説明

面状照明装置

【課題】大画面テレビジョン受像機等に用いるに好適な、薄型・軽量で、輝度むらのないまたは輝度むらが低減された照明光を射出することができ、かつ大型化が可能であるとともに、光源の発生する熱を好適に放熱することが可能な面状照明装置を提供すること。
【解決手段】一対の光源と、この光源の間に配置され、光出射面と、前記各光源に対向する対を成す光入射面とを有し、断面形状が前記光源から出射した光束の進行方向に向かって広がる形をした逆楔型の導光板と、前記光源並びに導光板を収納する筐体を有する面状照明装置であって、前記光源に接続されたヒートシンクの端部に、ヒートパイプを前記筐体の中央部に向かって配置したことを特徴とする面状照明装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源と、この光源から射出された光が入射され光射出面から射出する導光板とを有する屋内外を照明する面状照明装置、もしくは液晶表示装置の液晶パネルを照明するバックライトや、広告パネルや広告塔や看板などのバックライトとして用いられる面状照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置には、液晶表示パネルの裏面側から光を照射し、液晶表示パネルを照明するバックライトユニットが用いられている。バックライトユニットは、照明用の光源が発する光を拡散して液晶表示パネルを照射する導光板や、プリズムシートや拡散シートなどの光学部材を用いて構成される。
【0003】
現在、大型の液晶テレビのバックライトユニットは、導光板を配置せず、照明用の光源の直上に拡散板等の光学部材を配置した、いわゆる直下型と呼ばれる方式が主流である。この方式では、光源である冷陰極管を液晶表示パネルの背面に複数本配置し、内部を白色の反射面として均一な光量分布と必要な輝度を確保している。
【0004】
しかしながら、直下型のバックライトユニットでは、光量分布を均一にするために、液晶表示パネルに対して垂直方向の厚みが所定厚み、一例としては30mm程度必要である。今後バックライトユニットは、さらに薄型のものが望まれるであろうが、直下型では光量むらの観点からさらに薄く、例えば10mm以下の厚みをもつバックライトユニットを実現することは困難である。
【0005】
ここで、薄型化が可能なバックライトユニットとしては、照明用の光源から射出され、入射した光を、所定方向に導き、光が入射された面とは異なる面である光射出面から射出させる導光板を用いるバックライトユニットがある。
このような、導光板を用いたバックライトユニットとしては、透明樹脂に光を散乱させるための散乱粒子を混入させた導光板を用いる方式のバックライトユニットが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0006】
例えば、特許文献1には、少なくとも1つの光入射領域及び少なくとも1つの光取出面領域を有する光散乱導光体と前記光入射面領域から光入射を行う為の光源手段とを備え、前記光散乱導光体は前記光入射面から遠ざかるにつれて厚みを減ずる傾向を持った領域を有していることを特徴とする光散乱導光光源装置が記載されている。
また、特許文献2には、光散乱導光体と、光散乱導光体の光取出面側に配置されたプリズムシートと、光散乱導光体の裏面側に配置された反射体とを備えた面光源装置が記載されている。また、特許文献3には、プリズム列状の繰り返し起伏を有する光入射面と、光拡散性を与えられた光出射面を備えた板状の光学材料からなる光出射方向修正素子を備えた液晶ディスプレイが記載され、特許文献4には、内部に散乱能を与えられた光散乱導光体と、前記光散乱導光体の端面部から光供給を行う光供給手段を備えた光源装置が記載されている。
【0007】
特許文献1〜4に記載の光散乱体を混入させた光散乱体導光板を備える面状照明装置では、光源から放射され、光入射面から光散乱導光体内に進入した光が、その内部を伝播する過程において、一定の割合で、1回または多重的な散乱作用を受ける。また、光散乱導光体の両面あるいは反射体の表面に到達した光の相当部分は反射作用を受けて、光散乱導光体内へ戻される。
このような複合的な過程を通して、光源の方向からみて前方斜め方向に向かう指向性をもって光取出面から高効率で出射される光束が生成される。つまり、光源から放射された光を光散乱導光体の光取出面から出射させる。
このように、散乱粒子が混入された導光板を用いることで、高い出射効率で、均一な光を射出することができると記載されている。
【0008】
また、導光板としては、光入射面から遠ざかるにつれて厚みを減ずる傾向を持った領域を有している形状の導光板以外にも、平板形状の導光板や、光入射面から遠ざかるにつれて厚みを減ずる傾向を持った領域を有している形状の導光板を突き合わせた形状の導光板を有する面状照明装置が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開平07−36037号公報
【特許文献2】特開平08−248233号公報
【特許文献3】特開平08−271739号公報
【特許文献4】特開平11−153963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1〜4に記載の導光板を用いる面状照明装置では、大型化するために光源からより遠い位置まで光を到達させるためには、導光板自体の厚みを厚くする必要がある。つまり、面状照明装置を、薄型化、軽量化できないという問題がある。
また、特許文献1〜4に記載されている、光源の入射位置から遠ざかるにつれて厚みを減する傾向を持つ形状、または、平板形状では光の到達距離に限界があるため、大型化に限界があるという問題もある。
【0011】
また、発光面の大きい光源を用い、導光板により多くの光を入射させることで、より高い輝度または照度の高い光を光射出面から射出させることができるが、導光板の形状により、用いることができる光源の発光面の大きさには、限界があるという問題もある。
【0012】
本出願人は、先に上述のような問題に対する1つの解決策として、PCT/JP2006/316151「面状照明装置」(国際公開番号WO2007/020966号公報参照)を提案した。
この装置は、所定間隔離間して配置される第1光源及び第2光源と、前記第1光源及び前記第2光源の間に配置される導光板とを備え、前記導光板は、光射出面と、前記第1光源に対向し前記光射出面の一辺を含む第1光入射面と、前記第2光源に対向し、前記一辺の対辺を含む第2光入射面とを有し、前記第1光入射面及び前記第2光入射面から中央に向かうに従って厚みが厚くなり、前記導光板の第1及び第2光入射面から入射して内部を伝搬する光を散乱し、かつ下記式(1)を満たす散乱粒子を含む面状照明装置である。ここで、
1.1≦Φ・N・L・K≦8.2 ・・・(1)
(ただし、散乱粒子の散乱断面積をΦ、前記導光板の光の入射方向の半分の長さをL、散乱粒子の密度をN、補正係数をKとし、Kを0.005以上0,1以下とする)
【0013】
本発明の目的は、上記提案に係る面状照明装置をさらに改良することにあり、より具体的には、大画面のテレビジョン受像機等に用いるに好適な、薄型・軽量で、輝度むらのないまたは輝度むらが低減された照明光を射出することができ、かつ大型化が可能であるとともに、前記光源の発生する熱を好適に放熱することが可能な面状照明装置を提供することにある。
ここで、前記光源の発生する熱を問題とするのは、単に後述するような熱膨張(伸長)が起きるだけではなく、光源としてLEDを用いる場合に発生する、発光光量の低下という問題を解消する必要があることにもよっている。
【0014】
従って、本発明の他の目的は、上記目的に加え、発光面の面積の大きい光源を用いることができ、より輝度の高い光を射出することができるとともに、装置内の前記導光板の伸長時においても、伸長した導光板が光源部を損傷するという問題を解消し、LEDなどの光源を損傷から保護することが可能な面状照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態は、一対の光源と、この光源の間に配置され、光出射面と、前記各光源に対向する対を成す光入射面とを有し、断面形状が前記光源から出射した光束の進行方向に向かって広がる形をした逆楔型の導光板と、前記光源並びに導光板を収納する筐体を有する面状照明装置であって、前記光源に接続されたヒートシンクの端部に、ヒートパイプを前記筐体の中央部に向かって配置したことを特徴とする面状照明装置を提供するものである。
ここで、前記筐体の背面のカバーの一部または全体を、表面処理により、表面積(放熱面積)を増大させておくことが好ましい。
【0016】
また、本発明の第2の形態は、一対の光源と、この光源の間に配置され、光出射面と、前記各光源に対向する対を成す光入射面とを有し、断面形状が前記光源から出射した光束の進行方向に向かって広がる形をした逆楔型の導光板と、前記光源並びに導光板を収納する筐体を有する面状照明装置であって、前記光源に接続されたヒートシンクの近傍にダクトを配するとともに、このダクトに接続されるファンを設けて排熱することを特徴とする面状照明装置を提供するものである。
ここで、前記光源に接続されたヒートシンクは、表面積を増大させる表面処理を施されていることが好ましい。
【0017】
また、前記光源は、複数のLEDチップと、このLEDチップを支持する支持体とを有し、前記LEDチップは、前記支持体の、前記導光板の光入射面に対向する面に列状に配置されていることが好ましい。
また、前記ヒートシンク並びにダクトは、前記LEDチップの配列方向に沿う溝または凸条を有することが好ましい。
【0018】
また、本発明の第3の形態は、一対の光源と、この光源の間に配置され、光出射面と、前記各光源に対向する対を成す光入射面とを有し、断面形状が前記光源から出射した光束の進行方向に向かって広がる形をした逆楔型の導光板と、前記光源並びに導光板を収納する筐体を有する面状照明装置であって、前記筐体の背面とこの背面上に配置されている電源収納部との間に隔壁を兼ねるダクトを配し、このダクトの筐体中央部付近に排気手段を設けたことを特徴とする面状照明装置を提供するものである。
【0019】
なお、前記筐体の背面のカバー、前記ヒートシンク並びにダクト等に施す表面処理としては、ヘアライン処理、サンドブラスト処理、アルマイト処理(アルミ材料の場合)が好適に用い得る。また、このような処理により形成する表面の状態は、表面粗さをRaとすると、5μm<Ra<25μmであることが好ましい。
【0020】
また、上記各構成に加えて、前記光源の、少なくとも一つ以上のLEDチップごとに、LEDチップの出射光軸方向に平行に前記LEDチップより高さの大きい突起を設けること、もしくは、前記導光板の光入射面に、前記光源の少なくとも一つ以上のLEDチップごとに、前記LEDチップの高さより深さの大きい凹部を設けること、もしくは、前記導光板の光入射面と前記光源のLEDを支持する支持体との間の、少なくとも一つ以上のLEDチップごとに、前記LEDチップより高さの大きい間隔を設定する間隔設定部材を設けることも好ましい。
【0021】
また、前記導光板は、内部に多数の散乱粒子を含み、前記散乱粒子の散乱断面積をΦ、前記散乱粒子の密度をN、補正係数をK、光の入射方向における前記導光板の前記光入射面から前記導光板の厚みが最も厚くなる位置までの長さをLとしたときに、不等式
1.1≦Φ・N・L・K≦8.2
0.005≦K≦0.1
を満足することが好ましい。
【0022】
さらに、前記導光板は、前記光射出面が、矩形状であり、前記光入射面が、前記光射出面の対向する2つの端辺にそれぞれ形成される第1光入射面及び第2光入射面とで構成され、また、その背面(出射面に対する裏面)が、前記第1光入射面及び第2光入射面において前記光射出面と最も近く、第1光入射面と第2光入射面とを結んだ線の中点において前記光射出面と最も遠くなる傾斜面で構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記構成により、光源から射出される光を効率よく利用することができ、かつ、輝度むらのないまたは低減された光を光射出面から射出させることができる。さらに、装置を軽量化、薄型化しつつ、かつ、大型化、つまり、光射出面も大きくすることができるばかりでなく、前記光源の発生する熱を好適に放熱することが可能な面状照明装置を提供することができる。
この際、ヒートポンプを用いたり、ダクトを設けたりすることにより、光源部で発生する熱を効率よく外部に排出することができる。また、空気流路に溝(または、凸条)を設けることにより、空気の流れを層流にすることができ、これが流速を向上させる結果となって、排熱が効率よくできるようになる。
【0024】
また、筐体の背面とこの背面上に配置されている電源収納部(ここには、制御用の回路基板が収納されている)との間に隔壁を兼ねるダクトを配した場合には、回路基板から発生した熱が光源部に伝わらず、また、逆に、光源部で発生した熱が回路基板に伝わらないので、光源部におけるLEDの発光効率の低下、あるいは回路基板での蓄熱に起因する回路の暴走などを防止することができる。
【0025】
また、前記光源の、少なくとも一つ以上のLEDチップごとに、LEDチップの出射光軸方向に平行に前記LEDチップより高さの大きい突起を設ける、もしくは、前記導光板の光入射面に、前記光源の少なくとも一つ以上のLEDチップごとに、前記LEDチップの高さより深さの大きい凹部を設けることにより、光源部周辺の温度が上昇して、近傍の導光板の一部が伸長により変形して、前記LEDチップ方向に押圧力を作用させる結果になるようなことがあっても、導光板の光入射面とLEDチップとが直接接触・押圧されるような自体にはならないので、LEDチップの損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明に係る面状照明装置について、添付の図面に示す実施形態を基に詳細に説明する。まず、面状照明装置の基本構成について説明する。
図1は、本発明に係る面状照明装置を備える液晶表示装置の概略を示す斜視図であり、図2は、図1に示した液晶表示装置のII−II線断面図である。
また、図3(A)は、図2に示した面状照明装置(以下「バックライトユニット」ともいう)のIII−III線矢視図であり、図3(B)は、(A)のB−B線断面図である。
【0027】
図3に示したのは、四辺入射方式のバックライトユニット20を備えたものである。
液晶表示装置10は、バックライトユニット20と、そのバックライトユニット20の光射出面側に配置される液晶表示パネル12と、液晶表示パネル12を駆動する駆動ユニット14とを有する。なお、図1においては、面状照明装置の構成を示すため、液晶表示パネル12の一部の図示を省略している。
【0028】
液晶表示パネル12は、予め特定の方向に配列してある液晶分子に、部分的に電界を印加してこの分子の配列を変え、液晶セル内に生じた屈折率の変化を利用して、液晶表示パネル12の表面上に文字、図形、画像などを表示する。
駆動ユニット14は、液晶表示パネル12内の透明電極に電圧をかけ、液晶分子の向きを変えて液晶表示パネル12を透過する光の透過率を制御する。
【0029】
バックライトユニット20は、液晶表示パネル12の背面から、液晶表示パネル12の全面に光を照射する照明装置であり、液晶表示パネル12の画像表示面と略同一形状の光射出面を有する。
【0030】
本発明に係るバックライトユニット20は、図1、図2、図3(A)及び図3(B)に示すように、2つの主光源28、2つの副光源29、導光板30及び光学部材ユニット32及び反射板34を有する照明装置本体24と、下部筐体42、上部筐体44、折返部材46及び支持部材48を有する筐体26とで構成されている。また、図1に示すように筐体26の下部筐体42の裏側には、主光源28及び副光源29に電力を供給する複数の電源を収納する電源収納部49が取り付けられている。
以下、バックライトユニット20を構成する各構成部品について説明する。
【0031】
照明装置本体24は、光を射出する主光源28及び副光源29と、主光源28及び副光源29から射出された光を面状の光として射出する導光板30と導光板30から射出された光を、散乱や拡散させてよりムラのない光とする光学部材ユニット32とを有する。
【0032】
まず、2つの主光源28及び2つの副光源29について説明する。
ここで、主光源28と副光源29とは、導光板30に対する配置位置を除いて基本的には同様の構成であるので、代表して、1つの主光源28について説明する。
図4(A)は、図1及び図2に示す面状照明装置20の主光源28の概略構成を示す概略斜視図であり、図4(B)は、図4(A)に示す主光源28の断面図であり、図4(C)は、図4(A)に示す主光源28の1つのLEDチップのみを拡大して示す概略斜視図である。
図4(A)に示すように、主光源28は、複数の発光ダイオードのチップ(以下「LEDチップ」という。)50と、光源支持部52とを有する。
【0033】
LEDチップ50は、青色光を射出する発光ダイオードの表面に蛍光物質を塗布したチップであり、所定面積の発光面58を有し、この発光面58から白色光を射出する。
つまり、LEDチップ50の発光ダイオードの表面から射出された青色光が蛍光物質を透過すると、蛍光物質が蛍光を発する。これにより、LEDチップ50から射出された青色光が透過すると、発光ダイオードから射出された青色光と蛍光物質が蛍光を発することで射出される光とで白色光を生成され、射出される。
ここで、LEDチップ50としては、GaN系発光ダイオード、InGaN系発光ダイオード等の表面にYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光物質を塗布したチップが例示される。
【0034】
光源支持部52は、図4(B)に示すように、アレイ基板54と複数のフィン56と有する。上述した複数のLEDチップ50は、所定間隔離間して一列でアレイ基板54上に配置されている。具体的には、主光源28を構成する複数のLEDチップ50は、後述する導光板30の第1光入射面30dまたは第2光入射面30eの長手方向に沿って、言い換えれば、光射出面30aと第1光入射面30dとが交わる線と平行に、または、光射出面30aと第2光入射面30eとが交わる線と平行に、アレイ状に配列されアレイ基板54上に固定されている。
【0035】
アレイ基板54は、一面が導光板30の最薄側端面に対向して配置された板状の部材であり、導光板30の側端面である第1光入射面30dまたは第2光入射面30eに対向して配置されている。アレイ基板54の導光板30の光入射面30dに対向する面となる側面には、LEDチップ50が支持されている。
ここで、本実施形態のアレイ基板54は、銅やアルミニウム等の熱伝導性の良い金属で形成されており、LEDチップ50から発生する熱を吸収し、外部に放散させるヒートシンクとしての機能も有する。
【0036】
複数のフィン56は、それぞれ銅やアルミニウム等の熱伝導性の良い金属で形成された板状部材であり、アレイ基板54のLEDチップ50が配置されている面とは反対側の面に、隣接するフィン56と所定間隔離間して連結されている。
光源支持部52に、フィン56を複数設けることで表面積を広くすることができ、かつ、放熱効果を高くすることができる。これにより、LEDチップ50の冷却効率を高めることができる。
また、ヒートシンクは、空冷方式に限定されず、水冷方式も用いることができる。
なお、本実施形態では、光源支持部52のアレイ基板54をヒートシンクとして用いたが、LEDチップの冷却が必要ない場合は、ヒートシンクに代えて放熱機能を備えない板状部材をアレイ基板として用いてもよい。
【0037】
ここで、図4(C)に示すように、本実施形態のLEDチップ50は、LEDチップ50の配列方向の長さよりも、配列方向に直交する方向の長さが短い長方形形状、つまり、後述する導光板30の厚み方向(光射出面30aに垂直な方向)が短辺となる長方形形状を有する。言い換えれば、LEDチップ50は、導光板30の光射出面30aに垂直な方向の長さをa、配列方向の長さをbとしたときに、b>aとなる形状である。また、LEDチップ50の配置間隔をqとするとq>bである。このように、LEDチップ50の導光板30の光射出面30aに垂直な方向の長さa、配列方向の長さb、LEDチップ50の配置間隔qの関係が、q>b>aを満たすことが好ましい。
LEDチップ50を長方形形状とすることにより、大光量の出力を維持しつつ、薄型な光源とすることができる。光源を薄型化することにより、面状照明装置を薄型にすることができる。また、LEDチップの配置個数を少なくすることができる。
【0038】
なお、LEDチップ50は、光源をより薄型にできるため、導光板30の厚み方向を短辺とする長方形形状とすることが好ましいが、本発明はこれに限定されず、正方形形状、円形形状、多角形形状、楕円形形状等種々の形状のLEDチップを用いることができる。
【0039】
また、本実施形態では、LEDチップを1列に並べ、単層構造としたが、本発明はこれに限定されず、アレイ支持体に複数のLEDチップ50を配置した構成のLEDアレイを複数個、積層させた構成の多層LEDアレイを光源として用いることもできる。このようにLEDアレイを積層させる場合でもLEDチップ50を長方形形状とし、LEDアレイ46を薄型にすることで、より多くのLEDアレイを積層させることができる。このように、多層のLEDアレイを積層させる、つまり、LEDアレイ(LEDチップ)の充填率を高くすることで、より大光量を出力することができる。また、LEDアレイのLEDチップと隣接する層のLEDアレイのLEDチップも上述と同様に配置間隔が上記式を満たすことが好ましい。つまり、LEDアレイは、LEDチップと隣接する層のLEDアレイのLEDチップとを所定距離離間させて積層させることが好ましい。
【0040】
次に、導光板30について説明する。
図5は、導光板30の形状を示す概略斜視図である。
導光板30は、図2、図3及び図5に示すように、略矩形形状の平坦な光射出面30aと、この光射出面30aの両端に、光射出面30aに対してほぼ垂直に形成された2つの光入射面(第1光入射面30dと第2光入射面30e)と、光射出面30aの反対側、つまり、導光板の背面側に位置し、第1光入射面30dおよび第2光入射面30eに平行で、光射出面30aを2等分する2等分線α(図1、図3参照)を中心軸として互いに対称で、光射出面30aに対して所定の角度で傾斜する2つの傾斜面(第1傾斜面30bと第2傾斜面30c)と、光射出面30aの光入射面が形成されていない側の両端(光射出面30aと光入射面との交線に直交する2つの辺)に、光射出面30aに対して略垂直に形成された2つの側面(第1側面30fと第2側面30g)とを有している。
【0041】
第1傾斜面30b及び第2傾斜面30cは、第1光入射面30d及び第2光入射面30eから遠ざかるに従って光射出面30aからの距離が遠ざかる(大きくなる)ように、つまり、それぞれ第1光入射面30d及び第2光入射面30eから導光板の中心に向かうに従って、導光板30の光射出面30aに垂直な方向の厚みが大きくなるように傾斜している。
つまり、導光板30は、両端部、すなわち第1光入射面30dと第2光入射面30eで厚みが最も薄くなり、中央部、すなわち第1傾斜面30bと第2傾斜面30cが交差する2等分線αに対応する位置で厚さが最大となる。言い換えれば、導光板30は、第1光入射面30dまたは第2光入射面30eから離れるに従って導光板の光射出面30aに垂直な方向の厚みが厚くなる形状である。なお、光射出面30aに対する第1傾斜面30b及び第2傾斜面30cの傾斜角度は特に限定されない。
【0042】
ここで、上述した2つの主光源28は、それぞれ導光板30の第1光入射面30d及び第2光入射面30eに対向して配置されている。具体的には、複数のLEDチップ50aと光源支持部52aで構成された主光源28aが第1光入射面30dに対向して配置され、複数のLEDチップ50bと光源支持部52bで構成された主光源28bが第2光入射面30eに対向して配置されている。ここで、本実施形態では、光射出面30aに垂直な方向において、光源28のLEDチップ50の発光面58の長さと第1光入射面30d及び第2光入射面30eの長さが略同じ長さである。
【0043】
このように面状照明装置20は、2つの主光源28が、導光板30をはさみこむように配置されている。つまり、所定間隔離間して、向い合って配置された2つの主光源28の間に導光板30が配置されている。
さらに、上述した2つの副光源29は、それぞれ導光板30の第1側面30f及び第2側面30gに対向して配置されている。具体的には、複数のLEDチップ50cと光源支持部52cで構成された副光源29が第1側面30fに対向して配置され、複数のLEDチップ50dと光源支持部52dで構成された副光源29が第2側面30gに対向して配置されている。
【0044】
図2に示す導光板30では、主光源28から射出され第1光入射面30d及び第2光入射面30eから入射した光は、導光板30の内部に含まれる散乱体(詳細は後述する)によって散乱されつつ、導光板30内部を通過し、直接、または第1傾斜面30b及び第2傾斜面30cで反射した後、光射出面30aから出射する。このとき、第1傾斜面30b及び第2傾斜面30cから一部の光が漏出する場合もあるが、漏出した光は導光板30の第1傾斜面30b及び第2傾斜面30c側に配置された反射板34によって反射され再び導光板30の内部に入射する。反射板34については後ほど詳細に説明する。
また、副光源29から射出され第1側面30f及び第2側面30gから入射した光も同様に、導光板30の内部に含まれる散乱体(詳細は後述する)によって散乱されつつ、導光板30内部を通過し、直接、または第1傾斜面30b及び第2傾斜面30cで反射した後、光射出面30aから出射する。
【0045】
このように、導光板30を、対向する位置に主光源28が配置される第1光入射面30dまたは第2光入射面30eから離れるに従って、光射出面30aに垂直な方向の厚みが厚くなる形状とすることで、光入射面から入射する光を光入射面からより遠い位置まで届けることができ、光射出面を大きくすることができる。また、光入射面から入射した光を遠い位置まで好適に届けることができるため、導光板を薄型化することができる。
【0046】
導光板30は、透明樹脂に、光を散乱させるための散乱粒子が混錬分散されて形成されている。導光板30に用いられる透明樹脂の材料としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ベンジルメタクリレート、MS樹脂、あるいはCOP(シクロオレフィンポリマー)のような光学的に透明な樹脂が挙げられる。導光板30に混錬分散させる散乱粒子としては、アトシパール、シンコーン、シリカ、ジルコニア、誘電体ポリマなどを用いることができる。このような散乱粒子を導光板30の内部に含有させることによって、均一で輝度むらが少ない照明光を光出射面から出射することができる。このような導光板30は、押出成形法や射出成形法を用いて製造することができる。
【0047】
また、導光板30に含まれる散乱粒子の散乱断面積をΦ、光の入射する方向(導光板に入射した光の進行方向に平行な方向、光射出面に平行で、光射出面と光入射面(第1光入射面または第2光入射面)との接線に垂直な方向において、)における導光板30の第1光入射面30dまたは第2光入射面30eから光射出面30aに直交する方向の厚みが最大となる位置までの長さ、本実施形態では、導光板の光の入射する方向(本実施形態では、導光板30の第1光入射面30dに垂直な方向、以下「光軸方向」ともいう。)の半分の長さ(2等分線αの位置までの長さ)をL、導光板30に含まれる散乱粒子の密度(単位体積あたりの粒子数)をN、補正係数をKとした場合に、Φ・N・L・Kの値が1.1以上であり、かつ8.2以下であり、さらに、補正係数Kの値が0.005以上0.1以下であるという関係を満たしているのがよい。導光板30は、このような関係を満たす散乱粒子を含んでいるので、均一で輝度むらが少ない照明光を光出射面30aから出射することができる。
【0048】
一般的に、平行光束を等方媒質に入射させた場合の透過率Tは、Lambert−Beer則により下記式(1)で表される。
T=I/I=exp(−ρ・x)・・・(1)
ここで、xは距離、Iは入射光強度、Iは出射光強度、ρは減衰定数である。
【0049】
上記減衰定数ρは、粒子の散乱断面積Φと媒質に含まれる単位体積当たりの粒子数Npとを用いて下記式(2)で表される。
ρ=Φ・N・・・(2)
したがって、導光板に入射した光の進行方向に平行な方向における導光板の入射面から厚みが最も厚い位置までの長さ、本実施形態では、導光板の光軸方向の半分の長さをLとすると、光の取り出し効率Eoutは、下記式(3)で与えられる。ここで、導光板の光軸方向の半分の長さLは、導光板30の光入射面に垂直な方向における導光板30の一方の光入射面から導光板30の中心までの長さとなる。
【0050】
また、光の取り出し効率とは、入射光に対する、導光板の光入射面から光軸方向に長さL離間した位置に到達する光の割合であり、例えば、図2に示す導光板30の場合は、端面に入射する光に対する導光板の中心(導光板の光軸方向の半分の長さとなる位置)に到達する光の割合である。
out∝exp(−Φ・N・L)・・・(3)
【0051】
ここで式(3)は有限の大きさの空間におけるものであり、式(1)との関係を補正するための補正係数Kを導入する。補正係数Kは、有限の空間の光学媒質中で光が伝搬する場合に経験的に求められる無次元の補正係数である。そうすると、光の取り出し効率Eoutは、下記式(4)で表される。
out=exp(−Φ・N・L・K)・・・(4)
【0052】
式(4)に従えば、Φ・N・L・Kの値が3.5のときに、光の取り出し効率Eoutが3%であり、Φ・N・L・Kの値が4.7のときに、光の取り出し効率Eoutが1%である。
この結果より、Φ・N・L・Kの値が大きくなると、光の取り出し効率Eoutが低くなることが分かる。光は導光板の光軸方向へ進むにつれて散乱するため、光の取り出し効率Eoutが低くなると考えられる。
【0053】
したがって、Φ・N・L・Kの値は大きいほど導光板として好ましい性質であることが分かる。つまり、Φ・N・L・Kの値を大きくすることで、光の入射面と対向する面から射出される光を少なくし、光射出面から射出される光を多くすることができる。すなわち、Φ・N・L・Kの値を大きくすることで、入射面に入射する光に対する光射出面から射出される光の割合(以下「光利用効率」ともいう。)を高くすることができる。具体的には、Φ・N・L・Kの値を1.1以上とすることで、光利用効率を50%以上にすることができる。
【0054】
ここで、Φ・N・L・Kの値は大きくすると、導光板30の光射出面30aから出射する光の照度むらが顕著になるが、Φ・N・L・Kの値を8.2以下とすることで、照度むらを一定以下(許容範囲内)に抑えることができる。なお、照度と輝度は略同様に扱うことができる。従って、本発明においては、輝度と照度とは、同様の傾向があると推測される。
【0055】
以上より、本発明の導光板30のΦ・N・L・Kの値は、1.1以上かつ8.2以下であるという関係を満たすことが好ましく、2.0以上かつ8.0以下であることがより好ましい。また、Φ・N・L・Kの値は、3.0以上であればさらに好ましく、4.7以上であれば最も好ましい。
また、補正係数Kは、0.005以上0.1以下(0.005≦K≦0.1)であることが好ましい。
【0056】
以下、具体例とともに、導光板30についてより詳細に説明する。
まず、散乱断面積Φ、粒子密度N、導光板の光軸方向の半分の長さL、補正係数Kを種々の値とし、Φ・N・L・Kの値が異なる各導光板について、計算機シミュレーションにより光利用効率を求め、さらに照度むらの評価を行った。ここで、照度むら[%]は、導光板の光射出面から射出される光の最大照度をIMaxとし、最小照度をIMinとし、平均照度をIAveとしたときの[(IMax−IMin)/IAve]×100とした。
また、副光源がら入射する光は、光軸方向における位置によらず一定となるため、本具体例では、副光源を配置しない条件で評価を行った。
測定した結果を表1に示す。また、表1における判定は、光利用効率が50%以上かつ照度むらが150%以下の場合を○、光利用効率が50%より小さいまたは照度むらが150%より大きい場合を×として示す。
【0057】
【表1】

【0058】
また、図6に、Φ・N・L・Kの値と光利用効率(光入射面に入射する光に対して光射出面30aから射出される光の割合)との関係を測定した結果を示す。
表1及び図6に示すように、Φ・N・L・Kを1.1以上とすることで、光利用効率を大きくすること、具体的には光利用効率を50%以上とすることができ、8.2以下とすることで、照度ムラを150%以下にすることができることがわかる。
また、Kcを0.005以上とすることで、光利用効率を高くすることができ、0.1以下とすることで、導光板からの射出される光の照度むらを小さくすることができることがわかる。
【0059】
次に、導光板に混錬又は分散させる微粒子の粒子密度Nが種々の値の導光板を作成し、それぞれの導光板の光射出面の各位置から射出される光の照度分布を測定した。ここで本実施形態では、粒子密度Nを除いて他の条件、具体的には、散乱断面積Φ、導光板の光軸方向の半分の長さL、補正係数K、導光板の形状等は、同じ値とした。従って、本実施形態では、Φ・N・L・Kは、粒子密度Nに比例して変化する。
このようにして種々の粒子密度の導光板について、それぞれ光射出面から射出される光の照度分布を測定した結果を図7に示す。図7は、縦軸を照度[lx]とし、横軸を導光板の一方の光入射面からの距離(導光長)[mm]とした。
【0060】
さらに、測定した照度分布の導光板の側壁から射出される光の最大照度をIMaxとし、最小照度をIMinとし、平均照度をIAveとしたときの照度むら[(IMax−IMin)/IAve]×100[%]を算出した。
図8に、算出した照度むらと粒子密度との関係を示す。図8では、縦軸を照度むら[%]とし、横軸を粒子密度[個/m3]とした。また、図8には、横軸を同様に粒子密度とし、縦軸を光利用効率[%]とした、光利用効率と粒子密度との関係も併せて示す。
【0061】
図7、図8に示すように、粒子密度を高くする、つまりΦ・N・L・Kを大きくすると、光利用効率は高くなるが、照度むらも大きくなる。また、粒子密度を低くする、つまり、Φ・N・L・Kを小さくすると、光利用効率は低くなるが、照度むらは小さくなることがわかる。
ここで、Φ・N・L・Kを1.1以上8.2以下とすることで、光利用効率を50%以上とし、かつ、照度むらを150%以下とすることができる。照度むらを150%以下とすることで、照度むらを目立たなくすることができる。
つまり、Φ・N・L・Kを1.1以上8.2以下とすることで、光利用効率を一定以上とし、かつ照度むらも低減することができることがわかる。
【0062】
次に、光学部材ユニット32について説明する。
光学部材ユニット32は、導光板30の光射出面30aから射出された照明光をより輝度むらのない光にして、照明装置本体24の光出面24aからより輝度むらのない照明光を射出するためのもので、図2に示すように、導光板30の光射出面30aから射出する照明光を拡散して輝度むらを低減する拡散シート32aと、光入射面と光射出面との接線と平行なマイクロプリズム列が形成されたプリズムシート32bと、プリズムシート32bから射出する照明光を拡散して輝度むらを低減する拡散シート32cとを有する。
【0063】
拡散シート32a及び32c、プリズムシート32bとしては、本出願人の出願に係る特開2005−234397号公報の[0028]〜[0033]に開示されているものを適用することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、光学部材ユニットを2枚の拡散シート32aおよび32cと、2枚の拡散シートの間に配置したプリズムシート32bとで構成したが、プリズムシート及び拡散シートの配置順序や配置数は特に限定されず、また、プリズムシート、拡散シートとしても特に限定されず、導光板30の光射出面30aから射出された照明光の輝度むらをより低減することができるものであれば、種々の光学部材を用いることができる。
例えば、光学部材として、上述の拡散シート及びプリズムシートに、加えてまたは代えて、拡散反射体からなる多数の透過率調整体を輝度むらに応じて配置した透過率調整部材も用いることもできる。
【0065】
次に、照明装置本体24の反射板34について説明する。
反射板34は、導光板30の第1傾斜面30b及び第2傾斜面30cから漏洩する光を反射して、再び導光板30に入射させるために設けられており、光の利用効率を向上させることができる。反射板34は、導光板30の第1傾斜面30b及び第2傾斜面30cに対応した形状で、第1傾斜面30b及び第2傾斜面30cを覆うように形成される。本実施形態では、図2では、導光板30の第1傾斜面30b及び第2傾斜面30cが断面三角形状に形成されているので、反射板34もこれに補形する形状に形成されている。
【0066】
反射板34は、導光板30の傾斜面から漏洩する光を反射することができれば、どのような材料で形成されてもよく、例えば、PETやPP(ポリプロピレン)等にフィラーを混練後延伸することによりボイドを形成して反射率を高めた樹脂シート、透明もしくは白色の樹脂シート表面にアルミ蒸着などで鏡面を形成したシート、アルミ等の金属箔もしくは金属箔を担持した樹脂シート、あるいは表面に十分な反射性を有する金属薄板により形成することができる。
【0067】
また、本実施形態では、反射板34を導光板30とを別部材としているが、導光板30から漏洩する光を反射して、再び導光板に入射させることができれば反射板34の構造はこれに限定されない。例えば、導光板30の光射出面30aと反対の背面側に光を反射する作用を持った材料を塗布して反射板34としてもよい。このように構成することで、導光板30の伸縮によって反射板34と下部誘導反射板38との間に隙間ができることを防止し、導光板30から光が漏れることを防止することができる。これにより、光利用効率を向上させることができる。
【0068】
上部誘導反射板36は、導光板30と拡散シート32aとの間、つまり、導光板30の光射出面30a側に、光源28及び導光板30の光射出面30aの端部(第1光入射面30d側の端部及び第2光入射面30e側の端部)を覆うようにそれぞれ配置されている。言い換えれば、上部誘導反射板36は、光軸方向に平行な方向において、導光板30の光射出面30aの一部から光源28のアレイ基板54の一部までを覆うように配置されている。つまり、2つの上部誘導反射板36が、導光板30の両端部にそれぞれ配置されている。
このように、上部誘導反射板36を配置することで、光源28から射出された光が導光板30に入射することなく、光射出面30a側に漏れ出すことを防止できる。
これにより、光源28のLEDチップ50から射出された光を効率よく導光板30の第1光入射面30d及び第2光入射面30eに入射させることができ、光利用効率を向上させることができる。
【0069】
下部誘導反射板38は、導光板30の光射出面30a側とは反対側、つまり、第1傾斜面30b及び第2傾斜面30c側に、光源28の一部を覆うように配置されている。また、下部誘導反射板38の導光板中心側の端部は、反射板34と連結されている。
ここで、上部誘導反射板36及び下部誘導反射板38としては、上述した反射板34に用いる各種材料を用いることができる。
下部誘導反射板38を設けることで、光源28から射出された光が導光板30に入射することなく、導光板30の第1傾斜面30b及び第2傾斜面30c側に漏れ出すことを防止できる。
これにより、光源28のLEDチップ50から射出された光を効率よく導光板30の第1光入射面30d及び第2光入射面30eに入射させることができ、光利用効率を向上させることができる。
なお、本実施形態では、反射板34と下部誘導反射板38と連結させたが、これに限定されず、それぞれを別々の部材としてもよい。
【0070】
ここで、上部誘導反射板36及び下部誘導反射板38は、光源28から射出された光を第1光入射面30dまたは第2光入射面30e側に反射させ、光源28から射出された光を第1光入射面30dまた第2光入射面30eに入射させることができ、導光板30に入射した光を導光板30中心側に導くことができれば、その形状及び幅は特に限定されない。
また、本実施形態では、上部誘導反射板36を導光板30と拡散シート32aとの間に配置したが、上部誘導反射板36の配置位置はこれに限定されず、光学部材ユニット32を構成するシート状部材の間に配置してもよく、光学部材ユニット32と上部筐体44との間に配置してもよい。
また、上部誘導反射板36及び下部誘導反射板38は、導光板30の第1側面30f及び第2側面30g側の端部にも配置することがより好ましい。上部誘導反射板36及び下部誘導反射板38を導光板30の第1側面30f及び第2側面30gの端部にも配置することで、副光源29から射出された光を効率よく導光板に入射させることができる。
【0071】
次に、筐体24について説明する。
図2に示すように、筐体24は、照明装置本体24を収納して支持し、かつその光出射面24a側と導光板30の第1傾斜面30b及び第2傾斜面30c側とから挟み込み、固定するものであり、下部筐体42と上部筐体44と折返部材46と支持部材48とを有する。
【0072】
下部筐体42は、上面が開放され、底面部と、底面部の4辺に設けられ底面部に垂直な側面部とで構成された形状である。つまり、1面が開放された略直方体の箱型形状である。下部筐体42は、図2に示すように、上方から収納された照明装置本体24を底面部及び側面部で支持すると共に、照明装置本体24の光出面24a以外の面、つまり、照明装置本体24の光出面24aとは反対側の面(背面)及び側面を覆っている。
【0073】
上部筐体44は、上面に開口部24aとなる照明装置本体24の矩形状の光出射面24aより小さい矩形状の開口が形成され、かつ下面が開放された直方体の箱型形状である。
上部筐体44は、図2に示すように、面状照明装置本体24及び下部筐体42の上方(光射出面側)から、照明装置本体24およびこれが収納された下部筐体42をその4方の側面部22bも覆うように被せられて配置されている。
【0074】
折返部材46は、断面の形状が常に同一の凹(U字)型となる形状である。つまり、延在方向に垂直な断面の形状がU字形状となる棒状部材である。
折返部材46は、図2に示すように、下部筐体42の側面と上部筐体44の側面との間に嵌挿され、U字形状の一方の平行部の外側面が下部筐体42の側面部22bと連結され、他方の平行部の外側面が上部筐体44の側面と連結されている。
ここで、下部筐体42と折返部材46との接合方法、折返部材46と上部筐体44との接合方法としては、ボルトおよびナット等を用いる方法、接着剤を用いる方法等種々の公知の方法を用いることができる。
【0075】
このように、下部筐体42と上部筐体44との間に折返部材46を配置することで、筐体24の剛性を高くすることができ、導光板が反ることを防止できる。これにより、例えば、輝度むらがないまたは少なく光を効率よく射出させることができる反面、反りが生じ易い導光板を用いる場合であっても、反りをより確実に矯正でき、または、導光板に反りが生じることをより確実に防止でき、輝度むら等のない、または低減された光を光射出面から射出させることができる。
なお、筐体の上部筐体、下部筐体及び折返部材には、金属、樹脂等の種々の材料を用いることができる。なお、材料としては、軽量で高強度の材料を用いることが好ましい。
また、本実施形態では、折返部材を別部材としたが、上部筐体または下部筐体と一体にして形成してもよい。また、折返部材を設けない構成としてもよい。
【0076】
支持部材48は、延在方向に垂直な断面の形状が同一となる形状である。つまり、延在方向に垂直な断面の形状が同一の棒状部材である。
支持部材48は、図2に示すように、反射板34と下部筐体42との間、より具体的には、導光板30の第1傾斜面30bの第1光入射面30d側の端部に対応する位置の反射板34と下部筐体42との間に配置され、導光板30及び反射板34を下部筐体42に固定し、支持する。
支持部材48により反射板34を支持することで、導光板30と反射板34とを密着させることができる。さらに、導光板30及び反射板34を、下部筐体42の所定位置に固定することができる。
【0077】
また、本実施形態では、支持部材を独立した部材として設けたが、これに限定されず、下部筐体42、または反射板34と一体で形成してもよい。つまり、下部筐体42の一部に突起部を形成し、この突起部を支持部材として用いても、反射板の一部に突起部を形成し、この突起部を支持部材として用いてもよい。
また、配置位置も特に限定されず、反射板と下部筐体との間の任意の位置に配置することができるが、導光板を安定して保持するために、導光板の端部側、つまり、本実施形態では、第1光入射面30d近傍、第2光入射面30e近傍に配置することが好ましい。
【0078】
また、支持部材48の形状は特に限定されず、種々の形状とすることができ、また、種々の材料で作成することもできる。例えば、支持部材を複数設け、所定間隔毎に配置してもよい。
また、支持部材を反射板と下部筐体とで形成される空間の全域を埋める形状とし、つまり、反射板側の面を反射板に沿った形状とし、下部筐体側の面を下部筐体に沿った形状としてもよい。このように、支持部材により反射板の全面を支持する場合は、導光板と反射板とが離れることを確実に防止することができ、反射板を反射した光により輝度むらが生じることを防止することができる。
【0079】
面状照明装置20は、導光板30の両端にそれぞれ配置された主光源28から射出された光が導光板30の光入射面(第1光入射面30d及び第2光入射面30e)に入射し、さらに、導光板30の他方の両端にそれぞれ配置された副光源29から射出された光が、側面(第1側面30f及び第2側面30g)に入射する。それぞれの面から入射した光は、導光板30の内部に含まれる散乱体によって散乱されつつ、導光板30内部を通過し、直接、または第1傾斜面30b及び第2傾斜面30cで反射した後、光射出面30aから出射する。このとき、第1傾斜面30b及び第2傾斜面30cから漏出した一部の光は、反射板34によって反射され再び導光板30の内部に入射する。
このようにして、導光板30の光射出面30aから射出された光は、光学部材32を透過し、照明装置本体24の光出面24aから射出され、液晶表示パネル12を照明する。
液晶表示パネル12は、駆動ユニット14により、位置に応じて光の透過率を制御することで、液晶表示パネル12の表面上に文字、図形、画像などを表示する。
【0080】
面状照明装置20は、基本的に以上のような構成を有するものである。
以下では、面状照明装置として、代表的な二辺入射方式の面状照明装置(図9(A)参照)、並びに四辺入射方式の面状照明装置(図9(B)参照)のうちから、二辺入射方式の面状照明装置を例に挙げて、光源部(LEDアレイ)の発熱に基づく諸問題への対応策に付いて説明する。
【0081】
第1の問題は、前述したように、導光板の伸長時に、伸長した導光板が光源部(LEDアレイ)を損傷するという問題であり、以下では、この問題を解決して、LEDなどの光源を損傷から保護することが可能な面状照明装置の実施例を説明する。
この実施例の要点は、導光板の伸長時においても、導光板の光入射面と光源28のLEDとが直接接触しないようにした点にある。
【0082】
図10に、これについての第1の実施例を示した。図10において、54はLEDアレイ、30は導光板、50はLEDチップ、そして、55は導光板30の伸長時に導光板30の光入射面とLEDとが直接接触しないようにするためのLEDガードを示している。
ここでは、LEDガード55は、金属または硬質プラスチック等で構成されたピン状の部材であり、アレイ基板54にネジによる植設等の方法で固定されている。
なお、以下の図面では、特に必要でない限り、導光板30に付属している光学部材ユニット32並びに反射板34については図示を省略している。
【0083】
LEDチップ50に対するLEDガード55の設置数は、例えば、図示例のようにLEDチップ50に対し3個ごとに挿入する例が挙げられるが、これに限定されるわけではなく、LEDチップ50に対し1個以上ごとに挿入することが好ましい。また、LEDガード55を設置した後における、LEDチップ50と導光板30の光入射面との間の距離は、光利用効率の観点から、0.1mm〜0.5mm程度が好ましい。
【0084】
図11に、図10の部分拡大図(図11(A))、並びにLEDガード55の形状についていくつかの例を示した(図11(B)〜(D))。
LEDガード55の基本的形状は、導光板の光入射面と接触したときに光入射面を傷つけないことである。このため、LEDガード55の先端部の断面形状は、例えば、図11(B)〜(D)に示されるような、円形(B)、楕円形(C)、角部を面取りした台形状などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0085】
図12は、上記問題に対する第2の実施例を示している。図12において、30は導光板、31は導光板30に設けた、導光板30の伸長時に導光板の光入射面とLEDとが直接接触しないようにするためのLEDガード用凹部(空隙部)、54はLEDチップ基板を示している。また、33は、LEDガード用凹部31が形成された結果生じた、上述のLEDガードと同じ作用を有する突き当て部である。
【0086】
図12に示した実施例に係るLEDガード用凹部31は、その結果形成された突き当て部33が、図11に示した実施例に係るLEDガード55と同様の、導光板30の伸長時に導光板30の光入射面とLEDとが直接接触しないようにするという機能を実現することで、全く同様の効果を得ることができる。
ここで、LEDガード用凹部31設置後の、LEDチップ50と導光板30の光入射面との間の距離は、光利用効率の観点から、0.1mm〜0.5mm程度が好ましい。
【0087】
図13(A)〜(C)に、図12に示したLEDガード用凹部31の形状についていくつかの例を示した。
LEDガード用凹部31の基本的形状は、突き当て部33がLEDアレイ基板54と接触したときに、LEDチップ50を傷つけないようにするものであることである。このため、LEDガード用凹部31の凹部の断面形状は、例えば、図13(A)〜(C)に示されるような、台形断面(A)、矩形断面(B)、楕円形断面(C)などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0088】
また、図14には、上記問題に対する第3の実施例を示した。図14に示したのは、先に説明した実施例における突起状部材を、これまでの例とは異なる、導光板30とLEDアレイ基板54とを別体のピンにより係合させるという例である。すなわち、この実施例は、組み立て後に前述のLEDガード55、突き当て部33などと同様の機能を実現するネジ付きピン35を用いている例である。
【0089】
ここで、ネジ付きピン35は、例えば両端部に、LEDアレイ基板54もしくは導光板30の光入射面に捻じ込むためのネジ部を備えたピンである。この場合、ネジ部の反対側の端部は、導光板30の光入射面もしくはLEDアレイ基板54に設けられた孔に挿入されることにより、導光板30の光入射面とLEDアレイ基板54との平面的な位置ずれを防止する効果を有するものであればよい。
【0090】
一方、第2の問題は、これも前述したように、前記光源の発生する熱を効率よく放熱しないと、光源として用いられるLEDの発光光量が低下するという問題である。
なお、前記光源の発生する熱に関する、先に示した導光板の伸長に起因する問題と、このLEDの発光光量が低下するという問題とは独立した問題ではあるが、対応する場合には、両者に対する対応策を組み合わせて適用することが好都合であるため、以下では、これらの2つの問題を解決することが可能な面状照明装置の実施例を説明する。ただし、本発明は、この実施例に拘束されるものではない。
【0091】
上述の、LEDの発光光量が低下するという問題に対しては、従来、LEDから発生する熱を、LEDを搭載するアレイ基板にヒートシンクを接続して放熱を図っていたが、このようなヒートシンクのみによる放熱では、必ずしも十分有効な放熱が実現されているとはいえず、季節的な要因、あるいは使用条件の変化などによっては、上記アレイ基板周辺での蓄熱によりLEDの発光効率が低下する場合もあった。
そこで、今回、本発明者は、より効果的な放熱方式を具体化すべく、下記のような種々の放熱方式を検討したので、そのうちから、特に有効であったものについて、実施例を挙げて説明する。
【0092】
図15に、この件に関する第1の実施例を示す。この実施例は、先に図10に示した、導光板30の伸長時に導光板30の光入射面とLEDとが直接接触しないようにするためのLEDガード55を設けた面状照明装置に、さらに、放熱促進のための、ヒートシンク60、排気(もしくは、送気)ダクト57並びにファン59を備えた面状照明装置を示している。
なお、図15において、(A)は面状照明装置の上面図、(B)は(A)のC−C線矢視側面図、(C)は(B)の右側面図であり、導光板30の図示を省略している。
【0093】
本実施例に示す面状照明装置は、アレイ基板54、その導光板30の下面側にヒートシンク60を接続して、LEDチップ50から発生する熱を主としてこのヒートシンク60を介して導光板30中央部方向に放熱させるようにした構成を有する装置に、さらに、上記ヒートシンク60の下面(導光板30の下面側)に上記ヒートシンク60に沿った形の排気ダクト57と、これに接続されるファン59を設けたものである。
【0094】
そして、この実施例では、ファン59により排気ダクト57内に送り込まれた冷却用の空気が、排気ダクト57内を通って側面から排気される間に、上記排気ダクト57に接して設けられているヒートシンク60からその接触面を通して熱を吸引する(図15中に、白い上向き矢印で示す)ことにより、LED基板54を介して、LEDチップ50から発生する熱を装置外部に放熱する(図15中に、白い横向き矢印で示す)作用を実施するものである。
【0095】
上記排気ダクト57並びにヒートシンク60に関しては、公知の各種の方法によりその内面の表面積を増大させて、放熱効果を向上させることが好ましい。ここで用い得る表面積の増大方法としては、表面の機械加工、表面処理(ヘアライン処理、サンドブラスト、アルマイト化(アルミニウム材の場合))等が挙げられる。
また、上記排気ダクト57並びにヒートシンク60内を通す空気流に関しては、その流れを層流とすることにより流速を上げ、法熱効果を高めることも好ましい。
【0096】
なお、上記実施例においては、ファン59による送風方向を、装置の下方からファン59に吸入された外気が、排気ダクト57を経由して外部(図15中では、左右方向)に排気される方向としているが、この方向は、これとは逆に、ファン59が、排気ダクト57の装置側面の開口部から外部の空気を吸い込み、この空気を排気ダクト57内を通過させた後、ファン59から外部(図15中では、下方)に排気するようにしてもよい。
【0097】
図16,図17に、この件に関する第2の実施例を示す。この実施例は、先に図10に示した、導光板30の伸長時に導光板30の光入射面とLEDとが直接接触しないようにするためのLEDガード55を設けた面状照明装置に、さらに、放熱促進のためのヒートシンク60、このヒートシンク60の導光板30の中央部側に向かって伸びる薄層状のヒートパイプ62を接続したものである。
【0098】
なお、図16において、(A)は面状照明装置の上面図、(B)は(A)のD−D線矢視側面図、(C)は(B)の右側面図、図17は図16(A)の右側面図であり、また、導光板30の図示を省略している。この実施例に示す例では、ヒートパイプ62として、厚みが約1mm、幅が約10mmの短冊状のものを用いているが、これは、導光板30の下部の筐体との間隙に収納することができる寸法であればよいということであり、それ以外の限定要因はない。
【0099】
本実施例に示す面状照明装置では、図16,図17に示すように、LED基板54の下部の、導光板30の下方の間隙に挿入可能な寸法のヒートシンク60を備えたLEDアレイ部の上記ヒートシンク60の先端部(導光板30の中央に向かう側)に短冊状のヒートパイプ62を所定間隔で、LEDアレイ部の幅、略一杯にわたって取り付けた構成としている。ヒートパイプ62の先端部(接続されているヒートシンク60とは逆の側)は、導光板30の下面側に沿って、その中央付近まで延びている。
【0100】
このような構成とすることにより、本実施例に示す面状照明装置では、LED50で発生した熱が、LED基板54を介してヒートシンク60(のLED基板54寄りの部分)に伝えられ、さらに、ヒートシンク60の他端(導光板30の中央に向かう側の端部)からヒートパイプ62に伝えられて、この過程で、ヒートシンク60のLED基板54寄りの部分からヒートパイプ62の先端部(導光板30の中央に最も近い部分)までの広範な領域において放熱が起き、効率的な放熱が行われることにより、LED50の温度が過度に上昇することが防止される。
【0101】
なお、前述の通り、図15〜図17に示した各実施例に関しては、光源28に設けた、導光板30の伸長時に導光板の光入射面とLEDとが直接接触しないようにするためのLEDガード(凸部または凹部等)は必須のものではなく、本発明は、これらのLEDガードの装着とは無関係にこれを採用することが可能であり、この構成のみにより、光源部分の発熱を効率的に放熱させ、LEDの発光光量の低下を防止するのみならず、導光板30の温度上昇を抑えることにより、導光板30が伸長したときにも導光板30の光入射面とLEDとが直接接触しないようにして、LEDの破損を防止するという優れた効果をもたらすものである。
【0102】
図18は、導光板30の温度上昇を抑えるための他の構成を示すものである。
本実施例に係る面状照明装置は、導光板30(面状照明装置)の裏面側と、ここに取り付けられている電源収納部49との間に、導光板30並びにこの電源収納部49の放熱を促進するための隔壁を兼ねる薄型の吸い込みダクト64を配置し、このダクト64の外気に触れる部分に、換気(排気)用のファン59を設けたものである。なお、図18中、(A)は装置の下面図、(B)は(A)の右側面図である。
【0103】
本実施例に係る面状照明装置においては、換気(ここでは、排気)用のファン59により導光板30(面状照明装置)と電源収納部49との間に配置したダクト64を介して収集した、導光板30(面状照明装置)と電源収納部49との熱を吸収して暖められた外気を、ファン59から排気することにより、導光板30(面状照明装置)と電源収納部49双方において発生する熱を外部に逃がす作用を行っている。
【0104】
これにより、導光板30(面状照明装置)の温度上昇を抑えることにより、導光板30が伸長したときにも導光板30の光入射面とLEDとが直接接触しないようにして、LEDの破損を防止するのみならず、電源収納部49の放熱を促進することにより、電源収納部49の過度の温度上昇による装置の制御異常に起因する暴走を防止できるという優れた効果をもたらすものである。
【0105】
なお、上記実施例においては、ファン59による送風方向を、ダクト64の装置側面の開口部から外部の空気を吸い込み、この空気をダクト64内を通過させた後、ファン59から外部(図18(A)中では、上方:実際の装置では、下方に当たる)に排気する方向としているが、この方向は、これとは逆に、装置の下方からファン59により吸入された外気が、ダクト59を経由して外部(図18(A)中では、左右方向)に排気されるようにしてもよい。
【0106】
上記ダクト64に関しても、公知の各種の方法によりその内面の表面積を増大させて、放熱効果を向上させることが好ましい。ここで用い得る表面積の増大方法としては、表面の機械加工、表面処理(ヘアライン処理、サンドブラスト、アルマイト化(アルミニウム材の場合))等が挙げられる。
また、上記ダクト64内を通す空気流に関しては、その流れを層流とすることにより流速を上げ、法熱効果を高めることも好ましい。
【0107】
図19は、図18に示した実施例の変形例に当たるものであり、ここでは、導光板30(面状照明装置)の裏面側に、導光板30(面状照明装置)の放熱を促進するための排気ダクト57を配置し、このダクト57を、導光板30(面状照明装置)の中央部に設けた送風用のファン59に接続したものである。なお、図19中、(A)は装置の下面図、(B)は(A)の右側面図である。
【0108】
図19に示した実施例に係る装置は、電源収納部49の放熱に関しては直接の効果は少ないが、導光板30(面状照明装置)の放熱を促進することにより、電源収納部49の放熱に寄与する効果も少なからず存在する。
なお、この装置に関しても、送風方向を逆にしてもよいことは、いうまでもない。
【0109】
上記ダクト57に関しても、公知の各種の方法によりその内面の表面積を増大させて、放熱効果を向上させることが好ましい。ここで用い得る表面積の増大方法としては、表面の機械加工、表面処理(ヘアライン処理、サンドブラスト、アルマイト化(アルミニウム材の場合))等が挙げられる。
また、上記ダクト57内を通す空気流に関しては、その流れを層流とすることにより流速を上げ、法熱効果を高めることも好ましい。
【0110】
続いて、図20,図21に示すのは、先に、図11〜図14を用いて説明した、導光板の伸長時に、伸長した導光板が光源部(LEDアレイ)を損傷から保護することが可能な面状照明装置の、別の実施例である。
この実施例の要点は、導光板の伸縮時に、光源28のLEDがこの導光板の伸縮に同期して移動するようにしたことにより、導光板の光入射面と光源28のLEDとが直接接触しないようにした点にある。
【0111】
まず、図20を用いて、基本的な構成を説明する。
図20(B)は、本実施例に係る装置の構成の概略を示すものである。この構成の要点は、装置内部において、導光板30と光源(導光板の対抗する2目に対応して、図の左右に2個存在する)28とを、ピンにより固定しておくとともに、このようにして一体化された導光板30と光源28とを、装置内部において移動可能に構成した点にある。
詳細については、以下に説明する。
【0112】
図20(B)に示した装置では、その一方の端部の構成を拡大して示す図である図20(C)に示すように、導光板30と光源28とを、適宜のネジ付きピン70a,70b:72a,72bにより上下から「コの字」型の部材68に固定するようにしたもので、さらに、こうして一体化された導光板30と光源28とを、筐体内部上下面に貼着された摩擦部材66a間に挿入する形で保持して、伸縮を吸収するようにしたものである。
【0113】
ここで、上記摩擦部材66aとしては、一般的な耐摩擦係数材料が全て用い得るが、ここでは、磨耗粉などの発生しにくく、寸法安定性の高いものを選ぶことが好ましい。例えば、歩M(ポリアセタール)派(ポリアミド)等が好適に用い得る。
【0114】
なお、図20(D)に示す例は、図20(C)に示した構成例と同様であるが、相違点は、一体化された導光板30と光源28とを挿入する形で保持する摩擦部材の形状を、図20(C)に示した例における平板状のもの(図20(C)中の66a)から、テーパ付きのもの(図20(D)中の66b)に変更した点にあり、図20(D)に示す構成とした場合の効果としては、導光板30の移動量を両端方向に均一化しやすいこと、並びに、導光板30の伸縮量に対応させて摩擦力を調整する作用があることが挙げられる。
【0115】
なお、図20(C)並びに図20(D)において、符号78は、摩擦部材66aまたは66bを上下の筐体部品に固定するために用いられている支持部材を示している。また、符号46aは、図2に示した折返部材46を変形して、上部筐体44及び下部筐体42を介して、上記支持部材78(摩擦部材66aまたは66b)を所定位置に保持するための機能を付加したものである。74a,74bは、その際に用いる固定用ネジである。
【0116】
また、図20(A)は、上で説明した、導光板30の熱(温度上昇)による変形のうちの光源に対向する方向における伸長の吸収策とは異なる、これと直交する方向における伸長の吸収策の一例を示すものである。
図20(A)の示すところは、図20(B)中の左右方向に直交する方向(すなわち、図の紙面に直交する方向)における導光板30の伸縮を、円形の孔82と、当該方向に向けた長孔82aにより吸収するように構成した点にある。
【0117】
図21は、他の実施例を示すものであり、この実施例では、装置内部において、導光板30と光源(2個存在する)28とを、ピンにより固定して一体化するところまでは、先に示した実施例(図20(B)参照)と同じであるが、それに加えて、導光板30の両端のうち、一方の端部については、これを装置内部に固定して、移動するのは他方の端部のみに限定したものである。
【0118】
ここで、移動する側の、ピンにより固定して一体化された導光板30と光源28を移動(摺動)可能な形で受け入れる部分の構成としては、先の実施例に示した構成、すなわち、図20(C),(D)に示した構成のいずれかを用いればよい。もちろん、これらに限らず、同様の機能を実現できる校正も用い得る。
このように構成することにより、移動に関する機構を簡略化することができ、装置のコストダウンに対して有効な構成が得られる。
【0119】
なお、図20(C),(D)並びに図21において、符号76は、導光板30の温度変化に伴う伸縮に伴って、「コの字」型の支持部材68を介して導光板30の下面に装着されているヒートシンク60並びにヒートパイプ62が移動する差異に支障とならないように設けられている空隙を示している。
【0120】
上記各実施例においては、説明を判りやすくするために、本発明を、二辺入射方式の面状照明装置、並びに四辺入射方式の面状照明装置のうちから、二辺入射方式の面状照明装置を例に挙げた説明としたが、前述の通り、本発明は、四辺入射方式の面状照明装置についても好適に適用し得るものである。なお、本発明を四辺入射方式の面状照明装置に適用する際には、直交する2つの方向ごとに、上述の各構成を設ければよい。
【0121】
以上、本発明に係る面状照明装置の基本構成について詳細に説明したが、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明に係る面状照明装置を用いる液晶表示装置の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示した液晶表示装置のII−II線断面図である。
【図3】(A)は、図2に示した面状照明装置の、III−III線矢視図であり、(B)は、(A)のB−B線断面図である。
【図4】(A)は、図1及び図2に示す面状照明装置の光源の概略構成を示す斜視図であり、(B)は、(A)に示す光源の断面図であり、(C)は、(A)に示す光源の1つのLEDを拡大して示す概略斜視図である。
【図5】導光板の形状を示す概略斜視図である。
【図6】Φ・N・L・Kと光利用効率との関係を測定した結果を示す図である。
【図7】粒子密度が異なるそれぞれの導光体から射出される光の照度をそれぞれ測定した結果を示す図である。
【図8】光利用効率及び照度むらと粒子密度との関係を示す図である。
【図9】(A)〜(D)は代表的な面状照明装置の概略構成を示す図であり、(A),(C)は上面図、(B),(D)は側面図である。
【図10】導光板の伸長に起因するLEDの損傷防止構造の実施例を示す概略図(その1)であり、(A)は上面図、(B)は光源の側面図である。
【図11】図10の部分拡大図(A)及び、他の実施例に係る部材の形状を示す側面図((B)〜(D))である。
【図12】導光板の伸長に起因するLEDの損傷防止構造の他の実施例を示す概略(その2)上面図である。
【図13】(A)〜(C)は、図12に示す構造の他の実施例を含む一部拡大詳細図である。
【図14】図12に示す構造のさらに他の実施例を示す一部拡大詳細図である。
【図15】LEDの放熱を促進する構成を示す図(その1)であり、(A)は上面図、(Bは(A)のC−C矢視側面図、(C)は(B)の右側面図である。
【図16】LEDの放熱を促進する構成を示す図(その2)であり、(A)は上面図、(Bは(A)のD−D矢視側面図、(C)は(B)の右側面図である。
【図17】LEDの放熱を促進する構成を示す図(その3)である。
【図18】LEDの放熱を促進する構成を示す図(その4)であり、(A)は下面図、(B)は(A)の右側面図である。
【図19】LEDの放熱を促進する構成を示す図(その4)であり、(A)は下面図、(B)は(A)の右側面図である。
【図20】導光板の伸長に起因するLEDの損傷防止構造の実施例を示す概略図(その3)であり、(A)は上面図、(B)は全体構成を示し概略断面図、(C)、(D)は一部拡大断面図である。
【図21】導光板の伸長に起因するLEDの損傷防止構造の実施例を示す概略図(その4)である。
【符号の説明】
【0123】
10 液晶表示装置
12 液晶表示パネル
14 駆動ユニット
20 面状照明装置
24 照明装置本体
24a 光出面
26 筐体
28 主光源
29 副光源
30 導光板
30a 光射出面
30b 第1傾斜面
30c 第2傾斜面
30d 第1光入射面
30e 第2光入射面
31 LEDガード用凹部
32 光学部材ユニット
32a、32c 拡散シート
32b プリズムシート
33 突き当て部
34 反射板
35 ネジ付きピン
36 上側誘導反射板
38 下側誘導反射板
42 下部筐体
44 上部筐体
46 折返部材
48 支持部材
49 電源収納部
50 LEDチップ
52 光源支持部
54 アレイ基板
55 LEDガード
56 フィン
57 ダクト
58 発光面
59 ファン
60 ヒートシンク
62 (薄層状の)ヒートパイプ
64 (薄型の)吸い込みダクト
66a,66b 摩擦部材
68 「コの字」型の部材
70a,70b ネジ付きピン
72a,72b ネジ付きピン
74a,74b 固定用ネジ
76 空隙
78 (摩擦部材固定用)支持部材
82 円形の孔
82a 長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の光源と、この光源の間に配置され、光出射面と、前記各光源に対向する対を成す光入射面とを有し、断面形状が前記光源から出射した光束の進行方向に向かって広がる形をした逆楔型の導光板と、
前記光源並びに導光板を収納する筐体を有する面状照明装置であって、
前記光源に接続されたヒートシンクの端部に、ヒートパイプを前記筐体の中央部に向かって配置したことを特徴とする面状照明装置。
【請求項2】
前記筐体の背面のカバーの一部または全体を表面処理により、表面積を増大させた請求項1に記載の面状照明装置。
【請求項3】
一対の光源と、この光源の間に配置され、光出射面と、前記各光源に対向する対を成す光入射面とを有し、断面形状が前記光源から出射した光束の進行方向に向かって広がる形をした逆楔型の導光板と、
前記光源並びに導光板を収納する筐体を有する面状照明装置であって、
前記光源に接続されたヒートシンクの近傍にダクトを配するとともに、このダクトに接続されるファンを設けて排熱することを特徴とする面状照明装置。
【請求項4】
前記光源に接続されたヒートシンクは、表面積を増大させる表面処理を施されている、請求項1〜3のいずれかに記載の面状照明装置。
【請求項5】
前記光源は、複数のLEDチップと、このLEDチップを支持する支持体とを有し、前記LEDチップは、前記支持体の、前記導光板の光入射面に対向する面に列状に配置されている、請求項1〜4のいずれかに記載の面状照明装置。
【請求項6】
前記ヒートシンク並びにダクトは、前記LEDチップの配列方向に沿う溝または凸条を有する、請求項3〜5のいずれかに記載の面状照明装置。
【請求項7】
一対の光源と、この光源の間に配置され、光出射面と、前記各光源に対向する対を成す光入射面とを有し、断面形状が前記光源から出射した光束の進行方向に向かって広がる形をした逆楔型の導光板と、
前記光源並びに導光板を収納する筐体を有する面状照明装置であって、
前記筐体の背面とこの背面上に配置されている電源収納部との間に隔壁を兼ねるダクトを配し、このダクトの筐体中央部付近に排気手段を設けたことを特徴とする面状照明装置。
【請求項8】
前記光源の、少なくとも一つ以上のLEDチップごとに、LEDチップの出射光軸方向に平行に前記LEDチップより高さの大きい突起を設けた、請求項5〜7のいずれかに記載の面状照明装置。
【請求項9】
前記導光板の光入射面に、前記光源の少なくとも一つ以上のLEDチップごとに、前記LEDチップの高さより深さの大きい凹部を設けた、請求項5〜7のいずれかに記載の面状照明装置。
【請求項10】
前記導光板の光入射面と前記光源のLEDを支持する支持体との間の、少なくとも一つ以上のLEDチップごとに、前記LEDチップより高さの大きい間隔を設定する間隔設定部材を設けた、請求項5〜7のいずれかに記載の面状照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−305713(P2008−305713A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152995(P2007−152995)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】