説明

音声再生装置

【課題】 音声データの低域成分を各チャンネルに振り分けるバスマネージメント機能を入力チャンネル数に応じてON/OFF設定する場合、制御部では常に入力チャンネル数を監視し、変化があった場合にバスマネージメント機能をON/OFFする制御が必要となる。
【解決手段】 再生部101にて、復号処理部102で検出したチャンネル数が2チャンネルの場合には、バスマネージメント処理判定部103がバスマネージメント処理部104を制御することにより、バスマネージメント処理を自動的にOFFする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くはディジタル信号処理技術に関し、特に外部よりディジタルオーディオ信号を入力し、オーディオ復号処理、低音再生処理等、様々な音響処理を行ってPCMデータを外部へ出力する音声再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、DVD等のマルチチャンネル環境とソフトウェアの普及により、3チャンネル以上のディジタルオーディオを再生する装置が増加している。DVDに記録されている音声は、一般的に5.1チャンネルのディジタルオーディオであり、正しく再生するためには5本のスピーカと1本の低音再生用サブウーファーとが必要になる。更に、5本のスピーカは低音成分も正しく再生できるだけの能力が要求される。
【0003】
ある従来技術によれば、5.1チャンネル用に6本のスピーカが全て接続されるケースだけでなく、そのうちの2本のみが接続されるケースもあることを想定して、実際に接続されたスピーカ構成に応じて音声出力設定を自動的に切り替える(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−134591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、DVDプレーヤは一般家庭で用いられる据え置き型の再生機器だけでなくカーナビ一体型の車載プレーヤとしても普及している。映像、音声を復号するLSIは据え置き型、車載型を問わず共通のものを使用可能である。しかし、使用用途の違いからLSIの仕様について個別の要求がされることが少なくない。
【0005】
DVD再生機能をもつ機器には5.1チャンネルのディジタルオーディオだけでなく、音楽CDのような2チャンネルのディジタルオーディオも入力されるため、オーディオデータのチャンネル数に応じた制御が必要になる場合がある。
【0006】
DVD再生機能をもつ機器はオーディオデータ中の低域成分を抽出してサブウーファーに振り分けるバスマネージメント機能を搭載しているものが多い。一方、車載用途のプレーヤにおいては復号LSIの後段に音響処理用DSPを接続するケースが多く、2チャンネルのディジタルオーディオが入力された場合には復号LSIではバスマネージメント処理等を行わないデータを出力したいため、バスマネージメント機能をOFFする制御を行うケースが考えられる。
【0007】
また、入力されるオーディオデータのチャンネル数は記録されているデータによっては再生中に変化する場合があり、再生中に常にチャンネル数を監視し2チャンネルに切り替わった場合にバスマネージメント機能のOFF制御を行わなければならない。
【0008】
以上のことから、車載型プレーヤのシステム制御部では再生しているオーディオデータのチャンネル数を常に監視し、変化があった場合にはバスマネージメントのON/OFF制御を行う必要がある。
【0009】
本発明の目的は、このような従来の車載型プレーヤのシステム制御部での処理の軽減を可能にし、更に据え置き型向けでも使用可能な共通LSIを供給するためのインターフェースをもった音声再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の音声再生装置は、2チャンネルストリームが入力された場合に再生部においてバスマネージメント処理を自動でOFFする機能を備え、また自動OFFするモードを使用するかどうかを選択可能にしたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、映像、音声を復号するLSIにチャンネル数の切り替わりを検出し、2チャンネルの場合にはバスマネージメント機能を自動でOFFする機能を持たせることにより、システム制御部の処理負担を軽減することが可能となる。また、バスマネージメント機能の自動OFF機能を動作させるかどうかを指定できるインターフェースを持たせることにより、据え置き型、車載型向けに共通のLSIを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
《第1の実施形態》
図1は、本発明の第1の実施形態に係る音声再生装置の一構成例を示すブロック図である。図1の音声再生装置は、大きく制御部100と、再生部101とで構成される。再生部101は、復号処理部102と、バスマネージメント処理判定部103と、バスマネージメント処理部104とで構成される。Aは音声入力データ、Bは復号処理後の音声データ、Cは音声出力データ、Dは再生制御信号、Eは入力ストリームのチャンネル数情報、Fはバスマネージメント制御信号である。
【0013】
図2は、図1中の再生部101の処理手順を示すフローチャートである。図2において、110は入力ストリーム判定処理、111はバスマネージメント処理である。
【0014】
バスマネージメント処理判定部103は、復号処理部102で検出したチャンネル数情報Eを用いて、2チャンネルの場合にバスマネージメント処理104を行わない制御を行う。これにより、制御部100ではチャンネル数によるバスマネージメント処理のON/OFF操作が不要となる。
【0015】
《第2の実施形態》
図3は、本発明の第2の実施形態に係る音声再生装置の一構成例を示すブロック図である。図3の音声再生装置は、大きく制御部200と、再生部201とで構成される。再生部201は、復号処理部202と、バスマネージメント処理判定部203と、バスマネージメント処理部204とで構成される。Gは音声入力データ、Hは復号処理後の音声データ、Iは音声出力データ、Jは再生制御信号、Kは動作モード制御信号、Lは入力ストリームのチャンネル数情報、Mはバスマネージメント制御信号である。
【0016】
図4は、図3中の再生部201の処理手順を示すフローチャートである。図4において、210はバスマネージメント自動モード判別処理、211は入力ストリーム判定処理、212はバスマネージメント処理である。
【0017】
バスマネージメント処理判定部203は、復号処理部202で検出したチャンネル数情報Lを用いて、2チャンネルの場合にバスマネージメント処理204を行わない制御を行う。これにより、制御部200ではチャンネル数によるバスマネージメント処理のON/OFF操作が不要となる。また、再生部201で自動的にバスマネージメント処理をON/OFF処理するかどうかの動作モードを動作モード制御信号Kとして設定可能なインターフェースを備える。これにより、自動ON/OFFする必要のないシステムでも使用可能な再生装置となる。
【0018】
《第3の実施形態》
図5は、本発明の第3の実施形態に係る音声再生装置の一構成例を示すブロック図である。図5の音声再生装置は、大きく制御部300と、再生部301とで構成される。再生部301は、復号処理部302と、バスマネージメント処理部303と、データコピー処理部304とで構成される。Nは音声入力データ、Oは復号処理後の音声データ、Pはバスマネージメント後の音声データ、Qは音声出力データ、Rは再生制御信号、Sは入力ストリームのチャンネル数情報である。
【0019】
図6は、図5中の再生部301の処理手順を示すフローチャートである。図6において、310はバスマネージメント処理、311は入力ストリーム判定処理、312はDL/DR→FL/FRコピー及びLFE0クリア処理である。
【0020】
データコピー処理部304は、復号処理部302で検出したチャンネル数情報Sを用いて、2チャンネルの場合にダウンミックスチャンネルのデータ(DL/DR)をフロントL,R(FL/FR)にコピーし、かつLFEチャンネルのゼロ・クリア処理を行う。これにより、フロントL,Rチャンネルにはバスマネージメント処理前のデータが入ることになり、制御部300ではチャンネル数によるバスマネージメント処理のON/OFF操作が不要となる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上説明してきたとおり、本発明に係る音声再生装置は、入力チャンネル数に応じてバスマネージメント処理のON/OFF制御を行う場合の制御部の処理簡略化を図り、また自動ON/OFF機能を使用するかどうかを設定するインターフェースを持つことにより、据え置き、車載等の使用用途の異なるプレーヤに対して共通のLSIが提供可能になるので、多様性のある音声再生装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る音声再生装置の一構成例を示す回路ブロック図である。
【図2】図1中の再生部の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る音声再生装置の一構成例を示す回路ブロック図である。
【図4】図3中の再生部の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る音声再生装置の一構成例を示す回路ブロック図である。
【図6】図5中の再生部の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0023】
100,200,300 制御部
101,201,301 再生部
102,202,302 復号処理部
103,203 バスマネージメント処理判定部
104,204,303 バスマネージメント処理部
304 データコピー処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声データの低域成分を各チャンネルに振り分けるバスマネージメント機能を有する音声再生装置であって、
再生部と、当該再生部を制御する制御部とを備え、
前記再生部は、
入力された音声ストリームを復号する復号処理部と、
復号された音声データに対して低域成分を各チャンネルに振り分ける処理を行うバスマネージメント処理部と、
バスマネージメント処理を実行するかどうかを判定するバスマネージメント処理判定部とを有し、
入力された音声ストリームが2チャンネルの場合には前記再生部でバスマネージメント処理を自動でOFFにする機能を備えたことを特徴とする音声再生装置。
【請求項2】
請求項1記載の音声再生装置において、
入力された音声ストリームが2チャンネルの場合にバスマネージメント処理を自動でOFFにするかどうかを選択可能にするインターフェースを更に備えたことを特徴とする音声再生装置。
【請求項3】
音声データの低域成分を各チャンネルに振り分けるバスマネージメント機能を有する音声再生装置であって、
再生部と、当該再生部を制御する制御部とを備え、
前記再生部は、
入力された音声ストリームを復号する復号処理部と、
復号された音声データに対して低域成分を各チャンネルに振り分ける処理を行うバスマネージメント処理部と、
入力された音声ストリームが2チャンネルの場合にダウンミックス出力用のデータをフロントL/Rチャンネルにコピーするデータコピー処理部とを有することを特徴とする音声再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−53553(P2007−53553A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236843(P2005−236843)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】