説明

音像制御装置および音像制御方法

【課題】元々の音声信号に含まれる音像の距離感をさらに奥行きが出るように強調制御する。
【解決手段】音圧制御部216は、直接音信号に関して、入力音声信号SAのレベルに応じて、高レベル範囲では信号増幅量を大きくし、低レベル範囲では信号増幅量を小さくする。音圧制御部217は、直接音信号に関して、入力音声信号SAのレベルに応じて、高レベル範囲では信号増幅量を小さくし、低レベル範囲では信号増幅量を大きくする。遅延制御部218は、間接音信号に関して、入力音声信号SAのレベルに応じて、高レベル範囲では信号遅延量を小さくし、低レベル範囲では信号遅延量を大きくする。これらの処理により奥行き感が強調される。各制御部は、立体映像信号SVから左眼画像および右眼画像の視差情報を取得し、視差に応じて強調度合いを変化させる。立体映像にマッチしたより一層奥行きのある音像表現が実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、音像制御装置および音像制御方法に関し、特に、2チャネルステレオ音声信号を再生するヘッドホン装置、スピーカ装置等に適用できる音像制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、バーチャル・リアリティの実現を目ざして、聴取者(リスナ)の頭部に装着された2チャンネルステレオ音声再生装置において、音源に対する聴取者の相対的な位置に応じて音像を制御すること、が記載されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、立体映像において左右の映像の水平ずれ量を検出することにより、リアルタイムな遠近データの取得を可能とし、その遠近データに応じて音声信号の増幅量と遅延量を変えることで、立体映像にマッチした音像の作成を実現すること、が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−009498号公報
【特許文献2】特開平08−205295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に記載される発明にあっては音源に対する聴取者の相対的な位置に応じて音像を制御するものである。また、上述の特許文献2に記載される発明にあっては立体画像データから取得された遠近データに応じて音像を制御するものである。これらの音像制御は、元々の音声信号に含まれる音像の距離感からさらに奥行きが出るように強調制御するものではない。
【0006】
本技術の目的は、元々の音声信号に含まれる音像の距離感をさらに奥行きが出るように強調制御することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の概念は、
左音声信号および右音声信号を処理して所定位置に音像を定位させる音像制御部を備え、
上記音像制御部は、
入力音声信号に元々含まれる音像の奥行き感を強調制御する
音像制御装置にある。
【0008】
本技術においては、音像制御部により、左音声信号および右音声信号が処理されて所定位置に音像が定位するようにされる。そして、この音像制御部では、入力音声信号に元々含まれる音像の奥行き感が強調制御される。
【0009】
本技術において、例えば、音像制御部では、入力音声信号に元々含まれる音像の奥行き感を、入力音声信号のレベルに基づいて強調制御する、ようにされる。例えば、音像制御部は、入力音声信号から直接音信号を抽出する直接音用フィルタと、入力音声信号から間接音信号を抽出する間接音用フィルタと、間接音用フィルタで抽出された間接音信号を遅延させる遅延器と、直接音用フィルタで抽出された直接音信号を増幅する第1の増幅器と、遅延器で遅延された間接音信号を増幅する第2の増幅器と、入力音声信号のレベルに応じて、第1の増幅器の信号増幅量を制御する第1の音圧制御部と、第1の増幅器で増幅された直接音信号および第2の増幅器で増幅された間接音信号を加算して出力音声信号を得る加算部とを有する、ようにされる。
【0010】
この場合、例えば、第1の音圧制御部は、少なくとも、入力音声信号の第1のレベルより大きなレベル範囲で第1の信号増幅器の信号増幅量を大きくするか、または、入力音声信号の第1のレベルより小さな第2のレベルより小さなレベル範囲で第1の増幅器の信号増幅量を小さくする、ようにされる。
【0011】
また、この場合、例えば、音像制御部は、入力音声信号のレベルに応じて第2の増幅器の信号増幅量を第1の音圧制御部による第1の増幅器の信号増幅量の制御とは逆の特性となるように制御する第2の音圧制御部をさらに有する、ようにされる。
【0012】
また、この場合、例えば、音像制御部は、入力音声信号のレベルに応じて遅延器の信号遅延量を制御する遅延制御部をさらに有する、ようにされる。例えば、遅延制御部は、少なくとも、入力音声信号の第1のレベルより大きなレベル範囲で遅延器の信号遅延量を小さくするか、または、入力音声信号の第1のレベルより小さい第2のレベルより小さなレベル範囲で遅延器の信号遅延量を大きくする、ようにされる。
【0013】
また、本技術において、例えば、音像制御部における入力音声信号に元々含まれる音像の奥行き感の強調の度合いを切り換える切り換え操作部をさらに備える、ようにされる。例えば、携帯ゲーム機などのポータブル機器であるか、あるいは大型のテレビ受信機
であるか等により、想定される聴取者(リスナ)の距離感がある。上述の奥行き感の強調の度合いを切り換える切り換え操作部を備えることで、機器に合った距離感の強調を行うことが可能となる。
【0014】
この場合、例えば、音像制御部は、入力音声信号から直接音信号を抽出する直接音用フィルタと、入力音声信号から間接音信号を抽出する間接音用フィルタと、間接音用フィルタで抽出された間接音信号を遅延させる遅延器と、直接音用フィルタで抽出された直接音信号を増幅する第1の増幅器と、遅延器で遅延された間接音信号を増幅する第2の増幅器と、入力音声信号のレベルに応じて、第1の増幅器の信号増幅量を制御する第1の音圧制御部と、入力音声信号のレベルに応じて第2の増幅器の信号増幅量を第1の音圧制御部による第1の増幅器の信号増幅量の制御とは逆の特性となるように制御する第2の音圧制御部と、入力音声信号のレベルに応じて遅延器の信号遅延量を制御する遅延制御部と、第1の増幅器で増幅された直接音信号および第2の増幅器で増幅された間接音信号を加算して出力音声信号を得る加算部とを有し、切り換え操作部は、第1の音圧制御部、第2の音圧制御部および遅延制御部の制御動作を切り換える、ようにされる。
【0015】
また、本技術において、例えば、音像制御部は、入力音声信号に元々含まれる音像の奥行き感を、入力音声信号のレベルおよび入力音声信号に対応した立体映像を構成する左眼映像および右眼映像の視差情報に基づいて強調制御する、ようにされる。このように視差情報に基づいて強調制御が行われることで、立体映像にマッチしたより一層奥行きのある音像表現が実現可能となる。
【0016】
この場合、例えば、音像制御部は、入力音声信号から直接音信号を抽出する直接音用フィルタと、入力音声信号から間接音信号を抽出する間接音用フィルタと、間接音用フィルタで抽出された間接音信号を遅延させる遅延器と、直接音用フィルタで抽出された直接音信号を増幅する第1の増幅器と、遅延器で遅延された間接音信号を増幅する第2の増幅器と、入力音声信号のレベルおよび視差情報に応じて、第1の増幅器の信号増幅量を制御する第1の音圧制御部と、第1の増幅器で増幅された直接音信号および第2の増幅器で増幅された間接音信号を加算して出力音声信号を得る加算部とを有する、ようにされる。
【0017】
そして、例えば、第1の音圧制御部は、少なくとも、入力音声信号の第1のレベルより大きなレベル範囲で第1の信号増幅器の信号増幅量を視差の大きさに対応した量だけ大きくするか、または、入力音声信号の第1のレベルより小さい第2のレベルより小さなレベル範囲で第1の増幅器の信号増幅量を視差の大きさに対応した量だけ小さくする、ようにされる。
【0018】
また、例えば、音像制御部は、入力音声信号のレベルおよび視差情報に応じて第2の増幅器の信号増幅量を第1の音圧制御部による第1の増幅器の信号増幅量の制御とは逆の特性となるように制御する第2の音圧制御部をさらに有する、ようにされる。
【0019】
また、例えば、音像制御部は、入力音声信号のレベルおよび視差情報に応じて遅延器の信号遅延量を制御する遅延制御部をさらに有する、ようにされる。この場合、例えば、遅延制御部は、少なくとも、入力音声信号の第1のレベルより大きなレベル範囲で遅延器の信号遅延量を視差の大きさに対応した量だけ小さくするか、または、入力音声信号の第1のレベルより小さな第2のレベルより小さな第2のレベルより小さなレベル範囲で遅延器の信号遅延量を視差の大きさに対応した量だけ大きくする、ようにされる。
【0020】
また、本技術において、例えば、音像制御部の出力側に、クロストークキャンセル補正部をさらに備える、ようにされる。このようにクロストークキャンセル補正部を備えることで、2チャネルステレオ音声信号を再生するスピーカ装置においても、ヘッドホン装置と同様に適用可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本技術によれば、元々の音声信号に含まれる音像の距離感をさらに奥行きが出るように強調制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本技術の第1の実施の形態としての音像制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】スピーカ再生による音の伝播の様子を示す図である。
【図3】音像制御装置を構成する音像制御回路の構成例を示すブロック図である。
【図4】音像制御回路を構成する直接音用FIRフィルタ、間接音用FIRフィルタの構成例を示す図である。
【図5】直接音用FIRフィルタで畳み込むための直接音係数データと、間接音用FIRフィルタで畳み込むための間接音係数データの測定方法の一例を説明するための図である。
【図6】直接音用FIRフィルタで畳み込むための直接音係数データと、間接音用FIRフィルタで畳み込むための間接音係数データの測定方法の他の例を説明するための図である。
【図7】音像制御回路を構成する音圧制御部の構成例を示すブロック図である。
【図8】音圧制御部における直接音信号の信号増幅量の制御動作の一例を説明するための図である。
【図9】音圧制御部における間接音信号の信号増幅量の制御動作の一例を説明するための図である。
【図10】音像制御回路を構成する遅延制御部の構成例を示すブロック図である。
【図11】遅延制御部における間接音信号の信号遅延量の制御動作の一例を説明するための図である。
【図12】リスナ(ユーザ)が、音像の奥行き感の強調度合いを切り換える際に表示部に表示されるGUIの一例を示す図である。
【図13】元々の音声信号に含まれる音像の距離感をさらに奥行きが出るように強調制御されるという効果を概略的に示す図である。
【図14】本技術の第2の実施の形態としての音像制御装置の一例を示すブロック図である。
【図15】音像制御装置を構成する音像制御回路の構成例を示すブロック図である。
【図16】音像制御回路を構成する音圧制御部の構成例を示すブロック図である。
【図17】音圧制御部における直接音信号の信号増幅量の制御動作の一例を説明するための図である。
【図18】音圧制御部における間接音信号の信号増幅量の制御動作の一例を説明するための図である。
【図19】音像制御回路を構成する遅延制御部の構成例を示すブロック図である。
【図20】遅延制御部における間接音信号の信号遅延量の制御動作の一例を説明するための図である。
【図21】本技術の第3の実施の形態としての音像制御装置の一例を示すブロック図である。
【図22】スピーカ再生による音の伝播の様子を示し、本来、左側スピーカSPLから放音される音声はリスナMの両方の耳に伝達され、右側スピーカSPRから放音される音声はリスナMの両方の耳に伝達されることを示す図である。
【図23】音像制御装置を構成するクロストークキャンセル補正部の構成例を示すブロック図である。
【図24】音圧制御部における直接音信号の信号増幅量の制御動作の種々の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明を以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.変形例
【0024】
<1.第1の実施の形態>
[音像制御装置の構成例]
図1は、第1の実施の形態としての音像制御装置10の構成例を示している。この音像制御装置10は、2チャネルステレオ音声信号を再生するヘッドホン装置への適用例を示している。この音像制御装置10は、音像制御回路100LLと、音像制御回路100LRと、音像制御回路100RRと、音像制御回路100RLと、加算器120Lと、加算器120Rを有している。
【0025】
図2は、スピーカ再生による音の伝播の様子を示している。左側スピーカSPL、右側スピーカSPRで再生された音は、リスナMの耳での反射や、回折、さらに部屋の反射などが付加された特性となる。左側スピーカSPLで再生された音は、左耳への伝達特性HLLおよび右耳への伝達特性HLRがそれぞれ付加されて、リスナMの両耳に到達する。また、右側スピーカSPRで再生された音は、右耳への伝達特性HRRおよび左耳への伝達特性RLがそれぞれ付加されて、リスナMの両耳に到達する。
【0026】
図1戻って、音像制御回路100LLは、上述の左側スピーカSPLからリスナMの左耳に至る伝達特性HLLを持つフィルタを有し、入力される左音声信号SLに対してフィルタ処理を施し、リスナMの左耳に入力すべき左音声信号SLLを生成する。また、音像制御回路100LRは、上述の左側スピーカSPLからリスナMの右耳に至る伝達特性HLRを持つフィルタを有し、入力される左音声信号SLに対してフィルタ処理を施し、リスナMの右耳に入力すべき左音声信号SLRを生成する。
【0027】
また、音像制御回路100RRは、上述の右側スピーカSPRからリスナMの右耳に至る伝達特性HRRを持つフィルタを有し、入力される右音声信号SRに対してフィルタ処理を施し、リスナMの右耳に入力すべき右音声信号SRRを生成する。また、音像制御回路100RLは、上述の左側スピーカSPRからリスナMの左耳に至る伝達特性HRLを持つフィルタを有し、入力される右音声信号SRに対してフィルタ処理を施し、リスナMの左耳に入力すべき右音声信号SRLを生成する。
【0028】
なお、音像制御回路100LL,100LR,100RR,100RLは、上述のフィルタ処理の他に、入力音声信号のレベルに応じて、音像制御処理を行う。この音像制御処理は、直接音信号の信号増幅量の制御、間接音信号の信号増幅量の制御、間接音信号の信号遅延量の制御などである。
【0029】
加算器120Lは、音像制御回路100LLで生成される左音声信号SLLに、音像制御回路100RLで生成される右音声信号SRLを加算して、図示しないヘッドホンの左側スピーカに供給すべき左音声信号SL′を得る。また、加算器120Rは、音像制御回路100RRで生成される右音声信号SRRに、音像制御回路100LRで生成される左音声信号SLRを加算して、図示しないヘッドホンの右側スピーカに供給すべき右音声信号SR′を得る。
【0030】
図1に示す音像制御装置10の動作を簡単に説明する。左音声信号SLは、音像制御回路100LLおよび音像制御回路100LRに供給される。音像制御回路100LLでは、左音声信号SLに対してフィルタ処理が施され、さらに入力音声信号レベルに基づいて音像制御処理が施されて、リスナMの左耳に入力すべき左音声信号SLLが生成される。また、音像制御回路100LRでは、左音声信号SLに対してフィルタ処理が施され、さらに入力音声信号レベルに基づいて音像制御処理が施されて、リスナMの右耳に入力すべき左音声信号SLRが生成される。
【0031】
また、右音声信号SRは、音像制御回路100RRおよび音像制御回路100RLに供給される。音像制御回路100RRでは、右音声信号SRに対してフィルタ処理が施され、さらに入力音声信号レベルに基づいて音像制御処理が施されて、リスナMの右耳に入力すべき右音声信号SRRが生成される。また、音像制御回路100RLでは、右音声信号SRに対してフィルタ処理が施され、さらに入力音声信号レベルに基づいて音像制御処理が施されて、リスナMの左耳に入力すべき右音声信号SRLが生成される。
【0032】
音像制御回路100LLで生成された左音声信号SLLおよび音像制御回路100RLで生成された右音声信号SRLは加算器120Lに供給される。この加算器120Lでは、左音声信号SLLに右音声信号SRLが加算されて、ヘッドホンの左側スピーカに供給すべき左音声信号SL′が得られる。また、音像制御回路100RRで生成された右音声信号SRRおよび音像制御回路100LRで生成された左音声信号SLRは加算器120Rに供給される。この加算器120Rでは、右音声信号SRRに左音声信号SLRが加算されて、ヘッドホンの右側スピーカに供給すべき右音声信号SR′が得られる。
【0033】
図3は、音像制御回路100(100LL,100LR,100RR,100RL)の構成例を示している。この音像制御回路100は、制御部101と、ユーザ操作部102と、表示部103を有している。また、この音像制御回路100は、直接音用FIR(Finite Impulse Response)フィルタ111と、間接音用FIRフィルタ112を有している。また、この音像制御回路100は、遅延器113と、増幅器114,115と、音圧制御部116,117と、遅延制御部118と、加算器119を有している。
【0034】
制御部101は、例えば、マイクロコンピュータを備えてなり、音像制御回路100の各部の動作を制御する。ユーザ操作部102および表示部103は、ユーザインタフェースを構成しており、制御部101に接続されている。
【0035】
直接音用FIRフィルタ111は、入力音声信号SAから直接音信号を生成するためのフィルタである。また、間接音用FIRフィルタ112は、入力音声信号SAから間接音信号を生成するためのフィルタである。図4は、これらのフィルタ111,112を構成するFIRフィルタの構成例を示している。FIRフィルタは、図示のように、乗算器と、遅延器と、加算器等の演算器により構成されている。演算器の数は、係数データのサンプル分だけ必要となる。
【0036】
ここで、図5を参照して、直接音用FIRフィルタ111で畳み込むための直接音係数データと、間接音用FIRフィルタ112で畳み込むための間接音係数データの測定方法の一例を説明する。この測定方法においては、ある残響を有する視聴室において、スピーカSPからリスナMの耳介の外耳道入口に設置したマイクロホンまでのインパルス応答を取得する。このインパルス応答を初期データと後期データに分け、初期データを直接音係数データとし、後期データを間接音係数データとする。
【0037】
次に、図6を参照して、直接音用FIRフィルタ111で畳み込むための直接音係数データと、間接音用FIRフィルタ112で畳み込むための間接音係数データの測定方法の他の例を説明する。この測定方法においては、図6(a)に示すように、残響を有しない無響室において、スピーカSPからリスナMの耳介の外耳道入口に設置したマイクロホンまでのインパルス応答を取得する。このインパルス応答を直接音係数データとする。また、この測定方法においては、図6(b)に示すように、ある残響を有する視聴室において、スピーカSPから視聴位置の置かれたマイクロホンMICまでのインパルス応答を取得する。このインパルス応答を間接音係数データとする。
【0038】
図3に戻って、遅延器113は、間接音用フィルタ112で生成される間接音信号を、遅延制御部118からの信号遅延量を示す音像制御パラメータに基づいて、遅延させる。また、増幅器114は、直接音用FIRフィルタ111で生成される直接音信号を、音圧制御部116からの信号増幅量を示す音像制御パラメータに基づいて、増幅する。また、増幅器115は、遅延器113で遅延処理された間接音信号を、音圧制御部117からの信号増幅量を示す音像制御パラメータに基づいて、増幅する。加算器119は、増幅器114で増幅処理された直接音信号と増幅器115で増幅処理された間接音信号とを加算して出力音声信号SA′を得る。
【0039】
図7は、音圧制御部120(音圧制御部116、音圧制御部117)の構成例を示している。この音圧制御部120は、レベル検出部121と、信号増幅量算出部122を有している。レベル検出部121は、入力音声信号SAのレベルを検出する。信号増幅量算出部122は、レベル検出部121で検出された入力音声信号SAのレベルに応じた信号増幅量を算出し、その信号増幅量を示す音像制御パラメータを出力する。
【0040】
図8(a),(b)は、音圧制御部116における直接音信号の信号増幅量の制御動作の一例を示している。すなわち、音圧制御部116は、入力音声信号SAのレベルが所定レベル範囲にある中間レベル範囲((2)の範囲)では、直接音信号の信号増幅量を、例えば「Ac」とする。
【0041】
これに対して、音圧制御部116は、中間レベル範囲の上端の第1のレベルより大きなレベル範囲((1)の範囲)では、直接音信号の信号増幅量を、例えば「Ac」より大きな「Ah」とする。この制御により、入力音声信号SAのレベルが大きなことで元々近くに感じられていた音像がより近くに感じられるようになり、音像の奥行き感が強調される。
【0042】
また、音圧制御部116は、中間レベル範囲の下端の第2のレベルより小さなレベル範囲((3)の範囲)では、直接音信号の信号増幅量を、例えば「Ac」より小さな「Al」とする。この制御により、入力音声信号SAのレベルが小さいことで元々遠くに感じられていた音像がより遠くに感じられるようになり、音像の奥行き感が強調される。
【0043】
なお、リスナは、ユーザ操作部102の操作により、音像の奥行き感の強調度合いを間欠的に複数段階に、あるいは連続的に切り換え可能とされる。例えば、携帯ゲーム機などのポータブル機器であるか、あるいは大型のテレビ受信機であるか等により、想定されるリスナの距離感がある。リスナは、音像の奥行き感の強調の度合いを切り換えることで、機器に合った距離感の強調を行うことが可能となる。
【0044】
図8(a),(b)は、2段階の切り換え例を示している。すなわち、図8(a)は、中間レベル範囲の信号増幅量「Ac」に対する、高レベル範囲の信号増幅量「Ah」、低レベル範囲の信号増幅量「Al」の変化量が大きくされており、奥行き感の強調度合いが高くなる。また、図8(b)は、中間レベル範囲の信号増幅量「Ac」に対する、高レベル範囲の信号増幅量「Ah」、低レベル範囲の信号増幅量「Al」の変化量が小さくされており、奥行き感の強調度合いが小さくなる。
【0045】
図9(a),(b)は、音圧制御部117における間接音信号の信号増幅量の制御動作の一例を示している。この音圧制御部117では、上述の音圧制御部116の信号増幅量の制御とは逆の特性となるように、信号増幅量の制御が行われる。音圧制御部117は、入力音声信号SAのレベルが所定レベル範囲にある中間レベル範囲((2)の範囲)では、間接音信号の信号増幅量を、例えば「Ac」とする。
【0046】
これに対して、音圧制御部117は、中間レベル範囲の上端の第1のレベルより大きなレベル範囲((1)の範囲)では、間接音信号の信号増幅量を、例えば「Ac」より小さな「Ah」とする。この制御により、入力音声信号SAのレベルが大きなことで元々近くに感じられていた音像がより近くに感じられるようになり、音像の奥行き感が強調される。
【0047】
また、音圧制御部117は、中間レベル範囲の下端の第2のレベルより小さなレベル範囲((3)の範囲)では、間接音信号の信号増幅量を、例えば「Ac」より大きな「Al」とする。この制御により、入力音声信号SAのレベルが小さいことで元々遠くに感じられていた音像がより遠くに感じられるようになり、音像の奥行き感が強調される。
【0048】
なお、リスナは、ユーザ操作部102の操作により、音像の奥行き感の強調度合いを間欠的に複数段階に、あるいは連続的に切り換え可能とされる。例えば、携帯ゲーム機などのポータブル機器であるか、あるいは大型のテレビ受信機であるか等により、想定されるリスナの距離感がある。リスナは、音像の奥行き感の強調の度合いを切り換えることで、機器に合った距離感の強調を行うことが可能となる。
【0049】
図9(a),(b)は、2段階の切り換え例を示している。すなわち、図9(a)は、中間レベル範囲の信号増幅量「Ac」に対する、高レベル範囲の信号増幅量「Ah」、低レベル範囲の信号増幅量「Al」の変化量が大きくされており、奥行き感の強調度合いが高くなる。また、図9(b)は、中間レベル範囲の信号増幅量「Ac」に対する、高レベル範囲の信号増幅量「Ah」、低レベル範囲の信号増幅量「Al」の変化量が小さくされており、奥行き感の強調度合いが小さくなる。
【0050】
図10は、遅延制御部118の構成例を示している。この遅延制御部118は、レベル検出部131と、信号遅延量算出部132を有している。レベル検出部131は、入力音声信号SAのレベルを検出する。信号遅延量算出部132は、レベル検出部131で検出された入力音声信号SAのレベルに応じた信号遅延量を算出し、その信号遅延量を示す音像制御パラメータを出力する。
【0051】
図11(a),(b)は、遅延制御部118における間接音信号の信号遅延量の制御動作の一例を示している。すなわち、遅延制御部118は、入力音声信号SAのレベルが所定の幅を持つ中間レベル範囲((2)の範囲)では、間接音信号の信号遅延量を、例えば「Dc」とする。
【0052】
これに対して、遅延制御部118は、中間レベル範囲の上端の第1のレベルより大きなレベル範囲((1)の範囲)では、間接音信号の信号遅延量を、例えば「Dc」より小さな「Dh」とする。この制御により、入力音声信号SAのレベルが大きなことで元々近くに感じられていた音像がより近くに感じられるようになり、音像の奥行き感が強調される。
【0053】
また、遅延制御部118は、中間レベル範囲の下端の第2のレベルより小さなレベル範囲((3)の範囲)では、間接音信号の信号遅延量を、例えば「Dc」より大きな「Dl」とする。この制御により、入力音声信号SAのレベルが小さいことで元々遠くに感じられていた音像がより遠くに感じられるようになり、音像の奥行き感が強調される。
【0054】
なお、リスナは、ユーザ操作部102の操作により、音像の奥行き感の強調度合いを間欠的に複数段階に、あるいは連続的に切り換え可能とされる。例えば、携帯ゲーム機などのポータブル機器であるか、あるいは大型のテレビ受信機であるか等により、想定されるリスナの距離感がある。リスナは、音像の奥行き感の強調の度合いを切り換えることで、機器に合った距離感の強調を行うことが可能となる。
【0055】
図11(a),(b)は、2段階の切り換え例を示している。すなわち、図11(a)は、中間レベル範囲の信号遅延量「Dc」に対する、高レベル範囲の信号遅延量「Dh」、低レベル範囲の信号遅延量「Dl」の変化量が大きくされており、奥行き感の強調度合いが高くなる。また、図11(b)は、中間レベル範囲の信号遅延量「Dc」に対する、高レベル範囲の信号遅延量「Dh」、低レベル範囲の信号遅延量「Dl」の変化量が小さくされており、奥行き感の強調度合いが小さくなる。
【0056】
図12は、リスナ(ユーザ)が、音像の奥行き感の強調度合いを切り換える際に、表示部103に表示されるGUI(Graphical User Interface)の一例を示している。リスナは、このGUIを用いて、視聴距離、ディスプレイの大きさ、立体映像(3D映像)における3D効果の強さなどを入力する。この入力内容に応じて、制御部101は、音像の奥行き感の強調度合いの切り換えを行う。例えば、ディスプレイの大きさが大きくなる程強調度合いを大きくする。また、例えば、視聴距離が大きくなる程強調度合いを大きくする。
【0057】
図3に示す音像制御回路100の動作を説明する。入力音声信号SAは、直接音用FIRフィルタ111、間接音用FIRフィルタ112、音圧制御部116,117および遅延制御部118に供給される。直接音用FIRフィルタ111では、入力音声信号SAに対してフィルタ処理が施されて、つまり入力音声信号SAに直接音係数データが畳み込まれて、直接音信号が生成される。この直接音信号は増幅器114に入力される。
【0058】
音圧制御部116では、入力音声信号SAのレベルが検出され、その検出レベルに応じた信号増幅量が算出され(図8(a)、(b)参照)、その信号増幅量を示す音像制御パラメータが出力される。この音像制御パラメータは、増幅器114に供給される。増幅器114では、直接音用FIRフィルタ111で生成される直接音信号が、音圧制御部116からの信号増幅量を示す音像制御パラメータに基づいて、増幅される。
【0059】
また、間接音用FIRフィルタ112では、入力音声信号SAに対してフィルタ処理が施されて、つまり入力音声信号SAに間接音係数データが畳み込まれて、間接音信号が生成される。この間接音信号は遅延器113に入力される。
【0060】
遅延制御部118では、入力音声信号SAのレベルが検出され、その検出レベルに応じた信号遅延量が算出され(図11(a)、(b)参照)、その信号遅延量を示す音像制御パラメータが出力される。この音像制御パラメータは、遅延器113に供給される。遅延器113では、間接音用FIRフィルタ112で生成される間接音信号が、遅延制御部118からの信号遅延量を示す音像制御パラメータに基づいて、遅延される。
【0061】
遅延器113で遅延処理された間接音信号は、増幅器115に供給される。音圧制御部117では、入力音声信号SAのレベルが検出され、その検出レベルに応じた信号増幅量が算出され(図9(a)、(b)参照)、その信号増幅量を示す音像制御パラメータが出力される。この音像制御パラメータは、増幅器115に供給される。増幅器115では、遅延器113からの間接音信号が、音圧制御部117からの信号増幅量を示す音像制御パラメータに基づいて、増幅される。
【0062】
増幅器114で増幅処理された直接音信号は加算器119に供給される。また、増幅器115で増幅処理された間接音信号は加算器119に供給される。加算器119では、直接音信号と間接音信号とが加算されて、出力音声信号SA′が得られる。
【0063】
上述したように、図1に示す音像制御装置10において、音像制御回路100(100LL,100LR,100RR,100RL)では、直接音信号に関して、以下の制御が行われる。すなわち、入力音声信号SAのレベルに応じて、高レベル範囲では中間レベル範囲と比べて信号増幅量が大きくされ、低レベル範囲では中間レベル範囲と比べて信号増幅量が小さくされる。
【0064】
また、この音像制御回路100では、間接音信号に関して、入力音声信号SAのレベルに応じて、高レベル範囲では中間レベル範囲と比べて信号増幅量が小さくされ、低レベル範囲では中間レベル範囲と比べて信号増幅量が大きくされる。さらに、この音像制御回路100では、間接音信号に関して、入力音声信号SAのレベルに応じて、高レベル範囲では中間レベル範囲と比べて信号遅延量が小さくされ、低レベル範囲では中間レベル範囲と比べて信号遅延量が大きくされる。
【0065】
そのため、この制御により、入力音声信号SAのレベルが大きなことで元々近くに感じられていた音像がより近くに感じられるようになり、また、入力音声信号SAのレベルが小さいことで元々遠くに感じられていた音像がより遠くに感じられるようになる。したがって、元々の音声信号に含まれる音像の距離感をさらに奥行きが出るように強調制御することができる。例えば、図13(a)は元々の音声信号による音像の表現範囲を概略的に示し、図13(b)は元々の音声信号に含まれる音像の距離感をさらに奥行きが出るように強調制御した後の音像の表現範囲を概略的に示している。
【0066】
<2.第2の実施の形態>
[音像制御装置の構成例]
図14は、第2の実施の形態としての音像制御装置20の構成例を示している。この音像制御装置20は、2チャネルステレオ音声信号を再生するヘッドホン装置への適用例を示している。この音像制御装置20は、音像制御回路200LLと、音像制御回路200LRと、音像制御回路200RRと、音像制御回路200RLと、加算器220Lと、加算器220Rを有している。
【0067】
音像制御回路200LLは、左側スピーカSPLからリスナMの左耳に至る伝達特性HLLを持つフィルタを有し(図2参照)、入力される左音声信号SLに対してフィルタ処理を施し、リスナMの左耳に入力すべき左音声信号SLLを生成する。また、音像制御回路200LRは、左側スピーカSPLからリスナMの右耳に至る伝達特性HLRを持つフィルタを有し(図2参照)、入力される左音声信号SLに対してフィルタ処理を施し、リスナMの右耳に入力すべき左音声信号SLRを生成する。
【0068】
また、音像制御回路200RRは、右側スピーカSPRからリスナMの右耳に至る伝達特性HRRを持つフィルタを有し(図2参照)、入力される右音声信号SRに対してフィルタ処理を施し、リスナMの右耳に入力すべき右音声信号SRRを生成する。また、音像制御回路100RLは、左側スピーカSPRからリスナMの左耳に至る伝達特性HRLを持つフィルタを有し(図2参照)、入力される右音声信号SRに対してフィルタ処理を施し、リスナMの左耳に入力すべき右音声信号SRLを生成する。
【0069】
なお、音像制御回路200LL,200LR,200RR,200RLは、上述のフィルタ処理の他に、入力音声信号のレベル、および立体映像を構成する左眼画像および右眼画像の視差情報に応じて、音像制御処理を行う。この音像制御処理は、直接音信号の信号増幅量の制御、間接音信号の信号増幅量の制御、間接音信号の信号遅延量の制御などである。
【0070】
加算器220Lは、音像制御回路200LLで生成される左音声信号SLLに、音像制御回路200RLで生成される右音声信号SRLを加算して、図示しないヘッドホンの左側スピーカに供給すべき左音声信号SL′を得る。また、加算器220Rは、音像制御回路200RRで生成される右音声信号SRRに、音像制御回路200LRで生成される左音声信号SLRを加算して、図示しないヘッドホンの右側スピーカに供給すべき右音声信号SR′を得る。
【0071】
図14に示す音像制御装置20の動作を簡単に説明する。左音声信号SLは、音像制御回路200LLおよび音像制御回路200LRに供給される。この音像制御回路200LLおよび音像制御回路200LRには、左眼映像信号および右眼映像信号を含む映像信号SVも供給される。音像制御回路200LLでは、左音声信号SLに対してフィルタ処理が施され、さらに入力音声信号レベルと、左眼映像および右眼映像の視差情報とに基づいて音像制御処理が施されて、リスナMの左耳に入力すべき左音声信号SLLが生成される。また、音像制御回路200LRでは、左音声信号SLに対してフィルタ処理が施され、さらに入力音声信号レベルと、左眼映像および右眼映像の視差情報とに基づいて音像制御処理が施されて、リスナMの右耳に入力すべき左音声信号SLRが生成される。
【0072】
また、右音声信号SRは、音像制御回路200RRおよび音像制御回路200RLに供給される。この音像制御回路200RRおよび音像制御回路200RLには、左眼映像信号および右眼映像信号を含む映像信号SVも供給される。音像制御回路200RRでは、右音声信号SRに対してフィルタ処理が施され、さらに入力音声信号レベルと、左眼映像および右眼映像の視差情報とに基づいて音像制御処理が施されて、リスナMの右耳に入力すべき右音声信号SRRが生成される。また、音像制御回路200RLでは、右音声信号SRに対してフィルタ処理が施され、さらに入力音声信号レベルと、左眼映像および右眼映像の視差情報とに基づいて音像制御処理が施されて、リスナMの左耳に入力すべき右音声信号SRLが生成される。
【0073】
音像制御回路200LLで生成された左音声信号SLLおよび音像制御回路200RLで生成された右音声信号SRLは加算器220Lに供給される。この加算器220Lでは、左音声信号SLLに右音声信号SRLが加算されて、ヘッドホンの左側スピーカに供給すべき左音声信号SL′が得られる。また、音像制御回路200RRで生成された右音声信号SRRおよび音像制御回路200LRで生成された左音声信号SLRは加算器220Rに供給される。この加算器220Rでは、右音声信号SRRに左音声信号SLRが加算されて、ヘッドホンの右側スピーカに供給すべき右音声信号SR′が得られる。
【0074】
図15は、音像制御回路200(200LL,200LR,200RR,200RL)の構成例を示している。この図15において、図3と対応する部分には同一符号を付し、適宜、その詳細説明を省略する。この音像制御回路200は、制御部101と、ユーザ操作部102と、表示部103を有している。また、この音像制御回路200は、直接音用FIRフィルタ111と、間接音用FIRフィルタ112と、遅延器113と、増幅器114,115と、音圧制御部216,217と、遅延制御部218と、加算器119を有している。
【0075】
遅延器113は、間接音用フィルタ112で生成される間接音信号を、遅延制御部218からの信号遅延量を示す音像制御パラメータに基づいて、遅延させる。また、増幅器114は、直接音用FIRフィルタ111で生成される直接音信号を、音圧制御部216からの信号増幅量を示す音像制御パラメータに基づいて、増幅する。また、増幅器115は、遅延器113で遅延処理された間接音信号を、音圧制御部217からの信号増幅量を示す音像制御パラメータに基づいて、増幅する。
【0076】
図16は、音圧制御部220(音圧制御部116、音圧制御部117)の構成例を示している。この音圧制御部220は、レベル検出部221と、信号増幅量算出部222と、映像視差検出部221を有している。レベル検出部221は、入力音声信号SAのレベルを検出する。映像視差検出部223は、立体映像信号SVに含まれる左眼映像信号および右眼映像信号に基づいて、左眼映像および右眼映像の視差情報を検出する。信号増幅量算出部222は、レベル検出部221で検出された入力音声信号SAのレベルおよび映像視差検出部223で検出された視差情報に応じた信号増幅量を算出し、その信号増幅量を示す音像制御パラメータを出力する。
【0077】
図17は、音圧制御部216における直接音信号の信号増幅量の制御動作の一例を示している。すなわち、音圧制御部216は、入力音声信号SAのレベルが所定レベル範囲にある中間レベル範囲(図17の(2)の範囲)では、直接音信号の信号増幅量を、例えば「Ac」とする。
【0078】
これに対して、音圧制御部216は、中間レベル範囲の上端の第1のレベルより大きなレベル範囲(図17の(1)の範囲)では、直接音信号の信号増幅量を、例えば「Ac」より大きな「Ah」とする。この制御により、入力音声信号SAのレベルが大きなことで元々近くに感じられていた音像がより近くに感じられるようになり、音像の奥行き感が強調される。
【0079】
また、音圧制御部216は、中間レベル範囲の下端の第2のレベルより小さなレベル範囲(図17の(3)の範囲)では、直接音信号の信号増幅量を、例えば「Ac」より小さな「Al」とする。この制御により、入力音声信号SAのレベルが小さいことで元々遠くに感じられていた音像がより遠くに感じられるようになり、音像の奥行き感が強調される。
【0080】
また、音圧制御部216は、視差(絶対値)が大きいとき、つまり立体映像のオブジェクトの奥行き方向位置としてスクリーン位置に対して手前にも奥にも大きく離れるものがある場合には(図17の(4)位置参照)、以下のように制御する。すなわち、中間レベル範囲の信号増幅量「Ac」に対する、高レベル範囲の信号増幅量「Ah」、低レベル範囲の信号増幅量「Al」の変化量を大きくする。この制御により、手前と奥に大きく立体視させる映像の場合、奥行き感の強調度合いは大きくなる。
【0081】
また、音圧制御部216は、視差(絶対値)が小さいとき、つまり立体映像のオブジェクトの奥行き方向位置がスクリーン位置に対して手前にも奥にもそれほど離れない場合には(図17の(5)位置参照)、以下のように制御する。すなわち、中間レベル範囲の信号増幅量「Ac」に対する、高レベル範囲の信号増幅量「Ah」、低レベル範囲の信号増幅量「Al」の変化量を小さくする。この制御により、それほど立体視しない映像の場合、奥行き感の強調度合いは小さくなる。
【0082】
図18は、音圧制御部217における間接音信号の信号増幅量の制御動作の一例を示している。この音圧制御部217では、上述の音圧制御部216の信号増幅量の制御とは逆の特性となるように、信号増幅量の制御が行われる。音圧制御部217は、入力音声信号SAのレベルが所定のレベル範囲にある中間レベル範囲(図18の(2)の範囲)では、間接音信号の信号増幅量を、例えば「Ac」とする。
【0083】
これに対して、音圧制御部217は、中間レベル範囲の上端の第1のレベルより大きなレベル範囲(図18の(1)の範囲)では、間接音信号の信号増幅量を、例えば「Ac」より小さな「Ah」とする。この制御により、入力音声信号SAのレベルが大きなことで元々近くに感じられていた音像がより近くに感じられるようになり、音像の奥行き感が強調される。
【0084】
また、音圧制御部217は、中間レベル範囲の下端の第2のレベルより小さなレベル範囲(図18の(3)の範囲)では、間接音信号の信号増幅量を、例えば「Ac」より大きな「Al」とする。この制御により、入力音声信号SAのレベルが小さいことで元々遠くに感じられていた音像がより遠くに感じられるようになり、音像の奥行き感が強調される。
【0085】
また、音圧制御部217は、視差(絶対値)が小さいとき、つまり立体映像のオブジェクトの奥行き方向位置としてスクリーン位置に対して手前にも奥にも大きく離れるものがある場合には(図18の(4)位置参照)、以下のように制御する。すなわち、音圧制御部217は、中間レベル範囲の信号増幅量「Ac」に対する、高レベル範囲の信号増幅量「Ah」、低レベル範囲の信号増幅量「Al」の変化量を大きくする。この制御により、手前と奥に大きく立体視させる映像の場合、奥行き感の強調度合いは大きくなる。
【0086】
また、音圧制御部217は、視差(絶対値)が小さいとき、つまり立体映像のオブジェクトの奥行き方向位置がスクリーン位置に対して手前にも奥にもそれほど離れない場合には(図18の(5)位置参照)、以下のように制御する。すなわち、中間レベル範囲の信号増幅量「Ac」に対する、高レベル範囲の信号増幅量「Ah」、低レベル範囲の信号増幅量「Al」の変化量を小さくする。この制御により、それほど立体視しない映像の場合、奥行き感の強調度合いは小さくなる。
【0087】
図19は、遅延制御部218の構成例を示している。この遅延制御部218は、レベル検出部231と、信号遅延量算出部232と、映像視差検出部233を有している。レベル検出部231は、入力音声信号SAのレベルを検出する。映像視差検出部233は、上述の音圧制御部200の映像視差検出部223と同様に、立体映像信号SVに含まれる左眼映像信号および右眼映像信号に基づいて、左眼映像および右眼映像の視差情報を検出する。信号遅延量算出部232は、レベル検出部231で検出された入力音声信号SAのレベルおよび映像視差検出部233で検出された視差情報に応じた信号遅延量を算出し、その信号遅延量を示す音像制御パラメータを出力する。
【0088】
図20は、遅延制御部218における間接音信号の信号遅延量の制御動作の一例を示している。すなわち、遅延制御部218は、入力音声信号SAのレベルが所定の幅を持つ中間レベル範囲(図20の(2)の範囲)では、間接音信号の信号遅延量を、例えば「Dc」とする。
【0089】
これに対して、遅延制御部218は、中間レベル範囲の上端の第1のレベルより大きなレベル範囲(図20の(1)の範囲)では、間接音信号の信号遅延量を、例えば「Dc」より小さな「Dh」とする。この制御により、入力音声信号SAのレベルが大きなことで元々近くに感じられていた音像がより近くに感じられるようになり、音像の奥行き感が強調される。
【0090】
また、遅延制御部218は、中間レベル範囲の下端の第2のレベルより小さなレベル範囲(図20の(3)の範囲)では、間接音信号の信号遅延量を、例えば「Dc」より大きな「Dl」とする。この制御により、入力音声信号SAのレベルが小さいことで元々遠くに感じられていた音像がより遠くに感じられるようになり、音像の奥行き感が強調される。
【0091】
また、遅延制御部218は、視差(絶対値)が大きいとき、つまり立体映像のオブジェクトの奥行き方向位置としてスクリーン位置に対して手前にも奥にも大きく離れるものがある場合には(図20の(4)位置参照)、以下のように制御する。すなわち、中間レベル範囲の信号遅延量「Dc」に対する、高レベル範囲の信号遅延量「Dh」、低レベル範囲の信号遅延量「Dl」の変化量を大きくする。この制御により、手前と奥に大きく立体視させる映像の場合、奥行き感の強調度合いは大きくなる。
【0092】
また、遅延制御部218は、視差(絶対値)が小さいとき、つまり立体映像のオブジェクトの奥行き方向位置がスクリーン位置に対して手前にも奥にもそれほど離れない場合には(図20の(5)位置参照)、以下のように制御する。すなわち、中間レベル範囲の信号遅延量「Dc」に対する、高レベル範囲の信号遅延量「Dh」、低レベル範囲の信号遅延量「Dl」の変化量を小さくする。この制御により、それほど立体視しない映像の場合、奥行き感の強調度合いは小さくなる。
【0093】
図15に示す音像制御回路200の動作を説明する。入力音声信号SAは、直接音用FIRフィルタ111、間接音用FIRフィルタ112、音圧制御部216,217および遅延制御部218に供給される。また、左眼映像信号および右眼映像信号を含む立体映像信号SVは、音圧制御部216,217および遅延制御部218に供給される。
【0094】
直接音用FIRフィルタ111では、入力音声信号SAに対してフィルタ処理が施されて、つまり入力音声信号SAに直接音係数データが畳み込まれて、直接音信号が生成される。この直接音信号は増幅器114に入力される。音圧制御部216では、入力音声信号SAのレベルが検出され、さらに左眼画像および右眼画像の視差情報が検出される。そして、この音圧制御部216では、それらの検出情報に基づいて信号増幅量が算出され(図17参照)、その信号増幅量を示す音像制御パラメータが出力される。
【0095】
このように音圧制御部216から出力される音像制御パラメータは、増幅器114に供給される。この増幅器114では、直接音用FIRフィルタ111で生成される直接音信号が、音圧制御部216からの信号増幅量を示す音像制御パラメータに基づいて、増幅される。
【0096】
また、間接音用FIRフィルタ112では、入力音声信号SAに対してフィルタ処理が施されて、つまり入力音声信号SAに間接音係数データが畳み込まれて、間接音信号が生成される。この間接音信号は遅延器113に入力される。遅延制御部218では、入力音声信号SAのレベルが検出され、さらに左眼画像および右眼画像の視差情報が検出される。そして、この遅延制御部218では、それらの検出情報に基づいて信号遅延量が算出され(図20参照)、その信号遅延量を示す音像制御パラメータが出力される。
【0097】
このように遅延制御部218から出力される音像制御パラメータは、遅延器113に供給される。この遅延器113では、間接音用FIRフィルタ112で生成される間接音信号が、遅延制御部218からの信号遅延量を示す音像制御パラメータに基づいて、遅延される。
【0098】
遅延器113で遅延処理された間接音信号は、増幅器115に供給される。音圧制御部217では、入力音声信号SAのレベルが検出され、さらに左眼画像および右眼画像の視差情報が検出される。そして、この音圧制御部217では、それらの検出情報に基づいて信号増幅量が算出され(図18参照)、その信号増幅量を示す音像制御パラメータが出力される。
【0099】
このように音圧制御部217から出力される音像制御パラメータは、増幅器115に供給される。この増幅器115では、遅延器113で遅延処理された間接音信号が、音圧制御部117からの信号増幅量を示す音像制御パラメータに基づいて、増幅される。
【0100】
増幅器114で増幅処理された直接音信号は加算器119に供給される。また、増幅器115で増幅処理された間接音信号は加算器119に供給される。加算器119では、直接音信号と間接音信号とが加算されて、出力音声信号SA′が得られる。
【0101】
上述したように、図14に示す音像制御装置20において、音像制御回路200(200LL,200LR,200RR,200RL)では、直接音信号に関して、以下の制御が行われる。すなわち、入力音声信号SAのレベルに応じて、高レベル範囲では中間レベル範囲と比べて信号増幅量が大きくされ、低レベル範囲では中間レベル範囲と比べて信号増幅量が小さくされる。
【0102】
また、この音像制御回路200では、直接音信号に関して、入力音声信号SAのレベルに応じて、高レベル範囲では中間レベル範囲と比べて信号増幅量が小さくされ、低レベル範囲では中間レベル範囲と比べて信号増幅量が大きくされる。さらに、この音像制御回路200では、間接音信号に関して、入力音声信号SAのレベルに応じて、高レベル範囲では中間レベル範囲と比べて信号遅延量が小さくされ、低レベル範囲では中間レベル範囲と比べて信号遅延量が大きくされる。
【0103】
そのため、この制御により、入力音声信号SAのレベルが大きなことで元々近くに感じられていた音像がより近くに感じられるようになり、また、入力音声信号SAのレベルが小さいことで元々遠くに感じられていた音像がより遠くに感じられるようになる。したがって、元々の音声信号に含まれる音像の距離感をさらに奥行きが出るように強調制御することができる。
【0104】
また、図14に示す音像制御装置20において、音像制御回路200では、左眼画像および右眼画像の視差情報に基づいて、奥行き感の強調度合いが制御される。すなわち、視差(絶対値)が大きいとき、つまり立体映像のオブジェクトの奥行き方向位置としてスクリーン位置に対して手前にも奥にも大きく離れるものがある場合には、奥行き感の強調度合いが大きくされる。一方、視差(絶対値)が小さいとき、つまり立体映像のオブジェクトの奥行き方向位置がスクリーン位置に対して手前にも奥にもそれほど離れない場合には、奥行き感の強調度合いは小さくされる。したがって、立体映像にマッチしたより一層奥行きのある音像表現を実現できる。
【0105】
なお、図15に示す音像制御回路200において、音圧制御部216,217および遅延制御部218では、左眼映像信号および右眼映像信号を含む立体映像信号SVから左眼画像および右眼画像の視差情報を得ている。しかし、外部から立体映像信号SVではなく視差情報そのものが供給される構成も考えられる。また、図15に示す音像制御回路200において、音圧制御部216,217および遅延制御部218では、それぞれ別個に視差情報を得るように説明したが、いずれかで視差情報を得るようにし、それを共通に用いるようにしてもよい。
【0106】
また、図15に示す音像制御回路200においては、音像の奥行き感の強調度合いを、視差情報に基づいて、例えば2段階に制御している(図17、図18、図20参照)。しかし、間欠的にさらに多くの段階に、あるいは連続的に強調度合いを変化させることもできる。また、図3に示す音像制御回路100と同様に、リスナによるユーザ操作部102の操作により、音像の奥行き感の強調度合いをさらに調整可能としてもよい。
【0107】
<3.第3の実施の形態>
[音像制御装置の構成例]
図21は、第3の実施の形態としての音像制御装置30の構成例を示している。この音像制御装置30は、2チャネルステレオ音声信号を再生するスピーカ装置への適用例を示している。この音像制御装置30は、音像制御部310と、クロストークキャンセル補正部320を有している。
【0108】
音像制御部310は、詳細説明は省略するが、上述の図1に示す音像制御装置10、あるいは、上述の図14に示す音像制御装置20と同様の構成を持つ。クロストークキャンセル補正部320は、音像制御部310から出力される音声信号SL′,SR′に対してクロストークキャンセル処理を行って、左側スピーカに供給すべき左音声信号SL″および右側スピーカに供給すべき右音声信号SR″を出力する。
【0109】
このクロストークキャンセル処理は、以下のような処理である。すなわち、2つのスピーカの一方から放音される音声がリスナの一方の耳のみに聞こえるように、また、当該2つのスピーカの他方から放音される音声がリスナの他方の耳のみに聞こえるように、反対側の耳に聞こえる音声を打ち消す音声を生成する処理である。
【0110】
図22はスピーカ再生による音の伝播の様子を示している、本来、左側スピーカSPLから放音される音声はリスナMの両方の耳に伝達され、同様に、右側スピーカSPRから放音される音声はリスナMの両方の耳に伝達される。上述したクロストークキャンセル処理を行うことで、左側スピーカSPLから放音され右耳に伝達される音声は打ち消され、また、右側スピーカSPRから放音され左耳に伝達される音声は打ち消される。
【0111】
図23は、クロストークキャンセル補正部320の構成例を示している。このクロストークキャンセル補正部320は、クロストークキャンセル用フィルタ321LL,321LR,321RR,321RLと、加算器322L,322Rを有している。詳細説明は省略するが、各フィルタには、上述したように、左側スピーカSPLから放音され右耳に伝達される音声を打ち消し、右側スピーカSPRから放音され左耳に伝達される音声を打ち消すように、フィルタ係数が設定されている。
【0112】
図21に示す音像制御装置30は、図1、図14に示す音像制御装置10,20と同様の構成を持つ音像制御部310を有するので、音像制御装置10,20と同様の効果を得ることができる。また、この音像制御部310の後段にクロストークキャンセル補正部320が配置され、左側スピーカSPLから放音され右耳に伝達される音声は打ち消され、また、右側スピーカSPRから放音され左耳に伝達される音声は打ち消される。そのため、2チャネルステレオ音声信号を再生するスピーカ装置に良好に適用できる。
【0113】
<4.変形例>
なお、上述実施の形態においては、直接音信号の信号増幅量の制御と、間接音信号の信号増幅量の制御と、間接音信号の信号遅延量の制御とを全て行っているが、必ずしも全ての制御を行う必要はなく、一部の制御のみを行う構成も考えられる。例えば、直接音信号の信号増幅量の制御のみ、あるいは直接音信号の信号増幅量の制御と間接音信号の信号遅延量の制御等である。
【0114】
また、上述実施の形態においては、入力音声信号SAのレベルに応じて、高レベル範囲および低レベル範囲では中間レベル範囲に対して信号増幅量、信号遅延量が変化するように制御されている。しかし、高レベル範囲のみ、あるいは低レベル範囲のみを、中間レベル範囲に対して変化するように制御することも考えられる。また、上述実施の形態においては、中間レベル範囲が比較的広く取られている例を示したが、中間レベル範囲が幅を持たない点であること、つまり上述の第1のレベルおよび第2のレベルが等しい場合も考えられる。
【0115】
例えば、図24は、音圧制御部116、216における直接音信号の信号増幅量の制御動作の種々の例を示している。図24(a)は、高レベル範囲のみ信号増幅量が増加するように制御する例である。図24(b)は、低レベル範囲のみ信号増幅量が低下するように制御する例である。さらに、図24(c)は、中間レベル範囲が幅を持たない点である例を示している。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本技術は、例えば、2チャネルステレオ音声信号を再生するヘッドホン装置、スピーカ装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0117】
10,20,30・・・音声制御装置
100,100LL,100LR,100RR,100RL・・・音声制御回路
101・・・制御部
102・・・ユーザ操作部
103・・・表示部
111・・・直接音用FIRフィルタ
112・・・間接音用FIRフィルタ
113・・・遅延器
114,115・・・増幅器
116,117,120・・・音圧制御部
118・・・遅延制御部
119,120L,120R・・・加算器
121・・・レベル検出部
122・・・信号増幅量算出部
131・・・レベル検出部
132・・・信号遅延量算出部
200,200LL,200LR,200RR,200RL・・・音像制御回路
216,217・・・音圧制御部
218・・・遅延制御部
220L,220R・・・加算器
221・・・レベル検出部
222・・・信号増幅量算出部
223・・・映像視差検出部
231・・・レベル検出部
232・・・信号遅延量算出部
233・・・映像視差検出部
310・・・音像制御部
320・・・クロストークキャンセル補正部
321LL,321LR,321RR,321RL・・・クロストークキャンセル用フィルタ
322L,322R・・・加算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左音声信号および右音声信号を処理して所定位置に音像を定位させる音像制御部を備え、
上記音像制御部は、
入力音声信号に元々含まれる音像の奥行き感を強調制御する
音像制御装置。
【請求項2】
上記音像制御部は、
上記入力音声信号に元々含まれる音像の奥行き感を、上記入力音声信号のレベルに基づいて強調制御する
請求項1に記載の音像制御装置。
【請求項3】
上記音像制御部は、
上記入力音声信号から直接音信号を抽出する直接音用フィルタと、
上記入力音声信号から間接音信号を抽出する間接音用フィルタと、
上記間接音用フィルタで抽出された間接音信号を遅延させる遅延器と、
上記直接音用フィルタで抽出された直接音信号を増幅する第1の増幅器と、
上記遅延器で遅延された間接音信号を増幅する第2の増幅器と、
上記入力音声信号のレベルに応じて、上記第1の増幅器の信号増幅量を制御する第1の音圧制御部と、
上記第1の増幅器で増幅された直接音信号および上記第2の増幅器で増幅された間接音信号を加算して出力音声信号を得る加算部とを有する
請求項2に記載の音像制御装置。
【請求項4】
上記第1の音圧制御部は、少なくとも、上記入力音声信号の第1のレベルより大きなレベル範囲で上記第1の信号増幅器の信号増幅量を大きくするか、または、上記入力音声信号の上記第1のレベルより小さい第2のレベルより小さなレベル範囲で上記第1の増幅器の信号増幅量を小さくする
請求項3に記載の音像制御装置。
【請求項5】
上記音像制御部は、
上記入力音声信号のレベルに応じて上記第2の増幅器の信号増幅量を上記第1の音圧制御部による上記第1の増幅器の信号増幅量の制御とは逆の特性となるように制御する第2の音圧制御部をさらに有する
請求項3に記載の音像制御装置。
【請求項6】
上記音像制御部は、
上記入力音声信号のレベルに応じて上記遅延器の信号遅延量を制御する遅延制御部をさらに有する
請求項3に記載の音像制御装置。
【請求項7】
上記遅延制御部は、少なくとも、上記入力音声信号の第1のレベルより大きなレベル範囲で上記遅延器の信号遅延量を小さくするか、または、上記入力音声信号の上記第1のレベルより小さい第2のレベルより小さなレベル範囲で上記遅延器の信号遅延量を大きくする
請求項6に記載の音像制御装置。
【請求項8】
上記音像制御部における上記入力音声信号に元々含まれる音像の奥行き感の強調の度合いを切り換える切り換え操作部をさらに備える
請求項1に記載の音像制御装置。
【請求項9】
上記音像制御部は、
上記入力音声信号から直接音信号を抽出する直接音用フィルタと、
上記入力音声信号から間接音信号を抽出する間接音用フィルタと、
上記間接音用フィルタで抽出された間接音信号を遅延させる遅延器と、
上記直接音用フィルタで抽出された直接音信号を増幅する第1の増幅器と、
上記遅延器で遅延された間接音信号を増幅する第2の増幅器と、
上記入力音声信号のレベルに応じて、上記第1の増幅器の信号増幅量を制御する第1の音圧制御部と、
上記入力音声信号のレベルに応じて上記第2の増幅器の信号増幅量を上記第1の音圧制御部による上記第1の増幅器の信号増幅量の制御とは逆の特性となるように制御する第2の音圧制御部と、
上記入力音声信号のレベルに応じて上記遅延器の信号遅延量を制御する遅延制御部と、
上記第1の増幅器で増幅された直接音信号および上記第2の増幅器で増幅された間接音信号を加算して出力音声信号を得る加算部とを有し、
上記切り換え操作部は、上記第1の音圧制御部、上記第2の音圧制御部および上記遅延制御部の制御動作を切り換える
請求項8に記載の音像制御装置。
【請求項10】
上記音像制御部は、
上記入力音声信号に元々含まれる音像の奥行き感を、上記入力音声信号のレベルおよび該入力音声信号に対応した立体映像を構成する左眼映像および右眼映像の視差情報に基づいて強調制御する
請求項1に記載の音像制御装置。
【請求項11】
上記音像制御部は、
上記入力音声信号から直接音信号を抽出する直接音用フィルタと、
上記入力音声信号から間接音信号を抽出する間接音用フィルタと、
上記間接音用フィルタで抽出された間接音信号を遅延させる遅延器と、
上記直接音用フィルタで抽出された直接音信号を増幅する第1の増幅器と、
上記遅延器で遅延された間接音信号を増幅する第2の増幅器と、
上記入力音声信号のレベルおよび上記視差情報に応じて、上記第1の増幅器の信号増幅量を制御する第1の音圧制御部と、
上記第1の増幅器で増幅された直接音信号および上記第2の増幅器で増幅された間接音信号を加算して出力音声信号を得る加算部とを有する
請求項10に記載の音像制御装置。
【請求項12】
上記第1の音圧制御部は、少なくとも、上記入力音声信号の第1のレベルより大きなレベル範囲で上記第1の信号増幅器の信号増幅量を視差の大きさに対応した量だけ大きくするか、または、上記入力音声信号の上記第1のレベルより小さな第2のレベルより小さなレベル範囲で上記第1の増幅器の信号増幅量を視差の大きさに対応した量だけ小さくする
請求項11に記載の音像制御装置。
【請求項13】
上記音像制御部は、
上記入力音声信号のレベルおよび上記視差情報に応じて上記第2の増幅器の信号増幅量を上記第1の音圧制御部による上記第1の増幅器の信号増幅量の制御とは逆の特性となるように制御する第2の音圧制御部をさらに有する
請求項11に記載の音像制御装置。
【請求項14】
上記音像制御部は、
上記入力音声信号のレベルおよび上記視差情報に応じて上記遅延器の信号遅延量を制御する遅延制御部をさらに有する
請求項11に記載の音像制御装置。
【請求項15】
上記遅延制御部は、少なくとも、上記入力音声信号の第1のレベルより大きなレベル範囲で上記遅延器の信号遅延量を視差の大きさに対応した量だけ小さくするか、または、上記入力音声信号の上記第1のレベルより小さい第2のレベルより小さなレベル範囲で上記遅延器の信号遅延量を視差の大きさに対応した量だけ大きくする
請求項14に記載の音像制御装置。
【請求項16】
上記音像制御部の出力側に、クロストークキャンセル補正部をさらに備える
請求項1に記載の音像制御装置。
【請求項17】
左音声信号および右音声信号を処理して所定位置に音像を定位させる音像制御方法であって、
入力音声信号のレベルに応じて、該入力音声信号に元々含まれる音像の奥行き感を強調制御する
音像制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−182699(P2012−182699A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44710(P2011−44710)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】