、又は代わりにBとCはカルボキシベタインまたはスルホベタイン両性イオン性モノマーから誘導された基を表わすことができる;
BとCはまた、アミン基の少なくとも一つが炭化水素基を介して結合されたカルボキシル基またはスルホン酸基を担持している第一、第二、第三または第四アミン基を含んでいる陽イオン性の重合鎖を表わすことができる、又は代わりにBとCはα,β−ジカルボキシルエチレン単位を含有するポリマーの鎖の部分を形成しておりそのカルボキシル基の一つが一つまたはそれ以上の第一または第二アミン基を含むポリアミンと反応されている。
【0083】
好ましくは、両性の固定用ポリマーは、酸性ビニル単位と塩基性ビニル単位を含有する共重合体、架橋およびアシル化されているポリアミノアミド、両性イオン性単位を含有するポリマー、キトサン系ポリマー、変性(C〜C)アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、両性ポリウレタンおよび両性グラフト化シリコーンポリマーから選ばれる。
【0084】
上記定義に相当する更に特に好ましい両性の固定用ポリマーは下記ポリマーから選ばれる:
1)酸性ビニル単位と塩基性ビニル単位を含む共重合体、たとえば、特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、α−クロルアクリル酸のようなカルボキシル基を担持するビニル化合物から誘導されたモノマーと、特にジアルキルアミノアルキルメタクリレートおよびアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドおよび−アクリルアミドのような少なくとも一つの塩基性原子を含有する置換ビニル化合物から誘導された塩基性モノマーとの共重合から得られるもの。かかる化合物は米国特許第3,836,537号明細書の中に記載されている。
【0085】
2)下記単位を含むポリマー:
a)窒素原子上においてアルキル基で置換されているアクリルアミドまたはメタクリルアミドから選ばれた少なくとも一つのモノマーに由来する単位と、
b)一つまたはそれ以上の反応性カルボキシル基を含有する少なくとも一つの酸性コモノマーに由来する単位と、
c)少なくとも一つの塩基性モノマー、たとえば、アクリル酸およびメタクリル酸の第一、第二、第三および第四アミン置換基を含有するエステル、および硫酸ジメチルまたはジエチルによるジメチルアミノエチルメタクリレートの第四級化生成物、に由来する単位。
【0086】
本発明によれば更に特に好ましいN−置換アクリルアミドまたはメタクリルアミドは、その中のアルキル基が炭素原子数2〜12であるところの化合物、特に、N−エチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−デシルアクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、および対応するメタクリルアミド、である。
酸性コモノマーは、特に、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸およびフマル酸、およびマレイン酸またはフマル酸またはそれらの酸無水物の炭素原子数1〜4のアルキルモノエステルから選ばれる。
好ましい塩基性コモノマーは、アミノエチル、ブチルアミノエチル、N,N´−ジメチルアミノエチルおよびN−tert−ブチルアミノエチルメタクリレートである。
【0087】
CTFA名(第4版、1991年)ではオクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレート共重合体と命名される共重合体、たとえば、ナショナルスターチ社によってアンフォマー(Amphomer)(登録商標)またはロボクリル(Lovocryl)(登録商標)の名で販売の製品、が特に使用される。
【0088】
(3)下記一般式のポリアミノアミドから部分的にまたは全体的に誘導された、架橋およびアシル化されたポリアミノアミド:
【0089】
【化3】

【0090】
[式中、R10は2価基を表わし、飽和ジカルボン酸に由来するか、又はエチレン性二重結合を含有する脂肪族モノもしくはジカルボン酸に由来するか、又はこれら酸類の低級C1〜6アルカノールのエステルに由来するか、又は前記酸類のいずれか一つへのビス第一アミンもしくはビス第二アミンの付加から誘導される基に由来し、そしてZはビス第一またはモノもしくはビス第二ポリアルキレンポリアミンに由来する基を表わしそして好ましくは下記のものを表わす:
a)60〜100モル%の割合の、基
【0091】
【化4】

【0092】
(式中、x=2、そしてp=2または3であるか、又は、x=3、そしてp=2であり、この基はジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンまたはジプロピレントリアミンに由来する);
b)0〜40モル%の割合の、上記基(III)(式中、x=2、そしてp=1であり、この基はエチレンジアミンに由来する)またはピペラジン由来基:
【0093】
【化5】

【0094】
c)0〜20モル%の割合の、ヘキサメチレンジアミン由来基−NH−(CH−NH−]、
これらポリアミノアミドは、エピハロヒドリン、ジエポキシド、二酸無水物およびビス不飽和誘導体から選ばれた二官能性架橋剤の付加反応によって、ポリアミノアミドのアミノ基当り0.025〜0.35モルの架橋剤によって、架橋され、かつアクリル酸、クロロ酢酸またはアルカンスルトンまたはそれらの塩との反応によってアシル化される。
【0095】
飽和カルボン酸は好ましくは、炭素原子数6〜10の酸、たとえば、アジピン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸および2,4,4−トリメチルアジピン酸、から選ばれ、テレフタル酸、エチレン性二重結合を含有する酸、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸。
アシル化に使用されるアルカンスルトンは好ましくは、プロパンスルトンまたはブタンスルトンである;アシル化剤の塩は好ましくはナトリウム塩またはカリウム塩である。
【0096】
(4)下記式の両性イオン性単位を含むポリマー:
【0097】
【化6】

【0098】
式中、R11は重合性の不飽和基、たとえば、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミドまたはメタクリルアミド基、を表わし、yおよびzは1〜3の整数を表わし、R12およびR13は水素原子、メチル、エチルもしくはプロピル基を表わし、そしてR14およびR15はR14とR15の中の炭素原子数の和が10を超えないように水素原子またはアルキル基を表わす。
【0099】
かかる単位を含むポリマーは、両性イオン性でないモノマー、たとえば、ジメチル−またはジエチルアミノエチルアクリレートまたはメタクリレートまたはアルキルアクリレートまたはメタクリレート、アクリルアミドまたはメタクリルアミド、または酢酸ビニル、から誘導された単位をも含むことができる。
例としては、メチルメタクリレート/メチルジメチルカルボキシメチルアンモニオエチルメタクリレート共重合体、たとえば、サンドズ(Sandoz)社によってダイアフォーマー(Diaformer)Z301の名で販売の製品、を挙げてもよい。
【0100】
(5)下記式に相当するモノマー単位を含むキトサンから誘導されたポリマー:
【0101】
【化7】

【0102】
[単位(D)は0〜30%の割合で存在し、単位(E)は5〜50%の割合で存在し、そして単位(F)は30〜90%の割合で存在し、この単位(F)の中では、R16は下記式の基を表わすということが理解される:
【0103】
【化8】

【0104】
(式中、q=0の場合には、R17、R18およびR19は同一または異なり、各々は水素原子、メチル、ヒドロキシル、アセトキシもしくはアミノ残基、モノアルキルアミン残基もしくはジアルキルアミン残基(それらは場合によって1個またはそれ以上の窒素原子が介在していてもよくそして/または場合によっては1個またはそれ以上のアミン、ヒドロキシル、カルボキシル、アルキルチオまたはスルホン酸基で置換されていてもよい)、アルキル基がアミノ残基を担持しているところのアルキルチオ残基を表わし、この場合、R17、R18およびR19基の少なくとも一つは水素原子である;
またはq=1の場合には、R17、R18およびR19は各々、水素原子を表わす)]、
およびこれら化合物と塩基または酸とによって形成された塩。
【0105】
(6)下記一般式(V)に相当するポリマー、たとえば、仏国特許第1400366号明細書の中に記載されている:
【0106】
【化9】

【0107】
式中、R20は水素原子またはCHO、CHCHOもしくはフェニル基を表わし、R21は水素原子または低級アルキル基たとえばメチルやエチルを表わし、R22は水素原子またはC〜C低級アルキル基たとえばメチルやエチルを表わし、そしてR23はC〜C低級アルキル基たとえばメチルやエチル、または式−R24−N(R22に相当する基(ここで、R24は−CH−CH−、−CH−CH−CH−または−CH−CH(CH)−基を表わし、そしてR22は上記の意味を有する)を表わす。
【0108】
(7)キトサンのN−カルボキシアルキル化から誘導されたポリマー、たとえば、N−(カルボキシメチル)キトサンまたはN−(カルボキシブチル)キトサン、ジャンデッカー(Jan Dekker)社によって「エバルサン(Evalsan)」の名で販売。
【0109】
(8)下記のものから選ばれた−D−X−D−X−タイプの両性ポリマー:
a)クロロ酢酸またはクロロ酢酸ナトリウムを、下記式の少なくとも一つの単位を含む化合物に作用させることによって得られるポリマー:
−D−X−D−X−D− (VI)
式中、Dは基:
【0110】
【化10】

【0111】
を表わし、そしてXは符号EまたはE´を表わし、EまたはE´は同一または異なり、2価基を表わし、それは主鎖の中に7個以下の炭素原子を含む直鎖または枝分れ鎖アルキレン基であり、それは非置換であるか又はヒドロキシル基で置換されておりそしてそれは更に酸素、窒素および硫黄原子、1〜3個の芳香族および/または複素環式の環を含むことができる;酸素、窒素および硫黄原子はエーテル、チオエーテル、スルホキシド、スルホン、スルホニウム、アルキルアミンまたはアルケニルアミン基、ヒドロキシル、ベンジルアミン、アミンオキシド、第四アンモニウム、アミド、イミド、アルコール、エステルおよび/またはウレタン基の形態で存在する。
【0112】
b)下記式のポリマー:
−D−X−D−X− (VI´)
式中、Dは基
【0113】
【化11】

【0114】
を表わし、そしてXは符号EまたはE´を表わし、そして少なくとも一度はE´、Eは上記意味を有し、そしてE´は2価基であり、それは主鎖の中に7個以下の炭素原子を有する直鎖または枝分れ鎖をもつアルキレン基であり、それは非置換であるか又は一つまたはそれ以上のヒドロキシル基で置換されておりそしてそれは一つまたはそれ以上の窒素原子を含有し、窒素原子は、場合によって酸素原子が介在していてもよいアルキル基によって置換されておりそして必要ならば一つまたはそれ以上のカルボキシル官能または一つまたはそれ以上のヒドロキシル官能を含有しそしてクロロ酢酸またはクロロ酢酸ナトリウムとの反応によってベタイン化されている。
【0115】
(9)N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンたとえばN,N−ジメチルアミノプロピルアミンによる半アミド化によって又はN,N−ジアルキルアミノアルカノールによる半エステル化によって部分的に変性された(C〜C)アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体。これら共重合体はその他のビニルコモノマーたとえばビニルカプロラクタムをも含むことができる。
【0116】
上記の両性の固定用ポリマーの中でも、本発明に従って、特に最も好ましいものは、系統(3)のもの、たとえば、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレート共重合体のCTFA名をもつ共重合体類、たとえば、ナショナルスターチ社によってアンフォマー(登録商標)の名で販売の製品類、アンフォマー(登録商標)LV71またはロボクリル(Lovocryl)(登録商標)47、および系統(4)のもの、たとえば、メチルメタクリレート/メチルジメチルカルボキシメチルアンモニオエチルメタクリレートの共重合体、たとえば、サンドズ社によってダイアフォーマーZ301の名で販売、である。
【0117】
本発明に従って使用されてもよい非イオン性の固定用ポリマーは例えば次のものから選ばれる:
−ポリアルキルオキサゾリン;
−酢酸ビニル単独重合体;
−酢酸ビニル共重合体、たとえば、酢酸ビニルとアクリル酸エステルの共重合体、酢酸ビニルとエチレンの共重合体、または酢酸ビニルとマレイン酸エステルたとえばマレイン酸ジブチルとの共重合体;
−アクリル酸エステルの単独重合体および共重合体、たとえば、アルキルアクリレートとアルキルメタクリレートの共重合体、たとえば、ロームアンドハース(Rohm & Haas)社によってプリマル(Primal)(登録商標)AC−261Kおよびユードラギット(登録商標)NE30Dの名で、BASF社によって8845の名で又はヘキスト(Hoechst)社によってアップレタン(Appretan)(登録商標)N9212の名で販売の製品;
【0118】
−アクリロニトリルと非イオン性モノマー(たとえばブタジエンおよびアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる)の共重合体;ロームアンドハースによってCJ0601の名で販売の製品を挙げてもよい;
−スチレン単独重合体;
−スチレン共重合体、たとえば、スチレンとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体、たとえば、ヘキスト社によって販売の製品モウィリス(Mowilith)(登録商標)LDM6911、モウィリス(登録商標)DM611およびモウィリス(登録商標)LDM6070またはレーネポーレンク(Rhoene-Poulenc)によって販売の製品ロードパス(Rhodopas)(登録商標)SD215およびロードパス(登録商標)DS910、スチレンとアルキルメタクリレートとアルキルアクリレートの共重合体、スチレンとブタジエンの共重合体、またはスチレンとブタジエンとビニルピリジンの共重合体;
【0119】
−ポリアミド;
−ビニルピロリドン単独重合体以外のビニルラクタム単独重合体、たとえば、ポリビニルカプロラクタム、BASF社によってルビスコール(Luviskol)(登録商標)プラス(Plus)の名で販売;および
−ビニルラクタム共重合体、たとえば、ポリ(ビニルピロリドン/ビニルラクタム)共重合体、BASF社によってルビテック(Luvitec)(登録商標)VPC55K65Wの名で販売、ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル)共重合体、たとえば、ISP社によってPVPVA(登録商標)S630Lの名で又はBASFによってルビスコール(登録商標)VA73、VA64、VA55、VA37およびVA27の名で販売のもの;およびポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニル)三元共重合体、たとえば、BASF社によってルビスコール(登録商標)VPA343の名で製品。
【0120】
上記の非イオン性ポリマーのアルキル基は好ましくは炭素原子数1〜6を有する。
【0121】
本発明によれば、ポリシロキサン部分と無シリコーンの有機鎖からなる部分とを含むグラフト化されたシリコーンタイプの固定用ポリマーを使用することも可能であり、この2つの部分の一方がポリマーの主鎖を構成し、そして他方が前記主鎖上にグラフト化されている。
これらポリマーは、たとえば、特許出願EP−A−0412704号、EP−A−0412707号、EP−A−0640105号、WO95/00578号、EP−A−0582152号、およびWO93/23009号の各公開公報、および特許US4693935号、US4728571号およびUS4972037号の各明細書の中に記載されている。
これらポリマーは両性、陰イオン性または非イオン性であることができ、そしてそれらは好ましくは陰イオン性または非イオン性である。
【0122】
かかるポリマーは、たとえば、
a)50〜90重量%のtert−ブチルアクリレート、
b)0〜40重量%のアクリル酸、
c)5〜40重量%の下記式のシリコーンマクロマー(silicone macromer):
【0123】
【化12】

【0124】
(式中、vは5〜700の範囲の数である)
から形成されたモノマーの混合物からのラジカル重合によって得ることができる共重合体であり、重量%はモノマーの総重量に対して計算されている。
【0125】
グラフト化されたシリコーンポリマーのその他の例は特に、チオプロピレンタイプの連結基を介してポリ((メタ)アクリル酸)タイプとポリ(アルキル(メタ)アクリレート)タイプの混合ポリマー単位がグラフト化されたポリジメチルシロキサン類(PDMSs)、および、チオプロピレンタイプの連結基を介してポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)タイプのポリマー単位がグラフト化されたポリジメチルシロキサン類(PDMSs)である。
固定用シリコーンポリマーのその他のタイプとしては、BASF社によって販売の製品ルビフレックス(Luviflex)(登録商標)シルク(Silk)を挙げてもよい。
【0126】
固定用ポリマーとしては、また、官能化された又はされてない、シリコーンまたは非シリコーンの、陽イオン性、非イオン性、陰イオン性または両性のポリウレタンまたはそれらの混合物が使用されてもよい。
【0127】
本発明によって特に意図されるポリウレタンは、本出願人が所有者である出願EP0751162号、EP0637600号、EP0648485号、およびFR2743297号の各公開公報の中に、およびBASF社の出願EP0656021号およびWO94/03510号およびナショナルスターチ社の出願EP0619111号の各公開公報の中に開示されているものである。
本発明に特に適するポリウレタンとしては、BASF社によってルビセットPur(登録商標)およびルビセット(登録商標)Si Purの名で販売の製品を挙げてもよい。
【0128】
本発明による組成物が一つまたはそれ以上の追加的な固定用ポリマー(単数または複数)を含んでいる場合には、それらの濃度は組成物の総重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。
【0129】
本特許出願による組成物は、追加的な化粧品助剤として、少なくとも一つの追加的な増粘性ポリマー(「レオロジー調節剤」としても知られている)をも含有してもよい;本発明のための補助の増粘性ポリマーと称されるこの追加的な増粘性ポリマーは陽イオン性、陰イオン性および両性の増粘性ポリマーから選ばれる。
【0130】
追加的な増粘性ポリマー(単数または複数)の濃度は組成物の総重量に対して0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%である。
【0131】
本発明によるスタイリング組成物はさらに、次のものから選ばれた少なくとも一つの添加剤を含むことができる:非イオン性、陰イオン性、陽イオン性および両性の界面活性剤、本発明に従って組成物の中に使用される固定用ポリマー以外の非イオン性、陰イオン性、陽イオン性および両性の追加的なポリマー、セラミドおよび擬似セラミド、ビタミンおよびプロビタミン(パンテノール(panthenol)も含めて)、シリコーンまたは非シリコーンの水溶性および脂溶性のサンスクリーン剤、充填剤および固体粒子、たとえば、着色または非着色の無機および有機の顔料、真珠光沢付与剤および不透明剤、フレーク(flake)、活性粒子、染料、金属イオン封鎖剤、可塑剤、可溶化剤、酸性化剤、塩基性化剤、中和剤、無機および有機の増粘剤、抗酸化剤、ヒドロキシ酸、浸透剤(penetrant)、香料および防腐剤。
【0132】
当業者はこれら任意的な添加剤およびその量を、それらが本発明の組成物の諸性質に有害にならないように、注意して選択するであろう。
これら添加剤は本発明の組成物の中に組成物の総重量に対して0〜20重量%の範囲の量で存在する。
【0133】
下記実施例は本発明を例証しており、どのようにも本発明を制限するものとして解釈されるべきでない。
実施例
下記処方物Aが調製される。
【0134】
【表1】

【0135】
イーストマンによって販売のイーストマンAQ55Sはジエチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール/イソフタレート/スルホイソフタレート共重合体であり、そして本特許出願によって定義された通りの水分散性の線状スルホポリエステルである。
【0136】
ヒドロキシプロピルグアー(ジャグアー(Jaguar)HP105−ローディア)は本特許出願に従って定義された通りの非イオン性の増粘性ポリマーである。
【0137】
作業原案
−長さ27cmの天然ヘア2.7gの一房に、試験処方物2gを適用する。
−この処理された一房のヘアを、付形するために、直径1cmのカーラーに巻きつける。
−これを乾燥するために開放空気中に放置し、それからカーラーから一房のヘアを優しくとりはずす。
−こうして付形された一房のヘアを、次いで、室温で、100rpmの磁気的攪拌を伴う8リットルの食塩水浴(3%NaCl)の中に浸漬する。
−ヘアの形状保持を評価するために一房のヘアの長さを時間にわたって測定する。
【0138】
形状保持の測定
形状保持%:(L−L)/(L−L100
L: カールした一房のヘアの、時間tにおける長さ
: 付形しそしてカーラーからとりはずした後のカールした一房のヘアの長さ
: カーラーでヘアを付形する前の一房のヘアの長さ
【0139】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品向けに許容できる非脂肪媒体の中に少なくとも一つの水分散性線状スルホポリエステルと少なくとも一つの非イオン性の増粘性ポリマーを含んでいる化粧品組成物。
【請求項2】
水分散性線状スルホポリエステルが少なくとも一つのジカルボン酸またはそのエステルと、少なくとも一つのジオールと、芳香核上において基−SOM(ここで、Mは水素原子または金属イオンたとえばNa、LiまたはKを表わす)で置換されている少なくとも一つの二官能性スルホアリールジカルボキシル化合物との重縮合体である、請求項1の化粧品組成物。
【請求項3】
水分散性線状スルホポリエステルがイソフタル酸とスルホイソフタル酸のナトリウム塩とジエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとから得られる、請求項1または2の化粧品組成物。
【請求項4】
使用される水分散性線状スルホポリエステル(単数または複数)のTgが50℃以上である、請求項1〜3のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項5】
水分散性線状スルホポリエステル(単数または複数)の濃度が組成物の総重量に対して0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%である、請求項1〜4のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項6】
脂肪酸アミド(ココナッツモノエタノールアミドまたはジエタノールアミド、オキシエチレン化カルボン酸アルキルエーテルモノエタノールアミド)、セルロース系増粘剤たとえばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース、グアーガムおよびその誘導体たとえばヒドロキシプロピルグアーガム、微生物起源のガム(キサンタンガム、スクレログルカンガム)および非イオン性の会合性ポリマーから選ばれた少なくとも一つの非イオン性の増粘性ポリマーを含んでいる、請求項1〜5のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項7】
少なくとも一つの脂肪鎖を含む基によって変性されたセルロース;少なくとも一つの脂肪鎖を含む基によって変性されたヒドロキシプロピルグアー;ビニルピロリドンと脂肪鎖疎水性モノマーとの共重合体;C1〜6アルキルアクリレートまたはメタクリレートと少なくとも一つの脂肪鎖を含む両親媒性モノマーとの共重合体;親水性アクリレートまたはメタクリレートと少なくとも一つの脂肪鎖を含む疎水性モノマーとの共重合体;鎖の中に親水性ブロック(通常、ポリオキシエチレン化された性質のそれ)と疎水性ブロック(脂肪族のシーケンスだけであってもよいしおよび/または脂環式および/または芳香族のシーケンスであってもよい)とを両方とも含むポリエーテルポリウレタン;少なくとも一つの脂肪鎖を含有するアミノプラストエーテル骨格をもつポリマー、から選ばれた少なくとも一つの非イオン性の増粘性ポリマーを含んでいる、請求項1〜6のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項8】
非イオン性の増粘性ポリマー(単数または複数)の濃度が組成物の総重量に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である、請求項1〜7のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項9】
水分散性線状スルホポリエステル/非イオン性増粘性ポリマー(単数または複数)比率が2%〜50%、好ましくは2.5%〜20%、より好ましくは3%〜15%である、請求項1〜8のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項10】
陰イオン性、陽イオン性、両性および非イオン性の固定用ポリマーから選ばれた固定用ポリマーまたはそれらの混合物を含んでいる、請求項1〜9のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項11】
陽イオン性の固定用ポリマーが、アミン官能を含有しているアクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドの単独重合体または共重合体、陽イオン性多糖類、ビニルピロリドンとビニルイミダゾールの第四級共重合体、およびキトサンから選ばれる、請求項10の化粧品組成物。
【請求項12】
陰イオン性の固定用ポリマーが、アクリル酸またはメタクリル酸またはそれらの塩の単独重合体または共重合体、クロトン酸共重合体、C〜Cモノ不飽和カルボン酸または酸無水物の共重合体、カルボキシレート基を含有するポリアクリルアミド、スルホン酸基を含有する単独重合体または共重合体、陰イオン性ポリウレタンおよび陰イオン性グラフト化シリコーンポリマーから選ばれる、請求項10の化粧品組成物。
【請求項13】
両性の固定用ポリマーが、酸性ビニル単位と塩基性ビニル単位を含有する共重合体、架橋およびアシル化されているポリアミノアミド、両性イオン性単位を含有するポリマー、キトサン系ポリマー、変性(C〜C)アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、両性ポリウレタンおよび両性グラフト化シリコーンポリマーから選ばれる、請求項10の組成物。
【請求項14】
非イオン性の固定用ポリマーが、ポリアルキルオキサゾリン、酢酸ビニル単独重合体および共重合体、アクリル酸エステル単独重合体および共重合体、アクリロニトリル共重合体、スチレン単独重合体および共重合体、ポリアミド、ビニルピロリドン単独重合体以外のビニルラクタム単独重合体、ビニルラクタム共重合体、非イオン性ポリウレタンおよび非イオン性グラフト化シリコーンポリマーから選ばれる、請求項10の組成物。
【請求項15】
固定用ポリマー(単数または複数)の濃度が組成物の総重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である、請求項10〜14のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項16】
追加的な陽イオン性、陰イオン性または両性の増粘性ポリマーを含んでいる、請求項1〜15のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項17】
追加的な増粘性ポリマーの濃度が組成物の総重量に対して0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%である、請求項1〜16のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項18】
非イオン性、陰イオン性、陽イオン性および両性の表面活性剤、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性および両性の追加的ポリマー、セラミドおよび擬似セラミド、ビタミンおよびプロビタミン(パンテノールも含めて)、シリコーンまたは非シリコーンの水溶性および脂溶性のサンスクリーン剤、充填剤および固体粒子、たとえば、着色または非着色の無機質および有機質の顔料、真珠光沢付与剤および不透明剤、フレーク、活性粒子、染料、金属イオン封鎖剤、可塑剤、可溶化剤、酸性化剤、塩基性化剤、中和剤、無機質および有機質の増粘剤、抗酸化剤、ヒドロキシ酸、浸透剤、香料および防腐剤から選ばれた少なくとも一つの添加剤を含有する、請求項1〜17のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項の化粧品組成物を使用する、ヘアスタイルを形づくる又は保持する方法。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれか一項の化粧品組成物の、ヘアを固定し保持するための用途。
【請求項21】
耐水性のヘアスタイルを得るための、請求項20の組成物用途。

【公開番号】特開2006−36766(P2006−36766A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−201441(P2005−201441)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】