説明

【課題】 より着脱の容易な靴を提供する。
【解決手段】 靴10は、足の甲を覆う舌片部13と、足の一方側面を覆い舌片部13上に部分的に重なる第1側皮部11と、足の他方側面を覆い舌片部13上に部分的に重なる第2側皮部12と、第1側皮部11と第2側皮部12とを分離可能に接続する第1接続バンド14とを備える。舌片部13と第1接続バンド14とは、一体的に結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は靴に関し、特に、履きやすい靴に関する。
【背景技術】
【0002】
履きやすさを考慮した靴が、たとえば特開2004−261421号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1に開示された靴においては、足の甲の一方側を覆う一方側の側皮部と、足の甲の他方側を覆う他方側の側皮部とが、一方側の側皮部の端縁部に固定され他方側の側皮部に延びる接続バンドによって接続される。接続バンドと側皮部とは面ファスナによって接続されているため、面ファスナを開閉するだけで靴の開口部を広げることができる。
【特許文献1】2004−261421号公報(図3から図6およびそれに関連する記載)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の、履きやすさを考慮した靴は、上記のように構成されていた。靴の脱ぎ履きの際に、面ファスナを開閉して、靴の着脱を容易にしていた。
【0004】
しかしながら、このような構成では、接続バンドを開いても、その下部に足の甲を覆う舌片部が存在するため、この舌片部が、靴を着脱する場合に邪魔になる。これは幼児や子供用の靴では特に問題になる。
【0005】
この発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、より着脱の容易な靴を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる靴は、足の甲を覆う舌片部と、足の一方側面を覆い舌片部上に部分的に重なる第1側皮部と、足の他方側面を覆い前記舌片部上に部分的に重なる第2側皮部と、第1側皮部と第2側皮部とを分離可能に接続する接続バンドとを備える。舌片部と接続バンドとは一体的に結合されている。
【0007】
舌片部と接続バンドとが一体的に結合されているため、両側皮部を接続する接続バンドを外して持ち上げれば、舌片部も同時に持ち上げることができ、靴の開口をワンタッチで広げることができる。
【0008】
その結果、より着脱の容易な靴を提供できる。
この発明の一つの実施の形態においては、舌片部は、横に延びる部分と縦に延びる部分とからなるT字形状を有しており、横に延びる部分が接続バンドとして機能する。
【0009】
好ましくは、接続バンドは第1側皮部または第2側皮部のいずれか一方に固定されていてもいよい。
【0010】
この場合、接続バンドの第1側皮部または第2側皮部のいずれか一方に固定されていない側の端部は、第1側皮部または第2側皮部のいずれか他方に着脱自在に接続される。
【0011】
さらに好ましくは、第1側皮部と第2側皮部とを接続する接続バンドは複数設けられ、舌片部に接続された接続バンドは、複数の接続バンドのうちの、最も上に設けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態にかかる靴(右足用)を、乳幼児用の靴に適用した場合の、幼児が靴を履いた状態を示す斜視図であり、図2は、靴を着脱するときの状態を示す図である。図3は図1においてIIIで示す正面から見た正面図であり、第1接続バンド14のみを留めて、第2および第3接続バンド18,19を開いた状態示す。なお、左足用も同様の構成である。
【0013】
図1から図3を参照して、靴10は、足を載置する図示のない靴底と、靴底に連続して足の甲を覆う舌片部13と、足の一方側面を覆い舌片部13上に部分的に重なる第1側皮部11と、足の他方側面を覆い舌片部13上に部分的に重なる第2側皮部12と、第1側皮部11と第2側皮部12とを分離可能に接続する第1接続バンド14とを備える。舌片部13と第1接続バンド14とは一体的に結合されている。
【0014】
すなわち、舌片部13は、横に延びる接続バンドとして機能する部分と縦に延びる足の甲を覆う部分とからなるT字形状を有している。
【0015】
なお、第1側皮部11および第2側皮部12とは、第1接続バンド14以外に、足の甲側からつま先側に順に設けられた第2接続バンド18および第3接続バンド19によっても接続されている。
【0016】
ここでは、第1接続バンド14は、第2側皮部12の上部にその一端が固定されている。第1接続バンド14の他端14aにはその裏面に面ファスナ21aが設けられ、これが第1側皮部11に設けられた面ファスナ21bと係合可能となっている。
【0017】
第2接続バンド18および第3接続バンド19は、舌片部13と接続されていない点を除いて、第1接続バンド14と同様である。すなわち、第2、第3接続バンド18,19は、その一端を第2側皮部12に固定され、他端に第1側皮部11に設けられた面ファスナ22b,23bに係合可能な面ファスナ22a、23aが設けられている。
【0018】
子供が靴10を履くときには、図2に示すように、第2および第3接続バンドとともに、面ファスナを外して第1接続バンド14を上方に持ち上げるが、第1接続バンド14は舌片部13と一体化されているため、靴10は踵部分から足のつま先まで開口部が大きくひろがる。その結果、子供は容易に靴10を履くことができる。
【0019】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図4はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図4を参照して、この実施の形態における靴30においては、舌片部13と一体化された第1接続バンド14は、その両端が第1および第2側皮部11,12に着脱自在に設けられる。すなわち、先の実施の形態においては、第1接続バンド14の一端部は第2側皮部12に固定されていたが、この実施の形態においては、第1接続バンド14の第2側皮部側の端部14bの裏面に面ファスナ34aを設け、対応する第2側皮部12に面ファスナ34bを設け、両者によって第1接続バンド14を着脱自在とした。なお、上記以外の部分については、その構成は先の実施の形態と同様であるので、同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0020】
この実施の形態においては、舌片部13に接続された第1接続バンド14を第1および第2側皮部11,12に対して着脱自在に取付けるため、靴の着脱時により広い開口部が得られる。
【0021】
次にこの発明のさらに他の実施の形態について説明する。図5はこの発明のさらに他の実施の形態に係る、舌片部41を示す図である。ここでも、舌片部41は、横に延びる接続バンドとして機能する部分と縦に延びる足の甲を覆う部分とからなるT字形状を有している。
【0022】
図5を参照して、この実施の形態においては、舌片部41の上端部近くに通路41aを設け、通路41aを通って第1接続バンド42を設ける。第1接続バンド42の両端部の裏面には、先の実施の形態において示したように、第1および第2側皮部11,12に設けられた面ファスナ21b,34bと着脱自在に接続可能なように、面ファスナ21a、34aがそれぞれ設けられている。なお、この場合、第1接続バンド42は通路41aに固定または着脱自在に取付けられていてもよい。この場合においても、先の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0023】
上記実施の形態においては、舌片部と一体化されない接続バンドを2つ設けた場合について説明したが、これに限らず、舌片部と接続されない接続バンドは設けなくてもよいし、任意の数だけ設けてもよい。
【0024】
なお、上記実施の形態においては、この発明を幼児用の靴に利用した場合を例にあげて説明したが、これに限らず、大人用や老人用の靴にも同様に適用が可能である。
【0025】
図面を参照してこの発明の一実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態に限定されるものではない。本発明と同一の範囲内において、または均等の範囲内において、図示した実施形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
この発明にかかる、靴は、履くときに開口部が大きくなるため、靴の着脱が容易な靴として有利に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施の形態にかかる靴の使用時を示す斜視図である。
【図2】靴の着脱時の状態を示す斜視図である。
【図3】図1においてIIIで示す部分の正面図である。
【図4】この発明の他の実施の形態に係る靴の斜視図である。
【図5】この発明のさらに他の実施の形態に係る舌片部と接続バンドとを示す図である。
【符号の説明】
【0028】
10,30 幼児用靴、11 第1側皮部、12 第2側皮部、13 舌片部、14 第1接続バンド、18 第2接続バンド、19 第3接続バンド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の甲を覆う舌片部と、足の一方側面を覆い前記舌片部上に部分的に重なる第1側皮部と、足の他方側面を覆い前記舌片部上に部分的に重なる第2側皮部と、前記第1側皮部と第2側皮部とを分離可能に接続する接続バンドとを備えた靴において、
前記舌片部と前記接続バンドとが一体的に結合されていることを特徴とする、靴。
【請求項2】
前記舌片部は、横に延びる部分と縦に延びる部分とからなるT字形状を有しており、
前記横に延びる部分が前記接続バンドとして機能する、請求項1に記載の靴。
【請求項3】
前記接続バンドは前記第1側皮部または第2側皮部のいずれか一方に固定されている、請求項1または2に記載の靴。
【請求項4】
前記接続バンドの前記第1側皮部または第2側皮部のいずれか一方に固定されていない側の端部は、第1側皮部または第2側皮部のいずれか他方に着脱自在に接続される、請求項3に記載の靴。
【請求項5】
前記第1側皮部と第2側皮部とを接続する接続バンドは複数設けられ、
前記舌片部に接続された接続バンドは、前記複数の接続バンドのうちの、最も上に設けられる、請求項1から4のいずれかに記載の靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−334230(P2006−334230A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164488(P2005−164488)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)
【Fターム(参考)】