説明

音声再生装置および映像音声再生装置

【課題】外部装置との接続方式によらず、マルチチャンネル音声信号のうちの所望のチャンネルの音声信号の再生を、簡易な構成で実現することが可能な音声再生装置を提供する。
【解決手段】TV装置2内の選択部221において、入力されたマルチチャンネル音声信号A3mのうち、一部のチャンネルの音声信号(センター音声信号)を選択して出力する。また、この選択出力されたセンター音声信号A4Cに基づいて、TV装置2内で音声の再生を行う。これにより、HDMI接続方式以外の他の接続方式を用いた場合においても、簡易な構成により、所望のチャンネルの音声信号の再生を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された音声信号に対して所定の音声信号処理を施して再生する音声再生装置、およびそのような音声信号の再生と共に映像信号の再生(表示)を行う映像音声再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
AV(Audio Visual)アンプを使用した一般のマルチスピーカーシステムでは、HDMI接続(High-Definition Multimedia Interface)および5.1ch(チャンネル)のシステムを例に挙げると、以下のような構成および動作となる。すなわち、信号源から入力されたマルチチャンネル音声信号に基づき、AVアンプおよびその出力側に接続されたスピーカーにおいて、5.1chにおける各チャンネル(Front L,Front R,Rear L,Rear R,Center,Woofer)の音声が再生される。一方、AVアンプに接続されたTV(TeleVision)装置側では、映像の表示のみが行われ、TV装置のスピーカーからは音声が出力されない。
【0003】
このようなマルチスピーカーシステム(映像音声再生システム)では、センタースピーカーの設置場所が取れなくなってしまう場合等を想定して、TV装置のスピーカーをセンタースピーカーの代わりに使用するようにしたものがいくつか提案されている。この場合、センター(Center)音声信号以外のチャンネルの音声信号は、上記した通常のマルチスピーカーシステムと同様に、AVアンプ側のスピーカーにおいて再生されるようになっている。したがって、この場合、AVアンプ側のスピーカーでは、センター音声信号は再生されないことになる。
【0004】
ところが、このようなシステム(センタースピーカーシステム)では、AVアンプ側からセンター音声信号を入力するための専用端子(ピンジャック入力や、スピーカー端子入力)を、HDMI接続端子の他に別途、TV装置側に設ける必要がある。
【0005】
そこで、特許文献1には、他の手法を用いたセンタースピーカーシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−88774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この特許文献1の手法では、AVアンプ内のDSP(Digital Signal Processor)において、マルチチャンネル音声信号のうちのセンター音声信号を選択し、そのセンター音声信号のみをHDMI伝送によって、TV装置側へ出力するようになっている。
【0008】
しかしながら、この手法は、HDMI接続されたTV装置を用いた場合にのみ、実現可能なシステムとなっている。すなわち、HDMI以外の他の接続方式を利用した場合には、やはりセンター音声信号用の専用端子が必要となってしまうという問題があった。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、外部装置との接続方式によらず、マルチチャンネル音声信号のうちの所望のチャンネルの音声信号の再生を、簡易な構成で実現することが可能な音声再生装置および映像音声再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の音声再生装置は、入力されたマルチチャンネル音声信号のうち、一部のチャンネルの音声信号を選択して出力する選択部と、この選択部から出力された一部のチャンネルの音声信号に基づいて、音声の再生を行う再生部とを備えたものである。
を備えた
【0011】
本発明の映像音声再生装置は、上記選択部と、上記再生部と、入力された映像信号に基づいて映像表示を行う表示部とを備えたものである。
【0012】
本発明の音声再生装置および映像音声再生装置では、入力されたマルチチャンネル音声信号のうち、一部のチャンネルの音声信号が選択して出力され、この一部のチャンネルの音声信号に基づいて音声の再生が行われる。これにより、外部の他の音声再生装置(例えば、AVアンプおよびマルチチャンネル対応の複数のスピーカー)において選択出力された一部のチャンネルの音声信号を入力して音声再生を行う従来の手法とは異なり、HDMI接続方式以外の他の接続方式を用いた場合においても、所望のチャンネルの音声信号の再生が可能となる。また、HDMI接続用の端子と所望のチャンネルの音声信号の伝送用の専用端子との両方を設ける必要がないため、簡易な構成で実現される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の音声再生装置および映像音声再生装置によれば、入力されたマルチチャンネル音声信号のうち、一部のチャンネルの音声信号を選択して出力すると共に、この一部のチャンネルの音声信号に基づいて音声の再生を行うようにしたので、HDMI接続方式以外の他の接続方式を用いた場合においても、簡易な構成により、所望のチャンネルの音声信号の再生を行うことができる。よって、外部装置との接続方式によらず、マルチチャンネル音声信号のうちの所望のチャンネルの音声信号の再生を、簡易な構成で実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る映像音声再生システムの全体構成を表すブロック図である。
【図2】比較例1に係る映像音声再生システムの全体構成を表すブロック図である。
【図3】比較例2に係る映像音声再生システムの全体構成を表すブロック図である。
【図4】比較例3に係る映像音声再生システムの全体構成を表すブロック図である。
【図5】本発明の変形例1に係る映像音声再生システムの全体構成を表すブロック図である。
【図6】本発明の変形例2に係る映像音声再生システムの全体構成を表すブロック図である。
【図7】本発明の変形例3に係る映像音声再生システムの全体構成を表すブロック図である。
【図8】本発明の変形例4に係る音声再生システムの全体構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(マルチチャンネル信号のうちのセンター信号を選択して再生する例)
2.変形例
変形例1(マルチチャンネル信号を基に他の音声出力端子へも音声を出力する例)
変形例2(デジタル放送信号に基づくマルチチャンネル信号を利用する例)
変形例3(センター信号以外の他のチャンネルの信号を選択して再生する例)
変形例4(映像表示を行わない音声再生システムへの適用例)
【0016】
<1.実施の形態>
[映像音声再生システムの全体構成例]
図1は、本発明の一実施の形態に係る映像音声再生システム3のブロック構成を表すものである。映像音声再生システム(マルチスピーカーシステム)3は、マルチチャンネル(ここでは、5.1ch)の音声信号を再生して出力すると共に、映像の表示(再生)を行うものである。この映像音声再生システム3はまた、後述するTV装置2のスピーカー24R,24Lにおいて、マルチチャンネル音声信号のうちのセンター音声信号を再生するセンタースピーカーシステムとしても機能している。なお、5.1chの音声信号とは、フロントL(Front L;前方左用),フロントR(Front R;前方右用),リアL(Rear L;後方左用),リアR(Rear R;後方右用),センター(Center;中央),ウーファー(Woofer)の各チャンネル用の音声信号である。
【0017】
映像音声再生システム3は、マルチ音声信号源10と、AVアンプ11と、マルチチャンネル(5.1ch)に対応した6つのスピーカー12C,12FR,12FL,12RR,12RL,12Wと、TV装置2とを備えている。マルチ音声信号源10AVスピーカー11との間、およびAVスピーカー11とTV装置2との間はそれぞれ、HDMI接続ラインによって互いに接続されている。すなわち、これらの間はそれぞれ、HDMI接続されている。
【0018】
マルチ音声信号源10は、マルチチャンネル音声信号の信号源であり、HDMI接続されたAVアンプ11に対して、マルチチャンネル音声信号A1mを供給するものである。
【0019】
AVアンプ11は、マルチ音声信号源10から入力されたマルチチャンネル音声信号A1mのうち、センター音声信号以外の他のチャンネルの音声信号を増幅して各スピーカー12FR,12FL,12RR,12RL,12Wへ出力するものである。このAVアンプ11はまた、TV装置2に対して、マルチチャンネル音声信号A2mをHDMI伝送するようになっている。
【0020】
スピーカー12FRは、AVアンプ11から出力される、増幅されたフロントR用の音声信号を再生するスピーカーである。スピーカー12FLは、AVアンプ11から出力される、増幅されたフロントL用の音声信号を再生するスピーカーである。スピーカー12RRは、AVアンプ11から出力される、増幅されたリアR用の音声信号を再生するスピーカーである。スピーカー12RLは、AVアンプ11から出力される、増幅されたリアL用の音声信号を再生するスピーカーである。スピーカー12Wは、AVアンプ11から出力される、増幅されたウーファー用の音声信号を再生するスピーカーである。一方、スピーカー12Cは、AVアンプ11から出力される、増幅されたセンター用の音声信号を再生するためのスピーカーであるが、本実施の形態のAVアンプ11では、センター音声信号の再生が行われない(ミュートされている)。すなわち、本実施の形態のAVアンプ11および各スピーカー12FR,12FL,12RR,12RL,12Wでは、マルチチャンネル音声信号A1mのうち、後述するTV装置2において再生されるセンター音声信号以外のチャンネルに対応する音声信号を再生するようになっている。なお、ここでは、前述したAVアンプ11およびスピーカー12FR,12FL,12RR,12RL,12Wが、本発明における「他の音声再生装置」の一具体例に対応する。
【0021】
(TV装置2)
TV装置2は、AVアンプ2から伝送されるマルチチャンネル音声信号A2mに基づいてセンター音声信号の再生を行うと共に、映像の表示を行うものである。このTV装置2は、デコード部21と、音声信号処理部22と、アンプ23と、左右の2つのスピーカー24R,24Lと、映像信号処理部25と、表示部26とを有している。なお、このTV装置2が、本発明における「音声再生装置」および「映像音声再生装置」の一具体例に対応する。
【0022】
デコード部21は、マルチチャンネル音声信号A2mに対して所定のデコード処理を行うことにより、マルチチャンネル音声信号A3mを生成し、音声信号処理部22へ出力するものである。このデコード部21は、受信部(レシーバ)211と、オーディオデコーダ212とを有している。受信部211は、マルチチャンネル音声信号A2mを受信してオーディオデコーダ212へ出力するものである。オーディオデコーダ212は、受信部から出力されたマルチチャンネル音声信号に対して所定のオーディデコード処理を行うことにより、マルチチャンネル音声信号A3mを生成するものである。
【0023】
音声信号処理部22は、デコード部21から出力されたマルチチャンネル音声信号A3mに対して所定の音声信号処理を行うことにより、左右のステレオ信号に対応する2種類の音声信号A5R,A5Lを生成し、それぞれアンプ23へ出力するものである。この音声信号処理部22は、選択部221と、信号処理部222とを有しており、例えばDSPなどにより構成される。
【0024】
選択部221は、オーディオデコーダ212から入力されたマルチチャンネル音声信号A3mのうち、一部のチャンネルの音声信号を選択して信号処理部222へ出力するものである。具体的には、本実施の形態では、マルチチャンネル音声信号A3mのうち、センター音声信号のみを選択し、センター音声信号A4Cとして出力するようになっている。信号処理部222は、選択部221から出力されたセンター音声信号A4Cに対して所定の音声信号処理を行うことにより、上記した音声信号A5R,A5Lを生成するものである。
【0025】
アンプ23は、音声信号処理部22から出力された音声信号A5R,A5Lをそれぞれ増幅することにより、増幅した左右のステレオ信号をスピーカー24R,25Lへ供給するものである。
【0026】
スピーカー24Rは、音声信号A5Rに基づく増幅された右用のステレオ信号を再生するものであり、スピーカー24Lは、音声信号A5Rに基づく増幅された右用のステレオ信号を再生するものである。なお、これらのスピーカー24R,24Lが、本発明における「再生部」および「2つのスピーカー」の一具体例に対応する。
【0027】
映像信号処理部25は、入力された映像信号Vinに対して所定の映像信号処理を行うものである。
【0028】
表示部26は、映像信号処理部25から出力される映像信号処理後の映像信号に基づいて、映像の表示を行うものである。このような表示部26としては、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの各種のディスプレイを用いることができる。
【0029】
[映像音声再生システムの作用・効果]
次に、本実施の形態の映像音声再生システム3の作用および効果について、比較例と比較しつつ詳細に説明する。図2〜図4は、比較例(比較例1〜3)に係る映像音声再生システム3A〜3Cのブロック構成を表すものである。
【0030】
(基本動作)
この映像音声再生システム3では、マルチ音声信号源10からAVアンプ11に対し、HDMI接続ラインLH1を介してマルチチャンネル音声信号A1mが供給され、AVアンプ11において増幅される。そして増幅された各チャンネルの音声信号は、センター音声信号を除き、各チャンネル用のスピーカー12FR,12FL,12RR,12RL,12Wにおいて再生される。
【0031】
また、AVアンプ11からTV装置2内のデコード部21に対し、HDMI接続ラインLH2を介して、マルチチャンネル音声信号A2mが伝送される。デコード部21では、このマルチチャンネル音声信号A2mに対して所定のデコード処理を行い、マルチチャンネル音声信号A3mを生成する。音声信号処理部22では、このマルチチャンネル音声信号A3mに基づいて、左右のステレオ信号に対応する音声信号A5R,A5Lを生成する。そして、アンプ23において、この音声信号A5R,A5Lがそれぞれ増幅され、増幅された信号が左右の2つのスピーカー24R,24Lにおいて再生される。また、これと共に、映像信号処理部25では、入力された映像信号Vinに対して所定の映像信号処理を行い、この映像信号処理後の映像信号に基づく映像表示が、表示部26においてなされる。
【0032】
(比較例1〜3の作用)
ここで、図2に示した比較例1に係る映像音声再生システム103は、従来の通常のマルチスピーカーシステムに対応するものであり、本実施の形態のTV装置2の代わりに、音声信号処理部102Aを有するTV装置102を備えている。この映像音声再生システム103では、本実施の形態とは異なり、AVアンプ11において、マルチチャンネル音声信号A1mにおける全てのチャンネルの音声信号が再生される。そして、TV装置102では、表示部26において映像の表示が行われる一方、スピーカー24R,24Lにおいては音声の再生が行われない(ミュートされている)。
【0033】
すなわち、この映像音声再生システム103は、センタースピーカーシステムには対応していないため、ユーザーにとっては、センター用のスピーカー12Cの設置場所が取れなくなってしまう場合が生じ得る。
【0034】
一方、図3に示した比較例2に係る映像音声再生システム203は、センタースピーカーシステムに対応したマルチスピーカーシステムとなっている。具体的には、本実施の形態のTV装置2の代わりに、音声信号処理部202Aを有するTV装置202を備えると共に、本実施の形態のAVアンプ11の代わりにAVアンプ201を備えている。この映像音声再生システム203では、本実施の形態とは異なり、AVアンプ201からTV装置202内の音声信号処理部202Aに対し、専用の接続ラインL202を介してセンター音声信号A2Cが供給される。そして、このセンター音声信号A2Cに基づく左右のステレオ信号が、TV装置202内のスピーカー24R,24Lにおいて再生される。したがって、この比較例2においても、本実施の形態と同様に、AVアンプ201側のスピーカー12Cでは、センター音声信号は再生されない。
【0035】
ところが、この比較例2では、AVアンプ201側からセンター音声信号を供給するための専用端子(接続ラインA2Cを接続するための端子)を、HDMI接続ラインLH2用の端子の他に別途、AVアンプ201およびTV装置202に設ける必要が生じる。このため、この比較例の手法では、センタースピーカーシステム全体としての構成が複雑化してしまうことになる。
【0036】
そこで、図4に示した比較例3に係る映像音声再生システム303では、以下のような構成のセンタースピーカーシステムとなっている。まず、この映像音声再生システム303は、本実施の形態のAVアンプ11の代わりに、マルチチャンネル音声信号A1mを受信する受信部301Aと、DSP301Bと、送信部301Cとを有するAVアンプ301を備えている。DSP301Bでは、マルチチャンネル音声信号A1mのうち、センター音声信号301Bを選択して送信部301Cへ出力する。送信部301Cでは、この選択されたセンター音声信号をセンター音声信号A2Cとして、HDMI接続ラインLH2を介して、本実施の形態のTV装置2の代わりに設けられたTV装置302へ出力する。そして、このTV装置302では、センター音声信号A2Cに基づく左右のステレオ信号が、TV装置302内のスピーカー24R,24Lにおいて再生される。したがって、上記比較例2とは異なり、AVアンプ301側からTV装置302側へセンター音声信号を供給する際に、HDMI接続ラインLH2用の端子だけを使用すれば済むことになる。
【0037】
しかしながら、この比較例3の手法は、HDMI接続されたTV装置を用いた場合にのみ、実現可能なシステムとなっている。すなわち、HDMI以外の他の接続方式を利用した場合には、やはりセンター音声信号用の専用端子が必要となってしまうことになる。
【0038】
(本実施の形態の作用)
これらに対して、本実施の形態の映像音声再生システム3では、TV装置2内の音声信号処理部22において、デコード部21から入力されたマルチチャンネル音声信号A3mのうち、一部のチャンネルの音声信号を選択して出力する。具体的には、選択部221において、マルチチャンネル音声信号A3mのうち、センター音声信号のみを選択し、センター音声信号A4Cとして出力している。そして、このセンター音声信号A4Cに基づく左右のステレオ信号が、TV装置2内のスピーカー24R,24Lにおいて再生される。
【0039】
したがって、本実施の形態ではAVアンプ11とTV装置2との間はHDMI接続方式となっているものの、上記比較例3の手法とは異なり、HDMI接続方式以外の他の接続方式を用いた場合においても、所望のチャンネルの音声信号の再生が可能となる。具体的には、本実施の形態では、マルチチャンネル音声信号のうちのセンター音声信号の再生がTV装置2側で行われることにより、センタースピーカーシステムが実現される。また、上記比較例2とは異なり、HDMI接続用の端子と所望のチャンネルの音声信号(センター音声信号)の伝送用の専用端子との両方を設ける必要がないため、簡易な構成により、センタースピーカーシステムが実現される。
【0040】
以上のように本実施の形態では、TV装置2内の選択部221において、入力されたマルチチャンネル音声信号A3mのうち、一部のチャンネルの音声信号(センター音声信号)を選択して出力すると共に、この選択出力されたセンター音声信号A4Cに基づいて、TV装置2内で音声の再生を行うようにしたので、HDMI接続方式以外の他の接続方式を用いた場合においても、簡易な構成により、所望のチャンネルの音声信号の再生を行うことができる。よって、外部装置との接続方式によらず、マルチチャンネル音声信号のうちの所望のチャンネルの音声信号の再生を、簡易な構成で実現することが可能となる。
【0041】
また、TV装置2側の内部処理だけによってセンター音声信号を再生しているため、AVアンプ11内において、上記比較例3のようなHDMI変換処理を行う必要もなくなる。
【0042】
更に、センタースピーカーシステムが構築されるため、TV装置2のスピーカー24R,24Lをマルチチャンネル再生の際のセンタースピーカーとして使用することが可能となり、AVアンプ11側にセンタースピーカー12Cを設けなくても済むようになる。
【0043】
加えて、本実施の形態の手法では、TV装置2をセンタースピーカーとして使用するための余計な接続が不要であると共に、TV装置2内のDSP等の音声信号処理部22内でセンター音声信号の選択処理を行っているため、そのための追加回路も不要である。
【0044】
加えてまた、本実施の形態の手法によれば、TV装置2側の音声調整機能(例えば、信号処理部222内で実現される)を利用して、センター音声信号の単独調整(ボリューム調整や、音質調整など)を実現することが可能となる。
【0045】
加えて更に、本実施の形態の手法では、接続先のAVアンプ11側との双方向制御(HDMI接続の場合)を行わなくても済むことから、特別な機能は必要なく、AVアンプを選択する際の自由度を向上させることも可能となる。
【0046】
<2.変形例>
以下、本発明の変形例をいくつか挙げて説明する。なお、上記実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0047】
(変形例1)
図5は、本発明の変形例1に係る映像音声再生システム3Aのブロック構成を表すものである。この映像音声再生システム3Aは、上記実施の形態の映像音声再生システム3において、TV装置2の代わりにTV装置2Aを設けるようにしたものである。
【0048】
TV装置2Aは、TV装置2において、音声信号処理部22の代わりに音声信号処理部22Aを有すると共に、左右の2つの音声信号出力端子20R,20Lをさらに有している。
【0049】
音声信号処理部22Aは、音声信号処理部22において、ダウンミックス部223および出力部224をさらに有している。ダウンミックス部223は、マルチチャンネル音声信号A3mに対してダウンミックス処理を行うことにより、左右のステレオ信号に対応する2種類の音声信号を生成するものである。出力部224は、ダウンミックス処理部223において生成された2種類の音声信号をそれぞれ、左右のステレオ信号に対応する音声信号A6R,A6Lとして、音声信号出力端子20R,20Lを介して外部へ出力するものである。
【0050】
音声信号出力端子20R,20Lは、出力部224から出力された音声信号A6R,A6Lをそれぞれ、外部へ出力するための出力端子である。なお、これらの音声信号出力端子20R,20Lが、本発明における「出力端子」の一具体例に対応する。
【0051】
このようにして本変形例では、上記実施の形態で説明したのと同様に、TV装置2A内のスピーカー24R,24Lにおいてセンター音声信号に基づく音声再生を行うことと同時に、例えばヘッドホンやラインアウトに対しては通常の音声信号(マルチチャンネル音声信号A3mのダウンミックス信号)を出力することが可能となる。
【0052】
(変形例2)
図6は、本発明の変形例2に係る映像音声再生システム3Bのブロック構成を表すものである。この映像音声再生システム3Bは、上記実施の形態の映像音声再生システム3において、TV装置2の代わりにTV装置2Bを設けるようにしたものであり、デジタル放送受信時のマルチスピーカーシステム(センタースピーカーシステム)に対応している。
【0053】
TV装置2Bは、TV装置2において、チューナー27およびMPEG(Moving Picture Experts Group)デコーダ28をさらに有している。チューナー27は、外部から、マルチチャンネルに対応したデジタル放送信号を取得するものである。MPEGデコーダ28は、チューナー27から入力されたデジタル放送信号に対して所定のデコード処理(MPEG方式のデコード処理)を行うことにより、マルチチャンネル音声信号A0mと、映像信号A0(Vin)を生成するものである。生成されたマルチチャンネル音声信号A0mはオーディオでコーダ212へ出力され、映像信号V0は映像信号処理部25へ出力されるようになっている。なお、このMPEGデコーダ28が、本発明における「デコード部」の一具体例に対応する。
【0054】
また、本変形例では、デコード部21内のオーディオデコーダ212において、MPEGデコーダ28から入力されたマルチチャンネル音声信号A0mに基づいて、マルチチャンネル音声信号A3m,A7mを出力している。具体的には、上記実施の形態と同様に、マルチチャンネル音声信号A3mを選択部221へ出力する一方、マルチチャンネル音声信号A7mを、接続ラインL3(光アウトなど)を介してAVアンプ11へ出力している。なお、本変形例では上記実施の形態とは異なり、AVアンプ11とTV装置2Bとの間は、HDMI接続がなされておらず、受信部211にはAVアンプ11からマルチチャンネル音声信号が供給されないようになっている。
【0055】
このようにして本変形例では、デジタル放送信号から得られるマルチチャンネル音声信号A0mに基づいて、センター音声信号をTV装置2B内のスピーカー24R,24Lにおいて再生することができると共に、センター音声信号以外の他のチャンネルの音声信号を、AVアンプ11側のスピーカー12FR,12FL,12RR,12RL,12Wにおいて再生することができる。すなわち、上記実施の形態のようなHDMI接続以外の他の接続方式においても、センタースピーカーシステムを構築することが可能となる。
【0056】
(変形例3)
図7は、本発明の変形例3に係る映像音声再生システム3Cのブロック構成を表すものである。この映像音声再生システム3Cは、上記実施の形態の映像音声再生システム3において、TV装置2の代わりにTV装置2Cを設けるようにしたものである。
【0057】
TV装置2Cでは、音声信号処理部22内の選択部221において、上記実施の形態とは異なり、マルチチャンネル音声信号A3mのうち、フロントR用の音声信号(FR音声信号)と、フロントL用の音声信号(FL音声信号)とを選択して出力している。また、AVアンプ11では、上記実施の形態とは異なり、マルチチャンネル音声信号A1mに基づいて、スピーカー12Cからセンター音声信号が再生されると共に、スピーカー12FR,12FLからはFR音声信号およびFL音声信号が再生されない。なお、ここでは、AVアンプ11およびスピーカー12C,12RR,12RL,12Wが、本発明における「他の音声再生装置」の一具体例に対応する。
【0058】
このようにして本変形例では、AVアンプ11側のスピーカー12FR,12FLが不要となると共に、TV装置2C内のスピーカー24R,24Lを、フロントR,フロントL用のスピーカーとして機能させることが可能となる。よって、AVアンプ11側のスピーカー12FR,12FLの設置場所が確保できない場合等に有効なシステム構成となる。
【0059】
なお、本変形例では、マルチチャンネル音声信号A3mのうち、FR音声信号およびFL音声信号を選択的に出力してTV装置側で再生する場合について説明したが、他のチャンネルの音声信号を選択的に出力してTV装置側で再生するようにしてもよい。
【0060】
(変形例4)
図8は、本発明の変形例4に係る音声再生システム5のブロック構成を表すものである。この音声再生システム5は、上記実施の形態の映像音声再生システム3において、映像および音声を再生するTV装置2の代わりに、音声のみを再生する音声再生装置4を設けるようにしたものである。
【0061】
すなわち、この音声再生装置4は、TV装置2において、映像の再生(表示)に関する部分である、映像信号処理部25および表示部26を設けないようにしたものである。
【0062】
このようにして、これまでの説明とは異なり、映像の表示を行わずに音声の再生のみを行う音声再生装置4を備えた音声再生システム5においても、本発明を適用することが可能である。
【0063】
(その他の変形例)
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0064】
例えば、TV装置の入力ソースや選択状態に応じて、TV装置のスピーカーにおいて通常の音声(マルチ信号のダウンミックス信号)を再生出力するか、あるいはセンター音声信号を再生出力するかを、ユーザーによって選択したり、自動切換するようにしてもよい。具体的には、例えば、デジタル放送の映画においてマルチチャンネルの音声信号を利用しているときには、上記実施の形態等で説明したように、外部アンプを使用すると共に、TV装置側のスピーカーでは、センター音声信号のみを再生出力する。一方、例えば映画が終了して、ニュースにおける通常のステレオ放送や2重音声放送のときには、TV装置のスピーカーでは、通常の音声信号の再生出力を行う(外部アンプは使用しない)状態に切り換えるようにする。なお、上記した自動切替の手法としては、例えば、番組表情報(EPG;Electronic Program Guide)を利用して自動的に切り替えるというという手法が考えられる。
【符号の説明】
【0065】
10…マルチ音声信号源、11…AVアンプ、12C,12FR,12FL,12RR,12RL,12W…スピーカー、2,2A〜2C…TV装置、20R,20L…音声信号出力端子、21…デコード部、211…受信部、212…オーディオデコーダ、22,22A…音声信号処理部、221…選択部、222…信号処理部、223…ダウンミックス部、224…出力部、23…アンプ、24R,24L…スピーカー、25…映像信号処理部、26…表示部、27…チューナー、28…MPEGデコーダ、3,3A〜3C…映像音声再生システム、A0m,A1m,A2m,A3m,A7m…マルチチャンネル音声信号、A4C…センター音声信号、A4FR…FR音声信号、A4FL…FL音声信号、A5R,A5L,A6R,A6L…音声信号、Vin,V0…映像信号、LH1,LH2…HDMI接続ライン、L3…接続ライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたマルチチャンネル音声信号のうち、一部のチャンネルの音声信号を選択して出力する選択部と、
前記選択部から出力された一部のチャンネルの音声信号に基づいて、音声の再生を行う再生部と
を備えた音声再生装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記マルチチャンネル音声信号のうち、センター音声信号を選択して出力する
請求項1に記載の音声再生装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記マルチチャンネル音声信号のうち、右用フロント(フロントR)音声信号と左用フロント(フロントL)音声信号とを選択して出力する
請求項1に記載の音声再生装置。
【請求項4】
前記マルチチャンネル音声信号に対してダウンミックス処理を行うダウンミックス部と、
前記ダウンミックス部から出力された音声信号を外部へ出力するための出力端子と
をさらに備えた
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の音声再生装置。
【請求項5】
前記マルチチャンネル音声信号が、前記一部のチャンネルの音声信号以外のチャンネルに対応する音声信号を再生する他の音声再生装置から入力されたものである
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の音声再生装置。
【請求項6】
入力されたマルチチャンネル音声信号のうち、一部のチャンネルの音声信号を選択して出力する選択部と、
前記選択部から出力された一部のチャンネルの音声信号に基づいて、音声の再生を行う再生部と、
入力された映像信号に基づいて映像表示を行う表示部と
を備えた映像音声再生装置。
【請求項7】
デジタル放送信号を取得するチューナーと、
取得されたデジタル放送信号に基づいて、前記マルチチャンネル音声信号および前記映像信号を生成するデコード部と
をさらに備えた
請求項6に記載の映像音声再生装置。
【請求項8】
前記再生部が、左右のステレオ信号を個別に再生する2つのスピーカーにより構成されている
請求項6または請求項7に記載の映像音声再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−245771(P2010−245771A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91293(P2009−91293)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】