音声発生器
【課題】携帯時に音声メッセージを確実に出力することができるとともに、音声発生器の使用を好まない作業者に対しても音声発生器の使用を効果的に促すことのできる音声発生器を提供する。
【解決手段】音声発生器本体2が所定の向きにされたことにより傾斜スイッチがオンになると、音声メッセージの出力を開始するようにしたので、スイッチの入れ忘れによる不作動を防止することができる。また、音声メッセージの出力を開始してから音声発生器本体2が前記所定の向き以外にされたことにより傾斜スイッチがオフになるまでの間に音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを第2の表示灯7の点灯の有無によって判別可能にしたので、例えば工事現場で使用する場合は、音声メッセージが所定回数以上出力されるまで音声発生器1を適切に使用したか否かを作業終了後に容易に確認することができる。
【解決手段】音声発生器本体2が所定の向きにされたことにより傾斜スイッチがオンになると、音声メッセージの出力を開始するようにしたので、スイッチの入れ忘れによる不作動を防止することができる。また、音声メッセージの出力を開始してから音声発生器本体2が前記所定の向き以外にされたことにより傾斜スイッチがオフになるまでの間に音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを第2の表示灯7の点灯の有無によって判別可能にしたので、例えば工事現場で使用する場合は、音声メッセージが所定回数以上出力されるまで音声発生器1を適切に使用したか否かを作業終了後に容易に確認することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工事現場で作業する作業者が携帯し、音声メッセージによって作業者に注意を与える音声発生器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、工事現場等の高所で作業を行う場合、作業者には転落防止のための安全帯の着用が義務づけられている。しかしながら、作業者によっては安全帯を着用しなかったり、着用していてもフック掛けを怠るなど、安全帯の使用が徹底されていない場合がある。また、工事現場には、地面の開口部、落下物、建設車両の通行など、危険箇所が多く存在するため、これらの危険箇所に接近する作業者に注意を与えて事故を未然に防止する必要もある。
【0003】
そこで、従来では、音声メッセージによって作業者に注意を与える音声発生器が用いられている。このような音声発生器としては、音声メッセージを音声記憶部に記憶しておき、音声記憶部の音声メッセージを所定時間おきに出力するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−252946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記音声発生器では、作業者が携帯することにより、所定時間おきに出力される音声メッセージによって注意が喚起される。しかしながら、作業者がスイッチを入れ忘れたり、或いは音声メッセージを煩わしいものとして故意にスイッチを切る場合もあり、音声発生器の使用を徹底することができないという問題点があった。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、携帯時に音声メッセージを確実に出力することができるとともに、音声発生器の使用を好まない作業者に対しても音声発生器の使用を効果的に促すことのできる音声発生器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、使用者が携帯可能に形成された音声発生器本体と、少なくとも一種類の音声メッセージを記憶した音声記憶部と、音声記憶部の音声メッセージを出力するスピーカとを備えた音声発生器において、前記音声発生器本体が所定の向きにされたか否かを検知する傾斜検知手段と、音声発生器本体が前記所定の向きにされたことが検知されると、音声記憶部の音声メッセージを所定時間おきに出力する音声出力手段と、音声出力手段による音声メッセージの出力を開始してから音声発生器本体が前記所定の向き以外の向きにされたことが検知されるまでの間に音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを判別可能な判別手段とを備えている。
【0008】
これにより、音声発生器本体が所定の向きにされると、音声メッセージの出力が開始されることから、スイッチの入れ忘れによる不作動が防止される。また、音声メッセージが所定時間おきに出力されるとともに、音声メッセージの出力が開始されてから音声発生器本体が前記所定の向き以外の向きにされたことが検知されるまでの間に音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを判別手段によって判別することにより、音声メッセージが所定回数以上出力されるまで使用されたか否かを容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スイッチの入れ忘れによる不作動を防止することができるので、音声メッセージの出力を確実に行うことができる。また、音声メッセージが所定回数以上出力されるまで使用されたか否かを容易に確認することができるので、音声発生器の使用を好まない者に対しても音声発生器の使用を促すことができ、例えば工事現場において作業者に事故防止のための注意を喚起する場合に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示す音声発生器の斜視図
【図2】音声発生器のブロック図
【図3】音声発生器本体の前後方向の傾斜状態を示す側面図
【図4】音声発生器本体の幅方向の傾斜状態を示す正面図
【図5】制御部の動作を示すブロック図
【図6】音声発生器の使用状態を示す作業者の側面図
【図7】音声発生器本体の長手方向を水平方向に向けた状態を示す音声発生器の斜視図
【図8】本発明の他の実施形態を示す音声発生器のブロック図
【図9】音声発生器本体の変形例を示す側面図
【図10】音声発生器本体の他の変形例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図1乃至図7を参照して説明する。
【0012】
同図に示す音声発生器1は、使用者Aが携帯可能に形成された音声発生器本体2と、音声メッセージを記憶した音声記憶部3と、音声記憶部3の音声メッセージを出力するスピーカ4と、音声発生器本体2が所定の向きにされたか否かを検知する傾斜検知手段としての傾斜スイッチ5と、傾斜スイッチ5がオンになると点灯する第1の表示灯6と、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されると点灯する第2の表示灯7と、音声発生器1の動作を制御する制御部8とから構成されている。
【0013】
音声発生器本体2は、全体の大きさが使用者Aの衣服のポケットに収納可能な中空状のケースからなり、例えば合成樹脂の成型品によって形成されている。音声発生器本体2は、上下方向及び幅方向の寸法に対して前後方向の寸法が小さい薄型の直方体状に形成され、その前面には音声出力用の複数の貫通孔2aが設けられている。
【0014】
音声記憶部3は音声合成ICからなり、予め記憶されている音声メッセージの音声信号を増幅器3aで増幅してスピーカ4に出力するようになっている。音声メッセージとしては、工事現場で使用する場合、例えば「安全帯を使用して下さい」等のメッセージが記憶されている。
【0015】
スピーカ4は音声発生器本体2内の前面側に設けられ、音声発生器本体2の各貫通孔2aを介して外部に音声を出力するようになっている。
【0016】
傾斜スイッチ5は、例えば球体の転がりを利用したものなど、所定の角度以上傾くと電気的にスイッチをオンにする周知の機器からなる。即ち、傾斜スイッチ5は、図1に示すように音声発生器本体2の長手方向を鉛直方向に向けた状態ではオンとなっており、図3に示すように音声発生器本体2を鉛直軸Bに対して前後方向に角度θ(例えば30゜)以上傾けた場合、または図4に示すように音声発生器本体2を鉛直軸Bに対して幅方向に角度θ以上傾けた場合にオフになるように設定されている。
【0017】
第1の表示灯6は、例えば赤色に発行するLEDからなり、音声発生器本体2の上面に配置されている。
【0018】
第2の表示灯7は、例えば緑色に発行するLEDからなり、音声発生器本体2の上面に配置されている。
【0019】
制御部8はマイクロコンピュータによって構成され、音声記憶部3、傾斜スイッチ5、第1の表示灯6及び第2の表示灯7に接続されている。また、制御部8はタイマ8aを有し、乾電池からなる電源9に接続されている。音声記憶部3、増幅器3a、傾斜スイッチ5及び制御部8は、音声発生器本体2内に配置された回路基板(図示せず)に設けられている。
【0020】
尚、本実施形態において、制御部8は、傾斜スイッチ5がオンになると音声メッセージを所定時間おきに出力する音声出力手段を含むものである。また、制御部8及び第2の表示灯7は、音声の出力を開始してから傾斜スイッチ5がオフになるまでの間に音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを判別可能な判別手段を構成している。更に、第2の表示灯7は、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されると所定の表示を行う表示部を構成している。
【0021】
ここで、制御部8の動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。まず、傾斜スイッチ5がオンになると(S1)、タイマ8aの計時を開始するとともに(S2)、音声出力回数Nを初期値「0」にした後(S3)、第1の表示灯6を点灯する(S4)。次に、傾斜スイッチ5がオフにならず(S5)、所定の第1の時間T1 (例えば1時間)が経過した場合は(S6)、音声記憶部4に記憶されている音声メッセージをスピーカ4から出力した後(S7)、音声出力回数Nに「1」を加算し(S8)、タイマをリセットする(S9)。ここで、音声出力回数Nが所定回数N1 (例えば3回)以上に達していなければ(S10)、ステップS5に戻ってステップS5〜S10の動作を繰り返し、ステップS10において音声出力回数Nが回数N1 以上になった場合は、第2の表示灯7を点灯する(S11)。また、ステップS5において傾斜スイッチ5がオフになり、所定の第2の時間T2 (例えば3秒)が経過した場合は(S12)、第1及び第2の表示灯6,7を消灯し(S13,S14)、ステップS1に戻る。
【0022】
以上のように構成された音声発生器1は、例えば工事現場の現場管理者から作業者に渡され、作業者が衣服のポケットに入れて携帯することにより使用される。その際、図1に示すように音声発生器1を音声発生器本体2の長手方向が鉛直方向に向くように作業者の衣服のポケットに入れると、傾斜スイッチ5がオンになることから、スイッチの入れ忘れによる不作動が防止される。また、そのまま使用し続けると、図6に示すように音声メッセージが出力されるため、例えば「安全帯を使用して下さい」との音声メッセージにより、安全帯の不使用に対する注意が定期的に作業者Aに与えられる。そして、音声発生器1を使用し続けることにより、音声出力回数Nが所定回数N1 以上になると、第2の表示灯7が点灯する。一方、音声発生器1の使用を励行しようとしない作業者が、現場管理者から音声発生器1を渡された後、音声発生器1を携帯せずに、図7に示すように音声発生器本体2の長手方向が水平方向に向くように放置した場合や、故意にこのような向きにして携帯した場合は、傾斜スイッチ5がオンにならず、第2の表示灯7は点灯しない。
【0023】
即ち、第2の表示灯7の点灯の有無により、音声メッセージの出力を開始してから傾斜スイッチ5がオフになるまでの間に音声メッセージが連続して所定回数N1 以上出力されたか否かを判別することができる。これにより、作業者が作業終了後に音声発生器1を現場管理者に返却する際、第2の表示灯7が点灯していなければ、その作業者は音声メッセージを所定回数N1 以上聞いていないことになり、現場管理者は作業者に対して音声発生器1を使用するように指導することができる。
【0024】
このように、本実施形態によれば、音声発生器本体2が所定の向きにされたことにより傾斜スイッチ5がオンになると、音声メッセージの出力を開始するようにしたので、スイッチの入れ忘れによる不作動を防止することができ、音声メッセージの出力を確実に行うことができる。また、音声メッセージを所定時間おきに出力するとともに、音声メッセージの出力を開始してから音声発生器本体2が前記所定の向き以外にされたことにより傾斜スイッチ5がオフになるまでの間に音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを第2の表示灯7の点灯の有無によって判別可能にしたので、例えば工事現場で使用する場合は、音声メッセージが所定回数以上出力されるまで音声発生器1を適切に使用したか否かを作業終了後に容易に確認することができる。これにより、現場管理者は、音声発生器1を適切に使用していなかった作業者に対して使用を励行するように指導することができるので、音声発生器1の使用を好まない作業者に対しても音声発生器1の使用を促すことができ、作業者に事故防止のための注意を喚起する場合に効果的である。
【0025】
また、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されると、第2の表示灯7を点灯するようにしたので、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを第2の表示灯7の点灯の有無によって容易に確認することができ、実用化に際して極めて有利である。
【0026】
図8は本発明の他の実施形態を示すもので、前記実施形態と同等の部分には同一の符号を付して示す。尚、同図に示す構成以外の構成は、前記実施形態と同様であるため図示を省略する。
【0027】
本実施形態では、前記構成に加え、音声記憶部3に任意の音声メッセージを記憶させる録音部10を備えている。録音部10は集音マイク11を介して入力された音声を音声記憶部3に記憶するようになっている。この場合、音声記憶部3に既に記憶されている音声メッセージは、新たな音声メッセージに書き換えられる。
【0028】
本実施形態によれば、音声記憶部3に任意の音声メッセージを記憶することができるので、現場管理者等が現場に応じた最適なメッセージを録音することができる。例えば、開口部の多い工事現場では「開口部に注意して下さい」といったメッセージを録音し、落下物の多い工事現場では「開口部に注意して下さい」といったメッセージを録音することにより、工事現場ごとに異なった音声メッセージを出力することができる。
【0029】
図9及び図10は音声発生器本体の変形例を示すもので、音声発生器本体を任意の水平面Cに置いたときに所定の向き(傾斜スイッチ5がオンになる向き)で自立不能な形状に形成したものである。即ち、図9の変形例に示す音声発生器本体12は、下面を凸状をなす曲面12aによって形成したものであり、図10の他の変形例に示す音声発生器本体13は、下面を前後方向一方に傾斜をなす傾斜面13aによって形成したものである。これにより、音声発生器本体12,13を水平面C上に前記所定の向きで自立させることができないので、例えば傾斜スイッチ5がオンになる向きで放置して第2の表示灯7を点灯させるといった不適切な使用を防止することができ、音声発生器1の使用を好まない作業者に対しても、音声発生器1の使用を効果的に促すことができる。
【0030】
尚、前記実施形態では、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されると、第2の表示灯7を点灯するようにしたものを示したが、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたことを記憶しておき、例えば所定のスイッチを操作したときのみ第2の表示灯7を点灯するようにすれば、第2の表示灯7の点灯による電池の消耗を少なくすることができる。
【0031】
また、前記実施形態では、第2の表示灯7の点灯の有無により、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを判別するようにしたものを示したが、このような判別手段には限定されない。例えば、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたことを記憶しておき、無線通信または有線通信により専用の判別装置に接続し、判別装置によって確認するようにしてもよい。また、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたことを記憶しておき、所定のスイッチを操作すると、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを示す他の音声メッセージを出力するようにしてもよい。
【0032】
更に、前記実施形態では、一種類の音声メッセージを記憶するようにしたものを示したが、内容の異なる複数種類の音声メッセージを記憶しておき、任意の音声メッセージを選択するようにしたり、或いは各音声メッセージを順次出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…音声発生器、2…音声発生器本体、3…音声記憶部、4…スピーカ、5…傾斜スイッチ、7…第2の表示灯、8…制御部、10…録音部、12…音声発生器本体、12a…曲面、13…音声発生器本体、13a…傾斜面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工事現場で作業する作業者が携帯し、音声メッセージによって作業者に注意を与える音声発生器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、工事現場等の高所で作業を行う場合、作業者には転落防止のための安全帯の着用が義務づけられている。しかしながら、作業者によっては安全帯を着用しなかったり、着用していてもフック掛けを怠るなど、安全帯の使用が徹底されていない場合がある。また、工事現場には、地面の開口部、落下物、建設車両の通行など、危険箇所が多く存在するため、これらの危険箇所に接近する作業者に注意を与えて事故を未然に防止する必要もある。
【0003】
そこで、従来では、音声メッセージによって作業者に注意を与える音声発生器が用いられている。このような音声発生器としては、音声メッセージを音声記憶部に記憶しておき、音声記憶部の音声メッセージを所定時間おきに出力するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−252946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記音声発生器では、作業者が携帯することにより、所定時間おきに出力される音声メッセージによって注意が喚起される。しかしながら、作業者がスイッチを入れ忘れたり、或いは音声メッセージを煩わしいものとして故意にスイッチを切る場合もあり、音声発生器の使用を徹底することができないという問題点があった。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、携帯時に音声メッセージを確実に出力することができるとともに、音声発生器の使用を好まない作業者に対しても音声発生器の使用を効果的に促すことのできる音声発生器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、使用者が携帯可能に形成された音声発生器本体と、少なくとも一種類の音声メッセージを記憶した音声記憶部と、音声記憶部の音声メッセージを出力するスピーカとを備えた音声発生器において、前記音声発生器本体が所定の向きにされたか否かを検知する傾斜検知手段と、音声発生器本体が前記所定の向きにされたことが検知されると、音声記憶部の音声メッセージを所定時間おきに出力する音声出力手段と、音声出力手段による音声メッセージの出力を開始してから音声発生器本体が前記所定の向き以外の向きにされたことが検知されるまでの間に音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを判別可能な判別手段とを備えている。
【0008】
これにより、音声発生器本体が所定の向きにされると、音声メッセージの出力が開始されることから、スイッチの入れ忘れによる不作動が防止される。また、音声メッセージが所定時間おきに出力されるとともに、音声メッセージの出力が開始されてから音声発生器本体が前記所定の向き以外の向きにされたことが検知されるまでの間に音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを判別手段によって判別することにより、音声メッセージが所定回数以上出力されるまで使用されたか否かを容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スイッチの入れ忘れによる不作動を防止することができるので、音声メッセージの出力を確実に行うことができる。また、音声メッセージが所定回数以上出力されるまで使用されたか否かを容易に確認することができるので、音声発生器の使用を好まない者に対しても音声発生器の使用を促すことができ、例えば工事現場において作業者に事故防止のための注意を喚起する場合に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示す音声発生器の斜視図
【図2】音声発生器のブロック図
【図3】音声発生器本体の前後方向の傾斜状態を示す側面図
【図4】音声発生器本体の幅方向の傾斜状態を示す正面図
【図5】制御部の動作を示すブロック図
【図6】音声発生器の使用状態を示す作業者の側面図
【図7】音声発生器本体の長手方向を水平方向に向けた状態を示す音声発生器の斜視図
【図8】本発明の他の実施形態を示す音声発生器のブロック図
【図9】音声発生器本体の変形例を示す側面図
【図10】音声発生器本体の他の変形例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図1乃至図7を参照して説明する。
【0012】
同図に示す音声発生器1は、使用者Aが携帯可能に形成された音声発生器本体2と、音声メッセージを記憶した音声記憶部3と、音声記憶部3の音声メッセージを出力するスピーカ4と、音声発生器本体2が所定の向きにされたか否かを検知する傾斜検知手段としての傾斜スイッチ5と、傾斜スイッチ5がオンになると点灯する第1の表示灯6と、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されると点灯する第2の表示灯7と、音声発生器1の動作を制御する制御部8とから構成されている。
【0013】
音声発生器本体2は、全体の大きさが使用者Aの衣服のポケットに収納可能な中空状のケースからなり、例えば合成樹脂の成型品によって形成されている。音声発生器本体2は、上下方向及び幅方向の寸法に対して前後方向の寸法が小さい薄型の直方体状に形成され、その前面には音声出力用の複数の貫通孔2aが設けられている。
【0014】
音声記憶部3は音声合成ICからなり、予め記憶されている音声メッセージの音声信号を増幅器3aで増幅してスピーカ4に出力するようになっている。音声メッセージとしては、工事現場で使用する場合、例えば「安全帯を使用して下さい」等のメッセージが記憶されている。
【0015】
スピーカ4は音声発生器本体2内の前面側に設けられ、音声発生器本体2の各貫通孔2aを介して外部に音声を出力するようになっている。
【0016】
傾斜スイッチ5は、例えば球体の転がりを利用したものなど、所定の角度以上傾くと電気的にスイッチをオンにする周知の機器からなる。即ち、傾斜スイッチ5は、図1に示すように音声発生器本体2の長手方向を鉛直方向に向けた状態ではオンとなっており、図3に示すように音声発生器本体2を鉛直軸Bに対して前後方向に角度θ(例えば30゜)以上傾けた場合、または図4に示すように音声発生器本体2を鉛直軸Bに対して幅方向に角度θ以上傾けた場合にオフになるように設定されている。
【0017】
第1の表示灯6は、例えば赤色に発行するLEDからなり、音声発生器本体2の上面に配置されている。
【0018】
第2の表示灯7は、例えば緑色に発行するLEDからなり、音声発生器本体2の上面に配置されている。
【0019】
制御部8はマイクロコンピュータによって構成され、音声記憶部3、傾斜スイッチ5、第1の表示灯6及び第2の表示灯7に接続されている。また、制御部8はタイマ8aを有し、乾電池からなる電源9に接続されている。音声記憶部3、増幅器3a、傾斜スイッチ5及び制御部8は、音声発生器本体2内に配置された回路基板(図示せず)に設けられている。
【0020】
尚、本実施形態において、制御部8は、傾斜スイッチ5がオンになると音声メッセージを所定時間おきに出力する音声出力手段を含むものである。また、制御部8及び第2の表示灯7は、音声の出力を開始してから傾斜スイッチ5がオフになるまでの間に音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを判別可能な判別手段を構成している。更に、第2の表示灯7は、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されると所定の表示を行う表示部を構成している。
【0021】
ここで、制御部8の動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。まず、傾斜スイッチ5がオンになると(S1)、タイマ8aの計時を開始するとともに(S2)、音声出力回数Nを初期値「0」にした後(S3)、第1の表示灯6を点灯する(S4)。次に、傾斜スイッチ5がオフにならず(S5)、所定の第1の時間T1 (例えば1時間)が経過した場合は(S6)、音声記憶部4に記憶されている音声メッセージをスピーカ4から出力した後(S7)、音声出力回数Nに「1」を加算し(S8)、タイマをリセットする(S9)。ここで、音声出力回数Nが所定回数N1 (例えば3回)以上に達していなければ(S10)、ステップS5に戻ってステップS5〜S10の動作を繰り返し、ステップS10において音声出力回数Nが回数N1 以上になった場合は、第2の表示灯7を点灯する(S11)。また、ステップS5において傾斜スイッチ5がオフになり、所定の第2の時間T2 (例えば3秒)が経過した場合は(S12)、第1及び第2の表示灯6,7を消灯し(S13,S14)、ステップS1に戻る。
【0022】
以上のように構成された音声発生器1は、例えば工事現場の現場管理者から作業者に渡され、作業者が衣服のポケットに入れて携帯することにより使用される。その際、図1に示すように音声発生器1を音声発生器本体2の長手方向が鉛直方向に向くように作業者の衣服のポケットに入れると、傾斜スイッチ5がオンになることから、スイッチの入れ忘れによる不作動が防止される。また、そのまま使用し続けると、図6に示すように音声メッセージが出力されるため、例えば「安全帯を使用して下さい」との音声メッセージにより、安全帯の不使用に対する注意が定期的に作業者Aに与えられる。そして、音声発生器1を使用し続けることにより、音声出力回数Nが所定回数N1 以上になると、第2の表示灯7が点灯する。一方、音声発生器1の使用を励行しようとしない作業者が、現場管理者から音声発生器1を渡された後、音声発生器1を携帯せずに、図7に示すように音声発生器本体2の長手方向が水平方向に向くように放置した場合や、故意にこのような向きにして携帯した場合は、傾斜スイッチ5がオンにならず、第2の表示灯7は点灯しない。
【0023】
即ち、第2の表示灯7の点灯の有無により、音声メッセージの出力を開始してから傾斜スイッチ5がオフになるまでの間に音声メッセージが連続して所定回数N1 以上出力されたか否かを判別することができる。これにより、作業者が作業終了後に音声発生器1を現場管理者に返却する際、第2の表示灯7が点灯していなければ、その作業者は音声メッセージを所定回数N1 以上聞いていないことになり、現場管理者は作業者に対して音声発生器1を使用するように指導することができる。
【0024】
このように、本実施形態によれば、音声発生器本体2が所定の向きにされたことにより傾斜スイッチ5がオンになると、音声メッセージの出力を開始するようにしたので、スイッチの入れ忘れによる不作動を防止することができ、音声メッセージの出力を確実に行うことができる。また、音声メッセージを所定時間おきに出力するとともに、音声メッセージの出力を開始してから音声発生器本体2が前記所定の向き以外にされたことにより傾斜スイッチ5がオフになるまでの間に音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを第2の表示灯7の点灯の有無によって判別可能にしたので、例えば工事現場で使用する場合は、音声メッセージが所定回数以上出力されるまで音声発生器1を適切に使用したか否かを作業終了後に容易に確認することができる。これにより、現場管理者は、音声発生器1を適切に使用していなかった作業者に対して使用を励行するように指導することができるので、音声発生器1の使用を好まない作業者に対しても音声発生器1の使用を促すことができ、作業者に事故防止のための注意を喚起する場合に効果的である。
【0025】
また、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されると、第2の表示灯7を点灯するようにしたので、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを第2の表示灯7の点灯の有無によって容易に確認することができ、実用化に際して極めて有利である。
【0026】
図8は本発明の他の実施形態を示すもので、前記実施形態と同等の部分には同一の符号を付して示す。尚、同図に示す構成以外の構成は、前記実施形態と同様であるため図示を省略する。
【0027】
本実施形態では、前記構成に加え、音声記憶部3に任意の音声メッセージを記憶させる録音部10を備えている。録音部10は集音マイク11を介して入力された音声を音声記憶部3に記憶するようになっている。この場合、音声記憶部3に既に記憶されている音声メッセージは、新たな音声メッセージに書き換えられる。
【0028】
本実施形態によれば、音声記憶部3に任意の音声メッセージを記憶することができるので、現場管理者等が現場に応じた最適なメッセージを録音することができる。例えば、開口部の多い工事現場では「開口部に注意して下さい」といったメッセージを録音し、落下物の多い工事現場では「開口部に注意して下さい」といったメッセージを録音することにより、工事現場ごとに異なった音声メッセージを出力することができる。
【0029】
図9及び図10は音声発生器本体の変形例を示すもので、音声発生器本体を任意の水平面Cに置いたときに所定の向き(傾斜スイッチ5がオンになる向き)で自立不能な形状に形成したものである。即ち、図9の変形例に示す音声発生器本体12は、下面を凸状をなす曲面12aによって形成したものであり、図10の他の変形例に示す音声発生器本体13は、下面を前後方向一方に傾斜をなす傾斜面13aによって形成したものである。これにより、音声発生器本体12,13を水平面C上に前記所定の向きで自立させることができないので、例えば傾斜スイッチ5がオンになる向きで放置して第2の表示灯7を点灯させるといった不適切な使用を防止することができ、音声発生器1の使用を好まない作業者に対しても、音声発生器1の使用を効果的に促すことができる。
【0030】
尚、前記実施形態では、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されると、第2の表示灯7を点灯するようにしたものを示したが、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたことを記憶しておき、例えば所定のスイッチを操作したときのみ第2の表示灯7を点灯するようにすれば、第2の表示灯7の点灯による電池の消耗を少なくすることができる。
【0031】
また、前記実施形態では、第2の表示灯7の点灯の有無により、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを判別するようにしたものを示したが、このような判別手段には限定されない。例えば、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたことを記憶しておき、無線通信または有線通信により専用の判別装置に接続し、判別装置によって確認するようにしてもよい。また、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたことを記憶しておき、所定のスイッチを操作すると、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを示す他の音声メッセージを出力するようにしてもよい。
【0032】
更に、前記実施形態では、一種類の音声メッセージを記憶するようにしたものを示したが、内容の異なる複数種類の音声メッセージを記憶しておき、任意の音声メッセージを選択するようにしたり、或いは各音声メッセージを順次出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…音声発生器、2…音声発生器本体、3…音声記憶部、4…スピーカ、5…傾斜スイッチ、7…第2の表示灯、8…制御部、10…録音部、12…音声発生器本体、12a…曲面、13…音声発生器本体、13a…傾斜面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が携帯可能に形成された音声発生器本体と、少なくとも一種類の音声メッセージを記憶した音声記憶部と、音声記憶部の音声メッセージを出力するスピーカとを備えた音声発生器において、
前記音声発生器本体が所定の向きにされたか否かを検知する傾斜検知手段と、
音声発生器本体が前記所定の向きにされたことが検知されると、音声記憶部の音声メッセージを所定時間おきに出力する音声出力手段と、
音声出力手段による音声メッセージの出力を開始してから音声発生器本体が前記所定の向き以外の向きにされたことが検知されるまでの間に音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを判別可能な判別手段とを備えた
ことを特徴とする音声発生器。
【請求項2】
前記判別手段を、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されると、所定の表示を行う表示部によって構成した
ことを特徴とする請求項1記載の音声発生器。
【請求項3】
前記音声記憶部に任意の音声メッセージを記憶させる録音手段を備えた
ことを特徴とする請求項1または2記載の音声発生器。
【請求項4】
前記音声発生器本体を、任意の水平面に置いたときに前記所定の向きで自立不能な形状に形成した
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の音声発生器。
【請求項1】
使用者が携帯可能に形成された音声発生器本体と、少なくとも一種類の音声メッセージを記憶した音声記憶部と、音声記憶部の音声メッセージを出力するスピーカとを備えた音声発生器において、
前記音声発生器本体が所定の向きにされたか否かを検知する傾斜検知手段と、
音声発生器本体が前記所定の向きにされたことが検知されると、音声記憶部の音声メッセージを所定時間おきに出力する音声出力手段と、
音声出力手段による音声メッセージの出力を開始してから音声発生器本体が前記所定の向き以外の向きにされたことが検知されるまでの間に音声メッセージが連続して所定回数以上出力されたか否かを判別可能な判別手段とを備えた
ことを特徴とする音声発生器。
【請求項2】
前記判別手段を、音声メッセージが連続して所定回数以上出力されると、所定の表示を行う表示部によって構成した
ことを特徴とする請求項1記載の音声発生器。
【請求項3】
前記音声記憶部に任意の音声メッセージを記憶させる録音手段を備えた
ことを特徴とする請求項1または2記載の音声発生器。
【請求項4】
前記音声発生器本体を、任意の水平面に置いたときに前記所定の向きで自立不能な形状に形成した
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の音声発生器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−37580(P2012−37580A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174751(P2010−174751)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(591199741)株式会社プロップ (26)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(591199741)株式会社プロップ (26)
【Fターム(参考)】
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