説明

面光源を備えた照明装置及びその駆動方法

【課題】 組み立て工数の増大を招くことなく、輝度の高い照明が行える照明装置1を提供する。
【解決手段】 自発光する面光源を具備した発光部2と、通過物を検知する検出部3と、検出部3が検出した通過物が通行人の場合には、発光部2を発光させる駆動部4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面光源を備えた照明装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
夜間等における階段の昇降時の安全性を確保するために、階段の踏み板に複数の発光ダイオード(LED)を埋め込んだ照明装置が提案されている(特許文献1参照)。この照明装置は人感センサを備えて、この人感センサが昇降人を検出すると、照明を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−146747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、1個のLEDによって放射される光の輝度は小さいため、特開2005−146747号にかかる照明装置のように複数のLEDを用いる必要があるが、複数のLEDを用いる場合は照明装置の組み立て工数が増大する問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、組み立て工数の増大を招くことなく、輝度の高い照明が行える照明装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、照明装置にかかる発明は、自発光する面光源を具備した発光部と、通過物を検知する検出部と、検出部が検出した通過物が通行人の場合には、発光部を発光させる駆動部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、照明装置の駆動方法は、通過物を検知する通過物検出手順と、通過物検出手順が検出した通過物が通行人であるか否かを判断する通行人判断手順と、通行人判断手順により通過物が通行人であると判断された場合に、面光源を駆動して照明させる発光手順とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、組み立て工数の増大を招くことなく、輝度の高い照明が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態における照明装置の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における照明装置の断面図である。
【図3】第2の実施形態の照明装置のブロック図である。
【図4】第2の実施形態の照明装置の発光部の構成図で、(a)は上面図、(b)は(a)におけるA−A線に沿った断面図である。
【図5】第2の実施形態における照明手順のフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施形態における通行人が検出されなくなってから所定時間後に消灯する場合の照明手順のフローチャートである。
【図7】第3の実施形態における複数の通過物検出器を設けた照明装置の断面図である。
【図8】第3の実施形態における複数の通過物検出器を設けた照明装置の照明手順を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施形態における人感センサを設けた照明装置が設置された廊下の斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施形態における光情報機能を備えた照明装置が設置された廊下の斜視図である。
【図11】第4の実施形態における照明装置の発光部に用いたアクティブマトリクス有機エレクトロルミネッセンスパネルの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の各実施形態を図を参照して説明する。
<1.第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態にかかる照明装置1の断面図である。照明装置1は、発光部2と、検出部3と、駆動部4とを備える。発光部2は、所定の信号が駆動部4から印加されることにより自発光する面光源である。検出部3は、通行人が照明装置1に接近又は達したことを検出して、その検出結果を検出信号として駆動部4に出力する。駆動部4は、検出部3からの検出信号を受信すると、発光部2を駆動する。発光部2が駆動されることにより照明が行われる。
【0011】
この発光部2は、自発光する1つの面光源により形成されているので、照明する部位が面であっても、その面形状に応じた照明を高輝度で行うことが可能になる。即ち、例えばLEDを用いて所定面積の領域を照明する場合や高輝度の照明を行う場合には、照明する部位の輪郭に沿って複数のLEDを設ける必要があり、かつ、高輝度の照明を行うためには照明領域の輪郭に沿って並設するばかりでなく、照明領域の内側にも設ければならない。このように多数のLEDを用いて面状の光源を形成するためには、多数のLEDを並設するための工数が増大して照明装置のコストアップの要因となる。しかし、自発光する面光源を用いることにより、多数の光源を設けるための工数が省け、上述したコストアップが抑制できる。
【0012】
従って、組み立て工数の増大を招くことなく、輝度の高い照明が行える照明装置を提供することが可能になる。
<2.第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図2は、床に埋設された第2の実施形態にかかる照明装置10の断面図である。なお、図2においては、照明装置10の部分拡大図を合わせて示している。また、図3はこの照明装置10のブロック図である。照明装置10は、保護板11と、発光部12と、検出部13と、駆動部14と、これらを収納する筐体15とを備える。
【0013】
保護板11は、強度や耐摩耗性の高い強化ガラスや強化プラスチック等の透明部材を用いることができる。無論、DLC(Diamond Like Carbon)等の耐摩耗材をコーティングした強度の高い透明部材であっても良い。
【0014】
検出部13は、通過物検出器13aと周囲光検出器13bを備える。通過物検出器13aとしては、圧電素子や感応素子等が例示でき、荷重を受けると所定の通過物信号S1を出力する。圧電素子は、受けた荷重に応じた電圧を発生する特性を持つので、この電圧を通過物信号S1として利用する。感応素子は、荷重を受けることにより抵抗値が変化する特性を持つので、抵抗値の変化に伴う電圧変化を通過物信号S1として用いる。以下では、圧電素子の場合を例に説明する。また周囲光検出器13bとしては、フォトトランジスタを備えて周囲の明るさに応じたレベルを持つ周囲光信号S2を出力する照度計等が例示できる。
【0015】
駆動部14は、制御回路14a及び駆動回路14bを備える。制御回路14aは、検出部13からの通過物信号S1や周囲光信号S2が入力して、これらの信号S1,S2に基づき発光部12に電力供給するか否かを指示する制御信号S3を駆動回路14bに出力する。駆動回路14bは、制御信号S3に基づき発光部2への電力供給を行う。
【0016】
筐体15は、図2に示すように、開口部15bを備えた箱体で、照明装置の外観を形成する脚部15a、この脚部15aの内壁に形成された上係止部15c、この上係止部15cより底部15e側に形成された下係止部15dを備える。そして、筐体15の底部15eに駆動部14が収納され、下係止部15dに発光部12が係止されている。また、上係止部15cには検出部13が載置され、開口部15bを覆うように保護板11が設けられている。なお、駆動部14の設置場所は筐体15の底部15eに限定されず、種々のデッドスペースに設けることが可能である。
【0017】
保護板11における外縁部分の下面11aと脚部15aの頂面15aaとの間には、所定の隙間16bが設けられている。即ち、頂面15aaは保護板11の下面11aと離接している。また、保護板11における外縁領域の下面11aは、隙間16aにより床と離接している。このように隙間16a,16bを設けた理由は、保護板11が脚部15aの頂部15aaや床に当接して、通過物の荷重が脚部15aや床に加わらないようにするためである。即ち、通過物の荷重が通過物検出器13aに直接加わるように、隙間16a,16bが保護板11と頂部15aaや床との当接の逃げ空間として作用する。
【0018】
発光部12は、自発光する面光源を備える。なお、本実施形態においては、面光源として有機エレクトロルミネッセンスパネル(以下、有機ELパネルと記載する)を例に説明するが液晶パネルやプラズマパネルであってもよい。
【0019】
図4(a)は発光部12の上面図であり、図4(b)は図4(a)におけるA−A線に沿った断面図である。発光部12は、透明基板12a、カソード電極12b、有機EL層12e、アノード電極12d等を備える。
【0020】
透明基板12aは、ガラス等の透明部材から形成されて、一方の面に直線溝12cが、複数並設されている。この直線溝12cはフォトリソグラフィ技術を用いて透明基板12aにストライプ状のレジストパターンを形成し、このレジストパターンエッチングマスクとして透明基板12aをエッチングすることにより形成されている。
【0021】
なお、透明基板12aの形状やサイズは、照明装置の設置場所等に応じて選択できる。例えば、階段の踏み板の照明に用いる場合には、踏み板のサイズや形状に設定する。また、T字廊下に設ける場合には、T字状の形状にすることができる。
【0022】
この各直線溝12cの底部には、スパッタ技術を用いてITO(インジウム錫酸化物)等のカソード電極12bが、設けられている。
【0023】
また、透明基板12aの全面(直線溝12cの開口側の全面)には、有機EL層12eが設けられている。なお、カソード電極12bの上の有機EL層12eと、透明基板12aの上の有機EL層12eとの2つの有機EL層が形成されるが、発光に寄与する有機EL層12eは、カソード電極12bとアノード電極12dとで挟まれた層である。
【0024】
このような有機EL層12eとしては、発光層と正孔注入輸送層からなる2層構造、これに電子注入輸送層を加えた3層構造、更に金属電極との界面に薄い絶縁膜を配置した構造が適用可能である。正孔注入輸送層の材料として、例えばトリアリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ポリフィリン誘導体等、発光層の材料として、例えば8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ジスチリルアリール誘導体等が例示できる。また、電子注入輸送層にトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)を用いることができる。
【0025】
有機EL層12eの上面には、アノード電極12dが設けられている。このアノード電極12dは、マグネシウム銀合金等の光反射が可能な金属薄膜から形成されている。
【0026】
そして、アノード電極12d側の透明基板12aには、有機EL層等を封止する封止基板12fが設けられ、この封止基板12fとアノード電極12dとの間に封止剤12gが貼付けて設けられている。封止剤12gは、封止基板12fとアノード電極12dとで囲まれた空間内の真空を保つためのゲッタとして作用する。
【0027】
このように所定面積、かつ、所定形状の透明基板12a上にカソード電極、有機EL層、アノード電極を形成した発光部を用いるため、1枚の発光部で照明装置が組み立てられる。従って、組み立て工数の増加を抑制しながら輝度の高い照明装置が製造できる。
【0028】
次に、この照明装置10の動作を説明する。なお、照明装置10は、廊下等に形成された収納穴に設置されている場合を例に説明するが、階段の踏み板や壁等に設けることも可能である。
【0029】
廊下の収納穴に設置された照明装置10は、図5に示すフローチャートに従い動作する。先ず、検出部13における通過物検出器13aから通過物信号S1及び周囲光検出器13bから周囲光信号S2が、駆動部14の制御回路14aに入力する。
【0030】
制御回路14aは、通過物検出器13aからの通過物信号S1が予め設定された通過物判定レベルを超えたか否かを判断する(ステップSA1)。このときの通過物判定レベルは、通行人を検出するための基準レベルである。通過物検出器13aで検出される通過物には、通行人や猫等の重量を持つ物が含まれる。しかし、猫が通過した場合に照明を行う必要はない。そこで、猫等の通行人以外の通過物に対して照明が行われないようにするために、人の重さに相当する通過物信号S1の信号レベルを通過物判定レベルに設定している。
【0031】
この通過物信号S1が通過物判定レベル以上の場合には、周囲光検出器13bからの周囲光信号S2が予め設定された照度判定レベル以上であるか否かを判断する(ステップSA2)。このときの照度判定レベルは、周囲の明るさを判断するための基準レベルであり、例えば昼間のように明るい場合に照明しないようにするために設けている。
【0032】
通過物信号S1が通過物判定レベル以上で、かつ、周囲光信号S2が予め設定された照度判定レベル以上の場合には、ステップSA3に進み、タイマーがスタートすると共に、制御回路14aは駆動回路14bに制御信号S3を出力する(ステップSA3)。なお、タイマーは制御回路に設けられている。発光部12に電力供給を指示する制御信号S3が出力されると、駆動回路14bは発光部12に電力供給を開始する。
【0033】
これにより、発光部12のカソード電極12bとアノード電極12dとの間に電圧が印可され、有機EL層12eに正孔注入が生じて発光する。発光により放射された光は、カソード電極12b及び透明基板12aを通過して廊下等を照明する(ステップSA4)。また、発光した光はアノード電極12d側にも放射されるが、アノード電極12dは光を反射するため、反射された光もカソード電極12b及び透明基板12aを通過して廊下等を照明する。
【0034】
その後、制御回路14aは、タイマーにより予め設定された照明時間が経過したか否かを判断する(ステップSA5)。なお、照明時間は、通行人が照明装置の領域を通過するのに要する時間として、ユーザ等により予め制御回路14aに変更可能に設定されている。ここで、照明装置の領域は、照明装置が存在する領域の意味である。以下同様とする。
【0035】
制御回路14aは照明時間が経過したと判断した場合には、駆動回路14bに消灯を指示する制御信号S3を出力する。駆動回路14bは、この制御信号S3を受信すると、発光部12への電力供給を停止する(ステップSA6)。従って、必要な時間だけ照明を行うことができるようになる。
【0036】
以上説明したように、発光部が面光源であり、自発光する光源であるため、少ない工数で輝度の高い照明が可能な照明装置を提供することができる。また、照明時間が予め設定されているので、必要な時間だけ照明できるようになる。
<3.第3の実施形態>
次に、第3の実施形態を説明する。なお、第2の実施形態と同一構成に関しては同一符号を用いて説明を適宜省略する。第2の実施形態においては、予め設定された照明時間だけ照明するようにした。しかし、この照明時間は通行人の速度等にかかわらず設定されているため、例えば歩行速度の遅い老人に対しては照明時間が短い場合が生じ、逆に歩行速度が速い子供に対しては照明時間が長くなる場合が生じる。
【0037】
そこで、本実施形態では、照明時間を設定せずに、通行人が通行している間だけ照明できるようにしたものである。このような方法の例として、以下においては、(A)通行人が検出されなくなってから所定時間経過後に消灯する場合、(B)複数の通過物検出器を設けて通行人が照明装置の領域を通過しているときだけ照明する場合、(C)通過物検出器を所定の感応範囲を持つ人感センサで構成する場合を例として説明する。
(A)通行人が検出されなくなってから所定時間経過後に消灯する場合。
【0038】
図6は、通行人が検出されなくなってから所定時間経過後に消灯する手順を含むフローチャートである。制御回路14aには、通過物検出器13aからの通過物信号S1及び周囲光検出器13bからの周囲光信号S2が入力している。そこで、制御回路14aは、通過物検出器13aからの通過物信号S1が予め設定された通過物判定レベル以上か否かを判断し(ステップSB1)、また周囲光検出器13bからの周囲光信号S2が予め設定された照度判定レベル以上か否かを判断する(ステップSB2)。この手順は、図5に示した手順(ステップSA1、ステップSA2)と同じである。
【0039】
通過物信号S1が通過物判定レベル以上であり、かつ、周囲光信号S2が照度判定レベル以上の場合には、制御回路14aは照明を指示する制御信号S3を駆動回路14bに出力する。これにより駆動回路14bは発光部2に電力供給を開始して照明が行われる(ステップSB3)。
【0040】
その後、処理はステップSB1に戻る。検出部3が通行人を検出し続けている場合には、上述したステップSA1〜ステップSA3を繰り返すが、通行人を検出しなくなった場合には、ステップSA1からステップSB4に進む。
【0041】
ステップSB4では、タイマーによる計時が開始され、ステップSB5でタイマーが所定の消灯遅延時間を計時するまで待ち状態となる。この消灯遅延時間はユーザ等により予め制御回路14aに変更可能に設定される。タイマーが消灯遅延時間を計時すると、ステップSB6に進み、制御回路14aは消灯を指示する制御信号S3を駆動回路14bに出力する。
【0042】
ステップSB4〜ステップSB6は、消灯処理である。通行人が検出されなくなっても、検出部3の近くに通行人が居るため、通行人が検出されなくなると同時に消灯すると、十分な安全性が保てない場合が生じる。そこで、通行人が検出されなくなってから所定時間(消灯遅延時間)が経過してから消灯を行うようにする。
【0043】
このように、通行人が検出されなくなってから消灯を行うため、通行人の通過速度にかかわらず、常に通行人を照明することができるようになる。また、消灯は、通行人が検出されなくなってから所定の消灯遅延時間経過後に消灯するため、通過後の安全も確保できるようになる。
(B)複数の通過物検出器を設けて通行人が照明装置の領域を通過しているときだけ照明する場合。
【0044】
次に、複数の通過物検出器を設けて、通行人が照明装置の領域を通過しているときだけ照明する場合を説明する。本実施形態にかかる通過物検出器は、第1通過物検出器13aaと第2通過物検出器13abとを備える。
【0045】
図7は、廊下に埋設された照明装置10Bの断面図である。図7において照明装置10の右端領域に第1通過物検出器13aaが設けられ、左端領域に第2通過物検出器13abが設けられている。これにより、通行人の進行方向に応じて、第1通過物検出器13aaと第2通過物検出器13abとの通過物の検出タイミングに時間差が生じる。この時間差は、通行人が照明装置の領域を通過する時間となる。
【0046】
図8は、この照明装置10Bにおける照明手順のフローチャートである。図7において、通行人が右側から左側に移動するとき、最初に第2通過物検出器13abが通行人を検出し、その通過物信号が制御回路14aに入力する。制御回路14aは受信した通過物信号と通過物判定レベルとを比較して、通過物が通行人であるか否かを判断する(ステップSC1)。
【0047】
通過物が通行人の場合には、周囲光検出器13bから周囲光信号と照度判定レベルとを比較して、照明が必要か否かを判断する(ステップSC2)。通過物が通行人であり、かつ、周囲が暗い場合には、制御回路14aは駆動回路14bに照明指示の制御信号S3を出力する。これにより、駆動回路14bから発光部12に電力供給が行われることにより照明が行われる(ステップSC3)。
【0048】
次に、通行人が照明装置の領域を歩行して、第1通過物検出器13aaにより検出されると、第1通過物検出器13aaから通過物信号が制御回路14aに出力される。制御回路14aは受信した通過物信号と通過物判定レベルとを比較して、通過物が通行人であるか否かを判断する(ステップSC4)。通過物が通行人の場合には、制御回路14aは消灯を指示する制御信号S3を出力する(ステップSC5)。これにより、通行人の速度にかかわらず、通行人が照明装置の領域を通過している最中だけ照明することができるようになる。
【0049】
なお、制御回路14aは、通過物信号を第1通過物検出器13aaと第2通過物検出器13abとの何れから受信したかについては判断しない。即ち、制御回路14aは通過物信号を受信すると、現在出力している制御信号の内容(照明指示又は消灯指示)と逆の内容の制御信号を出力する。これにより、例えば図7において、通行人が右から左に移動する場合や左から右に移動する場合を考慮することなく、通行人が照明装置の領域を通過している最中だけ照明することができるようになる。
(C)通過物検出器を所定の感応範囲を持つ人感センサで構成する場合。
【0050】
次に、通過物検出器に人感センサを用いた場合を説明する。人感センサは所定の感応範囲を有するので、この感応範囲(人を検出できる範囲)内の通行人を検出することで照明又は消灯のタイミングを得ることが可能になる。このとき、人感センサからの信号に対して閾値を設定することにより通行人が存在していると判断する範囲(以下、設定感応範囲と記載する)の設定が可能である。感応範囲は人感センサの固有範囲であり、設定感応範囲より広い。また、設定感応範囲は照明装置の領域より広く設定する。
【0051】
図9は、このような人感センサ17を廊下の壁等に設けた場合の斜視図である。図9においてハッチングされた領域は、設定感応範囲18を示している。このように人感センサ17を設けることにより設定感応範囲18の内側に居る通行人が検出される。そこで、通行人を検出している間だけ照明装置10Cを照明する。
【0052】
即ち、通行人が照明装置10Cに接近して設定感応範囲18に入ったときから、設定感応範囲18を出るまで照明する。従って、通行人の速度に違いがあっても通過に必要な時間だけ照明することが可能になる。
【0053】
また、人感センサ17を用いることにより、通行人が照明装置の領域に達する前に照明が開始でき、かつ、照明装置の領域を通過しても直ぐに消灯せずに、暫くの間だけ照明を継続させることができる。この暫くの間とは、通行人が照明装置の領域を通過してから設定感応領域を通過するまでの歩行に要する時間である。以上により、通行人の速度にかかわらず、通行人が照明装置10Cの領域を通過後も暫くの間照明が行われるので通過後の安全も確保できるようになる。
<4.第4の実施形態>
次に、第4の実施形態を説明する。これまでの各実施形態では、発光部2は光を発するだけであった。これに対して、本実施形態にかかる照明装置は、照明を行うと共に各種の情報を表示する情報表示機能を備える。このような情報としては、製品名、社名、歩行順路、各種の広告等が例示できる。このような情報を表示するため、発光部はマトリックス状の画素に区画されている。そして、駆動部は、各画素を個別に発光させる。
【0054】
図10は、廊下に埋設した照明装置10Dの斜視図である。この照明装置10Dにおける発光部は、公知のアクティブマトリクス有機ELパネル12Dにより形成されている。図11は、アクティブマトリクス有機ELパネル12Dの上面図である。
【0055】
このアクティブマトリクス有機ELパネル12Dは、互いに直交して設けられた複数のゲート線22及びデータ線23により複数の画素24に区画され、各画素24には有機EL素子26及びTFT(Thin Film Transistor)25がそれぞれ設けられている。
【0056】
有機EL素子26は、カソード電極、アノード電極及び、これらの間に挟まれた有機EL層により形成されている。また、TFT25のソース25aは有機EL素子26のカソード電極に接続され、ドレイン25bはデータ線23に接続され、ゲート25cはゲート線22に接続されている。
【0057】
従って、ゲート線22を介して駆動回路から伝送してきたゲート信号に応じてゲート電位が変化して、TFT25がON,OFF動作する。TFT25がONすると、データ線23と有機EL素子26のカソード電極とが導通する。これにより、データ線23を介して駆動回路から伝送してきたデータ信号が有機EL素子26に流れる。
【0058】
1つのゲート線22には複数のTFT25が接続され、これらのTFT25のドレイン25bにはそれぞれ異なるデータ線23が接続されている。従って、あるゲート線22の信号がハイレベルになると、このゲート線22に接続されている全てのTFT25がONとなって、これらのTFT25に接続されているデータ線23と有機EL素子26のカソード電極とが導通する。このとき、あるデータ線23のデータ信号のレベルがロウレベルであれば、そのデータ線23と導通している有機EL素子26には電流は流れないが、データ信号のレベルがハイレベルであれば、有機EL素子26に電流が流れる。
【0059】
このようにして、図10に示したような各種の情報20が表示される。この情報は光情報であるため、照明光としても機能する。よって、照明と共に各種の情報表示が可能になる。
【符号の説明】
【0060】
1,10,10B,10C,10D 照明装置
11 保護板
2,12 発光部
12D アクティブマトリクス有機ELパネル(発光部)
3,13 検出部
13a 通過物検出器
13b 周囲光検出器
13aa 第1の通過物検出器
13ab 第2の通過物検出器
4,14 駆動部
14a 制御回路
14b 駆動回路
17 人感センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自発光する面光源を具備した発光部と、
通過物を検知する検出部と、
前記検出部が検出した通過物が通行人の場合には、前記発光部を発光させる駆動部とを備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記発光部は、有機エレクトロルミネッセンスパネルを含むことを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の照明装置であって、
前記検出部は、通過物を検知する通過物検出器と、
周囲の明るさを検出する周囲光検出器と、を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載の照明装置であって、
前記駆動部は、前記通過物検出器からの信号に基づき通過物が通行人か否かを判断すると共に、前記周囲光検出器からの信号に基づき周囲の明るさを判断して、これらの判断結果に基づき前記発光部に照明・消灯の指示する制御回路を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の照明装置であって、
前記検出部は、通行人の通行方向に沿って設けられた少なくとも2つの前記通過物検出器を備えて、前記駆動部は、いずれかの前記通過物検出器からの信号を受信すると、前記発光部への指示内容を逆転させること特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の照明装置であって、
前記駆動部は、前記発光部による発光時間を管理するタイマーを備えることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項3乃至6のいずれか1項に記載の照明装置であって、
前記通過物検出器が、圧電素子、感応素子、人感センサのいずれか1つであることを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の照明装置であって、
前記駆動部は、所定の情報を光情報として前記発光部に発光させることを特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の照明装置であって、
前記発光部を保護する保護部を備えること特徴とする照明装置。
【請求項10】
通過物を検知する通過物検出手順と、
前記通過物検出手順が検出した通過物が通行人であるか否かを判断する通行人判断手順と、
前記通行人判断手順により通過物が通行人であると判断された場合に、面光源を駆動して照明させる発光手順とを備えることを特徴とする照明装置の駆動方法。
【請求項11】
請求項10に記載の照明装置の駆動方法であって、
周囲の明るさを検出する周囲光検出手順と、
前記周囲光検出手順により検出された周囲の明るさが照明の必要な明るさか否かを判断する周囲光判断手順とを含み、
前記発光手順が、前記通行人判断手順により通過物が通行人であると判断され、かつ、前記周囲光検出手順により検出された周囲の明るさが照明の必要な明るさであると判断した場合に、面光源を駆動して照明させることを特徴とする照明装置の駆動方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の照明装置の駆動方法であって、
照明開始からの時間を計時して所定時間経過すると照明を消灯させる照明時間管理手順を含むことを特徴とする照明装置の駆動方法。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか1項に記載の照明装置の駆動方法であって、
前記通過物検出手順が、異なる場所に配置された第1の通過物検出手段と第2の通過物検出手段とのいずれかの通過物検出手段が通過物を検出すると通過物信号を出力し、前記通行人判断手順が、前記通過物信号を受信すると、前記面光源の発光状態を逆転させる指示を前記発光手順に出力することを特徴とする照明装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−40325(P2011−40325A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188491(P2009−188491)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】