説明

音楽再生装置

【課題】音楽の再生中において、再生中の音楽データが含まれる再生リストに対して、いずれかの音楽データを容易に追加すること。
【解決手段】オーディオ再生手段24が再生リストに従って音楽データの再生を行っている状態において、初めに予約入力手段12が操作され、次に選択手段12によって曲名情報のいずれかが選択された場合に、再生リスト変更手段24は、選択された曲名情報を再生リストに追加する変更を行い、オーディオ再生手段24は、音楽データの再生処理を中止することなく、新たに曲名情報が追加された再生リストに従って音楽データの再生処理を継続して行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽再生装置に関し、より詳細には、音楽データの再生中において、再生中の音楽データが含まれる再生リストに対して、いずれかの音楽データを容易に追加することが可能な音楽再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、車載用のオーディオ装置で音楽を聴く場合、ラジオやCDなどの一般的なメディアに記録される音楽データだけでなく、ハードディスクに記録された様々なデータ形式(例えば、MP3(MPEG Audio Layer-3)、WMA(Windows(登録商標) Media Audio)、AAC(Advanced Audio Coding)など)の音楽データを再生(デコード)して聴くことが多くなっている。
【0003】
特に、カーナビゲーションシステムの普及により、ハードディスクやSSD(Solid State Drive)などの大容量記録手段が搭載されるようになった今日では、CDやDVDなどに記録された音楽データを、上述した異なるデータ形式に変換して大容量記録手段に記録させることが可能となっている。ユーザは必要に応じて、大容量記録手段に記録された音楽データを選択することにより、膨大な音楽データの中から好みの音楽データを聴くことができる。
【0004】
ユーザが好みの音楽を聴く場合、今までは、CDやMDなどの同一のメディアに記録された音楽データを、記録されたトラックの順番で再生することが多かった。しかしながら、膨大な音楽データがハードディスクなどに記録されている場合には、アーティスト順、データの記録日時順(音楽データをハードディスクなどに記録した日時が早い順)、音楽データが記録されるフォルダの名前順など、様々な基準で再生対象となる音楽データを抽出して順番に再生することができる。この場合には、再生対象となる音楽データの抽出基準に応じて音楽データの抽出が行われ、抽出された音楽データの再生順番に関するリストが自動的に生成される(以下、このようにして自動的に生成されるリストを、「再生リスト」という)。このようにして生成された再生リストは一時的にメモリなどに記録され、この再生リストに従って音楽データが再生されることになる。
【0005】
さらに、今日では、大容量記録手段に記録される音楽データの中から、ユーザが予め好みの音楽データを抽出して再生順番をリスト化し、ハードディスクなどの大容量記録手段に記録させることが可能となっている。このようにして、予め好みの音楽データの再生順番を示したリスト(以下、このようにユーザの意思によって作成されたリストを「プレイリスト」という。)を作成しておくことにより、膨大な音楽データが大容量記録手段に記録されている場合であっても、ユーザの好む音楽データをいつでも再生させることが可能となる(特許文献1参照)。
【0006】
特に、カーナビゲーションシステムと一体になった車載用オーディオ装置では、カーナビゲーション用の表示パネルにタッチパネル機能が備えられている。このため、タッチパネルを用いて大容量記録手段に記録された音楽データを選択することによって、プレイリストを簡単に作成することが可能となっている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−257737号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「日産オリジナルナビゲーションシステム HC510D−W、HC510D−A取扱説明書」、日産自動車株式会社、2010年5月発行、G−55ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、プレイリストに従って音楽データの再生を行う場合には、予めユーザがプレイリストを作成しておく必要があるという問題があった。このため、プレイリストに従って音楽データが再生されている最中に、新たに音楽データをプレイリストに追加しようとしても、追加することができなかった。例えば、プレイリストに従って音楽データの再生が行われている最中に、新たな音楽データの選択が行われると、プレイリストに従った音楽データの再生が強制的に終了されて、選択された音楽データの再生が開始される構成となっていた。
【0010】
一方で、再生されている音楽データを、予め設定したプレイリストに追加するために「プレイリスト」ボタンを設け、音楽データの再生中に再生対象となった音楽データを、所定のプレイリストに簡単に追加する方法も提案されている。しかしながら、このような機種は、予め作成されていたプレイリストに再生中の音楽データを追加する機能にすぎず、プレイリストに従って音楽データを再生している最中に、再生が行われているプレイリストに対して新しい音楽データを追加することはできなかった。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、再生対象となる音楽データのリストに従って音楽データが再生されている場合において、当該音楽データの再生を中止させることなく、再生が行われている音楽データのリストに対して、いずれかの音楽データを容易に追加することが可能な音楽再生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る音楽再生装置は、複数の音楽データが当該音楽データの曲名情報に関連付けられて記録される音楽データ記録手段と、前記音楽データ記録手段から読み出された前記音楽データの再生処理を行うオーディオ再生手段と、該オーディオ再生手段によって前記音楽データの再生が行われる場合に、再生対象となる一群の音楽データの曲名情報をリスト化することにより、前記オーディオ再生手段によって再生される音楽データの順番を示した再生リストを生成する再生リスト生成手段と、該再生リスト生成手段により生成された再生リストを一時的に記録する再生リスト記録手段と、前記再生リスト記録手段に記録された前記再生リストの前記曲名情報を変更することが可能な再生リスト変更手段と、前記音楽データ記録手段に記録された音楽データの曲名情報を選択することが可能な選択手段と、前記再生リスト変更手段によって前記再生リストの曲名情報を変更させる場合に操作される予約入力手段とを有し、前記オーディオ再生手段は、前記再生リスト生成手段により前記再生リストが生成されると、生成された当該再生リストに記録される曲名情報の順番に従って音楽データの再生を行い、前記オーディオ再生手段が前記再生リストに従って音楽データの再生を行っている状態において、初めに前記予約入力手段が操作され、次に前記選択手段によっていずれかの曲名情報が選択された場合に、前記再生リスト変更手段は、選択された前記曲名情報を前記再生リストに追加する変更を行い、前記オーディオ再生手段は、前記音楽データの再生処理を中止することなく、新たに曲名情報が追加された再生リストに従って音楽データの再生処理を継続して行うことを特徴とする。
【0013】
一般的な音楽再生装置では、所定の音楽データが再生されている最中に、他の音楽データに係る曲名情報が選択されると、それまで再生されていた音楽データが停止または中止され、新たに選択された曲名情報に該当する音楽データが、最初から再生されてしまう場合が多い。しかしながら、本発明に係る音楽再生装置では、予約入力手段が操作され、次に選択手段によって曲名情報が選択されることにより、オーディオ再生手段において現在再生を行っている音楽データの再生を中止せずに(再生し続けた状態で)、再生リスト変更手段で、音楽データの再生の際に参照される再生リストを変更することができる。
【0014】
ここで、一般的な音楽再生装置において、音楽データの再生順番をプレイリストとして予め編集・記録しておき、このプレイリストに従ってオーディオ再生手段で音楽データの再生を行う構成が知られている。しかしながら、上述したプレイリストは、当該プレイリストに従って再生が行われている状態でこのプレイリストに音楽データを追加することが困難であった。このため、プレイリストの変更(追加)を行うためには、音楽データの再生を行う前に変更(追加)を行う必要があった。
【0015】
しかしながら、本発明に係る音楽再生装置を用いることによって、音楽データの再生を行いつつ、再生が行われている再生リストに対して新たな音楽データの曲名情報を追加することが可能となる。
【0016】
さらに、本発明に係る音楽再生装置では、選択手段によっていずれかの曲名情報を選択するだけで、再生リストに音楽データに関する曲名情報を追加することができる。このため、音楽データを再生リストに追加する処理が簡易になるとともに、処理を迅速かつ円滑に行うことが可能となる。
【0017】
特に、近年では、カーオーディオ装置などの音楽再生装置が、カーナビゲーションシステムに付加された機種が増えている。このようにカーナビゲーションシステムが音楽再生装置として用いられる場合には、予約入力手段および選択手段としてタッチパネルが用いられることが多い。予約入力手段および選択手段としてタッチパネルが用いられる場合には、画面に表示された曲名情報の一覧をタッチパネルでタッチ操作するだけで、音楽データが再生リストに追加されることになるため、直感的に追加処理を行うことが可能となる。
【0018】
また、上述した音楽再生装置は、前記音楽データ記録手段に記録される前記音楽データの曲名情報を階層的に表示することが可能な表示手段と、該表示手段に前記曲名情報を階層的に表示させる場合に操作される選曲入力手段とを有し、前記オーディオ再生手段が前記再生リストに従って音楽データの再生を行っている状態において、前記予約入力手段が操作された後に前記選曲入力手段が操作され、前記表示手段に階層的に表示された前記曲名情報の中から前記選択手段によっていずれかの曲名情報が選択された場合に、前記再生リスト変更手段は、選択された前記曲名情報を前記再生リストに追加する変更を行い、前記オーディオ再生手段は、前記音楽データの再生処理を中止することなく、新たに曲名情報が追加された再生リストに従って音楽データの再生処理を継続して行うものであってもよい。
【0019】
上述したように本発明に係る音楽再生装置では、選曲入力手段を操作することにより、表示手段に音楽データの曲名情報を階層的に表示することが可能となる。一般的な音楽再生装置では、再生対象とする音楽データがフォルダ毎に階層的に記録されることが多い。このようにして階層的に音楽データが記録される場合には、その記録状態に応じて、音楽データの曲名情報を階層的に表示させ、視覚的に判断できることが好ましい。本発明に係る音楽再生装置では、表示手段により曲名情報が階層的に表示されるので、表示手段による曲名情報の選択を容易に行うことが可能となる。
【0020】
さらに、表示手段により曲名情報を階層的に表示させることにより、選択手段によって曲名情報を選択する場合においても、階層的に移動して所望の音楽データに関する曲名情報を探すことができる。従って、所望の曲名情報を直感的に探し出すことができ、操作手段の操作を円滑に行うことが可能となる。
【0021】
さらに、上述した音楽再生装置において、前記再生リスト記録手段は、前記オーディオ再生手段により再生されている音楽データが前記再生リストの何番目の曲名情報に該当するかを記録し、前記再生リスト変更手段は、前記選択手段により同一の曲名情報が複数回連続して選択された場合、前記再生リスト記録手段より再生されている音楽データが前記再生リストの何番目の曲名情報であるかを判断し、判断された曲名情報の曲順から前記選択手段によって検出された選択回数だけ後の曲順で、選択された曲名情報の音楽データが再生されるように、前記再生リストに選択された前記曲名情報を追加する変更を行うものであってもよい。
【0022】
本発明に係る音楽再生装置では、同一の曲名情報が連続して複数回選択された場合に、再生中の音楽データから選択回数だけ後に、選択された音楽データが再生されるように、再生リスト変更手段が再生リストの変更を行う。このように、本発明に係る音楽再生装置では、ユーザにより連続して選択された同一の曲名情報回数に基づいて再生リストに追加する音楽データの順番を決定することができるので、音楽データの順番指定を少ない手順で、迅速かつ円滑に行うことが可能となる。
【0023】
特に、上述したように、選択手段としてタッチパネルが用いられている場合には、画面に表示される曲名情報のタッチ回数に応じて再生リストに追加される曲順を指定することができるので、音楽データを再生リストに追加する際の利便性を高めることができ、また、操作を直感的に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る音楽再生装置によれば、予約入力手段が操作され、次に選択手段によって曲名情報が選択されることにより、オーディオ再生手段において現在再生を行っている音楽データの再生を中止せずに(再生し続けた状態で)、再生リスト変更手段で、音楽データの再生の際に参照される再生リストを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施の形態に係る車載用オーディオ装置の概略構成を示したブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る液晶ディスプレイ部の表示画面部における表示例を示した図であり、(a)は、再生リストに従って音楽データの再生がなされている場合の表示例を示した図、(b)は、再生方法を選択する場合の表示例を示した図である。
【図3】本実施の形態に係る制御部における処理内容を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る音楽再生装置について、車載用オーディオ装置を一例に用いて詳細に説明を行う。
【0027】
図1は、本実施の形態に係る車載用オーディオ装置の概略構成を示したブロック図である。車載用オーディオ装置1は、液晶ディスプレイ部10と、スピーカ部15と、本体部20とを有している。車載用オーディオ装置1は、車両のインストルメントパネルの正面中央部に設けられたスペース(いわゆる2Dinスペースなど)に設置されている。液晶ディスプレイ部10は、車載用オーディオ装置1の正面位置に車室内を臨むようにして設けられている。
【0028】
液晶ディスプレイ部10には、アーティスト名やアルバム名、再生対象となる音楽データの曲名(曲名情報)などが表示される表示画面部(表示手段)11が設けられている。さらに、液晶ディスプレイ部10には、タッチパネル(予約入力手段、選曲入力手段、選択手段)12が設けられている。ユーザが表示画面部11に表示されるボタン等をタッチすると、タッチパネル12がタッチされた位置を検出し、後述する本体部20の制御部24へ伝達する。このタッチパネル12によるタッチ動作の検出により、ユーザにより入力された情報を検出し、本体部20で判断することが可能となっている。
【0029】
スピーカ部15は、後述する本体部20の制御部24により行われた音楽データの再生処理に伴い出力される音響データを、車室内の搭乗者(運転手など)に対して音響信号(聴取可能な音楽)として出力する役割を有している。スピーカ部15は、車室内に複数設けられており、例えば、左右のフロントスピーカ、左右のリアスピーカ、左右のツイータおよびサブウーハーなどの各種スピーカにより構成される。
【0030】
なお、図1には便宜上、スピーカ部15を示す機能ブロックが1つしか示されていないが、スピーカの設置位置および設置個数は、特別に限定されるものではない。また、車室内にスピーカが設置されていない場合などには、例えば、液晶ディスプレイ部10に設けられるスピーカより音楽が出力される構成であってもよい。
【0031】
本体部20は、音楽データが記録される音楽データ記録部(音楽データ記録手段)21と、ユーザによるタッチ操作に応じて様々な処理を行うためのプログラムや、表示画面部11に表示させるためのグラフィックデータなどが記録されるプログラム記録部22と、プログラムに基づく処理においてワークエリアとして利用される一時記憶メモリ(RAM、再生リスト記録手段)23と、車載用オーディオ装置1における様々な処理を行う制御部(再生リスト変更手段、オーディオ再生手段、再生リスト生成手段)24とを有している。
【0032】
音楽データ記録部21およびプログラム記録部22は、ハードディスク、SSD、ICメモリなどの一般的な補助記憶装置により構成されている。なお、本実施の形態に係る車載用オーディオ装置1では、図1に示すように、音楽データ記録部21とプログラム記録部22とを説明の便宜上、異なる機能ブロックで示しているが、音楽データ記録部21とプログラム記録部22とは、同一の補助記憶装置により構成されていてもよい。
【0033】
音楽データ記録部21には、制御部24による音楽データの再生処理(デコード処理)の対象になる各種データ形式の音楽データが記録されている。今日では、音楽データのデータ形式として、例えば、MP3やWMAなどのデータ形式が知られており、これらの一般的な形式の音楽データであれば、制御部24でスピーカ部15より出力可能な音響信号に再生処理(デコード処理)することが可能となっている。なお、音楽データ記録部21に記録されるデータ形式は、上述したMP3やWMAだけには限定されず、制御部24で再生処理を行うことが可能な形式のデータであれば、そのデータ形式は限定されない。
【0034】
音楽データ記録部21には、複数のフォルダ(記録された音楽データを区分けしてまとめて記録させるためのもの)を作成することが可能となっている。そして、フォルダによって区分けされる音楽データに関連するタイトル(例えば、音楽データに共通する情報であるアーティスト名やアルバム名など)を付けることが可能となっている。このため、音楽データ記録部21に記録される音楽データは、例えば、アーティスト毎、あるいはアルバムタイトル毎など、様々な基準で分類されてフォルダ毎に記録される。このようにフォルダ毎に音楽データを分類して音楽データ記録部21に記録させることにより、ユーザは、音楽データの再生時に特定のフォルダを選択して、好みの音楽データを簡単に探し出すことが可能となる。
【0035】
一方で、各音楽データには、曲名、アーティスト名、音楽データを所定のデータ形式に変換した日時、音楽データが音楽データ記録部21に記録された日時などの付属情報(タグ情報)を記録することが可能となっている。このため、音楽データが異なるフォルダによって管理されている場合であっても、音楽データのタグ情報に基づいて、共通するアーティスト名の音楽データを抽出して再生させたり、音楽データが記録された日時が新しい順で音楽データを再生させたりすることが可能となっている。
【0036】
プログラム記録部22には、表示画面部11に表示される案内画像、アニメーション画像、各種のボタン画像やアイコン画像など、車載用オーディオ装置1における操作に必要な画像情報および音楽情報が記録されている。さらに、プログラム記録部22には、制御部24により実行される各種処理の処理方法を示したプログラムが記録されている。制御部24は、プログラム記録部22よりプログラムを読み出して実行することにより、再生リストへの音楽データの追加処理(詳しくは後述する)などの様々な処理を行うことが可能となっている。
【0037】
一時記憶メモリ23は、制御部24が様々な処理を行う際に用いられるワークエリアとしての役割を有している。例えば、制御部24は、制御部24により再生される音楽データの曲名(曲名情報)、アーティスト名、アルバム名、アルバム画像などの情報を、該当する音楽データの再生時に、一時記憶メモリ23へ一時的に記録する。このようにして記録された情報に基づいて、表示画面部11に音楽データに関する情報が表示される。
【0038】
また、一時記憶メモリ23には、現在再生中である音楽データの再生順番を示した再生リストが一時的に記録される。
【0039】
制御部24は、プログラム記録部22より、処理に必要なプログラムを読み出し、プログラムに従って音楽データ記録部21に記録される音楽データの選択、抽出、再生、再生終了、変更、消去等の処理を行う。また、制御部24は、プログラム記録部22より、ユーザインターフェイス処理に必要な画像データなどを読み出し、プログラムに従って適切な表示画像を生成した上で、表示画面部11に出力させる役割を有している。
【0040】
さらに、制御部24は、タッチパネル12を介してユーザにより行われたタッチ操作を検出し、検出されたタッチ操作に対応した処理を、プログラムに応じて実行する。例えば、ユーザのタッチ操作によって、音楽データ記録部21に記録されたいずれかのフォルダ内の音楽データが選択された場合、制御部24は、選択された音楽データが記録されるフォルダ内の音楽データに基づいて、再生リストの生成を行い、生成された再生リストを一時記憶メモリ23に記録する。そして、制御部24は、再生リストに記録される順番で、該当するフォルダ内の音楽データを再生する。
【0041】
図2(a)は、所定のアーティストの音楽データが再生されている場合に、表示画面部11に表示される画像を示した図である。表示画面部11には、図2(a)に示されるように、画面の左側部分30にアルバム名とアーティスト名が示されており、右側部分31に再生される音楽データの順番を示した表示(つまり、再生リストの内容を示したもの)が表示されている。図2(a)に示す場合には、ユーザによって選択された音楽データが記録されているフォルダ内の音楽データに基づいて、制御部24が、音楽データの曲名をリストアップした再生リストを自動的に生成する。生成された再生リストは、既に説明したように、一時記憶メモリ23に記録される。
【0042】
なお、表示画面部11には、再生対象とする音楽データの再生順番を決定する画面が設けられており、図2(b)に示すように、「音楽の再生方法」画面に、「自動再生」(上位のフォルダに記録される音楽データから順番に再生)欄41、「アルバム順で再生」欄42、「アーティスト順で再生」欄43、「曲名順に再生」(曲名の読みの順番(降順の数字、あいうえお順、記号の番号順)など、曲名順に再生)欄44、「記録日順で再生」(音楽データの記録日の順番に再生)欄45、「プレイリストに従って再生」欄46など、ユーザの好みに応じた再生が行えるように、複数の選択欄が設けられている。ユーザがいずれかを指定(タッチ操作)することにより、該当する順番で音楽データの再生を行うことが可能となっている。
【0043】
なお、プレイリストとは、ユーザが予め再生を行う音楽データの再生順番をリスト化(複数のリストを生成することも可能)したものである。プレイリストを音楽データ記録部21に予め記録させておくことにより、「プレイリストに従って再生」欄46が選択された場合に、選択されたプレイリストに記録された音楽データの順番で再生を行うことが可能となる。
【0044】
また、本実施の形態に係る車載用オーディオ装置1では、再生リストに従って音楽データの再生が行われている場合において、音楽データの再生処理を停止させることなく、再生リストに対して、新たな音楽データを簡単に再生リストへ追加することが可能となっている。図2(a)に示すように画面の左下部分に選曲ボタン35と、予約ボタン36とが示されている。通常、再生されている音楽データを他の音楽データに変更する場合には、選曲ボタン35を押下(タッチ操作)する。選曲ボタン35を押下すると、音楽データの記録されたフォルダが、階層化されて表示画像部11に表示される。ユーザは、表示画像部11に示される階層化されたフォルダの中から、希望するフォルダまで移動して所望の音楽データを選択することにより、再生中の音楽データを中止させて新たな音楽データを再生させることが可能となる。
【0045】
しかしながら、選曲ボタン35を押下することにより音楽データを選択すると、再生リストに従って再生されている音楽データの再生が中止されてしまう。このため、現在再生中の音楽データを最後まで再生させた後に、新たに選択した音楽データが再生されるようにすること、つまり音楽データの再生が行われている再生リストに新たな音楽データを加えることが容易ではなかった。このため、従来は、プレイリストに対して新たな音楽データを追加した後に、追加を行ったプレイリストを再度選択して音楽データの再生を行うことによって、追加した音楽を楽しむ方法が用いられていた。
【0046】
一方で、本実施の形態に係る液晶ディスプレイ部10の表示画面部11には、予約ボタン36が設けられている。この予約ボタン36を押下(タッチ操作)することにより、本実施の形態に係る車載用オーディオ装置1では、再生リストに従って音楽データの再生が行われている状態において、音楽データの再生を停止することなく、音楽データの再生が行われている再生リストに対して新しい音楽データを追加することができる。
【0047】
具体的には、音楽データが再生されている最中に予約ボタン36を押下すると、現在再生されている再生リスト(具体的には、一時記憶メモリ23に記録された再生リスト)に新しい音楽データを追加することが可能となる。例えば、図2(a)に示す状態において、ユーザが、予約ボタン36を押下(タッチ操作)した後に、画面右側部分に示される音楽データの表示(曲名情報など)を押下(タッチ操作)すると、押下(タッチ操作)された音楽データが現在再生されている音楽データの次の曲順で再生可能なように、制御部24が、一時記憶メモリ23に記録された再生リストの更新を行う。また、ユーザが、予約ボタン36を押下した後に、選曲ボタン35を押下(タッチ操作)して、所定のフォルダに記録される音楽データを選択することにより、該当する音楽データを再生リストに追加することが可能となる。
【0048】
なお、音楽データを再生リストに簡易に追加するために、同じ音楽データの表示(曲名情報など)が連続して押下された回数を制御部24が検出し、現在再生されている音楽データに対し、検出された押下回数に該当する曲数だけ後に、選択された音楽データが再生されるように、制御部24で再生リストの変更を行うことが可能となっている。例えば、上述したように、予約ボタン36を押下した後に、選曲ボタン35を押下してから階層構造となっているフォルダを下って、所定のフォルダに記録された音楽データの表示を表示画面部11に表示させ、表示された音楽データの表示を1回だけ押下(タッチ操作)すると、制御部24は、現在再生中の音楽データが終了した後に、タッチ操作された音楽データが再生されるように、再生データを変更する。
【0049】
しかしながら、2回連続して押下(タッチ操作)を行った場合には、現在再生中の音楽データが終了した後であって、他の音楽データが1曲分だけ再生された後に(つまり、再生されていた音楽データを基準として2曲分だけ後に)、押下(タッチ操作)された音楽データが再生されるように、制御部24が、再生データの変更を行う。同様にして、制御部24は、予約ボタン36の押下を確認した後に、音楽データの表示が何回押下(タッチ操作)されたかを検出し、押下(タッチ操作)された回数だけ、再生される音楽データの順番を後にして、押下(タッチ操作)された音楽データを再生リストに追加する処理を行う。このように、押下(タッチ操作)された回数に応じて再生リストに登録される音楽データの曲順を決定することができるので、登録する音楽データをどの曲順の音楽データとどの曲順の音楽データとの間に追加するかという、前後の音楽データの指定処理などを行う必要がない。
【0050】
図3は、上述したように、制御部24が、ユーザの操作に従って、音楽データの再生中に新たな音楽データを再生リストに追加する処理を示したフローチャートである。制御部24は、タッチパネル12を介して入力されるユーザのタッチ操作(押下)処理に応じて、一時記憶メモリ23に記録される再生リストに再生対象となる音楽データを追加する処理を行う。
【0051】
なお、図3に示すフローチャートにおいては、ユーザによって所望の音楽データが選択され、選択された音楽データのフォルダに従って、再生対象となる音楽データの再生リストが、制御部24によって自動的に生成されて、一時記憶メモリ23に記録されている。また、図2(a)の右側部分に示すように、再生リストに従って、制御部24が第1曲目の音楽データを再生している場合について説明を行う。
【0052】
まず、制御部24は、タッチパネル12のタッチ操作により、予約ボタン36が押下されたかどうかを検出する(ステップS.1)。ユーザは、予約ボタン36を押下することにより、再生リストに新たな音楽データを追加することが可能となる。予約ボタン36が押下されなかった場合(ステップS.1においてNoの場合)、制御部24は、再生リストに対する音楽データの追加処理を終了する。制御部24は、図3に示す処理が終了しても、繰り返し同様の処理を行うことにより、予約ボタン36の押下(タッチ操作)の検出処理(ステップS.1)を行う。
【0053】
一方で、予約ボタン36が押下された場合(ステップS.1においてYesの場合)、制御部24は、タッチパネル12の操作により選曲ボタン35が押下されたかどうかを検出する(ステップS.2)。選曲ボタン35が押下された場合には、ユーザは、音楽データ記録部21に記録されている音楽データを、音楽データ記録部21のフォルダより選択することが可能となる。
【0054】
選曲ボタン35が押下された場合(ステップS.2においてYesの場合)、制御部24は、音楽データ記録部21に記録されるフォルダの構成を階層表示し、タッチパネル12の操作に応じて、所定のフォルダに記録される音楽データの選択操作を行うことができるようにする(ステップS.3)。ステップS.3に示す制御部24の表示処理に応じて、ユーザは、所定のフォルダに記録される音楽データをタッチ操作により自由に選択することが可能となる。
【0055】
そして、制御部24は、タッチパネル12の操作により、表示画面部11に階層的に表示された音楽データ(音楽データの曲名情報)のいずれかが押下されたか否か(タッチ操作されたか否か)を判断する(ステップS.4)。いずれかの音楽データが押下された場合(ステップS.4のいてYesの場合)、制御部24は、連続して同じ音楽データが押下された回数を検出する(ステップS.5)。上述したように、同じ音楽データの表示を複数回押下することにより、制御部24は、再生リストに追加する音楽データを、現在再生されている音楽データの何曲後に追加するかという判断を行うことが可能となる。制御部24は、検出した音楽データの記録位置情報(音楽データ記録部21のルートフォルダから該当する音楽データが記録されるフォルダまでの階層情報)と押下した回数(押下回数)とを、一時記憶メモリ23に記録させる。
【0056】
そして、制御部24は、一時記憶メモリ23に記録される再生リストの変更処理を行う(ステップS.6)。具体的に、制御部24は、一時記憶メモリ23に記録される再生リストより、現在再生されている音楽データを求め、現在再生中の音楽データを基準として押下回数だけ後の曲順で、記録位置情報によって特定される音楽データが再生されるように、再生リストの変更を行う。制御部24では、再生リストに記録される曲順によって、再生させる音楽データの順番を決定するため、再生リストの変更により、再生される音楽データの順番が変更されることになる。
【0057】
そして、制御部24は、変更された再生リストに基づいて表示画面部11の右側部分に表示される音楽データの表示内容(再生リストの順番)を更新表示させて(ステップS.7)、処理を終了する。
【0058】
一方で、選曲ボタン35が押下されなかった場合(ステップS.2においてNoの場合)、制御部24は、表示画面部11の右側部分31に表示される再生リストのいずれかの音楽データの表示が押下(タッチ操作)されたか否かを判断する(ステップS.8)。
【0059】
いずれかの音楽データの表示が押下された場合(ステップS.8においてYesの場合)、制御部24は、連続して同じ音楽データの表示が押下された回数を検出し(ステップS.5)、押下された音楽データに関する記録位置情報(ルートフォルダから該当する音楽データまでの階層情報)と押下した回数(押下回数)とを、一時記憶メモリ23に記録させる。そして、制御部24は、一時記憶メモリ23に記録される再生リストの変更処理を行い(ステップS.6)、変更された再生リストに基づいて、表示画面部11に表示される再生順番のリスト表示を更新表示させて(ステップS.7)、処理を終了する。
【0060】
一方で、いずれの音楽データも押下されなかった場合(ステップS.4においてNoの場合、およびステップS.8においてNoの場合)、制御部24は、再生リストに対する音楽データの追加を行うことなく、追加処理を終了する。なお、上述したように、制御部24は、図3に示す処理が終了しても、繰り返し同様の処理を行うことにより、予約ボタン36の押下(タッチ操作)の検出処理(ステップS.1)を行う。
【0061】
以上、説明したように、本実施の形態に係る車載用オーディオ装置1では、ユーザが表示画面部11に表示される予約ボタン36を押下してから、再生リストへの追加を望む音楽データの表示箇所を所望回数だけ押下することにより、押下された音楽データが押下回数分だけ後の順番で再生されるように、再生リストの変更処理(再生対象となる音楽データを追加する処理)が行われる。さらに、予約ボタン36を押下して音楽データを再生リストに追加する場合には、現在再生されている音楽データを停止させることなく、新たな音楽データの追加を行うことが可能となる。
【0062】
さらに、音楽データの表示を複数回押下することにより、押下された回数に該当する曲数だけ後に、音楽データを追加することができるので、直感的にわかりやすく、さらに円滑に音楽データの追加を行うことが可能となる。
【0063】
なお、上述した実施の形態に示すような、再生リストへの音楽データの追加は、現在再生されている再生リストに対して音楽データの追加を行うことを特徴とするものである。従って、一般的なプレイリストのように、プレイリストに記録された音楽データが再生されていない状態において、ユーザがプレイリストに音楽データを追加するものとは相違している。プレイリストは、プレイリストに従って音楽データの再生処理が行われている最中に、そのプレイリスト自体を変更するものではない。
【0064】
以上、本発明に係る音楽再生装置について、車載用オーディオ装置1を一例に示して説明を行ったが、本発明に係る音楽再生装置は、上述した車載用オーディオ装置1には限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0065】
例えば、本実施の形態に係る車載用オーディオ装置1の表示画面部11には、図2(a)に示すように、画面の右側部分31に再生リストが表示されるが、この再生リストは必ずしも表示画面部11に表示させる必要はない。再生リストを表示させずに、再生されている音楽データの曲名情報(曲名、アーティスト名、アルバム名および、アーティストやアルバムの画像など)のみを表示させるようにするものであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 …車載用オーディオ装置(音楽再生装置)
10 …液晶ディスプレイ部
11 …(液晶ディスプレイ部の)表示画面部(表示手段)
12 …(液晶ディスプレイ部の)タッチパネル(予約入力手段、選曲入力手段、選択手段)
15 …スピーカ部
20 …本体部
21 …(本体部の)音楽データ記録部(音楽データ記録手段)
22 …(本体部の)プログラム記録部
23 …(本体部の)一時記憶メモリ(再生リスト記録手段)
24 …(本体部の)制御部(再生リスト変更手段、オーディオ再生手段、再生リスト生成手段)
30 …(表示画面部の)左側部分
31 …(表示画面部の)右側部分
35 …(表示画面部に表示される)選曲ボタン
36 …(表示画面部に表示される)予約ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の音楽データが当該音楽データの曲名情報に関連付けられて記録される音楽データ記録手段と、
前記音楽データ記録手段から読み出された前記音楽データの再生処理を行うオーディオ再生手段と、
該オーディオ再生手段によって前記音楽データの再生が行われる場合に、再生対象となる一群の音楽データの曲名情報をリスト化することにより、前記オーディオ再生手段によって再生される音楽データの順番を示した再生リストを生成する再生リスト生成手段と、
該再生リスト生成手段により生成された再生リストを一時的に記録する再生リスト記録手段と、
前記再生リスト記録手段に記録された前記再生リストの前記曲名情報を変更することが可能な再生リスト変更手段と、
前記音楽データ記録手段に記録された音楽データの曲名情報を選択することが可能な選択手段と、
前記再生リスト変更手段によって前記再生リストの曲名情報を変更させる場合に操作される予約入力手段と
を有し、
前記オーディオ再生手段は、前記再生リスト生成手段により前記再生リストが生成されると、生成された当該再生リストに記録される曲名情報の順番に従って音楽データの再生を行い、
前記オーディオ再生手段が前記再生リストに従って音楽データの再生を行っている状態において、初めに前記予約入力手段が操作され、次に前記選択手段によっていずれかの曲名情報が選択された場合に、前記再生リスト変更手段は、選択された前記曲名情報を前記再生リストに追加する変更を行い、前記オーディオ再生手段は、前記音楽データの再生処理を中止することなく、新たに曲名情報が追加された再生リストに従って音楽データの再生処理を継続して行うこと
を特徴とする音楽再生装置。
【請求項2】
前記音楽データ記録手段に記録される前記音楽データの曲名情報を階層的に表示することが可能な表示手段と、
該表示手段に前記曲名情報を階層的に表示させる場合に操作される選曲入力手段と
を有し、
前記オーディオ再生手段が前記再生リストに従って音楽データの再生を行っている状態において、前記予約入力手段が操作された後に前記選曲入力手段が操作され、前記表示手段に階層的に表示された前記曲名情報の中から前記選択手段によっていずれかの曲名情報が選択された場合に、前記再生リスト変更手段は、選択された前記曲名情報を前記再生リストに追加する変更を行い、前記オーディオ再生手段は、前記音楽データの再生処理を中止することなく、新たに曲名情報が追加された再生リストに従って音楽データの再生処理を継続して行うこと
を特徴とする請求項1に記載の音楽再生装置。
【請求項3】
前記再生リスト記録手段は、前記オーディオ再生手段により再生されている音楽データが前記再生リストの何番目の曲名情報に該当するかを記録し、
前記再生リスト変更手段は、前記選択手段により同一の曲名情報が複数回連続して選択された場合、前記再生リスト記録手段より再生されている音楽データが前記再生リストの何番目の曲名情報であるかを判断し、判断された曲名情報の曲順から前記選択手段によって検出された選択回数だけ後の曲順で、選択された曲名情報の音楽データが再生されるように、前記再生リストに選択された前記曲名情報を追加する変更を行うこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の音楽再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−84201(P2012−84201A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229280(P2010−229280)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】