説明

音響トランスデューサ

【課題】低周波数の音響放射を可能にし、さらに、液体中に放射させる音響放射効率を向上させた、音響トランスデューサを提供する。
【解決手段】本発明の音響トランスデューサは、少なくとも1つの板状圧電振動子2と振動板3からなる少なくとも1つの屈曲振動体1で構成された屈曲振動モジュール7と、屈曲振動モジュール7を支持する支持部材9とを有する。また、複数の屈曲振動モジュール7が筒形状に配列されており、支持部材9は、筒形状に配列された屈曲振動モジュール7の中心に設けられたシャフト8から放射状に延び、隣接する屈曲振動モジュール7のそれぞれの振動板3の端部と接合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響トランスデューサに関し、特に水中に音響放射が可能な音響トランスデューサに関する。
【背景技術】
【0002】
海底地殻観察などの海洋調査のように、水中を観測する場合には、光や電波ではなく音波が利用される。光や電波は水中では減衰しやすく、音波は水中でも非常に減衰しにくいからである。そこで、水中で音波を発生させる装置として、振動子を利用した音響トランスデューサが利用される。
【0003】
音響トランスデューサには様々な種類がある。関連技術の一例として、中空の円筒形圧電振動子を用いる音響トランスデューサがある(例えば非特許文献1)。円筒形圧電振動子の内外面に電極を施し、厚さ方向、すなわち内外面電極間で分極し、内外面電極間に電圧を印加することで円筒形圧電振動子が半径方向で内側または外側に一様に変位する呼吸振動が励起される。この呼吸振動を利用し、円筒形圧電振動子の側面から液体へ音響を放射する。フリーフラッド構造の場合は、側面から音響を放射するほかに、中空部の内面から中空部内の液体に音響を放射し、液体の水柱共振を利用してさらに音響を外部に放射している。
【0004】
関連技術の他の一例を説明する。図19は、屈曲振動モジュールを筒形状に配置した音響トランスデューサの概略図であり、(a)は外観の概略図、(b)はAA’断面の概略図である。板状圧電振動子102の内外面に電極104が配置され、電極104の一方の面と振動板103が接合されて屈曲振動モジュール101が構成されている。この関連技術の音響トランスデューサは、屈曲振動モジュール101が筒形状に配置され、隣り合う屈曲振動モジュール101同士が接合されている(例えば特許文献1)。なお、屈曲振動モジュール101には、防水構造110が施されている。各屈曲振動モジュール101が屈曲振動モジュール101の厚さ方向に前後に屈曲を繰り返すことで、周囲の液体に音響を放射したり、屈曲振動モジュール101で囲まれた筒形状の内部の液体の水柱共振を利用して音響を放射したりする。
【0005】
関連技術のさらに他の一例を説明する。図20は、バレルステーブ型音響トランスデューサの概略図であり、(a)は外観の概略図、(b)は屈曲振動モジュール101の断面の概略図、(c)は内部の概略図である。なお、図示していないが、実際は外面すべて防水構造が施されている。
【0006】
バレルステーブ型音響トランスデューサは、図20(a)に示すように、複数の屈曲振動モジュール101が筒形状に配列され、隣り合う屈曲振動モジュール101同士は接合されず隙間105が設けられ、屈曲振動モジュール101の両端部がエンドプレート106に固定されている。
【0007】
屈曲振動モジュール101は、図20(b)に示すように、板状圧電振動子102の両面に電極104が設けられ、一方の面が振動板103に接合されて構成されている。
【0008】
図20(c)に示すように、エンドプレート106間の間隔が変化しないように、エンドプレート106は支持柱107により支持されている。
【0009】
本構造の音響トランスデューサは、図21に示すように、振動板103のエンドプレート106に接合した部分を支点として、振動板103がたわみ振動を行うため、隙間105が設けられている。
【0010】
さらに、バレルステーブ型の変形としてディアボロ型と呼ばれる音響トランスデューサについて説明する(例えば特許文献2)。図22は、ディアボロ型音響トランスデューサの概略図であり、(a)は外観の概略図、(b)は(a)のAA’断面の概略図である。
【0011】
複数の振動板103が筒形状に配置され、振動板103の両端部はエンドプレート106に固定されている。また、エンドプレート106同士の間には、軸方向に円筒形圧電振動子109が積層されている。さらに中心軸がずれないように、エンドプレート106間にはシャフト108が設けられている。隣り合う振動板103同士は接合せず、隙間105を有している。振動板103は中心軸に向かって湾曲している。
【0012】
エンドプレート106間に設けられた円筒形圧電振動子109が軸方向に伸縮する。図23に、図22に示す円筒形圧電素子109が軸方向に伸縮するときのエンドプレート106と振動板103の様子を示し、(a)が縮んだとき、(b)が伸びたときである。なお、破線で示されているのが、伸縮していないときの状態である。
【0013】
図23(a)に示すように、円筒形圧電振動子109が軸方向に縮むときは、エンドプレート106同士の間隔が小さくなる。それにともない、中心軸に向かって湾曲した振動板103がさらに湾曲する。
【0014】
図23(b)に示すように、円筒形圧電振動子109が軸方向に伸びるときには、エンドプレート106同士の間隔が大きくなる。それにともない、中心軸に向かって湾曲した振動板103は軸方向に伸ばされ、湾曲が小さくなる。
【0015】
ディアボロ型音響トランスデューサでは、このように円筒形圧電振動子109が軸方向に伸縮することで、振動板103が中心軸に向かってさらに湾曲、または軸方向に伸びて湾曲が小さくなる、という屈曲運動の繰り返しが振動となる。また、振動板103の屈曲運動は、隣り合う振動板103同士を接合していては困難であるため、隙間105を設けたほうが良い。
【0016】
なお、図示していないが、バレルステーブ型音響トランスデューサ、ディアボロ型音響トランスデューサともに、全体を合成樹脂やゴムなどで覆う防水構造が施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平2−238799号公報
【特許文献2】米国特許第4922470号公報
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】海洋音響の基礎と応用,海洋音響学会編,成山堂書店発行,2004年,pp.58−60
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
中空の円筒形圧電振動子の振動を直接利用する音響トランスデューサでは、円筒形圧電振動子からの音響の放射効率が一番良いのは、円筒形圧電振動子の円周方向の縦振動の一波長が円周の長さと一致する共振振動が発生するときである。一般に圧電振動子を構成する材料を伝わる音速が早いため、例えば、直径10cmの円筒形状では、約10kHzの共振周波数となる。したがって、低周波数の効率の良い音響放射を行うためには、周波数の低下に伴い、一波長が長くなるため、より大きな直径の円筒形圧電振動子とすることが好ましく、音響トランスデューサが大型化してしまう。
【0020】
また、円筒形圧電振動子の直径が小さく、共振周波数より低い呼吸振動周波数で使用せざるを得ない場合には、円筒形圧電振動子の厚さ、円筒形圧電振動子を構成する圧電材料の圧電定数、および印加電圧に応じて、一義的に呼吸振動の振幅が決定される。一般に低周波数の音響を放射するためには、高周波数の場合よりも大きな振幅が必要とされる。しかし、共振周波数よりも低い呼吸振動周波数で使用すると、呼吸振動の振幅が小さくなってしまい、効率の良い音響放射ができない。
【0021】
このように、効率の良い低周波の音響放射を行うためには、円筒形圧電振動子の直径を大きくして、円筒形圧電振動子の共振周波数を低くすることが望まれる。ただし、寸法の制限から円筒形圧電振動子の直径をあまり大きくできず、共振周波数を十分小さくできない場合がある。
【0022】
また、円筒形圧電振動子の呼吸振動で音響を放射する、フリーフラッド構造の音響トランスデューサでは、円筒形圧電振動子の軸方向において、外部に向かって膨らむ部分とへこむ部分が交互に発生する屈曲振動が生じる場合や、円筒形圧電振動子の周方向において、外部に向かって膨らむ部分とへこむ部分が交互に発生するたわみ振動が生じる場合がある。この屈曲運動は、円筒形圧電振動子の外面から放射する音響も内面から放射する音響もともに低下させるため、音響トランスデューサの音響放射効率が低下してしまう。
【0023】
また、上記した関連技術の他の一例である屈曲振動モジュール101を筒形状に配置した音響トランスデューサでは、隣り合う屈曲振動モジュール101同士を接合している。図24に、屈曲振動モジュール101を8つ用いた場合の音響トランスデューサの変位の一例を示す。図24(a)に示すように、屈曲振動モジュール101が内側に凸になる場合には、接合部が外側に凸になり、図24(b)に示すように、屈曲振動モジュール101が外側に凸になる場合には、接合部が内側に凸になる場合がある。この場合、円周方向に外側に凸になる部分と、内側に凸になる部分が交互に形成される高次の屈曲運動が励起され、外部への音響放射が効率よく行えない。
【0024】
バレルステーブ型音響トランスデューサは、屈曲振動モジュール101の振動板103の中央部分が最大変位となる。しかし、前述したように全体がゴムなどで覆われる防水構造が施されているため、この防水構造が、振動板103の振幅を妨げることがある。さらに、水圧が高いと音響トランスデューサの周囲の液体が防水構造を加圧し、より振動板103の振幅を妨げる。そのため、音響放射効率を向上させるのが困難である。
【0025】
ディアボロ型音響トランスデューサは、前述のとおり、積層された円筒形圧電振動子109が軸方向に変位することで、エンドプレート106が変位させられ、エンドプレート106に両端部を固定されている振動板103が振動するようになっている。しかし、円筒形圧電振動子109の変位が振動板103に直接伝わらないので、駆動電圧に対する音響の放射効率があまりよくない。
【0026】
本発明の目的は、上記課題である、低周波数の音響放射が困難であり、さらに、液体中に放射させる音響放射効率を向上させることが困難である、という問題を解決する、音響トランスデューサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の音響トランスデューサは、少なくとも1つの板状圧電振動子と振動板からなる少なくとも1つの屈曲振動体で構成された屈曲振動モジュールと、屈曲振動モジュールを支持する支持部材とを有する。また、複数の屈曲振動モジュールが筒形状に配列されている。支持部材は、筒形状に配列された屈曲振動モジュールの中心に設けられたシャフトから放射状に延び、隣接する屈曲振動モジュールのそれぞれの振動板の端部と接合している。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、音響トランスデューサは、複数の共振周波数を利用できるため、幅広い周波数帯で効率の良い音響放射を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るホイール型音響トランスデューサの概略図であり、(a)は外観の概略図、(b)は(a)のX部の断面の概略図である。
【図2】図1の音響トランスデューサの屈曲振動モジュールの変位の様子を示す図であり、(a)は外向きに変位する電圧を印加したとき、(b)は内向きに変位する電圧を印加したときである。
【図3】ユニモルフ構造の屈曲振動体の概略図である。
【図4】バイモルフ構造の屈曲振動体の概略図である。
【図5】板状圧電振動子積層体を用いたユニモルフ構造の屈曲振動体の概略図である。
【図6】板状圧電振動子積層体を用いたバイモルフ構造の屈曲振動体の概略図である。
【図7】板状圧電振動子積層体の両端面にくさびを設け、ボルトで締める様子を示す概略図である。
【図8】支持部材と振動板との接合部を拡大した概略図である。
【図9】支持部材と振動板とをヒンジ構造で接合するときの様子を示す概略図である。
【図10】本発明に係る音響トランスデューサの他の一例の概略図であり、(a)は外観の概略図、(b)は(a)のY部の断面の概略図である。
【図11】図1の音響トランスデューサのシャフトと支持部材のみの概略図を示す。
【図12】図11の支持部材に圧電振動子積層体を用いたときの概略図を示す。
【図13】支持部材に圧電振動子積層体を用いた音響トランスデューサの概略図を示す。
【図14】圧電振動子積層体の分極方向を示す概略図である。
【図15】圧電振動子積層体を固定材で挟み、さらに張力材を巻きまわす様子を示す概略図である。
【図16】支持部材として圧電振動子積層体を用いた音響トランスデューサの変位の様子を示す概略図であり、(a)は屈曲振動モジュールが外側に凸になるとき、(b)は屈曲振動モジュールが内側に凸になるときである。
【図17】屈曲振動体として、高さの高い屈曲振動体と高さの低い屈曲振動体を配置するときの様子を示す概略図である。
【図18】厚い板状圧電振動子と厚い振動板からなる厚い屈曲振動体と、薄い板状圧電振動子と薄い振動板からなる薄い屈曲振動体とで構成される屈曲振動モジュールを用いた音響トランスデューサの概略図であり、(a)は外観の外略図、(b)は(a)のZ部の断面の概略図である。
【図19】関連技術の屈曲振動モジュールを筒形状に配置した音響トランスデューサの一例の概略図であり、(a)は外観の概略図、(b)はAA’断面の概略図である。
【図20】関連技術のバレルステーブ型音響トランスデューサの一例の概略図であり、(a)は外観の概略図、(b)は屈曲振動モジュールの断面の概略図、(c)は内部の概略図である。
【図21】図20の音響トランスデューサのたわみ振動の様子を示す概略図である。
【図22】関連技術のディアボロ型音響トランスデューサの一例の概略図であり、(a)は外観の概略図、(b)は(a)のAA’断面の概略図である。
【図23】図22の音響トランスデューサの円筒形圧電素子が軸方向に伸縮するときのエンドプレートと振動板の様子を示し、(a)が縮んだとき、(b)が伸びたときである。
【図24】屈曲振動モジュールを8つ用いた場合の音響トランスデューサの変位の一例であり、(a)は屈曲振動モジュールが内側に凸になる場合、(b)は屈曲振動モジュールが外側に凸になる場合である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。
【0031】
図1は、本発明に係るホイール(Wheel)型音響トランスデューサの概略図であり、(a)は外観の概略図、(b)は(a)のX部の断面の概略図である。なお、本発明の音響トランスデューサは、屈曲振動モジュール7全体に防水構造5が施されている。しかし、(a)においては、音響トランスデューサの構造がわかりやすいように防水構造5の一部分を省略している。
【0032】
図1(a)に示すように、本実施形態の音響トランスデューサは、複数の屈曲振動体1が軸方向に積層され、1つの屈曲振動モジュール7が構成されており、複数の屈曲振動モジュール7が筒形状となるように配置されている。なお、屈曲振動モジュール7は、1つの屈曲振動体1のみで構成してもよい。また、図1(a)では示していないが、積層した屈曲振動体1同士の間には、緩衝材6が設けられている(図1(b)参照)。屈曲振動モジュール7全体はゴムや合成樹脂などで覆う防水構造5が施されている。屈曲振動モジュール7で形成された筒の中心にはシャフト8が設けられており、シャフト8から屈曲振動モジュール7同士が隣接する部分まで支持部材9が設けられている。支持部材9は屈曲振動モジュール7の軸方向全体、つまり、屈曲振動モジュール7の側部同士が隣接している部分の上端から下端まで一体で設ける必要はなく、その上端および下端の範囲で複数に分けても良い。
【0033】
屈曲振動体1は、図1(b)に示すように、金属や樹脂などからなる振動板3の片側に板状圧電振動子2を貼付して構成されている(ユニモルフ構造、図3参照)。図1には示していないが、金属や樹脂などからなる振動板3の両側に板状圧電振動子2を貼付した構成であっても良い(バイモルフ構造、図4参照)。この屈曲振動体1同士を、緩衝材6を介しあるいは直接接合し、2つ以上配列することにより屈曲振動モジュール7が形成されている。なお上述したが、1つの屈曲振動体1で屈曲振動モジュール7を構成する場合は、緩衝材6は必要ない。また、屈曲振動体1の軸方向にリブを設けることで屈曲振動体1の軸方向の屈曲振動を抑制することができる。
【0034】
板状圧電振動子2に電圧を印加すると、屈曲振動モジュール7が支持部材9を支点、すなわち節とした屈曲変位をする。図2(a)に示すように屈曲振動モジュール7が外向きに変位する電圧を印加した場合には、支持部材9は変位しないため、屈曲振動モジュール7は外向きに凸形状となる変位を発生する。図2(b)に示すように屈曲振動モジュール7が内向きに変位する電圧を印加した場合には、支持部材9は変位しないため、内側に窪む変位をする。これにより板状圧電振動子2に交流電圧を印加することで屈曲振動モジュール7が内外方向に交互に屈曲振動をし、音響トランスデューサの外表面から外部への音響放射と、中空部内の液体に生じさせた水柱共振を利用した音響放射とを利用することができる。
【0035】
ここで、本実施形態の音響トランスデューサの動作の詳細な説明をする。シャフト8から、隣り合う屈曲振動モジュール7の接合部に向けて設けられた支持部材9は、屈曲振動モジュール7の接合部を振動の支点とする機能を有する。屈曲振動モジュール7は印加された電圧により屈曲する。電圧の方向と屈曲する向きをすべての屈曲振動モジュール7で同様になるように後述する電極10同士を接続することにより、筒形状に配列した屈曲振動モジュール7全体が外側に変位し液体を屈曲振動モジュール7の表面から外部へ押し出す。一方、印加電圧の方向が逆になるときには、屈曲振動モジュール7が一様に内側に変位し、屈曲振動モジュール7の外部から液体が屈曲振動モジュール7に向かって流れ込む。この屈曲振動モジュール7の変位の連続、すなわち振動により屈曲振動モジュール7の外表面からの音響放射が行なわれる。
【0036】
また、音響トランスデューサの筒形状の中空部内にも液体が流入しており、屈曲振動モジュール7の振動により、中空部内の液体自身の共振である水柱共振が発生する。このような複数の屈曲振動モジュール7が筒形状に配列されている音響トランスデューサ全体が液体中に浸漬されるフリーフラッド構造の音響トランスデューサにおいては、これら音響トランスデューサの中空部内の液体への音響放射と、水柱共振の周波数を一致させることにより、音響トランスデューサ外部への効率のよい音響放射が可能となり、またこれらの共振周波数に若干差を持たせることにより広い周波数帯域をカバーする音響放射特性を持たせることができる。
【0037】
本発明による音響トランスデューサの大きな特徴は支持部材9を設けたことにある。上述したように、支持部材9が設けられていないと、各屈曲振動モジュール7の両端の支持点(隣接する屈曲振動モジュール7の各端部)が動いてしまい、音響トランスデューサに高次の屈曲運動が励起される(図24参照)。そのため、周方向に液体を外部に押し出す部分と流れ込む部分が交互に生じ、効率の良い音響放射ができない。
【0038】
本発明では、屈曲振動モジュール7同士の隣接する部分に支持部材9が接合されているため、各屈曲振動モジュール7が振動しても、支持部材9との接合部は動かず、屈曲振動モジュール7が振動する際の節となる。そのため、各屈曲振動モジュール7が振動するときには、外部への液体の押し出しと、屈曲振動モジュール7表面への外部からの液体の流入とが規則的に交互に行われるため、効率の良い音響放射が行える。
【0039】
屈曲振動体1には、さまざまな構造が可能である。以下に屈曲振動体1の構造について詳細に説明する。
【0040】
屈曲振動体1の第1の実施例として、図3に振動板3の片面に板状圧電振動子2を貼付して、板状圧電振動子2の両面に電極10を設けたユニモルフ構造の例を示す。なお、図3から、後述する図7においては、図中手前側が音響トランスデューサの軸方向上側であり、図中奥行き側が音響トランスデューサの軸方向下側である。
【0041】
板状圧電振動子2は電極10間、即ち厚さ方向に分極されており、この電極10間に接続線11により電圧を印加することで板状圧電振動子2が幅方向に伸縮する横方向振動モード(31モード)で振動する。
【0042】
屈曲振動体1の第2の実施例として、図4に振動板3の両面に板状圧電振動子2を貼付して、板状圧電振動子2のそれぞれ両面に電極10を設けたバイモルフ構造の例を示す。
【0043】
ここで板状圧電振動子2は電極10間方向に分極され、かつその方向は振動板3を中心として対称方向となっている。この場合、一方の外側電極と他方の内側電極とを接続し、一方の内側電極と他方の外側電極とを接続し、それぞれの接続線11間に電圧を印加する。また、ここでは図示していないが、板状圧電振動子2の分極方向を振動板3に対して非対称の方向にすることにより、2つの板状圧電振動子2の外側電極同士を接続し、また内側電極同士を接続しその間に接続線により電圧を印加することにより同様の効果を得ることができる。
【0044】
屈曲振動体1の第3の実施例として、図5に、板状圧電振動子2として、小さな圧電振動子を積層した板状圧電振動子積層体2’を利用した構造を示す。
【0045】
この板状圧電振動子積層体2’は、小さな圧電振動子同士の接合面に電極10を設けて並列に並べた構造である。この場合、振動板3が絶縁体である場合には必要ないが、導体の場合には図示していないが絶縁層を設ける必要がある。ここで分極方向は電極10間の方向であり、隣り合う圧電振動子の分極方向は交互に反対方向になるようにする。各電極10の接続は分極の方向にあわせて1つおきに交互に接続した2本の接続線11を介して電圧を加える。本実施例の圧電振動子は分極方向と電極10間に発生する電界方向が同一でかつ伸縮方向も同じ方向となる縦方向振動モード(33モード)で振動する。
【0046】
ここで説明した構造は振動板3の片側に板状圧電振動子2として板状圧電振動子積層体2’を利用したユニモルフ構造である。しかしながら、図6に示すように33モードを使用する場合でも31モードを使用する場合と同様にバイモルフ構造とすることができる。圧電振動子の分極方向が、振動板3を挟んだ位置にある圧電振動子とは逆方向になるようにすることにより一方の側の板状圧電振動子積層体2’が縮小方向に変位し、他方の側の板状圧電振動子積層体2’が伸長方向に変位しようすることになる。その結果として屈曲振動体1がたわみ変形することになる。また図示していないが、分極方向を同一として電極10の接続方向が逆になるようにすることによって同じ効果を得ることができる。
【0047】
しかし、より大きな音響出力を得ようとする場合には、板状圧電振動子積層体2’の伸長側に変位したときに発生する引張り応力が問題になる。一般に圧電振動子の引張り応力には圧縮応力に対して1/10以下の耐力しかない。そこで、板状圧電振動子積層体2’に圧縮圧力であるプリストレスを加えることにより伸長時の引張り応力の発生を低減することができる。ここでは図7に示すように板状圧電振動子積層体2’の両端面にくさび12を設け、ボルト13で締めることにより板状圧電振動子積層体2’に静的な圧縮バイアス応力を加えることができる。また図示していないが、板状圧電振動子積層体2’そのものに貫通穴を設けボルトを通して圧縮バイアスを加える、あるいは板状圧電振動子積層体2’の両端にブロックを設け、この2つのブロックを板状圧電振動子積層体2’に沿って設けたボルトにより圧縮バイアスを加えるなどの方法とすることもできる。
【0048】
次に、屈曲振動モジュール7と支持部材9との接合部について説明する。
【0049】
図8に、支持部材9とユニモルフ構造の屈曲振動モジュール7との接合部17を拡大した概略図を示す。隣接する屈曲振動モジュール7の振動板3と支持部材9とが接合部17で接合されている。つまり、隣り合う振動板3同士を直接接合する必要がないため、隣り合う振動板3同士は間隔を有しており、支持部材9を介して隣り合う振動板3同士が接合される構造になっている。
【0050】
振動板3と支持部材9とを削りだしなどで一体形成とする構造も可能である。この構造とすれば筒形状に配列した屈曲振動モジュール7の対称性がより良くなり、さらに安定した性能を得ることができる。
【0051】
なおユニモルフ構造の屈曲振動体1からなる屈曲振動モジュール7であれば、振動板3の外側のみに板状圧電振動子2を設けることにより、音響トランスデューサの外表面には周囲の液体からの絶縁を保つための防水構造5が必要であるが、内面には電極部が無いため防水構造5を施さなくてもよい。
【0052】
上記構造では振動板3と支持部材9は固定構造であることから、振動板3が振動すると振動板3と支持部材9との接合部17を固定支持した構造となり、接合部近傍では屈曲振動モジュール7の変位が拘束される。
【0053】
そこで図9に示すように振動板3と支持部材9との接合部17の接合をヒンジ構造16とする。このようにすることで、支持部材9は振動板3を自由支持した構造となり、接合部17近傍では屈曲振動モジュール7の変位が拘束されることはなく、共振周波数を低下させやすい。本構造はバイモルフ構造に対しても適用可能である。
【0054】
本発明に係る音響トランスデューサの他の一例について説明する。
【0055】
図10は、本発明に係る音響トランスデューサの他の一例の概略図であり、(a)は外観の概略図、(b)は(a)のY部の断面の概略図である。なお、本発明の音響トランスデューサは、屈曲振動モジュール7全体に防水構造5が施されている。しかし、(a)においては、音響トランスデューサの構造がわかりやすいように防水構造5の一部分を省略している。また、上述の実施形態と同様な構造については説明を省略ずる。
【0056】
図10(a)に示すように、本実施形態の音響トランスデューサは、複数の屈曲振動体1が軸方向に積層され、1つの屈曲振動モジュール7が構成されており、複数の屈曲振動モジュール7が筒形状となるように配置されている。なお、屈曲振動モジュール7は、1つの屈曲振動体1のみで構成してもよい。また、図示していないが、積層した屈曲振動体1同士の間には、緩衝材6が設けられている。
【0057】
前述の実施形態で示したフリーフラッド型音響トランスデューサとは異なり、両端部には、エンドプレート14が設けられている。また、図10(b)に示すように、エンドプレート14と両端部に位置する屈曲振動体1との間にはエンドプレート14が屈曲振動体1の変位を阻害しないように緩衝材6’が設けられている。そのほかの構造は上述の実施形態と同様である。なお、図10(a)では、緩衝材6、6’を省略している。
【0058】
本実施形態の音響トランスデューサは、エンドプレート14が設けられていることで、音響トランスデューサ内部への水の流入を避け、音響トランスデューサの外表面からのみ音響を放射することができる。
【0059】
また、エンドプレート付き音響トランスデューサは、比較的浅い水深で安定した性能を発揮することができる。水深が深いところで使用する場合には、エンドプレート9と緩衝材6’が押し縮められて隣接する振動体3の振動を妨げることになる。そのため、深い水深では、上述したフリーフラッド型音響トランスデューサの使用が好ましい。
【0060】
本発明に係る音響トランスデューサのさらに他の一例を説明する。
【0061】
本実施形態は、支持部材9として圧電振動子の積層体9’を利用し、屈曲振動モジュール7を半径方向に変位させるものである。
【0062】
図11に、図1に示した音響トランスデューサのシャフト8と支持部材9のみの概略図、図12に、図11に示した支持部材9として圧電振動子を積層させた圧電振動子積層体9’を用いたときの概略図を示す。なお、防水構造5については図示していない。
【0063】
上述した実施形態では、図11に示すようにシャフト8から放射状に支持部材9が設けられている。これに対し、本実施形態では、図12に示すように支持部材9が圧電振動子積層体9’で形成されている。
【0064】
支持部材9として圧電振動子積層体9’を利用した場合、圧電振動子の電極間の短絡を防ぐために、防水構造(不図示)を設ける必要がある。
【0065】
図13に、支持部材9に圧電振動子積層体9’を用いた音響トランスデューサを示す。なお、防水構造については図示していない。
【0066】
圧電振動子積層体9’の一方の端部はシャフト8と接合しており、他方の端部は屈曲振動モジュール7と接合している。なお、前述の実施形態と同様に、振動板3と屈曲圧電振動子2とで構成される屈曲振動体1を利用する屈曲振動モジュール7を筒形状に配置するのが好ましいが、屈曲振動モジュール7の代わりに屈曲圧電振動子2を接合していない振動板3のみを筒形状に配置しても良い。
【0067】
図14に示すように、圧電振動子積層体9’の圧電振動子同士の間には電極10が設けられており、電極10を1つおきに交互に接続するように接続線11が設けられている。分極方向は、積層方向であり、かつ隣り合う振動子同士の分極方向が逆になるようにする。
【0068】
このようにすることで、接続線11に電圧を印加することで、圧電振動子積層体9’は半径方向に同時に伸縮する。この伸縮による変位を屈曲振動モジュール7に伝えることで屈曲振動モジュールを振動させ外部に音響放射を行う。
【0069】
上述の実施形態と同様に、圧電振動子積層体9’には引張り応力が加わらない構造とすることが望ましく、その実現方法として、図15に示すように、圧電振動子積層体9’を固定材18で挟み、さらにガラスファイバやカーボンファイバなどの張力材15を巻きまわすことにより圧縮バイアスを印加することができる。また、張力材15ではなく、上述の実施形態と同様に圧電振動子積層体9’を貫通したボルトで圧縮バイアスを加えることもできる。
【0070】
本実施形態では、屈曲振動モジュール7自身の振動とともに、圧電振動子積層体9’の伸縮によって励起される屈曲振動モジュール7の振動を利用することにより、屈曲振動モジュール7の共振周波数、水柱共振の共振周波数、および圧電振動子積層体9’が屈曲振動モジュール全体を半径方向に一様に振動させる共振の共振周波数の3つの共振周波数を使用することができる。この3つの共振周波数を少しずつずらし、またその位相関係を適切に設定することにより、より広帯域の音響放射が可能となる。また、本実施形態によれば、屈曲振動モジュール7の支点、つまり圧電振動子積層体9’と屈曲振動モジュール7の振動板3との接合部を屈曲振動モジュール7の共振にあわせて変位させることも可能であり、より大きな音響出力の放射が可能となる。
【0071】
図16は、支持部材9として圧電振動子積層体9’を用いた音響トランスデューサの変位の様子を示す概略図であり、(a)は屈曲振動モジュール7が外側に凸になるとき、(b)は屈曲振動モジュール7が内側に凸になるときである。
【0072】
図16(a)に示すように、屈曲振動モジュール7が外に凸になるとき、圧電振動子積層体9’が支持部を半径方向外側に押し出す変位をする。そして、図16(b)に示すように、屈曲振動モジュール7が内に凸になるとき、圧電振動子積層体9’が支持部を半径方向内側に引き込む変位をする。このような動きをすることで、音響トランスデューサの外表面付近の液体をより大きく変位させることが可能である。
【0073】
本発明に係る音響トランスデューサのさらに他の一例を説明する。
【0074】
屈曲振動体1の高さあるいは振動板3や板状圧電振動子2の厚さに分布を持たせることが可能である。一般にフリーフラッド構造の音響トランスデューサは、中空部内の圧力分布は軸方向で中心が高く両端面は低い。つまり、音響トランスデューサの軸方向の中央付近では、板状圧電振動子2の振動による振動板3の変位を妨げる反力が大きいため、振動板3の変位が小さくなる。さらに、1つの屈曲振動体1で屈曲振動モジュール7を構成すると、中央部での屈曲振動モジュール7の変位が小さくなり、それに伴い両端部での屈曲振動モジュール7の変位も小さくなり、音響トランスデューサ全体に影響を及ぼすことになる。
【0075】
そこで図17に示すように、屈曲振動体1として、端部付近には高さの高い屈曲振動体1aを、軸方向中央部では高さの低い屈曲振動体1bを配置する。すなわち、屈曲振動モジュール7を構成する個々の屈曲振動体1の高さを、軸方向の位置に応じて異ならせる。それによって、中央部付近では液体に対してより強い力を加えることができるので、音響トランスデューサの最適な駆動力を確保することが可能となる。
【0076】
図18(a)に外観の外略図、図18(b)に(a)のZ部の断面の概略図を示す音響トランスデューサのように、屈曲振動体1を構成する振動板3や板状圧電振動子2の厚さを軸方向の位置に応じて異ならせる。具体的には、厚い板状圧電振動子2aと厚い振動板3aで構成する厚い屈曲振動体1’と、薄い板状圧電振動子2bと薄い振動板3bで構成する薄い屈曲振動板1’’を利用する。音響トランスデューサの軸方向で中央部付近には厚い屈曲振動板1’を、端部付近には薄い屈曲振動板1’’を配置し、屈曲振動モジュール7を構成する。このようにすることで、軸方向で中央部付近では液体に対してより強い力を加えることができるので、音響トランスデューサの最適な駆動力を確保することが可能となる。
【0077】
また、屈曲振動体1の高さと、板状圧電振動子2の厚さと、振動板3の厚さとを同時に変化させても構わない。
【0078】
本発明による音響トランスデユーサは、水中において特に低周波数の高出力音波を発生することに利用できる。この低周波高出力音波を利用することにより、海中を航走する航走体の検知や、海底下の埋没物体の探知、海底下の地層構造の調査などに使用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 屈曲振動体
2 板状圧電振動子
3 振動板
7 屈曲振動モジュール
8 シャフト
9 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの板状圧電振動子と振動板からなる少なくとも1つの屈曲振動体で構成された屈曲振動モジュールと、前記屈曲振動モジュールを支持する支持部材とを有する音響トランスデューサであり、
複数の前記屈曲振動モジュールが筒形状に配列されており、前記支持部材は、筒形状に配列された前記屈曲振動モジュールの中心に設けられたシャフトから放射状に延び、隣接する前記屈曲振動モジュールのそれぞれの前記振動板の端部と接合していることを特徴とする、音響トランスデューサ。
【請求項2】
前記振動板と前記支持部材とはヒンジ構造で接合している、請求項1に記載の音響トランスデューサ。
【請求項3】
各々の前記屈曲振動モジュールは複数の前記屈曲振動体を含み、各々の前記屈曲振動モジュールを構成する個々の前記屈曲振動体の高さが軸方向位置に応じて異なっている、請求項1または2に記載の音響トランスデューサ。
【請求項4】
各々の前記屈曲振動モジュールは複数の前記屈曲振動体を含み、各々の前記屈曲振動モジュールを構成する個々の前記屈曲振動体の前記板状圧電振動子の厚さと前記振動板の厚さが軸方向位置に応じて異なっている、請求項1から3のいずれか1項に記載の音響トランスデューサ。
【請求項5】
前記屈曲振動体はユニモルフ構造で構成され、前記板状圧電振動子の両側に電極が設けられ、前記板状圧電振動子の分極方向は厚さ方向であり、かつ前記振動板とは逆向きになっている、請求項1から4のいずれか1項に記載の音響トランスデューサ。
【請求項6】
前記屈曲振動体はバイモルフ構造で構成され、各前記板状圧電振動子の両側に電極が設けられ、各前記板状圧電振動子の分極方向は厚さ方向であり、かつ前記振動板とは逆向きになっている、請求項1から4のいずれか1項に記載の音響トランスデューサ。
【請求項7】
前記屈曲振動体は複数の板状圧電振動子からなる板状圧電振動子積層体と前記振動板とからなるユニモルフ構造で構成され、前記板状圧電振動子積層体を構成している前記板状圧電振動子同士の接合面に電極が設けられ、1つおきに前記電極が接続され、前記板状圧電振動子の分極方向を前記電極間方向であり、かつ隣り合う分極方向同士が逆向きになっている、請求項1から4のいずれか1項に記載の音響トランスデューサ。
【請求項8】
前記屈曲振動体を複数の板状圧電振動子からなる板状圧電振動子積層体と前記振動板とからなるバイモルフ構造で構成され、前記板状圧電振動子積層体を構成している前記板状圧電振動子同士の接合面に電極が設けられ、1つおきに前記電極が接続され、前記板状圧電振動子の分極方向を前記電極間方向であり、かつ隣り合う分極方向同士が逆向きであり、さらに前記振動板を挟んで分極方向がお互いに逆向きになっている、請求項1から4のいずれか1項に記載の音響トランスデューサ。
【請求項9】
前記板状圧電振動子積層体の積層方向にプリストレスが加えられている、請求項7または8に記載の音響の放射方法。
【請求項10】
前記支持部材は、前記シャフトから放射状に圧電振動子が積層された圧電振動子積層体で構成されている、請求項1から9のいずれか1項に記載の音響トランスデューサ。
【請求項11】
前記圧電振動子積層体の積層方向にプリストレスが加えられている、請求項10に記載の音響トランスデューサ。
【請求項12】
少なくとも1つの板状圧電振動子と振動板からなる少なくとも1つの屈曲振動体で構成された屈曲振動モジュールと、前記屈曲振動モジュールを支持する支持部材とを有する音響トランスデューサを利用した音響の放射方法であり、
筒形状に配置した複数の前記屈曲振動モジュールに電圧を印加し、前記屈曲振動モジュールに、前記屈曲振動モジュールの中心に設けられシャフトから延びている前記支持部材と、隣接する前記屈曲振動モジュールのそれぞれの前記振動板の端部との接合部を節とした屈曲変位を生じさせる、音響の放射方法。
【請求項13】
前記振動板と前記支持部材とがヒンジ構造で接合され、接合部近傍で前記屈曲振動モジュールの変位が拘束されない状態で前記振動板を振動させる、請求項12に記載の音響の放射方法。
【請求項14】
前記シャフトを複数の圧電振動子が積層された圧電振動子積層体で構成し、前記圧電振動子積層体に電圧を印加し、前記圧電振動子積層体を半径方向に伸縮させ前記屈曲振動モジュールを振動させる、請求項12または13に記載の音響の放射方法。
【請求項15】
分極方向を、前記圧電振動子同士の間に設けられた電極間方向であり、かつ隣り合う前記圧電振動子の分極方向が互いに逆向きになるようにし、前記電極に電圧を印加して、前記圧電振動子積層体を一様に伸縮させ、筒形状に配置された複数の前記屈曲振動モジュールを一様に筒形状の内側または外側に振動させる、請求項14に記載の音響の放射方法。
【請求項16】
前記圧電振動子積層体が半径方向に伸びる変位のときに筒形状に配置された複数の前記屈曲振動モジュールを筒形状の外側に変位させ、前記圧電振動子積層体が半径方向に縮む変位のときに筒形状に配置された複数の前記屈曲振動モジュールを筒形状の内側に変位させる、請求項14または15に記載の音響の放射方法。
【請求項17】
前記圧電振動子積層体にプリストレスを加え、前記圧電振動子積層体の引っ張り応力を低減させた状態で前記圧電振動子積層体を半径方向に伸縮させる、請求項14から16のいずれか1項に記載の音響の放射方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−77631(P2011−77631A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224456(P2009−224456)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】