説明

鞍乗型車両

【課題】走行風の排出を良好にして、エンジンやエンジンの周辺部材を更に冷却することができる鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】鞍乗型車両は、車体フレーム11のピボットフレーム15の車幅方向内側に配置される排気管と、ピボットフレーム15と排気管との間に配置され、後端の少なくとも一部がピボットフレーム15の後端よりも後方且つ車幅方向内側に配置されるヒートガード65と、ピボットフレーム15と車幅方向で略同じ位置に配置され、ヒートガード15の後端の前方から後方にかけて前後方向に延出する整流部80と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の鞍乗型車両として、走行風導入カバーによりエンジンの側方から走行風を取り入れて、エンジンやエンジンの周辺部材を冷却するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−235054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして、近年では、エンジンやエンジンの周辺部材を冷却した走行風(排風)を速やかに排出することで、走行風の排出を良好にして、エンジンやエンジンの周辺部材を更に冷却することが望まれていた。
【0005】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、走行風の排出を良好にして、エンジンやエンジンの周辺部材を更に冷却することができる鞍乗型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、エンジンを支持し、エンジンの後方に配置される左右一対のピボットフレームを備える車体フレームと、左右一対のピボットフレームに揺動可能に支持され、左右一対のピボットフレームの後方に延びて後輪を支持するスイングアームと、を備える鞍乗型車両において、ピボットフレームの車幅方向内側に配置される排気管と、ピボットフレームと排気管との間に配置され、後端の少なくとも一部がピボットフレームの後端よりも後方且つ車幅方向内側に配置されるヒートガードと、ピボットフレームと車幅方向で略同じ位置に配置され、ヒートガードの後端の前方から後方にかけて前後方向に延出する整流部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、整流部は、後輪の前方であって、高さ方向で後輪の上端と後輪の回転軸との間に配置されることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の構成に加えて、整流部は、ピボットフレームに支持されるステップホルダと、整流板と、から構成されることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の構成に加えて、ステップホルダは、ヒールガードを有し、ヒールガードの車幅方向内側に、後輪ブレーキのマスターシリンダが締結部材により支持され、整流板は、締結部材にマスターシリンダと共に締結され、マスターシリンダの車幅方向内側を覆いつつ、ヒールガードの後方に延出することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成に加えて、スイングアームに支持され、後輪の上方を覆う泥よけを備え、泥よけは、後外方に広がる外側面を有し、整流部は、車両側面視において、泥よけと重なるように配置されることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成に加えて、エンジンの側面からピボットフレームの前方に延びる走行風導入カバーを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の構成に加えて、スイングアームは、後輪の車幅方向一方側に延びる片持ちスイングアームであり、整流部は、後輪の車幅方向他方側に配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の構成に加えて、後輪の車幅方向一方側において、車両側面視で、ピボットフレームの後端、ステップホルダの上端、及びシートフレームの下端に沿って第2整流部が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、エンジン及び排気管を冷却した排風が、ヒートガードの内側を通り、ヒートガードの後端において、流速が排風よりも速い車体側方を流れる走行風に引かれて車幅方向外側に排出されるが、整流部を設けているので、ヒートガードの後端から車幅方向外側に流れる排風よりも後方に流れる排風を多くして、排風を前後方向に流して整流化することができる。これにより、排風を速やかに排出することができるので、走行風の排出を良好にして、エンジンやエンジンの周辺部材を更に冷却することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、後輪の回転に伴う後方流が発生しない領域に整流部が配置されるので、排風の遅い領域に整流部を効率的に設けることができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、ステップホルダを変更するだけで整流板を設けることができ、取り付け性を良好にすることができる。また、整流板をステップホルダに一体形成する場合は、部品点数を減らすことができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、整流板の取り付け構造を簡素化することができると共に、排風によるマスターシリンダの昇温を防止することができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、整流部の内側面と泥よけの外側面との間で、排風を後方且つ外方に整流化することができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、走行風導入カバーで走行風を整流化して、ピボットフレームの後方に到達した排風を整流のまま排出することができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、揺動するスイングアームが配置されていない側に整流部を配置するため、スイングアームの揺動に伴う排風の乱れを少なくすることができる。
【0021】
請求項8の発明によれば、スイングアームの上方を通って一方側に流れる排風が、ピボットフレームの後方で走行風に引かれて車幅方向外側に広がるが、3方が囲まれた狭い空間から車幅方向外側に排風が排出されてしまうのを第2整流部で防止することができ、排風を整流化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る鞍乗型車両の一実施形態を説明する右側面図である。
【図2】図1に示す鞍乗型車両の左側面図である。
【図3】図1に示すエンジンの周辺の斜視図である。
【図4】車両右側のメインステップの周辺の拡大右側面図である。
【図5】図4に示す車両右側のステップホルダの分解斜視図である。
【図6】車両左側のメインステップの周辺の拡大左側面図である。
【図7】図6に示す車両左側のステップホルダの分解斜視図である。
【図8】図1のA−A線断面図である。
【図9】本発明に係る鞍乗型車両の一実施形態の変形例を説明する図4に対応した拡大右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る鞍乗型車両の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとし、以下の説明において、前後、左右、上下は、操縦者から見た方向に従い、図面に車両の前方をFr、後方をRr、左側をL、右側をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0024】
本実施形態の自動二輪車(鞍乗型車両)10は、図1及び図2に示すように、車体フレーム11を、前端に設けられるヘッドパイプ12と、ヘッドパイプ12から後方且つ下方に延びる左右一対のメインフレーム13と、左右一対のメインフレーム13の前部下面から下方に延びる左右一対のエンジンハンガー14と、左右一対のメインフレーム13の後端部に連結され下方に延びる左右一対のピボットフレーム15と、左右一対のピボットフレーム15の上部に連結され後方且つ上方に延びる左右一対のシートフレーム16と、から構成し、エンジンハンガー14及びピボットフレーム15にエンジン50が取り付けられる。また、左右一対のピボットフレーム15は、エンジン50の後方に配置されている。また、ピボットフレーム15の外側面には樹脂カバー15aが設けられている。
【0025】
また、自動二輪車10は、ヘッドパイプ12に操向自在に支持されるフロントフォーク21と、フロントフォーク21の下端部に回転可能に支持される前輪WFと、フロントフォーク21の上端部に取り付けられる操舵用のハンドル22と、左右一対のピボットフレーム15にピボット軸24を介して揺動可能に支持され、左右一対のピボットフレーム15の後方に延びるスイングアーム23と、スイングアーム23の後端部に回転可能に支持される後輪WRと、メインフレーム13の上方に配置される燃料タンク25と、左右一対のシートフレーム16上に取り付けられるメインシート26及びピリオンシート27と、を備える。
【0026】
スイングアーム23は、後輪WRの車幅方向左側に延びる片持ちスイングアームであり、その内部にドライブシャフト28が内蔵されている(図8参照)。また、図8に示すように、ドライブシャフト28の前端に形成される傘歯車28aは、エンジン50のカウンタシャフト29の外端に形成される傘歯車29aと噛合しており、カウンタシャフト29から出力される駆動力は、ドライブシャフト28を介して後輪WRの回転軸23aに伝達される。なお、図1中の符号H1は、回転軸23aを通る水平線、符号Lは、回転軸23aを通る鉛直線Lである。
【0027】
なお、図1中の符号31はフロントカウル、32はフロントサイドカウル、33はアンダーカウル、35はヘッドライト、36はサイドミラー、37はフロントフェンダ、38はテールライト、39はリヤウィンカ、40はリヤフェンダである。
【0028】
エンジン50は、V型4気筒エンジンであり、図1及び図2に示すように、クランクケース51と、クランクケース51の上部に前後にV字状をなすように配置される前側シリンダ52F及び後側シリンダ52Rと、クランクケース51の左側面に取り付けられる発電機カバー53と、クランクケース51の右側面に取り付けられるクラッチカバー54と、を備える。
【0029】
前側シリンダ52Fの前面には、前側排気管61Fが接続されており、この前側排気管61Fは、前方に延出した後、下方に延出される。後側シリンダ52Rの後面には、後側排気管61Rが接続されており、この後側排気管61Rは、後方に延出した後、車両右側のピボットフレーム15の内側で湾曲して前方に延出して再び後方に延出される。また、後側排気管61Rは、車両右側のピボットフレーム15の車幅方向内側に配置されている。そして、前側及び後側排気管61F,61Rは、エンジン50のクランクケース51の前方を通って左側方に延出されてキャタライザ62に接続される。さらに、キャタライザ62の後端部には後方集合管63が接続されており、この後方集合管63の後端部には、後輪WRの車幅方向右側に配置されるマフラー64が接続される。
【0030】
また、図3に示すように、クランクケース51の右側且つクラッチカバー54の下方には、クランクケース51の右側面から車両右側のピボットフレーム15の前方に延びる走行風導入カバー41が設けられている。さらに、走行風導入カバー41の前端部には、その走行風導入口41aを広げ、走行風を大量に導入するためのエアファンネル42が取り付けられている。そして、走行風導入カバー41に取り入れられた走行風は、エンジン50及び後側排気管61Rを冷却して、その排熱が車両右側のピボットフレーム15の後方に排出される。
【0031】
また、図4及び図8に示すように、車両右側のピボットフレーム15と後側排気管61Rとの間には、ヒートガード65が配置されており、このヒートガード65は、その後端部の少なくとも一部が車両右側のピボットフレーム15の後端よりも後方且つ車幅方向内側に配置されている。
【0032】
また、図2に示すように、エンジン50のクランクケース51の左側には、メインフレーム13、エンジンハンガー14、及びピボットフレーム15とクランクケース51との間のクリアランスを埋める樹脂製のサブサイドカバー66が設けられている。また、図8に示すように、サブサイドカバー66には、走行風を取り入れる走行風導入口66aが形成されている。そして、走行風導入口66aからサブサイドカバー66内に取り入れられた走行風は、エンジン50、前側排気管61F、及びキャタライザ62を冷却して、その排熱が車両左側のピボットフレーム15の後方に排出される。
【0033】
また、図4及び図6に示すように、左右一対のピボットフレーム15の下部後面には、メインステップ71aを有する左右メインステップホルダ71L,71Rがそれぞれ取り付けられている。さらに、左右メインステップホルダ71L,71Rの上部には、左右ヒールガード72L,72Rが形成されている。また、左右一対のシートフレーム16の下面には、ピリオンステップ73aを有するピリオンステップホルダ73がそれぞれ取り付けられている。
【0034】
そして、図4及び図5に示すように、自動二輪車10は、車両右側のピボットフレーム15と車幅方向で略同じ位置に配置され、ヒートガード65の後端の前方から後方にかけて前後方向に延出する第1整流部80を備えている。
【0035】
第1整流部80は、メインステップホルダ71Rと、メインステップホルダ71Rに取り付けられる整流板ステイ(第1整流板)81及び整流板本体(第1整流板)82と、から構成される。
【0036】
また、メインステップホルダ71Rのヒールガード72Rの車幅方向内側には、後輪ブレーキのマスターシリンダ75が設けられている。
【0037】
マスターシリンダ75は、メインステップホルダ71Rの内側面に固定されるホルダ側ステイ76に支持されている。このホルダ側ステイ76の内側面には、マスターシリンダ75に挿通される2本のボルト76aが車幅方向内側に向けて突設されている。
【0038】
整流板ステイ81は、ホルダ側ステイ76の2本のボルト76aにマスターシリンダ75と共に2個のナット76bで締結されている。また、マスターシリンダ75と整流板ステイ81との間には、ホルダ側ステイ76の2本のボルト76aを挿通させる2個のカラー76cが介設されている。
【0039】
整流板本体82は、整流板ステイ81の後端部に2個のカラー83a及び2個のブッシュ83bを介して2本のボルト83cで締結されている。
【0040】
そして、図4及び図8に示すように、第1整流部80は、マスターシリンダ75の車幅方向内側を覆いつつ、ヒールガード72Rの後方に延出している。また、第1整流部80は、図1及び図4に示すように、後輪WRの前方であって、高さ方向で後輪WRの上端を通る水平線H2と後輪WRの回転軸23aを通る水平線H1との間、且つ回転軸23aを通る鉛直線Lの前方に配置されている。また、第1整流部80は、図8に示すように、スイングアーム23の反対側である後輪WRの車幅方向右側に配置されている。
【0041】
また、図1、図4及び図8に示すように、スイングアーム23の前部の上面には、後輪WRの上方を覆う泥よけ67が取り付けられており、泥よけ67の上面には、後外方に広がる左右一対の外側面67aが形成されている。そして、第1整流部80は、車両側面視において、泥よけ67と重なるように配置されている。
【0042】
また、図6に示すように、後輪WRの車幅方向左側において、車両側面視で、ピボットフレーム15の後端、メインステップホルダ71Lの上端、及びシートフレーム16の下端に沿って第2整流部90が設けられている。
【0043】
第2整流部90は、図7に示すように、車両左側のシートフレーム16に取り付けられる整流板ステイ(第2整流板)91と、整流板ステイ91に取り付けられる整流板本体(第2整流板)92と、を備える。
【0044】
整流板ステイ91は、車両左側のシートフレーム16にボルト77a及びナット77bで取り付けられる第1ステイ93と、第1ステイ93の下端部に固定され車幅方向外側に延びる第2ステイ94と、を有する。そして、整流板本体92は、第2ステイ94の車幅方向外端部に形成される取付板94aに2本のボルト78で取り付けられている。
【0045】
このように構成された自動二輪車10では、図8に示すように、走行風導入カバー41に取り入れられた走行風は、クランクケース51の右側を冷却した後、排風となり、スイングアーム23の前部において上下に分岐される。次いで、スイングアーム23の下方に分岐した排風は、スイングアーム23の右側面とヒートガード65の内側面との間を流れ、後側排気管61Rを冷却して、スイングアーム23の上方に分岐した排風と合流する。次いで、合流した排風は、車体側方を通る流速の速い走行風により発生する負圧により車幅方向外側に広がりつつ第1整流部80の内側面と泥よけ67の右側の外側面67aとの間を流れ、車両後方に排出される。従って、走行風導入カバー41に取り入れられた走行風は、走行風導入カバー41により整流化され、クランクケース51及び後側排気管61Rを冷却した後、排風となり、車両後方に速やかに排出される。そして、車両後方に排出された排風は、ヒートガード65の後方且つ第1整流部80の内側の空間に流入し車幅方向外側にわずかに広がり、さらに下流において、車体側方を流れる走行風になだらかに合流して、整流効果が発揮される。なお、図8中の矢印Xは、走行風導入カバー41に取り入れられた走行風(排風)の流れを表し、矢印Yは、車体側方を流れる走行風を表している。
【0046】
また、走行風導入口66aからサブサイドカバー66内に取り入れられた走行風は、クランクケース51の左側を冷却した後、車両左側のピボットフレーム15の内側及びスイングアーム23の上方に流れる。次いで、スイングアーム23の上方に流れた排風は、第2整流部90の内側面と泥よけ67の左側の外側面67aとの間を流れ、車両後方に速やかに排出される。そして、車両後方に排出された排風は、車体側方を流れる走行風になだらかに合流して、整流効果が発揮される。なお、図8中の矢印Zは、サブサイドカバー66内に取り入れられた走行風(排風)の流れを表している。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の自動二輪車10によれば、エンジン50及び後側排気管61Rを冷却した排風が、ヒートガード65の内側を通り、ヒートガード65の後端において、流速が排風よりも速い車体側方を流れる走行風に引かれて車幅方向外側に排出されるが、第1整流部80を設けているので、ヒートガード65の後端から車幅方向外側に流れる排風よりも後方に流れる排風を多くして、排風を前後方向に流して整流化することができる。これにより、排風を速やかに排出することができるので、走行風の排出を良好にして、エンジン50やエンジン50の周辺部材を更に冷却することができる。
【0048】
また、本実施形態の自動二輪車10によれば、第1整流部80が、後輪WRの前方であって、高さ方向で後輪WRの上端と後輪WRの回転軸23aとの間に配置されるため、後輪WRの回転に伴う後方流が発生しない領域に第1整流部80が配置されて、排風の遅い領域に第1整流部80を効率的に設けることができる。
【0049】
また、本実施形態の自動二輪車10によれば、第1整流部80が、メインステップホルダ71R、整流板ステイ81、整流板本体82から構成されるため、メインステップホルダ71Rを変更するだけで整流板ステイ81及び整流板本体82を設けることができ、取り付け性を良好にすることができる。
【0050】
また、本実施形態の自動二輪車10によれば、メインステップホルダ71Rのヒールガード72Rの車幅方向内側に、後輪ブレーキのマスターシリンダ75及び整流板ステイ81が共締めされるため、整流板ステイ81及び整流板本体82の取り付け構造を簡素化することができる。また、整流板ステイ81及び整流板本体82が、マスターシリンダ75の車幅方向内側を覆いつつ、ヒールガード72Rの後方に延出するため、排風によるマスターシリンダ75の昇温を防止することができる。
【0051】
また、本実施形態の自動二輪車10によれば、泥よけ67が、後外方に広がる外側面67aを有し、第1整流部80が、車両側面視において、泥よけ67と重なるように配置されるため、第1整流部80の内側面と泥よけ67の外側面67aとの間で、排風を後方且つ外方に整流化することができる。
【0052】
また、本実施形態の自動二輪車10によれば、クランクケース51の右側面から車両右側のピボットフレーム15の前方に延びる走行風導入カバー41を備えるため、走行風導入カバー41で走行風を整流化して、車両右側のピボットフレーム15の後方に到達した排風を整流のまま排出することができる。
【0053】
また、本実施形態の自動二輪車10によれば、揺動するスイングアーム23が配置されていない側に第1整流部80を配置するため、スイングアーム23の揺動に伴う排風の乱れを少なくすることができる。
【0054】
また、本実施形態の自動二輪車10によれば、後輪WRの車幅方向左側において、車両側面視で、ピボットフレーム15の後端、メインステップホルダ71Lの上端、及びシートフレーム16の下端に沿って第2整流部90が設けられるため、スイングアーム23の上方を通って車両左側に流れる排風が、車両左側のピボットフレーム15の後方で走行風に引かれて車幅方向外側に広がるが、3方が囲まれた狭い空間から車幅方向外側に排風が排出されてしまうのを第2整流部90で防止することができ、排風を整流化することができる。
【0055】
また、本実施形態の自動二輪車10によれば、走行風導入カバー41の前端部にエアファンネル42を取り付けて、走行風導入カバー41の走行風導入口41aを広げるため、排風の後方への流速を速めることができ、排風を更に整流化することができる。
【0056】
なお、本実施形態の変形例として、図9に示すように、整流板本体82が、メインステップホルダ71Rのヒールガード72Rに一体成形されていてもよい。この場合、自動二輪車10の部品点数を減らすことができる。
【0057】
なお、本発明は上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 自動二輪車(鞍乗型車両)
WR 後輪
11 車体フレーム
15 ピボットフレーム
23 スイングアーム
23a 回転軸
41 走行風導入カバー
50 エンジン
61F 前側排気管
61R 後側排気管
62 キャタライザ
65 ヒートガード
66 サブサイドカバー
67 泥よけ
67a 外側面
71L メインステップホルダ
71R メインステップホルダ
72L ヒールガード
72R ヒールガード
75 マスターシリンダ
76 ホルダ側ステイ
76a ボルト(締結部材)
76b ナット(締結部材)
80 第1整流部
81 整流板ステイ(第1整流板)
82 整流板本体(第1整流板)
90 第2整流部
91 整流板ステイ(第2整流板)
92 整流板本体(第2整流板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(50)を支持し、前記エンジンの後方に配置される左右一対のピボットフレーム(15)を備える車体フレーム(11)と、
前記左右一対のピボットフレームに揺動可能に支持され、前記左右一対のピボットフレームの後方に延びて後輪(WR)を支持するスイングアーム(23)と、を備える鞍乗型車両において、
前記ピボットフレームの車幅方向内側に配置される排気管(61R)と、
前記ピボットフレームと前記排気管との間に配置され、後端の少なくとも一部が前記ピボットフレームの後端よりも後方且つ車幅方向内側に配置されるヒートガード(65)と、
前記ピボットフレームと車幅方向で略同じ位置に配置され、前記ヒートガードの後端の前方から後方にかけて前後方向に延出する整流部(80)と、を備えることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項2】
前記整流部(80)は、前記後輪(WR)の前方であって、高さ方向で前記後輪の上端と前記後輪の回転軸(23a)との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記整流部(80)は、前記ピボットフレーム(15)に支持されるステップホルダ(71R)と、整流板(81,82)と、から構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記ステップホルダ(71R)は、ヒールガード(72R)を有し、
前記ヒールガードの車幅方向内側に、後輪ブレーキのマスターシリンダ(75)が締結部材(76a,76b)により支持され、
前記整流板(81,82)は、前記締結部材に前記マスターシリンダと共に締結され、前記マスターシリンダの車幅方向内側を覆いつつ、前記ヒールガードの後方に延出することを特徴とする請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記スイングアーム(23)に支持され、前記後輪(WR)の上方を覆う泥よけ(67)を備え、
前記泥よけは、後外方に広がる外側面(67a)を有し、
前記整流部(80)は、車両側面視において、前記泥よけと重なるように配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記エンジン(50)の側面から前記ピボットフレーム(23)の前方に延びる走行風導入カバー(41)を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記スイングアーム(23)は、前記後輪(WR)の車幅方向一方側に延びる片持ちスイングアームであり、
前記整流部(80)は、前記後輪の車幅方向他方側に配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
前記後輪(WR)の車幅方向一方側において、車両側面視で、前記ピボットフレーム(15)の後端、ステップホルダ(71L)の上端、及びシートフレーム(16)の下端に沿って第2整流部(90)が設けられることを特徴とする請求項7に記載の鞍乗型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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