説明

音声制御方法

【課題】キャラクタが音声出力するようなコンピュータゲームにおいて、キャラクタの声質を多様に設定できる音声制御方法を提供する。
【解決手段】共通のネットワークゲームに登場するプレイヤのキャラクタが発する音声を制御する音声制御方法において、プレイヤの操作により、プレイヤのキャラクタの身長及び体重を決定するステップと、マイクから入力される音声を第1の音声データに変換するステップと、キャラクタの身長及び体重とプレイヤの身長及び体重との比較に基づいて、第1の音声データの周波数特性を変化させて、第1の音声データを第2の音声データに変換するステップと、第2の音声データをキャラクタの音声として出力するステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータゲームに登場するキャラクタの発する音声を制御する音声制御方法に関し、特に、キャラクタの属性に応じて、キャラクタの音声の声質を変化させる音声制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信技術の発達により、各家庭にある家庭用ゲーム装置やパソコンなどを電話回線などにより接続して共通のネットワークを構成したり、ゲームセンタやゲームカフェなどの店舗に設置される端末装置を光ファイバなどの専用回線により接続して共通のネットワークを構成することが行われている。このネットワークを介して、複数の参加者同士がリアルタイムで会話(「チャット」)を行ったり、複数のプレイヤが共通のゲームに参加したりすることが可能となる。
【0003】
例えば、複数のプレイヤによりネットワークを介して実行されるゲーム(ネットワークゲームと称す)では、各プレイヤのゲーム装置(端末装置)を、ネットワークを介してサーバに接続し、サーバを介して、各プレイヤのゲーム装置に対する操作情報などを含むゲーム情報を互いに通信することで、各ゲーム装置で共通のネットワークゲームが進行する。
【0004】
このネットワークゲームが、例えば、各プレイヤの分身であるキャラクタが設定され、各プレイヤのキャラクタが戦う対戦ゲームであったり、各プレイヤのキャラクタが一緒に冒険したりするロールプレイングゲームの場合、キャラクタを介して、プレイヤ同士が対話をする場面がある場合がある。対話は、例えば、プレイヤによるゲーム装置から入力されたテキストデータを、相手プレイヤのゲーム装置にネットワークを介して送信し、画面上のキャラクタに対して、そのテキストデータを吹き出しで表示することにより実現される。
【0005】
図13は、吹き出しが表示されたゲーム画面の例である。図示されるとおり、キャラクタの近傍にテキストを含む吹き出しが表示され、プレイヤ同士の対話が行われる。
【0006】
また、プログラムデータを格納する記録媒体の大容量化及びネットワーク配信などにより大量のデータを扱うことが可能になってきたことから、従来のキャラクタの発するセリフを文字表示又は一部のセリフのみ音声として出力していたのに対し、全てのセリフを音声出力する方向への移行が進んでいる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、対話のテキストデータを吹き出しで表示するより、音声出力によりキャラクタに直接しゃべらせるようにした方が、ネットワークゲームをよりリアルに行うことができる。
【0008】
音声出力する場合、あらかじめ、キャラクタの声質を設定しておいてもよいし、プレイヤの声質で音声出力することが考えられる。しかしながら、キャラクタの声質をあらかじめ設定してしまうと、そのキャラクタを選択したすべてプレイヤの声質が同じになってしまい、多様性に乏しい、また、プレイヤの声をそのまま出力すると、そのキャラクタに適しない場合がある。例えば、男性プレイヤが女性キャラクタを選択した場合、男性の声質で、女性キャラクタがしゃべることになってしまう。
【0009】
そこで、本発明の目的は、キャラクタが音声出力するようなコンピュータゲームにおいて、キャラクタの声質を多様に設定できる音声制御方法及びそのためのコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の音声制御方法は、コンピュータゲームに登場するキャラクタが発する音声を制御する音声制御方法において、外部より入力される音声又はあらかじめ用意される音声を、前記キャラクタの属性情報に基づいて変換する変換ステップと、当該変換した声質の音声を前記キャラクタの音声として出力する出力ステップとを備えることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、上記変換ステップは、キャラクタの属性情報に基づいて、前記外部より入力される音声又はあらかじめ用意される音声の周波数特性を変化させる。属性情報は、例えば、性別、年齢、身長、体重の少なくとも一つを含む。
【0012】
本発明の一つの側面では、例えば、外部より入力される音声は、コンピュータゲームのプレイヤの発する音声であって、変換ステップは、キャラクタの属性情報とプレイヤの属性情報との関係に基づいて、プレイヤの発する音声の周波数特性についての変化値を求める。
【0013】
また、本発明の別の側面においては、変換ステップは、前記キャラクタの属性情報の変更に基づいて、あらかじめ用意される音声の周波数特性についての変化値を求めてもよい。
【0014】
さらに、上記本発明の音声制御方法をコンピュータ装置に実行されるためのコンピュータプログラムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、本発明の技術的範囲が、本実施の形態に限定されるものではない。
【0016】
本発明の実施の形態における音声制御方法は、例えば、キャラクタがセリフを発するように設定されたゲームや、ネットワークを介して複数のゲーム装置(端末)間で行われるネットワークゲームに適用され、例えば、ゲーム装置で実行されるゲームプログラムの一部として実現される。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態におけるゲーム装置のブロック構成例である。ゲーム装置10には、図1に示すように、ゲームプログラムの実行やシステム全体の制御や画像表示のための座標計算などを行うCPU12と、CPU12が処理を行うのに必要なプログラムやデータを格納するバッファメモリとして利用されるシステムメモリ(RAM)14とがバスラインにより共通接続され、バスアービタ20に接続されている。バスアービタ20は、ゲーム装置10の各ブロックや外部に接続される機器とのプログラムやデータの流れを制御する。
【0018】
さらに、ゲームプログラムやデータ(映像データや音楽データも含む)が格納されたプログラムデータ記憶装置又は記憶媒体16(ゲーム用記録媒体であるCD−ROMなどを駆動する光ディスクや光ディスクドライブなども含む)と、ゲーム装置10を起動するためのプログラムやデータが格納されているBOOTROM18とがバスラインを介してバスアービタ20に接続されている。
【0019】
また、バスアービタ20を介して、プログラムデータ記憶装置又は記憶媒体16から読み出した映像データを再生したり、プレイヤの操作やゲームの進行に応じて画像表示のための画像を生成するレンダリングプロセッサ22と、そのレンダリングプロセッサ22が画像生成を行うために必要なグラフィックデータなどを格納しておくグラフィックメモリ24とが接続されている。レンダリングプロセッサ22から出力される画像信号は、ビデオDAC(図示せず)によりデジタル信号からアナログ信号に変換され、ディスプレイ26に表示される。
【0020】
また、バスアービタ20を介して、プログラムデータ記憶装置又は記憶媒体16から読み出した音楽データを再生したり、プレイヤの操作やゲームの進行に応じて効果音や音声を生成するサウンドプロセッサ28と、そのサウンドプロセッサ28により効果音や音声を生成するために必要なサウンドデータなどを格納しておくサウンドメモリ30とが接続されている。サウンドプロセッサ28から出力される音声四郷は、オーディオDAC(図示せず)によりデジタル信号からアナログ信号に変換され、スピーカ32から出力される。
【0021】
また、バスアービタ20は、インターフェース機能も有し、モデム34を介して電話回線などの通信回線と接続される。ゲーム装置10は、モデム34により電話回線を介してインターネットに接続され、他のゲーム装置やネットワークサーバなどとの通信が可能となる。
【0022】
また、バスアービタ20には、プレイヤの操作に従ってゲーム装置10や外部に接続された機器を制御するための情報をゲーム装置10に出力するコントローラ36が接続されている。
【0023】
コントローラ36には、外部記憶手段であるビジュアルメモリ38が接続されている。ビジュアルメモリ38には、各種情報を記憶するメモリとともに液晶画面によりサブモニタが設けられている。
【0024】
また、コントローラ36には、プレイヤの発する音声を電気信号(音声データ)にするマイク装置40も接続している。
【0025】
上述したモデム34は、電話回線を使用するものであるが、電話回線を使用するターミナルアダプタ(TA)やルータ、ケーブルテレビ回線を使用するケーブルモデム、携帯電話やPHSを利用して無線通信手段、光ファイバを用いた光ファイバ通信手段などの他の通信方法を利用してもよい。
【0026】
このようなゲーム装置は、ネットワーク上のサーバと接続し、当該サーバと接続する他のゲーム装置との間で、ゲーム情報を互いに通信しあうことで、複数のゲーム装置が、共通のネットワークゲームを実行する。ゲーム装置間で送受信されるゲームデータは、例えば、プレイヤによるゲーム装置の操作データや各種設定データであり、本実施の形態では、さらに、プレイヤが発する音声データもゲームデータとして送受信される。
【0027】
図2は、サーバとそれに接続する複数のゲーム装置とを有するネットワークシステムの構成例である。図2において、プレイヤaが操作するゲーム装置10A及びプレイヤbが操作するゲーム装置10Bは、ネットワークに接続するサーバ10を介してゲームデータを通信しあい、ネットワークゲームを実行する。サーバ10に接続するゲーム装置は、2台に限らず、それより多い台数であってもよい。また、同じネットワークゲームを実行するゲーム装置も、2台に限らず、それより多い台数であってもよい。
【0028】
各ゲーム装置10A、10Bは、マイク装置を有し、マイク装置は、プレイヤが発した音声を音声データに変換する。例えば、ゲーム装置10Aは、プレイヤaの音声に対応する音声データを、後述する方法により変換し、変換された音声データを、ネットワークゲーム内に登場するプレイヤaに対応するキャラクタが話す言葉として音声出力する。また、ゲーム装置10Aは、その変換された音声データをゲームデータとして、サーバを介してゲーム装置10Bに送信する(ネットワークへ出力する)。ゲーム装置10Bは、ゲーム装置10Aからの変換された音声データを受信すると、同時に進行しているネットワークゲーム内に登場しているプレイヤaに対応するキャラクタが話す言葉として音声出力する。また、プレイヤbが発する音声についても、上記プレイヤaの場合と同様に、複数のゲーム装置で進行中のゲーム内に登場しているプレイヤbに対応するキャラクタの話す言葉として音声出力される。このように、プレイヤが発した音声を、あたかもキャラクタがしゃべっているように音声出力することで、ネットワークゲームのリアリティが向上する。
【0029】
そして、本実施の形態では、上述のように、プレイヤの発した音声を、ネットワークゲーム内でキャラクタの話す言葉として音声出力する場合、プレイヤの発した音声そのものを出力するのではなく、キャラクタの特性により適合した声質に変換して出力する。以下、本実施の形態における音声制御方法を、ネットワークゲームの進行処理に従って説明する。
【0030】
図3は、本発明の実施の形態におけるネットワークゲームの進行処理フローチャートである。図3は、図2に示すゲーム装置10Aとゲーム装置10Bとの間でネットワークゲームが実行され、特に、ゲーム装置10Aのプレイヤaの音声データの声質を変換する場合についての処理を例示する。
【0031】
ゲーム装置10Aにおいてゲームプログラムの実行が開始すると、まず、プレイヤaのプレイヤ情報が登録される(S10)。
【0032】
図4は、ゲーム装置におけるプレイヤ情報登録画面の例である。プレイヤ情報は、例えば、プレイヤの氏名、年齢、性別、さらには、身長、体重などのプレイヤに関する属性情報を含む。プレイヤaは、ゲーム装置10Aを操作して、プレイヤ情報を入力すると、プレイヤ情報は、ゲーム装置10Aに登録されるとともに、サーバ20に送信され、サーバ20においても登録される。サーバ20は、各プレイヤのプレイヤ情報に利用して、例えば、プレイヤaとプレイヤbをグループ化(又は組織化)し、プレイヤaのゲーム装置10Aとプレイヤbのゲーム装置10Bとの間のネットワークゲームを制御する。例えば、サーバ20は、ゲーム装置10Aからのゲームデータをゲーム装置10Bに転送し、ゲーム装置10Bからのゲームデータをゲーム装置10Aに転送する制御を実行する。
【0033】
続いて、キャラクタが選択される(S11)。ゲームプログラムには、あらかじめ複数のキャラクタが用意されていて、プレイヤは、その中から好きなキャラクタを選択する。キャラクタの選択により、キャラクタの属性情報が決定される。
【0034】
図5は、ゲーム装置におけるキャラクタ選択画面の例である。ゲームプログラムには、各キャラクタの名称、年齢、性別、身長、体重、肌の色などの属性情報のデフォルト情報が登録されている。好ましくは、プレイヤは、選択したキャラクタの容姿を変更することができるようにしてもよい。すなわち、選択されたデフォルト状態のキャラクタから、プレイヤの好みに応じたキャラクタを作成することができるようにしてもよい。
【0035】
図6乃至図10は、ゲーム装置におけるキャラクタ作成画面の例であって、図6は、キャラクタ作成メニュー画面である。図6の画面には、デフォルト状態のキャラクタが表示されており、さらに、顔(FACE)、髪型(HAIR)、服装(COSTUME)、肌の色(SKIN COLOR)、体型(PROPORTION)、キャラクタの名前(CHARACTER NAME)などの作成項目も表示され、各項目について、あらかじめ用意された選択肢の中から一つを選択することができる。但し、キャラクタの名前は、プレイヤ自身で決定し、入力する。さらに、プロポーションについては、プレイヤの操作により、キャラクタを縦方向及び横方向に伸縮することができる。
【0036】
図7乃至10は、プロポーション設定画面の例であり、図7は、キャラクタのデフォルトのプロポーションを示す画面である。デフォルトのプロポーションに対応するキャラクタの身長と体重も設定されている。プレイヤは、ゲーム装置に接続する操作コントローラに設けられる十字キーの「上」を押すことで、図8に示すように、キャラクタを縦方向に伸ばすことができる。すなわち、キャラクタの身長が伸びる。また、十字キーの「下」を押すことで、図9に示すように、キャラクタを縦方向に縮めることができる。すなわち、キャラクタの身長が縮まる。さらに、十字キーの「左」を押すことで、図10に示すように、キャラクタを横方向に伸ばすことができる。すなわち、キャラクタを太らせることができる。また、図示されないが、十字キーの「右」を押すことで、キャラクタを横方向に縮めることができる。すなわち、キャラクタを細くすることができる。このようにして、キャラクタのプロポーションを縦方向及び横方向に伸縮させると、ゲームプログラムにより、それに対応するキャラクタの身長と体重が自動的に計算される。
【0037】
このように、キャラクタの身長や体重などの属性情報は、プレイヤがキャラクタの種類または形状を選択した際に生成される。
【0038】
こうして、キャラクタが設定されると、ゲームプログラムは、そのキャラクタの属性情報に基づいて、プレイヤの声質変換パラメータを生成する(S12)。プレイヤの声質を周波数分析した場合、一般に、以下の要素が、声質に影響を及ぼすと考えられ、各要素に従って、プレイヤの声質の周波数成分を変化させる。
【0039】
(1)性別女性の声質の周波数成分は、全体的に高い周波数にシフトしており、男性の声質の周波数成分は、全体的に低い周波数にシフトしている。従って、男性プレイヤが女性キャラクタを選択した場合は、周波数成分全体を高周波数側にシフトし、女性プレイヤが男性キャラクタを選択した場合は、周波数成分全体を低周波数側にシフトする。
【0040】
(2)年齢声質の周波数成分は、加齢とともに、次第に低い周波数にシフトする。従って、プレイヤの年齢がキャラクタの年齢より若い場合は、その年齢差に応じて、プレイヤの周波数成分を全体的に低周波数側にシフトする。
【0041】
(3)変声期変声期前の声質の周波数成分は、全体的に高い周波数にシフトしており、変声期後の声質の周波数成分は、全体的に低い周波数にシフトしている。変声期については、性別、年齢からある程度推測できるが、これらと無関係に指定可能であってもよい。
【0042】
(4)身長次に示す体重と関係付けることにより、肥満度(後述)を求め、それにより、周波数成分のシフト量を決定することができる。
【0043】
(5)体重体重が重いほど、声量が大きく且つ声質も低くなる傾向にあるので、低周波数成分の振幅が増大する。従って、キャラクタの体重が、プレイヤの体重より重い場合は、その体重差に応じて、プレイヤの低周波数成分の振幅を大きくし、軽い場合は、低周波数成分の振幅を小さくする。
【0044】
(6)肥満度肥満度は身長と体重との相関関係から得られる。肥満度が高い(太っている)ほど、声質が低くなる傾向にあるので、周波数成分全体を低周波数側にシフトする。従って、キャラクタの肥満度が、プレイヤの肥満度より高い(太っている)場合は、周波数成分を低周波数側にシフトし、キャラクタの肥満度が、プレイヤの肥満度より低い場合は、周波数成分を高周波数側にシフトする。
【0045】
(7)種族ゲームに人間以外の架空の人種のキャラクタが設定されている場合、そのキャラクタの人種に応じた周波数変更を行う(例えば、アヒルの顔をした鳥人間のキャラクタが設定されている場合、ダックボイスのような高い声にするために、周波数成分全体を高周波数にシフトする)。この場合、プレイヤは、人間であることが前提なので、設定されている種族に応じた周波数シフト量又は振幅変位量が設定される。
【0046】
(8)タイプ頭脳派、肉体派、自信家、引っ込み思案などのタイプがキャラクタに設定されている場合、そのタイプに応じた周波数変更を行う(例えば、肉体派は、低周波成分の振幅を増大し(声量が大きくなる)、引っ込み思案は、低周波成分の振幅を減少する(声量が小さくなる))。この場合も、プレイヤ自身のタイプとは無関係に、キャラクタに設定されるタイプに応じた周波数シフト量又は振幅変位量が設定される。但し、プレイヤ自身のタイプを、プレイヤ情報の入力項目と設定し、タイプ差により、周波数シフト量又は振幅変位量を求めてもよい。
【0047】
以下に、体重と肥満度を利用した声質変換パラメータの具体例を説明する。
【0048】
図11は、プレイヤの発する音声を周波数分析した音声スペクトルデータの例である。ゲーム装置は、例えば、ゲーム開始前に、プレイヤに所定の文章をマイク装置に対して読み上げてもらうことで、図11のようなスペクトルデータ(音声データ)を取得する。
【0049】
ゲーム装置は、取得した音声データを複数の周波数領域(図における領域A、B、C、D)に分けて、それぞれの領域毎に、周波数成分の振幅倍率を求め、さらに、その後、周波数成分全体の高周波数側または低周波数側へのシフト量を求める。
【0050】
声質変換パラメータである周波数成分に対する変化値(例えば、振幅倍率及びシフト量)は、所定の関数を用いた演算により求めてもよいし、または、プレイヤ情報とキャラクタ情報とに関係付けられた振幅倍率及びシフト量が設定されたテーブルを用意し、そのテーブルを参照して、合致する条件に該当する変化値を求めてもよい。
【0051】
例えば、ステップS10でプレイヤ情報に登録されたプレイヤの身長が160cm、体重55kgであり、ステップS11で作成されたキャラクタの身長が170cm、体重70kgである場合、キャラクタの体重がプレイヤの体重より重くなっているため、プレイヤの低周波数成分が強調され、また、キャラクタの肥満度がプレイヤの肥満度より高いため、周波数分布自体も低周波数側にシフトする。
【0052】
ゲームプログラムは、関数又はテーブルにより、体重差に基づいた周波数振幅倍率及び肥満度差に基づいた周波数シフト量などの変換パラメータを求める。変換パラメータは、例えば、以下のように求められる。
【0053】
領域Aの振幅倍率 1.05
領域Bの振幅倍率 1.03
領域Cの振幅倍率 1
領域Dの振幅倍率 1
周波数シフト量 -100Hz
すなわち、低周波数成分の領域の振幅が大きくなり、且つ、周波数が低い領域ほど、振幅倍率が大きくなる。
【0054】
図12は、変換された音声データを説明する図である。図12(a)は、各周波数領域A、B、C、Dの周波数成分に、上記各振幅倍率を乗じたスペクトル図であり、図12
(b)は、さらに、周波数成分全体を上記シフト量だけシフトさせたスペクトル図である。
【0055】
図3において、各ゲーム装置は、それぞれのプレイヤの音声データに対する声質変換パラメータを求めると、互いに同期を取って、ゲームを開始する(S13)。例えば、ゲーム装置10Aは、ゲーム進行中、プレイヤaの音声データが入力されると(S14)、変換パラメータにより、音声データを変換し(S15)、その変換音声データをゲームデータとして、相手のゲーム装置10Bに送信する(S16)。そして、ゲーム装置10Bは、相手プレイヤaのキャラクタの話す言葉として、受信した変換音声データを音声出力する(S17)。このように、プレイヤaの声質そのものではなく、プレイヤaの声質を反映しつつ、且つキャラクタの特徴により適合した声質で音声出力される。ゲーム装置10Bも、ゲーム装置10A同様に、プレイヤbの音声データを、声質変換パラメータにより変換し、その変換音声データをゲーム装置10Aに送信する。そして、ゲーム装置10Aは、受信した変換音声データを、プレイヤbのキャラクタの話す言葉として音声出力する。
【0056】
上記実施の形態による音声制御方法は、プレイヤの分身であるキャラクタがゲーム内に登場するシミュレーションゲームやロールプレイングゲーム(RPG)などのゲームに特に有効である。例えば、ロールプレイングゲームにおいて、キャラクタがゲームの進行に伴って成長(身長や体重の増大)・老化(加齢)していく場合、変換パラメータを再度求め、新たな変換パラメータを適用することにより、キャラクタの特徴が変化しても、それに適応した声質を維持することができ、リアリティあるゲームを演出することができる。通常、ゲームにおける時間変化の方が、実世界のそれより圧倒的に速いので、プレイヤの成長や老化は考慮する必要はないが、もちろん考慮してもかまわない。
【0057】
また、上述の実施の形態では、プレイヤの声質に関係する要素とキャラクタの声質に関係する要素との比較に基づいて、プレイヤの音声データの変換パラメータを求めたが、反対に、プレイヤの音声データの特徴に最も適合するキャラクタを選択又は作成する処理が行われてもよい。例えば、プレイヤの性別、年齢、身長、体重などに最も近いキャラクタが選択又は作成される。なお、キャラクタの身長、体重は、プレイヤの身長、体重になるように調整可能であってもよい。この場合、プレイヤの声そのものが、選択又は作成されたキャラクタの話す言葉として音声出力される。
【0058】
また、変換パラメータにより変換される音声データは、プレイヤが発する音声データに限らず、例えば、各キャラクタにあらかじめ用意された音声データを、変換するようにしてもよい。例えば、各キャラクタ毎に用意される音声データは、デフォルト状態のキャラクタに対応する音声データであり、上述のように、身長、体重を任意に変更することにより、その変更に対応する変換パラメータが生成され、それにより音声データが変換されてもよい。または、キャラクタに関係付けられていない複数の音声データが用意され、選択又は作成されたキャラクタの特徴に最も適した音声データが選択されるようにしてもよい。
【0059】
また、上記の実施の形態は、ネットワークゲームに限らず、少なくとも1人のプレイヤが、ネットワークを介さずに、ローカルに実施するコンピュータゲームに適用してもかまわない。
【0060】
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0061】
以上、本発明によれば、コンピュータゲームに登場するキャラクタが発する音声を、そのキャラクタの特徴に応じた声質に設定することができ、各プレイヤにより設定されるキャラクタ毎に多様な声質を作成することができる。特に、プレイヤの発する音声を、キャラクタの特徴に応じた声質に変換して、キャラクタの声質とすることで、プレイヤの声質を反映しつつ、且つ、キャラクタの特徴に合致した声質を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態におけるゲーム装置のブロック構成例である。
【図2】サーバとそれに接続する複数のゲーム装置とを有するネットワークシステム の構成例である。
【図3】本発明の実施の形態におけるネットワークゲームの進行処理フローチャート である。
【図4】ゲーム装置におけるプレイヤ登録画面の例である。
【図5】ゲーム装置におけるキャラクタ選択画面の例である。
【図6】ゲーム装置におけるキャラクタ作成画面の例である。
【図7】ゲーム装置におけるキャラクタ作成画面の例である。
【図8】ゲーム装置におけるキャラクタ作成画面の例である。
【図9】ゲーム装置におけるキャラクタ作成画面の例である。
【図10】ゲーム装置におけるキャラクタ作成画面の例である。
【図11】プレイヤの発する音声を周波数分析した音声スペクトルデータの例である 。
【図12】変換された音声データを説明する図である。
【図13】従来における吹き出しが表示されたゲーム画面の例である。
【符号の説明】
【0063】
10 ゲーム装置
12 CPU
16 プログラムデータ記憶装置又は記憶媒体
40 マイク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンピュータがゲーム情報および音声データを互いに通信しあうことで実行される共通のネットワークゲームに登場するプレイヤのキャラクタが発する音声を制御する音声制御方法において、
前記プレイヤの操作により、前記プレイヤのキャラクタの身長及び体重を決定するステップと、
マイクから入力される音声を第1の音声データに変換するステップと、
前記キャラクタの身長及び体重と前記プレイヤの身長及び体重との比較に基づいて、前記第1の音声データの周波数特性を変化させて、前記第1の音声データを第2の音声データに変換するステップと、
前記第2の音声データを前記キャラクタの音声として出力するステップとを備えることを特徴とする音声制御方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記プレイヤの身長及び体重の情報は、前記プレイヤが操作するコンピュータの記憶手段又は当該コンピュータが接続するネットワーク上のサーバの記憶手段に記憶されていることを特徴とする音声制御方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記第2の音声データに変換するステップは、前記キャラクタの身長と体重から前記キャラクタの肥満度を決定し、前記プレイヤの身長と体重から前記プレイヤの肥満度を決定し、前記キャラクタの肥満度と前記プレイヤの肥満度との関係から、前記第1の音声データについての周波数特性の変化値を求め、当該変化値に従って、前記第1の音声データを前記第2の音声データに変換することを特徴とする音声制御方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記キャラクタの身長及び体重を決定するステップは、前記キャラクタの体型を変化させる前記プレイヤの操作により、当該キャラクタの身長及び体重を決定することを特徴とする音声制御方法。
【請求項5】
複数のコンピュータがゲーム情報および音声データを互いに通信しあうことで実行される共通のネットワークゲームに登場するプレイヤのキャラクタが発する音声を制御するコンピュータプログラムにおいて、
前記プレイヤの操作により、前記プレイヤのキャラクタの身長及び体重を決定する処理と、
マイクから入力される音声を第1の音声データに変換する処理と、
前記キャラクタの身長及び体重と前記プレイヤの身長及び体重との比較に基づいて、前記第1の音声データの周波数特性を変化させて、前記第1の音声データを第2の音声データに変換する処理と、
前記第2の音声データを前記キャラクタの音声として出力する処理とを前記コンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項6】
請求項5において、
前記プレイヤの身長及び体重の情報は、前記プレイヤが操作するコンピュータの記憶手段又は当該コンピュータが接続するネットワーク上のサーバの記憶手段に記憶されていることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項5において、
前記第2の音声データに変換する処理は、前記キャラクタの身長及び体重から前記キャラクタの肥満度を決定し、前記プレイヤの身長及び体重から前記プレイヤの肥満度を決定し、前記キャラクタの肥満度と前記プレイヤの肥満度との関係から、前記第1の音声データについての周波数特性の変化値を求め、当該変化値に従って、前記第1の音声データを前記第2の音声データに変換することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項5において、
前記キャラクタの身長及び体重を決定する処理は、前記キャラクタの体型を変化させる前記プレイヤの操作により、当該キャラクタの身長及び体重を決定することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれか一つに記載されたコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項10】
複数のコンピュータ装置がゲーム情報および音声データを互いに通信しあうことで実行される共通のネットワークゲームにおける前記複数のコンピュータ装置それぞれであって、前記ネットワークゲームに登場するプレイヤのキャラクタが発する音声を制御するコンピュータ装置において、
前記プレイヤの操作により、前記プレイヤのキャラクタの身長及び体重を決定する手段と、
マイクから入力される音声を第1の音声データに変換する手段と、
前記キャラクタの身長及び体重と前記プレイヤの身長及び体重との比較に基づいて、前記第1の音声データの周波数特性を変化させて、前記第1の音声データを第2の音声データに変換する手段と、
前記第2の音声データを前記キャラクタの音声として出力する手段とを備えることを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記第2の音声データに変換する手段は、前記キャラクタの身長及び体重から前記キャラクタの肥満度を決定し、前記プレイヤの身長及び体重から前記プレイヤの肥満度を決定し、前記キャラクタの肥満度と前記プレイヤの肥満度との関係から、前記第1の音声データについての周波数特性の変化値を求め、当該変化値に従って、前記第1の音声データを前記第2の音声データに変換することを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項12】
請求項10において、
前記キャラクタの身長及び体重を決定する手段は、前記キャラクタの体型を変化させる前記プレイヤの操作により、当該キャラクタの身長及び体重を決定することを特徴とするコンピュータ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−22770(P2009−22770A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229210(P2008−229210)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【分割の表示】特願2007−38306(P2007−38306)の分割
【原出願日】平成13年12月14日(2001.12.14)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】