説明

面取りカッタ

本発明は、作業中に発生するチップの処理能力を向上させて切削負荷を減少させた面取りカッタを提供する。上記目的を達成するために、本発明は、物体の端部を回転切削するように、回転軸に接続される面取りカッタを提供する。本発明に係る面取りカッタは、面取機の回転軸に連結されて回転しながら、物体の隅部などを整える面取りカッタにおいて、中心に締結用ボルトが貫通して前記回転軸の端部と連結される貫通孔(10)が形成され、前記貫通孔(10)を中心に放射状に位置する複数の切刃(20)が一体に形成された歯車状であり、前記切刃(20)は全体的に中心に向かって突出した形状であって、回転方向の端部に形成された刃部(32,42)と凹弧面をなしている弧面部(34,44)を含んでなり、前記切刃(20)は前記弧面部(34)の表面が滑らかな仕上げ刃(30)と前記弧面部(44)の表面が荒い荒削刃(40)とが交互に位置することを特徴とする。本発明によれば、作業中に発生するチップの処理能力を向上させることによって、切削負荷を減少させるため、面取り作業が容易であり、作業速度が向上し、面取りカッタの寿命が延びるという効果を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は面取りカッタに関し、さらに詳しくは、回転力を利用した面取機に装着される面取りカッタに関する。
【背景技術】
【0002】
工具や工作物の縁部または隅部を削り取って斜面または丸みをつける加工を面取り作業(chamfering)といい、これに用いられる機器を面取機という。
【0003】
多様な方法で面取り作業を行う面取機があるが、回転軸の端部に装着された面取りカッタを回転させて加工する方法が代表的である。
【0004】
このように、回転力を利用する面取機の場合に、面取り作業時に発生するチップ(Chip、切削粉)が問題となる。作業中に発生したチップが長くなれば、高速で回転する面取機に巻き取られ、面取り作業が難しくなる。さらに、小さなチップも速やかに排出させなければ、面取り作業時の切削負荷の増加につながり、面取り作業が難しくなるだけでなく、面取りカッタの寿命が短くなる原因となる。
【0005】
従って、面取り作業中に発生したチップに関するこれらの問題を解決するために、たとえば面取りカッタに排出溝を形成するなどの試みがあったが、効果は大きくなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、面取り作業中に発生するチップの処理能力を向上させて切削負荷を減少させた面取りカッタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る面取りカッタは、面取機の回転軸に連結されて回転しながら、物体の隅部などを整える面取りカッタにおいて、前記回転軸の端部とカッタとを連結するために、前記カッタの中心に、締結用ボルトが挿入される貫通孔が形成され、前記カッタは、前記貫通孔を中心に放射状に位置する複数の切刃が一体に形成された歯車状であり、前記切刃は全体的に中心に向かって突出した形状であって、前記切刃のそれぞれが、回転方向における切刃端部に形成された刃部と、凹弧面をなしている弧面部を含んでなり、前記切刃は前記弧面部の表面が滑らかな仕上げ刃と前記弧面部の表面が荒い荒削刃とが交互に位置することを特徴とする。このとき、仕上げ刃の前記刃部と連結された前記弧面部の端部に断面が2段の角度からなるチップブレーカが形成されることが好ましい。
【0008】
さらに、貫通孔には締結用ボルトのヘッドが係止される固定部を形成することができ、この固定部の形状はテーパされた形状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業中に発生するチップの処理能力を向上させることによって、切削負荷を減少させるため、面取り作業が容易であり、作業速度が向上し、面取りカッタの寿命が延びるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る面取りカッタの斜視図である。
【図2】図1に示す面取りカッタの正面図である。
【図3】図2に示す面取りカッタのA−A’線に沿った断面図である。
【図4】図2に示す面取りカッタの背面図である。
【図5】図2に示す面取りカッタのB−B’線に沿った断面図である。
【図6】図3において「C」で表示した荒削刃の弧面部の断面の多様な形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を添付する図面を参照して詳細に説明すれば、以下の通りである。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る面取りカッタの斜視図であり、図2は、図1に示す面取りカッタの正面図であり、図3は、図2に示す面取りカッタのA−A’線に沿った断面図であり、図4は、図2に示す面取りカッタの背面図である。
【0013】
図1および図2に示されるように、本発明の面取りカッタは、カッタを回転軸に固定するために、締結用ボルトが挿入される貫通孔10が中央に形成されている。カッタは、貫通孔10の周囲に放射状に複数の切刃20が形成された歯車状をなしている。このとき、切刃20の数は4〜8個とすることが可能であり、本実施形態では6個である。
【0014】
図1と図3で見られるように、各切刃20は全体的に中心に向かって突出した形状である。
【0015】
そして、各切刃20は、回転方向の端部に形成されて回転運動時に切削作業を行う刃部32、42と、この刃部32、42につながり、凹弧面をなしている弧面部34、44を含んでなる。また、各切刃は刃部から回転反対方向に断面の厚さが減少し、次の切刃の切削部と会う部分で最も薄くなる形状である。そして、刃部32、42は直径に対して回転方向に所定の角度だけ斜めに形成される。
【0016】
このような切刃20は弧面部34、44の加工形態によって仕上げ刃30と荒削刃40とに区分され、2種類の切刃30、40が交互に位置する。仕上げ刃30は、弧面部34が滑らかに加工されて仕上げを行う部分であり、荒削刃40は、弧面部44が荒く加工されて荒削を行う部分である。
【0017】
図5は、図2に示す面取りカッタのB−B’線に沿った断面図である。刃部32と連結される弧面部34の端部には、断面を2段の角度で処理したチップブレーカ36が形成される。このチップブレーカ36は刃部32と連結された部分に全体的な弧面部34の断面角度よりも角度が小さな部分を形成したものである。このような形状のチップブレーカ36を形成する場合、面取り作業中に発生するチップの大きさが小さくなり、発生したチップが直ぐ排出されるため、切削負荷が30%程度減少するという効果がある。
【0018】
図6は、図3において「C」で表示した荒削刃の弧面部の断面の多様な形状を示す図である。図示するように、多様な断面を有する荒削刃40では仕上げのような精密な作業はできないが、面取り作業中に発生するチップの大きさが小さく、切削負荷が遥かに小さくかかる。
【0019】
従って、本実施形態のように、チップブレーカ36が形成された仕上げ刃30と荒削刃40とが交互に位置する面取りカッタを用いれば、一般の面取りカッタに比べて切削負荷が60%程度減少するという優れた効果がある。
【0020】
さらに、本発明の面取りカッタは、図3に示すように、固定部12の断面が直角で段差がついた形状ではなく、直径が次第に減少するテーパされた形状である。固定部12は、貫通孔10に締結される締結用ボルトのヘッドが係止される部分である。
【0021】
従来の段差がついた形状の固定部を有する場合、締結用ボルトのヘッドが固定部に均等に当接できないため、ボルトの固定時に固定する力が弱く、これを解決するために別途のワッシャを用いなければならなかった。
【0022】
反面、本発明のように、テーパされた形状の固定部12とこれに対応する形状のヘッドを有するボルトを用いれば、ボルトとの接触面積が大きく増加し、固定する力が大きく増加する。
【0023】
以上では、本発明を特定の好適な実施形態について図示し、説明した。しかし、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想から逸脱することなく、いくらでも多様に変更実施できる。従って、本発明の権利範囲は特定の実施形態に限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲により定まるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0024】
10 貫通孔
12 固定部
20 切刃
30 仕上げ刃
40 荒削刃
32、42 刃部
34、44 弧面部
36 チップブレーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面取機の回転軸に連結されて回転しながら、物体の隅部などを整える面取りカッタにおいて、
前記カッタの中心に貫通孔が形成され、前記カッタが、前記貫通孔に挿入される締結用ボルトにより、前記回転軸の端部と連結され、
前記カッタが、前記貫通孔を中心に放射状に位置する複数の切刃が一体に形成された歯車状であり、
前記切刃は、全体的に中心に向かって突出した形状であって、それぞれの切刃は、回転方向の端部に形成された刃部と凹弧面をなしている弧面部を含んでなり、
前記切刃は、前記弧面部の表面が滑らかな仕上げ刃と、前記弧面部の表面が荒い荒削刃とが交互に位置することを特徴とする面取りカッタ。
【請求項2】
前記仕上げ刃の前記刃部と連結された前記弧面部の端部に断面が2段の角度からなるチップブレーカが形成されたことを特徴とする請求項1記載の面取りカッタ。
【請求項3】
前記貫通孔に前記締結用ボルトのヘッドが係止される固定部が形成され、前記固定部の形状はテーパされた形状であることを特徴とする請求項1または2記載の面取りカッタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図6(c)】
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【図6(d)】
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【公表番号】特表2012−500129(P2012−500129A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523739(P2011−523739)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004610
【国際公開番号】WO2010/021487
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(511044641)
【Fターム(参考)】