説明

面状ヒータ

【課題】 貼り代として漫然と採用されてきた外縁部を割愛し、狭小箇所や複雑な箇所にでも配置できる面状ヒータを提供することにある。
【解決手段】 貼り代部をヒータ線側に折り返すことにより、上記の課題を一挙に解決するに至った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状ヒータ、特にテープ形状の面状ヒータに関する。さらに詳しくは、本発明は、電子炊飯器、電子ポット、さらには洋式便器の便座などにおける保温・保湿用の面状ヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の面状ヒータの例は図4に横断面図で示されている。該図において、(1)は面状ヒータ、(2)は互いに間隔をおいて配されたヒータ線、(3)はヒータ線(2)を載置・固定する接着シート、(4)は両面粘着テープ(3)の底部の未剥ぎ取り離型紙、(5)はヒータ線(2)をその上部から被覆しながら粘着テ−プ(3)に貼り付けられた金属箔(例えば、アルミ箔)、そして、(6)は面状ヒータ(1)の貼り代部である。さらに、(L1)はヒータ線距離、(L2)、(L3)は貼り代部(6)の寸法である。そして、これらの寸法は、L1=約12.5mm、L2、L3=約9mmが一般的である。このようなヒータにおいて、面状ヒータの装置本体への装着に際しては、離型紙(4)を剥ぎ取り、露出した接着面が該装置本体に貼付される。
ところで、昨今は面状ヒータが組み込まれる装置本体の小型化が進み、面状ヒータ自身にも幅方向のさらなる縮小が要求されてきている。この要求に応えるためには、例えば、貼り代部(6)の幅(L2)、(L3)を狭くすることが考えられる。しかし、この場合は、金属箔(5)が剥がれ易くなり、ヒータ線(2)のはみ出しや位置ずれという致命的欠陥を誘発する。
したがって、これまでは面状ヒータが組み込まれる装置本体の狭小箇所(ないし空隙)あるいは複雑な箇所(ないし空間)にはこれを配置しないという消極的な対策を採らざるを得なかったのが実状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、上記の狭小箇所や複雑な箇所に配置できる面状ヒータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、従来の面状ヒータに貼り代として漫然と採用されてきた外縁部を割愛することに着目した結果、貼り代部をヒータ線側に折り返すことにより、上記の課題を一挙に解決するに至った。
【発明の効果】
【0005】
本発明の面状ヒータにおいては、従来の貼り代部が割愛されるので、面状ヒータが少スペース化されるばかりでなく、その単位面積当たりの発熱量も実質的に増加する。さらに、該貼り代部ないし余り代部を折り返しすことによってヒータ線をその上部からも覆って固定するので、該ヒータ線の位置ずれやはみ出しという致命的欠陥が皆無になることは言うまでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の面状ヒータについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る面状ヒータの一態様を示す部分横断面図である。
図2は、本発明に係る面状ヒータの別の態様を示す部分横断面図である。
図3は、本発明に係る面状ヒータのさらに別の態様を示す部分横断面図である。
図4は、従来の面状ヒータの一態様を示す横断面図である。
【0007】
図1において、符号(1)〜(5)は、図4の場合と同じであり、(7)は、本発明に従って形成される折り返し部である。なお、この図においては、図4に向かって右側のヒータ線(2)に対応する部分が示されている。
ここで特徴的なことは、図4に示した貼り代部(6)のそれぞれがヒータ線(2)の内縁部側に折り返され、介在する両面粘着テープ片(3b)で固着されていることである。この場合、(3a)は貼り代部(6)の粘着テープ、(5a)は、折り返し部(7)の上部の離型紙(4)を剥ぎ取ってから貼り付けた金属箔、そして、(5b)は折り返し部(7)の金属箔である。こうすることにより、面状ヒータの少スペース化とともにヒータ線(2)自体の位置ずれやはみ出しが完全に防止される。特に、テープ形状のヒータにあっては、その幅が片端約9mm縮小されておよそ12.5mm以下の細幅テープが得られ、狭小箇所へも円滑に適用される。
【0008】
図1の面状ヒータ(1)の作成に際しては、先ず離型紙付きの両面粘着シートを、それに貼り付けるヒータ線(2)の配置形状に応じてカットする。次いで、上面側の離型紙を剥ぎ取り、粘着シート(3)を露出させ、その上にヒータ線(2)を接着・固定する。実使用上、面状ヒータの発熱量は、最大3,000W/mで、これを表面温度に換算すると、150℃程度になるので、粘着シート(3)は耐熱性のものが好ましく採用される。
ヒータ線(2)は、面状ヒータ(1)の仕様に応じて、外径、全長及び配置が決定される。
ヒータ線(2)の配置後、金属箔(5)を貼り付けて面状ヒータ(1)を得る。次いで、貼り代部(6)の上部に粘着テープ(3b)を貼り付け、図1に示すように、ヒータ線(2)の外縁部から内縁部に向けて貼り代部(6)を折り返し処理する。最後に、折り返し部(7)の上部の離型紙(4)を剥ぎ取ってから金属箔(5a)を貼り付けることにより、面状ヒータが完成する。
【0009】
本発明の折り返し部(7)については、上述した態様の他に、図2〜図3に示すような態様もある。
【0010】
図2においては、貼り代部(6)の粘着テープ(3)のみが折り返されている。この場合は、先ず離型紙(4)付きの両面粘着シート(3)を、それに貼り付けるヒータ線(2)の配置形状に応じてカットする。次いで、その上にヒータ線(2)を配置・固定する。
ヒータ線(2)の配置後、貼り代部(6)の金属箔を除去して粘着テープ(3)を露出させた状態で、図2に示すように、ヒータ線(2)の内縁部に向けて折り返し処理して折り返し部(7)を形成する。この折り返し部(7)によりヒータ線(2)はその上部から固定される。最後に、折り返し部(7)上部の離型紙(4)を剥ぎ取り、露出した粘着テープ(3)の上面に金属箔(5)を貼り付けることにより、面状ヒータが完成する。
【0011】
図3においては、図1の面状ヒータ底部の離型紙(4)が剥ぎ取られ且つアルミ箔(5a)を貼り付けない状態の面状ヒータ外周に、さらに一層の基材が追加されている。すなわち、離型紙(4a)を有する粘着シート(3c)の粘着面にアルミ箔(5c)を貼りつけた基材でヒータ外周を覆ってから、図1〜図3の場合と同様に、折り返し部(7)上面にアルミ箔(5a)を貼り付けたものである。
【0012】
以上、本発明の折り返し部(7)の幾つかの例について述べたが、従来の貼り代部(6)が折り返されてヒータ線(2)の固定効果が追加される限りにおいては、種々の変形が考えられることは言うまでもない。また、固着効果については、図2、図1、図3の順番に、ヒータ線(2)の位置ずれやはみ出し防止効果が向上することは容易に理解されよう。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明の面状ヒータは、狭い場所にでも設置でき、省スペース化が可能なので、従来設置が難しかった設置面の端部や複雑な形状面への対応が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る面状ヒータの一態様を示す部分横断面図である。
【図2】本発明に係る面状ヒータの別の態様を示す部分横断面図である。
【図3】本発明に係る面状ヒータのさらに別の態様を示す部分横断面図である。
【図4】従来の面状ヒータの一態様を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 面状ヒータ
2 ヒータ線
3 粘着シート
4 離型紙
5 金属箔
6 貼り代部ないし余り代部
7 折り返し部
L1 ヒータ線距離
L2 貼り代部寸法
L3 貼り代部寸法


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着シート上に互いに間隔をあけてヒータ線が配置され、それらの上部から金属箔が貼り付けられて貼り代部が設けられた面状ヒータにおいて、該貼り代部の少なくとも粘着テープが、各ヒータ線の外縁部から内縁部に向かって折り返されて、各ヒータ線を覆っていることを特徴とする面状ヒータ。
【請求項2】
金属箔と粘着テープよりなる貼り代部が折り返され、該金属箔と、ヒータ線を覆う金属箔との間が第二の粘着テープにより接着されている請求項1に記載の面状ヒータ。
【請求項3】
面状ヒータが、12.5mm以下の幅を有するテープ形状のヒータである請求項1または2に記載の面状ヒータ。









































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−35385(P2007−35385A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215223(P2005−215223)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(000226932)日星電気株式会社 (98)
【Fターム(参考)】