説明

音量調整装置、これを備えたオーディオ装置及び音量調整方法

【課題】 大音量の音声が出力されるのを容易に防止できる「音量調整装置」、「これを備えたオーディオ装置」及び「音量調整方法」を提供する。
【解決手段】 タイマ11のカウント開始後に、オーディオ操作検知部15が、オーディオ装置の操作を検知した場合(ステップS3でYes)、出力制御部10は、オーディオ操作検知部13で検知された操作がタイマ11のカウント中に行われたか否かを判定する(ステップS4)。オーディオ操作検知部13で検知されたオーディオ装置の操作が、タイマ11のカウント中に行われた場合(ステップS4でYes)、出力制御部10は、一定期間出力部32から出力される音声を制限してミュートの状態にする(ステップS51)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音量調整装置、これを備えたオーディオ装置及び音量調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的なオーディオ装置としては、CD(Compact Disc)プレーヤ、DVD(Digital Versatile Disk)プレーヤ、MD(Mini Disc)プレーヤ、カセットデッキ、ラジオチューナなどの複数のオーディオソースを選択することが可能な装置が提供されている。そして、このような装置に用いられるボリウムとしては、音源からの再生出力をボリウムによって調整すると共にアンプによって増幅し、その後、スピーカによって外部に放音するようにするものがある。
【0003】
このようなオーディオ装置は突然の大音量が出力される場合がある。このような場合には、利用者はオーディオ装置に設けられたボリウムキーや、ミュートキーが設けられている場合にはミュートキーを押す必要がある。しかしながら、利用者がこのような突然の大音量に対して、各種の操作キーが配置されているリモコン等の中から、ボリウムキーや、ミュートキーを判別して、そのキーを押して音量を調整するのは現実問題として困難である。
【0004】
このような観点から、突然に大音量が出力されることを防止する発明として、特許文献1に開示されているものがある。特許文献1に開示されている発明は、電源が投入されると、タイマによって電源投入時から予め設定された期間内は音声ミュート回路が音声増幅回路の動作を停止させて、スピーカから突然の大音量が出力されるのを防止する音量調整装置に関するものである。
【0005】
【特許文献1】特開平9−93056
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている音量調整装置は、電源投入時から予め設定された期間内に限り音量の出力が制限されるものである。このため、電源を投入して所定の期間経過後に、例えば、音量出力レベルの小さいCDを視聴し、後に音量出力レベルの大きいCDを聞く場合に、ボリウムは音量出力レベルの小さいCDに合わせて調整されているので、音量出力レベルの大きいCDの再生を開始すると、突然スピーカから大音量が出力されることになる。また、音量出力レベルの小さいCDを視聴し、後にオーディオソースを切り替えてラジオを視聴するような場合にも、スピーカから大音量が出力されることになる。このように、メディア又はソースの異なるものを再生した場合には、突然の大音量が出力されるのを防止することはできないという問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、大音量の音声が出力されるのを容易に防止できる音量調整装置、これを備えたオーディオ装置及び音量調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、所定の期間にオーディオ装置が操作されたことを検出する検出手段と、前記検出手段によりオーディオ装置が操作されたことが検出されたときにオーディオ装置の出力をミュートすることを特徴とする音量調整装置によって達成できる。
【0009】
この構成により、所定の期間内に利用者がオーディオ装置を操作することにより、オーディオ装置から大音量の音声が出力されるのを防止できる。
【0010】
また、前記所定の期間は、音声の出力が開始されてからの期間であることを特徴とする音量調整装置によっても達成できる。
【0011】
この構成により、利用者は音声の出力が開始されてから所定の期間内にオーディオ装置を操作することにより、オーディオ装置から大音量の音声が出力されるのを防止できる。
【0012】
また、前記所定の期間は、切り替えられたオーディオソース又はメディアに基づいて音声の出力が開始されてからの期間であることを特徴とする音量調整装置によっても達成できる。
【0013】
この構成により、利用者がCDを視聴後にチューナーにソースを切り替えた場合等に、切り替え後のオーディオソースに基づいて大音量の音声が出力されることを容易に防止できる。また、CDの視聴後に別のCDを視聴する場合等、メディアを切り替えた後に、切り替え後のメディアに基づいて大音量の音声が出力されることも容易に防止できる。尚、「メディア」とは、CDや、MD、カセットテープ、DVD等の音声情報を格納している記憶媒体をいう。
【0014】
また、上記の音量調整装置を備えたことを特徴とするオーディオ装置も、大音量の音声が出力されるのを容易に防止できる。
【0015】
また、所定の期間にオーディオ装置が操作されたことを検出する検出ステップと、前記検出ステップによりオーディオ装置が操作されたことが検出されたときにオーディオ装置の出力をミュートするステップを有することを特徴とする音量調整方法によっても達成できる。
【発明の効果】
【0016】
大音量の音声が出力されるのを容易に防止できる音量調整装置及びこれを備えたオーディオ装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、図面を参照しながら発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る音量調整装置を採用したオーディオ装置の要部の構成を示すブロック図である。図2は、音量調整装置の構成を示すブロック図である。
【0019】
オーディオ装置40は、図1に示すように、音量調整装置1、ドライバ20、信号原選択手段26、制御部27、操作手段28、表示部29、アンプ部30、電子ボリウム31、出力部32から構成される。
【0020】
ドライバ20は、ラジオチューナ21、テープ再生手段22、CD再生手段23、MD再生手段24、DVD再生手段25から構成されている。
【0021】
信号源選択手段26は、ドライバ20からのオーディオ信号を音量調整装置1に与える。音量調整装置1は、信号源選択手段26からの信号を所定の条件下で処理を行い、アンプ部30へ送信する。アンプ部30は、音量調整装置1からのオーディオ信号を、電子ボリウム31の設定により増幅して、出力部32へ出力する。
【0022】
制御部27は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を用いて構成され、オーディオ装置40全体を制御するものである。また、制御部27には、操作手段28と、表示部29が接続される。利用者は、操作手段28を介して出力対象の信号原を選択すると、該信号源が接続されている信号源選択手段26の入力端子番号が制御部27から信号源選択手段26に与えられ、一つの信号源が選択される。各信号源機器の電源管理や再生の開始及び終了などの制御が制御部27により行われる。利用者が操作手段28を介して設定した電子ボリウム31の設定値は制御部27内のRAMに格納されると共に、制御部27内のCPUを介して電子ボリウム31にも与えられる。
【0023】
次に、音量調整装置1の構成について説明する。図2は、音量調整装置の構成を示すブロック図である。音量調整装置1は、図2に示すように、出力制御部10、タイマ11、ソース・メディア切り替え検知部12、オーディオ操作検知部13を備える。
【0024】
出力制御部10は、CPU、ROM、RAMから構成され、信号源選択手段26からの信号をアンプ部30へ送る等音量調整装置の全体の制御を行う。また、タイマ11からの信号に基づき、所定期間、アンプ部30にオーディオ信号を送信しない。
【0025】
タイマ11は、予め定められた期間を計測して出力制御部10へ出力する。
【0026】
ソース・メディア切り替え検知部12は、利用者の操作によりオーディオ装置に設けられたラジオチューナ21、テープ再生手段22、CD再生手段23、MD再生手段24、DVD再生手段25のソースの切り替えが行われたか否かを検知する。また、CDを視聴後に、別のCDを視聴するような場合や、MDを視聴後に、別のMDを視聴するような場合も検知する。
【0027】
オーディオ操作検知部13は、操作手段28によりオーディオ装置が利用者に操作されたか否かを検知する。例えば、CDの再生ボタンや、停止ボタンの押下等により、オーディオ装置が操作されたか否かを検知する。
【0028】
次に、本発明に係る音量調整装置の具体的な動作について、フローチャートを参照しながら説明する。図3は、本発明に係る音量調整装置の動作についてのフローチャートである。
【0029】
まず電源投入後に、出力制御部10は、信号源選択手段26からオーディオ信号を受信したか否かを判定する(ステップS1)。即ち、音声が出力部32において出力されたか否かを判定する(ステップS1)音声が出力されていない場合に(ステップS1でNo)、オーディオ操作検知部13が、オーディオ装置の操作を検知した場合(ステップS11でYes)、即ち、利用者が操作手段28を操作した場合、出力制御部10は特別な動作を行わずに、オーディオ装置は操作された入力キーに従った処理を行う(ステップS12)。この処理を行った後は、再度ステップS1に戻り、出力制御部10は音声が出力されるまで検出し続ける。オーディオ操作検知部13が、オーディオ装置の操作を検知していない場合も(ステップS11でNo)、再度ステップS1に戻り、出力制御部10は音声が出力されるまで検出し続ける。
【0030】
出力制御部10は、音声の出力を検出した場合には(ステップS1でYes)、タイマ11はカウントを開始する(ステップS2)。ここで、タイマ11のカウント開始からカウント終了までの時間は5秒程度とする。尚、タイマ11のカウント開始からカウント終了までの時間は、タイマ11に固定されたものであってもよいし、利用者が予め設定することにより調整をすることが可能なものであってもよい。
【0031】
タイマ11のカウント開始後に、オーディオ操作検知部13が、オーディオ装置の操作を検知した場合(ステップS3でYes)、出力制御部10は、オーディオ操作検知部13で検知された操作がタイマ11のカウント中に行われたか否かを判定する(ステップS4)。尚、オーディオ操作検知部13が、オーディオ装置の操作を検知していない場合(ステップS3でNo)、即ち、利用者がオーディオ装置を操作するための何れのキーも入力していない場合、ステップS3をループする。
【0032】
オーディオ操作検知部13で検知されたオーディオ装置の操作が、タイマ11のカウント中に行われた場合(ステップS4でYes)、出力制御部10は、一定期間アンプ部30に送信されるオーディオ信号を制御して、出力部32から出力される音声をミュートの状態にする(ステップS51)。出力制御部10は、ミュートの状態中に、電子ボリウム31のボリウム値を初期値に戻す(ステップS52)。電子ボリウム31のボリウム値を初期値に戻した後に、出力制御部10は、所定期間経過後にミュート状態を解除する(ステップS53)。
【0033】
オーディオ操作検知部13で検知されたオーディオ装置の操作が、タイマ11のカウント中ではない場合(ステップS4でNo)、出力制御部10は、通常の動作と同様に、操作されたオーディオ装置の入力キーに従った処理を行う(ステップS6)。
【0034】
ミュート状態の解除後、又は通常の処理がされた後は、出力制御部10は、ソース・メディア切り替え検知部12からの信号により、ソース又はメディアが切り替えられたか否かの判定を行う(ステップS7)。具体的には、出力制御部10は、利用者のオーディオ装置の操作により、CDからMD、又はチューナからCDといった具合に、音声を再生するソースの切り替えを行ったか否かの判定を行う。また、CDを視聴後に、別のCDを視聴するような場合や、MDを視聴後に、別のMDを視聴するような場合も検知する。
【0035】
ソース・メディア切り替え検知部12により、ソース又はメディアが切り替えられたと判定された場合には(ステップS7でYes)、再度ステップS1に戻り、出力制御部10は、出力部13から音声が出力されたか否かを判定する。音声の出力を検出された場合には(ステップS1でYes)、タイマ11は同様にカウントを開始し(ステップS2)、所定の場合には再度ミュートの処理が行われる。
【0036】
ソース・メディア切り替え検知部12により、ソース又はメディアが切り替えられていないものと判定された場合に(ステップS7でNo)、オーディオ操作検知部13が、オーディオ装置の操作を検知した場合(ステップS8でYes)、再度ステップS6に戻り出力制御部10は、通常の動作と同様に、操作されたオーディオ装置の入力キーに従った処理を行う。オーディオ操作検知部13が、オーディオ装置の操作を検知していない場合(ステップS8でNo)、再度ステップS7に戻り、出力制御部10は、ソース・メディア切り替え検知部12からの信号により、ソース又はメディアが切り替えられたか否かの判定を行う。
【0037】
以上のように、タイマ11がカウントされた期間内に、オーディオ装置を操作するキーの入力があった場合には(ステップS4でYes)、出力制御部10は、一定期間出力部32から出力される音声を制限してミュートの状態にする(ステップS51)。従って、利用者は、オーディオ装置に設けられている何れかのキーを押すことにより、突然に大音量が出力された状態から容易にミュートの状態へと移行させることができる。特に、カーオーディオ製品に本発明に係る音量調整装置が搭載されている場合には、容易に大音量で音声が出力されるのを防止することができ効果的である。
【0038】
また、音声が出力されていない場合には(ステップS1でNo)、ミュートの状態に移行することはない。このため、利用者がソースの切り替えを連続的に行った場合、出力部32からは音声が出力されないので、利用者の意思と反してミュートの状態に移行することもない。
【0039】
また、タイマ11のカウント終了後であっても、ソース又はメディアを切り替えた際には(ステップS7でYes)再度ステップS1に戻るので、この場合にも、利用者は、突然に大音量が出力された状態から容易にミュートの状態へと移行させることができる。
【0040】
また、ミュートの状態中に出力制御部10は、電子ボリウム12のボリウム値は初期値に戻すので(ステップS52)、ミュートの状態が解除された後であっても(ステップS53)、出力部32から大音量の音声が出力されることはない。従って、利用者はミュートの状態が解除された後に、操作手段28を用いて所望の音量へと操作することができる。
【0041】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、変形・変更が可能である。例えば、本実施例においてはオーディオ装置に音量調整装置が適用される場合について説明したが、オーディオ機能を兼ね備えたナビゲーション装置にも適用できる。この場合は、ナビゲーション装置に設けられたタッチパネルを操作することによっても、ミュートの状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る音量調整装置を採用したオーディオ装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る音量調整装置1の構成を示したブロック図である。
【図3】本発明に係る音量調整装置の動作についてのフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1 音量調整装置
10 出力制御部
11 タイマ
12 ソース・メディア切り替え検知部
13 オーディオ操作検知部
20 ドライバ
21 ラジオチューナ
22 テープ再生手段
23 CD再生手段
24 MD再生手段
25 DVD再生手段
26 信号源選択手段
27 制御部
28 操作手段
29 表示部
30 アンプ部
31 電子ボリウム
32 出力部
40 オーディオ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の期間にオーディオ装置が操作されたことを検出する検出手段と、
前記検出手段によりオーディオ装置が操作されたことが検出されたときにオーディオ装置の出力をミュートすることを特徴とする音量調整装置。
【請求項2】
前記所定の期間は、音声の出力が開始されてからの期間であることを特徴とする請求項1に記載の音量調整装置。
【請求項3】
前記所定の期間は、切り替えられたオーディオソース又はメディアに基づいて音声の出力が開始されてからの期間であることを特徴とする請求項1に記載の音量調整装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の音量調整装置を備えたことを特徴とするオーディオ装置。
【請求項5】
所定の期間にオーディオ装置が操作されたことを検出する検出ステップと、
前記検出ステップによりオーディオ装置が操作されたことが検出されたときにオーディオ装置の出力をミュートするステップを有することを特徴とする音量調整方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−340026(P2006−340026A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−162114(P2005−162114)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】