説明

音響スイッチ及び音響スイッチを有するカテーテル

本発明は、音響スイッチに関し、その超音波伝播方向に対する発想は、そのスイッチを動かさずに変えることである。そのスイッチング装置は、2枚の音響的に透明な材料のシートを含む。それらのシートは、ハウジングの対向する壁を構成する。そのスイッチング装置は、さらに、そのハウジングの中へ及び/又は外へ流体を導くことを可能にするために、1つ又はそれ以上の開口部を含む。そのスイッチング装置は、その1つ又はそれ以上の開口部を通してハウジングを着たいで充填することによって反射型にしてもよい。さらに、そのスイッチング装置は、ハウジングを液体で充填することによって及び/又はそのハウジングを不足した圧力下に置くことによって、超音波に対して透過型にしてもよい。その音響スイッチング装置は、厳密な寸法の制限を有するカテーテル内に適切に適合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波に対する音響スイッチング装置及び超音波に対する音響スイッチの状態を制御する方法に関する。本発明は、さらに、超音波カテーテル及び超音波カテーテルからの超音波を方向付ける方法に関する。さらに、本発明は、超音波トランスデューサ及び音響スイッチ装置を有する高周波カテーテル・アブレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者を監視及び/又は治療するための様々な医療法は、例えば、流体の排出又は注入、放射線、切断又は手術用器具によるアクセスを可能にするために、体腔、管又は血管の中へカテーテルを挿入する段階を含む。
【0003】
カテーテルに対する必要条件は、適切な制御及び/又は監視である。監視される組織に関するカテーテルの空間的定位は、垂直から平行に変化してもよい。従って、その監視は、そのカテーテルの方向に従って切り替えることができることが絶対不可欠である。
【0004】
心不整脈の侵襲の少ない治療において使用されるカテーテルの一例は、RFエネルギーによる局地的な加熱を通して心臓組織を電気的に不活性化することを目的とする高周波(RF)アブレーション・カテーテルである。しかし、RFカテーテル・アブレーション処置は、治療中にアブレーション設定を活発に制御することの困難性に関してかなりの欠点をいまだに有している。現在のところ、療法士は、パワー、温度及び期間などの切断における最適なパラメータを決定するために、彼/彼女自身の経験に頼る。しかし、これらの設定は、通常、局地的な心壁の厚さ、かん流、血圧及び血流速度、心拍、その他の患者の間におけるかなりの相違によって大きく変化する。高度な技術を持つ療法士は、このアプローチで成功を成し遂げているが、それは常に当てはまるわけではなく、エラーがある場合は、その患者において深刻な結果が生じる。
【0005】
治療に関する2つの主な問題は、加熱が足りない場合又は過熱した場合の何れか一方から生じる。加熱が足りない場合は、組織は、療法士が望むように、不整脈をブロックする病班(lesion)を形成するのに十分に凝固しない。これは、その患者に対して、持続性又は再発性の症状、結果としての治療の必要性、より長い入院期間及び発作及び塞栓症に至る可能性がある。他方の極端な場合である過熱は、治療部位における組織の破裂を起こし、血流の中へ場合によっては致死的である粒子を放出するか、あるいは、隣の器官及び組織に損傷を与える。他の器官が影響を受ける場合、ろう孔(fistula)が発達することが可能であり、これらはしばしば致死的である。
【0006】
RFカテーテルの必要条件は、さらに適切な制御である。組織における病班の発達のフィードバック及びその治療部位における組織の厚さに関するその病班の深さについての情報を供給する装置は、RFカテーテル処置における加熱の不足及び過熱からの負傷及び死を防ぐ。ほぼ全てのアブレーション処置において、カテーテルの組織に関する空間的定位は、垂直から平行に変わることから、超音波病班監視は、その処置に従って切り替えられ得ることが絶対不可欠である。
【0007】
特許文献1は、電気制御によって内部的にステアリング出来る複合超音波レンズを記載している。そのレンズは、その材料のおかげでステリングが可能である:その材料は電気粘性である。その体積弾性率及びその結果生じる音速は、電気的に変えることができる。屈折率の傾斜を制御することによって、そのステアリングが、正確に、連続的且つ迅速に調節可能である。しかし、そのレンズは、トランスデューサのアレイで使用されるべきであり、それは比較的大きく、カテーテルに容易に適用可能ではない。さらに、このレンズによる監視の方向における変化は、そのレンズの操作原理によって限られている。
【0008】
従って、監視に対して改善された装置が有利であり、特に、異なる方向における監視が可能な小型装置が有利である。さらに、異なる方向における監視機能を有するカテーテルが有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,546,360号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明は、望ましくは、上述の欠点の1つ又はそれ以上を個々に又は任意の組み合わせにおいて、最小化、緩和又は除去することを目的とする。特に、従来技術の上記の問題を異なる方向において監視することに関して解決する音響スイッチング装置を提供することが、本発明の目的として見なされてよい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的及びいくつかの他の目的は、本発明の第1態様において、超音波に対する音響スイッチング装置を提供することによって得られ、前記スイッチング装置は、音響的に透明な2枚のシートを含み、そのシートは、ハウジングの対向する壁を構成し、そのスイッチング装置は、さらに、流体をそのハウジングの中へ及び/又は外へ導くことを可能にするために1つ又はそれ以上の開口部を含む。
【0012】
本発明は、特に、独占的ではなくても、ハウジングが気体又は流体で充填されているか、空にされているかに従って、透過又は反射するように配置されてもよいスイッチング装置を得ることために有利である。そのハウジングの対向する壁を形成する2枚のシートは、ハウジングが不足した圧力下にある場合を除いては、間隙によって分離されている。この間隙は、流体、すなわち気体又は液体で充填されてもよく、その選択は、超音波スイッチの透過特性に影響する。そのスイッチング装置は、従って、ハウジングにおける流体の存在又は欠如によって超音波の透過又は反射を提供してよく、それは、そのスイッチング装置の位置を機械的に変えずに、透過と反射との間の切り替えを制御してもよい。
【0013】
注目すべきは、そのハウジングの対向する壁は、望ましくは互いに実質的に平行であることである。それらのシートは、例えば、水との適切な音響インピーダンスの一致による非常に低い超音波反射を有するTPXホイルなどのプラスチック材料でもよい。不足した圧力という用語は、任意の適切な部分的な真空又はそのハウジングの壁を結合させるのに十分に低い圧力を示すことを意図する。
【0014】
本発明のもう1つの態様に従って、その音響スイッチング装置は、1つ又はそれ以上に開口部を通してハウジングを気体で充填することによって反射するようにされる。そのような気体は、空気又は他の如何なる適切な気体であってもよい。そのスイッチング装置のハウジングが1つ又はそれ以上の種類の気体で充填される場合、その装置の音響インピーダンスの不整合は大きくなり、それは、ほぼ全ての超音波の反射をもたらす。そのスイッチング装置を様々な方向に配置することによって、その超音波は再度方向付けられてもよい。その超音波不整合及び超音波ビームと超音波スイッチとの間の角度が十分に大きい場合、その超音波の全反射が起こることが可能であり、その超音波ビームの100%は、超音波スイッチによって反射する。
【0015】
本発明のもう1つの態様に従って、そのスイッチング装置は、1つ又はそれ以上の開口部を通して液体でハウジングを充填することによって、超音波に対して透過型であるようにされる。その装置が浸される環境と同じ音響特性を有する液体でその装置が充填されるとき、その装置は、超音波に対して透明であり、それは、超音波トランスデューサから妨害されずに伝播する。そのスイッチング装置が水又は血液において使用される場合、そのハウジングの中へと充填される液体は、例えば水であってもよい。
【0016】
代替として、そのスイッチング装置は、ハウジングを1つ又はそれ以上の開口部を通して不足した圧力下に置くことによって、超音波に対して透過型であるようにされてもよい。この場合、その音響的に透明な対向するシートは、互いに接触するようになり、従って、その2枚のシートの厚さの合計の厚さを有する音響的に透明なシートを形成する。この場合、その装置は、そのシート材料が音響的に透明であることによって、超音波に対しても透明になり、超音波が、トランスデューサの縦軸に沿って伝播することを可能にする。
【0017】
第2態様によると、本発明は、超音波に対する音響的スイッチング装置の状態を制御する方法に関し、そのスイッチング装置は、音響的に透明な材料の2枚のシートを有し、それらのシートは、ハウジングの対向する壁を構成し、その方法は、以下の1つ又はそれ以上のステップを含む:1つ又はそれ以上の開口部を通して、音響スイッチを反射状態にするために、そのハウジングを気体で充填する、及び/又は1つ又はそれ以上の開口部を通して、その音響スイッチを透過状態にするために、そのハウジングを不足した圧力下に置くか、あるいはそのハウジングを液体で充填する。その液体で充填される代替型においてハウジングの中へと充填される液体は、その装置が浸される環境と同じ音響特性を有するべきである。その装置が血液において使用される場合、その液体は有利に水であり得る。
【0018】
第3態様によると、本発明は、さらに:超音波を透過させるために配置された超音波トランスデューサ;及び本発明によるスイッチング装置を含む超音波カテーテルに関する。そのようなカテーテルは、そのスイッチング装置が、流体がハウジングにおいて存在するか否かによって透過型又は反射型となる機能を持つことによって、少なくとも2つの異なる方向における監視機能を有する。従って、そのカテーテルの監視方向は、カテーテル自体を動かすか又はそれ自体の方向を変えずに、変えてもよい。
【0019】
望ましくは、超音波カテーテルは、さらに、そのスイッチング装置の少なくとも一部分を収容し、1つ又はそれ以上の壁が、音響的に透明な材料を含む液体をさらに有するカテーテル筐体を含む。
【0020】
その超音波カテーテルの超音波トランスデューサは、単一トランスデューサ又はトランスデューサのアレイであってもよく、PZT、PVDF、cMUT、pMUTのうち1つ又はそれ以上のタイプのトランスデューサなど、如何なる適切なトランスデューサを含んでもよい。
【0021】
その超音波カテーテルのトランスデューサは、そのトランスデューサからの超音波の放射の軸に関して角度をなす軸の周りで回転可能であってもよい。これは、2次元の超音波イメージングを得ることを可能にする。回転軸は、超音波の放射の軸に垂直であってもよい:例えば、その回転軸は、図1から4の図面に垂直であってもよい。
【0022】
超音波トランスデューサは、さらに、その超音波トランスデューサから放射される超音波を広げるために配置されたレンズをさらに含んでもよい。それによって、その超音波トランスデューサの走査角度は、その超音波トランスデューサからの超音波をある一定の区分で走査することを可能にするように、かなり拡大してもよい。有利にも、そのレンズは、エレクトロウェッティング(electrowetting)の原理によって操作可能な液体レンズである。
【0023】
その超音波カテーテルの超音波トランスデューサからの超音波は、スイッチング装置において約45°の入射角を有してもよい。そのスイッチング装置が、反射状態にある時、反射した超音波ビームは、また、45°であるとことが予想されることから、そのトランスデューサから放射された超音波の方向に垂直な物体の監視を提供する。
【0024】
有利にも、その超音波カテーテルは、そのスイッチング装置を機械的に駆動するための手段をさらに有する。音響的スイッチング装置の限られた機械的駆動でさえも、その超音波トランスデューサからの超音波ビームは、超音波カテーテルの2つの監視方向の近辺におけるあらゆる方向に沿って走査されてもよい。
【0025】
第4態様によると、本発明は、超音波カテーテルからの超音波を方向付ける方法に関し、その超音波カテーテルは、超音波を伝送するために配置された超音波トランスデューサ及び本発明による音響スイッチング装置を含み、前記方法は:その音響スイッチを反射状態にするために気体でハウジングを充填するステップ、又は、そのハウジングを不足した圧力下に置くすステップ、又はその音響スイッチを透過状態にするために液体でハウジングを充填するステップ及びそのスイッチング装置を超音波にさらすステップを含む。
【0026】
第5態様によると、本発明は、高周波(RF)アブレーション・カテーテルに関し、それは、本発明に従って、超音波カテーテルを有する。その超音波カテーテルは、少なくとも2つの方向においてアブレーションを監視する機能を持つ高周波アブレーション・カテーテルを供給する。これは、その高周波アブレーション・カテーテルの組織に関する方向が、異なるアブレーション部位に対して垂直から平行に変化してよいという点において、特に有利である。従って、カテーテル軸に平行及び垂直な両方の方向において、監視又は撮像することが可能であるということは有利である。
【0027】
本発明の異なる態様は、それぞれ、他の態様のいずれと組み合わせられてもよい。本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態に関して明確になる解明されるであろう。
【0028】
本発明は、ここで、付属の図に関して、例のみの方法で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による音響スイッチング装置の概略図である。
【図2】本発明による超音波カテーテルの実施形態の概略図である。
【図3】本発明による超音波カテーテルの実施形態の概略図である。
【図4】本発明による超音波カテーテルの実施形態の概略図である。
【図5】本発明による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0030】
図1は、本発明に従って、超音波トランスデューサ3及び超音波反射によって観測される物体1及び2を有する設定における音響スイッチング装置10の概略図を示す。
【0031】
その音響スイッチング装置10は、2つの対向する壁11及び12と、端壁13、14も有するハウジングを含む。そのスイッチング装置10のハウジングは、さらに、流体をそのハウジングの中へ及び/又はそのハウジングの外へと導くことを可能にするために1つ又はそれ以上の開口部101を含む。
【0032】
図1に示されるように、そのハウジングの対向する壁11及び12は、間隙を定める。この対向する壁11、12の間の間隙は、不足した圧力にさらされるか、又は例えば、細い中空管などを通して、スイッチング装置10の1つ又はそれ以上の開口部に接続された注射器によって様々な流体で充填されてもよい。その壁11、12は、例えば、水との適切な音響インピーダンスによって非常に低い音響反射を有するTPXホイルなどの、音響的に透明な材料である。壁11、12は、通常、平行なシートであり、0.5mmの間隙によって分離された50μmの厚さを有してもよい。
【0033】
スイッチング装置10のハウジングが気体で充填される場合において、それは、超音波トランスデューサ3からの超音波ビームに対して反射型にされ、その反射角はその入射角に等しい。
【0034】
スイッチング装置10は、1つ又はそれ以上の開口部のうちの1つの開口部を通して液体でハウジングを充填することによって超音波ビームに対して透過型にしてもよい。その液体は、例えば、水であってよい。その代わりに、その音響スイッチング装置10は、ハウジングを1つ又はそれ以上の開口部を通して十分に不足した圧力下に置くことによって、超音波に対して透過型にされてもよく、そうすることによって、対向する壁11、12は接触し、互いに結合する。この場合、超音波トランスデューサ3からの超音波ビームは、スイッチング装置10を通って透過させられ、スイッチング装置10の対向する壁11及び12は、その壁11及び12の厚さの合計の厚さを有する単一の音響的に透明な材料として機能する。
【0035】
音響スイッチング装置10は、超音波トランスデューサ3と物体1との間において、そのトランスデューサから放射される超音波に沿って配置される。物体2は、超音波スイッチング装置10のすぐ下に、トランスデューサから放射される超音波の縦軸に垂直に配置される。
【0036】
音響スイッチング装置10は、入射する超音波ビーム4が、角度αでその装置の面に当たるように方向付けられ;有利にもαは、45°に等しくてもよく、その場合、反射した超音波ビームもまた45°であり、それに応じて、スイッチング装置10が反射状態にあるとき、すなわち、スイッチング装置10の壁11と12との間の間隙が気体で充填されるとき、物体2を検出することを可能にする。
【0037】
スイッチング装置10が透過状態にあるとき、すなわち、適切な液体で充填されているか、真空又は適切な不足の圧力にさらされているかの何れか一方のとき、超音波ビーム4は、そのスイッチング装置の中を通って透過する。すなわち透過超音波ビーム5である。その透過した超音波ビーム5は、物体1によって反射し、透過状態にあるスイッチング装置10の中を通り抜け、超音波トランスデューサ3へと戻る反射した超音波ビーム6へとなってよい。
【0038】
スイッチング装置10がそれの反射状態にあるとき、すなわち、空気などの適切な気体で充填されているとき、超音波ビーム4は、そのスイッチング装置10によって反射し、反射した超音波ビーム7へとなる。その反射した超音波ビーム7は、物体2によって反射し、反射状態にあるスイッチング装置10によって反射し、超音波トランスデューサ3へと戻る反射した超音波ビーム8へとなってもよい。
【0039】
従って、スイッチング装置10の状態によって、物体1又は物体2は、超音波トランスデューサ3からの超音波にさらすことによって観測されてもよい。
【0040】
図2は、本発明に従って、超音波カテーテル100の実施形態の概略図を示す。
【0041】
カテーテル100は、壁11及び12によって定められるハウジングを含む音響スイッチング装置10を含む。カテーテル100は、外部ケーシング14を含み、それは、壁25と共に、スイッチング装置10のハウジングが配置される筐体15を定義する。カテーテル100は、さらに、リード線21によって電力供給される超音波トランスデューサ20を含む。ケーシング14は、2つのウィンドウW1及びW2を含み、それらは、超音波に対して透過型である。その代わりに、ケーシング14の全ては、音響的に透過型の材料で作られている。しかし、そのケーシングの音響ウィンドウW1及びW2を含まない部分は、他の材料で作られていてもよく、それは、組織治療に対してRFエネルギーを印加するために、導電性の区分を有してもよい。カテーテル先端の筐体15は、例えば塩水などの液体で充填されてもよい。
【0042】
スイッチング装置10のハウジングは、トランスデューサ20から放射される超音波がスイッチング装置10のハウジングにおいて45°の入射角を有するように、そのトランスデューサの縦軸に沿って約45°の角度で配置される。図2において、透過した超音波ビームは、数字の6で示され、その場合では、音響スイッチング装置10は超音波に対して透明である。すなわち、それは、液体で充填されているか、真空下にある。反射した超音波ビームは、数字の7で示され、その場合では、音響スイッチング装置10は、超音波に対して反射型である。すなわち、それは、空気などの気体で充填されている。
【0043】
カテーテル100は、従って、そのカテーテルを機械的に動かさずに視野又は撮像視野を変えることができるカテーテルである。カテーテル100の適用の一例は、心房細動治療に対する左心房のアブレーションに関し、RFアブレーション・カテーテルは、処置の間に、その空間的定位をその組織に関して変える。
【0044】
図3は、本発明に従って、超音波カテーテル110のもう1つの実施形態の概略図を示す。
【0045】
カテーテル110は、位置の範囲内に配置されるように、機械的に駆動されてもよい音響スイッチング装置を含み、3つの位置が符号10a、10b及び10cで示されている。
【0046】
カテーテル110は、壁25とともに筐体15を定義する外部ケーシング14を含み、その筐体において、スイッチング装置のハウジングが配置されている。カテーテル110は、リード線21を通して電力供給される超音波トランスデューサ20をさらに含む。ケーシング14は、超音波に対して透過型の2つのウィンドウW1及びW2を含む。その代わりに、ケーシング41の全ては、音響的に透過型の材料で作られていてよい。しかし、そのケーシングの音響ウィンドウW1及びW2を含まない部分は、他の材料で作られていてよく、組織治療に対してRFエネルギーを印加するために、導電性の区分を有してもよい。カテーテルの先端の筐体15は、例えば、塩水などの液体で充填されてもよい。
【0047】
位置10bにおけるスイッチング装置のハウジングは、トランスデューサ20から放射される超音波気体イッチング装置10のハウジングにおいて45°の入射角を有するように、そのトランスデューサの縦軸に沿って約45°の角度で配置される。図2において、透過した超音波ビームが、数字6で示され、その場合では、音響スイッチング装置10が超音波に対して透明であり、すなわち、液体で充填されているか、又は真空下にある。反射した超音波ビームは、数字7で示され、その場合では、音響スイッチング装置10は、超音波に対して反射型であり、すなわち、空気などの気体で充填されている。位置10a及び10bにおいて、超音波トランスデューサ20からのビームのスイッチング装置10a、10cのハウジングへの入射角は、45°とは異なり、それによって、その超音波ビームは、位置10a、10b、10cにおいてスイッチング装置のハウジングから伝送される超音波ビームにそれぞれ対応する矢印7a、7b、7cによって示されるように、カテーテルの下の物体(図3に示されていない)における角度の範囲に衝突してもよい。
【0048】
従って、音響スイッチの限られた機械的駆動で、音響ウィンドウW2に沿って超音波ビームを操作することが可能である。注目すべきは、トランスデューサのアクティブ素子の直径が、その音響スイッチング装置が操作できる位置の範囲によって制限されることである。
【0049】
図4は、本発明に従って、超音波カテーテル120のさらにもう1つの実施形態の概略図を示す。
【0050】
カテーテル120は、音響スイッチング装置10及び外部ケーシング14を含み、そのケーシングは、壁25とともに、スイッチング装置10のハウジングが配置される筐体15を定義する。カテーテル120は、さらに、リード線21を通して電力供給される超音波トランスデューサ20を含む。ケーシング14は、2つのウィンドウW1及びW2を含み、それらは超音波に対して透過型である。その代わりに、ケーシング14の全ては、音響的に透過型の材料で作られてもよい。しかし、そのケーシングの音響ウィンドウW1及びW2を含まない部分は、他の材料で作られてもよく、それは、組織治療に対してRFエネルギーを印加するために導電性の材料を有してもよい。カテーテルの先端の筐体15は、例えば、塩水などの液体で充填されてもよい。
【0051】
この場合もまた、スイッチング装置10は、ハウジングを1つ又はそれ以上の開口部のうちの1つの開口部を通して液体で充填することによって超音波ビームに対して透過型にすることができる。その液体は、例えば、水であってよい。その代わりに、音響スイッチング装置10は、そのハウジングを、対向する壁11及び12が接触し、互いに結合するように、1つ又はそれ以上の開口部を通して十分に不足した圧力にさらすことによって超音波に対して透過型にすることができる。この場合、超音波トランスデューサ3からの超音波ビームは、スイッチング装置10の中を通って透過し、スイッチング装置10の対向する壁11及び12は、それらの厚さの合計の厚さを有する単一の音響的に透明な材料として機能する。
【0052】
カテーテル120は、さらに、例えば液体レンズなどのレンズ30を含み、超音波トランスデューサ20から放射される超音波ビームを前方向及び横方向/下方向の構成において大きな領域にまん延させることを可能にする。前方向における領域、すなわち透過した超音波ビーム6aと6bとの間の領域は、図4においてα6で示されている一方、下方向/横方向の領域、すなわち反射した超音波ビーム7aと7bとの間の領域は、図4においてα7で示されている。
【0053】
液体レンズ30は、2つの不混和液の間の界面を使用することによって、ある一定の区分において超音波ビームを走査することを可能にし、それは、エレクトロウェッティングの原理によって操作することができる。その走査区分は、すでに液体レンズによって定義されていることから、音響スイッチは、治療中に望まれる場合はいつでも、それを横方向に投影する。この場合において、そのカテーテルの先端の全体は、望ましくは音響的に透明な材料によって覆われるべきである。
【0054】
図3及び4において開示される実施形態は、そのカテーテルの先端に沿った連続的な走査を得るために、組み合わされてもよい。さらに、単一のピストン・トランスデューサ及び液体レンズを使用する代わりに、位相配列トランスデューサ(多素子)を使用することができる。これは、出力される音響圧力が撮像しきい値に達するときに、特に有利である。この方法では、その走査区分は、位相配列トランスデューサによって供給され、一方、音響スイッチによる横方向/下方向の投影、及び最終的にその機械的操作は、カテーテルにおける大きな視野を保証する。
【0055】
さらに、これは、液体レンズと組み合わせてもよく、それによって、アレイで横方向のステアリングを実施し、液体レンズで高度のステアリングを実施することによって、3次元(3D)撮像が可能になる。これは、その3次元撮像の大きい視野をもたらす。
【0056】
図5は、本発明の超音波に対する音響スイッチング装置の状態を制御する方法200のフローチャートである。そのスイッチング装置は、音響的に透明な材料の2枚のシートを含み、それらのシートは、ハウジングの対向する壁を構成する。
【0057】
方法200は、201で開始し202へと持続し、スイッチング装置が透過状態にあるべきかどうかを決定する。ステップ202における決定が、そのスイッチング装置が透過状態にある必要があることを決定する場合、その方法はステップ203へと続き、透過状態が、スイッチング装置のハウジングを、不足した圧力下に置くことによって得られるかが決定される。肯定的な場合、その方法は、ステップ205へと続き、そのスイッチング装置のハウジングが、シートの間に間隙が存在しないようにそれらのシートを互いに接触させるために、十分に不足した圧力下に置かれ、その少なくとも一部分が超音波トランスデューサからの超音波ビームにさらされる。否定的な場合は、その方法は、ステップ203から、スイッチング装置が、そのハウジングを、例えば水などの適切な液体で充填することによって、透過型にされるステップ204へと続く。その方法は、ステップ205又はステップ204の何れか一方から、スイッチング装置のさらなる又は連続した制御が必要であるか否かを決定するステップ207へと続く。肯定的な場合は、その方法は、ステップ202へと戻る;否定的な場合は、その方法は、ステップ208で終了する。
【0058】
ステップ202における決定が否定である場合、つまり、スイッチング装置が透過状態にあるべきでない場合、それは反射状態にあるべきである。この場合において、その方法は、スイッチング装置のハウジングが、音響スイッチを望まれる反射状態にするために、気体で充填されるステップ206へと続く。その結果、その方法は、スイッチング装置のさらなる又は連続した制御が必要であるか否かを決定するステップ207へと続く。肯定的な場合、その方法は、ステップ202へと戻る;否定的な場合、その方法は、ステップ208で終了する。
【0059】
手短に言えば、本発明は、音響スイッチに関し、超音波伝播方向に対する発想は、その音響スイッチを動かさずに変えることである。そのスイッチング装置は、音響的に透明な材料の2枚のシートを含む。それらのシートは、ハウジングの対向する壁を構成する。スイッチング装置は、さらに、そのハウジングの中へ及び/又は外へ流体を導くことを可能にするために、1つ又はそれ以上の開口部を含む。そのスイッチング装置は、ハウジングを、その1つ又はそれ以上の開口部を通して充填することによって、反射型にしてもよい。さらに、そのスイッチング装置は、そのハウジングを、その1つ又はそれ以上の開口部を通して液体で充填することによって及び/又はそのハウジングをその1つ又はそれ以上の開口部を通して不足した圧力下に置くことによって、超音波に対して透過型にしてもよい。その音響スイッチング装置は、厳密な寸法の制限を有するカテーテル内に適切に適合する。
【0060】
本発明のスイッチング装置は、例えば、心不整脈の治療中における組織撮像において使用されてもよい。この場合、その処置の間における病班の形成の進行を追跡することが望まれ、そのカテーテルの空間的定位は、その組織に関して垂直から平行に変わる。さらに、本発明のスイッチング装置は、装置の寸法の制限が非常に厳しい侵襲の少ない介入において適用されてもよい。
【0061】
本発明は、特定された実施形態に関連して記載されてきたが、本文献で説明された特定の形に限定することは目的としていない。むしろ、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定される。請求項において、「含む」という用語は、他の素子又はステップの存在を除外しない。その上、個別の特徴が異なる請求項に含まれているが、これらは、可能ならば有利に組み合わされ、その異なる請求項における包含は、それらの特徴の組み合わせが実現可能でない及び/又は有利であることは示さない。さらに、単一を示す言及は、複数を除外しない。従って、「第1」、「第2」などへの言及は、複数を除外しない。さらに、請求項における参照符号は、その範囲を限定するものとして解釈するべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波に対する音響スイッチング装置であり、該スイッチング装置は、2枚の音響的に透明なシートを有し、該シートは、ハウジングの対向する壁を構成し、該スイッチング装置は、さらに、該ハウジングの中へ及び/又は外へ流体を導くことを可能にするための1つ又はそれ以上の開口部を有する、音響スイッチング装置。
【請求項2】
前記スイッチング装置は、前記ハウジングを前記1つ又はそれ以上の開口部を通して気体で充填することによって反射型になる、請求項1に記載の音響スイッチング装置。
【請求項3】
前記スイッチング装置は、前記ハウジングを前記1つ又はそれ以上の開口部を通して液体で充填することによって超音波に対して透過型になる、請求項1に記載の音響スイッチング装置。
【請求項4】
前記スイッチング装置は、前記ハウジングを前記1つ又はそれ以上の開口部を通して不足した圧力下に置くことをよって超音波に対して透過型になる、請求項1に記載の音響スイッチング装置。
【請求項5】
超音波に対する音響スイッチング装置の状態を制御する方法であり、該スイッチング装置は、2枚の音響的に透明なシートを有し、該シートは、ハウジングの対向する壁を構成し:
‐前記音響スイッチング装置を反射状態にするために、前記ハウジングを1つ又はそれ以上の開口部を通して気体で充填するステップ;及び/又は
‐前記音響スイッチング装置を透過状態にするために、前記ハウジングを前記1つ又はそれ以上の開口部を通して不足した圧力下に置くステップ又は該ハウジングを液体で充填するステップ;
のうち1つ又はそれ以上を含む、方法。
【請求項6】
‐超音波トランスデューサ;及び
‐請求項1に記載のスイッチング装置;
を含む超音波カテーテル。
【請求項7】
前記スイッチング装置の少なくとも一部分を収容するカテーテル筐体及び液体をさらに含み、該カテーテル筐体の1つ又はそれ以上の壁は、音響的に透明な材料を含む、請求項6に記載の超音波カテーテル。
【請求項8】
前記超音波トランスデューサは、単一トランスデューサ又はトランスデューサの配列である、請求項6に記載の超音波カテーテル。
【請求項9】
前記超音波トランスデューサは、該超音波トランスデューサからの超音波の放射の軸に関して傾いた軸の周りでピボットが可能である、請求項6に記載の超音波カテーテル。
【請求項10】
前記超音波トランスデューサは、該超音波トランスデューサから放射された超音波を広げるために配置されたレンズをさらに含む、請求項6に記載の超音波カテーテル。
【請求項11】
前記レンズは、エレクトロウェッティングの原理によって操作可能な液体レンズである、請求項10に記載の超音波カテーテル。
【請求項12】
前記超音波トランスデューサからの超音波は、前記スイッチング装置において約45°の入射角を有する、請求項6に記載の超音波カテーテル。
【請求項13】
前記スイッチング装置を機械的に駆動させるための手段を含む、請求項6に記載の超音波カテーテル。
【請求項14】
超音波トランスデューサ及び請求項1に記載の音響スイッチング装置を含む、超音波カテーテルからの超音波を方向付ける方法であり:
‐前記音響スイッチング装置を反射状態にするために、前記ハウジングを気体で充填する又は不足した圧力下に置くステップ、又は前記音響スイッチング装置を透過状態にするために、前記ハウジングを液体で充填するステップ、及び
‐前記スイッチング装置を超音波にさらすステップ;
を含む方法。
【請求項15】
超音波トランスデューサ及び請求項1に記載の音響スイッチング装置を含む高周波アブレーション・カテーテル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−508593(P2012−508593A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535194(P2011−535194)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054907
【国際公開番号】WO2010/055443
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】