鞍乗り型車両の変速制御装置
【課題】操作ペダルと、操作ペダルに連動、連結される可動部材を含むとともに操作ペダルの操作にクリック感を付与するクリック機構、操作ペダルの回動操作範囲を規制するストッパ機構、ならびに操作ペダルに戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構の少なくとも1つを有する可動部と、操作ペダルによる変速操作を検出する検出器とを備え、検出器の検出結果に基づいて変速機を変速作動せしめるようにした鞍乗り型車両の変速制御装置において、可動部および操作ペダルを作動時の干渉を回避しつつ近接配置してエンジンおよび車体のレイアウト性を高める。
【解決手段】可動部114Aの可動範囲AM1が、車幅方向で操作ペダル107の可動範囲APからオフセットするように操作ペダル107および可動部114Aが配置される。
【解決手段】可動部114Aの可動範囲AM1が、車幅方向で操作ペダル107の可動範囲APからオフセットするように操作ペダル107および可動部114Aが配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速のために乗員の足によって回動操作される操作ペダルと、該操作ペダルに連動、連結される可動部材を含むとともに前記操作ペダルの操作にクリック感を付与するクリック機構、前記操作ペダルの回動操作範囲を規制するストッパ機構、ならびに前記操作ペダルに戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構の少なくとも1つを有する可動部と、前記操作ペダルによる変速操作を検出する検出器とを備え、該検出器の検出結果に基づいて変速機を変速作動せしめるようにした鞍乗り型車両の変速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車を模したシミュレータ装置において、シフトアップ操作およびシフトダウン操作を足で行う変速制御装置が特許文献1で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−88605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されたものでは、操作ペダルと、該操作ペダルにリンクロッドを介して連結される可動アームとが、操作ペダルおよび可動アームの可動範囲が重ならないように前後方向に離隔して配置されており、この構造を自動二輪車等の鞍乗り型車両にそのまま適用すると、操作ペダル、可動アームおよびリンクロッドの可動範囲内には作動時に干渉する突起などエンジンや車体に設けることはできず、エンジンおよび車体のレイアウト性が損なわれることになる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、可動部および操作ペダルを作動時の干渉を回避しつつ近接配置してエンジンおよび車体のレイアウト性を高めた鞍乗り型車両の変速制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、変速のために乗員の足によって回動操作される操作ペダルと、該操作ペダルに連動、連結される可動部材を含むとともに前記操作ペダルの操作にクリック感を付与するクリック機構、前記操作ペダルの回動操作範囲を規制するストッパ機構、ならびに前記操作ペダルに戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構の少なくとも1つを有する可動部と、前記操作ペダルによる変速操作を検出する検出器とを備え、該検出器の検出結果に基づいて変速機を変速作動せしめるようにした鞍乗り型車両の変速制御装置において、前記可動部の可動範囲が、車幅方向で前記操作ペダルの可動範囲からオフセットするように前記操作ペダルおよび前記可動部が配置されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記操作ペダルおよび前記可動部が、側面視で一部が重なるように配置されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記操作ペダルの車幅方向内側に、前記操作ペダルに掛けられた乗員の足の車幅方向内側への移動を規制する足規制部が固定配置され、前記可動部の前記車幅方向の可動範囲が前記足規制部よりも車幅方向内側に配置されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、後輪を後端部で軸支するスイングアームの前端部を揺動可能に支承するようにして車体フレームの一部を構成するピボットフレームに取付けられるステップホルダに前記操作ペダルが回動可能に支承され、前記ピボットフレームの車幅方向内側に配置されて前記車体フレームに取付けられる支持部材に、前記可動部が支持されることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第4の特徴の構成に加えて、サイドスタンドを支持するようにして前記車体フレームに固着されるサイドスタンドブラケットに、前記支持部材が取付けられることを第5の特徴とする。
【0011】
さらに本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、前記操作ペダルが、車体フレームに搭載されるエンジン本体に固着されて該エンジン本体の側方に配置されるブラケットに回動可能に支持され、前記可動部が、前記エンジン本体の下方に配置されることを第6の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の特徴によれば、車幅方向で可動部の可動範囲が操作ペダルの可動範囲からオフセットしているので、可動部および操作ペダルをその作動時の干渉を回避しつつ近接配置することが可能となり、可動部および操作ペダルが占めるスペースを小さくすることでエンジンや車体のレイアウト性を高めることができる。
【0013】
また本発明の第2の特徴によれば、操作ペダルおよび可動部の一部が側面視で重なるようにすることで、可動部および操作ペダルが占めるスペースをより小さくすることができる。
【0014】
本発明の第3の特徴によれば、操作ペダルの車幅方向内側に固定配置される足規制部で乗員の足の車幅方向内側への移動を規制し、可動部の車幅方向の可動範囲を足規制部よりも車幅方向内側に配置することで、操作ペダルにかけた乗員の足と、可動部との相互干渉を回避することができる。
【0015】
本発明の第4の特徴によれば、車体フレームの一部を構成するピボットフレームに取付けられるステップホルダに操作ペダルが回動可能に支承され、ピボットフレームの車幅方向内側に配置されて車体フレームに取付けられる支持部材に可動部が支持されるので、可動部を保護しつつ可動部および操作ペダルの車幅方向オフセット配置を容易とすることができる。
【0016】
本発明の第5の特徴によれば、サイドスタンドブラケットに可動部を支持する支持部材が取付けられので、足の操作による変速制御装置が装備されていない車両に対して、サイドスタンドブラケットに支持部材を取付けることを可能とし、本発明の変速制御装置を適用することを容易とすることができる。
【0017】
さらに本発明の第6の特徴によれば、車体フレームに搭載されるエンジン本体に固着されて該エンジン本体の側方に配置されるブラケットに操作ペダルが回動可能に支持され、可動部がエンジン本体の下方に配置されるので、操作ペダルおよび可動部の車幅方向でのオフセット配置を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態の自動二輪車の側面図である。
【図2】エンジン付近の拡大側面図である。
【図3】歯車変速機構およびクラッチ装置の縦断面図である。
【図4】シフトドラムおよびシフトアクチュエータの縦断面図である。
【図5】図2の5矢示部拡大図である。
【図6】操作ペダル、可動部および検出器の図5の6矢視拡大図である。
【図7】図5の7−7線拡大断面図である。
【図8】可動部および検出器の分解斜視図である。
【図9】図7の9矢示部拡大図である。
【図10】操作量に応じた操作トルクの変化を示す図である。
【図11】第2の実施の形態の図5に対応した側面図である。
【図12】図11の12矢視図である。
【図13】第3の実施の形態のエンジン下部付近を下方から見た示す斜視図である。
【図14】操作ペダル、可動部および検出器の拡大斜視図である。
【図15】第4の実施の形態の操作ペダル、可動部および検出器を上方から見た斜視図である。
【図16】第5の実施の形態の操作ペダル、可動部および検出器の分解斜視図である。
【図17】第6の実施の形態のエンジン下部付近を上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら説明する。なお以下の説明で前後、左右および上下は自動二輪車に搭乗した乗員から見た方向を言うものとする。
【0020】
本発明の第1の実施の形態について図1〜図10を参照しながら説明すると、先ず図1において、自動二輪車の車体フレームFは、前輪WFを軸支するフロントフォーク21を操向可能に支承するヘッドパイプ22と、該ヘッドパイプ22から後下がりに延びる左右一対のメインフレーム23…と、両メインフレーム23…の後部に連設されて下方に延びる左右一対のピボットフレーム24…と、該ピボットフレーム24…から後上がりに延びる左右一対のリヤフレーム25…とを有し、前記メインフレーム23…には、その中間部から下方に延びるエンジンハンガ26…が一体に連設される。またピボットフレーム24…に前端が揺動可能に支承されるスイングアーム27の後部に後輪WRが軸支される。
【0021】
前記メインフレーム23…の下方には、水冷式のエンジンEのエンジン本体28が配置されており、該エンジン本体28は、前記エンジンハンガ26…、前記メインフレーム23…および前記ピボットフレーム24…の下部に懸架、搭載され、エンジンEから出力される回転動力は、前後に延びて前記スイングアーム27内を通るドライブシャフト29を介して前記後輪WRに伝達される。
【0022】
前記メインフレーム23…上には燃料タンク30が搭載されており、該燃料タンク30の後方で前記リヤフレーム25…上には、乗車用シート31が設けられる。
【0023】
而して前記車体フレームFの一部および前記エンジンEの一部は、車体カバー32で覆われており、この車体カバー32は、前記燃料タンク30の大部分を側方から覆うタンクカバー33を有する。
【0024】
図2を併せて参照して、前記エンジン本体28は、自動二輪車への搭載状態で前方に位置する前部バンクBFと、該前部バンクBFよりも後方に位置する後部バンクBRとを有してV型に構成されるものであり、両バンクBF,BRに共通なクランクケース35に、自動二輪車の左右方向に沿うクランクシャフト36が回転自在に支承される。
【0025】
前記エンジン本体28の前方にはラジエータ37が配置される。また前記クランクケース36の下部左側面には、前記クランクシャフト36で回転駆動されるウォータポンプ38が取付けられており、このウォータポンプ38の吐出口に連なる給水ホース39が前部および後部バンクBF,BR間の谷間に設けられたウォータジャケット給水部に接続され、このウォータジャケット給水部から両バンクBF、BRのウォータジャケットに冷却水が供給される。また前部および後部バンクBF,BR間の谷間にはサーモスタット40が配設されており、前記ウォータジャケットを通過した冷却水は、エンジンEの暖機状態ではサーモスタット40から戻しホース41を介して前記ラジエータ37に送られ、該ラジエータ37で冷却された冷却水はホース42を介してウォータポンプ38に戻される。またエンジンEが暖機されていない状態では、前記サーモスタット40からの冷却水の一部がバイパスホース43を介してウォータポンプ38に戻される。
【0026】
前記ラジエータ37の上部には給水管44が設けられており、その給水管44に連なって上方に延びる給水ホース45の上端にフィラーパイプ46が接続される。
【0027】
図3において、エンジン本体28の車体フレームFへの搭載状態でのクランクケース35の右側側面には、クランクケース35との間にクラッチ室47を形成するクラッチカバー48が結合される。前記クランクシャフト36および後輪WR間の動力伝達経路は、クランクシャフト36側から順に一次減速装置51、クラッチ装置52、歯車変速機構53およびドライブシャフト29(図1および図2参照)を備えており、前記クラッチ装置52および前記歯車変速機構53で変速機50が構成される。而して一次減速装置51およびクラッチ装置52は前記クラッチ室47に収容され、歯車変速機構53はクランクケース35内に収容される。
【0028】
前記歯車変速機構53は、選択的に確立可能な複数変速段の歯車列たとえば第1〜第6速用歯車列G1,G2,G3,G4,G5,G6を備えてクランクケース35内に収納されており、第1メインシャフト54およびカウンタシャフト56間に第2、第4および第6速用歯車列G2,G4,G6が設けられるとともに、第1メインシャフト54を同軸にかつ相対回転自在に貫通する第2メインシャフト55および前記カウンタシャフト56間に第1、第3および第5速用歯車列G1,G3,G5が設けられて成る。
【0029】
前記クランクケース35は、クランクシャフト36の軸線方向に間隔をあけて相互に対向する右側壁35aおよび左側壁35bを備えており、クランクシャフト36と平行な軸線を有して円筒状に形成される第1メインシャフト54の中間部は、前記右側壁35aを回転自在に貫通し、右側壁35aおよび第1メインシャフト54間にはボールベアリング57が介装される。またクランクシャフト36と平行な軸線を有する第2メインシャフト55は、第1メインシャフト54との軸方向相対位置を一定としつつ第1メインシャフト54を相対回転可能に貫通するものであり、第1メインシャフト54および第2メインシャフト55間には複数のニードルベアリング58…が介装される。また第2メインシャフト55の他端部はクランクケース35の左側壁35bにボールベアリング59を介して回転自在に支承される。
【0030】
クランクシャフト36と平行な軸線を有するカウンタシャフト56の一端部はボールベアリング60を介して前記右側壁35aに回転自在に支承され、カウンタシャフト56の他端部は、ボールベアリング61および環状のシール部材62を前記左側壁35bとの間に介在させて左側壁35bを回転自在に貫通し、左側壁35bからのカウンタシャフト56の突出端部には駆動傘歯車63が固定される。この駆動傘歯車63には自動二輪車の前後方向に延びる回転軸線を有する被動傘歯車64が噛合される。
【0031】
ところで駆動傘歯車63および被動傘歯車64は、前記クランクケース35の前記左側壁35bの一部を覆って前記側壁35bに着脱可能に結合される歯車カバー65と、前記左側壁35bとで形成される歯車室66内で相互に噛合するものであり、被動傘歯車64が同軸に備える軸部64aは歯車カバー65を回転自在に貫通し、前記軸部64aおよび歯車カバー65間には、ボールベアリング67と、該ボールベアリング67の外方に位置する環状のシール部材68とが介装される。また被動傘歯車64には支持軸69の一端部が嵌合されており、該支持軸69の他端部は、ローラベアリング70を介して歯車カバー65に回転自在に支承される。而して前記軸部64aは前記ドライブシャフト29に連結される。
【0032】
前記歯車変速機構53とともに変速機50を構成する前記クラッチ装置52は、前記歯車変速機構53およびクランクシャフト36間に設けられる第1および第2クラッチ71,72を有してツイン式に構成され、前記クラッチ室47に収容される。第1クラッチ71は、前記クランクシャフト36および第1メインシャフト54の一端部間に設けられ、第2クラッチ72は、前記クランクシャフト36および第2メインシャフト55の一端部間に設けられる。而して前記クランクシャフト36からの動力は、第1および第2クラッチ71,72に共通であるクラッチアウタ73に、一次減速装置51およびダンパスプリング74を介して入力される。
【0033】
一次減速装置51は、前記クランクシャフト36に設けられる駆動歯車75と、第1メインシャフト54に相対回転可能に支承されて駆動歯車75に噛合する被動歯車76とから成り、被動歯車76が、前記クラッチアウタ73にダンパスプリング74を介して連結される。
【0034】
第1クラッチ71は、前記クラッチアウタ73と、該クラッチアウタ73で同軸に囲繞されるとともに第1メインシャフト54に相対回転不能に結合される第1クラッチインナ77との間の動力断・接を第1油圧室78の油圧制御に応じて切換えるように構成され、第2メインシャフト55内には第1油圧室78に通じる第1油路79が形成される。
【0035】
また第2クラッチ72は、前記第1クラッチ71を前記一次減速装置10との間に挟むようにして、第2メインシャフト55の軸線方向で第1クラッチ71と並ぶように配置されるものであり、前記クラッチアウタ73と、該クラッチアウタ73で同軸に囲繞されるとともに第2メインシャフト55に相対回転不能に結合される第2クラッチインナ82との間の動力断・接を第2油圧室83の油圧制御に応じて切換えるように構成され、第2メインシャフト55内には、第2油圧室83に通じる第2油路84が第1油路79とは隔絶して形成される。
【0036】
歯車変速機構53は、第1〜第6速用歯車列G1,G2,G3,G4,G5,G6の確立および非確立を切換えるようにして両メインシャフト54,55およびカウンタシャフト56の軸線方向に作動し得る第1、第2、第3および第4シフタ85,86,87,88を有しており、それらのシフタ85〜88は、第1〜第4シフトフォーク89,90,91,92で抱持される。
【0037】
図4において、クランクケース35の右および左側壁35a,35bには、両メインシャフト54,55およびカウンタシャフト56と平行な軸線を有するシフトドラム93が軸線まわりの回動自在に支承されており、第1〜第4シフトフォーク89〜92は、前記シフトドラム93の外周に係合され、シフトドラム93の回動に応じて第1〜第4シフトフォーク89〜92すなわち第1〜第4シフタ85〜88が両メインシャフト54,55およびカウンタシャフト56の軸線方向に作動することになる。
【0038】
而してシフトドラム93が回動することにより、歯車変速機構53における第1〜第6速用歯車列G1〜G6の確立および非確立が切換えられるものであり、シフトドラム93の回動位置を変化させるシフトアクチュエータ94が、クランクケース35の左側壁35bの外面に取付けられる。
【0039】
前記シフトアクチュエータ94は、回転動力を発揮する電動モータ96と、該電動モータ96の出力回転数を減速するようにして該電動モータ96の回転動力を伝達する歯車減速機構97と、該歯車減速機構97から伝達される動力で回転するとともにその回転運動を前記シフトドラム93の回動運動に変換するようにして歯車減速機構97に連動、連結されるバレルカム98と、バレルカム98の回転に応じて前記シフトドラム93に伝達するようにして前記シフトドラム93に同軸に固着される円板状の伝動回転部材99とを備える。
【0040】
クランクケース35の前記左側壁35bには、前記歯車減速機構97、バレルカム98および伝動回転部材99を収容するケース部材100が締結されており、そのケース部材100の開口端を塞ぐようにして該ケース部材100に蓋部材101が取付けられ、前記電動モータ96は前記蓋部材101と反対側からケース部材188に取付けられる。
【0041】
而して前記クラッチ装置52および前記歯車変速機構53で構成される前記変速機50は、前記シフトアクチュエータ94の作動と、クラッチ装置52における第1および第2油圧室78,83の油圧を制御する油圧制御弁(図示せず)の作動との組合わせで変速作動することになる。
【0042】
図5において、前記車体フレームFの一部を構成する左側のピボットフレーム24の下部には、乗員の左足を載せるステップ105が設けられるステップホルダ104が、たとえば一対のボルト106,106で取付けられる。このステップホルダ104には、前記ステップ105に載せた左足の爪先側で回動操作可能な操作ペダル107が回動可能に支承されるものであり、該操作ペダル107は、前後方向に延びるアーム部107aと、該アーム部107aの後端に設けられる円筒状の被支持部107bと、前記アーム部107aの先端部に設けられるペダル部107cとから成り、前記被支持部107bは、車幅方向に延びる軸線を有する支軸108を介して前記ステップホルダ104の前端部に回動可能に支承される
しかも前記ステップ105が前記ピボットフレーム24の前後方向に沿う略中央部に対応する位置で前記ステップホルダ104に設けられ、前記操作ペダル107が前記ステップホルダ104の前端部から前方に延出されるので、左側の前記ピボットフレーム24の前側下部は、前記操作ペダル107に掛けられた乗員の左足の車幅方向内側への移動を規制するようにして前記操作ペダル107の車幅方向内側に固定配置される足規制部109を構成することになる。
【0043】
ところで、前記左側の前記ピボットフレーム24の下部には、車体フレームFの一部を構成するサイドスタンドブラケット110が固着されており、このサイドスタンドブラケット110には、自動二輪車を左側に傾斜した状態で駐車させるためのサイドスタンド111が回動可能に取付けられる。
【0044】
図6〜図8を併せて参照して、車体フレームFの一部を構成する前記サイドスタンドブラケット110には、左側の前記ピボットフレーム24の車幅方向内側に配置される支持部材112が取付けられており、この支持部材112に、前記操作ペダル107に連動、連結される可動部材としての可動プレート113を含むとともに前記操作ペダル107の操作にクリック感を付与するクリック機構、前記操作ペダル107の回動操作範囲を規制するストッパ機構、ならびに前記操作ペダル107に戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構の少なくとも1つ、この第1の実施の形態ではクリック機構136、ストッパ機構140およびリターン機構143を有する可動部114Aが支持され、この可動部114Aは、前記エンジンEからの回転動力を後輪WR側に伝達する前記ドライブシャフト29の下方に配置される。
【0045】
前記支持部材112は、車幅方向に延びる軸線を有する支持孔120を形成する円筒状の支持筒部112aと、該支持筒部112aの車幅方向に沿う内端寄りの部分から側方に張り出す支持板部112bとを一体に有するように形成される。前記サイドスタンドブラケット110の外側面と、このサイドスタンドブラケット110の外側方に配置される平板状の前記支持板部112bとの間には、複数たとえば一対の円筒状のスペーサ115,115が介装されており、前記支持部材112の支持板部112bは、前記各スペーサ115…に挿通される一対のボルト116A,116Bで前記サイドスタンドブラケット110に取付けられる。
【0046】
ところで前記操作ペダル107による変速操作は、たとえば抵抗式角度センサである検出器117で検出され、この検出器117の検出結果に基づいて、前記変速機50の変速作動が制御される。而して前記検出器117を支持するセンサステイ118が、前記支持部材112の支持板部112bから車幅方向内方に間隔をあけた位置に前記検出器117が配置されるようにして、一対のねじ部材119,119で前記支持板部112bに締結される。
【0047】
前記支持部材112の支持孔120には、前記操作ペダル107の操作に応じて回動する回動軸121が回動可能に嵌合されており、前記支持孔120の内端からの突出部で前記回動軸121の外周には、前記支持筒112aの内端との間にワッシャ122を挟むようにして止め輪123が装着され、前記ワッシャ122との間に支持部材112の支持筒部112aを挟む鍔部121aが前記回動軸121に設けられる。これによって前記回動軸121は、軸方向位置を一定としつつ前記支持部材112の支持筒部112aで回動可能に支承されることになる。
【0048】
前記回動軸121の前記車幅方向に沿う内端は、前記検出器117のケース124内に気密に突入され、このケース124内で、前記検出器117の検出軸125に前記回動軸121がジョイント126を介して連結される。
【0049】
前記回動軸121の車幅方向に沿う外端部には、該回動軸121の半径方向外方に延びるアーム127の一端部がボルト128で締結されており、前記操作ペダル107におけるアーム部107aの中間部に、上下方向に延びるリンクロッド130の一端部が前記回動軸121と平行な軸線を有する第1連結ピン129を介して回動可能に連結され、前記アーム127の他端部および前記リンクロッド130の他端部は、第1連結ピン129と平行な軸線を有する第2連結ピン131を介して回動可能に連結される。したがって回動軸121は、前記操作ペダル107が回動するのに応じて回動することになり、その回動を前記検出器117が検出するので、検出器117は前記操作ペダル107によるシフトアップおよびシフトダウンのいずれかの変速操作を検出することになる。
【0050】
前記可動部114Aは、前記回動軸121に固定される可動プレート113と、該可動プレート113に対向して前記支持部材112に固定されるクリックプレート134とを備えており、前記支持部材112の支持板部112bに当接する平板状に形成される前記クリックプレート134には、前記支持部材112の支持筒部112aを挿通せしめる挿通孔132と、前記支持部材112の支持板部112bを前記サイドスタンドブラケット110に取付けるための一対のボルト116A,116Bのうち一方の116Aを係合させる円弧状の係合凹部133とが設けられ、その一方のボルト116Aは、前記係合凹部133に係合するようにしつつクリックプレート134を前記支持板部112bとともに前記サイドスタンドブラケット110に取付けることになる。
【0051】
前記可動プレート113は、前記鍔部121aに当接するようにして前記回動軸121に固着されており、この可動プレート113には、前記クリックプレート134側に開口した有底の収容孔135を有して先端部を前記クリックプレート134に近接、対向させる円筒部113aが設けられる。
【0052】
図9において、前記可動部114Aは、前記操作ペダル107の操作にクリック感を付与するクリック機構136を備えており、このクリック機構136は、前記収容孔135の先端部に収容されるクリックボール137と、該クリックボール137を前記クリックプレート134側に向けて付勢するようにして前記収容孔135に収容されつつ前記可動プレート113および前記クリックボール137間に縮設されるばね138と、前記クリックボール137の一部を嵌合させ得るようにして前記クリックプレート134に設けられる嵌合孔139とで構成される。
【0053】
前記嵌合孔139の前記可動プレート113側の端部には、前記可動プレート113側に向けて拡径するテーパ孔部139aが、前記クリックボール137の一部を嵌合可能として形成されており、この嵌合孔139は、前記操作ペダル107は非操作状態にあるときに対応して前記可動プレート113が中立位置にあるときに前記収容孔135と同軸になる位置で前記クリックプレート134に設けられる。
【0054】
前記操作ペダル107の操作によって前記可動プレート113が、その中立位置からシフトアップ側もしくはシフトダウン側に回動する際には、可動プレート113の回動初期には、前記ばね138を圧縮しつつ前記テーパ部139aを前記クリックボール137が登るので、図10で示すように、操作トルクが漸次大きくなり、可動プレート113の回動量がα1となって前記テーパ部139aを前記クリックボール137が登り切ると操作トルクが最大となり、可動プレート113の回動量がα1以上となると操作トルクが小さくなるので、操作ペダル107を足で操作する乗員がクリック感を感じることができる。前記検出器117が、操作トルクが最大となる回動量α1よりも大きい回動量を検出したとき変速制御装置は変速操作がなされたと判断する。
【0055】
また前記可動部114Aは、前記操作ペダル107の回動操作範囲を規制するストッパ機構140を備えており、このストッパ機構140は、前記支持部材112の支持板部112bにねじ込んで固定されるストッパピン141と、このストッパピン141を挿通させるようにして前記可動プレート113に設けられる規制孔142とで構成される。このストッパ機構140によれば、前記可動プレート113すなわち操作ペダル107の回動範囲は、前記規制孔142内で前記ストッパピン141が移動可能な範囲に規制されることになる。
【0056】
さらに前記可動部114Aは、前記操作ペダル107に戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構143を備えており、このリターン機構143は、前記規制孔142の前記回動軸121側の縁部から前記クリックプレート134側に突出するようにして前記可動プレート113に一体に設けられる係止突部113bおよび前記ストッパピン141を両側から挟む挟み片144a,144bを両端部に有するコイル状の戻しばね144が、前記支持部材112の支持筒部112aを囲繞するようにして支持部材112に装着されて成り、可動プレート113が操作ペダル107の回動操作に応じて中立位置からシフトアップ側またはシフトダウン側に回動したときに、前記戻しばね144の両挟み片144a,144bの一方から前記可動プレート113に、該可動プレート113を中立位置に戻す方向すなわち操作ペダル107を非操作位置に戻す方向のばね力が作用することになる。
【0057】
前記操作ペダル107および前記可動部114Aは、図6で示すように、可動部114Aの車幅方向での可動範囲AMが、前記操作ペダル107の車幅方向での可動範囲AP1から車幅方向内側にオフセットするように配置されており、しかも足規制部109よりも車幅方向内側に配置される。また前記操作ペダル107および前記可動部114Aは、図5で示すように、側面視で一部が重なるように配置される。
【0058】
前記可動部114Aは、カバー145で覆われており、このカバー145は前記クリックプレート134に着脱可能に取付けられる。
【0059】
次にこの第1の実施の形態の作用について説明すると、車幅方向で可動部114Aの可動範囲AMが、操作ペダル107の可動範囲AP1からオフセットするように前記操作ペダル107および前記可動部114Aが配置されるので、可動部114Aおよび操作ペダル107をその作動時の干渉を回避しつつ近接配置することが可能となり、可動部114Aおよび操作ペダル107が占めるスペースを小さくすることでエンジンEや車体のレイアウト性を高めることができる。
【0060】
しかも前記操作ペダル107および前記可動部114Aが、側面視で一部が重なるように配置されるので、可動部114Aおよび操作ペダル107が占めるスペースをより小さくすることができる。
【0061】
また操作ペダル107の車幅方向内側に、前記操作ペダル107に掛けられた乗員の足の車幅方向内側への移動を規制する足規制部109が固定配置され、前記可動部114Aの前記車幅方向の可動範囲AMが前記足規制部109よりも車幅方向内側に配置されるので、操作ペダル107にかけた乗員の足と、可動部114Aとの相互干渉を回避することができる。
【0062】
また車体フレームFの一部を構成する左側のピボットフレーム24に取付けられるステップホルダ104に前記操作ペダル107が回動可能に支承され、左側の前記ピボットフレーム24の車幅方向内側に配置されて前記車体フレームFに取付けられる支持部材112に、前記可動部114Aが支持されるので、可動部114Aを保護しつつ可動部114Aおよび操作ペダル107の車幅方向オフセット配置を容易とすることができる。
【0063】
しかもサイドスタンド111を支持するようにして前記車体フレームFの一部を構成する左側のピボットフレーム24に固着されるサイドスタンドブラケット110に、前記支持部材112が取付けられるので、足の操作による変速制御装置が装備されていない自動二輪車に対して、サイドスタンドブラケット110に支持部材112を取付けることを可能とし、本発明の変速制御装置を適用することを容易とすることができる。
【0064】
本発明の第2の実施の形態について、図11および図12を参照しながら説明するが、上記第1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0065】
先ず図11において、車体フレームFの一部を構成する左側のピボットフレーム24の後側下部には、乗員の左足を載せるステップ148が設けられるステップホルダ147が、たとえば一対のボルト149,149で取付けられる。このステップホルダ147には、前記ステップ148に載せた左足の爪先側で回動操作可能な操作ペダル150が回動可能に支承されるものであり、該操作ペダル150は、前後方向に延びるアーム部150aと、該アーム部150aの後端から下方にわずかに連結突部150bと、前記アーム部150aの先端部に設けられるペダル部150cとから成り、前記アーム部150aの後端部が、車幅方向に延びる軸線を有する支軸151を介して前記ステップホルダ147の前端部に回動可能に支承される
左側の前記ピボットフレーム24の下部に固着されたサイドスタンドブラケット110には、前記操作ペダル150よりも前方かつ左側の前記ピボットフレーム24の車幅方向内側に配置される支持部材112が取付けられ、この支持部材112に、第1の実施の形態と同様に構成された可動部114Aが支持され、この可動部114Aは、エンジンEからの回転動力を後輪WR側に伝達するドライブシャフト29の下方に配置される。
【0066】
図12を併せて参照して、前記操作ペダル150における連結突部150bに、前後方向に延びるリンクロッド152の一端部が支軸151と平行な軸線を有する第1連結ピン153を介して回動可能に連結される。一方、検出器117に連結されて前記支持部材112に回動可能に支承された回動軸121の車幅方向外端部に基端部がボルト128で固定されるアーム127の先端部には、第1連結ピン153と平行な軸線を有する第2連結ピン154を介して前記リンクロッド152の他端部が回動可能に連結される。したがって回動軸121は、前記操作ペダル150が回動するのに応じて回動することになり、その回動を前記検出器117が検出するので、検出器117は前記操作ペダル150によるシフトアップおよびシフトダウンのいずれかの変速操作を検出することになる。
【0067】
また前記操作ペダル150および前記可動部114Aは、図12で示すように、可動部114Aの車幅方向での可動範囲AMが、前記操作ペダル150の車幅方向での可動範囲AP2から車幅方向内側にオフセットするように配置されており、しかも左側のピボットフレーム24の後側後部で構成される足規制部109よりも車幅方向内側に配置される。
【0068】
この第2の実施の形態によれば、車幅方向で可動部114Aの可動範囲AMが、操作ペダル150の可動範囲AP2からオフセットするように前記操作ペダル150および前記可動部114Aが配置されるので、可動部114Aおよび操作ペダル150をその作動時の干渉を回避しつつ近接配置することが可能となり、可動部114Aおよび操作ペダル150が占めるスペースを小さくすることでエンジンEや車体のレイアウト性を高めることができる。
【0069】
また操作ペダル150の車幅方向内側に、前記操作ペダル150に掛けられた乗員の足の車幅方向内側への移動を規制する足規制部109が固定配置され、前記可動部114aの前記車幅方向の可動範囲AMが前記足規制部109よりも車幅方向内側に配置されるので、操作ペダル150にかけた乗員の足と、可動部114Aとの相互干渉を回避することができる。
【0070】
また車体フレームFの一部を構成する左側のピボットフレーム24に取付けられるステップホルダ147に前記操作ペダル150が回動可能に支承され、左側の前記ピボットフレーム24の車幅方向内側に配置されて前記車体フレームFに取付けられる支持部材112に、前記可動部114Aが支持されるので、可動部114Aを保護しつつ可動部114Aおよび操作ペダル150の車幅方向オフセット配置を容易とすることができる。
【0071】
しかも左側のピボットフレーム24に固着されるサイドスタンドブラケット110に、前記支持部材112が取付けられるので、足の操作による変速制御装置が装備されていない自動二輪車に対して、サイドスタンドブラケット110に支持部材112を取付けることを可能とし、本発明の変速制御装置を適用することを容易とすることができる。
【0072】
本発明の第3の実施の形態について、図13および図14を参照しながら説明するが、上記第1および第2の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0073】
先ず図13において、車体フレームFの一部を構成する左側のピボットフレーム24の後側下部には、乗員の左足を載せるステップ158が設けられるステップホルダ157が取付けられ、このステップホルダ157には、前記ステップ158に載せた左足の爪先側で回動操作可能な操作ペダル159が回動可能に支承されるものであり、該操作ペダル159は、前後方向に延びるアーム部159aと、該アーム部159aの後端から下方にわずかに連結突部159bと、前記アーム部159aの先端部に設けられるペダル部159cとから成り、前記アーム部159aの後端部に設けられる円筒状の被支持部159dが車幅方向に延びる軸線を有する支軸160を介して前記ステップホルダ157の前端部に回動可能に支承される
一方、車体フレームFに搭載されるエンジンEの下方には、車体フレームFの一部を構成するガードフレーム161が配置されており、このガードフレーム161には、前記操作ペダル159よりも前方かつ左側の前記ピボットフレーム24の車幅方向内側に配置される支持部材162が取付けられ、該支持部材162に可動部114Bが支持される。
【0074】
図14において、前記支持部材162には、該支持部材162で支持された検出器117に連結された回動軸163が回動可能に支承されており、該回動軸163の車幅方向に沿う外端部には、該回動軸163の半径方向外方に延びるアーム164の一端部がボルト165で締結される。一方、前記操作ペダル159における前記連結突部159bには、前後方向に延びるリンクロッド166の一端部が前記回動軸163と平行な軸線を有する第1連結ピン167を介して回動可能に連結され、前記アーム164の他端部および前記リンクロッド166の他端部は、第1連結ピン167と平行な軸線を有する第2連結ピン168を介して回動可能に連結される。したがって回動軸163は、前記操作ペダル159が回動するのに応じて回動することになり、その回動を前記検出器117が検出するので、検出器117は前記操作ペダル159によるシフトアップおよびシフトダウンのいずれかの変速操作を検出することになる。
【0075】
前記可動部114Bは、前記回動軸163に固定されて前記支持部材162に車幅方向外方から対向する可動部材としての可動プレート170を備えており、該可動プレート170には、規制孔171が設けられる。
【0076】
また前記可動部114Bは、前記操作ペダル159の操作にクリック感を付与するクリック機構172を備えており、このクリック機構172は、前記回動軸163の軸線からオフセットした位置で該回動軸163と平行な軸線を有する支軸173(図13参照)を介して基端部が前記支持部材162に回動可能に支承されるアーム174と、該アーム174の先端部に軸支されるローラ175と、該ローラ175を前記可動プレート170の外周に摺接させる側に前記アーム174を付勢するばね力を発揮して前記アーム174および前記支持部材162間に設けられるばね176と、前記操作ペダル159の非操作位置に対応した中立位置にあるときに前記ローラ175の一部を嵌合せしめるようにして前記可動プレート170の外周に設けられる凹部177とで構成される。
【0077】
而して前記操作ペダル159の操作によって前記可動プレート170が、その中立位置からシフトアップ側もしくはシフトダウン側に回動する際には、可動プレート170の回動初期には、前記ばね176のばね力に抗して前記凹部177から前記ローラ175が離脱する方向に前記可動プレート170が回動するので操作トルクが漸次大きくなり、ローラ175が前記凹部177から離脱した後では操作トルクが小さくなるので、操作ペダル159を足で操作する乗員がクリック感を感じることができる。
【0078】
また前記可動部114Bは、前記操作ペダル159の回動操作範囲を規制するストッパ機構178を備えており、このストッパ機構178は、前記支持部材162に植設されるストッパピン179が前記可動プレート170の規制孔171に挿通されて成り、このストッパ機構178によれば、前記可動プレート170すなわち操作ペダル159の回動範囲は、前記規制孔171内で前記ストッパピン179が移動可能な範囲に規制されることになる。
【0079】
さらに前記可動部114Bは、前記操作ペダル159に戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構180を備えており、このリターン機構180は、前記規制孔171に対応した位置で前記可動プレート170の外周縁から車幅方向内側に突出するようにして前記可動プレート170に一体に設けられる係止突部170aおよび前記ストッパピン179を両側から挟む挟み片181a,181bを両端部に有するコイル状の戻しばね181が、前記回動軸163を囲繞するようにして支持部材162に装着されて成り、可動プレート170が操作ペダル159の回動操作に応じて中立位置からシフトアップ側またはシフトダウン側に回動したときに、前記戻しばね181の両挟み片181a,181bの一方から前記可動プレート170に、該可動プレート170を中立位置に戻す方向すなわち操作ペダル159を非操作位置に戻す方向のばね力が作用することになる。
【0080】
前記操作ペダル159および前記可動部114Bは、可動部114Bの車幅方向での可動範囲が、前記操作ペダル159の車幅方向での可動範囲から車幅方向内側にオフセットするように配置されており、しかも左側のピボットフレーム24の一部で構成される足規制部109よりも車幅方向内側に配置される。
【0081】
この第3の実施の形態によれば、上記第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0082】
本発明の第4の実施の形態について図15を参照しながら説明すると、後端部にペダル部183aを有して前後方向に延びる操作ペダル183の前端部に設けられる円筒状の被操作部183bは、図示しない車体フレームに回動可能に支承されており、この操作ペダル183よりも車幅方向内側に配置される支持部材184が、たとえば第1および第2の実施の形態のサイドスタンドブラケット110に取付けられる。
【0083】
前記支持部材184には、該支持部材184で支持された検出器117に連結された回動軸185が回動可能に支承されており、前記支持部材184に支持される可動部114Cは、可動部材である可動プレート186が前記支持部材184に対向して前記回動軸185の車幅方向に沿う外端部に固定されて成る。
【0084】
前記回動軸185の中心軸線からオフセットした位置で前記可動プレート186には連結孔187が設けられ、前記操作ペダル183の前後方向中間部に植設された連結ピン188が前記連結孔187に挿通される。これにより、前記可動プレート186および回動軸185は、前記操作ペダル183が回動するのに応じて回動することになり、その回動を前記検出器117が検出するので、検出器117は前記操作ペダル183によるシフトアップおよびシフトダウンのいずれかの変速操作を検出することになる。しかも前記連結孔187は、操作ペダル183の回動に応じて前記連結ピン188および前記回動軸185間の距離が変更するのに応じて前記連結ピン188が前記連結孔187内を移動するのを許容するように長孔状に形成される。
【0085】
この可動部114Cは、前記操作ペダル183の操作にクリック感を付与するクリック機構190を備えており、このクリック機構190は、前記回動軸185の軸線からオフセットした位置で該回動軸185と平行な軸線を有する支軸191を介して基端部が前記支持部材184に回動可能に支承されるアーム192と、該アーム192の先端部に軸支されるローラ193と、該ローラ193を前記可動プレート186の外周に摺接させる側に前記アーム192を付勢するばね力を発揮して前記アーム192および前記支持部材184間に設けられるばね194と、前記操作ペダル183の非操作位置に対応した中立位置にあるときに前記ローラ193の一部を嵌合せしめるようにして前記可動プレート186の外周に設けられる凹部195とで構成される。
【0086】
而して前記操作ペダル183の操作によって前記可動プレート186が、その中立位置からシフトアップ側もしくはシフトダウン側に回動する際には、可動プレート186の回動初期には、前記ばね194のばね力に抗して前記凹部195から前記ローラ193が離脱する方向に前記可動プレート186が回動するので操作トルクが漸次大きくなり、ローラ193が前記凹部195から離脱した後では操作トルクが小さくなるので、操作ペダル183を足で操作する乗員がクリック感を感じることができる。
【0087】
また前記可動部114Cは、前記操作ペダル183の回動操作範囲を規制するストッパ機構196を備えており、このストッパ機構196は、前記支持部材184に植設されるストッパピン197が前記可動プレート186に設けられた規制孔198に挿通されて成り、このストッパ機構196によれば、前記可動プレート186すなわち操作ペダル183の回動範囲は、前記規制孔198内で前記ストッパピン197が移動可能な範囲に規制されることになる。
【0088】
さらに前記可動部114Cは、前記操作ペダル183に戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構199を備えており、このリターン機構199は、前記規制孔198に対応した位置で前記可動プレート186の外周縁部に一体に設けられる係止突部186aおよび前記ストッパピン197を両側から挟む挟み片200a,200bを両端部に有するコイル状の戻しばね200が、前記回動軸185を囲繞するようにして支持部材184に装着されて成り、可動プレート186が操作ペダル183の回動操作に応じて中立位置からシフトアップ側またはシフトダウン側に回動したときに、前記戻しばね200の両挟み片200a,200bの一方から前記可動プレート186に、該可動プレート186を中立位置に戻す方向すなわち操作ペダル183を非操作位置に戻す方向のばね力が作用することになる。
【0089】
前記操作ペダル183および前記可動部114Cは、可動部114Cの車幅方向での可動範囲が、前記操作ペダル183の車幅方向での可動範囲から車幅方向内側にオフセットするように配置される。
【0090】
この第4の実施例によれば、上記第3の実施の形態と同様の効果を奏することができ、しかも前記操作ペダル183および前記可動部114Cが、側面視で一部が重なるように配置されるので、可動部114Cおよび操作ペダル183が占めるスペースをより小さくすることができる。
【0091】
本発明の第5の実施の形態について図16を参照しながら説明すると、後端部にペダル部202aを有して前後方向に延びる操作ペダル202の前端部には軸203が固定されており、この軸203は、該操作ペダル202よりも車幅方向内側に固定配置される支持部材203に設けられる嵌合筒部204に嵌合、支持される。
【0092】
前記支持部材203には、該支持部材203で支持された検出器117に連結された回動軸205が回動可能に支承されており、前記支持部材203に支持される可動部114Dは、可動部材である円形の可動プレート206が前記支持部材203に対向して前記回動軸205の車幅方向に沿う外端部に固定されて成る。
【0093】
前記軸203には、前記可動プレート206の外周に外周を対向させるようにして円形の伝動プレート207が固定され、可動プレート206の外周に刻設された複数の歯208に噛合する複数の歯209…が前記伝動プレート207の外周に刻設される。これにより、前記可動プレート206および回動軸205は、前記操作ペダル202が回動するのに応じて回動することになり、その回動を前記検出器117が検出するので、検出器117は前記操作ペダル202によるシフトアップおよびシフトダウンのいずれかの変速操作を検出することになる。
【0094】
前記可動部114Dは、前記操作ペダル202の操作にクリック感を付与するクリック機構210を備えており、このクリック機構210は、前記支持部材203に固着された支持筒部211で形成される有底の収容孔212の先端部に収容されるクリックボール213と、該クリックボール213を前記可動プレート206側に向けて付勢するようにして前記収容孔212に収容されつつ前記支持部材203および前記クリックボール213間に縮設されるばね214と、前記クリックボール213の一部を嵌合させ得るようにして前記可動プレート206に設けられる嵌合孔215とで構成される。
【0095】
また前記可動部114Dは、前記操作ペダル202の回動操作範囲を規制するストッパ機構216を備えており、このストッパ機構216は、前記支持部材203に植設されるストッパピン217が前記可動プレート206に設けられた規制孔218に挿通されて成り、このストッパ機構216によれば、前記可動プレート206すなわち操作ペダル202の回動範囲は、前記規制孔218内で前記ストッパピン217が移動可能な範囲に規制されることになる。
【0096】
さらに前記可動部114Dは、前記操作ペダル202に戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構219を備えており、このリターン機構219は、前記可動プレート206に一体に設けられる係止突部206aおよび前記ストッパピン217を両側から挟む挟み片220a,220bを両端部に有するコイル状の戻しばね220が、前記回動軸205を囲繞するように配置されて成り、可動プレート206が操作ペダル202の回動操作に応じて中立位置からシフトアップ側またはシフトダウン側に回動したときに、前記戻しばね220の両挟み片220a,220bの一方から前記可動プレート206に、該可動プレート206を中立位置に戻す方向すなわち操作ペダル202を非操作位置に戻す方向のばね力が作用することになる。
【0097】
また前記操作ペダル202および前記可動部114Dは、可動部114Dの車幅方向での可動範囲が、前記操作ペダル202の車幅方向での可動範囲から車幅方向内側にオフセットするように配置され、しかも側面視で一部が重なるように配置される。
【0098】
この第5の実施の形態によれば、上記第4の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0099】
本発明の第6の実施の形態について図17を参照しながら説明すると、車体フレームFの一部を構成する左側のピボットフレーム24の後側下部には、乗員の左足を載せるステップ158が設けられるステップホルダ157が取付けられる。一方、車体フレームFに搭載されるエンジンEのエンジン本体28におけるクランクケース35の側方には、該クランクケース35で固定されるようにしてブラケット221が配置される。すなわち前記クランクケース35との間に一対の円筒状のスペーサ222,222を介在させた前記ブラケット221がボルト223,223で前記クランクケース35に固定される。
【0100】
前記ブラケット221には、前記ステップ158に載せた足の爪先で操作するペダル部224aを後端部に有する操作ペダル224の前端部が回動可能に支承される。
【0101】
またサイドスタンド111を回動可能に支承して左側のピボットフレーム24の下部に取付けられるサイドスタンドブラケット111に支持部材184が取付けられ、エンジン本体28の下方に配置されるようにして可動部114Cが前記支持部材184に支持される。
【0102】
この第6の実施の形態によれば、エンジン本体28のクランクケース35に固着されて該エンジン本体28の側方に配置されるブラケット221に操作ペダル224が回動可能に支持され、可動部114Cがエンジン本体28の下方に配置されるので、操作ペダル224および可動部114Cの車幅方向でのオフセット配置を容易とすることができる。
【0103】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0104】
24・・・ピボットフレーム
27・・・スイングアーム
28・・・エンジン本体
50・・・変速機
104,147,157・・・ステップホルダ
107,150,159,183,202,224・・・操作ペダル
109・・・足規制部
110・・・サイドスタンドブラケット
111・・・サイドスタンド
112,162,184,203・・・支持部材
113,170,186,206・・・可動部材である可動プレート
114A,114B,114C,114D・・・可動部
117・・・検出器
136,172,190,210・・・クリック機構
140,178,196,216・・・ストッパ機構
143,180,199,219・・・リターン機構
221・・・ブラケット
AM1,AM2・・・可動部の可動範囲
AP・・・操作ペダルの可動範囲
F・・・車体フレーム
WR・・・後輪
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速のために乗員の足によって回動操作される操作ペダルと、該操作ペダルに連動、連結される可動部材を含むとともに前記操作ペダルの操作にクリック感を付与するクリック機構、前記操作ペダルの回動操作範囲を規制するストッパ機構、ならびに前記操作ペダルに戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構の少なくとも1つを有する可動部と、前記操作ペダルによる変速操作を検出する検出器とを備え、該検出器の検出結果に基づいて変速機を変速作動せしめるようにした鞍乗り型車両の変速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車を模したシミュレータ装置において、シフトアップ操作およびシフトダウン操作を足で行う変速制御装置が特許文献1で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−88605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されたものでは、操作ペダルと、該操作ペダルにリンクロッドを介して連結される可動アームとが、操作ペダルおよび可動アームの可動範囲が重ならないように前後方向に離隔して配置されており、この構造を自動二輪車等の鞍乗り型車両にそのまま適用すると、操作ペダル、可動アームおよびリンクロッドの可動範囲内には作動時に干渉する突起などエンジンや車体に設けることはできず、エンジンおよび車体のレイアウト性が損なわれることになる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、可動部および操作ペダルを作動時の干渉を回避しつつ近接配置してエンジンおよび車体のレイアウト性を高めた鞍乗り型車両の変速制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、変速のために乗員の足によって回動操作される操作ペダルと、該操作ペダルに連動、連結される可動部材を含むとともに前記操作ペダルの操作にクリック感を付与するクリック機構、前記操作ペダルの回動操作範囲を規制するストッパ機構、ならびに前記操作ペダルに戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構の少なくとも1つを有する可動部と、前記操作ペダルによる変速操作を検出する検出器とを備え、該検出器の検出結果に基づいて変速機を変速作動せしめるようにした鞍乗り型車両の変速制御装置において、前記可動部の可動範囲が、車幅方向で前記操作ペダルの可動範囲からオフセットするように前記操作ペダルおよび前記可動部が配置されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記操作ペダルおよび前記可動部が、側面視で一部が重なるように配置されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記操作ペダルの車幅方向内側に、前記操作ペダルに掛けられた乗員の足の車幅方向内側への移動を規制する足規制部が固定配置され、前記可動部の前記車幅方向の可動範囲が前記足規制部よりも車幅方向内側に配置されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、後輪を後端部で軸支するスイングアームの前端部を揺動可能に支承するようにして車体フレームの一部を構成するピボットフレームに取付けられるステップホルダに前記操作ペダルが回動可能に支承され、前記ピボットフレームの車幅方向内側に配置されて前記車体フレームに取付けられる支持部材に、前記可動部が支持されることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第4の特徴の構成に加えて、サイドスタンドを支持するようにして前記車体フレームに固着されるサイドスタンドブラケットに、前記支持部材が取付けられることを第5の特徴とする。
【0011】
さらに本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、前記操作ペダルが、車体フレームに搭載されるエンジン本体に固着されて該エンジン本体の側方に配置されるブラケットに回動可能に支持され、前記可動部が、前記エンジン本体の下方に配置されることを第6の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の特徴によれば、車幅方向で可動部の可動範囲が操作ペダルの可動範囲からオフセットしているので、可動部および操作ペダルをその作動時の干渉を回避しつつ近接配置することが可能となり、可動部および操作ペダルが占めるスペースを小さくすることでエンジンや車体のレイアウト性を高めることができる。
【0013】
また本発明の第2の特徴によれば、操作ペダルおよび可動部の一部が側面視で重なるようにすることで、可動部および操作ペダルが占めるスペースをより小さくすることができる。
【0014】
本発明の第3の特徴によれば、操作ペダルの車幅方向内側に固定配置される足規制部で乗員の足の車幅方向内側への移動を規制し、可動部の車幅方向の可動範囲を足規制部よりも車幅方向内側に配置することで、操作ペダルにかけた乗員の足と、可動部との相互干渉を回避することができる。
【0015】
本発明の第4の特徴によれば、車体フレームの一部を構成するピボットフレームに取付けられるステップホルダに操作ペダルが回動可能に支承され、ピボットフレームの車幅方向内側に配置されて車体フレームに取付けられる支持部材に可動部が支持されるので、可動部を保護しつつ可動部および操作ペダルの車幅方向オフセット配置を容易とすることができる。
【0016】
本発明の第5の特徴によれば、サイドスタンドブラケットに可動部を支持する支持部材が取付けられので、足の操作による変速制御装置が装備されていない車両に対して、サイドスタンドブラケットに支持部材を取付けることを可能とし、本発明の変速制御装置を適用することを容易とすることができる。
【0017】
さらに本発明の第6の特徴によれば、車体フレームに搭載されるエンジン本体に固着されて該エンジン本体の側方に配置されるブラケットに操作ペダルが回動可能に支持され、可動部がエンジン本体の下方に配置されるので、操作ペダルおよび可動部の車幅方向でのオフセット配置を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態の自動二輪車の側面図である。
【図2】エンジン付近の拡大側面図である。
【図3】歯車変速機構およびクラッチ装置の縦断面図である。
【図4】シフトドラムおよびシフトアクチュエータの縦断面図である。
【図5】図2の5矢示部拡大図である。
【図6】操作ペダル、可動部および検出器の図5の6矢視拡大図である。
【図7】図5の7−7線拡大断面図である。
【図8】可動部および検出器の分解斜視図である。
【図9】図7の9矢示部拡大図である。
【図10】操作量に応じた操作トルクの変化を示す図である。
【図11】第2の実施の形態の図5に対応した側面図である。
【図12】図11の12矢視図である。
【図13】第3の実施の形態のエンジン下部付近を下方から見た示す斜視図である。
【図14】操作ペダル、可動部および検出器の拡大斜視図である。
【図15】第4の実施の形態の操作ペダル、可動部および検出器を上方から見た斜視図である。
【図16】第5の実施の形態の操作ペダル、可動部および検出器の分解斜視図である。
【図17】第6の実施の形態のエンジン下部付近を上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら説明する。なお以下の説明で前後、左右および上下は自動二輪車に搭乗した乗員から見た方向を言うものとする。
【0020】
本発明の第1の実施の形態について図1〜図10を参照しながら説明すると、先ず図1において、自動二輪車の車体フレームFは、前輪WFを軸支するフロントフォーク21を操向可能に支承するヘッドパイプ22と、該ヘッドパイプ22から後下がりに延びる左右一対のメインフレーム23…と、両メインフレーム23…の後部に連設されて下方に延びる左右一対のピボットフレーム24…と、該ピボットフレーム24…から後上がりに延びる左右一対のリヤフレーム25…とを有し、前記メインフレーム23…には、その中間部から下方に延びるエンジンハンガ26…が一体に連設される。またピボットフレーム24…に前端が揺動可能に支承されるスイングアーム27の後部に後輪WRが軸支される。
【0021】
前記メインフレーム23…の下方には、水冷式のエンジンEのエンジン本体28が配置されており、該エンジン本体28は、前記エンジンハンガ26…、前記メインフレーム23…および前記ピボットフレーム24…の下部に懸架、搭載され、エンジンEから出力される回転動力は、前後に延びて前記スイングアーム27内を通るドライブシャフト29を介して前記後輪WRに伝達される。
【0022】
前記メインフレーム23…上には燃料タンク30が搭載されており、該燃料タンク30の後方で前記リヤフレーム25…上には、乗車用シート31が設けられる。
【0023】
而して前記車体フレームFの一部および前記エンジンEの一部は、車体カバー32で覆われており、この車体カバー32は、前記燃料タンク30の大部分を側方から覆うタンクカバー33を有する。
【0024】
図2を併せて参照して、前記エンジン本体28は、自動二輪車への搭載状態で前方に位置する前部バンクBFと、該前部バンクBFよりも後方に位置する後部バンクBRとを有してV型に構成されるものであり、両バンクBF,BRに共通なクランクケース35に、自動二輪車の左右方向に沿うクランクシャフト36が回転自在に支承される。
【0025】
前記エンジン本体28の前方にはラジエータ37が配置される。また前記クランクケース36の下部左側面には、前記クランクシャフト36で回転駆動されるウォータポンプ38が取付けられており、このウォータポンプ38の吐出口に連なる給水ホース39が前部および後部バンクBF,BR間の谷間に設けられたウォータジャケット給水部に接続され、このウォータジャケット給水部から両バンクBF、BRのウォータジャケットに冷却水が供給される。また前部および後部バンクBF,BR間の谷間にはサーモスタット40が配設されており、前記ウォータジャケットを通過した冷却水は、エンジンEの暖機状態ではサーモスタット40から戻しホース41を介して前記ラジエータ37に送られ、該ラジエータ37で冷却された冷却水はホース42を介してウォータポンプ38に戻される。またエンジンEが暖機されていない状態では、前記サーモスタット40からの冷却水の一部がバイパスホース43を介してウォータポンプ38に戻される。
【0026】
前記ラジエータ37の上部には給水管44が設けられており、その給水管44に連なって上方に延びる給水ホース45の上端にフィラーパイプ46が接続される。
【0027】
図3において、エンジン本体28の車体フレームFへの搭載状態でのクランクケース35の右側側面には、クランクケース35との間にクラッチ室47を形成するクラッチカバー48が結合される。前記クランクシャフト36および後輪WR間の動力伝達経路は、クランクシャフト36側から順に一次減速装置51、クラッチ装置52、歯車変速機構53およびドライブシャフト29(図1および図2参照)を備えており、前記クラッチ装置52および前記歯車変速機構53で変速機50が構成される。而して一次減速装置51およびクラッチ装置52は前記クラッチ室47に収容され、歯車変速機構53はクランクケース35内に収容される。
【0028】
前記歯車変速機構53は、選択的に確立可能な複数変速段の歯車列たとえば第1〜第6速用歯車列G1,G2,G3,G4,G5,G6を備えてクランクケース35内に収納されており、第1メインシャフト54およびカウンタシャフト56間に第2、第4および第6速用歯車列G2,G4,G6が設けられるとともに、第1メインシャフト54を同軸にかつ相対回転自在に貫通する第2メインシャフト55および前記カウンタシャフト56間に第1、第3および第5速用歯車列G1,G3,G5が設けられて成る。
【0029】
前記クランクケース35は、クランクシャフト36の軸線方向に間隔をあけて相互に対向する右側壁35aおよび左側壁35bを備えており、クランクシャフト36と平行な軸線を有して円筒状に形成される第1メインシャフト54の中間部は、前記右側壁35aを回転自在に貫通し、右側壁35aおよび第1メインシャフト54間にはボールベアリング57が介装される。またクランクシャフト36と平行な軸線を有する第2メインシャフト55は、第1メインシャフト54との軸方向相対位置を一定としつつ第1メインシャフト54を相対回転可能に貫通するものであり、第1メインシャフト54および第2メインシャフト55間には複数のニードルベアリング58…が介装される。また第2メインシャフト55の他端部はクランクケース35の左側壁35bにボールベアリング59を介して回転自在に支承される。
【0030】
クランクシャフト36と平行な軸線を有するカウンタシャフト56の一端部はボールベアリング60を介して前記右側壁35aに回転自在に支承され、カウンタシャフト56の他端部は、ボールベアリング61および環状のシール部材62を前記左側壁35bとの間に介在させて左側壁35bを回転自在に貫通し、左側壁35bからのカウンタシャフト56の突出端部には駆動傘歯車63が固定される。この駆動傘歯車63には自動二輪車の前後方向に延びる回転軸線を有する被動傘歯車64が噛合される。
【0031】
ところで駆動傘歯車63および被動傘歯車64は、前記クランクケース35の前記左側壁35bの一部を覆って前記側壁35bに着脱可能に結合される歯車カバー65と、前記左側壁35bとで形成される歯車室66内で相互に噛合するものであり、被動傘歯車64が同軸に備える軸部64aは歯車カバー65を回転自在に貫通し、前記軸部64aおよび歯車カバー65間には、ボールベアリング67と、該ボールベアリング67の外方に位置する環状のシール部材68とが介装される。また被動傘歯車64には支持軸69の一端部が嵌合されており、該支持軸69の他端部は、ローラベアリング70を介して歯車カバー65に回転自在に支承される。而して前記軸部64aは前記ドライブシャフト29に連結される。
【0032】
前記歯車変速機構53とともに変速機50を構成する前記クラッチ装置52は、前記歯車変速機構53およびクランクシャフト36間に設けられる第1および第2クラッチ71,72を有してツイン式に構成され、前記クラッチ室47に収容される。第1クラッチ71は、前記クランクシャフト36および第1メインシャフト54の一端部間に設けられ、第2クラッチ72は、前記クランクシャフト36および第2メインシャフト55の一端部間に設けられる。而して前記クランクシャフト36からの動力は、第1および第2クラッチ71,72に共通であるクラッチアウタ73に、一次減速装置51およびダンパスプリング74を介して入力される。
【0033】
一次減速装置51は、前記クランクシャフト36に設けられる駆動歯車75と、第1メインシャフト54に相対回転可能に支承されて駆動歯車75に噛合する被動歯車76とから成り、被動歯車76が、前記クラッチアウタ73にダンパスプリング74を介して連結される。
【0034】
第1クラッチ71は、前記クラッチアウタ73と、該クラッチアウタ73で同軸に囲繞されるとともに第1メインシャフト54に相対回転不能に結合される第1クラッチインナ77との間の動力断・接を第1油圧室78の油圧制御に応じて切換えるように構成され、第2メインシャフト55内には第1油圧室78に通じる第1油路79が形成される。
【0035】
また第2クラッチ72は、前記第1クラッチ71を前記一次減速装置10との間に挟むようにして、第2メインシャフト55の軸線方向で第1クラッチ71と並ぶように配置されるものであり、前記クラッチアウタ73と、該クラッチアウタ73で同軸に囲繞されるとともに第2メインシャフト55に相対回転不能に結合される第2クラッチインナ82との間の動力断・接を第2油圧室83の油圧制御に応じて切換えるように構成され、第2メインシャフト55内には、第2油圧室83に通じる第2油路84が第1油路79とは隔絶して形成される。
【0036】
歯車変速機構53は、第1〜第6速用歯車列G1,G2,G3,G4,G5,G6の確立および非確立を切換えるようにして両メインシャフト54,55およびカウンタシャフト56の軸線方向に作動し得る第1、第2、第3および第4シフタ85,86,87,88を有しており、それらのシフタ85〜88は、第1〜第4シフトフォーク89,90,91,92で抱持される。
【0037】
図4において、クランクケース35の右および左側壁35a,35bには、両メインシャフト54,55およびカウンタシャフト56と平行な軸線を有するシフトドラム93が軸線まわりの回動自在に支承されており、第1〜第4シフトフォーク89〜92は、前記シフトドラム93の外周に係合され、シフトドラム93の回動に応じて第1〜第4シフトフォーク89〜92すなわち第1〜第4シフタ85〜88が両メインシャフト54,55およびカウンタシャフト56の軸線方向に作動することになる。
【0038】
而してシフトドラム93が回動することにより、歯車変速機構53における第1〜第6速用歯車列G1〜G6の確立および非確立が切換えられるものであり、シフトドラム93の回動位置を変化させるシフトアクチュエータ94が、クランクケース35の左側壁35bの外面に取付けられる。
【0039】
前記シフトアクチュエータ94は、回転動力を発揮する電動モータ96と、該電動モータ96の出力回転数を減速するようにして該電動モータ96の回転動力を伝達する歯車減速機構97と、該歯車減速機構97から伝達される動力で回転するとともにその回転運動を前記シフトドラム93の回動運動に変換するようにして歯車減速機構97に連動、連結されるバレルカム98と、バレルカム98の回転に応じて前記シフトドラム93に伝達するようにして前記シフトドラム93に同軸に固着される円板状の伝動回転部材99とを備える。
【0040】
クランクケース35の前記左側壁35bには、前記歯車減速機構97、バレルカム98および伝動回転部材99を収容するケース部材100が締結されており、そのケース部材100の開口端を塞ぐようにして該ケース部材100に蓋部材101が取付けられ、前記電動モータ96は前記蓋部材101と反対側からケース部材188に取付けられる。
【0041】
而して前記クラッチ装置52および前記歯車変速機構53で構成される前記変速機50は、前記シフトアクチュエータ94の作動と、クラッチ装置52における第1および第2油圧室78,83の油圧を制御する油圧制御弁(図示せず)の作動との組合わせで変速作動することになる。
【0042】
図5において、前記車体フレームFの一部を構成する左側のピボットフレーム24の下部には、乗員の左足を載せるステップ105が設けられるステップホルダ104が、たとえば一対のボルト106,106で取付けられる。このステップホルダ104には、前記ステップ105に載せた左足の爪先側で回動操作可能な操作ペダル107が回動可能に支承されるものであり、該操作ペダル107は、前後方向に延びるアーム部107aと、該アーム部107aの後端に設けられる円筒状の被支持部107bと、前記アーム部107aの先端部に設けられるペダル部107cとから成り、前記被支持部107bは、車幅方向に延びる軸線を有する支軸108を介して前記ステップホルダ104の前端部に回動可能に支承される
しかも前記ステップ105が前記ピボットフレーム24の前後方向に沿う略中央部に対応する位置で前記ステップホルダ104に設けられ、前記操作ペダル107が前記ステップホルダ104の前端部から前方に延出されるので、左側の前記ピボットフレーム24の前側下部は、前記操作ペダル107に掛けられた乗員の左足の車幅方向内側への移動を規制するようにして前記操作ペダル107の車幅方向内側に固定配置される足規制部109を構成することになる。
【0043】
ところで、前記左側の前記ピボットフレーム24の下部には、車体フレームFの一部を構成するサイドスタンドブラケット110が固着されており、このサイドスタンドブラケット110には、自動二輪車を左側に傾斜した状態で駐車させるためのサイドスタンド111が回動可能に取付けられる。
【0044】
図6〜図8を併せて参照して、車体フレームFの一部を構成する前記サイドスタンドブラケット110には、左側の前記ピボットフレーム24の車幅方向内側に配置される支持部材112が取付けられており、この支持部材112に、前記操作ペダル107に連動、連結される可動部材としての可動プレート113を含むとともに前記操作ペダル107の操作にクリック感を付与するクリック機構、前記操作ペダル107の回動操作範囲を規制するストッパ機構、ならびに前記操作ペダル107に戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構の少なくとも1つ、この第1の実施の形態ではクリック機構136、ストッパ機構140およびリターン機構143を有する可動部114Aが支持され、この可動部114Aは、前記エンジンEからの回転動力を後輪WR側に伝達する前記ドライブシャフト29の下方に配置される。
【0045】
前記支持部材112は、車幅方向に延びる軸線を有する支持孔120を形成する円筒状の支持筒部112aと、該支持筒部112aの車幅方向に沿う内端寄りの部分から側方に張り出す支持板部112bとを一体に有するように形成される。前記サイドスタンドブラケット110の外側面と、このサイドスタンドブラケット110の外側方に配置される平板状の前記支持板部112bとの間には、複数たとえば一対の円筒状のスペーサ115,115が介装されており、前記支持部材112の支持板部112bは、前記各スペーサ115…に挿通される一対のボルト116A,116Bで前記サイドスタンドブラケット110に取付けられる。
【0046】
ところで前記操作ペダル107による変速操作は、たとえば抵抗式角度センサである検出器117で検出され、この検出器117の検出結果に基づいて、前記変速機50の変速作動が制御される。而して前記検出器117を支持するセンサステイ118が、前記支持部材112の支持板部112bから車幅方向内方に間隔をあけた位置に前記検出器117が配置されるようにして、一対のねじ部材119,119で前記支持板部112bに締結される。
【0047】
前記支持部材112の支持孔120には、前記操作ペダル107の操作に応じて回動する回動軸121が回動可能に嵌合されており、前記支持孔120の内端からの突出部で前記回動軸121の外周には、前記支持筒112aの内端との間にワッシャ122を挟むようにして止め輪123が装着され、前記ワッシャ122との間に支持部材112の支持筒部112aを挟む鍔部121aが前記回動軸121に設けられる。これによって前記回動軸121は、軸方向位置を一定としつつ前記支持部材112の支持筒部112aで回動可能に支承されることになる。
【0048】
前記回動軸121の前記車幅方向に沿う内端は、前記検出器117のケース124内に気密に突入され、このケース124内で、前記検出器117の検出軸125に前記回動軸121がジョイント126を介して連結される。
【0049】
前記回動軸121の車幅方向に沿う外端部には、該回動軸121の半径方向外方に延びるアーム127の一端部がボルト128で締結されており、前記操作ペダル107におけるアーム部107aの中間部に、上下方向に延びるリンクロッド130の一端部が前記回動軸121と平行な軸線を有する第1連結ピン129を介して回動可能に連結され、前記アーム127の他端部および前記リンクロッド130の他端部は、第1連結ピン129と平行な軸線を有する第2連結ピン131を介して回動可能に連結される。したがって回動軸121は、前記操作ペダル107が回動するのに応じて回動することになり、その回動を前記検出器117が検出するので、検出器117は前記操作ペダル107によるシフトアップおよびシフトダウンのいずれかの変速操作を検出することになる。
【0050】
前記可動部114Aは、前記回動軸121に固定される可動プレート113と、該可動プレート113に対向して前記支持部材112に固定されるクリックプレート134とを備えており、前記支持部材112の支持板部112bに当接する平板状に形成される前記クリックプレート134には、前記支持部材112の支持筒部112aを挿通せしめる挿通孔132と、前記支持部材112の支持板部112bを前記サイドスタンドブラケット110に取付けるための一対のボルト116A,116Bのうち一方の116Aを係合させる円弧状の係合凹部133とが設けられ、その一方のボルト116Aは、前記係合凹部133に係合するようにしつつクリックプレート134を前記支持板部112bとともに前記サイドスタンドブラケット110に取付けることになる。
【0051】
前記可動プレート113は、前記鍔部121aに当接するようにして前記回動軸121に固着されており、この可動プレート113には、前記クリックプレート134側に開口した有底の収容孔135を有して先端部を前記クリックプレート134に近接、対向させる円筒部113aが設けられる。
【0052】
図9において、前記可動部114Aは、前記操作ペダル107の操作にクリック感を付与するクリック機構136を備えており、このクリック機構136は、前記収容孔135の先端部に収容されるクリックボール137と、該クリックボール137を前記クリックプレート134側に向けて付勢するようにして前記収容孔135に収容されつつ前記可動プレート113および前記クリックボール137間に縮設されるばね138と、前記クリックボール137の一部を嵌合させ得るようにして前記クリックプレート134に設けられる嵌合孔139とで構成される。
【0053】
前記嵌合孔139の前記可動プレート113側の端部には、前記可動プレート113側に向けて拡径するテーパ孔部139aが、前記クリックボール137の一部を嵌合可能として形成されており、この嵌合孔139は、前記操作ペダル107は非操作状態にあるときに対応して前記可動プレート113が中立位置にあるときに前記収容孔135と同軸になる位置で前記クリックプレート134に設けられる。
【0054】
前記操作ペダル107の操作によって前記可動プレート113が、その中立位置からシフトアップ側もしくはシフトダウン側に回動する際には、可動プレート113の回動初期には、前記ばね138を圧縮しつつ前記テーパ部139aを前記クリックボール137が登るので、図10で示すように、操作トルクが漸次大きくなり、可動プレート113の回動量がα1となって前記テーパ部139aを前記クリックボール137が登り切ると操作トルクが最大となり、可動プレート113の回動量がα1以上となると操作トルクが小さくなるので、操作ペダル107を足で操作する乗員がクリック感を感じることができる。前記検出器117が、操作トルクが最大となる回動量α1よりも大きい回動量を検出したとき変速制御装置は変速操作がなされたと判断する。
【0055】
また前記可動部114Aは、前記操作ペダル107の回動操作範囲を規制するストッパ機構140を備えており、このストッパ機構140は、前記支持部材112の支持板部112bにねじ込んで固定されるストッパピン141と、このストッパピン141を挿通させるようにして前記可動プレート113に設けられる規制孔142とで構成される。このストッパ機構140によれば、前記可動プレート113すなわち操作ペダル107の回動範囲は、前記規制孔142内で前記ストッパピン141が移動可能な範囲に規制されることになる。
【0056】
さらに前記可動部114Aは、前記操作ペダル107に戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構143を備えており、このリターン機構143は、前記規制孔142の前記回動軸121側の縁部から前記クリックプレート134側に突出するようにして前記可動プレート113に一体に設けられる係止突部113bおよび前記ストッパピン141を両側から挟む挟み片144a,144bを両端部に有するコイル状の戻しばね144が、前記支持部材112の支持筒部112aを囲繞するようにして支持部材112に装着されて成り、可動プレート113が操作ペダル107の回動操作に応じて中立位置からシフトアップ側またはシフトダウン側に回動したときに、前記戻しばね144の両挟み片144a,144bの一方から前記可動プレート113に、該可動プレート113を中立位置に戻す方向すなわち操作ペダル107を非操作位置に戻す方向のばね力が作用することになる。
【0057】
前記操作ペダル107および前記可動部114Aは、図6で示すように、可動部114Aの車幅方向での可動範囲AMが、前記操作ペダル107の車幅方向での可動範囲AP1から車幅方向内側にオフセットするように配置されており、しかも足規制部109よりも車幅方向内側に配置される。また前記操作ペダル107および前記可動部114Aは、図5で示すように、側面視で一部が重なるように配置される。
【0058】
前記可動部114Aは、カバー145で覆われており、このカバー145は前記クリックプレート134に着脱可能に取付けられる。
【0059】
次にこの第1の実施の形態の作用について説明すると、車幅方向で可動部114Aの可動範囲AMが、操作ペダル107の可動範囲AP1からオフセットするように前記操作ペダル107および前記可動部114Aが配置されるので、可動部114Aおよび操作ペダル107をその作動時の干渉を回避しつつ近接配置することが可能となり、可動部114Aおよび操作ペダル107が占めるスペースを小さくすることでエンジンEや車体のレイアウト性を高めることができる。
【0060】
しかも前記操作ペダル107および前記可動部114Aが、側面視で一部が重なるように配置されるので、可動部114Aおよび操作ペダル107が占めるスペースをより小さくすることができる。
【0061】
また操作ペダル107の車幅方向内側に、前記操作ペダル107に掛けられた乗員の足の車幅方向内側への移動を規制する足規制部109が固定配置され、前記可動部114Aの前記車幅方向の可動範囲AMが前記足規制部109よりも車幅方向内側に配置されるので、操作ペダル107にかけた乗員の足と、可動部114Aとの相互干渉を回避することができる。
【0062】
また車体フレームFの一部を構成する左側のピボットフレーム24に取付けられるステップホルダ104に前記操作ペダル107が回動可能に支承され、左側の前記ピボットフレーム24の車幅方向内側に配置されて前記車体フレームFに取付けられる支持部材112に、前記可動部114Aが支持されるので、可動部114Aを保護しつつ可動部114Aおよび操作ペダル107の車幅方向オフセット配置を容易とすることができる。
【0063】
しかもサイドスタンド111を支持するようにして前記車体フレームFの一部を構成する左側のピボットフレーム24に固着されるサイドスタンドブラケット110に、前記支持部材112が取付けられるので、足の操作による変速制御装置が装備されていない自動二輪車に対して、サイドスタンドブラケット110に支持部材112を取付けることを可能とし、本発明の変速制御装置を適用することを容易とすることができる。
【0064】
本発明の第2の実施の形態について、図11および図12を参照しながら説明するが、上記第1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0065】
先ず図11において、車体フレームFの一部を構成する左側のピボットフレーム24の後側下部には、乗員の左足を載せるステップ148が設けられるステップホルダ147が、たとえば一対のボルト149,149で取付けられる。このステップホルダ147には、前記ステップ148に載せた左足の爪先側で回動操作可能な操作ペダル150が回動可能に支承されるものであり、該操作ペダル150は、前後方向に延びるアーム部150aと、該アーム部150aの後端から下方にわずかに連結突部150bと、前記アーム部150aの先端部に設けられるペダル部150cとから成り、前記アーム部150aの後端部が、車幅方向に延びる軸線を有する支軸151を介して前記ステップホルダ147の前端部に回動可能に支承される
左側の前記ピボットフレーム24の下部に固着されたサイドスタンドブラケット110には、前記操作ペダル150よりも前方かつ左側の前記ピボットフレーム24の車幅方向内側に配置される支持部材112が取付けられ、この支持部材112に、第1の実施の形態と同様に構成された可動部114Aが支持され、この可動部114Aは、エンジンEからの回転動力を後輪WR側に伝達するドライブシャフト29の下方に配置される。
【0066】
図12を併せて参照して、前記操作ペダル150における連結突部150bに、前後方向に延びるリンクロッド152の一端部が支軸151と平行な軸線を有する第1連結ピン153を介して回動可能に連結される。一方、検出器117に連結されて前記支持部材112に回動可能に支承された回動軸121の車幅方向外端部に基端部がボルト128で固定されるアーム127の先端部には、第1連結ピン153と平行な軸線を有する第2連結ピン154を介して前記リンクロッド152の他端部が回動可能に連結される。したがって回動軸121は、前記操作ペダル150が回動するのに応じて回動することになり、その回動を前記検出器117が検出するので、検出器117は前記操作ペダル150によるシフトアップおよびシフトダウンのいずれかの変速操作を検出することになる。
【0067】
また前記操作ペダル150および前記可動部114Aは、図12で示すように、可動部114Aの車幅方向での可動範囲AMが、前記操作ペダル150の車幅方向での可動範囲AP2から車幅方向内側にオフセットするように配置されており、しかも左側のピボットフレーム24の後側後部で構成される足規制部109よりも車幅方向内側に配置される。
【0068】
この第2の実施の形態によれば、車幅方向で可動部114Aの可動範囲AMが、操作ペダル150の可動範囲AP2からオフセットするように前記操作ペダル150および前記可動部114Aが配置されるので、可動部114Aおよび操作ペダル150をその作動時の干渉を回避しつつ近接配置することが可能となり、可動部114Aおよび操作ペダル150が占めるスペースを小さくすることでエンジンEや車体のレイアウト性を高めることができる。
【0069】
また操作ペダル150の車幅方向内側に、前記操作ペダル150に掛けられた乗員の足の車幅方向内側への移動を規制する足規制部109が固定配置され、前記可動部114aの前記車幅方向の可動範囲AMが前記足規制部109よりも車幅方向内側に配置されるので、操作ペダル150にかけた乗員の足と、可動部114Aとの相互干渉を回避することができる。
【0070】
また車体フレームFの一部を構成する左側のピボットフレーム24に取付けられるステップホルダ147に前記操作ペダル150が回動可能に支承され、左側の前記ピボットフレーム24の車幅方向内側に配置されて前記車体フレームFに取付けられる支持部材112に、前記可動部114Aが支持されるので、可動部114Aを保護しつつ可動部114Aおよび操作ペダル150の車幅方向オフセット配置を容易とすることができる。
【0071】
しかも左側のピボットフレーム24に固着されるサイドスタンドブラケット110に、前記支持部材112が取付けられるので、足の操作による変速制御装置が装備されていない自動二輪車に対して、サイドスタンドブラケット110に支持部材112を取付けることを可能とし、本発明の変速制御装置を適用することを容易とすることができる。
【0072】
本発明の第3の実施の形態について、図13および図14を参照しながら説明するが、上記第1および第2の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0073】
先ず図13において、車体フレームFの一部を構成する左側のピボットフレーム24の後側下部には、乗員の左足を載せるステップ158が設けられるステップホルダ157が取付けられ、このステップホルダ157には、前記ステップ158に載せた左足の爪先側で回動操作可能な操作ペダル159が回動可能に支承されるものであり、該操作ペダル159は、前後方向に延びるアーム部159aと、該アーム部159aの後端から下方にわずかに連結突部159bと、前記アーム部159aの先端部に設けられるペダル部159cとから成り、前記アーム部159aの後端部に設けられる円筒状の被支持部159dが車幅方向に延びる軸線を有する支軸160を介して前記ステップホルダ157の前端部に回動可能に支承される
一方、車体フレームFに搭載されるエンジンEの下方には、車体フレームFの一部を構成するガードフレーム161が配置されており、このガードフレーム161には、前記操作ペダル159よりも前方かつ左側の前記ピボットフレーム24の車幅方向内側に配置される支持部材162が取付けられ、該支持部材162に可動部114Bが支持される。
【0074】
図14において、前記支持部材162には、該支持部材162で支持された検出器117に連結された回動軸163が回動可能に支承されており、該回動軸163の車幅方向に沿う外端部には、該回動軸163の半径方向外方に延びるアーム164の一端部がボルト165で締結される。一方、前記操作ペダル159における前記連結突部159bには、前後方向に延びるリンクロッド166の一端部が前記回動軸163と平行な軸線を有する第1連結ピン167を介して回動可能に連結され、前記アーム164の他端部および前記リンクロッド166の他端部は、第1連結ピン167と平行な軸線を有する第2連結ピン168を介して回動可能に連結される。したがって回動軸163は、前記操作ペダル159が回動するのに応じて回動することになり、その回動を前記検出器117が検出するので、検出器117は前記操作ペダル159によるシフトアップおよびシフトダウンのいずれかの変速操作を検出することになる。
【0075】
前記可動部114Bは、前記回動軸163に固定されて前記支持部材162に車幅方向外方から対向する可動部材としての可動プレート170を備えており、該可動プレート170には、規制孔171が設けられる。
【0076】
また前記可動部114Bは、前記操作ペダル159の操作にクリック感を付与するクリック機構172を備えており、このクリック機構172は、前記回動軸163の軸線からオフセットした位置で該回動軸163と平行な軸線を有する支軸173(図13参照)を介して基端部が前記支持部材162に回動可能に支承されるアーム174と、該アーム174の先端部に軸支されるローラ175と、該ローラ175を前記可動プレート170の外周に摺接させる側に前記アーム174を付勢するばね力を発揮して前記アーム174および前記支持部材162間に設けられるばね176と、前記操作ペダル159の非操作位置に対応した中立位置にあるときに前記ローラ175の一部を嵌合せしめるようにして前記可動プレート170の外周に設けられる凹部177とで構成される。
【0077】
而して前記操作ペダル159の操作によって前記可動プレート170が、その中立位置からシフトアップ側もしくはシフトダウン側に回動する際には、可動プレート170の回動初期には、前記ばね176のばね力に抗して前記凹部177から前記ローラ175が離脱する方向に前記可動プレート170が回動するので操作トルクが漸次大きくなり、ローラ175が前記凹部177から離脱した後では操作トルクが小さくなるので、操作ペダル159を足で操作する乗員がクリック感を感じることができる。
【0078】
また前記可動部114Bは、前記操作ペダル159の回動操作範囲を規制するストッパ機構178を備えており、このストッパ機構178は、前記支持部材162に植設されるストッパピン179が前記可動プレート170の規制孔171に挿通されて成り、このストッパ機構178によれば、前記可動プレート170すなわち操作ペダル159の回動範囲は、前記規制孔171内で前記ストッパピン179が移動可能な範囲に規制されることになる。
【0079】
さらに前記可動部114Bは、前記操作ペダル159に戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構180を備えており、このリターン機構180は、前記規制孔171に対応した位置で前記可動プレート170の外周縁から車幅方向内側に突出するようにして前記可動プレート170に一体に設けられる係止突部170aおよび前記ストッパピン179を両側から挟む挟み片181a,181bを両端部に有するコイル状の戻しばね181が、前記回動軸163を囲繞するようにして支持部材162に装着されて成り、可動プレート170が操作ペダル159の回動操作に応じて中立位置からシフトアップ側またはシフトダウン側に回動したときに、前記戻しばね181の両挟み片181a,181bの一方から前記可動プレート170に、該可動プレート170を中立位置に戻す方向すなわち操作ペダル159を非操作位置に戻す方向のばね力が作用することになる。
【0080】
前記操作ペダル159および前記可動部114Bは、可動部114Bの車幅方向での可動範囲が、前記操作ペダル159の車幅方向での可動範囲から車幅方向内側にオフセットするように配置されており、しかも左側のピボットフレーム24の一部で構成される足規制部109よりも車幅方向内側に配置される。
【0081】
この第3の実施の形態によれば、上記第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0082】
本発明の第4の実施の形態について図15を参照しながら説明すると、後端部にペダル部183aを有して前後方向に延びる操作ペダル183の前端部に設けられる円筒状の被操作部183bは、図示しない車体フレームに回動可能に支承されており、この操作ペダル183よりも車幅方向内側に配置される支持部材184が、たとえば第1および第2の実施の形態のサイドスタンドブラケット110に取付けられる。
【0083】
前記支持部材184には、該支持部材184で支持された検出器117に連結された回動軸185が回動可能に支承されており、前記支持部材184に支持される可動部114Cは、可動部材である可動プレート186が前記支持部材184に対向して前記回動軸185の車幅方向に沿う外端部に固定されて成る。
【0084】
前記回動軸185の中心軸線からオフセットした位置で前記可動プレート186には連結孔187が設けられ、前記操作ペダル183の前後方向中間部に植設された連結ピン188が前記連結孔187に挿通される。これにより、前記可動プレート186および回動軸185は、前記操作ペダル183が回動するのに応じて回動することになり、その回動を前記検出器117が検出するので、検出器117は前記操作ペダル183によるシフトアップおよびシフトダウンのいずれかの変速操作を検出することになる。しかも前記連結孔187は、操作ペダル183の回動に応じて前記連結ピン188および前記回動軸185間の距離が変更するのに応じて前記連結ピン188が前記連結孔187内を移動するのを許容するように長孔状に形成される。
【0085】
この可動部114Cは、前記操作ペダル183の操作にクリック感を付与するクリック機構190を備えており、このクリック機構190は、前記回動軸185の軸線からオフセットした位置で該回動軸185と平行な軸線を有する支軸191を介して基端部が前記支持部材184に回動可能に支承されるアーム192と、該アーム192の先端部に軸支されるローラ193と、該ローラ193を前記可動プレート186の外周に摺接させる側に前記アーム192を付勢するばね力を発揮して前記アーム192および前記支持部材184間に設けられるばね194と、前記操作ペダル183の非操作位置に対応した中立位置にあるときに前記ローラ193の一部を嵌合せしめるようにして前記可動プレート186の外周に設けられる凹部195とで構成される。
【0086】
而して前記操作ペダル183の操作によって前記可動プレート186が、その中立位置からシフトアップ側もしくはシフトダウン側に回動する際には、可動プレート186の回動初期には、前記ばね194のばね力に抗して前記凹部195から前記ローラ193が離脱する方向に前記可動プレート186が回動するので操作トルクが漸次大きくなり、ローラ193が前記凹部195から離脱した後では操作トルクが小さくなるので、操作ペダル183を足で操作する乗員がクリック感を感じることができる。
【0087】
また前記可動部114Cは、前記操作ペダル183の回動操作範囲を規制するストッパ機構196を備えており、このストッパ機構196は、前記支持部材184に植設されるストッパピン197が前記可動プレート186に設けられた規制孔198に挿通されて成り、このストッパ機構196によれば、前記可動プレート186すなわち操作ペダル183の回動範囲は、前記規制孔198内で前記ストッパピン197が移動可能な範囲に規制されることになる。
【0088】
さらに前記可動部114Cは、前記操作ペダル183に戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構199を備えており、このリターン機構199は、前記規制孔198に対応した位置で前記可動プレート186の外周縁部に一体に設けられる係止突部186aおよび前記ストッパピン197を両側から挟む挟み片200a,200bを両端部に有するコイル状の戻しばね200が、前記回動軸185を囲繞するようにして支持部材184に装着されて成り、可動プレート186が操作ペダル183の回動操作に応じて中立位置からシフトアップ側またはシフトダウン側に回動したときに、前記戻しばね200の両挟み片200a,200bの一方から前記可動プレート186に、該可動プレート186を中立位置に戻す方向すなわち操作ペダル183を非操作位置に戻す方向のばね力が作用することになる。
【0089】
前記操作ペダル183および前記可動部114Cは、可動部114Cの車幅方向での可動範囲が、前記操作ペダル183の車幅方向での可動範囲から車幅方向内側にオフセットするように配置される。
【0090】
この第4の実施例によれば、上記第3の実施の形態と同様の効果を奏することができ、しかも前記操作ペダル183および前記可動部114Cが、側面視で一部が重なるように配置されるので、可動部114Cおよび操作ペダル183が占めるスペースをより小さくすることができる。
【0091】
本発明の第5の実施の形態について図16を参照しながら説明すると、後端部にペダル部202aを有して前後方向に延びる操作ペダル202の前端部には軸203が固定されており、この軸203は、該操作ペダル202よりも車幅方向内側に固定配置される支持部材203に設けられる嵌合筒部204に嵌合、支持される。
【0092】
前記支持部材203には、該支持部材203で支持された検出器117に連結された回動軸205が回動可能に支承されており、前記支持部材203に支持される可動部114Dは、可動部材である円形の可動プレート206が前記支持部材203に対向して前記回動軸205の車幅方向に沿う外端部に固定されて成る。
【0093】
前記軸203には、前記可動プレート206の外周に外周を対向させるようにして円形の伝動プレート207が固定され、可動プレート206の外周に刻設された複数の歯208に噛合する複数の歯209…が前記伝動プレート207の外周に刻設される。これにより、前記可動プレート206および回動軸205は、前記操作ペダル202が回動するのに応じて回動することになり、その回動を前記検出器117が検出するので、検出器117は前記操作ペダル202によるシフトアップおよびシフトダウンのいずれかの変速操作を検出することになる。
【0094】
前記可動部114Dは、前記操作ペダル202の操作にクリック感を付与するクリック機構210を備えており、このクリック機構210は、前記支持部材203に固着された支持筒部211で形成される有底の収容孔212の先端部に収容されるクリックボール213と、該クリックボール213を前記可動プレート206側に向けて付勢するようにして前記収容孔212に収容されつつ前記支持部材203および前記クリックボール213間に縮設されるばね214と、前記クリックボール213の一部を嵌合させ得るようにして前記可動プレート206に設けられる嵌合孔215とで構成される。
【0095】
また前記可動部114Dは、前記操作ペダル202の回動操作範囲を規制するストッパ機構216を備えており、このストッパ機構216は、前記支持部材203に植設されるストッパピン217が前記可動プレート206に設けられた規制孔218に挿通されて成り、このストッパ機構216によれば、前記可動プレート206すなわち操作ペダル202の回動範囲は、前記規制孔218内で前記ストッパピン217が移動可能な範囲に規制されることになる。
【0096】
さらに前記可動部114Dは、前記操作ペダル202に戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構219を備えており、このリターン機構219は、前記可動プレート206に一体に設けられる係止突部206aおよび前記ストッパピン217を両側から挟む挟み片220a,220bを両端部に有するコイル状の戻しばね220が、前記回動軸205を囲繞するように配置されて成り、可動プレート206が操作ペダル202の回動操作に応じて中立位置からシフトアップ側またはシフトダウン側に回動したときに、前記戻しばね220の両挟み片220a,220bの一方から前記可動プレート206に、該可動プレート206を中立位置に戻す方向すなわち操作ペダル202を非操作位置に戻す方向のばね力が作用することになる。
【0097】
また前記操作ペダル202および前記可動部114Dは、可動部114Dの車幅方向での可動範囲が、前記操作ペダル202の車幅方向での可動範囲から車幅方向内側にオフセットするように配置され、しかも側面視で一部が重なるように配置される。
【0098】
この第5の実施の形態によれば、上記第4の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0099】
本発明の第6の実施の形態について図17を参照しながら説明すると、車体フレームFの一部を構成する左側のピボットフレーム24の後側下部には、乗員の左足を載せるステップ158が設けられるステップホルダ157が取付けられる。一方、車体フレームFに搭載されるエンジンEのエンジン本体28におけるクランクケース35の側方には、該クランクケース35で固定されるようにしてブラケット221が配置される。すなわち前記クランクケース35との間に一対の円筒状のスペーサ222,222を介在させた前記ブラケット221がボルト223,223で前記クランクケース35に固定される。
【0100】
前記ブラケット221には、前記ステップ158に載せた足の爪先で操作するペダル部224aを後端部に有する操作ペダル224の前端部が回動可能に支承される。
【0101】
またサイドスタンド111を回動可能に支承して左側のピボットフレーム24の下部に取付けられるサイドスタンドブラケット111に支持部材184が取付けられ、エンジン本体28の下方に配置されるようにして可動部114Cが前記支持部材184に支持される。
【0102】
この第6の実施の形態によれば、エンジン本体28のクランクケース35に固着されて該エンジン本体28の側方に配置されるブラケット221に操作ペダル224が回動可能に支持され、可動部114Cがエンジン本体28の下方に配置されるので、操作ペダル224および可動部114Cの車幅方向でのオフセット配置を容易とすることができる。
【0103】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0104】
24・・・ピボットフレーム
27・・・スイングアーム
28・・・エンジン本体
50・・・変速機
104,147,157・・・ステップホルダ
107,150,159,183,202,224・・・操作ペダル
109・・・足規制部
110・・・サイドスタンドブラケット
111・・・サイドスタンド
112,162,184,203・・・支持部材
113,170,186,206・・・可動部材である可動プレート
114A,114B,114C,114D・・・可動部
117・・・検出器
136,172,190,210・・・クリック機構
140,178,196,216・・・ストッパ機構
143,180,199,219・・・リターン機構
221・・・ブラケット
AM1,AM2・・・可動部の可動範囲
AP・・・操作ペダルの可動範囲
F・・・車体フレーム
WR・・・後輪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速のために乗員の足によって回動操作される操作ペダル(107,150,159,183,202,224)と、該操作ペダル(107,150,159,183,202,224)に連動、連結される可動部材(113,170,186,206)を含むとともに前記操作ペダル(107,150,159,183,202,224)の操作にクリック感を付与するクリック機構(136,172,190,210)、前記操作ペダル(107,150,159,183,202,224)の回動操作範囲を規制するストッパ機構(140,178,196,216)、ならびに前記操作ペダル(107,150,159,183,202,224)に戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構(143,180,199,219)の少なくとも1つを有する可動部(114A,114B,114C,114D)と、前記操作ペダル(107,150,159,183,202,224)による変速操作を検出する検出器(117)とを備え、該検出器(117)の検出結果に基づいて変速機(50)を変速作動せしめるようにした鞍乗り型車両の変速制御装置において、前記可動部(114A,114B,114C,114D)の可動範囲(AM1,AM2)が、車幅方向で前記操作ペダル(107,150,159,183,202,224)の可動範囲(AP)からオフセットするように前記操作ペダル(107,150,159,183,202,224)および前記可動部(114A,114B,114C,114D)が配置されることを特徴とする鞍乗り型車両の変速制御装置。
【請求項2】
前記操作ペダル(107,183,202,224)および前記可動部(114A,114C,114D)が、側面視で一部が重なるように配置されることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両の変速制御装置。
【請求項3】
前記操作ペダル(107,150,159,183,202,224)の車幅方向内側に、前記操作ペダル(107,150,159,183,202,224)に掛けられた乗員の足の車幅方向内側への移動を規制する足規制部(109)が固定配置され、前記可動部(114A,114B,114C,114D)の前記車幅方向の可動範囲(AM1,AM2)が前記足規制部(109)よりも車幅方向内側に配置されることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両の変速制御装置。
【請求項4】
後輪(WR)を後端部で軸支するスイングアーム(27)の前端部を揺動可能に支承するようにして車体フレーム(F)の一部を構成するピボットフレーム(24)に取付けられるステップホルダ(104,147,157)に前記操作ペダル(107,150,159,224)が回動可能に支承され、前記ピボットフレーム(24)の車幅方向内側に配置されて前記車体フレーム(F)に取付けられる支持部材(112,162)に、前記可動部(114A,114B)が支持されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鞍乗り型車両の変速制御装置。
【請求項5】
サイドスタンド(111)を支持するようにして前記車体フレーム(F)に固着されるサイドスタンドブラケット(110)に、前記支持部材(112,162)が取付けられることを特徴とする請求項4記載の鞍乗り型車両の変速制御装置。
【請求項6】
前記操作ペダル(224)が、車体フレーム(F)に搭載されるエンジン本体(28)に固着されて該エンジン本体(28)の側方に配置されるブラケット(221)に回動可能に支持され、前記可動部(114C)が、前記エンジン本体(28)の下方に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鞍乗り型車両の変速制御装置。
【請求項1】
変速のために乗員の足によって回動操作される操作ペダル(107,150,159,183,202,224)と、該操作ペダル(107,150,159,183,202,224)に連動、連結される可動部材(113,170,186,206)を含むとともに前記操作ペダル(107,150,159,183,202,224)の操作にクリック感を付与するクリック機構(136,172,190,210)、前記操作ペダル(107,150,159,183,202,224)の回動操作範囲を規制するストッパ機構(140,178,196,216)、ならびに前記操作ペダル(107,150,159,183,202,224)に戻り方向のばね力を作用せしめるリターン機構(143,180,199,219)の少なくとも1つを有する可動部(114A,114B,114C,114D)と、前記操作ペダル(107,150,159,183,202,224)による変速操作を検出する検出器(117)とを備え、該検出器(117)の検出結果に基づいて変速機(50)を変速作動せしめるようにした鞍乗り型車両の変速制御装置において、前記可動部(114A,114B,114C,114D)の可動範囲(AM1,AM2)が、車幅方向で前記操作ペダル(107,150,159,183,202,224)の可動範囲(AP)からオフセットするように前記操作ペダル(107,150,159,183,202,224)および前記可動部(114A,114B,114C,114D)が配置されることを特徴とする鞍乗り型車両の変速制御装置。
【請求項2】
前記操作ペダル(107,183,202,224)および前記可動部(114A,114C,114D)が、側面視で一部が重なるように配置されることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両の変速制御装置。
【請求項3】
前記操作ペダル(107,150,159,183,202,224)の車幅方向内側に、前記操作ペダル(107,150,159,183,202,224)に掛けられた乗員の足の車幅方向内側への移動を規制する足規制部(109)が固定配置され、前記可動部(114A,114B,114C,114D)の前記車幅方向の可動範囲(AM1,AM2)が前記足規制部(109)よりも車幅方向内側に配置されることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両の変速制御装置。
【請求項4】
後輪(WR)を後端部で軸支するスイングアーム(27)の前端部を揺動可能に支承するようにして車体フレーム(F)の一部を構成するピボットフレーム(24)に取付けられるステップホルダ(104,147,157)に前記操作ペダル(107,150,159,224)が回動可能に支承され、前記ピボットフレーム(24)の車幅方向内側に配置されて前記車体フレーム(F)に取付けられる支持部材(112,162)に、前記可動部(114A,114B)が支持されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鞍乗り型車両の変速制御装置。
【請求項5】
サイドスタンド(111)を支持するようにして前記車体フレーム(F)に固着されるサイドスタンドブラケット(110)に、前記支持部材(112,162)が取付けられることを特徴とする請求項4記載の鞍乗り型車両の変速制御装置。
【請求項6】
前記操作ペダル(224)が、車体フレーム(F)に搭載されるエンジン本体(28)に固着されて該エンジン本体(28)の側方に配置されるブラケット(221)に回動可能に支持され、前記可動部(114C)が、前記エンジン本体(28)の下方に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鞍乗り型車両の変速制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−56591(P2013−56591A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195332(P2011−195332)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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