音楽コンテンツ提供サーバ
【課題】ユーザが購入し或いは制作した音楽コンテンツをデータセンタで保存し、音楽コンテンツ利用時の利便性を向上し、コストの低減・削減を図ること。
【解決手段】この音楽コンテンツ提供サーバは、通信ネットワーク3を介して複数の電子音楽装置11〜1nが通信可能に接続され、電子音楽装置ユーザに対応するユーザ記憶領域に、対応する電子音楽装置側から操作可能な音楽コンテンツを記憶することができる。電子音楽装置側で、対応するユーザ記憶領域に対する音楽コンテンツの書込み、書換え又は削除を指示する所定の操作がなされると、電子音楽装置ユーザに対応のユーザ記憶領域に対して当該音楽コンテンツの書込み、書換え又は削除を実行する。これにより増減するユーザ記憶領域のデータ量に応じて段階的に決定される当該ユーザ記憶領域の設定データ量に基づいて、当該電子音楽装置11〜1nに課金されるサーバ使用料が決定される。
【解決手段】この音楽コンテンツ提供サーバは、通信ネットワーク3を介して複数の電子音楽装置11〜1nが通信可能に接続され、電子音楽装置ユーザに対応するユーザ記憶領域に、対応する電子音楽装置側から操作可能な音楽コンテンツを記憶することができる。電子音楽装置側で、対応するユーザ記憶領域に対する音楽コンテンツの書込み、書換え又は削除を指示する所定の操作がなされると、電子音楽装置ユーザに対応のユーザ記憶領域に対して当該音楽コンテンツの書込み、書換え又は削除を実行する。これにより増減するユーザ記憶領域のデータ量に応じて段階的に決定される当該ユーザ記憶領域の設定データ量に基づいて、当該電子音楽装置11〜1nに課金されるサーバ使用料が決定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信ネットワークを介して複数の電子音楽装置に接続されるサーバコンピュータに各電子音楽装置の音楽情報を蓄積する機能をもたせた音楽コンテンツストレージシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子楽器や、楽音生成機能を有するパーソナルコンピュータ、携帯通信端末、通信カラオケ装置などの電子音楽装置で利用したり制作した音楽情報は、電子音楽装置のユーザ自身で、装置自体に備えられたハードディスクやメモリ装置或いは装置に装着されるフレキシブルディスクやCDRなどの記録媒体に保存していた。また、既製の音楽情報をフレキシブルディスクやCDなどの記録媒体の形で購入して電子音楽装置で利用する場合も多い。
【0003】
ハードディスクなどの場合はユーザ自身で音楽情報を常時管理しておく必要があり、また、フレキシブルディスクやCDRなどの記録媒体の場合は、多数の音楽情報を整理したり所望音楽情報にアクセスするに多大の労力を要していた。また、音楽情報を記録している記憶装置自体がこわれてしまい、保存しておいたり購入した音符情報を喪失することもあった。従って、電子音楽装置に必要な音楽情報の維持管理や取得・購入のためのコストがどうしても高くなってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、このような実情に鑑み、ユーザが購入し或いは制作した音楽コンテンツをユーザ側で保存する代わりにデータセンタで保存し、音楽コンテンツ利用時の利便性を向上し、コストの低減・削減を図ることができる音楽コンテンツストレージシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の主たる特徴に従うと、通信ネットワーク(3)を介して複数の電子音楽装置(11〜1n)と通信可能に接続される音楽コンテンツ堤供サーバ(2)であって、電子音楽装置のユーザに対応して音楽コンテンツを蓄積するユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)を有するコンテンツ蓄積手段と、電子音楽装置における音楽コンテンツに対する所定の操作(E3〜E5,E7→E8,E27→E29,E42→E43)に応じて、当該電子音楽装置のユーザに対応するユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に、当該操作がなされた音楽コンテンツを書込み、書換え又は削除するコンテンツ書込み、書換え又は削除手段(S4,S22,S43)と、ユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に蓄積されている音楽コンテンツのデータ量を検出する蓄積データ量検出手段(S51,S54)と、検出されたデータ量に応じて、ユーザ記憶領域の設定データ量を段階的に決定する設定データ量決定手段(S52,S55)と、決定された設定データ量に基づいて、当該電子音楽装置に課金されるサーバ使用料を決定する使用料決定手段(S53,S56)とを具備する音楽コンテンツ提供サーバ〔請求項1〕が提供される。なお、括弧書きは、対応する実施例中の参照記号、用語又は箇所を表わし、以下においても同様である。
【0006】
この発明による音楽コンテンツ提供サーバ(2)のコンテンツ蓄積手段は、電子音楽装置のユーザが購入可能な音楽コンテンツを記憶した有料コンテンツ記憶領域(「有料コンテンツ」フォルダ)を有し、この音楽コンテンツ提供サーバ(2)は、さらに、電子音楽装置(11〜1n)からの購入指示(E43)に基づき、有料コンテンツ記憶領域(「有料コンテンツ」フォルダ)に記憶された音楽コンテンツのうち購入指示がなされた音楽コンテンツを、当該電子音楽装置(11〜1n)で利用可能な音楽コンテンツとして提供するコンテンツ提供手段(S43)と、当該音楽コンテンツの提供に対応して、当該電子音楽装置のユーザに対する課金処理を行い、前記サーバ使用料を減額する減額処理を行う課金及び減額処理手段(S41,S42)とを具備する〔請求項2〕ように構成することができる。
【0007】
この発明による音楽コンテンツ提供サーバ(2)は、さらに、電子音楽装置(11〜1n)よりアクセスがあったこと(E2)に応じて、有料コンテンツ領域(「有料コンテンツ」フォルダ)及び当該電子音楽装置のユーザに対応するユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に蓄積された音楽コンテンツをそれぞれフォルダ表示するための表示データを該電子音楽装置(11〜1n)に送信する送信手段(S1→S2)を具備し、購入指示は、当該電子音楽装置(11〜1n)において、送信されてきた表示データに基づきフォルダ表示される音楽コンテンツに対する有料コンテンツ領域(「有料コンテンツ」)からユーザ記憶領域(「マイドキュメント」・「共有」)へのコピー操作(図5)がなされたことに応じて、発生されるものである(E3→E5:E42→E43)〔請求項3〕ように構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明の主たる特徴に従う音楽コンテンツ提供サーバ〔請求項1〕は、電子楽器、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯通信端末、通信カラオケ装置、音楽ゲーム機などの複数の電子音楽装置(11〜1n)が、インターネットなどの通信ネットワーク(3)を介して通信可能に接続される。また、この音楽コンテンツ提供サーバ(2)のコンテンツ蓄積手段には、電子音楽装置ユーザに対応するユーザ記憶(ストレージ)領域が設けられ、対応する電子音楽装置(11〜1n)側から操作可能な音楽コンテンツを記憶することができ、このユーザ記憶領域は、例えば、「マイドキュメント」や「共有」フォルダの下に設けられる。電子音楽装置(11〜1n)側で、自身に対応するユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に対する音楽コンテンツの書込み、書換え又は削除を指示する所定の操作がなされると(E7→E8,E27→E29,E42→E43)、音楽コンテンツ提供サーバ(2)は、電子音楽装置ユーザに対応のユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に対する当該音楽コンテンツの書込み、書換え又は削除を実行し(S4,S22,S43)、これに応じて、ユーザ記憶領域に蓄積された音楽コンテンツのデータ量は増減する。このデータ量は蓄積データ量検出手段(S51,S54)により検出され、検出されたデータ量に応じて、当該ユーザ記憶領域の設定データ量(「設定記憶容量」)が段階的に決定される(S52,S55)。そして、決定された設定データ量(「設定記憶容量」)に基づいて、当該電子音楽装置(11〜1n)に課金されるサーバ使用料が決定される(S53,S56)。
【0009】
従って、この発明によれば、音楽コンテンツ提供サーバは、電子音楽装置ユーザに対応のユーザ記憶領域に蓄積されている音楽コンテンツ量を検出し、検出された音楽コンテンツ量に応じてサーバ使用料を決定するようにしているので、サーバ側のコンテンツ記憶手段の利用状態に応じた的確なサービス処理を効率よく行うことができる。また、このように、ユーザ記憶領域の設定データ量変更(容量変更)を契約することにより、必要分のストレージコストだけで所要の音楽情報を保存しておくことができる。なお、通信料は、常時接続なら上乗せされない。
【0010】
この発明の音楽コンテンツ提供サーバにおいては、コンテンツ蓄積手段として、上述のように、例えば、「マイドキュメント」や「共有」フォルダの下に、電子音楽装置のユーザに対応したユーザ記憶領域が設けられ、これらユーザ記憶領域には、対応する電子音楽装置(11〜1n)側から操作可能な音楽コンテンツを記憶するだけでなく、例えば、「有料コンテンツ」フォルダの下に、電子音楽装置のユーザが購入可能な多数の音楽コンテンツを記憶した有料コンテンツ記憶領域(「有料コンテンツ」フォルダ)が設けられ、電子音楽装置(11〜1n)からの購入指示(E43)があると、この購入指示に応じて所定の購入処理が行われる。すなわち、有料コンテンツ記憶領域(「有料コンテンツ」フォルダ)に記憶された音楽コンテンツのうち購入指示がなされた音楽コンテンツを新たにユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に蓄積して、当該電子音楽装置(11〜1n)で利用可能な音楽コンテンツとして提供する処理を行う(S43)と共に、これに対応して、課金処理を行い(S41)、サーバ使用料を減額する処理を行う(S42)ようにしている。
【0011】
従って、この発明によれば、このように、ユーザ対応の記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に、新たに購入された音楽コンテンツが蓄積されて当該電子音楽装置(11〜1n)に提供されると、これに応じて課金処理を行うと共にサーバ使用料を減額するようにしているので、音楽コンテンツ購入時の課金処理を簡単に行うだけでなく、音楽コンテンツ購入によるサーバ使用料減額サービスのための処理を効率よく行うことができる。
【0012】
この発明の音楽コンテンツ提供サーバにおいては、さらに、電子音楽装置(11〜1n)よりアクセスがあったこと(E2)に応じて、有料コンテンツ領域(「有料コンテンツ」フォルダ)及び当該電子音楽装置のユーザに対応するユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に蓄積された音楽コンテンツをそれぞれフォルダ表示するための表示データを当該電子音楽装置(11〜1n)に送信し(S2)、当該電子音楽装置(11〜1n)において、送信されてきた表示データに基づきフォルダ表示される音楽コンテンツに対し、ドラッグ&ドロップなどにより、有料コンテンツ領域(「有料コンテンツ」)からユーザ記憶領域(「マイドキュメント」・「共有」)へのコピー操作(図5)がなされたことに応じて、購入指示が発生される(E42→E43)。
【0013】
従って、この発明によれば、このように、電子音楽装置(11〜1n)側からのアクセスに応じて、有料コンテンツ領域(「有料コンテンツ」フォルダ)及び当該電子音楽装置のユーザに対応するユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)をフォルダ表示する表示データを返信し、電子音楽装置(11〜1n)側でフォルダ表示された音楽コンテンツを有料コンテンツ領域(「有料コンテンツ」フォルダ)から当該ユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)へのコピー操作を行うと購入指示が発生されるようにしているので、極めて効率的に音楽コンテンツの購入及びこれに対する課金処理を行うことができる。
【0014】
〔種々の特徴〕
また、上述した課題(目的)に対応してこの明細書に記載された種々の発明の実施に関する別の特徴により次の〔1〕〜〔5〕のように構成することができる。
【0015】
〔1〕通信ネットワーク(3)を介してコンテンツ提供サーバ(2)及び複数の電子音楽装置(11〜1n)が通信可能に接続されて成る音楽コンテンツストレージシステムであって、コンテンツ提供サーバ(2)は、各電子音楽装置のユーザに対応して設けられた記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に音楽コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段を有し、電子音楽装置(11〜1n)は、コンテンツ蓄積手段にアクセスし、当該電子音楽装置のユーザに対応する記憶領域に蓄積された音楽コンテンツを操作するコンテンツ操作手段(E4〜E10)を有する音楽コンテンツストレージシステム。
【0016】
〔1〕の音楽コンテンツストレージシステムは、インターネットなどの通信ネットワーク(3)を介してコンテンツ提供サーバ(2)及び複数の電子音楽装置(11〜1n)が通信可能に接続されて構成され、コンテンツ提供サーバ(2)のコンテンツ蓄積手段には、例えば、電子音楽装置のユーザ毎に設けられた「マイドキュメント」と呼ばれる複数のフォルダや、複数の電子音楽装置ユーザから成るグループ毎に「共有」と呼ばれる複数のフォルダの下に、それぞれ、各ユーザが制作したり購入した音楽コンテンツが蓄積される。電子音楽装置(11〜1n)からコンテンツ提供サーバ(2)のコンテンツ蓄積手段にアクセスすると、直ちに、当該電子音楽装置のユーザに対応する「マイドキュメント」又は「共有」フォルダ下の記憶領域(ストレージ領域)に蓄積された音楽コンテンツが当該電子音楽装置(11〜1n)側に呼び出されるので、当該電子音楽装置のユーザは、呼び出された音楽コンテンツに対して、概要の確認、タイトル修正、再生、編集(更新)、削除、コピーなど、種々の操作を加えることができる(E4〜E10,E25,E27,E79)。
【0017】
このように、コンテンツ提供サーバ(2)側に設けられたユーザ対応の記憶領域(「マイドキュメント」・「共有」フォルダ)に音楽コンテンツを保存しておき、電子楽器などの音楽専用機器や、携帯通信端末やパーソナルコンピュータなどの電子音楽装置(11〜1n)側からインターネットなどの通信ネットワーク(3)を通じて音楽コンテンツを操作するように構成することにより、音楽コンテンツに対して必要な時に必要量だけアクセスすることができる。また、携帯通信端末のような携帯式の電子音楽装置を用いれば、何処にいても音楽コンテンツを取り出すことができる。
【0018】
〔1a〕〔1〕の音楽コンテンツストレージシステムにおいて、コンテンツ操作手段(E4〜E10)は、電子音楽装置(11〜1n)で編集或いは新たに作成された音楽コンテンツをコンテンツ提供サーバ(2)に送信し(E29,E81)、コンテンツ蓄積手段は、電子音楽装置(11〜1n)から送信されてきた音楽コンテンツを当該電子音楽装置のユーザに対応する記憶領域(「マイドキュメント」・「共有」)に蓄積する(S22,S74)ように構成すること:つまり、電子音楽装置(11〜1n)側で音楽コンテンツを編集したり、音楽コンテンツを新たに作成すると、編集乃至新規作成された音楽コンテンツは、コンテンツ提供サーバ(2)に送信され(E29,E81)、サーバ側に設けられた「マイドキュメント」や「共有」フォルダなどのユーザ対応の記憶領域に蓄積される(S22,S74)ように構成することによって、電子音楽装置側で編集したり制作した音楽コンテンツを、ユーザ側で保存する代わりに、サーバ側の大容量コンテンツ蓄積手段に保存し、再利用時の利便性を向上しコスト削減を図ることができる。
【0019】
〔1b〕〔1〕又は〔1a〕の音楽コンテンツストレージシステムにおいて、コンテンツ提供サーバ(2)は、電子音楽装置(11〜1n)から送られたユーザ識別子(ユーザID)を認証することにより、コンテンツ蓄積手段へのアクセスを許可するアクセス許可手段(S1)を有するように構成すること:この構成により、コンテンツ蓄積手段に保存されている音楽コンテンツについてセキュリティ(機密性)を確保することができる。
【0020】
〔1c〕電子音楽装置(11〜1n)のユーザに対応して設けられた記憶領域(「マイドキュメント」・「共有」)に音楽コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段を有するコンテンツ提供サーバ(2)と通信ネットワーク(3)を介して通信可能に接続される電子音楽装置(11〜1n)であって、コンテンツ提供サーバ(2)へのコンテンツ送信要求操作(E22,E72)に応じて上記記憶領域(「マイドキュメント」・「共有」)から受信した音楽コンテンツを一時的に記憶する一時記憶手段(E23,E73:RAM1C)と、一時的に記憶された音楽コンテンツを操作するコンテンツ操作手段(E10,E25,E27,E79)と、コンテンツ操作の終了に応じて、一時的に記憶された音楽コンテンツを強制消去する強制消去手段(E30,E83)とを具備する電子音楽装置。
【0021】
つまり、〔1〕の音楽コンテンツストレージシステムで音楽コンテンツの提供を実施するには、各電子音楽装置(11〜1n)において、「マイドキュメント」や「共有」フォルダなどのユーザ対応記憶領域内に記憶された所望の音楽コンテンツを呼び出して一時的に記憶しておき(E23,E73)、この音楽コンテンツに操作が加えられようにし(E10,E25,E27,E79)、コンテンツ操作の終了に応じて、一時記憶された音楽コンテンツを強制消去する(E30,E83)。
【0022】
〔2〕通信ネットワーク(3)を介してコンテンツ提供サーバ(2)及び複数の電子音楽装置(11〜1n)が通信可能に接続されて成る音楽コンテンツストレージシステムであって、コンテンツ提供サーバ(2)は、複数の電子音楽装置のユーザから成るグループ毎に共通に設けられた記憶領域(「共有」フォルダ)に音楽コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段を有し、電子音楽装置(11〜1n)は、コンテンツ蓄積手段にアクセスし、当該電子音楽装置のユーザが属するグループに対応する記憶領域(「共有」)に蓄積された音楽コンテンツを操作するコンテンツ操作手段(E79)を有する音楽コンテンツストレージシステム。
【0023】
このように、コンテンツ提供サーバ(2)のコンテンツ蓄積手段に、例えば、「共有」と名付けられたフォルダ下に、電子音楽装置(11〜1n)の複数のユーザから成るグループ毎に共通に利用可能な音楽コンテンツを蓄積する記憶領域を設けておき、各電子音楽装置(11〜1n)側からコンテンツ提供サーバのコンテンツ蓄積手段にアクセスすると、当該電子音楽装置のユーザが属するグループに対応する記憶領域(「共有」フォルダ)に蓄積された音楽コンテンツが呼び出され(E73)、この音楽コンテンツをグループの各電子音楽装置(11〜1n)側から共同して操作する(E79)ことができるように構成することにより、当該記憶領域を共有する複数のユーザにより音楽コンテンツを合作することができる。
【0024】
〔3〕通信ネットワーク(3)を介して複数の電子音楽装置(11〜1n)と通信可能に接続される音楽コンテンツ提供サーバ(2)であって、複数の音楽コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段と、蓄積された音楽コンテンツのうちアクセスしてきた電子音楽装置(11〜1n)の機種に適した音楽コンテンツに関する表示データを当該電子音楽装置に送信する表示データ送信手段(S2)とを具備する音楽コンテンツ提供サーバ。
【0025】
このように、音楽コンテンツ提供サーバ(2)は、通信ネットワーク(3)を介して電子音楽装置(11〜1n)からのアクセスがあると、アクセスしてきた電子音楽装置の機種に適した音楽コンテンツの表示データを当該電子音楽装置に送信し(S2)、当該機種に不適当又は不要な音楽コンテンツを送信しないように構成することにより、当該電子音楽装置のユーザを混乱させないようにすることができる。
【0026】
〔4〕通信ネットワーク(3)を介して複数の電子音楽装置と通信可能に接続されて成る音楽コンテンツ提供サーバ(2)であって、複数の音楽コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段と、電子音楽装置(11〜1n)から検索条件として指示されたフレーズに対応する音楽コンテンツをコンテンツ蓄積手段から抽出するコンテンツ抽出手段(S61)と、抽出された音楽コンテンツの表示データを当該電子音楽装置(11〜1n)に送信する表示データ送信手段(S62)とを具備する音楽コンテンツ提供サーバ。
【0027】
このように、音楽コンテンツ提供サーバ(2)は、複数の音楽コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段を備え、電子音楽装置(11〜1n)側から検索条件としてフレーズが指示される(E62)と、このフレーズに一致又は類似するフレーズをもつ音楽コンテンツがコンテンツ蓄積手段から抽出され(S61)、抽出された音楽コンテンツのリストを表示データとして電子音楽装置(11〜1n)側に返信する(S62)検索サービスを行うように構成することにより、フォルダによるコンテンツ整理区分とは異なる観点(フレーズ)で検索条件を設定し、サーバ(2)側に蓄積している多量の音楽コンテンツの中から所望フレーズに対応する音楽コンテンツを検索し、音楽コンテンツの利便性を非常に向上させることができる。
【0028】
〔4a〕〔5〕の音楽コンテンツ提供サーバ(2)において、コンテンツ蓄積手段は、音楽コンテンツの利用種別に応じて複数の記憶領域(例えば、「有料コンテンツ」フォルダに対応する第1記憶領域、及び、「マイドキュメント」・「共有」フォルダに対応する第2記憶領域など)に区分されており、コンテンツ抽出手段(S61)は、音楽コンテンツの利用種別(「有料コンテンツ」、「マイドキュメント」、「共有」)を含む検索条件に合致する音楽コンテンツを抽出するように構成すること:つまり、音楽コンテンツ提供サーバ(2)のコンテンツ蓄積手段は、例えば、「有料コンテンツ」フォルダに対応する記憶領域に、電子音楽装置のユーザが購入可能な音楽コンテンツを蓄積し、「マイドキュメント」や「共有」フォルダに対応する記憶領域には、複数の電子音楽装置のユーザがそれぞれ購入済みの音楽コンテンツを蓄積するなどというように、利用種別毎に複数の記憶領域に大分けされ、検索サービスに当っては、これに対応する音楽コンテンツ利用種別(「有料コンテンツ」、「マイドキュメント」、「共有」)を検索条件に含ませて、この音楽コンテンツ利用種別やフレーズなどから成る検索条件に合致する音楽コンテンツを抽出する(S61)。
【0029】
〔4b〕〔5〕の音楽コンテンツ提供サーバ(2)において、コンテンツ蓄積手段は、複数の音楽コンテンツを種類別〔「SMF」、「着メロ」(商標)、「楽譜」、…などのフォルダ〕に蓄積しており、コンテンツ抽出手段(S61)は、音楽コンテンツの種類(「SMF」、「着メロ」、「楽譜」、…)を含む検索条件に合致する音楽コンテンツを抽出するように構成すること:つまり、音楽コンテンツ提供サーバ(2)のコンテンツ蓄積手段には、複数の音楽コンテンツが「SMF」、「着メロ」、「楽譜」、…などの種類別フォルダ下に細分して蓄積され、検索サービスにおいては、これに対応する音楽コンテンツ種類(「SMF」、「着メロ」、「楽譜」、…)を検索条件に含ませて、音楽コンテンツ種類やフレーズなどから成る検索条件に合致する音楽コンテンツを抽出する(S61)。
【0030】
〔4a〕,〔4b〕のように構成することにより、サーバ(2)側に蓄積している多量の音楽コンテンツの中から所望の音楽コンテンツを簡単且つ高速に検索し、音楽コンテンツの利便性を更に向上させることができる。
【0031】
〔5〕電子音楽装置のユーザに対応して設けられた記憶領域(「マイドキュメント」、「共有」などのフォルダ)に音楽コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段を有するコンテンツ提供サーバ(2)と通信ネットワーク(3)を介して通信可能に接続される電子音楽装置(11〜1n)であって、電子音楽装置の電源投入に応じて、電子音楽装置の識別子又はユーザの識別子をコンテンツ提供サーバ(2)へと送信する送信手段(E1〜E2)と、識別子の送信に応じてコンテンツ提供サーバ(2)から送信されてきたユーザに対応する記憶領域に関する表示情報を受信する受信手段(E3,E6,E9)と、受信した表示情報に基づいて、当該記憶領域に関する表示をする表示手段(E3,E6,E9)と、この表示に基づいて、該記憶領域に対して操作をする操作手段(E5,E8,E10)とを具備する電子音楽装置。
【0032】
この電子音楽装置(11〜1n)では、通信ネットワーク(3)を介して電子音楽装置(11〜1n)と通信可能に接続されるコンテンツ提供サーバ(2)のコンテンツ蓄積手段は、例えば、「マイドキュメント」、「共有」などのフォルダ下に、電子音楽装置(11〜1n)のユーザに対応した記憶領域が設けられており、電子音楽装置(11〜1n)の電源を投入すると、これに応じて、電子音楽装置の識別子又はユーザの識別子をコンテンツ提供サーバ(2)に送信し(E1〜E2)、この識別子送信に応じて、当該ユーザ対応記憶領域に関する表示情報をコンテンツ提供サーバ(2)から受信してユーザ対応記憶領域の表示を行い(E3,E6,E9)、これに対して操作を加える(E5,E8,E10)ように構成されている。従って、電子音楽装置(11〜1n)の電源投入により、コンテンツ提供サーバ(2)側のユーザ対応記憶領域(「マイドキュメント」、「共有」フォルダ)の情報を操作可能に表示して、コンテンツ提供サーバ(2)側に蓄積されている音楽コンテンツを恰かも電子音楽装置(11〜1n)自身の蓄積データのような感覚で取り扱うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照しつつ、この発明の好適な実施の形態について詳述する。なお、以下の実施例は単なる一例であって、この発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0034】
〔システムの概要〕
図1は、この発明の一実施例による音楽コンテンツストレージシステムの概略的システムブロック図を示す。この例では、システムは、複数(n個)の電子音楽装置11〜1n及びサーバコンピュータ(コンテンツ提供サーバ)2がインターネット等の通信ネットワーク3を介して相互に通信可能に接続されて成る。電子音楽装置11〜1n(個々の電子音楽装置を表わす場合には、参照記号として“1”や“1a”、“1b”等を用いることがある。)は、「音楽情報利用端末」とも呼ばれる通信機能を備えた情報処理装置であり、電子楽器等の音楽専用電子機器や、音楽情報の取扱いが可能なパーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話機などの携帯通信端末、通信カラオケ装置、音楽ゲーム機など、種々の機器が含まれる。
【0035】
ここで、図1を用いてこの発明の一実施例による音楽コンテンツストレージシステムを簡単に説明する。通信ネットワーク3を介してサーバコンピュータ2及び複数の電子音楽装置11〜1nが通信可能に接続され、サーバコンピュータ2のコンテンツ蓄積手段には、各電子音楽装置のユーザに対応した記憶領域(「マイドキュメント」又は「共有」フォルダ下)に、各ユーザが制作したり購入した音楽コンテンツが蓄積される。或る電子音楽装置1側で、コンテンツ提供サーバ2にアクセスすると、直ちに、当該電子音楽装置のユーザに対応する記憶領域に蓄積された音楽コンテンツが呼び出され、当該電子音楽装置のユーザは、呼び出された音楽コンテンツに対して、概要の確認、タイトル修正、再生、編集(更新)、削除、コピーなど、種々の操作を加えることができる。また、操作により変更された音楽コンテンツは、対応する記憶領域に格納することができる。
【0036】
なお、サーバコンピュータ2は、各電子音楽装置11〜1nで用いるMIDIデータや電子楽譜データ、着信メロディ、カラオケ曲などの電子的な音楽情報(音楽コンテンツ)を蓄積し、各電子音楽装置11〜1nに必要な音楽情報を必要に応じて一時的に提供する音楽コンテンツストレージとして機能するデータセンタであり、“(音楽)コンテンツ提供サーバ”とも呼ばれる。サーバコンピュータ2は、音楽情報の蓄積・提供サイトに限らず、ニュース等の文字情報、待ち受け画面等の画像の配信サイトを兼ねてもよいし、或いは、ショッピングサイトでもよいし、情報検索サイトでもよい。
【0037】
〔各電子音楽装置のハードウエア構成〕
図2は、この発明の一実施例によるクライアントPCや電子楽器などの音楽情報利用端末のハードウエア構成を示すブロック図である。この例では、電子楽器やPCなどの音楽情報利用端末(電子音楽装置)1は、CPU1A、読出専用メモリ(ROM)1B、ランダムアクセスメモリ(RAM)1C、外部記憶装置1D、第1検出回路1E、第2検出回路1F、表示回路1G、音源回路1H、効果回路1J、通信インターフェース(通信I/F)1K、MIDIインターフェース(MIDI・I/F)1Lなどを備え、これらの装置1A〜1Lはバス1Mを介して互いに接続されている。
【0038】
CPU1Aは、所定のソフトウエア・プログラムに従いタイマ1Pによるクロックを利用して、音楽情報処理や、サーバ1から音楽情報(コンテンツ)の提供を受けるための「端末側音楽コンテンツ提供処理」を含む種々の制御を中心的に行う。ROM1Bには、このために「端末側音楽コンテンツ提供処理」などに関する制御プログラムが記憶され、また、音楽情報処理などに必要なデータも予め記憶されている。RAM1Cは、各種処理に際して必要なデータやパラメータを記憶し、また、処理中の各種データ等を一時記憶するためのワーク領域として用いられる。
【0039】
外部記憶装置1Dは、ハードディスクドライブ(HDD)の外に、コンパクトディスク・リード・オンリィ・メモリ(CD−ROM)、フレキシブルディスク(FD)、光磁気(MO)ディスク、ディジタル多目的ディスク(DVD)、半導体メモリ等の可搬型記憶媒体を用いた装置から成り、例えば、当該電子音楽装置1で利用される種々の情報を記憶するのに用いられ、サーバ1からのコンテンツ提供に関する各種プログラムを記憶することもできる。
【0040】
第1検出回路(パネル操作検出回路)1Eは、これに接続されるスイッチ等のパネル操作子1Qによる設定/制御操作の内容を検出して当該電子音楽装置1内に導入するものである。パネル操作子1Qは、当該電子音楽装置1の動作状態を設定したりサーバコンピュータ2と交信するために各種情報を入力する操作子であり、当該電子音楽装置1が電子楽器などの電子音楽専用機器の場合は操作パネル上の各種スイッチなどが用いられ、PCの場合にはキーボードやマウスなどのポインチングデバイスが用いられる。
【0041】
第2検出回路(演奏操作検出回路)1Fは、これに接続される鍵盤等の演奏操作子1Rによる演奏操作を検出して当該電子音楽装置1内に導入するものである。演奏操作子1Rは、ユーザの演奏操作に基づいて演奏情報を入力するための操作子であり、電子楽器などの電子音楽専用機器の場合は鍵盤などの演奏専用操作子が用いられ、PCの場合にはキーボード上の所定のキーが演奏モード時に演奏操作用に割り当てられる。
【0042】
表示回路1Gは、これに接続される表示装置1Sの表示内容をCPU1Aからの指令に従って制御し、表示装置1Sにはディスプレイや各種インジケータが含まれる。
【0043】
音源回路1Hには、DSPを含む効果回路1Jが接続され、効果回路1JにはD/A変換部やアンプ、スピーカを含むサウンドシステム1Tが接続される。これらの装置1H,1J,1Tにより、自身での演奏や外部からの受信などによる音楽情報に基づき楽音を発音する楽音生成部が形成される。
【0044】
通信I/F1Kは、当該電子音楽装置1(1a)をサーバコンピュータ2や他の電子音楽装置(1b)に交信可能に接続するために設けられ、例えば、サーバコンピュータ1から提供される情報を通信ネットワーク3を介してRAM1C上に一時的に記憶することができる。また、MIDI・I/F1Lには、MIDI形式の音楽情報を取り扱うことができる他の電子音楽装置4が接続され、これにより、MIDI音楽情報を授受することができる。
【0045】
なお、携帯通信端末や通信カラオケ装置などのハードウエアについては、図示しないが、図2と同様にサーバ2と交信し音楽情報を利用することができるように構成することができる。例えば、携帯電話機のような携帯通信端末(携帯式音楽情報利用端末)の場合、アンテナを含む電波送受信処理回路や、マイクロフォンや音声用スピーカ(レシーバ)を含む送受話処理及び音声入出力装置を備えるなどの携帯通信端末自体のハードウエア構成に加えて、サーバコンピュータ2と交信し音楽情報の利用を可能とするようにデータ処理回路を構成し、着信メロディやカラオケ曲を放音するために、楽音生成用音源や楽音用スピーカ(サウンダー)などで楽音生成部を設けたり、さらには、他の情報処理装置と種々のデータやプログラムを送受するインターフェースを備えることができる。
【0046】
サーバコンピュータ2については、図2とほぼ同様のハードウエア構成をとるが、特に、MIDIデータや電子楽譜データ、着信メロディ、カラオケなどの多数の音楽情報ファイル(コンテンツ)を蓄積し、多数の電子音楽装置11〜1nと情報授受を行うので、大規模な外部記憶装置(HDD)や高速処理が可能なCPUを備えた専用のサーバマシンであることが望ましい。ただし、演奏操作子及び第2検出回路や、音源回路乃至サウンドシステムで形成される楽音生成部、MIDI・I/Fなどは不要である。
【0047】
このような構成により、サーバコンピュータ2は、図2と同様に、CPUを中心にして、所定のソフトウエア・プログラムに従って種々の制御を行い、音楽情報の蓄積及び提供に関する「サーバ側音楽コンテンツ提供処理」を遂行し、また、通信I/Fから通信ネットワーク3を介して各電子音楽装置11〜1nと交信することができる。
【0048】
なお、サーバコンピュータ2の外部記憶装置には、多数の電子音楽装置11〜1nに音楽コンテンツを提供するため、多数の音楽コンテンツが階層的に整理され、利用種別や種類別に区分されて蓄積されている。例えば、利用形態の種別に応じて、多数の音楽コンテンツを用意した「有料コンテンツ」フォルダに対応する記憶領域、多数の電子音楽装置11〜1nのそれぞれに専用の複数の「マイドキュメント」フォルダ対応記憶領域、複数の電子音楽装置間で共有される複数の「共有」フォルダ対応記憶領域が設けられ、各記憶領域の音楽コンテンツは、さらに、複数の種類別フォルダ下に区分されて蓄積される。
【0049】
〔サーバのフォルダ構成及び電子音楽装置の表示〕
この発明の一実施例においては、各電子音楽装置11〜1nからサーバコンピュータ2にアクセスすると、直ちに、サーバコンピュータ2の記憶装置から音楽情報ファイル(音楽コンテンツ)の提供を受けることができる。図3は、この発明の一実施例によるサーバコンピュータの記憶装置における音楽コンテンツのフォルダ構成を概略的に示す図である。
【0050】
複数の電子音楽装置11〜1nで利用可能な音楽コンテンツは、図3に示すように、サーバコンピュータ2に設けられた記憶装置の「音楽コンテンツルート」フォルダ(“「ルート」フォルダ”と略称する。)内に格納される。この音楽コンテンツルート直下の第2階層には、「有料コンテンツ」フォルダ、複数(n個)の電子音楽装置11〜1nのユーザがそれぞれ個別に利用可能な「マイドキュメント1」、「マイドキュメント2」、…などの複数(j個:n個以上)の「マイドキュメント」フォルダ、複数(n個)の電子音楽装置11〜1nのユーザのうち共有関係にある複数の電子音楽装置のユーザの間で利用可能な「共有1」、「共有2」、…などの複数(k個)の「共有」フォルダが置かれる。各「共有」フォルダは、1グループ内に属する複数の電子音楽装置のユーザで共有されるフォルダであり、このグループには、各ユーザが、後述するようなユーザ登録の際に、適宜、当該グループに参加したり、ユーザ登録後の任意の時点で参加したりすることができる。
【0051】
さらに、「有料コンテンツ」フォルダ下の第3階層には、音楽情報の種類毎に、「SMF」、「着メロ」、「カラオケ」、「電子オルガン」、「電子ピアノ」、「電子楽譜」、「音源波形」、「伴奏スタイル」、「音色パラメータ」、…などの複数の種類別フォルダが置かれる。「有料コンテンツ」フォルダと同一階層にある他のマイドキュメントフォルダや共有フォルダなどのフォルダにも、同様の種類別フォルダが置かれる(図示せず)。
【0052】
これらの種類別フォルダの下には、第4階層(ファイル格納層)として、当該音楽情報の種類に属する複数の音楽情報ファイルが格納される。例えば、「SMF」フォルダには、SMF(Standard MIDI File)形式の標準的な音楽情報ファイルが格納され、「着メロ」フォルダには種々の着信メロディ曲情報が格納され、「カラオケ」フォルダにはカラオケ曲情報が格納され、「電子オルガン」や「電子ピアノ」フォルダには電子オルガンや電子ピアノ専用の音楽情報が格納される。
【0053】
この発明の一実施例においては、電子音楽装置から或るユーザがサーバコンピュータにアクセスすると、サーバコンピュータは、これに応答して、当該電子音楽装置のディスプレイ上にアクセス可能なフォルダを表示させる。図4は、このような場合における電子音楽装置のディスプレイ表示画面の一例を示す。
【0054】
或る電子音楽装置1から或るユーザがコンテンツ提供サーバ2にアクセスすると、当該電子音楽装置1のディスプレイ1Sには、例えば、図3に示される第2階層フォルダのうち、「有料コンテンツ」フォルダと、当該ユーザが当該電子音楽装置1で利用可能なマイドキュメントフォルダ及び共有フォルダである「マイドキュメント」及び「共有」フォルダのアイコンがリスト表示される。ここで、「有料コンテンツ」フォルダ及び「マイドキュメント」フォルダのアイコンを順次“オープン”操作(ダブルクリック)すると、例えば、図4に示すように、「有料コンテンツ」フォルダ及び「マイドキュメント」フォルダ内に配置されている第3階層フォルダをリスト的に表わす「有料コンテンツ」ウインドウ及び「マイドキュメント」ウインドウがディスプレイ1Sに表示される。
【0055】
この発明の一実施例においては、電子音楽装置のディスプレイ画面に表示されたフォルダアイコンを操作して「有料コンテンツ」フォルダから「マイドキュメント」フォルダへと音楽情報ファイル(音楽コンテンツ)をコピーすることにより、当該音楽情報ファイルを購入することができる。図5は、このような場合における電子音楽装置のディスプレイ表示画面の一例を示す。
【0056】
図4のディスプレイ画面上において、例えば、「有料コンテンツ」ウインドウ内の「SMF」フォルダ及び「マイドキュメント」フォルダ内の「SMF」フォルダアイコンを操作(ダブルクリック)すると、図5に示すように、「有料コンテンツ−SMF」ウインドウ及び「マイドキュメント−SMF」ウインドウがディスプレイ1Sに表示される。図示の例では、「有料コンテンツ−SMF」ウインドウには、「有料コンテンツ」の「SMF」フォルダ内に格納されている多数個のSMF音楽情報ファイルを表わすアイコン又は文字がリスト表示され(図5では、多数個のうち6個が表示されている。)、一方、「マイドキュメント−SMF」ウインドウ内は空白であり、当該マイドキュメントの「SMF」フォルダ内に音楽情報ファイルが格納されていないことが表示される。各コンテンツのタイトルや、作詞者、作曲者、アーティストなどの概要表示を行ってもよい。
【0057】
ここで、図示のように、「有料コンテンツ−SMF」ウインドウ内から所望のコンテンツ(例えば、“FFFF.mid”)を表わすアイコンを指示し「マイドキュメント−SMF」ウインドウ内へドラッグ&ドロップするなどの“コピー”操作を行うと、「有料コンテンツ」フォルダから「マイドキュメント」フォルダへと音楽情報ファイルがコピーされ、これにより、当該音楽情報ファイルを購入することができる。また、このとき、課金処理もなされる。
【0058】
〔全体処理〕
図6及び図7は、この発明の一実施例による音楽コンテンツストレージシステムの全体処理を表わすフローチャートを示す。この全体処理は「音楽コンテンツ提供処理」と呼ばれ、電子音楽装置側での処理部分を「端末側音楽コンテンツ提供処理」又は「端末側全体処理」と呼び、サーバコンピュータ側での処理部分を「サーバ側音楽コンテンツ提供処理」又は「サーバ側全体処理」と呼ぶものとする。
【0059】
電子音楽装置1側では、装置の電源をオンし、端末側音楽コンテンツ提供処理プログラムを立ち上げた後(ステップE1)、まず、当該電子音楽装置1の電子音楽装置ID、当該電子音楽装置1を利用しているユーザのユーザID及びパスワードを入力し(ステップE2)、入力された電子音楽装置ID、ユーザID及びパスワードをサーバコンピュータ2に送信する。
【0060】
ここで、電子音楽装置IDは、各電子音楽装置1に予め与えられたユニークな識別子であり、製造時にROM1Bなどに埋め込んでおき自動的に入力されるようにするが、これに限らず、後からRAM1Cなどに埋め込んでもよい。例えば、電子音楽装置1を購入した際メーカーにユーザ登録をした場合に、メーカから電子音楽装置IDが送られてきたときに、この電子音楽装置IDが自動入力されるようにユーザの手で設定しておいてもよい。なお、電子音楽装置IDには、当該電子音楽装置1の機種乃至機能に対応する機種識別子を含ませるようにすることが好ましい。
【0061】
また、ユーザID及びパスワードも事前に設定しておくことが好ましい。例えば、ユーザが予め当該電子音楽装置(電子楽器やPC)などからサーバコンピュータ2にアクセスし、音楽コンテンツストレージサービスに対するユーザ登録を行ってユーザID及びパスワードを取得しておく。一度ユーザIDやパスワードを入力すると、2回目以降のアクセスの際にはその入力を省略できるようにしてもよい。
【0062】
これに対して、サーバコンピュータ2側では、ユーザ認証などの処理を行う。つまり、電子音楽装置1から送信されてきた電子音楽装置ID、ユーザID及びパスワードに基づいてユーザ認証を行い、認証が完了すると、当該電子音楽装置1に対応する「マイドキュメント」フォルダ及び「共有」フォルダへのアクセスを許可する(ステップS1)。当該電子音楽装置1に対応する各フォルダは、前述のユーザ登録時に、利用可能なフォルダとしてサーバーコンピュータ2側で登録して(割り当てて)おく。次に、アクセス許可されたフォルダと有料フォルダの表示データを電子音楽装置1に送信する(ステップS2)。
【0063】
これに応じて、電子音楽装置1では、サーバコンピュータ2から送信されてきた表示データに基づいて、当該電子音楽装置1にアクセス許可された利用可能なフォルダに関するウインドウ画面が表示装置1Sに表示され(ステップE3)、ユーザによるフォルダ操作が可能となるので、次いで、ユーザによるフォルダ操作を検出するフォルダ操作検出処理を行う(ステップE4)。フォルダ操作検出処理で、フォルダ操作を検出すると、“フォルダ操作”コマンドをサーバコンピュータ2に送信する(E5)。
【0064】
サーバコンピュータ2は、“フォルダ操作”コマンドを受信すると、このコマンドに対応する処理を行い、処理の結果得られた表示データを電子音楽装置1に送信する(ステップS3)。フォルダ操作には、“オープン”、“クローズ”、“新規作成”、“削除”、“コピー”、…などがある。例えば、“オープン”操作なら、サーバコンピュータ2は、“オープン”操作のあったフォルダの1つ下の階層のフォルダ又はファイルのリストを表示データとして電子音楽装置1に送信する。
【0065】
なお、電子音楽装置1がアクセス可能なフォルダは、電子音楽装置IDに含まれる機種識別子を用いて、「マイドキュメント」フォルダ中の種類別フォルダから、電子音楽装置1の機種乃至機能に適したフォルダを選択するように構成される。例えば、楽譜表示が可能な電子音楽装置に対しては「電子楽譜」フォルダを表示可能とするが、楽譜表示が不可能な電子音楽装置に対しては「電子楽譜」フォルダを表示しないようにすると、ユーザが混乱せずにすむ。また、「共有」フォルダや「有料コンテンツ」フォルダについても、同様に、機種識別子を用いて電子音楽装置1に提供する種類別フォルダを選択するように構成することができる。なお、有料フォルダの下の階層のフォルダについては、“オープン”、“クローズ”のみが可能であり、“新規作成”等はできない。
【0066】
電子音楽装置1では、送信されてきた表示データに基づいて、“フォルダ操作”コマンドに対応する処理結果を表示する(図7:ステップE6)。例えば、図4左側の「有料コンテンツ」及び「マイドキュメント」フォルダの“オープン”操作に対しては、同図右側のように、「有料コンテンツ」及び「マイドキュメント」ウインドウに各フォルダの一階層下のフォルダをリスト表示する。また、最下フォルダ階層(図3では第3階層)にあるフォルダ(例えば「SMF」)の“オープン”操作に対しては、当該フォルダに格納されている音楽情報ファイルが表示される。
【0067】
“フォルダ操作”コマンドに対応する表示(E6)がなされたか、或いは、フォルダ操作検出処理でフォルダ操作を検出しなかったとき(E4→NO)は、電子音楽装置1の表示装置1Sに音楽情報ファイルが表示されてユーザによるファイル操作が可能となる場合があるので、次いで、ユーザによるファイル操作を検出するファイル操作検出処理を行う(ステップE7)。ファイル操作検出処理で、ファイル操作が検出されると“ファイル操作”コマンドをサーバコンピュータ2に送信する(E8)。
【0068】
サーバコンピュータ2は、“ファイル操作”コマンドを受信すると、このコマンドに対応する処理を行い、処理の結果得られた表示データを電子音楽装置1に送信する(図7:ステップS4)。ファイル操作には、“新規作成”、“削除”、“コピー”、…などがある。例えば、“新規作成”操作であれば、新しいファイルを作成し、そのアイコンを表示データとして電子音楽装置に送信する。なお、有料フォルダ内のファイルについては、“コピー”のみが可能で“新規作成”等はできない。そして、「その他の処理」(ステップS5)を行った後、アクセスやコマンドなどの電子音楽装置1側からの指示を受ける待機状態にリターンする。
【0069】
一方、電子音楽装置1では、送信されてきた表示データに基づいて、“ファイル操作”コマンドに対応する処理結果を表示する(ステップE9)。この表示の後、或いはファイル操作検出処理でファイル操作を検出しなかったとき(E7→NO)は、その後「その他の処理」を行い、電源オフが指示されていなければフォルダ操作検出処理(E4)に戻って、電源オフが指示されるまで“フォルダ操作”検出(E4)〜「その他の処理」(E10)を繰り返す。そして、電源オフが指示されるとこの端末側音楽コンテンツ提供処理を終了する。
【0070】
「その他の処理」には、「再生・編集」及び「ファイル送受信」処理、「コンテンツ購入」処理、「コンテンツ検索」処理、「合作」処理などの電子音楽装置1及びサーバコンピュータ2間で相互に連係しながら行われる処理と、「マイドキュメント容量変更」処理などのサーバコンピュータ2で単独に行われる処理とがある。
【0071】
なお、一人のユーザが複数の電子音楽装置1a,1bからサーバコンピュータ2にアクセスすることが可能である。この場合、同一のユーザID及びパスワードを入力すればよいが、当該ユーザが使用する各電子音楽装置1a,1bには、前述したように、電子音楽装置IDに含まれる機種識別子に応じて、見える種類別フォルダが変わる。
【0072】
〔「再生・編集」及び「ファイル送受信」処理〕
この発明の一実施例においては、サーバコンピュータに保存している音楽情報ファイル(音楽コンテンツ)を電子音楽装置上で再生や編集に利用することができ、編集された音楽情報ファイルは再びサーバコンピュータに保存することができる。図8は、このような再生・編集及び保存を可能にする「再生・編集」(端末=電子音楽装置=側)及び「ファイル送受信」(サーバ側)処理を表わすフローチャートである。
【0073】
前述した“フォルダ操作”及び“ファイル操作”コマンドに応じてサーバコンピュータ2から送られた表示データに基づき、「マイドキュメント」又は「共有」フォルダ下にある音楽情報ファイルのリストが電子音楽装置1の表示装置1Sに表示される。ここで、この中にユーザが再生或いは編集したい音楽情報ファイルがある場合、ユーザが当該ファイルを指示・選択し(ステップE21)、ファイル送信を要求する操作を行うと、電子音楽装置1は「ファイル送信要求」をサーバコンピュータ1に送信する(ステップE22)。
【0074】
サーバコンピュータ1は、電子音楽装置1からの「ファイル送信要求」に応答して、要求された音楽情報ファイルを電子音楽装置1に送信する(ステップS21)。これに対し、電子音楽装置1は、当該ファイルを受信しRAM1C内に格納する(ステップE23)と共に、ファイル利用(操作)の仕方について「再生」や「編集」を選択させるファイル操作選択画面(例えば、「再生」、「編集」及び「キャンセル」などの選択ボタンを配置した画面)をディスプレイ1S上に表示し、まず、当該ファイルの「再生」が選択されたか否かを検出する再生操作検出処理を行う(ステップE24)。
【0075】
再生操作検出処理でファイルの「再生」を選択する操作が検出されると、RAM1Cに格納された音楽情報ファイルが電子音楽装置1上で再生される(ステップE25)。例えば、当該ファイルに基づいて、楽音生成部1H,1J,1Tから対応する楽音が発生され、或いは、ディスプレイ1S上に対応する楽譜などが表示される。
【0076】
音楽情報ファイルの再生処理(E25)の後、或いは、再生操作検出処理で「再生」操作を検出しなかったときは(E24→NO)、ファイルの「編集」が選択されたか否かを検出する編集操作検出処理を行う(ステップE26)。編集操作検出処理で「編集」の選択操作が検出されると、RAM1Cに格納された音楽情報ファイルは編集可能状態になり、ユーザの操作により編集することができる(ステップE27)。
【0077】
ユーザが編集作業を終了し編集終了を指示すると、電子音楽装置1は、編集された音楽情報ファイル(「編集後ファイル」という。)を「保存」する否かをユーザに選択させる画面をディスプレイ1S上に表示し、当該編集後ファイルについて「保存」が選択されたか否かを検出する保存操作検出処理を行う(ステップE28)。保存操作検出処理で「保存」の選択が検出されると、電子音楽装置1は編集後ファイルをサーバコンピュータ2に送信する(ステップE29)。
【0078】
そして、編集後ファイルを送信した後(E29)、編集操作検出処理で「編集」の選択が検出されなかったとき(E26→NO)或いは保存操作検出処理で「保存」の選択が検出されなかったときは(E28→NO)、RAM1Cに格納されていた音楽情報ファイルを強制消去し(ステップE30)、その後、端末側全体処理(図7:E11)にリターンする。
【0079】
一方、サーバコンピュータ2では、編集後ファイルを受信すると、受信した編集後ファイルを、対応する「マイドキュメント」又は「共有」フォルダ内に格納する(新規に書き込み、或いは、書き換える)処理を行い(ステップS22)、その後、サーバ側全体処理(図7“リターン”)にリターンする。
【0080】
〔「コンテンツ購入」処理〕
この発明の一実施例においては、サーバコンピュータの「有料コンテンツ」フォルダ内に保存している音楽情報ファイル(音楽コンテンツ)を、電子音楽装置に対応する「マイドキュメント」フォルダ内にコピーするだけの簡単な操作で、所望の音楽情報ファイルを購入することができる。図9は、このようなファイル購入を可能にする「コンテンツ購入」処理を表わすフローチャートである。
【0081】
電子音楽装置1の表示装置1Sには、前述した“フォルダ操作”及び“ファイル操作”コマンドに応じてサーバコンピュータ2から送られた表示データに基づき、例えば、図5の左側に示すように、「有料コンテンツ」フォルダ下にある音楽情報ファイルのリストをウインドウ表示し、また、「マイドキュメント」下のフォルダについても、図5の右側に示すように、ウインドウ表示することができる。
【0082】
ここで、「有料コンテンツ」の中にユーザが購入したい音楽情報ファイルがある場合には、電子音楽装置1のユーザが、「有料コンテンツ」ウインドウ内に表示された当該ファイルのアイコンを指示・選択し(ステップE41)、このアイコンを「マイドキュメント」ウインドウ内にコピーする操作(ドラッグ&ドロップ)を行う(ステップE42)と、電子音楽装置1は、当該ファイルに対する操作内容を「コンテンツ購入指示」と共にサーバコンピュータ1に送信し(ステップE43)、その後、端末側全体処理(図7)にリターンする。
【0083】
サーバコンピュータ2は、電子音楽装置1からの「コンテンツ購入指示」を受け、「コンテンツ購入指示」をしたユーザに対して、購入された音楽情報ファイルに対応する課金処理を行う(ステップS41)。なお、この課金処理に際しては、購入された音楽情報ファイル(コンテンツ)の利用期間をユーザが選択できるようにしてもよく、さらに、利用期間に応じて料金を変えてもよい。例えば、1回のみ利用、一定期間(“1か月”等)利用、永久利用などの範囲を定め、範囲に応じて異なる料金としてもよい。この場合、利用期間が限定された購入済みファイルは、当該利用期間の経過後、マイドキュメントフォルダから消去される。また、各コンテンツの料金は、図5の左側のようなリスト表示をしたとき或いはステップE41でアイコンを選択したときなどに、予めユーザに提示することが好ましい。
【0084】
次いで、サーバコンピュータ2は、コンテンツ購入に応じてサーバ使用料の減額処理を行う(ステップS42)。つまり、有料コンテンツ(「有料コンテンツ」フォルダ内の音楽情報ファイル)を購入すると、サーバ使用料が減額される。この場合、永久に減額したままでもよいし、購入時から一定期間の間だけ減額してもよい。
【0085】
このサーバ使用料減額処理の後、「コンテンツ購入指示」のあった音楽情報ファイルに対する電子音楽装置1での操作内容に基づいて、「有料コンテンツ」フォルダ内の当該購入済みファイルをコピーし、当該ユーザに対応する「マイドキュメント」フォルダ内に格納する(ステップS43)。その後、サーバ側全体処理にリターンする(図7)。
【0086】
〔「マイドキュメント容量変更」処理〕
この発明の一実施例においては、サーバコンピュータにおいて、「マイドキュメント」フォルダ内に格納される音楽情報ファイルの情報量に応じて「マイドキュメント」フォルダの記憶容量を自動的に変更することができる。図10は、このような「マイドキュメント」フォルダの容量変更を行う「マイドキュメント容量変更」処理を表わすフローチャートである。この処理フローは、サーバコンピュータ2の「マイドキュメント」フォルダ内でファイルの処理がなされる度に起動する。
【0087】
まず、サーバコンピュータ2は、各「マイドキュメント」フォルダについて音楽情報ファイルの新規書込み・書換え(S22)やコピー(S43)などのファイル処理が行われたことによって、「マイドキュメント」フォルダの記憶容量が現在設定されている記憶容量の上限値(単に「設定記憶容量」という。)を超えたか否かを判定する容量超過判定処理を行う(ステップS51)。
【0088】
容量超過判定処理で現設定記憶容量を超えたと判定されると、当該「マイドキュメント」フォルダに設定される設定記憶容量を増大させ(ステップS51)、増大された設定記憶容量に応じてサーバ使用料を増額する使用料増額処理を行う(ステップS53)。
【0089】
次いで〔使用料増額処理の後(S53)或いは容量超過判定処理で現設定記憶容量を超えていないと判定されたときは(S51→NO)〕、各「マイドキュメント」フォルダについて音楽情報ファイルの書換え(S22)や削除(例えば“削除”操作に基づく)などのファイル処理が行われたことによって、「マイドキュメント」フォルダの記憶容量が現在設定されている設定記憶容量(上限値)より、所定値以上、下回ったか否かを判定する容量低下判定処理を行う(ステップS54)。
【0090】
容量低下判定処理(S54)で現設定記憶容量を所定値以上下回ったと判定されると、当該「マイドキュメント」フォルダに設定される記憶容量を減少させ(ステップS55)、減少させた設定記憶容量に応じてサーバ使用料を減額する使用料減額処理を行う(ステップS56)。そして、使用料減額処理の後(S56)及び容量低下判定処理で検出記憶容量が現設定記憶容量を所定値以上は下回っていないと判定されなかったときは(S54→NO)、サーバ側全体処理(図7)にリターンする。
【0091】
サーバ(「マイドキュメント」フォルダ)使用料は、例えば、設定記憶容量が(0MB〜 )5MBまではいくら、(5MB〜)10MBまではいくらなどというように、何段
階かの容量に応じて予め決められている。そこで、現在の設定記憶容量から増加或いは減少した設定記憶容量が新たに決定されると(S52,S55)、設定記憶容量の増減に応じてサーバ使用料も増減させるのである(S53,S56)。なお、サーバ使用料を増減させる際、ユーザに「サーバ使用料の増減がOKか?」を問い合わせるようにしてもよい。また、「共有」フォルダについても、上述と同様にしてサーバ使用料が増減される(各ユーザの使用料負担は別途契約により定められる。)。
【0092】
〔「コンテンツ検索」処理〕
この発明の一実施例においては、電子音楽装置側で検索条件を設定するとサーバコンピュータ側でこの検索条件を満足する音楽情報ファイル(コンテンツ)を抽出し電子音楽装置側に抽出結果を通知することができる。図11は、このようなファイル検索を行う「コンテンツ検索」処理を表わすフローチャートである。
【0093】
この処理フローでは、まず、電子音楽装置1側で、検索の対象とするコンテンツ種類(SMF、着信メロディ曲、…)やフォルダ種別(有料コンテンツ、マイドキュメント、…)などで検索範囲を指定する(ステップE61)。次いで、フォルダ構成とは別の観点から、より的確な検索を可能にするために、例えば、検索用のフレーズ(演奏)を入力する(ステップE62)。そして、これらのコンテンツ種類、フォルダ種類及びフレーズと共に、検索コマンドを電子音楽装置1からサーバコンピュータ2に送信する(ステップE63)。
【0094】
検索コマンドを受けたサーバコンピュータ2は、受信したコンテンツ種類やフォルダ種類で指定された範囲のコンテンツの中から、入力されたフレーズに一致又は類似するコンテンツを検索して、該当するコンテンツを抽出する(ステップS61)。検索対象として、例えば、コンテンツ種類=「電子楽譜」、フォルダ種別=「有料コンテンツ&マイドキュメント」のように指定すると、「有料コンテンツ」フォルダ内に含まれる電子楽譜ファイルと、「マイドキュメント」フォルダ内に含まれる電子楽譜ファイルの中から、入力されたフレーズにマッチするコンテンツが抽出される。
【0095】
サーバコンピュータ2は、次いで、抽出されたコンテンツのリストを作成し、表示データとして送信した後(ステップS62)、サーバ側全体処理(図7)にリターンする。電子音楽装置1側では、受信した表示データに基づいてコンテンツリストをディスプレイ1S上に表示した後(ステップE64)、サーバ側全体処理(図7)にリターンする。
【0096】
なお、抽出されたコンテンツが「有料コンテンツ」フォルダのものなら、それを購入することができるし、「マイドキュメント」フォルダや「共有」フォルダのものならそれを利用することができる。
【0097】
このコンテンツ検索処理では、完全一致ではなく、入力されたフレーズと調が異なるものや、一部の音が異なるものなども抽出するように構成するのがよい。これにより、記憶があいまいなユーザや、フレーズの演奏が上手でないユーザであっても目的のコンテンツを見つけることができる。
【0098】
〔「合作」処理〕
この発明の一実施例においては、複数の電子音楽装置間で、サーバコンピュータの「共有」フォルダ内にある音楽情報ファイル(コンテンツ)を利用し編集し合うことができる。図12及び図13は、このような複数電子音楽装置間での音楽情報編集を可能とする「合作」処理を表わすフローチャートである。
【0099】
この処理フローは、まず、或る電子音楽装置(“電子音楽装置1a”とする)で、「共有」フォルダ内の或る音楽情報ファイルを選択し(ステップE71)、選択されたファイルの送信をサーバコンピュータ2に要求する(ステップE72)ことから始まる。これに対して、サーバコンピュータ2から、要求されたファイルが送信されるので(ステップS71)、電子音楽装置1aは、サーバコンピュータ2から受信したファイルをRAM1Cに格納する(ステップE73)。
【0100】
受信した音楽情報ファイルについては、編集に先立って、他のユーザが編集中のトラックがあるかどうかが判定され(ステップE74)、他ユーザが編集中のトラックがあると判定されたときは、当該編集中トラック以外のトラックを編集可能とした上(ステップE75)、他ユーザが編集中のトラックがないと判定されたときはそのまま(編集対象トラックに制約を設けずに)、それぞれ、編集段階(ステップE76〜E81)に進む。
【0101】
編集段階に進むと、電子音楽装置1は、まず、ディスプレイ1S上に表示される「編集」及び「キャンセル」ボタンの何れが操作されたかを検出する編集指示操作検出処理を行う(ステップE76)。この編集指示操作検出処理で、「編集」ボタン操作により編集開始が指示されたことを検出すると、電子音楽装置1aは編集モードに入るので、まず、ユーザが音楽情報ファイルの編集すべきトラックを指示すると、当該トラックが編集可能トラックであるか否かを判定する編集可能判定処理を行う(ステップE77)。
【0102】
編集可能トラック判定処理で当該トラックが編集可能トラックであると判定されると、電子音楽装置1aは、当該トラックが“編集中”である旨をサーバコンピュータ2に連絡する(図13:ステップE78)。また、電子音楽装置1aでは、当該トラックをユーザの手で編集することができる(ステップE79)。一方、電子音楽装置1aからの連絡を受けたサーバコンピュータ2は、同一のファイルを編集中の他ユーザが使用している電子音楽装置1b(“1b”は電子音楽装置1a以外を表わす。)、当該ファイルの所定トラックが電子音楽装置1aのユーザにより編集中であることを通知する(図13:ステップS72)。
【0103】
電子音楽装置1aでは、ユーザが編集作業を終了し編集終了を指示すると、当該トラックが編集された音楽情報ファイル(編集後ファイル)を「保存」するか否かをユーザに選択させる終了指示画面をディスプレイ1S上に表示し、当該編集後ファイルについて「保存」が選択されたか否かを検出する終了操作検出処理を行う(ステップE80)。終了操作検出処理で「保存」の選択が検出されると、電子音楽装置1aは、編集が終了した旨の連絡を編集後ファイルと共にサーバコンピュータ2に送信し(ステップE81)、一方、「保存」の選択が検出されなかったときは、先に連絡した“編集中”(E78)を解除する旨をサーバコンピュータ2に連絡する(ステップE82)
【0104】
そして、編集終了コメント及び編集後ファイルを送信した後(E81)、編集指示操作検出処理で「編集」の選択が検出されなかったとき(E76→NO)、編集可能判定処理で編集可能なトラックでないと判定されたとき(E77→NO)或いは編集中の解除を連絡した後は(E82)、RAM1Cに格納されていた音楽情報ファイルを強制消去し(ステップE83)、その後、端末側全体処理(図7:E11)にリターンする。
【0105】
一方、サーバコンピュータ2では、“編集中”を解除する連絡(E82)を受けたときは、他のユーザが使用している電子音楽装置1bにその旨をサーバコンピュータ2に連絡する(ステップS73)。また、編集終了コメント及び編集後ファイル(E81)を受信したときは、受信した編集後ファイルを「共有」フォルダ内に保存する処理(書換え更新)を行うと共に、他のユーザの電子音楽装置1bに対して、電子音楽装置1aの編集終了を通知し且つ編集後ファイル(更新したファイル)を送信する(ステップS74)。その後、サーバ側全体処理(図7)にリターンする。なお、上述の書換え更新処理及び他の電子音楽装置1bへの送信処理では、編集されたトラックのデータのみについて書換え及び送信を行うのが好ましい。
【0106】
これに対して、他の電子音楽装置1bでは、電子音楽装置1aで編集が終了した音楽情報ファイル(E81,S74)を受信し(図12:ステップE73)、RAM1C上のファイルを最新のものに更新し、以後、図12及び図13の処理フロー(E73〜E83)に従って、受信した新たな音楽情報ファイルを元にして、これまで説明した手順と同様に、編集作業を行うことができる。なお、ファイルの更新は、電子音楽装置1aで編集されたトラックのみを更新するのが好ましい。
【0107】
この処理フロー例では、受信した音楽情報ファイルについて、電子音楽装置1aでの編集の前に他のユーザ(1b)が編集中のトラックがあるか否かを判断する(E74)ようにしたが、或るユーザが或るトラックの編集中に、当該ユーザが編集中ではないトラックの編集が他の電子音楽装置1bで開始された場合に、その通知を受けて当該トラックの編集ができないようにしてもよい。
【0108】
また、トラック毎に編集するものに限らず、1つのトラックの一部を編集するものでもよい。その場合、1トラック内の或る範囲を指定して「編集中」とすればよい。
【0109】
〔種々の実施態様〕
以上の例では、電子音楽装置毎に電子音楽装置IDを有し、サーバコンピュータ側での認証処理の際に電子音楽装置IDも参照し、仮にユーザIDとパスワードを他者が不正取得しても、それのみでは認証されないことから、非常にセキュリティの高い音楽コンテンツストレージシステムを構築することができる。しかしながら、ユーザIDとパスワードのみでも或る程度のセキュリティは確保されるので、電子音楽装置IDは必ずしも用いなくてもよい。また、機種種別子については、電子音楽装置IDに含ませず、単独に設定し別途サーバコンピュータに通知するようにしてもよい。
【0110】
電子音楽装置は、通信ネットワークに直接接続する機能を有していなくてもよい。その場合、電子音楽装置を他のパーソナルコンピュータや携帯通信端末に接続し、当該パーソナルコンピュータや携帯通信端末経由で通信ネットワークに接続すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】図1は、この発明の一実施例による音楽コンテンツストレージシステム全体の概略的システムブロック図である。
【図2】図2は、この発明の一実施例による電子音楽装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、この発明の一実施例によるサーバコンピュータ内の記憶装置のフォルダ構成を示す図である。
【図4】図4は、この発明の一実施例による電子音楽装置におけるディスプレイ表示画面の一例を示す図である。
【図5】図5は、この発明の一実施例による電子音楽装置におけるディスプレイ表示画面の別の一例を示す図である。
【図6】図6は、この発明の一実施例による音楽コンテンツストレージシステムの全体処理を表わすフローチャートの一部である。
【図7】図7は、この発明の一実施例による音楽コンテンツストレージシステムの全体処理を表わすフローチャートの他部である。
【図8】図8は、この発明の一実施例による「再生・編集」(端末側)及び「ファイル送受信」(サーバ側)処理を表わすフローチャートである。
【図9】図9は、この発明の一実施例によるコンテンツ購入時の処理を表わすフローチャートである。
【図10】図10は、この発明の一実施例によるマイドキュメントフォルダの容量変更処理を表わすフローチャートである。
【図11】図11は、この発明の一実施例によるコンテンツ検索時の処理を表わすフローチャートである。
【図12】図12は、この発明の一実施例による合作時の処理を表わすフローチャートの一部である。
【図13】図13は、この発明の一実施例による合作時の処理を表わすフローチャートの他部である。
【符号の説明】
【0112】
1 サーバコンピュータ(音楽コンテンツ提供サーバ、データセンタ)、
11,12,…,1n 電子音楽装置(電子楽器、PC、携帯通信端末など)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信ネットワークを介して複数の電子音楽装置に接続されるサーバコンピュータに各電子音楽装置の音楽情報を蓄積する機能をもたせた音楽コンテンツストレージシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子楽器や、楽音生成機能を有するパーソナルコンピュータ、携帯通信端末、通信カラオケ装置などの電子音楽装置で利用したり制作した音楽情報は、電子音楽装置のユーザ自身で、装置自体に備えられたハードディスクやメモリ装置或いは装置に装着されるフレキシブルディスクやCDRなどの記録媒体に保存していた。また、既製の音楽情報をフレキシブルディスクやCDなどの記録媒体の形で購入して電子音楽装置で利用する場合も多い。
【0003】
ハードディスクなどの場合はユーザ自身で音楽情報を常時管理しておく必要があり、また、フレキシブルディスクやCDRなどの記録媒体の場合は、多数の音楽情報を整理したり所望音楽情報にアクセスするに多大の労力を要していた。また、音楽情報を記録している記憶装置自体がこわれてしまい、保存しておいたり購入した音符情報を喪失することもあった。従って、電子音楽装置に必要な音楽情報の維持管理や取得・購入のためのコストがどうしても高くなってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、このような実情に鑑み、ユーザが購入し或いは制作した音楽コンテンツをユーザ側で保存する代わりにデータセンタで保存し、音楽コンテンツ利用時の利便性を向上し、コストの低減・削減を図ることができる音楽コンテンツストレージシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の主たる特徴に従うと、通信ネットワーク(3)を介して複数の電子音楽装置(11〜1n)と通信可能に接続される音楽コンテンツ堤供サーバ(2)であって、電子音楽装置のユーザに対応して音楽コンテンツを蓄積するユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)を有するコンテンツ蓄積手段と、電子音楽装置における音楽コンテンツに対する所定の操作(E3〜E5,E7→E8,E27→E29,E42→E43)に応じて、当該電子音楽装置のユーザに対応するユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に、当該操作がなされた音楽コンテンツを書込み、書換え又は削除するコンテンツ書込み、書換え又は削除手段(S4,S22,S43)と、ユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に蓄積されている音楽コンテンツのデータ量を検出する蓄積データ量検出手段(S51,S54)と、検出されたデータ量に応じて、ユーザ記憶領域の設定データ量を段階的に決定する設定データ量決定手段(S52,S55)と、決定された設定データ量に基づいて、当該電子音楽装置に課金されるサーバ使用料を決定する使用料決定手段(S53,S56)とを具備する音楽コンテンツ提供サーバ〔請求項1〕が提供される。なお、括弧書きは、対応する実施例中の参照記号、用語又は箇所を表わし、以下においても同様である。
【0006】
この発明による音楽コンテンツ提供サーバ(2)のコンテンツ蓄積手段は、電子音楽装置のユーザが購入可能な音楽コンテンツを記憶した有料コンテンツ記憶領域(「有料コンテンツ」フォルダ)を有し、この音楽コンテンツ提供サーバ(2)は、さらに、電子音楽装置(11〜1n)からの購入指示(E43)に基づき、有料コンテンツ記憶領域(「有料コンテンツ」フォルダ)に記憶された音楽コンテンツのうち購入指示がなされた音楽コンテンツを、当該電子音楽装置(11〜1n)で利用可能な音楽コンテンツとして提供するコンテンツ提供手段(S43)と、当該音楽コンテンツの提供に対応して、当該電子音楽装置のユーザに対する課金処理を行い、前記サーバ使用料を減額する減額処理を行う課金及び減額処理手段(S41,S42)とを具備する〔請求項2〕ように構成することができる。
【0007】
この発明による音楽コンテンツ提供サーバ(2)は、さらに、電子音楽装置(11〜1n)よりアクセスがあったこと(E2)に応じて、有料コンテンツ領域(「有料コンテンツ」フォルダ)及び当該電子音楽装置のユーザに対応するユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に蓄積された音楽コンテンツをそれぞれフォルダ表示するための表示データを該電子音楽装置(11〜1n)に送信する送信手段(S1→S2)を具備し、購入指示は、当該電子音楽装置(11〜1n)において、送信されてきた表示データに基づきフォルダ表示される音楽コンテンツに対する有料コンテンツ領域(「有料コンテンツ」)からユーザ記憶領域(「マイドキュメント」・「共有」)へのコピー操作(図5)がなされたことに応じて、発生されるものである(E3→E5:E42→E43)〔請求項3〕ように構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明の主たる特徴に従う音楽コンテンツ提供サーバ〔請求項1〕は、電子楽器、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯通信端末、通信カラオケ装置、音楽ゲーム機などの複数の電子音楽装置(11〜1n)が、インターネットなどの通信ネットワーク(3)を介して通信可能に接続される。また、この音楽コンテンツ提供サーバ(2)のコンテンツ蓄積手段には、電子音楽装置ユーザに対応するユーザ記憶(ストレージ)領域が設けられ、対応する電子音楽装置(11〜1n)側から操作可能な音楽コンテンツを記憶することができ、このユーザ記憶領域は、例えば、「マイドキュメント」や「共有」フォルダの下に設けられる。電子音楽装置(11〜1n)側で、自身に対応するユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に対する音楽コンテンツの書込み、書換え又は削除を指示する所定の操作がなされると(E7→E8,E27→E29,E42→E43)、音楽コンテンツ提供サーバ(2)は、電子音楽装置ユーザに対応のユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に対する当該音楽コンテンツの書込み、書換え又は削除を実行し(S4,S22,S43)、これに応じて、ユーザ記憶領域に蓄積された音楽コンテンツのデータ量は増減する。このデータ量は蓄積データ量検出手段(S51,S54)により検出され、検出されたデータ量に応じて、当該ユーザ記憶領域の設定データ量(「設定記憶容量」)が段階的に決定される(S52,S55)。そして、決定された設定データ量(「設定記憶容量」)に基づいて、当該電子音楽装置(11〜1n)に課金されるサーバ使用料が決定される(S53,S56)。
【0009】
従って、この発明によれば、音楽コンテンツ提供サーバは、電子音楽装置ユーザに対応のユーザ記憶領域に蓄積されている音楽コンテンツ量を検出し、検出された音楽コンテンツ量に応じてサーバ使用料を決定するようにしているので、サーバ側のコンテンツ記憶手段の利用状態に応じた的確なサービス処理を効率よく行うことができる。また、このように、ユーザ記憶領域の設定データ量変更(容量変更)を契約することにより、必要分のストレージコストだけで所要の音楽情報を保存しておくことができる。なお、通信料は、常時接続なら上乗せされない。
【0010】
この発明の音楽コンテンツ提供サーバにおいては、コンテンツ蓄積手段として、上述のように、例えば、「マイドキュメント」や「共有」フォルダの下に、電子音楽装置のユーザに対応したユーザ記憶領域が設けられ、これらユーザ記憶領域には、対応する電子音楽装置(11〜1n)側から操作可能な音楽コンテンツを記憶するだけでなく、例えば、「有料コンテンツ」フォルダの下に、電子音楽装置のユーザが購入可能な多数の音楽コンテンツを記憶した有料コンテンツ記憶領域(「有料コンテンツ」フォルダ)が設けられ、電子音楽装置(11〜1n)からの購入指示(E43)があると、この購入指示に応じて所定の購入処理が行われる。すなわち、有料コンテンツ記憶領域(「有料コンテンツ」フォルダ)に記憶された音楽コンテンツのうち購入指示がなされた音楽コンテンツを新たにユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に蓄積して、当該電子音楽装置(11〜1n)で利用可能な音楽コンテンツとして提供する処理を行う(S43)と共に、これに対応して、課金処理を行い(S41)、サーバ使用料を減額する処理を行う(S42)ようにしている。
【0011】
従って、この発明によれば、このように、ユーザ対応の記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に、新たに購入された音楽コンテンツが蓄積されて当該電子音楽装置(11〜1n)に提供されると、これに応じて課金処理を行うと共にサーバ使用料を減額するようにしているので、音楽コンテンツ購入時の課金処理を簡単に行うだけでなく、音楽コンテンツ購入によるサーバ使用料減額サービスのための処理を効率よく行うことができる。
【0012】
この発明の音楽コンテンツ提供サーバにおいては、さらに、電子音楽装置(11〜1n)よりアクセスがあったこと(E2)に応じて、有料コンテンツ領域(「有料コンテンツ」フォルダ)及び当該電子音楽装置のユーザに対応するユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に蓄積された音楽コンテンツをそれぞれフォルダ表示するための表示データを当該電子音楽装置(11〜1n)に送信し(S2)、当該電子音楽装置(11〜1n)において、送信されてきた表示データに基づきフォルダ表示される音楽コンテンツに対し、ドラッグ&ドロップなどにより、有料コンテンツ領域(「有料コンテンツ」)からユーザ記憶領域(「マイドキュメント」・「共有」)へのコピー操作(図5)がなされたことに応じて、購入指示が発生される(E42→E43)。
【0013】
従って、この発明によれば、このように、電子音楽装置(11〜1n)側からのアクセスに応じて、有料コンテンツ領域(「有料コンテンツ」フォルダ)及び当該電子音楽装置のユーザに対応するユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)をフォルダ表示する表示データを返信し、電子音楽装置(11〜1n)側でフォルダ表示された音楽コンテンツを有料コンテンツ領域(「有料コンテンツ」フォルダ)から当該ユーザ記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)へのコピー操作を行うと購入指示が発生されるようにしているので、極めて効率的に音楽コンテンツの購入及びこれに対する課金処理を行うことができる。
【0014】
〔種々の特徴〕
また、上述した課題(目的)に対応してこの明細書に記載された種々の発明の実施に関する別の特徴により次の〔1〕〜〔5〕のように構成することができる。
【0015】
〔1〕通信ネットワーク(3)を介してコンテンツ提供サーバ(2)及び複数の電子音楽装置(11〜1n)が通信可能に接続されて成る音楽コンテンツストレージシステムであって、コンテンツ提供サーバ(2)は、各電子音楽装置のユーザに対応して設けられた記憶領域(「マイドキュメント」や「共有」フォルダ)に音楽コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段を有し、電子音楽装置(11〜1n)は、コンテンツ蓄積手段にアクセスし、当該電子音楽装置のユーザに対応する記憶領域に蓄積された音楽コンテンツを操作するコンテンツ操作手段(E4〜E10)を有する音楽コンテンツストレージシステム。
【0016】
〔1〕の音楽コンテンツストレージシステムは、インターネットなどの通信ネットワーク(3)を介してコンテンツ提供サーバ(2)及び複数の電子音楽装置(11〜1n)が通信可能に接続されて構成され、コンテンツ提供サーバ(2)のコンテンツ蓄積手段には、例えば、電子音楽装置のユーザ毎に設けられた「マイドキュメント」と呼ばれる複数のフォルダや、複数の電子音楽装置ユーザから成るグループ毎に「共有」と呼ばれる複数のフォルダの下に、それぞれ、各ユーザが制作したり購入した音楽コンテンツが蓄積される。電子音楽装置(11〜1n)からコンテンツ提供サーバ(2)のコンテンツ蓄積手段にアクセスすると、直ちに、当該電子音楽装置のユーザに対応する「マイドキュメント」又は「共有」フォルダ下の記憶領域(ストレージ領域)に蓄積された音楽コンテンツが当該電子音楽装置(11〜1n)側に呼び出されるので、当該電子音楽装置のユーザは、呼び出された音楽コンテンツに対して、概要の確認、タイトル修正、再生、編集(更新)、削除、コピーなど、種々の操作を加えることができる(E4〜E10,E25,E27,E79)。
【0017】
このように、コンテンツ提供サーバ(2)側に設けられたユーザ対応の記憶領域(「マイドキュメント」・「共有」フォルダ)に音楽コンテンツを保存しておき、電子楽器などの音楽専用機器や、携帯通信端末やパーソナルコンピュータなどの電子音楽装置(11〜1n)側からインターネットなどの通信ネットワーク(3)を通じて音楽コンテンツを操作するように構成することにより、音楽コンテンツに対して必要な時に必要量だけアクセスすることができる。また、携帯通信端末のような携帯式の電子音楽装置を用いれば、何処にいても音楽コンテンツを取り出すことができる。
【0018】
〔1a〕〔1〕の音楽コンテンツストレージシステムにおいて、コンテンツ操作手段(E4〜E10)は、電子音楽装置(11〜1n)で編集或いは新たに作成された音楽コンテンツをコンテンツ提供サーバ(2)に送信し(E29,E81)、コンテンツ蓄積手段は、電子音楽装置(11〜1n)から送信されてきた音楽コンテンツを当該電子音楽装置のユーザに対応する記憶領域(「マイドキュメント」・「共有」)に蓄積する(S22,S74)ように構成すること:つまり、電子音楽装置(11〜1n)側で音楽コンテンツを編集したり、音楽コンテンツを新たに作成すると、編集乃至新規作成された音楽コンテンツは、コンテンツ提供サーバ(2)に送信され(E29,E81)、サーバ側に設けられた「マイドキュメント」や「共有」フォルダなどのユーザ対応の記憶領域に蓄積される(S22,S74)ように構成することによって、電子音楽装置側で編集したり制作した音楽コンテンツを、ユーザ側で保存する代わりに、サーバ側の大容量コンテンツ蓄積手段に保存し、再利用時の利便性を向上しコスト削減を図ることができる。
【0019】
〔1b〕〔1〕又は〔1a〕の音楽コンテンツストレージシステムにおいて、コンテンツ提供サーバ(2)は、電子音楽装置(11〜1n)から送られたユーザ識別子(ユーザID)を認証することにより、コンテンツ蓄積手段へのアクセスを許可するアクセス許可手段(S1)を有するように構成すること:この構成により、コンテンツ蓄積手段に保存されている音楽コンテンツについてセキュリティ(機密性)を確保することができる。
【0020】
〔1c〕電子音楽装置(11〜1n)のユーザに対応して設けられた記憶領域(「マイドキュメント」・「共有」)に音楽コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段を有するコンテンツ提供サーバ(2)と通信ネットワーク(3)を介して通信可能に接続される電子音楽装置(11〜1n)であって、コンテンツ提供サーバ(2)へのコンテンツ送信要求操作(E22,E72)に応じて上記記憶領域(「マイドキュメント」・「共有」)から受信した音楽コンテンツを一時的に記憶する一時記憶手段(E23,E73:RAM1C)と、一時的に記憶された音楽コンテンツを操作するコンテンツ操作手段(E10,E25,E27,E79)と、コンテンツ操作の終了に応じて、一時的に記憶された音楽コンテンツを強制消去する強制消去手段(E30,E83)とを具備する電子音楽装置。
【0021】
つまり、〔1〕の音楽コンテンツストレージシステムで音楽コンテンツの提供を実施するには、各電子音楽装置(11〜1n)において、「マイドキュメント」や「共有」フォルダなどのユーザ対応記憶領域内に記憶された所望の音楽コンテンツを呼び出して一時的に記憶しておき(E23,E73)、この音楽コンテンツに操作が加えられようにし(E10,E25,E27,E79)、コンテンツ操作の終了に応じて、一時記憶された音楽コンテンツを強制消去する(E30,E83)。
【0022】
〔2〕通信ネットワーク(3)を介してコンテンツ提供サーバ(2)及び複数の電子音楽装置(11〜1n)が通信可能に接続されて成る音楽コンテンツストレージシステムであって、コンテンツ提供サーバ(2)は、複数の電子音楽装置のユーザから成るグループ毎に共通に設けられた記憶領域(「共有」フォルダ)に音楽コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段を有し、電子音楽装置(11〜1n)は、コンテンツ蓄積手段にアクセスし、当該電子音楽装置のユーザが属するグループに対応する記憶領域(「共有」)に蓄積された音楽コンテンツを操作するコンテンツ操作手段(E79)を有する音楽コンテンツストレージシステム。
【0023】
このように、コンテンツ提供サーバ(2)のコンテンツ蓄積手段に、例えば、「共有」と名付けられたフォルダ下に、電子音楽装置(11〜1n)の複数のユーザから成るグループ毎に共通に利用可能な音楽コンテンツを蓄積する記憶領域を設けておき、各電子音楽装置(11〜1n)側からコンテンツ提供サーバのコンテンツ蓄積手段にアクセスすると、当該電子音楽装置のユーザが属するグループに対応する記憶領域(「共有」フォルダ)に蓄積された音楽コンテンツが呼び出され(E73)、この音楽コンテンツをグループの各電子音楽装置(11〜1n)側から共同して操作する(E79)ことができるように構成することにより、当該記憶領域を共有する複数のユーザにより音楽コンテンツを合作することができる。
【0024】
〔3〕通信ネットワーク(3)を介して複数の電子音楽装置(11〜1n)と通信可能に接続される音楽コンテンツ提供サーバ(2)であって、複数の音楽コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段と、蓄積された音楽コンテンツのうちアクセスしてきた電子音楽装置(11〜1n)の機種に適した音楽コンテンツに関する表示データを当該電子音楽装置に送信する表示データ送信手段(S2)とを具備する音楽コンテンツ提供サーバ。
【0025】
このように、音楽コンテンツ提供サーバ(2)は、通信ネットワーク(3)を介して電子音楽装置(11〜1n)からのアクセスがあると、アクセスしてきた電子音楽装置の機種に適した音楽コンテンツの表示データを当該電子音楽装置に送信し(S2)、当該機種に不適当又は不要な音楽コンテンツを送信しないように構成することにより、当該電子音楽装置のユーザを混乱させないようにすることができる。
【0026】
〔4〕通信ネットワーク(3)を介して複数の電子音楽装置と通信可能に接続されて成る音楽コンテンツ提供サーバ(2)であって、複数の音楽コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段と、電子音楽装置(11〜1n)から検索条件として指示されたフレーズに対応する音楽コンテンツをコンテンツ蓄積手段から抽出するコンテンツ抽出手段(S61)と、抽出された音楽コンテンツの表示データを当該電子音楽装置(11〜1n)に送信する表示データ送信手段(S62)とを具備する音楽コンテンツ提供サーバ。
【0027】
このように、音楽コンテンツ提供サーバ(2)は、複数の音楽コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段を備え、電子音楽装置(11〜1n)側から検索条件としてフレーズが指示される(E62)と、このフレーズに一致又は類似するフレーズをもつ音楽コンテンツがコンテンツ蓄積手段から抽出され(S61)、抽出された音楽コンテンツのリストを表示データとして電子音楽装置(11〜1n)側に返信する(S62)検索サービスを行うように構成することにより、フォルダによるコンテンツ整理区分とは異なる観点(フレーズ)で検索条件を設定し、サーバ(2)側に蓄積している多量の音楽コンテンツの中から所望フレーズに対応する音楽コンテンツを検索し、音楽コンテンツの利便性を非常に向上させることができる。
【0028】
〔4a〕〔5〕の音楽コンテンツ提供サーバ(2)において、コンテンツ蓄積手段は、音楽コンテンツの利用種別に応じて複数の記憶領域(例えば、「有料コンテンツ」フォルダに対応する第1記憶領域、及び、「マイドキュメント」・「共有」フォルダに対応する第2記憶領域など)に区分されており、コンテンツ抽出手段(S61)は、音楽コンテンツの利用種別(「有料コンテンツ」、「マイドキュメント」、「共有」)を含む検索条件に合致する音楽コンテンツを抽出するように構成すること:つまり、音楽コンテンツ提供サーバ(2)のコンテンツ蓄積手段は、例えば、「有料コンテンツ」フォルダに対応する記憶領域に、電子音楽装置のユーザが購入可能な音楽コンテンツを蓄積し、「マイドキュメント」や「共有」フォルダに対応する記憶領域には、複数の電子音楽装置のユーザがそれぞれ購入済みの音楽コンテンツを蓄積するなどというように、利用種別毎に複数の記憶領域に大分けされ、検索サービスに当っては、これに対応する音楽コンテンツ利用種別(「有料コンテンツ」、「マイドキュメント」、「共有」)を検索条件に含ませて、この音楽コンテンツ利用種別やフレーズなどから成る検索条件に合致する音楽コンテンツを抽出する(S61)。
【0029】
〔4b〕〔5〕の音楽コンテンツ提供サーバ(2)において、コンテンツ蓄積手段は、複数の音楽コンテンツを種類別〔「SMF」、「着メロ」(商標)、「楽譜」、…などのフォルダ〕に蓄積しており、コンテンツ抽出手段(S61)は、音楽コンテンツの種類(「SMF」、「着メロ」、「楽譜」、…)を含む検索条件に合致する音楽コンテンツを抽出するように構成すること:つまり、音楽コンテンツ提供サーバ(2)のコンテンツ蓄積手段には、複数の音楽コンテンツが「SMF」、「着メロ」、「楽譜」、…などの種類別フォルダ下に細分して蓄積され、検索サービスにおいては、これに対応する音楽コンテンツ種類(「SMF」、「着メロ」、「楽譜」、…)を検索条件に含ませて、音楽コンテンツ種類やフレーズなどから成る検索条件に合致する音楽コンテンツを抽出する(S61)。
【0030】
〔4a〕,〔4b〕のように構成することにより、サーバ(2)側に蓄積している多量の音楽コンテンツの中から所望の音楽コンテンツを簡単且つ高速に検索し、音楽コンテンツの利便性を更に向上させることができる。
【0031】
〔5〕電子音楽装置のユーザに対応して設けられた記憶領域(「マイドキュメント」、「共有」などのフォルダ)に音楽コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段を有するコンテンツ提供サーバ(2)と通信ネットワーク(3)を介して通信可能に接続される電子音楽装置(11〜1n)であって、電子音楽装置の電源投入に応じて、電子音楽装置の識別子又はユーザの識別子をコンテンツ提供サーバ(2)へと送信する送信手段(E1〜E2)と、識別子の送信に応じてコンテンツ提供サーバ(2)から送信されてきたユーザに対応する記憶領域に関する表示情報を受信する受信手段(E3,E6,E9)と、受信した表示情報に基づいて、当該記憶領域に関する表示をする表示手段(E3,E6,E9)と、この表示に基づいて、該記憶領域に対して操作をする操作手段(E5,E8,E10)とを具備する電子音楽装置。
【0032】
この電子音楽装置(11〜1n)では、通信ネットワーク(3)を介して電子音楽装置(11〜1n)と通信可能に接続されるコンテンツ提供サーバ(2)のコンテンツ蓄積手段は、例えば、「マイドキュメント」、「共有」などのフォルダ下に、電子音楽装置(11〜1n)のユーザに対応した記憶領域が設けられており、電子音楽装置(11〜1n)の電源を投入すると、これに応じて、電子音楽装置の識別子又はユーザの識別子をコンテンツ提供サーバ(2)に送信し(E1〜E2)、この識別子送信に応じて、当該ユーザ対応記憶領域に関する表示情報をコンテンツ提供サーバ(2)から受信してユーザ対応記憶領域の表示を行い(E3,E6,E9)、これに対して操作を加える(E5,E8,E10)ように構成されている。従って、電子音楽装置(11〜1n)の電源投入により、コンテンツ提供サーバ(2)側のユーザ対応記憶領域(「マイドキュメント」、「共有」フォルダ)の情報を操作可能に表示して、コンテンツ提供サーバ(2)側に蓄積されている音楽コンテンツを恰かも電子音楽装置(11〜1n)自身の蓄積データのような感覚で取り扱うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照しつつ、この発明の好適な実施の形態について詳述する。なお、以下の実施例は単なる一例であって、この発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0034】
〔システムの概要〕
図1は、この発明の一実施例による音楽コンテンツストレージシステムの概略的システムブロック図を示す。この例では、システムは、複数(n個)の電子音楽装置11〜1n及びサーバコンピュータ(コンテンツ提供サーバ)2がインターネット等の通信ネットワーク3を介して相互に通信可能に接続されて成る。電子音楽装置11〜1n(個々の電子音楽装置を表わす場合には、参照記号として“1”や“1a”、“1b”等を用いることがある。)は、「音楽情報利用端末」とも呼ばれる通信機能を備えた情報処理装置であり、電子楽器等の音楽専用電子機器や、音楽情報の取扱いが可能なパーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話機などの携帯通信端末、通信カラオケ装置、音楽ゲーム機など、種々の機器が含まれる。
【0035】
ここで、図1を用いてこの発明の一実施例による音楽コンテンツストレージシステムを簡単に説明する。通信ネットワーク3を介してサーバコンピュータ2及び複数の電子音楽装置11〜1nが通信可能に接続され、サーバコンピュータ2のコンテンツ蓄積手段には、各電子音楽装置のユーザに対応した記憶領域(「マイドキュメント」又は「共有」フォルダ下)に、各ユーザが制作したり購入した音楽コンテンツが蓄積される。或る電子音楽装置1側で、コンテンツ提供サーバ2にアクセスすると、直ちに、当該電子音楽装置のユーザに対応する記憶領域に蓄積された音楽コンテンツが呼び出され、当該電子音楽装置のユーザは、呼び出された音楽コンテンツに対して、概要の確認、タイトル修正、再生、編集(更新)、削除、コピーなど、種々の操作を加えることができる。また、操作により変更された音楽コンテンツは、対応する記憶領域に格納することができる。
【0036】
なお、サーバコンピュータ2は、各電子音楽装置11〜1nで用いるMIDIデータや電子楽譜データ、着信メロディ、カラオケ曲などの電子的な音楽情報(音楽コンテンツ)を蓄積し、各電子音楽装置11〜1nに必要な音楽情報を必要に応じて一時的に提供する音楽コンテンツストレージとして機能するデータセンタであり、“(音楽)コンテンツ提供サーバ”とも呼ばれる。サーバコンピュータ2は、音楽情報の蓄積・提供サイトに限らず、ニュース等の文字情報、待ち受け画面等の画像の配信サイトを兼ねてもよいし、或いは、ショッピングサイトでもよいし、情報検索サイトでもよい。
【0037】
〔各電子音楽装置のハードウエア構成〕
図2は、この発明の一実施例によるクライアントPCや電子楽器などの音楽情報利用端末のハードウエア構成を示すブロック図である。この例では、電子楽器やPCなどの音楽情報利用端末(電子音楽装置)1は、CPU1A、読出専用メモリ(ROM)1B、ランダムアクセスメモリ(RAM)1C、外部記憶装置1D、第1検出回路1E、第2検出回路1F、表示回路1G、音源回路1H、効果回路1J、通信インターフェース(通信I/F)1K、MIDIインターフェース(MIDI・I/F)1Lなどを備え、これらの装置1A〜1Lはバス1Mを介して互いに接続されている。
【0038】
CPU1Aは、所定のソフトウエア・プログラムに従いタイマ1Pによるクロックを利用して、音楽情報処理や、サーバ1から音楽情報(コンテンツ)の提供を受けるための「端末側音楽コンテンツ提供処理」を含む種々の制御を中心的に行う。ROM1Bには、このために「端末側音楽コンテンツ提供処理」などに関する制御プログラムが記憶され、また、音楽情報処理などに必要なデータも予め記憶されている。RAM1Cは、各種処理に際して必要なデータやパラメータを記憶し、また、処理中の各種データ等を一時記憶するためのワーク領域として用いられる。
【0039】
外部記憶装置1Dは、ハードディスクドライブ(HDD)の外に、コンパクトディスク・リード・オンリィ・メモリ(CD−ROM)、フレキシブルディスク(FD)、光磁気(MO)ディスク、ディジタル多目的ディスク(DVD)、半導体メモリ等の可搬型記憶媒体を用いた装置から成り、例えば、当該電子音楽装置1で利用される種々の情報を記憶するのに用いられ、サーバ1からのコンテンツ提供に関する各種プログラムを記憶することもできる。
【0040】
第1検出回路(パネル操作検出回路)1Eは、これに接続されるスイッチ等のパネル操作子1Qによる設定/制御操作の内容を検出して当該電子音楽装置1内に導入するものである。パネル操作子1Qは、当該電子音楽装置1の動作状態を設定したりサーバコンピュータ2と交信するために各種情報を入力する操作子であり、当該電子音楽装置1が電子楽器などの電子音楽専用機器の場合は操作パネル上の各種スイッチなどが用いられ、PCの場合にはキーボードやマウスなどのポインチングデバイスが用いられる。
【0041】
第2検出回路(演奏操作検出回路)1Fは、これに接続される鍵盤等の演奏操作子1Rによる演奏操作を検出して当該電子音楽装置1内に導入するものである。演奏操作子1Rは、ユーザの演奏操作に基づいて演奏情報を入力するための操作子であり、電子楽器などの電子音楽専用機器の場合は鍵盤などの演奏専用操作子が用いられ、PCの場合にはキーボード上の所定のキーが演奏モード時に演奏操作用に割り当てられる。
【0042】
表示回路1Gは、これに接続される表示装置1Sの表示内容をCPU1Aからの指令に従って制御し、表示装置1Sにはディスプレイや各種インジケータが含まれる。
【0043】
音源回路1Hには、DSPを含む効果回路1Jが接続され、効果回路1JにはD/A変換部やアンプ、スピーカを含むサウンドシステム1Tが接続される。これらの装置1H,1J,1Tにより、自身での演奏や外部からの受信などによる音楽情報に基づき楽音を発音する楽音生成部が形成される。
【0044】
通信I/F1Kは、当該電子音楽装置1(1a)をサーバコンピュータ2や他の電子音楽装置(1b)に交信可能に接続するために設けられ、例えば、サーバコンピュータ1から提供される情報を通信ネットワーク3を介してRAM1C上に一時的に記憶することができる。また、MIDI・I/F1Lには、MIDI形式の音楽情報を取り扱うことができる他の電子音楽装置4が接続され、これにより、MIDI音楽情報を授受することができる。
【0045】
なお、携帯通信端末や通信カラオケ装置などのハードウエアについては、図示しないが、図2と同様にサーバ2と交信し音楽情報を利用することができるように構成することができる。例えば、携帯電話機のような携帯通信端末(携帯式音楽情報利用端末)の場合、アンテナを含む電波送受信処理回路や、マイクロフォンや音声用スピーカ(レシーバ)を含む送受話処理及び音声入出力装置を備えるなどの携帯通信端末自体のハードウエア構成に加えて、サーバコンピュータ2と交信し音楽情報の利用を可能とするようにデータ処理回路を構成し、着信メロディやカラオケ曲を放音するために、楽音生成用音源や楽音用スピーカ(サウンダー)などで楽音生成部を設けたり、さらには、他の情報処理装置と種々のデータやプログラムを送受するインターフェースを備えることができる。
【0046】
サーバコンピュータ2については、図2とほぼ同様のハードウエア構成をとるが、特に、MIDIデータや電子楽譜データ、着信メロディ、カラオケなどの多数の音楽情報ファイル(コンテンツ)を蓄積し、多数の電子音楽装置11〜1nと情報授受を行うので、大規模な外部記憶装置(HDD)や高速処理が可能なCPUを備えた専用のサーバマシンであることが望ましい。ただし、演奏操作子及び第2検出回路や、音源回路乃至サウンドシステムで形成される楽音生成部、MIDI・I/Fなどは不要である。
【0047】
このような構成により、サーバコンピュータ2は、図2と同様に、CPUを中心にして、所定のソフトウエア・プログラムに従って種々の制御を行い、音楽情報の蓄積及び提供に関する「サーバ側音楽コンテンツ提供処理」を遂行し、また、通信I/Fから通信ネットワーク3を介して各電子音楽装置11〜1nと交信することができる。
【0048】
なお、サーバコンピュータ2の外部記憶装置には、多数の電子音楽装置11〜1nに音楽コンテンツを提供するため、多数の音楽コンテンツが階層的に整理され、利用種別や種類別に区分されて蓄積されている。例えば、利用形態の種別に応じて、多数の音楽コンテンツを用意した「有料コンテンツ」フォルダに対応する記憶領域、多数の電子音楽装置11〜1nのそれぞれに専用の複数の「マイドキュメント」フォルダ対応記憶領域、複数の電子音楽装置間で共有される複数の「共有」フォルダ対応記憶領域が設けられ、各記憶領域の音楽コンテンツは、さらに、複数の種類別フォルダ下に区分されて蓄積される。
【0049】
〔サーバのフォルダ構成及び電子音楽装置の表示〕
この発明の一実施例においては、各電子音楽装置11〜1nからサーバコンピュータ2にアクセスすると、直ちに、サーバコンピュータ2の記憶装置から音楽情報ファイル(音楽コンテンツ)の提供を受けることができる。図3は、この発明の一実施例によるサーバコンピュータの記憶装置における音楽コンテンツのフォルダ構成を概略的に示す図である。
【0050】
複数の電子音楽装置11〜1nで利用可能な音楽コンテンツは、図3に示すように、サーバコンピュータ2に設けられた記憶装置の「音楽コンテンツルート」フォルダ(“「ルート」フォルダ”と略称する。)内に格納される。この音楽コンテンツルート直下の第2階層には、「有料コンテンツ」フォルダ、複数(n個)の電子音楽装置11〜1nのユーザがそれぞれ個別に利用可能な「マイドキュメント1」、「マイドキュメント2」、…などの複数(j個:n個以上)の「マイドキュメント」フォルダ、複数(n個)の電子音楽装置11〜1nのユーザのうち共有関係にある複数の電子音楽装置のユーザの間で利用可能な「共有1」、「共有2」、…などの複数(k個)の「共有」フォルダが置かれる。各「共有」フォルダは、1グループ内に属する複数の電子音楽装置のユーザで共有されるフォルダであり、このグループには、各ユーザが、後述するようなユーザ登録の際に、適宜、当該グループに参加したり、ユーザ登録後の任意の時点で参加したりすることができる。
【0051】
さらに、「有料コンテンツ」フォルダ下の第3階層には、音楽情報の種類毎に、「SMF」、「着メロ」、「カラオケ」、「電子オルガン」、「電子ピアノ」、「電子楽譜」、「音源波形」、「伴奏スタイル」、「音色パラメータ」、…などの複数の種類別フォルダが置かれる。「有料コンテンツ」フォルダと同一階層にある他のマイドキュメントフォルダや共有フォルダなどのフォルダにも、同様の種類別フォルダが置かれる(図示せず)。
【0052】
これらの種類別フォルダの下には、第4階層(ファイル格納層)として、当該音楽情報の種類に属する複数の音楽情報ファイルが格納される。例えば、「SMF」フォルダには、SMF(Standard MIDI File)形式の標準的な音楽情報ファイルが格納され、「着メロ」フォルダには種々の着信メロディ曲情報が格納され、「カラオケ」フォルダにはカラオケ曲情報が格納され、「電子オルガン」や「電子ピアノ」フォルダには電子オルガンや電子ピアノ専用の音楽情報が格納される。
【0053】
この発明の一実施例においては、電子音楽装置から或るユーザがサーバコンピュータにアクセスすると、サーバコンピュータは、これに応答して、当該電子音楽装置のディスプレイ上にアクセス可能なフォルダを表示させる。図4は、このような場合における電子音楽装置のディスプレイ表示画面の一例を示す。
【0054】
或る電子音楽装置1から或るユーザがコンテンツ提供サーバ2にアクセスすると、当該電子音楽装置1のディスプレイ1Sには、例えば、図3に示される第2階層フォルダのうち、「有料コンテンツ」フォルダと、当該ユーザが当該電子音楽装置1で利用可能なマイドキュメントフォルダ及び共有フォルダである「マイドキュメント」及び「共有」フォルダのアイコンがリスト表示される。ここで、「有料コンテンツ」フォルダ及び「マイドキュメント」フォルダのアイコンを順次“オープン”操作(ダブルクリック)すると、例えば、図4に示すように、「有料コンテンツ」フォルダ及び「マイドキュメント」フォルダ内に配置されている第3階層フォルダをリスト的に表わす「有料コンテンツ」ウインドウ及び「マイドキュメント」ウインドウがディスプレイ1Sに表示される。
【0055】
この発明の一実施例においては、電子音楽装置のディスプレイ画面に表示されたフォルダアイコンを操作して「有料コンテンツ」フォルダから「マイドキュメント」フォルダへと音楽情報ファイル(音楽コンテンツ)をコピーすることにより、当該音楽情報ファイルを購入することができる。図5は、このような場合における電子音楽装置のディスプレイ表示画面の一例を示す。
【0056】
図4のディスプレイ画面上において、例えば、「有料コンテンツ」ウインドウ内の「SMF」フォルダ及び「マイドキュメント」フォルダ内の「SMF」フォルダアイコンを操作(ダブルクリック)すると、図5に示すように、「有料コンテンツ−SMF」ウインドウ及び「マイドキュメント−SMF」ウインドウがディスプレイ1Sに表示される。図示の例では、「有料コンテンツ−SMF」ウインドウには、「有料コンテンツ」の「SMF」フォルダ内に格納されている多数個のSMF音楽情報ファイルを表わすアイコン又は文字がリスト表示され(図5では、多数個のうち6個が表示されている。)、一方、「マイドキュメント−SMF」ウインドウ内は空白であり、当該マイドキュメントの「SMF」フォルダ内に音楽情報ファイルが格納されていないことが表示される。各コンテンツのタイトルや、作詞者、作曲者、アーティストなどの概要表示を行ってもよい。
【0057】
ここで、図示のように、「有料コンテンツ−SMF」ウインドウ内から所望のコンテンツ(例えば、“FFFF.mid”)を表わすアイコンを指示し「マイドキュメント−SMF」ウインドウ内へドラッグ&ドロップするなどの“コピー”操作を行うと、「有料コンテンツ」フォルダから「マイドキュメント」フォルダへと音楽情報ファイルがコピーされ、これにより、当該音楽情報ファイルを購入することができる。また、このとき、課金処理もなされる。
【0058】
〔全体処理〕
図6及び図7は、この発明の一実施例による音楽コンテンツストレージシステムの全体処理を表わすフローチャートを示す。この全体処理は「音楽コンテンツ提供処理」と呼ばれ、電子音楽装置側での処理部分を「端末側音楽コンテンツ提供処理」又は「端末側全体処理」と呼び、サーバコンピュータ側での処理部分を「サーバ側音楽コンテンツ提供処理」又は「サーバ側全体処理」と呼ぶものとする。
【0059】
電子音楽装置1側では、装置の電源をオンし、端末側音楽コンテンツ提供処理プログラムを立ち上げた後(ステップE1)、まず、当該電子音楽装置1の電子音楽装置ID、当該電子音楽装置1を利用しているユーザのユーザID及びパスワードを入力し(ステップE2)、入力された電子音楽装置ID、ユーザID及びパスワードをサーバコンピュータ2に送信する。
【0060】
ここで、電子音楽装置IDは、各電子音楽装置1に予め与えられたユニークな識別子であり、製造時にROM1Bなどに埋め込んでおき自動的に入力されるようにするが、これに限らず、後からRAM1Cなどに埋め込んでもよい。例えば、電子音楽装置1を購入した際メーカーにユーザ登録をした場合に、メーカから電子音楽装置IDが送られてきたときに、この電子音楽装置IDが自動入力されるようにユーザの手で設定しておいてもよい。なお、電子音楽装置IDには、当該電子音楽装置1の機種乃至機能に対応する機種識別子を含ませるようにすることが好ましい。
【0061】
また、ユーザID及びパスワードも事前に設定しておくことが好ましい。例えば、ユーザが予め当該電子音楽装置(電子楽器やPC)などからサーバコンピュータ2にアクセスし、音楽コンテンツストレージサービスに対するユーザ登録を行ってユーザID及びパスワードを取得しておく。一度ユーザIDやパスワードを入力すると、2回目以降のアクセスの際にはその入力を省略できるようにしてもよい。
【0062】
これに対して、サーバコンピュータ2側では、ユーザ認証などの処理を行う。つまり、電子音楽装置1から送信されてきた電子音楽装置ID、ユーザID及びパスワードに基づいてユーザ認証を行い、認証が完了すると、当該電子音楽装置1に対応する「マイドキュメント」フォルダ及び「共有」フォルダへのアクセスを許可する(ステップS1)。当該電子音楽装置1に対応する各フォルダは、前述のユーザ登録時に、利用可能なフォルダとしてサーバーコンピュータ2側で登録して(割り当てて)おく。次に、アクセス許可されたフォルダと有料フォルダの表示データを電子音楽装置1に送信する(ステップS2)。
【0063】
これに応じて、電子音楽装置1では、サーバコンピュータ2から送信されてきた表示データに基づいて、当該電子音楽装置1にアクセス許可された利用可能なフォルダに関するウインドウ画面が表示装置1Sに表示され(ステップE3)、ユーザによるフォルダ操作が可能となるので、次いで、ユーザによるフォルダ操作を検出するフォルダ操作検出処理を行う(ステップE4)。フォルダ操作検出処理で、フォルダ操作を検出すると、“フォルダ操作”コマンドをサーバコンピュータ2に送信する(E5)。
【0064】
サーバコンピュータ2は、“フォルダ操作”コマンドを受信すると、このコマンドに対応する処理を行い、処理の結果得られた表示データを電子音楽装置1に送信する(ステップS3)。フォルダ操作には、“オープン”、“クローズ”、“新規作成”、“削除”、“コピー”、…などがある。例えば、“オープン”操作なら、サーバコンピュータ2は、“オープン”操作のあったフォルダの1つ下の階層のフォルダ又はファイルのリストを表示データとして電子音楽装置1に送信する。
【0065】
なお、電子音楽装置1がアクセス可能なフォルダは、電子音楽装置IDに含まれる機種識別子を用いて、「マイドキュメント」フォルダ中の種類別フォルダから、電子音楽装置1の機種乃至機能に適したフォルダを選択するように構成される。例えば、楽譜表示が可能な電子音楽装置に対しては「電子楽譜」フォルダを表示可能とするが、楽譜表示が不可能な電子音楽装置に対しては「電子楽譜」フォルダを表示しないようにすると、ユーザが混乱せずにすむ。また、「共有」フォルダや「有料コンテンツ」フォルダについても、同様に、機種識別子を用いて電子音楽装置1に提供する種類別フォルダを選択するように構成することができる。なお、有料フォルダの下の階層のフォルダについては、“オープン”、“クローズ”のみが可能であり、“新規作成”等はできない。
【0066】
電子音楽装置1では、送信されてきた表示データに基づいて、“フォルダ操作”コマンドに対応する処理結果を表示する(図7:ステップE6)。例えば、図4左側の「有料コンテンツ」及び「マイドキュメント」フォルダの“オープン”操作に対しては、同図右側のように、「有料コンテンツ」及び「マイドキュメント」ウインドウに各フォルダの一階層下のフォルダをリスト表示する。また、最下フォルダ階層(図3では第3階層)にあるフォルダ(例えば「SMF」)の“オープン”操作に対しては、当該フォルダに格納されている音楽情報ファイルが表示される。
【0067】
“フォルダ操作”コマンドに対応する表示(E6)がなされたか、或いは、フォルダ操作検出処理でフォルダ操作を検出しなかったとき(E4→NO)は、電子音楽装置1の表示装置1Sに音楽情報ファイルが表示されてユーザによるファイル操作が可能となる場合があるので、次いで、ユーザによるファイル操作を検出するファイル操作検出処理を行う(ステップE7)。ファイル操作検出処理で、ファイル操作が検出されると“ファイル操作”コマンドをサーバコンピュータ2に送信する(E8)。
【0068】
サーバコンピュータ2は、“ファイル操作”コマンドを受信すると、このコマンドに対応する処理を行い、処理の結果得られた表示データを電子音楽装置1に送信する(図7:ステップS4)。ファイル操作には、“新規作成”、“削除”、“コピー”、…などがある。例えば、“新規作成”操作であれば、新しいファイルを作成し、そのアイコンを表示データとして電子音楽装置に送信する。なお、有料フォルダ内のファイルについては、“コピー”のみが可能で“新規作成”等はできない。そして、「その他の処理」(ステップS5)を行った後、アクセスやコマンドなどの電子音楽装置1側からの指示を受ける待機状態にリターンする。
【0069】
一方、電子音楽装置1では、送信されてきた表示データに基づいて、“ファイル操作”コマンドに対応する処理結果を表示する(ステップE9)。この表示の後、或いはファイル操作検出処理でファイル操作を検出しなかったとき(E7→NO)は、その後「その他の処理」を行い、電源オフが指示されていなければフォルダ操作検出処理(E4)に戻って、電源オフが指示されるまで“フォルダ操作”検出(E4)〜「その他の処理」(E10)を繰り返す。そして、電源オフが指示されるとこの端末側音楽コンテンツ提供処理を終了する。
【0070】
「その他の処理」には、「再生・編集」及び「ファイル送受信」処理、「コンテンツ購入」処理、「コンテンツ検索」処理、「合作」処理などの電子音楽装置1及びサーバコンピュータ2間で相互に連係しながら行われる処理と、「マイドキュメント容量変更」処理などのサーバコンピュータ2で単独に行われる処理とがある。
【0071】
なお、一人のユーザが複数の電子音楽装置1a,1bからサーバコンピュータ2にアクセスすることが可能である。この場合、同一のユーザID及びパスワードを入力すればよいが、当該ユーザが使用する各電子音楽装置1a,1bには、前述したように、電子音楽装置IDに含まれる機種識別子に応じて、見える種類別フォルダが変わる。
【0072】
〔「再生・編集」及び「ファイル送受信」処理〕
この発明の一実施例においては、サーバコンピュータに保存している音楽情報ファイル(音楽コンテンツ)を電子音楽装置上で再生や編集に利用することができ、編集された音楽情報ファイルは再びサーバコンピュータに保存することができる。図8は、このような再生・編集及び保存を可能にする「再生・編集」(端末=電子音楽装置=側)及び「ファイル送受信」(サーバ側)処理を表わすフローチャートである。
【0073】
前述した“フォルダ操作”及び“ファイル操作”コマンドに応じてサーバコンピュータ2から送られた表示データに基づき、「マイドキュメント」又は「共有」フォルダ下にある音楽情報ファイルのリストが電子音楽装置1の表示装置1Sに表示される。ここで、この中にユーザが再生或いは編集したい音楽情報ファイルがある場合、ユーザが当該ファイルを指示・選択し(ステップE21)、ファイル送信を要求する操作を行うと、電子音楽装置1は「ファイル送信要求」をサーバコンピュータ1に送信する(ステップE22)。
【0074】
サーバコンピュータ1は、電子音楽装置1からの「ファイル送信要求」に応答して、要求された音楽情報ファイルを電子音楽装置1に送信する(ステップS21)。これに対し、電子音楽装置1は、当該ファイルを受信しRAM1C内に格納する(ステップE23)と共に、ファイル利用(操作)の仕方について「再生」や「編集」を選択させるファイル操作選択画面(例えば、「再生」、「編集」及び「キャンセル」などの選択ボタンを配置した画面)をディスプレイ1S上に表示し、まず、当該ファイルの「再生」が選択されたか否かを検出する再生操作検出処理を行う(ステップE24)。
【0075】
再生操作検出処理でファイルの「再生」を選択する操作が検出されると、RAM1Cに格納された音楽情報ファイルが電子音楽装置1上で再生される(ステップE25)。例えば、当該ファイルに基づいて、楽音生成部1H,1J,1Tから対応する楽音が発生され、或いは、ディスプレイ1S上に対応する楽譜などが表示される。
【0076】
音楽情報ファイルの再生処理(E25)の後、或いは、再生操作検出処理で「再生」操作を検出しなかったときは(E24→NO)、ファイルの「編集」が選択されたか否かを検出する編集操作検出処理を行う(ステップE26)。編集操作検出処理で「編集」の選択操作が検出されると、RAM1Cに格納された音楽情報ファイルは編集可能状態になり、ユーザの操作により編集することができる(ステップE27)。
【0077】
ユーザが編集作業を終了し編集終了を指示すると、電子音楽装置1は、編集された音楽情報ファイル(「編集後ファイル」という。)を「保存」する否かをユーザに選択させる画面をディスプレイ1S上に表示し、当該編集後ファイルについて「保存」が選択されたか否かを検出する保存操作検出処理を行う(ステップE28)。保存操作検出処理で「保存」の選択が検出されると、電子音楽装置1は編集後ファイルをサーバコンピュータ2に送信する(ステップE29)。
【0078】
そして、編集後ファイルを送信した後(E29)、編集操作検出処理で「編集」の選択が検出されなかったとき(E26→NO)或いは保存操作検出処理で「保存」の選択が検出されなかったときは(E28→NO)、RAM1Cに格納されていた音楽情報ファイルを強制消去し(ステップE30)、その後、端末側全体処理(図7:E11)にリターンする。
【0079】
一方、サーバコンピュータ2では、編集後ファイルを受信すると、受信した編集後ファイルを、対応する「マイドキュメント」又は「共有」フォルダ内に格納する(新規に書き込み、或いは、書き換える)処理を行い(ステップS22)、その後、サーバ側全体処理(図7“リターン”)にリターンする。
【0080】
〔「コンテンツ購入」処理〕
この発明の一実施例においては、サーバコンピュータの「有料コンテンツ」フォルダ内に保存している音楽情報ファイル(音楽コンテンツ)を、電子音楽装置に対応する「マイドキュメント」フォルダ内にコピーするだけの簡単な操作で、所望の音楽情報ファイルを購入することができる。図9は、このようなファイル購入を可能にする「コンテンツ購入」処理を表わすフローチャートである。
【0081】
電子音楽装置1の表示装置1Sには、前述した“フォルダ操作”及び“ファイル操作”コマンドに応じてサーバコンピュータ2から送られた表示データに基づき、例えば、図5の左側に示すように、「有料コンテンツ」フォルダ下にある音楽情報ファイルのリストをウインドウ表示し、また、「マイドキュメント」下のフォルダについても、図5の右側に示すように、ウインドウ表示することができる。
【0082】
ここで、「有料コンテンツ」の中にユーザが購入したい音楽情報ファイルがある場合には、電子音楽装置1のユーザが、「有料コンテンツ」ウインドウ内に表示された当該ファイルのアイコンを指示・選択し(ステップE41)、このアイコンを「マイドキュメント」ウインドウ内にコピーする操作(ドラッグ&ドロップ)を行う(ステップE42)と、電子音楽装置1は、当該ファイルに対する操作内容を「コンテンツ購入指示」と共にサーバコンピュータ1に送信し(ステップE43)、その後、端末側全体処理(図7)にリターンする。
【0083】
サーバコンピュータ2は、電子音楽装置1からの「コンテンツ購入指示」を受け、「コンテンツ購入指示」をしたユーザに対して、購入された音楽情報ファイルに対応する課金処理を行う(ステップS41)。なお、この課金処理に際しては、購入された音楽情報ファイル(コンテンツ)の利用期間をユーザが選択できるようにしてもよく、さらに、利用期間に応じて料金を変えてもよい。例えば、1回のみ利用、一定期間(“1か月”等)利用、永久利用などの範囲を定め、範囲に応じて異なる料金としてもよい。この場合、利用期間が限定された購入済みファイルは、当該利用期間の経過後、マイドキュメントフォルダから消去される。また、各コンテンツの料金は、図5の左側のようなリスト表示をしたとき或いはステップE41でアイコンを選択したときなどに、予めユーザに提示することが好ましい。
【0084】
次いで、サーバコンピュータ2は、コンテンツ購入に応じてサーバ使用料の減額処理を行う(ステップS42)。つまり、有料コンテンツ(「有料コンテンツ」フォルダ内の音楽情報ファイル)を購入すると、サーバ使用料が減額される。この場合、永久に減額したままでもよいし、購入時から一定期間の間だけ減額してもよい。
【0085】
このサーバ使用料減額処理の後、「コンテンツ購入指示」のあった音楽情報ファイルに対する電子音楽装置1での操作内容に基づいて、「有料コンテンツ」フォルダ内の当該購入済みファイルをコピーし、当該ユーザに対応する「マイドキュメント」フォルダ内に格納する(ステップS43)。その後、サーバ側全体処理にリターンする(図7)。
【0086】
〔「マイドキュメント容量変更」処理〕
この発明の一実施例においては、サーバコンピュータにおいて、「マイドキュメント」フォルダ内に格納される音楽情報ファイルの情報量に応じて「マイドキュメント」フォルダの記憶容量を自動的に変更することができる。図10は、このような「マイドキュメント」フォルダの容量変更を行う「マイドキュメント容量変更」処理を表わすフローチャートである。この処理フローは、サーバコンピュータ2の「マイドキュメント」フォルダ内でファイルの処理がなされる度に起動する。
【0087】
まず、サーバコンピュータ2は、各「マイドキュメント」フォルダについて音楽情報ファイルの新規書込み・書換え(S22)やコピー(S43)などのファイル処理が行われたことによって、「マイドキュメント」フォルダの記憶容量が現在設定されている記憶容量の上限値(単に「設定記憶容量」という。)を超えたか否かを判定する容量超過判定処理を行う(ステップS51)。
【0088】
容量超過判定処理で現設定記憶容量を超えたと判定されると、当該「マイドキュメント」フォルダに設定される設定記憶容量を増大させ(ステップS51)、増大された設定記憶容量に応じてサーバ使用料を増額する使用料増額処理を行う(ステップS53)。
【0089】
次いで〔使用料増額処理の後(S53)或いは容量超過判定処理で現設定記憶容量を超えていないと判定されたときは(S51→NO)〕、各「マイドキュメント」フォルダについて音楽情報ファイルの書換え(S22)や削除(例えば“削除”操作に基づく)などのファイル処理が行われたことによって、「マイドキュメント」フォルダの記憶容量が現在設定されている設定記憶容量(上限値)より、所定値以上、下回ったか否かを判定する容量低下判定処理を行う(ステップS54)。
【0090】
容量低下判定処理(S54)で現設定記憶容量を所定値以上下回ったと判定されると、当該「マイドキュメント」フォルダに設定される記憶容量を減少させ(ステップS55)、減少させた設定記憶容量に応じてサーバ使用料を減額する使用料減額処理を行う(ステップS56)。そして、使用料減額処理の後(S56)及び容量低下判定処理で検出記憶容量が現設定記憶容量を所定値以上は下回っていないと判定されなかったときは(S54→NO)、サーバ側全体処理(図7)にリターンする。
【0091】
サーバ(「マイドキュメント」フォルダ)使用料は、例えば、設定記憶容量が(0MB〜 )5MBまではいくら、(5MB〜)10MBまではいくらなどというように、何段
階かの容量に応じて予め決められている。そこで、現在の設定記憶容量から増加或いは減少した設定記憶容量が新たに決定されると(S52,S55)、設定記憶容量の増減に応じてサーバ使用料も増減させるのである(S53,S56)。なお、サーバ使用料を増減させる際、ユーザに「サーバ使用料の増減がOKか?」を問い合わせるようにしてもよい。また、「共有」フォルダについても、上述と同様にしてサーバ使用料が増減される(各ユーザの使用料負担は別途契約により定められる。)。
【0092】
〔「コンテンツ検索」処理〕
この発明の一実施例においては、電子音楽装置側で検索条件を設定するとサーバコンピュータ側でこの検索条件を満足する音楽情報ファイル(コンテンツ)を抽出し電子音楽装置側に抽出結果を通知することができる。図11は、このようなファイル検索を行う「コンテンツ検索」処理を表わすフローチャートである。
【0093】
この処理フローでは、まず、電子音楽装置1側で、検索の対象とするコンテンツ種類(SMF、着信メロディ曲、…)やフォルダ種別(有料コンテンツ、マイドキュメント、…)などで検索範囲を指定する(ステップE61)。次いで、フォルダ構成とは別の観点から、より的確な検索を可能にするために、例えば、検索用のフレーズ(演奏)を入力する(ステップE62)。そして、これらのコンテンツ種類、フォルダ種類及びフレーズと共に、検索コマンドを電子音楽装置1からサーバコンピュータ2に送信する(ステップE63)。
【0094】
検索コマンドを受けたサーバコンピュータ2は、受信したコンテンツ種類やフォルダ種類で指定された範囲のコンテンツの中から、入力されたフレーズに一致又は類似するコンテンツを検索して、該当するコンテンツを抽出する(ステップS61)。検索対象として、例えば、コンテンツ種類=「電子楽譜」、フォルダ種別=「有料コンテンツ&マイドキュメント」のように指定すると、「有料コンテンツ」フォルダ内に含まれる電子楽譜ファイルと、「マイドキュメント」フォルダ内に含まれる電子楽譜ファイルの中から、入力されたフレーズにマッチするコンテンツが抽出される。
【0095】
サーバコンピュータ2は、次いで、抽出されたコンテンツのリストを作成し、表示データとして送信した後(ステップS62)、サーバ側全体処理(図7)にリターンする。電子音楽装置1側では、受信した表示データに基づいてコンテンツリストをディスプレイ1S上に表示した後(ステップE64)、サーバ側全体処理(図7)にリターンする。
【0096】
なお、抽出されたコンテンツが「有料コンテンツ」フォルダのものなら、それを購入することができるし、「マイドキュメント」フォルダや「共有」フォルダのものならそれを利用することができる。
【0097】
このコンテンツ検索処理では、完全一致ではなく、入力されたフレーズと調が異なるものや、一部の音が異なるものなども抽出するように構成するのがよい。これにより、記憶があいまいなユーザや、フレーズの演奏が上手でないユーザであっても目的のコンテンツを見つけることができる。
【0098】
〔「合作」処理〕
この発明の一実施例においては、複数の電子音楽装置間で、サーバコンピュータの「共有」フォルダ内にある音楽情報ファイル(コンテンツ)を利用し編集し合うことができる。図12及び図13は、このような複数電子音楽装置間での音楽情報編集を可能とする「合作」処理を表わすフローチャートである。
【0099】
この処理フローは、まず、或る電子音楽装置(“電子音楽装置1a”とする)で、「共有」フォルダ内の或る音楽情報ファイルを選択し(ステップE71)、選択されたファイルの送信をサーバコンピュータ2に要求する(ステップE72)ことから始まる。これに対して、サーバコンピュータ2から、要求されたファイルが送信されるので(ステップS71)、電子音楽装置1aは、サーバコンピュータ2から受信したファイルをRAM1Cに格納する(ステップE73)。
【0100】
受信した音楽情報ファイルについては、編集に先立って、他のユーザが編集中のトラックがあるかどうかが判定され(ステップE74)、他ユーザが編集中のトラックがあると判定されたときは、当該編集中トラック以外のトラックを編集可能とした上(ステップE75)、他ユーザが編集中のトラックがないと判定されたときはそのまま(編集対象トラックに制約を設けずに)、それぞれ、編集段階(ステップE76〜E81)に進む。
【0101】
編集段階に進むと、電子音楽装置1は、まず、ディスプレイ1S上に表示される「編集」及び「キャンセル」ボタンの何れが操作されたかを検出する編集指示操作検出処理を行う(ステップE76)。この編集指示操作検出処理で、「編集」ボタン操作により編集開始が指示されたことを検出すると、電子音楽装置1aは編集モードに入るので、まず、ユーザが音楽情報ファイルの編集すべきトラックを指示すると、当該トラックが編集可能トラックであるか否かを判定する編集可能判定処理を行う(ステップE77)。
【0102】
編集可能トラック判定処理で当該トラックが編集可能トラックであると判定されると、電子音楽装置1aは、当該トラックが“編集中”である旨をサーバコンピュータ2に連絡する(図13:ステップE78)。また、電子音楽装置1aでは、当該トラックをユーザの手で編集することができる(ステップE79)。一方、電子音楽装置1aからの連絡を受けたサーバコンピュータ2は、同一のファイルを編集中の他ユーザが使用している電子音楽装置1b(“1b”は電子音楽装置1a以外を表わす。)、当該ファイルの所定トラックが電子音楽装置1aのユーザにより編集中であることを通知する(図13:ステップS72)。
【0103】
電子音楽装置1aでは、ユーザが編集作業を終了し編集終了を指示すると、当該トラックが編集された音楽情報ファイル(編集後ファイル)を「保存」するか否かをユーザに選択させる終了指示画面をディスプレイ1S上に表示し、当該編集後ファイルについて「保存」が選択されたか否かを検出する終了操作検出処理を行う(ステップE80)。終了操作検出処理で「保存」の選択が検出されると、電子音楽装置1aは、編集が終了した旨の連絡を編集後ファイルと共にサーバコンピュータ2に送信し(ステップE81)、一方、「保存」の選択が検出されなかったときは、先に連絡した“編集中”(E78)を解除する旨をサーバコンピュータ2に連絡する(ステップE82)
【0104】
そして、編集終了コメント及び編集後ファイルを送信した後(E81)、編集指示操作検出処理で「編集」の選択が検出されなかったとき(E76→NO)、編集可能判定処理で編集可能なトラックでないと判定されたとき(E77→NO)或いは編集中の解除を連絡した後は(E82)、RAM1Cに格納されていた音楽情報ファイルを強制消去し(ステップE83)、その後、端末側全体処理(図7:E11)にリターンする。
【0105】
一方、サーバコンピュータ2では、“編集中”を解除する連絡(E82)を受けたときは、他のユーザが使用している電子音楽装置1bにその旨をサーバコンピュータ2に連絡する(ステップS73)。また、編集終了コメント及び編集後ファイル(E81)を受信したときは、受信した編集後ファイルを「共有」フォルダ内に保存する処理(書換え更新)を行うと共に、他のユーザの電子音楽装置1bに対して、電子音楽装置1aの編集終了を通知し且つ編集後ファイル(更新したファイル)を送信する(ステップS74)。その後、サーバ側全体処理(図7)にリターンする。なお、上述の書換え更新処理及び他の電子音楽装置1bへの送信処理では、編集されたトラックのデータのみについて書換え及び送信を行うのが好ましい。
【0106】
これに対して、他の電子音楽装置1bでは、電子音楽装置1aで編集が終了した音楽情報ファイル(E81,S74)を受信し(図12:ステップE73)、RAM1C上のファイルを最新のものに更新し、以後、図12及び図13の処理フロー(E73〜E83)に従って、受信した新たな音楽情報ファイルを元にして、これまで説明した手順と同様に、編集作業を行うことができる。なお、ファイルの更新は、電子音楽装置1aで編集されたトラックのみを更新するのが好ましい。
【0107】
この処理フロー例では、受信した音楽情報ファイルについて、電子音楽装置1aでの編集の前に他のユーザ(1b)が編集中のトラックがあるか否かを判断する(E74)ようにしたが、或るユーザが或るトラックの編集中に、当該ユーザが編集中ではないトラックの編集が他の電子音楽装置1bで開始された場合に、その通知を受けて当該トラックの編集ができないようにしてもよい。
【0108】
また、トラック毎に編集するものに限らず、1つのトラックの一部を編集するものでもよい。その場合、1トラック内の或る範囲を指定して「編集中」とすればよい。
【0109】
〔種々の実施態様〕
以上の例では、電子音楽装置毎に電子音楽装置IDを有し、サーバコンピュータ側での認証処理の際に電子音楽装置IDも参照し、仮にユーザIDとパスワードを他者が不正取得しても、それのみでは認証されないことから、非常にセキュリティの高い音楽コンテンツストレージシステムを構築することができる。しかしながら、ユーザIDとパスワードのみでも或る程度のセキュリティは確保されるので、電子音楽装置IDは必ずしも用いなくてもよい。また、機種種別子については、電子音楽装置IDに含ませず、単独に設定し別途サーバコンピュータに通知するようにしてもよい。
【0110】
電子音楽装置は、通信ネットワークに直接接続する機能を有していなくてもよい。その場合、電子音楽装置を他のパーソナルコンピュータや携帯通信端末に接続し、当該パーソナルコンピュータや携帯通信端末経由で通信ネットワークに接続すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】図1は、この発明の一実施例による音楽コンテンツストレージシステム全体の概略的システムブロック図である。
【図2】図2は、この発明の一実施例による電子音楽装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、この発明の一実施例によるサーバコンピュータ内の記憶装置のフォルダ構成を示す図である。
【図4】図4は、この発明の一実施例による電子音楽装置におけるディスプレイ表示画面の一例を示す図である。
【図5】図5は、この発明の一実施例による電子音楽装置におけるディスプレイ表示画面の別の一例を示す図である。
【図6】図6は、この発明の一実施例による音楽コンテンツストレージシステムの全体処理を表わすフローチャートの一部である。
【図7】図7は、この発明の一実施例による音楽コンテンツストレージシステムの全体処理を表わすフローチャートの他部である。
【図8】図8は、この発明の一実施例による「再生・編集」(端末側)及び「ファイル送受信」(サーバ側)処理を表わすフローチャートである。
【図9】図9は、この発明の一実施例によるコンテンツ購入時の処理を表わすフローチャートである。
【図10】図10は、この発明の一実施例によるマイドキュメントフォルダの容量変更処理を表わすフローチャートである。
【図11】図11は、この発明の一実施例によるコンテンツ検索時の処理を表わすフローチャートである。
【図12】図12は、この発明の一実施例による合作時の処理を表わすフローチャートの一部である。
【図13】図13は、この発明の一実施例による合作時の処理を表わすフローチャートの他部である。
【符号の説明】
【0112】
1 サーバコンピュータ(音楽コンテンツ提供サーバ、データセンタ)、
11,12,…,1n 電子音楽装置(電子楽器、PC、携帯通信端末など)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して複数の電子音楽装置と通信可能に接続される音楽コンテンツ堤供サーバであって、
電子音楽装置のユーザに対応して音楽コンテンツを蓄積するユーザ記憶領域を有するコンテンツ蓄積手段と、
電子音楽装置における音楽コンテンツに対する所定の操作に応じて、当該電子音楽装置のユーザに対応するユーザ記憶領域に、当該操作がなされた音楽コンテンツを書込み、書換え又は削除するコンテンツ書込み、書換え又は削除手段と、
ユーザ記憶領域に蓄積されている音楽コンテンツのデータ量を検出する蓄積データ量検出手段と、
検出されたデータ量に応じて、ユーザ記憶領域の設定データ量を段階的に決定する設定データ量決定手段と、
決定された設定データ量に基づいて、当該電子音楽装置に課金されるサーバ使用料を決定する使用料決定手段と
を具備することを特徴とする音楽コンテンツ提供サーバ。
【請求項2】
前記コンテンツ蓄積手段は、電子音楽装置のユーザが購入可能な音楽コンテンツを記憶した有料コンテンツ記憶領域を有し、
さらに、
電子音楽装置からの購入指示に基づいて、有料コンテンツ記憶領域に記憶された音楽コンテンツのうち購入指示がなされた音楽コンテンツを、当該電子音楽装置(11〜1n)で利用可能な音楽コンテンツとして提供するコンテンツ提供手段と、
当該音楽コンテンツの提供に対応して、当該電子音楽装置のユーザに対する課金処理を行い、前記サーバ使用料を減額する減額処理を行う課金及び減額処理手段と
を具備する
ことを特徴とする請求項1に記載の音楽コンテンツ提供サーバ。
【請求項3】
さらに、電子音楽装置よりアクセスがあったことに応じて、有料コンテンツ領域及び当該電子音楽装置のユーザに対応するユーザ記憶領域に蓄積された音楽コンテンツをそれぞれフォルダ表示するための表示データを当該電子音楽装置に送信する送信手段を具備し、
前記購入指示は、当該電子音楽装置において、送信されてきた表示データに基づきフォルダ表示される音楽コンテンツに対する有料コンテンツ領域からユーザ記憶領域へのコピー操作がなされたことに応じて、発生されるものである
ことを特徴とする請求項2に記載の音楽コンテンツ提供サーバ。
【請求項1】
通信ネットワークを介して複数の電子音楽装置と通信可能に接続される音楽コンテンツ堤供サーバであって、
電子音楽装置のユーザに対応して音楽コンテンツを蓄積するユーザ記憶領域を有するコンテンツ蓄積手段と、
電子音楽装置における音楽コンテンツに対する所定の操作に応じて、当該電子音楽装置のユーザに対応するユーザ記憶領域に、当該操作がなされた音楽コンテンツを書込み、書換え又は削除するコンテンツ書込み、書換え又は削除手段と、
ユーザ記憶領域に蓄積されている音楽コンテンツのデータ量を検出する蓄積データ量検出手段と、
検出されたデータ量に応じて、ユーザ記憶領域の設定データ量を段階的に決定する設定データ量決定手段と、
決定された設定データ量に基づいて、当該電子音楽装置に課金されるサーバ使用料を決定する使用料決定手段と
を具備することを特徴とする音楽コンテンツ提供サーバ。
【請求項2】
前記コンテンツ蓄積手段は、電子音楽装置のユーザが購入可能な音楽コンテンツを記憶した有料コンテンツ記憶領域を有し、
さらに、
電子音楽装置からの購入指示に基づいて、有料コンテンツ記憶領域に記憶された音楽コンテンツのうち購入指示がなされた音楽コンテンツを、当該電子音楽装置(11〜1n)で利用可能な音楽コンテンツとして提供するコンテンツ提供手段と、
当該音楽コンテンツの提供に対応して、当該電子音楽装置のユーザに対する課金処理を行い、前記サーバ使用料を減額する減額処理を行う課金及び減額処理手段と
を具備する
ことを特徴とする請求項1に記載の音楽コンテンツ提供サーバ。
【請求項3】
さらに、電子音楽装置よりアクセスがあったことに応じて、有料コンテンツ領域及び当該電子音楽装置のユーザに対応するユーザ記憶領域に蓄積された音楽コンテンツをそれぞれフォルダ表示するための表示データを当該電子音楽装置に送信する送信手段を具備し、
前記購入指示は、当該電子音楽装置において、送信されてきた表示データに基づきフォルダ表示される音楽コンテンツに対する有料コンテンツ領域からユーザ記憶領域へのコピー操作がなされたことに応じて、発生されるものである
ことを特徴とする請求項2に記載の音楽コンテンツ提供サーバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−127527(P2006−127527A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315680(P2005−315680)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【分割の表示】特願2001−288703(P2001−288703)の分割
【原出願日】平成13年9月21日(2001.9.21)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【分割の表示】特願2001−288703(P2001−288703)の分割
【原出願日】平成13年9月21日(2001.9.21)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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