説明

音響システム

音を正確に再生するための音響システムが説明される。この音響システムは、概して、より大きい振幅において、複数のより高い周波数の圧力波を生成し、そして、より小さい振幅において、より低い周波数の圧力波を生成するためのドライバーを含む。より低い周波数の圧力波のための増幅器として、そして、共振器として機能する通路が提供される。したがって、このシステムは、より高い周波数の音およびより低い周波数の音を正確に再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(開示の分野)
本出願は、2007年10月22日に出願された米国仮特許出願第60/981,568号の利益を主張する。本開示は、概して音響システムに関し、より具体的には、音を正確に再生する音響システムに関する。
【背景技術】
【0002】
(先行技術の説明)
音響システムは、概して、音を再生するためのラウドスピーカーを含む。音響システムのラウドスピーカーは、電気信号を音圧波に変換する単一のドライバーまたは複数のドライバーを備え得る。より具体的には、ドライバーは、概してアクチュエーターおよびダイヤフラムを含む。電気信号に応答して、アクチュエーターは、ダイヤフラムを振動させ、より高い周波数およびより低い周波数を有する複数の音圧波を生成する。
【0003】
ダイヤフラムの大きさおよびドライバーのタイプは、概して、各ドライバーが再生し得る、より高い周波数およびより低い周波数の範囲を決定する。例えば、小さい直径を有するダイヤフラムを有するドライバーは、概して、より大きい振幅において、より高い周波数の圧力波を再生することができる。しかしながら、一般に、これらのより小さい補助のないダイヤフラムは、消費者向け音響システムについて所望されるレベルで、より低い周波数の圧力波を再生することができない。したがって、より小さいダイヤフラムを有するドライバーのみを利用する音響システムは、従来、より低い周波数の音を正確に再生することができなかった。逆に、一般に、比較的大きいダイヤフラムを有するドライバーは、小さいダイヤフラムを有するドライバーよりも大きい振幅においてより低い周波数の圧力波をより良く生成することができるが、それらの比較的大きいダイヤフラムのドライバーは、小さいダイヤフラムのドライバーと同様に、より高い周波数を生成しない。
【0004】
そのような観点から、一部の先行技術の音響システムは、より高い周波数の圧力波およびより低い周波数の圧力波の範囲を再生するためのドライバーのレンジを有するラウドスピーカーを含む。例えば、より大きいドライバーとより小さいドライバーとの組み合わせが、フルレンジの音(例えば、より高い周波数の音およびより低い周波数の音)を再生する試みにおいて組み込まれてきた。そのようなシステムにおいて、各ドライバーから発せられる音は、リスナーが再生音を聞く地点に収束される。これらのシステムは、しばしば、さまざまなドライバーの周波数ドメインに適合するように設計されたクロスオーバー回路を含む。一部のシステムはまた、再生音の時間領域を維持するための回路を含むことも試みる。これらのシステムは、複雑になり、さまざまな程度の成功を提供し得る。
【0005】
他の先行技術の音響システムは、より広い範囲のより高い周波数の音およびより低い周波数の音を再生する試みにおいて、ドライバー単独のための特別な密閉箱、または他のドライバーと結合したドライバーのための特別な密閉箱を利用してきた。例えば、一部のシステムは、バックホーンおよび/またはフロントホーンを含んでいた。従来、単一のドライバーシステムは、さらなる増強なしにフルレンジの音を生成することが困難だった。したがって、そのようなシステムは、他のドライバー(例えば、別個の高音拡声器)を増強されてきた。再び、これらの増強されたシステムは、しばしば、上記で留意された同じ制限を有するクロスオーバー回路を含む。他のタイプの増強されたシステム(例えば、フィザーコーンを利用するシステム)もまた、存在したが、依然として欠点を有する。したがって、依然として、改善された音響システムに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、音を正確に再生するための音響システムを提供することは、本開示の目的である。
【0007】
特定の内部通路と組み合わせて単一のドライバーを利用する音響システムを提供することは、本開示の別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
好適な実施形態の特徴の組み合わせを含む本開示の好適な実施形態のこの利益または他の所望の利益が、以下の説明からより明白となる。しかしながら、プロセスまたは配列が、以下の説明から収集された所望の利益を含むこれらの所望の利益の各々とすべてとを遂行することなしに、請求された発明を依然として使用し得ることが理解される。これらの所望の利益ではなく、添付の特許請求の範囲は、本発明の主題を規定する。
【0009】
(本開示の要約)
幅広い範囲の聴取位置にわたって楽しい聴取経験を提供しながら、広い範囲の周波数にわたるコヒーレントな自然に合成された音を正確に生成する音響システムが開示される。このシステムは、概して、単一の高い効率のフルレンジドライバーと、特定に設計され、大きさを設定され、形作られた内部通路とを含み、内部通路は、増幅器および共振器として機能し、フルレンジドライバーと内部通路とは、一緒に組み合わされたとき、自然に生成された音楽的に満足のいく周波数範囲を提供する。より具体的には、高い効率のドライバーは、アクチュエーターおよびダイヤフラムを有する。アクチュエーターは、時として、ドライバーモーターと呼ばれるか、または構成部品(例えば、ボイスコイル)によって特徴づけられ、ダイヤフラムを振動させ、より大きい振幅を有するより高い周波数の圧力波と、より小さい振幅を有するより低い周波数の圧力波とを含む複数の圧力波とを生成する。ダイヤフラムは、通例、ダイヤフラムの外周を囲むサスペンションのような柔軟なサスペンションを介して、剛性のバスケットまたは剛性のフレームに接続される。しばしばヘッドまたは圧縮チャンバーと呼ばれる密閉箱は、ドライバーを支持するために提供される。密閉箱は、しばしばスロートと呼ばれる内部開口部をさらに有し、ドライバーによって生成される圧力波の少なくとも一部は、密閉箱を通り、内部開口部から出るように方向づけられる。密閉箱はまた、より低い周波数を有する圧力波の圧力が保存されるように、大きさも設定される。通路は、密閉箱の内部開口部から延び、外部開口部または口において終端し、その結果、より低い周波数を有する圧力波は、内部開口部から通路を通り、外部開口部から出るように方向づけられる。
【0010】
別の実施形態において、このシステムは、概して、密閉箱によって支持されるドライバーを備えている。ドライバーは、アクチュエーターと、外周を有するダイヤフラムとを含み、外周は、約5.0cmから約6.0cmの直径を有する領域を規定し、この領域は、囲んでいる柔軟なサスペンションを含まない。そのようなドライバーは、一般的に、8cmクラスのドライバーあるいは3インチクラスのドライバーまたは3.3インチクラスのドライバーとして公知である。アクチュエーターは、ダイヤフラムを振動させ、振幅の範囲と、より高い周波数およびより低い周波数の範囲とを有する複数の双方向性の圧力波を生成する。
【0011】
密閉箱は、内部開口部を有し、ドライバーによって生成される圧力波の一部は、密閉箱を通り、内部開口部から出るように方向づけられる。より低い周波数を有する圧力波の圧力が保存されるように、内部開口部は、ダイヤフラムの外周によって規定される領域の断面積の約0.65倍より大きく約1.3倍までの大きさの、より好適には約1倍の大きさのセレクト断面積を有する。
【0012】
通路は、密閉箱の内部開口部から延び、外部開口部において終端し、より低い周波数を有する圧力波は、内部開口部から通路を通り、外部開口部から出るように方向づけられる。外部開口部は、内部開口部の断面積の約8倍から12倍、好適には約10倍の断面積を規定し、その結果、より低い周波数に対応する圧力波の振幅は増幅される。好適には、通路はまた、断面積が連続的に増加し、約1.5メートルから約2.8メートル、より好適には、約2.2メートルから約2.5メートルの長さを有する。
【0013】
別の実施形態において、外部開口部は、ダイヤフラムの外周によって規定される領域の断面積の約8倍から12倍、好適には約10倍の断面積を規定する。
【0014】
さらに別の実施形態において、通路の断面積は、ほぼ指数関数的な態様で、または末端のフレアーがほぼ円錐形の態様で増加する。通路はまた、畳まれ得るか、または複数の折り返しを含み得る。
【0015】
別の実施形態において、ダイヤフラムは、剛性の材料で構成される。例えば、ダイヤフラムは、ポリマー、木材、木部繊維、ガラス繊維(grass fiber)、金属、アルミニウム、チタン、紙、金属蒸着紙およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料で構成され得る。好適には、ドライバーは、低偏位(low−excursion)タイプのドライバーであり、ダイヤフラムの素早い動きが良好な過渡的応答を提供することを可能にする。
【0016】
好適には、この音響システムは、通路を支持するための基部を有し、外部開口部は、圧力波が基部に対してほぼ垂直に方向づけられるように、基部に対してほぼ垂直に位置するか、または代替案として、外部開口部は、基部に対して概して鋭角に位置する。
【0017】
本開示は、複数の異なる局面または特徴を含み、複数の異なる局面または特徴は、単独で、そして/または他の局面または特徴と組み合わせて有用性を有し得ることが、理解されるべきである。したがって、この概要は、現在請求されているか、または以後請求され得る、各々のそのような局面または特徴の包括的な識別ではなく、以下のより詳細な説明を理解することを補助するために、本開示の特定の局面の概観を表す。本発明の範囲は、以下で説明される特定の実施形態に制限されないが、出願されるか、または以後提出される特許請求の範囲において述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本開示の実施形態に従った音響システムの斜視図である。
【図2】図2は、図1の音響システムの分解組立斜視図である。
【図3】図3は、本開示の別の実施形態に従った音響システムの斜視図である。
【図4】図4は、図3の音響システムの分解組立斜視図である。
【図5】図5は、本開示の別の実施形態に従った音響システムの分解組立斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(例示された実施形態の詳細な説明)
図1は、本開示の実施形態に従った音響システム2の斜視図を示す。このシステムは、概して、ハウジング6によって支持されたドライバー4を備えている。ドライバー4は、概して、電気接点8を介して受信された電気信号を音圧波に変換する。
【0020】
より具体的には、図2は、図1の音響システム2の分解組立斜視図である。ドライバー4は、概して、アクチュエーター(一般的にドライバーモーターとも呼ばれる)10およびダイヤフラム12を備えている。供給源(図示せず)によって提供される電気信号に応答して、アクチュエーター10は、ダイヤフラム12を振動させ、振幅の範囲ならびにより高い周波数およびより低い周波数の範囲を有する複数の圧力波を生成する。ドライバー4によって生成される圧力波は、概して双方向性であり、より高い周波数の圧力波は、ハウジング6から離れて、ハウジング6の中の密閉箱16(ヘッドとしても公知である)に入るように方向づけられる。
【0021】
ダイヤフラム12は、外周を有し、外周は、約5.0cmから約6.0cmまで、好適には約5cmの直径を有する領域を規定する。この大きさのダイヤフラムを有するドライバーは、一般的に小型ドライバーと見なされ、しばしば、8cmクラスのドライバーあるいは3インチクラスのドライバーまたは3.3インチクラスのドライバーと呼ばれる。これらの小型ドライバーは、より大きい振幅においてより高い周波数の圧力波を、より小さい振幅においてより低い周波数の圧力波を生成する。したがって、より低い周波数の圧力波は、本開示のさらなる局面に従って増幅され、より低い周波数の音を音響学的に再生する。
【0022】
密閉箱16はまた、ヘッドまたは共振空洞とも呼ばれ、ハウジング6の構成によって規定される通路18は、圧力波を増幅するように提供される。例えば、ドライバー4によって生成される、より低い周波数の圧力波は、密閉箱16に入るように方向づけられる。密閉箱16は、より低い周波数の圧力波の圧力が保存されるように大きさを設定される。好適には、密閉箱16は、ドライバー4のVas仕様よりも小さい容積を有するように大きさを設定される。一般に、Vasは、ラウドスピーカードライバーの周波数応答を決定する標準パラメーターの1つであり、Vasは、ドライバーのサスペンションと同じコンプライアンスを有する空気の容積をいう。本開示の音響システムにおいて、密閉箱16は、好適には、ドライバーのVas仕様の約0.5倍と約0.9倍との間の容積を有するように大きさを設定され、より好適には、密閉箱16の容積は、ドライバーのVas仕様の約0.65倍と約0.75倍との間にある。例えば、本開示の1つの実施形態において、1.22リットルのVas仕様を有する3”クラス(すなわち、約5cmの直径のダイヤフラムを有するもの)の高い効率(サントプレーンで周囲を磁気的にシールドされたチタンコーン)スロートライバーを用いる音響システムは、1リットル未満の容積を有する密閉箱16を有し得、より好適には、約0.8リットルと約0.95リットルとの間の容積を有する密閉箱16を有し得る。
【0023】
密閉箱16は、内部開口部20(時として、スロートと呼ばれる)をさらに備え、内部開口部20は、より低い周波数の圧力波の圧力が保存され、好適には、スロート20がまた、より高い周波数の圧力波の通過を制限するフィルターとして作用するように大きさを設定される。1つの実施形態において、内部開口部20は、ドライバーのダイヤフラムの外周によって規定される領域の断面積の約0.65倍より大きく約1.3倍までの大きさにセレクト断面積を有する。好適には、内部開口部20の断面積は、ドライバーのダイヤフラムの外周によって規定される領域の断面積の約0.85倍から約1.1倍、より好適には約0.85倍から約1.0倍である。
【0024】
バックホーンとして作用する通路18は、密閉箱16の内部開口部20から外部開口部22(時として、口または出口と呼ばれる)へ延び、結果として、より低い周波数の圧力波は、内部開口部20から、通路18を通り、外部開口部22から出るように方向づけられ、すなわち、波は、スロートから移動し、ホーンを通り、口から出る。そのようなものとして、密閉箱16、スロート20および通路18は、互いに流体連通していることが認識される。互いに流体連通していることを除いて、密閉箱16、スロート20および通路18は、その他では、開口部22に達するまで、(通常の周囲の圧力条件において)実質的に気密性であることもまた認識される。
【0025】
より具体的には、通路18および外部開口部22は、より低い周波数の圧力波の振幅が増幅されるように大きさを設定され、形作られる。例えば、1つの実施形態において、外部開口部22の断面積は、内部開口部20の断面積の約8倍から約12倍に大きさを設定され、より好適には、約10倍に大きさを設定される。通路18は、さらに、断面積が内部開口部20から外部開口部22へ連続的に増加する。代替案として、または外部開口部22の寸法と内部開口部20の寸法との上記の関係に関連して、外部開口部は、好適には、ドライバーのダイヤフラムの外周によって規定される領域の断面積の約8倍から約12倍、より好適には、約10倍の断面積を規定する。
【0026】
通路18はまた、共振器としても機能する。各圧力波は、関連した波長(例えば、所与の周波数に対する伝搬波の繰り返し単位間の距離)を有する。通路18の長さは、通路18がホーンとしてだけでなく共振器としても作用するように、寸法設定され、形作られる。通路18は、ドライバーおよび開口部22から発せられる音が一体的な音として認められるように、さらに大きさを設定され、形作られる。本発明のスピーカーシステムにおいて、通路18は、内部開口部20から外部開口部22まで断面積を連続的に増加させる。また、通路18は、長さが約1.5メートルから約2.8メートルに、好適には、約2.2メートルから約2.5メートルにわたる。通路18の長さは、スロート20から開口部22までの経路の中心線(図示せず)に沿った距離の長さとして測定されることが認識される。
【0027】
通路18は、スピーカー全体に対してより小さい外形を呈するように畳まれ得る。そのようなものとして、本明細書で示されるように、通路18は、複数の折り返しを含む。例えば、図2に示されるように、通路18は、18aで約90度、18bで約90度、18cで約90度、そして18dで約90度曲がる。
【0028】
別の実施形態において、通路18は、通路18の断面積がほぼ指数関数的な態様で、または末端のフレアーがほぼ円錐の態様で増加するように、大きさを設定され、形作られる。
【0029】
好適には、図2に示されるように、この音響システムは、通路を支持するための基部23を有し、外部開口部22は、圧力波が基部に対してほぼ垂直に方向づけられるように、基部に対してほぼ垂直に位置するか、または代替案として(図示せず)、外部開口部は、基部に対して概して鋭角に位置する。
【0030】
図2に示されるように、音響システム2は、壁26のスタッド24aとスタッド24bとの間にはめ込まれ、設置され得るように大きさを設定される。音響システム2は、さらにドライ壁28の背後に設置され得、設置後には、外部開口部22およびドライバー4のみが露出される。本発明の音響システムは、比較的小さい全体の振動を生成し、比較的少ない電力使用を必要とし、例えば、本発明の音響システムは、典型的には、5ワット以下の電力によって駆動され得る。
【0031】
通路18は、外部開口部22を有する単一の通路として示される。図示されていないが、通路18および/または開口部22は、複数のセクションに分割され得る。例えば、通路18は、二又にされ、二又開口部につながり得る。そのような配列において、複数の開口部の表面積は、総計で、単一の開口部の表面積に対するのと同じ内部開口部20の表面積に対する断面積の関係を提供し得る。言い換えれば、二又開口部の総断面積は、内部開口部20の断面積の約8倍から12倍、より好適には、約10倍であり得る。
【0032】
ハウジング6は、任意のほぼ剛性の材料、または他の場合には音響学的に適した材料で構成され得ることが、留意されるべきである。例えば、ハウジング6は、木材、金属、ポリマー、同様な材料およびそれらの組み合わせで構成され得る。同様に、密閉箱16および通路18を規定する壁もまた、任意のほぼ剛性の材料、または他の場合には音響学的に適した材料で構成され得る。
【0033】
ドライバー4が剛性の材料で構成され得ることもまた、留意されるべきである。ドライバーのダイヤフラム12は、任意の音響学的に適した材料(例えば、ポリマー、木材、木部繊維、ガラス繊維、金属、アルミニウム、紙、金属蒸着紙およびそれらの組み合わせ)で構成され得る。ドライバー4は、概してより大きな振幅において、より高い周波数の圧力波を生成するように構成されるが、ドライバー4はまた、特定の狭い周波数範囲に対して設計されたドライバーと比べて、フルレンジドライバーでもある。本明細書で論じられるように、そのようなドライバーは、好適には、小型ドライバー(例えば、時として、3インチまたは3.3インチドライバーとも呼ばれる8cmクラスのドライバー)である。このクラスのドライバーは、市販されている。例えば、8cm/3インチクラスのドライバーの供給業者は、Visaton、Aura Sound、FostexおよびTang Bandを含む。好適には、ドライバー4は、低偏位タイプのドライバーである。良好な過渡的応答を提供するドライバー、例えば、チタンで構成されたダイヤフラムを有するドライバーは、特に好適である。
【0034】
図3は、本発明の別の実施形態に従った音響システム102の斜視図を示す。このシステムは、概して、ハウジング106に支持されたドライバー104を備えている。ドライバー104は、概して、電気接点108を介して受信された電気信号を音圧波に変換する。
【0035】
より具体的には、図4は、図3の音響システム102の分解組立斜視図である。ドライバー104は、概してアクチュエーター110およびダイヤフラム112を備えている。供給源(図示せず)によって提供された電気信号に応答して、アクチュエーター110は、ダイヤフラム112を振動させ、図1および図2に示される実施形態に関して説明されたドライバー4のように、振幅の範囲およびより高い周波数とより低い周波数との範囲を有する複数の圧力波を生成する。ドライバー104は、圧力波を生成し、圧力波は、ハウジング106から離れてハウジング106の中の密閉箱116に入るように方向づけられる。
【0036】
ダイヤフラム112は、外周を有し、外周は、約5.0cmから約6.0cmまでの、好適には約5cmの直径を有する領域を規定する。ハウジング106の構成によって規定される密閉箱116および通路118は、より低い周波数の圧力波の増幅とそれに関連した共鳴の強化とを提供する。
【0037】
より具体的には、ドライバー104によって生成されたより低い周波数の圧力波は、密閉箱116に入るように方向づけられる。密閉箱116は、より低い周波数の圧力波の圧力が保存されるように、大きさを設定される。このことは、図1および図2に示される音響システムの議論と同様である。好適には、密閉箱116は、ドライバー104のVas仕様よりも小さい容積を有するように大きさを設定される。密閉箱116は、好適には、ドライバーのVas仕様の約0.5倍と約0.9倍との間の容積を有するように大きさを設定され、より好適には、密閉箱116の容積は、ドライバーのVas仕様の約0.65倍と約0.75倍との間である。例えば、本開示の1つの実施形態において、1.22リットルのVas仕様を有する3”クラスの高い効率(サントプレーンで周囲を磁気的にシールドされたチタンコーン)のドライバーを用いた音響システムは、1リットル未満の容積を有する密閉箱116を有し得、より好適には、約0.8リットルと約0.92リットルとの間の容積を有する密閉箱116を有し得る。
【0038】
密閉箱116は、より低い周波数の圧力波の圧力が保存されるように大きさを設定され、高い周波数の圧力波の通過を制限するフィルターとしても作用する内部開口部を可能にするように大きさを設定された内部開口部120をさらに有する。1つの実施形態において、内部開口部120は、ドライバーのダイヤフラムの外周によって規定される領域の断面積の約0.65倍より大きく約1.3倍までのセレクト断面積を有する。好適には、内部開口部120の断面積は、ドライバーのダイヤフラムの外周によって規定される断面積の約0.85倍から約1.1倍、より好適には、約0.85倍から約1.0倍である。
【0039】
通路118は、より低い周波数の圧力波が内部開口部120から方向づけられ、通路118を通り、外部開口部122から出るように、密閉箱116の内部開口部120から外部開口部へ延びる。
【0040】
より具体的には、通路118および外部開口部122は、より低い周波数の圧力波の振幅が増幅されるように、大きさを設定され、形作られる。その点において、通路118は、バックホーンとして作用する。例えば、1つの実施形態において、外部開口部122の断面積は、内部開口部120の断面積の約8倍〜12倍に、好適には、約10倍に大きさを設定される。好適には、通路118の実質的な長さの断面積は、内部開口部120から外部開口部122まで連続的に増加する。より好適には、通路118は、内部開口部120から外部開口部122までの全体の長さに沿って断面積が連続的に増加する。
【0041】
通路118はまた、共振器としても作用する。各圧力波は、関連した波長(例えば、所与の周波数に対する伝搬波の繰り返し単位間の距離)を有する。通路118の長さは、通路118がホーンとしてだけでなく、共振器としても作用するように、寸法設定され、形作られる。通路118は、ドライバーおよび開口部22から発せられる音が一体的な音として認められるように、さらに大きさを設定され、形作られる。本発明のスピーカーシステムにおいて、通路118は、内部開口部120から外部開口部122まで断面積が連続的に増加する。また、通路118は、約1.5メートルから約2.8メートル、好適には、約2.2メートルから約2.5メートルにわたる。
【0042】
通路18についての上記の議論と同様に、通路118は、スピーカー全体に対してより小さい外形を呈するように畳まれ得る。そのようなものとして、本明細書に示されるように、通路118は、複数の折り返しを含み、複数の折り返しは、圧力波の質に影響しない。また、上記の議論と同様に、通路118は、単一の外部開口部122を有する単一の通路として示される。図示されていないが、通路118および/または開口部122は、複数の部分に分割され得る。例えば、通路118は、二又にされ、二又開口部につながり得る。そのような配列において、複数の開口部の表面積は、総計で、単一の開口部の表面積に対するのと同じ内部開口部120の表面積に対する断面積の関係を提供し得る。言い換えれば、二又開口部の総断面積は、内部開口部120の断面積の約8倍から約12倍、より好適には、約10倍であり得る。
【0043】
別の実施形態において、図5に示されるように、通路118bは、短くされ、より低い周波数の圧力波の増幅に影響し得る。本開示の音響システムは、ドライバーとヘッドとスロートと通路と開口部との間の開示された関係を維持しながら、さまざまな外側の形状と外観とを有し得ることが認識される。
【0044】
本開示の単一のドライバーシステムは、5ワット未満の電力を、典型的には、3ワット未満の電力を利用し得る。したがって、これらの音響システムは、効率の高いクラスDの増幅器によって、容易に電力を供給され得、供給源および図1〜5に説明される増幅器音響システムと組み合わせて、充電池(充電鉛蓄電池、充電リチウムイオン電池または他のタイプの充電池)を含む従来の電池によって、長い持続時間の間、電力を提供され得る。結果として、本発明のスピーカーシステムは、モバイルシステムに対して、特に適している。
【0045】
ワイヤレスの音再生システムは、ワイヤレス受信器、図1〜5において説明される音響システムのうちの1つ以上のシステム、デジタルアナログコンバーター、増幅器、および例えば充電池のような電力供給源を含み得る。より具体的には、独立したオーディオ供給源は、音を表すデジタル信号をデジタルワイヤレス受信器に送信するように構成され得る。デジタルアナログコンバーターがワイヤレス受信器に結合され、デジタルアナログコンバーターは、送信されたデジタル信号をアナログ電気信号に変換する。増幅器が提供され、変換されたアナログ信号を増幅し得る。図1〜5に説明される本発明の音響システムは、この電気信号を受け取り、正確に音を再生する。
【0046】
本開示の音響システムはまた、単一の3”ドライバーを利用し、フィザーコーンまたはフェーズプラグを利用しないで、幅広い範囲の聴取位置にわたって楽しい聴取経験も提供し得る。例えば、一部のドライバーは、ハイエンドな分散のためのフィザーコーンを含む。フィザーコーンを有するドライバーを組み込んだスピーカーは、「ビーム化する(beam)」傾向があり、このことは、スピーカーが中心のスイートスポットでは良い音を出すが、中心から離れるにつれてフルレンジの再生ができないことを意味する。一部のドライバーはまた、フェーズプラグを組み込み、周波数応答を滑らかにし強化しようと試みてコーン表面の周りのパス長の差を低減するが、再び、好適な聴取スイートスポットを含む他の結果があり得る。本開示の音響システムの独自の構成は、フィザーコーンまたはフェーズプラグの使用なしに、広い範囲の聴取位置にわたって、音楽情報の正確で真に迫った送信を提供する。
【0047】
上記の説明は、例示および説明の目的で提示されており、包括的であること、または本発明を開示された正確な形態に制限することは意図されていない。説明は、本発明の原理と、これらの原理の実際的な適用とを最も良く説明するように選択されたもので、当業者が企図された特定の使用に適したさまざまな実施形態およびさまざまな修正において本発明を最も良く利用することを可能にする。本発明の範囲は、本明細書によって制限されるべきではないが、以下に述べられる特許請求の範囲によって規定されるべきであることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を正確に再生するための音響システムであって、該音響システムは、
アクチュエーターとダイヤフラムとを含むドライバーであって、該アクチュエーターは、該ダイヤフラムを振動させ、振幅の範囲ならびにより高い周波数およびより低い周波数の範囲を有する複数の双方向性の圧力波を生成し、該ドライバーは、8cmクラスのドライバー、3インチクラスのドライバーおよび3.3インチクラスのドライバーからなる群から選択される、ドライバーと、
該ドライバーを支持し、内部開口部を有する密閉箱であって、該ドライバーによって生成される該圧力波の一部は、該密閉箱を通り、該内部開口部から出るように方向づけられ、該内部開口部は、ドライバーのダイヤフラムの外周によって規定される領域の断面積の0.65倍より大きく約1.3倍までのセレクト断面積を有し、結果として、より低い周波数を有する該圧力波の圧力は保存される、密閉箱と、
該密閉箱の該内部開口部から延び、外部開口部において終端する通路であって、より低い周波数を有する該圧力波は、該内部開口部から該通路を通り、該外部開口部から出るように方向づけられ、該外部開口部は、該内部開口部の断面積の約8倍から約12倍の断面積を規定し、結果として、該より低い周波数に対応する該圧力波の該振幅は、増幅され、該通路は、断面積が連続的に増加し、長さが約1.5メートルから約2.8メートルにわたる、通路と
を備えている、音響システム。
【請求項2】
前記外部開口部は、前記ダイヤフラムの前記外周によって規定される前記領域の断面積の約8倍から約12倍の断面積を規定する、請求項1に記載の音響システム。
【請求項3】
前記外部開口部の前記断面積は、前記内部開口部の断面積の約10倍である、請求項1に記載の音響システム。
【請求項4】
前記外部開口部の前記断面積は、前記ダイヤフラムの前記外周によって規定される前記領域の断面積の約10倍である、請求項2に記載の音響システム。
【請求項5】
前記通路は、長さが約2.2メートルから約2.5メートルにわたる、請求項1に記載の音響システム。
【請求項6】
前記ドライバーは、低偏位タイプのドライバーである、請求項1に記載の音響システム。
【請求項7】
前記ダイヤフラムの前記外周によって規定される前記領域の直径は、約5cmから約6cmである、請求項1に記載の音響システム。
【請求項8】
前記直径は、約5cmである、請求項7に記載の音響システム。
【請求項9】
前記通路の前記断面積は、ほぼ指数関数的な態様で増加する、請求項1に記載の音響システム。
【請求項10】
前記通路の前記断面積は、ほぼ円錐形の態様で増加する、請求項1に記載の音響システム。
【請求項11】
前記通路は、複数の折り返しを含む、請求項1に記載の音響システム。
【請求項12】
前記通路は、複数の部分に分割される、請求項12に記載の音響システム。
【請求項13】
前記通路を支持する基部をさらに備え、前記外部開口部は、該基部に対してほぼ垂直に位置し、結果として、前記圧力波は、該基部に対してほぼ垂直に方向づけられる、請求項1に記載の音響システム。
【請求項14】
ハウジングは、前記密閉箱および前記通路を規定する、請求項1に記載の音響システム。
【請求項15】
前記密閉箱は、前記ドライバーのVas仕様の容積よりも小さい容積を規定する、請求項1に記載の音響システム。
【請求項16】
前記密閉箱は、1リットル未満の容積を規定する、請求項1に記載の音響システム。
【請求項17】
音を正確に再生するための音響システムであって、該音響システムは、
アクチュエーターとダイヤフラムとを含むドライバーであって、該アクチュエーターは、該ダイヤフラムを振動させ、より大きい振幅を有するより高い周波数の圧力波と、より小さい振幅を有するより低い周波数の圧力波とを含む複数の圧力波を生成する、ドライバーと、
該ドライバーを支持し、内部開口部を有する密閉箱であって、該ドライバーによって生成される該圧力波の少なくとも一部は、該密閉箱を通り、該内部開口部から出るように方向づけられ、該密閉箱は、より低い周波数を有する該圧力波の圧力が保存されるように大きさを設定される、密閉箱と、
該密閉箱の該内部開口部から延び、外部開口部において終端する通路であって、より低い周波数を有する該圧力波は、該内部開口部から該通路を通り、該外部開口部から出るように方向づけられ、該外部開口部および該通路は、より低い周波数の圧力波が増幅され、より低い周波数の圧力波に関連した共振が維持されるように、大きさを設定され、形作られる、通路と
を備えている、音響システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−501579(P2011−501579A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530187(P2010−530187)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/080619
【国際公開番号】WO2009/055373
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(510110714)
【Fターム(参考)】