説明

音声出力制御装置、音声出力装置、音声出力制御方法、及び、プログラム

【課題】広告を行いながら、広告効果に応じて広告の最適化を図れるようにする。
【解決手段】特定の方向に音声を出力する超指向性スピーカ40と、超指向性スピーカ40の音声出力方向を調整するスピーカ台座41と、表示パネル65を視認可能な範囲を撮影するカメラ50と、に接続された制御装置10により、撮影画像に写っている人物のうち設定された条件を満たす属性の人物を対象者として検出し、スピーカ台座41によって、超指向性スピーカ40の音声出力方向を対象者の方に向けさせて、超指向性スピーカ40から音声を出力させ、超指向性スピーカ40から音声を出力した間における、広告に関連する商品の売上に関する売上情報を取得し、取得した売上情報に基づいて、対象者を検出する条件を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超指向性スピーカからの音声出力を制御する音声出力制御装置、音声出力装置、音声出力制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な方法で広告が行われているが、どのような広告が効果的かは、商品の内容や広告が対象とする顧客層等によって異なる。このため、広告効果を測定する手法が重要視されており、例えば、広告印刷物を配布して、その広告効果を分析する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−233705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示されたように、広告効果を測定する方法の多くは、大がかりで複雑な仕組みを必要とし、手軽に広告効果を測定することはできなかった。
このため、広告を行いながら、広告効果に応じて広告の最適化を図ることが最も望ましいが、その実現は極めて困難であった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、広告を行いながら、広告効果に応じて広告方法の最適化を図れるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は、特定の方向に音声を出力する超指向性スピーカと、前記超指向性スピーカの音声出力方向を調整する音声方向調整機構と、広告の表示面を視認可能な範囲を撮影する撮影手段と、に接続され、前記撮影手段により撮影された撮影画像に写っている人物のうち、設定された条件を満たす属性の人物を対象者として検出する対象者検出手段と、前記音声方向調整機構によって、前記超指向性スピーカの音声出力方向を前記対象者検出手段により検出された対象者の方に向けさせて、前記超指向性スピーカから音声を出力させる音声出力制御手段と、前記超指向性スピーカから音声を出力した間における、前記広告に関連する商品の売上に関する売上情報を取得する売上情報取得手段と、前記売上情報取得手段により取得された売上情報に基づいて、前記対象者検出手段が前記対象者を検出する条件を変更する条件変更手段と、を備えることを特徴とする音声出力制御装置を提供する。
この構成によれば、広告の表示面を視認可能な範囲にいる人から設定された条件を満たす属性の人物を対象者として検出し、この対象者に対して超指向性スピーカから音声を出力することにより、ほぼ対象者にのみ聞こえるように音声を出力することが可能であり、この音声出力の対象者を検出する際の属性に係る条件を、広告に関連する商品の売上に関する売上情報に基づいて変更する。これにより、広告の表示面を視認可能な範囲にいる人の中から属性によって対象者を選び、広告される商品の売上情報に基づいて対象者を選ぶ条件を変更できる。つまり、超指向性スピーカを用いて音声を出力して広告を行い、この音声出力をした間の広告効果に基づいて、音声出力の対象者を選ぶ条件を最適化する。従って、広告を行いながら広告効果に応じて広告に係る動作の最適化を図ることができ、高い広告効果を得ることができる。
【0005】
上記構成において、前記条件変更手段は、前記売上情報取得手段により取得された売上情報が示す売上金額が、設定された値に達しなかった場合に、前記対象者検出手段により前記対象者として検出される人物の属性を、前記対象者が増加するよう変更するものであってもよい。
この場合、広告される商品の売上金額が設定値に達するか否かに基づいて広告効果を正確かつ速やかに判別し、音声出力の対象者が増えるように条件を変更することによって、広告効果に応じて、より速やかに動作の最適化を図ることができる。
【0006】
上記構成において、前記撮影手段は、前記広告の表示面として、広告画像を表示する表示装置の表示画面を視認可能な範囲を撮影するものであり、前記音声出力制御手段は、前記超指向性スピーカから、前記表示装置により表示中の広告画像に関連する音声を出力させるものであってもよい。
この場合、広告画像が表示される表示画面を視認可能な範囲にいる人の中から属性に基づいて対象者を選び、この対象者に対して広告画像に関連する音声を超指向性スピーカから出力するので、より効果的に、表示画面に表示される広告に対する注目を集めることができる。そして、この音声出力の対象者を選ぶ条件を、広告される商品の売り上げに基づいて変更することで最適化を図り、より高い広告効果を実現できる。
【0007】
上記構成において、前記表示画面に表示される広告に関連する広告音声を出力する主スピーカに接続され、前記音声出力制御手段は、前記超指向性スピーカから、前記主スピーカから出力される広告音声とは異なる音声であって前記表示装置により表示中の広告画像に関連する副音声を出力させるものであってもよい。
この場合、主スピーカから表示画面に表示される広告に関連する広告音声を出力する際に、属性に基づいて選ばれた対象者に対して、広告音声とは異なる広告画像に関連する副音声を超指向性スピーカから出力するので、表示画面の広告及び広告音声によって効果的な広告を行いながら、超指向性スピーカを用いて、広告への注目を促す音声や広告音声と協調して聴覚効果を奏する音声等の副音声を出力することで、より高い広告効果を得ることができる。そして、副音声を聴かせる対象者の数を売上情報に基づいて変更することで、副音声による広告の最適化を図り、より高い広告効果を実現できる。
【0008】
また、上記構成において、前記広告の表示面は、店舗内または店舗近傍に設置され、当該店舗で販売される商品を広告するものであり、前記売上情報取得手段は、前記広告に関連する商品の前記店舗における売上金額を取得するものであってもよい。
この場合、店舗において販売される商品について、表示装置、メインスピーカ、及び超指向性スピーカを用いて広告を行い、この商品の当該店舗における商品の売上金額に基づいて、対象者を選ぶ条件を変更するので、広告効果を確実に反映した売上情報に基づいて広告の最適化を図ることにより、より高い広告効果を実現できる。
【0009】
また、本発明は、特定の方向に音声を出力する超指向性スピーカと、広告の表示面を視認可能な範囲を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影された撮影画像に写っている人物のうち、設定された条件を満たす属性の人物を対象者として検出する対象者検出手段と、前記音声方向調整機構によって、前記超指向性スピーカの音声出力方向を前記対象者検出手段により検出された対象者の方に向けさせて、前記超指向性スピーカから音声を出力させる音声出力制御手段と、前記超指向性スピーカから音声を出力した間における、前記広告に関連する商品の売上に関する売上情報を取得する売上情報取得手段と、前記売上情報取得手段により取得された売上情報に基づいて、前記対象者検出手段が前記対象者を検出する条件を変更する条件変更手段と、を備えることを特徴とする音声出力装置を提供する。
この構成によれば、超指向性スピーカを用いて音声を出力して広告を行い、この音声出力をした間の広告効果に基づいて、音声出力の対象者を選ぶ条件を最適化する。従って、広告を行いながら広告効果に応じて広告に係る動作の最適化を図ることができ、高い広告効果を得ることができる。
【0010】
また、本発明は、特定の方向に音声を出力する超指向性スピーカと、前記超指向性スピーカの音声出力方向を調整する音声方向調整機構と、広告の表示面を視認可能な範囲を撮影する撮影手段と、に接続された音声出力制御装置により、前記撮影手段の撮影画像に写っている人物のうち、設定された条件を満たす属性の人物を対象者として検出し、前記音声方向調整機構によって、前記超指向性スピーカの音声出力方向を前記対象者の方に向けさせて、前記超指向性スピーカから音声を出力させ、前記超指向性スピーカから音声を出力した間における、前記広告に関連する商品の売上に関する売上情報を取得し、取得した売上情報に基づいて、前記対象者検出手段が前記対象者を検出する条件を変更すること、を特徴とする音声出力制御方法を提供する。
この方法によれば、超指向性スピーカを用いて音声を出力して広告を行い、この音声出力をした間の広告効果に基づいて、音声出力の対象者を選ぶ条件を最適化する。従って、広告を行いながら広告効果に応じて広告に係る動作の最適化を図ることができ、高い広告効果を得ることができる。
【0011】
また、本発明は、特定の方向に音声を出力する超指向性スピーカと、前記超指向性スピーカの音声出力方向を調整する音声方向調整機構と、広告の表示面を視認可能な範囲を撮影する撮影手段と、に接続されたコンピュータにより実行され、前記コンピュータを、前記撮影手段により撮影された撮影画像に写っている人物のうち、設定された条件を満たす属性の人物を対象者として検出する対象者検出手段と、前記音声方向調整機構によって、前記超指向性スピーカの音声出力方向を前記対象者検出手段により検出された対象者の方に向けさせて、前記超指向性スピーカから音声を出力させる音声出力制御手段と、前記超指向性スピーカから音声を出力した間における、前記広告に関連する商品の売上に関する売上情報を取得する売上情報取得手段と、前記売上情報取得手段により取得された売上情報に基づいて、前記対象者検出手段が前記対象者を検出する条件を変更する条件変更手段と、して機能させることを特徴とするプログラムを提供する。
このプログラムを実行するコンピュータによれば、超指向性スピーカを用いて音声を出力して広告を行い、この音声出力をした間の広告効果に基づいて、音声出力の対象者を選ぶ条件を最適化する。従って、広告を行いながら広告効果に応じて広告に係る動作の最適化を図ることができ、高い広告効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、広告を行いながら、広告効果に応じて広告に係る動作の最適化を図ることができ、高い広告効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る音声出力システム1の機能的構成を示すブロック図である。
音声出力システム1は、制御装置10に、超指向性スピーカ40、メインスピーカ45(主スピーカ)、カメラ50、及び、表示装置60を各々接続して構成される。音声出力システム1は店舗100(図2)に設置され、この店舗100のPOSレジスタ71に登録される売上情報を集計し、売上データ70Aを記憶するPOS管理サーバ70が、制御装置10に接続されている。
音声出力装置としての音声出力システム1は、表示装置60によって、店舗100で販売されている商品(サービスを含む)の広告の画像を表示するとともに、この広告の画像と同期する広告音声を、メインスピーカ45から出力する。この広告画像及び広告音声の出力中に、音声出力システム1は、表示装置60の広告画像を視認可能な範囲をカメラ50により撮影し、この範囲にいる人を、撮影画像に基づいて検出し、検出した人に向けて超指向性スピーカ40から副音声を出力する。
【0014】
超指向性スピーカ40は、パラメトリックスピーカと呼ばれる高い指向性を有するスピーカであって、その音声出力方向に位置する人のみ、或いは、その人の近傍にいる人を含めた少数の人にのみ聞こえるように音声を出力する。具体的な例を挙げると、超音波トランスデューサを備え、この超音波トランスデューサによって超音波帯域の搬送波を可聴帯域の音声信号によって変調した変調波を出力する超音波スピーカを、超指向性スピーカ40として用いることができる。超指向性スピーカ40は、制御装置10から入力される音声信号に基づいて、その正面に向けて音声を出力する。
超指向性スピーカ40は、スピーカ台座41により支持される。スピーカ台座41は、超指向性スピーカ40を設置する際の台座であり、超指向性スピーカ40の音声出力方向を調整する音声方向調整機構として機能する。本実施形態のスピーカ台座41は、一例として、1軸、2軸または3軸の可動軸(図示略)と、この可動軸を中心として超指向性スピーカ40の向きを変えるモータ(図示略)とを備えている。後述するように、制御装置10の制御によってスピーカ台座41を動作させることで、超指向性スピーカ40の音声出力方向を任意の向きに変更することが可能である。
これに対し、メインスピーカ45は通常の指向性を有するスピーカであって、概ね表示パネル65の前方に向かって、超指向性スピーカ40に比べて広い範囲に音声を出力可能である。本実施形態において、メインスピーカ45は2個一対のステレオスピーカで構成され、制御装置10から入力される音声信号に基づいて左右2チャンネルのステレオ音声を出力する。
【0015】
カメラ50は、静止画像及び/又は動画像を撮影するカメラであって、制御装置10の制御に従って撮影を行い、撮影画像データを制御装置10に出力する。
カメラ50は、制御装置10に接続されるインタフェース部51と、撮影制御部52と、撮影部53と、を備える。
撮影部53は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子(図示略)、撮影レンズ群(図示略)、ズームやフォーカス等の調整を行うためにレンズ群を駆動するレンズ駆動部(図示略)等を備え、撮影制御部52の制御に従って撮影を行う。撮影制御部52は、インタフェース部51を介して入力される制御信号に従って、撮影部53のレンズ駆動部を動作させて所定の撮影条件を実現させ、この条件下で撮影部53が備える撮像素子から出力されるデータを所定形式のデータに変換し、撮影画像データとして、インタフェース部51を介して出力する。インタフェース部51は、有線のケーブルまたは無線通信回線を介して制御装置10に接続され、制御装置10から入力される制御信号を受信して撮影制御部52に出力するとともに、撮影制御部52から入力される撮影画像データ等を制御装置10に出力する。
【0016】
表示装置60は、制御装置10の制御に従って広告の画像(静止画像及び動画像を含む)を表示する。
表示装置60は、制御装置10に接続されるインタフェース部61と、インタフェース部61を介して入力された表示信号を取得する描画制御部62と、描画制御部62に接続された描画メモリ63と、描画制御部62の制御に従って表示パネル65を駆動する表示駆動回路64と、表示パネル65とを備えている。
描画制御部62は、インタフェース部61を介して制御装置10から入力された表示信号に基づいて、表示用の画像を描画メモリ63に描画する。そして、描画制御部62は、表示パネル65における描画タイミングに合わせて描画メモリ63から画像を読み出し、表示駆動回路64に出力する。表示駆動回路64は、描画制御部62から入力された画像に基づいて表示パネル65を駆動し、画像を表示させる。
【0017】
ここで、表示パネル65は、液晶表示パネル、プラズマ表示パネル、或いは有機ELパネル等のフラットディスプレイパネルにより構成される。表示パネル65が透過型の液晶表示パネルで構成される場合、表示装置60はバックライト装置(図示略)を備え、表示駆動回路64は、表示パネル65を駆動するとともにバックライト装置の点灯制御を行い、所定のタイミングで点灯させる。また、表示パネル65がプラズマ表示パネルや有機ELパネル等の自発光型のものである場合、バックライト装置は不要である。
また、表示装置60には、表示パネル65の両側方に並ぶように、2個のメインスピーカ45が取り付けられており、表示パネル65を見ている人に向けてメインスピーカ45から音声が出力される。
【0018】
図2は、店舗100に音声出力システム1を設置した一例を示す概略平面図である。
この図2に例示する店舗100は、入口101側と出口102側が壁によって仕切られており、この壁により、店舗100の奥に位置する売り場103に至る通路104が形成されている。通路104には、表示装置60が設置されている。表示装置60は、表示画面としての表示パネル65を通路104に向けて、上記の壁に掛けられており、通路104を通る人(客)から表示パネル65を視認できるよう設置されている。
表示装置60には、通路104を通る人の方に向けて、メインスピーカ45、超指向性スピーカ40及びカメラ50が取り付けられており、通路104を通る人に対し、表示パネル65に広告画像が表示され、この広告画像と同期する広告音声がメインスピーカ45から出力され、カメラ50によって通路104にいる人が撮影される。
また、売り場103には商品が陳列される商品陳列棚110が多数配置され、売り場103から出口102に向かって手前に、レジカウンター120が設置されており、レジカウンター120に載置されたPOSレジスタ71によって、売上登録・会計処理が行われる。
【0019】
図3は、超指向性スピーカ40及びカメラ50の設置状態を示す斜視図である。また、図4はカメラ50の撮影範囲を示す平面図である。
図3に示すように、超指向性スピーカ40及びカメラ50は、表示装置60の上端部に取り付けられている。
超指向性スピーカ40は、その音声出力方向が主に表示パネル65の前方に向くよう取り付けられる。本実施形態では、スピーカ台座41は二つの直交する可動軸を有し、図中矢印MHで示す方向(水平方向)及び矢印MVで示す方向(垂直方向)に、超指向性スピーカ40の音声出力方向を変更する。スピーカ台座41の可動範囲は特に限定されないが、典型的な例としては、矢印MH及び矢印MVで示すように、超指向性スピーカ40の音声出力方向を、表示パネル65の正面方向を中心として左右及び上下に変更する態様が挙げられる。超指向性スピーカ40の音声出力方向は、表示パネル65から音声を聴かせる対象者までの距離に応じて矢印MV方向に変化し、対象者の左右方向の位置に応じて矢印MH方向に変化する。
これに対し、メインスピーカ45は、表示パネル65の前面(表示面)と同じ向きに固定的に配設され、その前面及び放射状に広がる方向に、音声を出力する。本実施形態ではメインスピーカ45は左右2チャンネルのステレオ音声を出力するものであり、例えば、表示パネル65の中央の真正面において音像定位が得られるようになっている。
【0020】
撮影手段としてのカメラ50は、図3及び図4に示すように、広告の表示面としての表示パネル65の正面を含む表示パネル65の前方を撮影するよう設置されている。カメラ50の撮影範囲は、図4に符号Gで示す領域であり、表示パネル65に表示される広告の画像を視認可能な範囲である。すなわち、カメラ50は、表示パネル65を視認できる位置にいる人を撮影できるように配置される。
本実施形態では、1台のカメラ50によって通路104(図2)の大部分をカバーできるような領域Gを撮影すべく、カメラ50のレンズの種類、カメラ50の設置位置等が調整されている。具体的には、1台のカメラ50により十分な広さの領域Gを撮影するために、焦点距離が35〜24mmの広角レンズや、21mm以下の超広角レンズ(焦点距離はいずれも35mmフィルム換算)、或いは魚眼レンズを用いることが好ましく、カメラ50の設置位置を、図2〜図4に示すように表示パネル65の略中央にすることが好ましい。
なお、音声出力システム1が複数のカメラ50を備える場合には、各々のカメラ50の撮影範囲は図4の領域Gの一部のみをカバーすればよい。この場合、例えば、制御装置10により、複数のカメラ50の撮影画像を結合し、重複箇所を排除することで一つの画像に合成する等の処理を行えば、1台のカメラ50を用いる場合と同様に人物画像の検出等を行うことができる。また、この場合に、カメラ50は、通常の広角レンズを備えていれば十分に機能を果たすことができる。
【0021】
また、本実施形態では音声出力システム1が1台の超指向性スピーカ40を用いて領域Gにいる人物に音声を出力するため、スピーカ台座41の矢印MHで示す水平方向の可動範囲が、例えば180度、或いはそれ以上とすることが好ましい。音声出力システム1が複数の超指向性スピーカ40を用いて音声を出力する場合には、各々の超指向性スピーカ40のスピーカ台座41の可動範囲は、180度より小さくてもよい。
なお、超指向性スピーカ40及びカメラ50の設置場所の高さ位置は、表示装置60の上端に限定されず、より高い位置であってもよい。カメラ50によって領域G全体を効率よく撮影し、この領域G内の特定の人に確実に超指向性スピーカ40の音声を聴かせるためには、超指向性スピーカ40及びカメラ50は高い場所に設置される方が、比較的、効率がよい。
【0022】
図1に戻り、制御装置10に接続されるPOS管理サーバ70は、店舗100(図2)に設置された全てのPOSレジスタ71に接続されており、これらPOSレジスタ71において売上登録された売上に関する売上データ70Aを有する。POSレジスタ71は、店舗100において顧客が商品(サービスを含む)を購入する際に、その商品の種類、名称、単価、販売数、及び販売金額を、売上として登録する。さらに、POSレジスタ71は、販売金額と入金額に基づいて釣り銭を算出し、キャッシュドロワ(図示略)を開いて釣り銭の払い出しを行わせる。
POSレジスタ71によって登録された売上に関する情報は、全てPOS管理サーバ70により集約される。このため、POS管理サーバ70は、店舗100で販売された全ての商品について、販売日、販売時刻、単価、販売金額等を含む情報を有しており、この情報は売上データ70Aとして記憶されている。POS管理サーバ70は、制御装置10からの要求に応じて、売上データ70Aから、要求された商品に関して、要求された販売日、販売時刻に該当する情報を抽出して、制御装置10に出力する。
【0023】
音声出力システム1の各部を制御する制御装置10は、例えば、パーソナルコンピュータとして実現されるものであり、音声出力制御装置として機能する。制御装置10は、図1に示すように、音声出力部11、台座駆動部12、入力部13、表示部14、記録媒体読取部15、インタフェース部16、制御装置10の各部を制御する制御部20、及び、記憶部30を備えている。
【0024】
音声出力部11は、超指向性スピーカ40及びメインスピーカ45の各々に接続され、制御部20によって音声データが入力された場合に、この音声データに係る音声を出力するための音声信号を生成し、超指向性スピーカ40及びメインスピーカ45に出力する。この音声出力部11の動作により、メインスピーカ45に対しては広告音声の音声信号が出力され、超指向性スピーカ40に対しては副音声の音声信号が出力される。メインスピーカ45はステレオスピーカであるため、音声出力部11は、2個一対のメインスピーカ45の各々に左右チャンネルの音声信号を出力するものとしてもよい。
台座駆動部12は、制御部20の制御に従って、スピーカ台座41が備えるモータ(図示略)を駆動するための駆動信号や電源を供給する。この台座駆動部12がスピーカ台座41に出力する駆動信号や電源によって上記モータが所定角度だけ回動し、超指向性スピーカ40の音声出力方向が、制御部20が決定した方向となる。
【0025】
入力部13は、マウスやキーボード等の入力デバイスに接続され、これら入力デバイスの操作を検出して、この操作に対応する操作信号を制御部20に出力する。
表示部14は、制御部20の制御に従って、各種情報を表示するものであり、例えば液晶表示パネルを用いて構成される。
記録媒体読取部15は、CD、DVD、或いは次世代型DVD等の光ディスク型記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、磁気記録媒体、半導体記憶素子を利用した記憶装置、磁気的記録媒体を利用した記録装置等から、プログラムやデータを読み取る装置である。記録媒体読取部15は、制御部20の制御に従って、表示装置60により表示する画像に係るデータや、超指向性スピーカ40から出力する音声に係るデータ、制御部20が実行するプログラムや処理対象のデータ等を読み取って、制御部20に出力する。記録媒体読取部15により読み取られたデータやプログラムは、制御部20の制御に基づいて、記憶部30に記憶される。
【0026】
インタフェース部16は、カメラ50が備えるインタフェース部51、及び、表示装置60が備えるインタフェース部61に対し、有線または無線により接続される。インタフェース部16は、インタフェース部51、61との間において、制御信号や表示情報、撮影画像データ等の入出力を実行する。
【0027】
制御部20は、制御装置10の各部を中枢的に制御するものであり、CPU、CPUによって実行される基本制御プログラムや処理されるデータ等を不揮発的に記憶するROM、CPUによって実行されるプログラムや処理されるデータ等を一時的に記憶するRAM、及び、その他の周辺回路等を備えている。制御部20は、ROMに記憶された基本制御プログラムを読み出して実行することにより、制御装置10の各部を制御する。さらに、制御部20は、ROMや記憶部30に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、制御装置10に接続された各部を制御することにより、制御装置10の各種機能を実現する。
すなわち、制御部20は、顔方向判定部21、属性判別部22(属性判別手段)、音声出力制御部23(対象者検出手段、音声出力制御手段)、スピーカ台座制御部24、及び、広告条件設定部25(売上情報取得手段、条件設定手段)の各機能部を有する。これらの機能部は、制御部20が有するCPUが所定のプログラムを実行することで、実現される。
【0028】
顔方向判定部21は、カメラ50から入力される撮影画像データを解析して、カメラ50の撮影画像に写っている人毎に、顔の向きを判定する処理を行う。顔方向判定部21は、少なくとも、各々の人の顔が表示パネル65を向いているか否かを判定する。
図4に示すように、カメラ50は領域Gにいる人を撮影可能であり、例えば領域Gに三人の人U1、U2、U3がいる場合には、カメラ50の撮影画像には三人の人U1〜U3の顔が写る。図4中、人U1の顔の向きを方向A1とし、人U2の顔の向きを方向A2とし、人U3の顔の向きを方向A3とする。図4の例では、人U1の顔の向き方向A1は表示パネル65に対して横向きであり、人U3の顔の向き方向A3は表示パネル65とは反対側の斜め方向である。これに対し、人U2の顔の向き方向A2は正面から表示パネル65側を向いている。
カメラ50は表示パネル65の表示面と同じ側から、表示パネル65の前方、すなわち表示パネル65を視認可能な範囲(領域G)を撮影するので、カメラ50の撮影画像において、表示パネル65を向いている人U2の顔は正面向きに写る。
顔方向判定部21は、カメラ50の撮影画像における人の姿を検出し、各々の人の顔が正面向きの顔であるか否かを判定することで、顔の向きを判定する。なお、顔方向判定部21は、人の顔が表示パネル65を正面から見ているか否かを判定するだけでなく、表示パネル65に対して横方向や斜め方向、或いは表示パネル65の反対側を向いている人の顔について、その向きやおよその角度を判定できるものであってもよい。
【0029】
属性判別部22は、カメラ50から入力される撮影画像データを解析して、カメラ50の撮影画像に写っている人毎に、属性を判別する処理を行う。属性判別部22は、少なくとも、各々の人の顔が表示パネル65を向いているか否かを判定する。
属性判別部22は、カメラ50の撮影画像から人の姿の部分を検出し、その人の姿の部分について特徴を検出する。ここで検出される特徴は、画像中の頭髪の占める割合、頭髪及び皮膚の色調、身長及び身幅とその比、顔の特徴、服装の色調等である。続いて属性判別部22は、検出した画像の特徴に基づいて、その人の属性として、例えば性別や年代を判別する。
【0030】
音声出力制御部23は、超指向性スピーカ40による副音声の出力を制御する。具体的には、音声出力制御部23は、カメラ50の撮影画像に写っている人の中から、属性判別部22により判別された人毎の属性に基づいて、超指向性スピーカ40によって音声を聴かせる対象者を選択する。そして、音声出力制御部23は、対象者に適した音声を、記憶部30に記憶された音声選択用テーブル33に基づいて選択し、選択した音声のデータを広告音声データ32から読み出して音声出力部11に出力し、この音声を出力するための音声信号を、音声出力部11から超指向性スピーカ40へ出力させる。
また、音声出力制御部23は、表示装置60によって表示中の広告画像に対応する広告音声の音声データを音声選択用テーブル33に基づいて選択し、記憶部30から読み出して、音声出力部11に出力する。
スピーカ台座制御部24は、音声出力制御部23によって選択された対象者に超指向性スピーカ40の音声を聴かせるため、カメラ50の撮影画像における対象者の位置に基づいて、スピーカ台座41を駆動する方向及び駆動量を算出し、算出結果に基づいて台座駆動部12を制御し、スピーカ台座41を動作させる。
この音声出力制御部23及びスピーカ台座制御部24の動作により、カメラ50によって撮影された人のうち、特定の人(対象者)に対して超指向性スピーカ40から音声が出力される。
【0031】
広告条件設定部25は、音声出力制御部23が超指向性スピーカ40によって音声を聴かせる対象者を選択する際の条件を設定する。音声出力制御部23は、上述したように、属性判別部22により判別された人毎の属性に基づいて対象者を選択するが、この選択の基準を、広告条件設定部25が設定する。
広告条件設定部25は、音声出力システム1の初期状態においては特定の属性に該当する人を対象者とするよう設定し、その後、表示装置60及びメインスピーカ45によって広告されている商品の売上金額に応じて、対象者とする属性の範囲を拡げる処理を行う。すなわち、広告条件設定部25は、超指向性スピーカ40からの音声出力を行っている間の商品の売上に関する情報を、POS管理サーバ70から取得し、この売上の金額が、予め設定された目標金額に達しない場合に、音声出力制御部23が対象者を選ぶ条件として設定した属性を、より多くの対象者を含むように拡大する。
例えば、初期状態において、広告条件設定部25が、属性判別部22によって「20−30代女性」と判別された人を対象者とするよう設定し、POS管理サーバ70から取得した売上金額が目標金額に達しない場合に、対象者の属性として、「20−30代女性」に加えて、「20−30代男性」と「40−50代女性」を含むように設定を変更する。
その後、広告条件設定部25は、所定時間経過後に再びPOS管理サーバ70から売上金額を取得し、この売上金額が目標金額に達していた場合には、広告条件設定部25が対象者を選択する条件となる属性を、初期状態に戻す。
この広告条件設定部25の機能により、店舗100における売上金額が目標値を達成できるように、超指向性スピーカ40の音声出力の対象者数を調整することができる。
【0032】
記憶部30は、磁気的、光学的記録媒体或いは半導体記憶素子を用いた記憶装置を備え、各種のプログラムやデータ等を不揮発的に記憶する。また、記憶部30は、広告画像データ31、広告音声データ32、音声選択用テーブル33、及び個人識別情報34の各情報を記憶する。
広告画像データ31は、表示装置60によって表示される画像のデータであり、商品やサービス等の広告用の静止画像または動画像のデータである。広告画像データ31は、複数の画像のデータを含んでいる。
広告音声データ32は、超指向性スピーカ40から出力される音声のデータであり、広告画像データ31に含まれる各画像データの種類、及び、音声を聴かせる対象者の属性等に対応して、複数の音声データが広告音声データ32に含まれる。
音声選択用テーブル33は、広告音声データ32の中から、超指向性スピーカ40が出力する音声を選択するためのテーブルであり、一つの音声データを決定するための条件等が設定されている。
個人識別情報34は、カメラ50の撮影画像に写っている人について、人毎に異同を識別するための情報であり、例えば、属性判別部22が属性を判別する際に検出した撮影画像の特徴に関する情報を含んでいる。
【0033】
図5は、音声選択用テーブル33の構成例を模式的に示す図である。
この図5に示す例の音声選択用テーブル33によれば、表示装置60に表示される広告画像の種類と、対象者がカメラ50撮影画像において検出された回数と、対象者の属性と、をもとに音声データが決定される。
すなわち、音声選択用テーブル33には、表示装置60に表示される広告画像の種類と広告音声の主音声とが対応づけられ、さらに、広告画像の種類、対象者がカメラ50撮影画像において検出された回数、対象者の属性(年代、性別)毎に、対応する音声データが設定されている。
例えば、表示装置60に表示される広告画像Aに対応する主音声として、音声データMが対応づけられている。また、広告画像Aの出力中であって、音声出力制御部23が検出した対象者がカメラ50の撮影画像から検出されたのが最初(1回目)であり、対象者の属性が20−30代の男性である場合に対応する音声データとしては、音声データA1が設定されている。
音声出力制御部23は、制御部20の制御によって表示装置60に表示させている広告画像の種類、属性判別部22によって対象者がカメラ50撮影画像から検出された回数、及び、属性判別部22が判別した対象者の属性(年代、性別)に基づいて、広告音声データ32に含まれる複数の音声データから、メインスピーカ45によって出力する主音声の音声データ、及び、超指向性スピーカ40によって出力する副音声の音声データとして、適切な音声データを選択できる。
【0034】
ここで、対象者がカメラ50の撮影画像において検出された回数は、例えば、個人識別情報34を利用して求めることができる。
すなわち、制御部20は、属性判別部22によってカメラ50の撮影画像から人の姿の部分の特徴を検出した後、検出した特徴に固有のIDを付して、個人識別情報34に登録する。そして、制御部20は、属性判別部22によってカメラ50の撮影画像から人の姿の部分の特徴を検出した後で、個人識別情報34に同様の特徴を有する人の画像の情報が登録されているか否かを判定する。この判定により、カメラ50の撮影画像から検出された人の姿が、以前にもカメラ50の撮影画像において検出された人の姿であるかどうかが判定でき、初めてカメラ50の撮影画像に写った人の姿か否かがわかる。
【0035】
図6は、音声出力システム1の動作を示すフローチャートであり、特に、表示パネル65に広告を表示している間に、メインスピーカ45から主音声を出力しながら、超指向性スピーカ40から副音声を出力する音声出力処理を示す。
この音声出力処理は、制御装置10の制御部20が、カメラ50の撮影画像を所定周期でサンプリングする毎に行われる。
制御部20は、まず、カメラ50の撮影画像を、インタフェース部16を介して取得する(ステップS11)。ここで取得される撮影画像は、静止画像データであってもよいし、動画像データから一つのフレームを切り出したものであってもよい。
制御部20は、顔方向判定部21及び属性判別部22による検出を行って、カメラ50の撮影画像中に人の姿の画像(人物画像)があるか否かを判別する(ステップS12)。ここで、撮影画像中に人物の画像がない場合(ステップS12;No)、制御部20は本処理を終了する。
【0036】
一方、撮影画像中に人物の画像があった場合、すなわち人が写っていた場合(ステップS12;Yes)、制御部20は、撮影画像において検出された全ての人物の画像から処理対象となる人物の画像を一つ選択し(ステップS13)、この画像が、個人識別情報34に登録されている人物の画像であるか否かを判定する(ステップS14)。この判定は、上述したように処理対象の人物の画像の特徴を検出し、検出した特徴と同じ特徴を有する画像が個人識別情報34に登録されているか否かを判定することで、行われる。
処理対象の人物の画像が、まだ個人識別情報34に登録されていなかった場合(ステップS14;No)、制御部20は、顔方向判定部21の機能によって処理対象の人物の画像から顔の向きを判定する(ステップS15)。
【0037】
ここで、処理対象の人物の画像から判定された顔の向きが、表示パネル65の正面向きであった場合(ステップS16;Yes)、制御部20は、音声出力などの処理を行わずにステップS23に移行する。
つまり、本実施形態の制御部20は、表示装置60により表示される広告画像を既に見ている人には、超指向性スピーカ40による音声出力を行わない。これは、広告画像を見ていない人に超指向性スピーカ40の音声を聴かせることで、広告に注目させるためであり、広告への注目を集めることを最優先とする場合に特に有効である。
【0038】
また、処理対象の人物の画像から判定された顔の向きが、表示パネル65の正面を向いていない場合(ステップS16;No)、制御部20は、この人物の画像に基づいて属性判別部22による属性判別を行い(ステップS17)、音声出力の対象として事前に設定された属性か否かを判定する(ステップS18)。
【0039】
属性判別部22が判別した属性が、音声出力の対象として事前に設定された属性であった場合(ステップS18;Yes)、制御部20は、この人物を超指向性スピーカ40の音声出力の対象者として決定し(ステップS19)、音声出力制御部23の機能により、音声選択用テーブル33に従って音声データを選択するとともに選択した音声データを広告音声データ32から取得する(ステップS20)。
続いて、制御部20は、超指向性スピーカ40の音声出力方向をステップS19で決定した対象者の方向に合わせるため、スピーカ台座制御部24の機能によって台座駆動部12を制御し、超指向性スピーカ40の向きを調整する(ステップS21)。そして、制御部20は、音声出力制御部23の機能によって超指向性スピーカ40から副音声を出力させ(ステップS22)、この人物画像についてステップS18で検出した特徴を個人識別情報34に登録し(ステップS23)、ステップS24に移行する。
ステップS24では、カメラ50の撮影画像において検出された人物の画像の全てについて処理が完了したか否かを判別し、全ての人物の画像の処理が済んでいれば(ステップS24;Yes)、本処理を終了し、まだ処理されていない人物の画像がある場合は(ステップS24;No)、ステップS13に戻って、別の人物の画像を処理対象とする。
【0040】
ところで、ステップS13で選択された処理対象の人物の画像が、個人識別情報34に登録されていた場合(ステップS14;Yes)、制御部20は、音声出力制御部23の機能により、音声選択用テーブル33に基づいて音声データを選択するとともに、選択した音声データを広告音声データ32から取得する(ステップS25)。続いて、制御部20は、超指向性スピーカ40の音声出力方向をステップS17で決定した対象者の方向に合わせるため、スピーカ台座制御部24の機能によって台座駆動部12を制御し、超指向性スピーカ40の向きを調整する(ステップS26)。そして、制御部20は、音声出力制御部23の機能によって超指向性スピーカ40から副音声を出力させ(ステップS27)、ステップS24に移行する。
【0041】
このように、制御部20は、カメラ50の撮影画像から検出された人物の画像が、予め対象者の属性として設定された属性に該当する場合に、超指向性スピーカ40による音声出力を行い、設定された属性以外の属性の人物に対しては、超指向性スピーカ40による音声を聴かせない。これは、例えば表示装置60に表示される広告画像の対象年齢や対象の性別など、広告対象として想定されている属性から外れる人に対して、広告画像への注目を喚起する意義が薄い。
従って、音声出力システム1によれば、表示パネル65の広告画像の対象属性等に基づいて設定された属性に該当しない人には超指向性スピーカ40の音声を聴かせず、設定された属性の人に対してのみ音声を聴かせることで、効果的に広告への注目を集めることができ、より高い広告効果が期待できる。
しかしながら、対象の属性に関する設定が適切かどうかは来店顧客の属性毎の人数にも影響され、必ずしも正しいとはいえず、例えば、対象年齢層を狭く絞ることで対象者数が少数になってしまうこともあり得る。
このため、音声出力システム1は、POS管理サーバ70が有する売上データ70Aに基づいて、表示パネル65により表示中の広告に関する商品の売り上げを取得し、この売り上げが設定された値に達しなかった場合には、対象の属性を変化させる、設定変更処理を行う。
【0042】
図7は、設定変更処理を含む音声出力システム1の動作を示すフローチャートである。
制御部20は、広告条件設定部25の機能により、図6に示す音声出力処理を実行中に、予め設定された売上確認時間が経過したか否かを判別する(ステップS31)。売上確認時間は、広告動作を変更する設定変更処理の周期として設定された時間であり、売上確認時間が経過する毎に、商品の売上金額に基づく条件の変更が行われる。売上確認時間は、例えば1〜数時間に設定される。この売上確認時間が経過していない場合は、図6の音声出力処理に戻る。
売上確認時間が経過した場合(ステップS31;Yes)、制御部20は、前回の設定変更処理を行ってから売上確認時間が経過するまでの時間、すなわち処理対象時間に広告された商品を検出し(ステップS32)、POS管理サーバ70に対して、処理対象時間分の商品の売上金額のデータを要求し、この要求に応じてPOS管理サーバ70から入力される売上データを取得する(ステップS33)。
【0043】
ここで、制御部20は、取得した売上データに基づいて、処理対象時間における該当商品の売上金額が、予め設定された目標値に達したか否かを判別し(ステップS34)、目標値に達していない場合には(ステップS34;No)、音声出力制御部23によって対象者として検出される人の属性を、現在設定されている属性から拡大可能か否かを判別する(ステップS35)。
ここで、対象者として検出される人の属性を増やすことができれば対象者を増やすことが可能であるが、例えば、既に対象者として検出する人物の属性を最大限に増やしている場合には、対象者となる属性を拡大することはできない。制御部20は、対象者の属性を拡大可能な場合は(ステップS35;Yes)、売上金額が目標値に達しなかった場合に対象者を増やすため、対象の属性を増やす(拡大する)処理を行い(ステップS36)、本処理を終了する。また、対象者の属性を拡大できない場合(ステップS35;No)、制御部20は、そのまま本処理を終了する。
【0044】
一方、処理対象時間における該当商品の売上金額が、予め設定された目標値に達している場合(ステップS34;Yes)、制御部20は、現在設定されている対象者の属性が、過去に拡大された状態であるか否かを判別し(ステップS37)、拡大されている場合には(ステップS37;Yes)、対象者として検出する属性を元通りに縮小するよう変更し(ステップS38)、本処理を終了する。また、現在設定されている対象者の属性が拡大されていない場合(ステップS37;No)、そのまま本処理を終了する。
【0045】
この図7の処理は売上確認時間として設定された時間が経過する毎に実行され、広告されている商品の対象時間における売上金額が目標値に達しなかった場合には、音声出力制御部23によって対象者として検出する人の属性が、対象者が増えるように拡大される。このため、広告効果が、目標として設定されたレベルに達しない場合に、より大きな広告効果が得られるように、広告としての副音声を聴かせる対象者を増やすよう、条件を変更できる。つまり、広告を行いながら広告効果を測定し、この広告効果が十分に得られるように、随時、条件を変更して、最適化を行うことができる。
【0046】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態に係る音声出力システム1によれば、音声出力システム1の制御装置10は、制御部20によって、広告を表示する表示パネル65を視認可能な領域Gにいる人の中から、設定された条件を満たす属性の人物を対象者として検出し、この対象者に対して超指向性スピーカ40から音声を出力することにより、対象者にのみ聞こえるように音声を出力することが可能であり、対象者の属性に係る条件を、広告に関連する商品の売上金額に基づいて変更する。
これにより、領域Gにいる人の中から属性によって対象者を選び、広告される商品の売上金額に基づいて対象者を選ぶ条件を変更できる。つまり、超指向性スピーカ40を用いて音声を出力して広告への注目を集め、この音声出力をした間の広告効果に基づいて、音声出力の対象者を選ぶ条件を最適化する。従って、広告を行いながら広告効果に応じて広告に係る動作の最適化を図ることができ、高い広告効果を得ることができる。
【0047】
ここで、音声出力システム1は、広告した商品の売上金額が目標値を下回った場合に、対象者として検出する人物の属性を、対象者が増加するよう変更するので、広告効果を正確かつ速やかに判別するとともに、広告効果が十分でない場合に、より速やかに動作の最適化を図ることができる。
また、音声出力システム1は、広告画像を表示する表示パネル65を視認可能な領域Gをカメラ50によって撮影し、超指向性スピーカ40から、表示パネル65において表示中の広告画像に関連する音声を出力させるので、より効果的に、表示パネル65に表示される広告に対する注目を集めることができる。そして、この音声出力の対象者を選ぶ条件を、広告される商品の売り上げに基づいて変更することで最適化を図り、より高い広告効果を実現できる。さらに、音声出力システム1は、メインスピーカ45から、表示パネル65に表示される広告に関連する広告音声を出力し、超指向性スピーカ40から、メインスピーカ45から出力される広告音声とは異なる音声であって、広告画像に関連する副音声を出力させるので、表示パネル65の広告及びメインスピーカ45からの広告音声によって広告を行いながら、超指向性スピーカ40を用いて、広告への注目を促す音声や広告音声と協調して聴覚効果を奏する音声等の副音声を出力することで、より高い広告効果を得ることができる。そして、副音声を聴かせる対象者の数を売上金額に基づいて変更することで、副音声による広告の最適化を図り、より高い広告効果を実現できる。
【0048】
そして、音声出力システム1が、店舗100に設置され、当該店舗100で販売される商品を広告するものであり、この商品の店舗100における売上金額に基づいて、対象者の属性に係る条件を変更するので、店舗100において商品の広告をしながら、広告効果を確実に反映する店舗100の売上金額に基づいて、対象者を選ぶ条件を変更するので、売上金額に基づいて広告の最適化を図ることにより、より高い広告効果を実現できる。
【0049】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
上記の実施形態では、属性判別部22が属性として人物の性別や年代を判別する構成としたが、判別される属性は性別に限らず、日本人であるか外国人であるかを判別する構成とし、日本人の場合にはこの人物に対し日本語の音声が出力されるようにし、外国人の場合にはこの人物に対し外国語の音声が出力されるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、例えば壁掛け設置される表示装置60に超指向性スピーカ40、メインスピーカ45及びカメラ50が設置される構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示装置60から離れた場所に超指向性スピーカ40、メインスピーカ45及びカメラ50を設置することも勿論可能であり、超指向性スピーカ40とメインスピーカ45とカメラ50とを、互いに離れた場所に設置することも可能である。さらに、広告を表示する表示面としては、表示装置60の表示パネル65に限定されず、例えば紙または合成樹脂製のシートからなるポスターを掲示する掲示板も、広告を表示する表示面に相当するし、壁面に直接広告が描かれている場合に、この壁面自体を広告の表示面として扱うことも可能である。すなわち、この壁面を視認可能な領域Gをカメラ50により撮影するとともに、この撮影画像に基づいて音声を聴かせる対象者を選択してから、対象者に向けて超指向性スピーカ40により音声を出力することが可能である。
【0050】
さらに、上記実施形態における超指向性スピーカ40及びカメラ50の数についても任意であり、制御部20が実行するプログラムは記憶部30や記録媒体読取部15によって読み取り可能な記録媒体に記録するほか、通信回線(図示略)を介してダウンロードすることも可能であり、その他、音声出力システム1を構成する細部構成等についても、任意に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】音声出力システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図2】店舗における音声出力システムの設置例を示す概略平面図である。
【図3】超指向性スピーカ及びカメラの設置状態を示す斜視図である。
【図4】カメラの撮影範囲を示す平面図である。
【図5】音声選択用テーブルの構成例を模式的に示す図である。
【図6】音声出力システムの動作を示すフローチャートである。
【図7】音声出力システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1…音声出力システム(音声出力装置)、10…制御装置(音声出力制御装置)、11…音声出力部、12…台座駆動部、20…制御部、21…顔方向判定部(対象者検出手段)、22…属性判別部(属性判別手段)、23…音声出力制御部(音声出力制御手段)、24…スピーカ台座制御部、25…広告条件設定部(売上情報取得手段、条件設定手段)、30…記憶部、31…広告画像データ、32…広告音声データ、32…音声選択用テーブル、33…音声選択用テーブル、34…個人識別情報、40…超指向性スピーカ、41…スピーカ台座(音声方向調整機構)、45…メインスピーカ(主スピーカ)、50…カメラ(撮影手段)、60…表示装置、65…表示パネル、70…POS管理サーバ、71…POSレジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の方向に音声を出力する超指向性スピーカと、前記超指向性スピーカの音声出力方向を調整する音声方向調整機構と、広告の表示面を視認可能な範囲を撮影する撮影手段と、に接続され、
前記撮影手段により撮影された撮影画像に写っている人物のうち、設定された条件を満たす属性の人物を対象者として検出する対象者検出手段と、
前記音声方向調整機構によって、前記超指向性スピーカの音声出力方向を前記対象者検出手段により検出された対象者の方に向けさせて、前記超指向性スピーカから音声を出力させる音声出力制御手段と、
前記超指向性スピーカから音声を出力した間における、前記広告に関連する商品の売上に関する売上情報を取得する売上情報取得手段と、
前記売上情報取得手段により取得された売上情報に基づいて、前記対象者検出手段が前記対象者を検出する条件を変更する条件変更手段と、
を備えることを特徴とする音声出力制御装置。
【請求項2】
前記条件変更手段は、前記売上情報取得手段により取得された売上情報が示す売上金額が、設定された値に達しなかった場合に、前記対象者検出手段により前記対象者として検出される人物の属性を、前記対象者が増加するよう変更すること、
を特徴とする請求項1記載の音声出力制御装置。
【請求項3】
前記撮影手段は、前記広告の表示面として、広告画像を表示する表示装置の表示画面を視認可能な範囲を撮影するものであり、
前記音声出力制御手段は、前記超指向性スピーカから、前記表示装置により表示中の広告画像に関連する音声を出力させること、
を特徴とする請求項1または2記載の音声出力制御装置。
【請求項4】
前記表示画面に表示される広告に関連する広告音声を出力する主スピーカに接続され、
前記音声出力制御手段は、前記超指向性スピーカから、前記主スピーカから出力される広告音声とは異なる音声であって前記表示装置により表示中の広告画像に関連する副音声を出力させること、
を特徴とする請求項3記載の音声出力制御装置。
【請求項5】
前記広告の表示面は、店舗内または店舗近傍に設置され、当該店舗で販売される商品を広告するものであり、
前記売上情報取得手段は、前記広告に関連する商品の前記店舗における売上金額を取得すること、
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の音声出力制御装置。
【請求項6】
特定の方向に音声を出力する超指向性スピーカと、
広告の表示面を視認可能な範囲を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された撮影画像に写っている人物のうち、設定された条件を満たす属性の人物を対象者として検出する対象者検出手段と、
前記音声方向調整機構によって、前記超指向性スピーカの音声出力方向を前記対象者検出手段により検出された対象者の方に向けさせて、前記超指向性スピーカから音声を出力させる音声出力制御手段と、
前記超指向性スピーカから音声を出力した間における、前記広告に関連する商品の売上に関する売上情報を取得する売上情報取得手段と、
前記売上情報取得手段により取得された売上情報に基づいて、前記対象者検出手段が前記対象者を検出する条件を変更する条件変更手段と、
を備えることを特徴とする音声出力装置。
【請求項7】
特定の方向に音声を出力する超指向性スピーカと、前記超指向性スピーカの音声出力方向を調整する音声方向調整機構と、広告の表示面を視認可能な範囲を撮影する撮影手段と、に接続された音声出力制御装置により、
前記撮影手段の撮影画像に写っている人物のうち、設定された条件を満たす属性の人物を対象者として検出し、
前記音声方向調整機構によって、前記超指向性スピーカの音声出力方向を前記対象者の方に向けさせて、前記超指向性スピーカから音声を出力させ、
前記超指向性スピーカから音声を出力した間における、前記広告に関連する商品の売上に関する売上情報を取得し、
取得した売上情報に基づいて、前記対象者検出手段が前記対象者を検出する条件を変更すること、
を特徴とする音声出力制御方法。
【請求項8】
特定の方向に音声を出力する超指向性スピーカと、前記超指向性スピーカの音声出力方向を調整する音声方向調整機構と、広告の表示面を視認可能な範囲を撮影する撮影手段と、に接続されたコンピュータにより実行され、
前記コンピュータを、
前記撮影手段により撮影された撮影画像に写っている人物のうち、設定された条件を満たす属性の人物を対象者として検出する対象者検出手段と、
前記音声方向調整機構によって、前記超指向性スピーカの音声出力方向を前記対象者検出手段により検出された対象者の方に向けさせて、前記超指向性スピーカから音声を出力させる音声出力制御手段と、
前記超指向性スピーカから音声を出力した間における、前記広告に関連する商品の売上に関する売上情報を取得する売上情報取得手段と、
前記売上情報取得手段により取得された売上情報に基づいて、前記対象者検出手段が前記対象者を検出する条件を変更する条件変更手段と、
して機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−39095(P2010−39095A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200461(P2008−200461)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】