説明

音声再生装置及び音声再生方法

【課題】この発明は、音声出力が無信号になったことを検出して自動的に装置の電源を遮断し、電源スイッチの切り忘れに効果的に対処し得るようにした音声再生装置及び音声再生方法を提供することを目的としている。
【解決手段】入力信号から音声信号を復元する信号処理手段14と、この信号処理手段14の出力が無信号状態になったことを検出する検出手段22と、この検出手段22から所定時間継続して無信号状態の検出結果が得られたとき、装置本体への電力供給を遮断する制御手段17,25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばCD(Compact Disk)等の記録媒体から音声信号を再生する音声再生装置及び音声再生方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えばCD等の記録媒体から音声信号を再生する音声再生装置にあっては、記録媒体からの音声再生が終了した場合に、電源スイッチを切ることが忘れられてそのまま放置されてしまうことが多々ある。
【0003】
特許文献1には、ランプの断線時、ビデオ信号の入力の無いとき、オーディオ信号の入力の無いときに、それぞれ、ランプ、ビデオ回路、オーディオ回路への電源電圧の供給を遮断するようにした構成が開示されている。
【特許文献1】特開平5−93955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1では、ランプの断線時にランプへの電源供給を遮断し、ビデオ信号の無いときビデオ回路への電源供給を遮断し、オーディオ信号の無いときオーディオ回路への電源供給を遮断する構成であって、電源スイッチの切り忘れに対処するものではない。
【0005】
そこで、この発明は上記事情を考慮してなされたもので、音声出力が無信号になったことを検出して自動的に装置の電源を遮断し、電源スイッチの切り忘れに効果的に対処し得るようにした音声再生装置及び音声再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る音声再生装置は、入力信号から音声信号を復元する信号処理手段と、信号処理手段の出力が無信号状態になったことを検出する検出手段と、検出手段から所定時間継続して無信号状態の検出結果が得られたとき、装置本体への電力供給を遮断する制御手段とを備えるようにしたものである。
【0007】
また、この発明に係る音声再生方法は、入力信号から音声信号を復元する第1の工程と、第1の工程による出力が無信号状態になったことを検出する第2の工程と、第2の工程により所定時間継続して無信号状態の検出結果が得られたとき、装置本体への電力供給を遮断する第3の工程とを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
上記した発明によれば、信号処理手段の出力が所定時間継続して無信号状態になったとき、装置本体への電源供給を遮断するようにしたので、電源スイッチの切り忘れに効果的に対処することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態で説明する光ディスク再生装置11を示している。すなわち、例えばCD等の光ディスク12は、ドライブ部13に装着されて記録データが読み取られる。
【0010】
このドライブ部13で読み取られたデータは、信号処理部14に供給されて、デジタル化処理、エラー訂正処理、復号化処理及びアナログ化処理等が順次施されて、アナログの音声信号に復元される。
【0011】
そして、この信号処理部14で復元されたアナログの音声信号は、音声出力部15に供給されて所定の増幅処理が施された後、音声出力端子16を介して外部に導出され、図示しないスピーカ等による音声再生に供される。
【0012】
この光ディスク再生装置11は、上記した再生動作を含むその全ての動作を制御部17により統括的に制御されている。この制御部17は、CPU(Central Processing Unit)等を内蔵しており、操作部18からの操作情報を受け、または、リモートコントローラ19から送出された操作情報を受光部20を介して受信し、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
【0013】
この場合、制御部17は、メモリ部21を利用している。このメモリ部21は、主として、CPUが実行する制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、該CPUに作業エリアを提供するRAM(Random Access Memory)と、各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリとを有している。
【0014】
また、上記信号処理部14で復元されたアナログの音声信号は、無信号検出部22に供給される。この無信号検出部22は、詳細は後述するが、入力された音声信号が無信号状態になったことを検出して、検出信号を制御部17に出力するものである。
【0015】
ここで、この光ディスク再生装置11は、電源回路23から、ドライブ部13、信号処理部14、音声出力部15、メモリ部21及び無信号検出部22等の各部に電源電力を供給するようにしている。
【0016】
この電源回路23は、電源プラグ24を介して取得した商用交流電力が、スイッチ25を介して供給されることにより、光ディスク再生装置11の各部(装置本体)に必要な電源電力を生成して、供給するようにしている。
【0017】
このスイッチ25は、操作部18またはリモートコントローラ19に設置された電源スイッチの操作に連動してオン、オフ制御されるもので、オン状態になされたとき、商用交流電力が電源回路23に供給される。
【0018】
なお、電源プラグ24を介して取得した商用交流電力は、待機電源部26に供給されている。この待機電源部26は、供給された商用交流電力から制御部17を駆動させるために必要な待機電力を生成し、制御部17に供給している。
【0019】
このため、制御部17は、スイッチ25に無関係に常時電力が供給されている。これにより、操作部18またはリモートコントローラ19に設置された電源スイッチがオンされると、制御部17がスイッチ25をオン状態に制御し、電源回路23に商用交流電力が供給されて、各部(装置本体)に電源電力が供給されるようになる。
【0020】
図2は、上記無信号検出部22の詳細を示している。すなわち、上記信号処理部14で復元されたアナログの音声信号は、入力端子22aを介して整流回路22bに供給されて整流される。そして、この整流回路22bの出力レベルが、レベル比較回路22cに供給されて、入力端子22dに印加された基準レベルVrefとレベル比較される。
【0021】
このレベル比較回路22cは、整流回路22bの出力レベルが基準レベルVrefよりも実質的に低下したとき無信号状態になったと判別し、その旨を示す無信号検出信号を発生する。この無信号検出信号は、出力端子22eを介して上記制御部17に出力される。
【0022】
ここで、光ディスク12の再生が行なわれている状態では、信号処理部14から出力されるアナログの音声信号を整流回路22bで整流した出力レベルが、基準レベルVrefよりも実質的に高くなっているため、レベル比較回路22cから無信号検出信号が発生されずに、安定な音声再生が行なわれる。
【0023】
その後、光ディスク12の再生が終了し、信号処理部14からアナログの音声信号が出力されなくなると、整流回路22bの出力レベルが基準レベルVrefよりも実質的に低くなり、レベル比較回路22cから無信号検出信号が発生され、制御部17に供給される。
【0024】
そして、制御部17は、無信号検出信号の供給が、予め設定された所定時間継続した場合に、光ディスク12の再生が終了したものと判断し、スイッチ25をオフ状態に制御する。
【0025】
これにより、ドライブ部13、信号処理部14、音声出力部15、メモリ部21及び無信号検出部22等の各部(装置本体)への電力供給が遮断され、つまり、操作部18またはリモートコントローラ19に設置された電源スイッチがオフ状態に操作されたことに対応した状態となり、電源スイッチの切り忘れに効果的に対処することが可能となる。
【0026】
図3は、上記した光ディスク再生装置11の動作をまとめたフローチャートを示している。すなわち、操作部18またはリモートコントローラ19に設置された電源スイッチがオン状態に操作されることにより処理が開始(ステップS1)され、制御部17は、ステップS2で、光ディスク12の再生を実行するように各部を制御している。
【0027】
このような状態で、制御部17は、ステップS3で、無信号検出部22から無信号検出信号が発生されたか否かを判別する。そして、無信号検出信号が発生されたと判断された場合(YES)、制御部17は、ステップS4で、無信号検出信号が予め設定された所定時間継続して発生されたか否かを判別する。
【0028】
ここで、無信号検出信号が予め設定された所定時間継続して発生されたと判断された場合(YES)、制御部17は、ステップS5で、スイッチ25をオフ状態に切替制御して、処理を終了(ステップS6)する。
【0029】
上記した実施の形態によれば、信号処理部14の出力の無信号状態が、予め設定された所定時間継続した場合に、スイッチ25をオフ状態に切り替えて各部(装置本体)への電源供給を遮断するようにしたので、電源スイッチの切り忘れに効果的に対処することが可能となる。
【0030】
特に、制御部17を除く各部への電力供給を遮断するという、操作部18またはリモートコントローラ19に設置された電源スイッチをオフ状態に操作したときと同じ電力供給遮断状態に制御するようにしているので、省電力化の点や、安全性の点で効果的である。
【0031】
また、信号処理部14の出力の無信号状態が予め設定された所定時間継続した場合、スイッチ25をオフ状態に切り替える前に、ユーザに対して警報音を発生させることもできる。
【0032】
この警報音の発生は、制御部17が信号処理部14から警報音に対応した音声信号を発生させ、その音声信号を音声出力部15及び音声出力端子16を介して外部接続されたスピーカで音声再生することにより実現される。
【0033】
また、上記した実施の形態では、操作部18またはリモートコントローラ19に設置された電源スイッチがオン状態に操作され、スイッチ25がオン状態となり各部に電力供給が行なわれている状態で、光ディスク12を所定時間再生させなかった場合にも、自動的にスイッチ25がオフ状態に制御され、各部(装置本体)への電源供給が遮断されるようになる。
【0034】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の実施の形態を示すもので、光ディスク再生装置を説明するために示すブロック構成図。
【図2】同実施の形態における光ディスク再生装置の無信号検出部の詳細を説明するために示すブロック構成図。
【図3】同実施の形態における光ディスク再生装置の主要な処理動作を説明するために示すフローチャート。
【符号の説明】
【0036】
11…光ディスク再生装置、12…光ディスク、13…ドライブ部、14…信号処理部、15…音声出力部、16…音声出力端子、17…制御部、18…操作部、19…リモートコントローラ、20…受光部、21…メモリ部、22…無信号検出部、23…電源回路、24…電源プラグ、25…スイッチ、26…待機電源部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号から音声信号を復元する信号処理手段と、
前記信号処理手段の出力が無信号状態になったことを検出する検出手段と、
前記検出手段から所定時間継続して無信号状態の検出結果が得られたとき、装置本体への電力供給を遮断する制御手段とを具備することを特徴とする音声再生装置。
【請求項2】
前記検出手段は、
前記信号処理手段の出力を整流する整流手段と、
前記整流手段の出力レベルと予め設定された所定の基準レベルとを比較し、前記整流手段の出力レベルが前記基準レベルよりも実質的に低下したとき無信号検出信号を発生するレベル比較手段とを具備することを特徴とする請求項1記載の音声再生装置。
【請求項3】
前記制御手段は、装置の電源スイッチがオフ状態に制御されたときと同様な状態となるように、装置本体への電力供給を遮断することを特徴とする請求項1または2記載の音声再生装置。
【請求項4】
外部から電力を取得するための電源プラグと、
前記電源プラグで取得された電力から装置本体に供給するための電力を生成する電源手段と、
装置の電源スイッチに連動して電源プラグで取得された電力を前記電源手段に供給状態及び非供給状態に選択的に制御するスイッチとを具備し、
前記制御手段は、前記検出手段から所定時間継続して無信号状態の検出結果が得られたとき、前記スイッチをオフ状態に制御することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の音声再生装置。
【請求項5】
前記検出手段から所定時間継続して無信号状態の検出結果が得られたとき、警報音を発生する発生手段を具備することを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の音声再生装置。
【請求項6】
前記信号処理手段は、記録媒体から音声信号を復元するものであることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の音声再生装置。
【請求項7】
入力信号から音声信号を復元する第1の工程と、
前記第1の工程による出力が無信号状態になったことを検出する第2の工程と、
前記第2の工程により所定時間継続して無信号状態の検出結果が得られたとき、装置本体への電力供給を遮断する第3の工程とを具備することを特徴とする音声再生方法。
【請求項8】
前記第2の工程は、
前記第1の工程による出力を整流する工程と、
前記整流された出力レベルと予め設定された所定の基準レベルとを比較し、整流された出力レベルが前記基準レベルよりも実質的に低下したとき無信号検出信号を発生する工程とを具備することを特徴とする請求項7記載の音声再生方法。
【請求項9】
所定時間継続して無信号状態の検出結果が得られたとき、警報音を発生する第4の工程を具備することを特徴とする請求項7または8記載の音声再生方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−127678(P2006−127678A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−316513(P2004−316513)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】