説明

項目表示装置

【課題】各項目をグループ毎に区分けする必要なしに、所望の項目に効率よく到達することが可能な項目表示装置を提供する。
【解決手段】複数の項目を順序付けて記憶する項目記憶手段と、複数の項目を一覧表示する表示手段と、表示手段が一覧表示する項目の始点となる項目を表す始点情報を記憶する始点記憶手段と、ユーザによる表示更新操作に応じて、複数の項目の総数における所定割合だけ離れた項目が表示手段により表示されるよう始点情報を更新する更新手段とを備える項目表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、項目表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の楽曲を記憶可能なオーディオ装置における楽曲、携帯電話における連絡先、ナビゲーション装置における施設など、多数の項目を扱う機器において、それらの項目を一覧表示することがある。一画面に表示しきれない場合にはいわゆるスクロール操作により、表示される項目を目的の項目が現れるまで次々に進めていく。このような状況において、目的の項目に到達することを支援する技術が知られている。例えば特許文献1には、各項目をグループ毎に区分けすることにより、多数の項目のうちから所望の項目を短時間で検索可能な項目検索方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−4891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の項目検索方法には、予め各項目を適切にグループ分けしておく必要があるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、複数の項目を順序付けて記憶する項目記憶手段と、複数の項目のうちいずれか一つの項目を表す始点情報を記憶する始点記憶手段と、複数の項目について、始点情報に対応する項目から順に所定数の項目を一覧表示する表示手段と、ユーザによる表示更新操作に応じて、複数の項目の総数における所定割合だけ離れた項目を表すよう始点情報を更新する更新手段と、を備えることを特徴とする項目表示装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、各項目をグループ毎に区分けする必要なしに、所望の項目に効率よく到達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るオーディオ機器の構成を示すブロック図である。
【図2】表示装置150の表示画面に表示される楽曲選択画面を示す図である。
【図3】制御回路110による画面表示処理のフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るオーディオ機器の構成を示すブロック図である。
【図5】表示装置150の表示画面が設けられた面からオーディオ機器200を見た模式図である。
【図6】第3の実施の形態における楽曲選択画面を示す図である。
【図7】第4の実施の形態における楽曲選択画面を示す図である。
【図8】第5の実施の形態における楽曲選択画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るオーディオ機器の構成を示すブロック図である。オーディオ機器100は車載型の装置であり、スピーカ170から楽曲の再生を行う機能を有する。オーディオ機器100を構成する各部は、CPUおよびその周辺回路等を含む制御回路110により制御される。制御回路110は、不揮発性の記憶媒体であるフラッシュメモリ120から所定の制御プログラムを読み出して実行することにより、オーディオ機器100の各部を制御する。
【0009】
オーディオ機器100は、複数の楽曲データ141を順序付けて記憶するハードディスクドライブ(HDD)140を備える。複数の楽曲データ141の順序付けは、例えば楽曲名や再生回数順、記録日時順などの基準により行われる。DRAM130は、複数の楽曲データ141のうちいずれか1つの楽曲データを表す始点情報Sを記憶する。表示装置150は、複数の楽曲データ141について、始点情報Sに対応する楽曲データから順に所定数(本実施形態では5つ)の楽曲データを一覧表示する。つまり始点情報Sは、表示装置150が一覧表示する楽曲データの始点となる楽曲データを表す情報である。表示装置150の表示画面には、例えば抵抗膜方式や静電誘導方式などのタッチパネル160が設けられ、ユーザが指等で操作した画面上の位置を表す操作信号を制御回路110に出力する。
【0010】
(楽曲選択画面の説明)
図2(a)は、表示装置150の表示画面に表示される楽曲選択画面を示す図である。楽曲選択画面151は、複数の楽曲データ141から再生する楽曲データを選択するための画面である。楽曲選択画面151には、複数の楽曲データ141について、始点情報Sに対応する楽曲データ(以下、表示開始楽曲データと称する)から順に5つの楽曲データの楽曲名が、楽曲名表示領域154a〜154eにそれぞれ表示される。すなわち、楽曲名表示領域154aには表示開始楽曲データの楽曲名が、楽曲名表示領域154bには表示開始楽曲データの次の楽曲データの楽曲名が、楽曲名表示領域154cには更に次の楽曲データの楽曲名が、順に表示される。
【0011】
本実施形態における始点情報Sは、1から始まる楽曲データの番号である。複数の楽曲データ141には予め1から始まる番号が順に割り当てられているので、制御回路110はこの番号で楽曲データを特定することができる。なお図2(a)では説明の便宜上、楽曲名表示領域154a〜154eに楽曲名の代わりに当該楽曲データの番号を示している。例えば楽曲名表示領域154aには「Track 00001」と記載されており、これは複数の楽曲データ141において1番目に位置する楽曲データを意味するが、実際には当該領域には1番目の楽曲データの楽曲名が表示される。
【0012】
プログレスバー153は複数の楽曲データ141のうち、現在どの楽曲データが画面に表示されているかを視覚的に表している。具体的には、プログレスバー153の最上部が複数の楽曲データ141のうち1つ目の楽曲データに、プログレスバー153の最下部が複数の楽曲データ141のうち最後の楽曲データにそれぞれ対応している。そして、現在画面に表示されている楽曲データに相当する範囲が、周囲とは異なる形態で描画されたカーソル153aにより表されている。なお本実施形態では、図2(a)に示すように、カーソル153aは黒く塗りつぶされた形態で描画される。例えばカーソル153aがプログレスバー153の上部に描画されていれば、楽曲名表示領域154a〜154eに対応する各楽曲データは複数の楽曲データ141の全体のうち前半に位置する楽曲データであるということがわかる。
【0013】
楽曲選択画面151の右側には、ユーザがタッチパネル160を介して操作可能な4つのボタンが配置されている。以下の説明では、これら4つのボタンを、上から順に第1ボタン155、第2ボタン156、第3ボタン157、および第4ボタン158と呼ぶ。
【0014】
ユーザは楽曲選択画面151において、タッチパネル160により第1表示更新操作、第2表示更新操作、および選択操作を行うことができる。本実施形態において第1表示更新操作とは、表示装置150に表示された第4ボタン158を押下する操作である。同様に、第2表示更新操作とは、表示装置150に表示された第1ボタン155を押下する操作である。選択操作とは、表示装置150に表示された楽曲名表示領域154a〜154e(すなわち5つの楽曲データの楽曲名)のうちいずれか1つを押下する操作である。
【0015】
(表示更新操作の説明)
制御回路110は、ユーザによる第1表示更新操作および第2表示更新操作に応じて、複数の楽曲データ141の総数における所定割合(例えば10%)だけ離れた項目を表すよう始点情報Sを更新する。以下、この所定割合をスクロール率と称すると共に、スクロール率に基づく始点情報Sの更新処理をスクロール処理と称する。ユーザが第4ボタン158を押下すると(すなわち第1表示更新操作が行われると)、制御回路110は始点情報Sにより表される楽曲データから順方向(下方向)に対して始点情報Sを更新する。例えば複数の楽曲データ141の総数が50003であり始点情報Sが1である(1番目の楽曲データを表している)ときにユーザが第1表示更新操作を行うと、制御回路110は始点情報Sを、1番目の楽曲データから順方向(下方向)に10%だけ離れた楽曲データを表すよう更新する。50003の10%は5000であるので、始点情報Sは5001に更新される。つまり、始点情報Sは5001番目の楽曲データを表すよう更新される。表示装置150は始点情報Sの更新に応じて表示画面を更新する。
【0016】
例えば図2(a)において、ユーザが第4ボタン158を押下すると、表示装置150の表示画面は図2(b)に示す画面に更新される。ここで、第1表示更新操作の実行前(図2(a))は始点情報Sが1番目の楽曲データを表していたのに対し、第1表示更新操作の実行後(図2(b))には始点情報Sが5001番目の楽曲データを表すようになっている。
【0017】
ユーザが第1ボタン155を押下すると(すなわち第2表示更新操作が行われると)、制御回路110はは第4ボタン158の場合と同様に、始点情報Sにより表される楽曲データから逆方向(上方向)に対して始点情報Sを更新する。始点情報Sを更新する方向が逆であることを除き、第1表示更新操作と同様である。すなわち、第1表示更新操作および第2表示更新操作はいずれも、複数の楽曲データ141の総数における所定割合だけ離れた楽曲データを表すよう始点情報Sを更新する表示更新操作であるといえる。
【0018】
第2ボタン156および第3ボタン157は、一画面分(一定数分)だけ離れた楽曲データを表すよう始点情報Sを更新するボタンである。ユーザが第3ボタン157を押下すると(表示小更新操作が行われると)、制御回路110は始点情報Sにより表される楽曲データから順方向(下方向)に対して始点情報Sを更新する。例えば複数の楽曲データ141の総数が50003であり始点情報Sが1である(1番目の楽曲データを表している)ときにユーザが第3ボタン157を押下すると、制御回路110は始点情報Sを、1番目の楽曲データから順方向(下方向)に5つだけ離れた楽曲データを表すよう更新する。つまり、始点情報Sは6番目の楽曲データを表すよう更新される。表示装置150は始点情報Sの更新に応じて表示画面を更新する。
【0019】
ユーザが第2ボタン156を押下すると、制御回路110は第3ボタン157の場合と同様に、始点情報Sにより表される楽曲データから逆方向(上方向)に対して始点情報Sを更新する。始点情報Sを更新する方向が逆であることを除き、第3ボタン157と同様である。
【0020】
なお、上述の各ボタンを押下したことによる始点情報Sの更新処理において、複数の楽曲データ141の始端と終端はあたかも連続であるかのように扱われる。すなわち、下方向(順方向)への更新の結果、表示開始楽曲データが終端の楽曲データを超過してしまう場合には、超過分を始端の楽曲データから下方向(順方向)に計算する。上方向(逆方向)についても同様である。
【0021】
例えば図2(a)に示すように、1番目の楽曲データが表示開始楽曲データであるときに第2ボタン156が押下されると、制御回路110は終端から5つ上の楽曲データ、すなわち49999番目の楽曲データを表示開始楽曲データとする。結果として、楽曲選択画面151には49999番目の楽曲データから50003番目の楽曲データにそれぞれ対応する楽曲名が表示されることになる。
【0022】
上述した始端と終端の連続性は、更新処理だけではなく一覧表示においても適用される。例えば複数の楽曲データ141の総数が10であり、表示開始楽曲データが8番目の楽曲データであった場合、楽曲選択画面151には8番目、9番目、10番目、1番目、2番目の楽曲データの楽曲名がそれぞれ表示される。
【0023】
(選択操作の説明)
制御回路110は、ユーザによる選択操作に応じて、表示装置150により表示されている楽曲データからいずれか1つの楽曲データを選択する。ユーザが楽曲名表示領域154a〜154eのうちいずれかの領域を押下すると(タッチパネル160の当該領域に対応する部分に指等で触れると)、制御回路110は当該楽曲名表示領域に対応する楽曲データを選択し、選択した楽曲データの再生を開始する。楽曲選択画面151の左上には、再生中の楽曲データの番号と総楽曲データ数とが表示される状態表示領域152が設けられる。例えば図2(a)に示す状態表示領域152からは、再生中の楽曲データの番号が「1」、総楽曲データ数が「50003」であることを読み取ることができる。
【0024】
(スクロール処理の説明)
図3は制御回路110による画面表示処理のフローチャートである。制御回路110は図3に示す処理を繰り返し実行し、始点情報Sが更新される都度、表示装置150の表示画面を更新する。図3に示す処理に先立って、DRAM130には複数の楽曲データ141のうち、先頭の楽曲データを表す始点情報Sが記憶される。
【0025】
まずステップS300では制御回路110が、始点情報Sで表される楽曲データから4つ先の楽曲データまでの各楽曲データについて、楽曲名を順に表示する。このとき楽曲データの総数を超える分は、楽曲データの先頭から数え直す。例えば始点情報Sが197、楽曲データの総数が200であれば、197、198、199、200、1の各番号に対応する楽曲データについて楽曲名が表示される。
【0026】
ステップS310では制御回路110が、第1ボタン155が押下されたか否かを判定する。第3ボタン157が押下されていれば肯定判定がなされ、処理はステップS320に進む。ステップS320では制御回路110が始点情報Sを、複数の楽曲データ141の総数Nにおける10%だけ逆方向(上方向)に離れた楽曲データを表すよう更新する。具体的には、総数N×0.1を始点情報Sから減じる。なお、この演算により始点情報Sが0以下の値になった場合には、複数の楽曲データ141の末尾から数え直す。他方、ステップS310において否定判定がなされた場合、処理はステップS330に進む。
【0027】
ステップS330では制御回路110が、第2ボタン156が押下されたか否かを判定する。第2ボタン156が押下されていれば肯定判定がなされ、処理はステップS340に進む。ステップS340では制御回路110が始点情報Sを、5つだけ逆方向(上方向)に離れた楽曲データを表すよう更新する。具体的には、始点情報Sから所定数5を減じる。なお、この演算により始点情報Sが0以下の値になった場合には、複数の楽曲データ141の末尾から数え直す。他方、ステップS330において否定判定がなされた場合、処理はステップS350に進む。
【0028】
ステップS350では制御回路110が、第3ボタン157が押下されたか否かを判定する。第3ボタン157が押下されていれば肯定判定がなされ、処理はステップS360に進む。ステップS360では制御回路110が始点情報Sを、5つだけ順方向(下方向)に離れた楽曲データを表すよう更新する。具体的には、始点情報Sに所定数5を加える。なお、この演算により始点情報Sが複数の楽曲データ141の総数N以上の値になった場合には、複数の楽曲データ141の先頭から数え直す。他方、ステップS350において否定判定がなされた場合、処理はステップS370に進む。
【0029】
ステップS370では制御回路110が、第4ボタン158が押下されたか否かを判定する。第4ボタン158が押下されていれば肯定判定がなされ、処理はステップS380に進む。ステップS380では制御回路110が始点情報Sを、複数の楽曲データ141の総数Nにおける10%だけ順方向(下方向)に離れた楽曲データを表すよう更新する。具体的には、総数N×0.1を始点情報Sに加える。なお、この演算により始点情報Sが複数の楽曲データ141の総数N以上の値になった場合には、複数の楽曲データ141の先頭から数え直す。他方、ステップS370において否定判定がなされた場合、処理は終了する。
【0030】
上述した第1の実施の形態によるオーディオ機器100によれば、次の作用効果が得られる。
(1)制御回路110は、HDD140に順序付けて記憶されている複数の楽曲データ141について、DRAM130に記憶されている始点情報Sに対応する楽曲データから順に5つの項目を一覧表示する。ユーザによる表示更新操作に応じて制御回路110は、複数の楽曲データ141の総数の10%だけ離れた項目を表すよう、始点情報Sを更新する。このようにしたので、各項目をグループ毎に区分けする必要なしに、所望の項目に効率よく到達することができる。
【0031】
(2)制御回路110は、ユーザによる選択操作に応じて、表示装置150の表示画面に表示されている楽曲データからいずれか1つの楽曲データを選択する。このようにしたので、ユーザが複数の楽曲データ141から所望の楽曲データを選択することが容易になる。
【0032】
(3)表示更新操作には、第1表示更新操作および第2表示更新操作が含まれている。制御回路110は、第1表示更新操作に応じて始点情報Sにより表される楽曲データから順方向に対して始点情報Sを更新すると共に、第2表示更新操作に応じて逆方向に対して始点情報Sを更新する。このようにしたので、多数の楽曲データから所望の楽曲データを自在に選択することができる。
【0033】
(4)表示装置150の表示画面にはタッチパネル160が設けられている。第1表示更新操作は表示画面に表示された第4ボタン158を押下する操作であり、第2表示更新操作は表示画面に表示された第1ボタン155を押下する操作であるこのようにしたので、タッチパネル160を用いた直感的な操作が可能となる。
【0034】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るオーディオ機器の構成を示すブロック図である。なお、図1に示す第1の実施の形態に係るオーディオ機器100と同様の箇所については同一の符号を付し説明を省略する。本実施形態のオーディオ機器200は、第1の実施の形態において説明した各部に加えて、更に入力装置280を備える。
【0035】
図2に示した楽曲選択画面151では、第1表示更新操作および第2表示更新操作はそれぞれ、第4ボタン158を押下する操作および第1ボタン155を押下する操作であった。すなわち、ユーザは表示画面に表示されたボタン画像に応じてタッチパネル160の操作面を押下することで、第1表示更新操作および第2表示更新操作を行っていた。本実施形態では、上記とは異なる操作を第1表示更新操作および第2表示更新操作とする。
【0036】
図5は表示装置150の表示画面が設けられた面からオーディオ機器200を見た模式図である。表示装置150の表示画面251の付近には、第1プッシュボタン255、第2プッシュボタン256、第3プッシュボタン257、第4プッシュボタン258が設けられている。本実施形態における第1表示更新操作は第4プッシュボタン158を押下する操作であり、第2表示更新操作は第1プッシュボタン155を押下する操作である。
【0037】
これらのプッシュボタンは機械的なプッシュボタンであり、各プッシュボタンはそれぞれ独立したメカスイッチに接続されている。つまり、各プッシュボタンを押下すると当該プッシュボタンに対応したメカスイッチのオンオフ状態が変化する。各メカスイッチは入力装置280に接続されており、入力装置280はメカスイッチのオンオフ状態の変化すなわちオンオフ操作を検出して制御回路110に当該操作に応じた操作信号を出力する。制御回路110はこの操作信号に基づいて、ユーザにより第1表示更新操作および第2表示更新操作が行われたことを検知する。なお、第1表示更新操作および第2表示更新操作が行われたことに応じて制御回路110が実行するスクロール処理は、第1の実施の形態と同様である。
【0038】
第2プッシュボタン256および第3プッシュボタン257についても同様に、それぞれ第1の実施形態における第2ボタン156および第3ボタン157に対応している。すなわち制御回路110は、第2プッシュボタン256および第3プッシュボタン257の押下に応じて、それぞれ第1の実施形態において第2ボタン156および第3ボタン157の押下に応じて行っていたものと同様の処理を実行する。
【0039】
なお、選択操作については第1の実施の形態と同様である。すなわち、第2の実施の形態において選択操作とは、表示装置150に表示された楽曲名表示領域154a〜154e(すなわち5つの楽曲データの楽曲名)のうちいずれか1つを押下する操作である。
【0040】
上述した第2の実施の形態によるオーディオ機器によれば、第1の実施の形態によるオーディオ機器で得られる作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(1)オーディオ機器200はユーザがオンオフ可能な2つのメカスイッチを備える。第1表示更新操作は一方のメカスイッチのオン操作であり、第2表示更新操作は他方のメカスイッチのオン操作である。このようにしたので、リモコンやオーディオ機器本体に設けられた機械的なスイッチで操作を行う場合であっても、タッチパネルと同様の直感的な操作が可能となる。
【0041】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係るオーディオ機器は、第1の実施の形態と同様の構成を有する。なお、以下の説明では第1の実施の形態と異なる点についてのみ述べる。
【0042】
図6は、第3の実施の形態における楽曲選択画面を示す図である。ユーザが楽曲選択画面351に配置されている各種ボタンのうち第1ボタン155および第4ボタン158を押下すると、楽曲選択画面351には割合表示領域610が新たに表示される。割合表示領域610はユーザが上記のボタンを押下している間、表示され続ける。例えば図6(a)には、ユーザが指600により第4ボタン158を押下している様子が示されている。このとき、楽曲選択画面351の左下に割合表示領域610が表示される。
【0043】
前述の通り、第1ボタン155および第4ボタン158を押下すると制御回路110はスクロール処理を実行する。割合表示領域610にはこのスクロール処理におけるスクロール率(例えば10%)が表示される。ユーザが第1ボタン155および第4ボタン158を押下し続けると(指600がタッチパネル160に触れた状態を維持し続けると)、制御回路110は第1ボタン155および第4ボタン158の押下時間に応じてスクロール率を増加させる。例えば図6(b)では、ユーザが第4ボタン158を押下し始めてから一定時間が経過したため、制御回路110がスクロール率を10%から20%に増加させている。その結果、割合表示領域610の表示も10%(図6(a))から20%に変化している。
【0044】
ユーザが第1ボタン155および第4ボタン158の押下をやめると(指600をタッチパネル160から離すと)、制御回路110は押下をやめた時点でのスクロール率に基づいて始点情報Sを更新する。例えば図6(b)に示した状態から第4ボタン158の押下が中断されると、図6(c)に示すように、制御回路110は複数の楽曲データ141の総数の20%分だけ(すなわち10000曲分だけ)離れた楽曲データを表すよう始点情報Sを更新する。このとき、割合表示領域610は楽曲選択画面351から消去される。以上で説明したように、本実施形態の制御回路110は、表示更新操作に要した時間に応じてスクロール率を変化させる。
【0045】
上述した第3の実施の形態によるオーディオ機器によれば、第1の実施の形態によるオーディオ機器で得られる作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(1)制御回路110は、表示更新操作に要した時間に応じてスクロール率を変化させる。このようにしたので、繰り返しスクロール処理を実行することによる負荷の増大や画面の再描画なしに、始点情報Sを大きく変化させることが可能となる。
【0046】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係るオーディオ機器は、第1の実施の形態と同様の構成を有する。なお、以下の説明では第1の実施の形態と異なる点についてのみ述べる。
【0047】
図7は、第4の実施の形態における楽曲選択画面を示す図である。ユーザが楽曲選択画面451に配置されている各種ボタンのうち第1ボタン155および第4ボタン158を押下すると、制御回路110は第1の実施の形態と同様のスクロール処理を行い始点情報Sを更新する。このとき、プログレスバー153の上に描画されているカーソル153aは新たな位置に再描画される。例えば図7(a)に示した状態において、ユーザが第4ボタン158を押下すると、制御回路110は楽曲選択画面451を図7(b)に示す内容に更新する。
【0048】
本実施形態の制御回路110は、第1表示更新操作および第2表示更新操作により始点情報Sが更新されると、カーソル153aの位置を変更すると共に、変更前のカーソル153aの位置から変更後のカーソル153aの位置までの範囲を強調表示する。例えば図7(a)においてユーザが第4ボタン158を押下すると、楽曲選択画面451は図7(b)に示す内容に更新される。このとき、プログレスバー153の特定の領域153bが、プログレスバー153の他の領域とは異なる態様で描画される。この領域153bは、図7(a)におけるカーソル153aの位置から、図7(b)におけるカーソル153aの位置までを覆っている。
【0049】
本実施形態の制御回路110は更に、第1表示更新操作に引き続いてなされた第2表示更新操作において、スクロール率を通常よりも減少させる。例えば図7(a)においてユーザが第1表示更新操作を行うと、楽曲選択画面451は図7(b)に示す内容に更新される。本実施形態におけるスクロール率は10%、複数の楽曲データ141の総数が50003であるので、始点情報Sは5000だけ増加している。ここでユーザが第2表示更新操作を行うと、制御回路110はスクロール率を直前の第1表示更新操作におけるスクロール率の10%に減少させてスクロール処理を実行する。スクロール処理の実行後の楽曲選択画面451を図7(c)に示す。図7(b)においてスクロール率は10%であったので、制御回路110はスクロール率を0.1×0.1=0.01、すなわち1%としてスクロール処理を実行する。すなわち、始点情報Sは500だけ増加することになる。
【0050】
なお本実施形態の制御回路110は、第2表示更新操作に引き続いてなされた第1表示更新操作においても同様に、スクロール率を通常よりも減少させる。また、第1表示更新操作に引き続いてなされた第2表示更新操作の後、更に第1表示更新操作がなされた場合、スクロール率は更に減少する。この手順はスクロール率が所定の下限値に到達するまで繰り返すことが可能である。
【0051】
上述した第4の実施の形態によるオーディオ機器によれば、第1の実施の形態によるオーディオ機器で得られる作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(1)制御回路110は、第1表示更新操作に引き続いてなされた第2表示更新操作、および、第2表示更新操作に引き続いてなされた第1表示更新操作において、スクロール率を減少させる。このようにしたので、スクロール処理により所望の楽曲データを通り過ぎてしまった場合であっても、的確に手前の楽曲データに到達することが可能になる。
【0052】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態に係るオーディオ機器は、第1の実施の形態と同様の構成を有する。なお、以下の説明では第1の実施の形態と異なる点についてのみ述べる。
【0053】
図8は、第5の実施の形態における楽曲選択画面を示す図である。楽曲選択画面551は、第1の実施の形態における楽曲選択画面151(図2)の各部に加えて、ズームボタン800を有する。スクロール処理が行われた後に、ユーザによりズームボタン800が押下されると、制御回路110はスクロール処理や表示処理の対象となる楽曲データの範囲を一時的に制限するようになる。
【0054】
例えば図8(a)に示す状態のとき、ユーザにより第1表示更新操作がなされると、制御回路110は楽曲選択画面551を図8(b)に示す内容に更新する。図8(b)においてユーザがズームボタン800を押下すると、制御回路110はズーム状態に遷移し、楽曲選択画面551を図8(c)に示す内容に更新する。ズーム状態のとき制御回路110は、各種処理を、複数の楽曲データ141があたかもズーム範囲の楽曲データしか存在しないかのように実行する。ズーム範囲とは、図8(a)の時点における始点情報Sで表される楽曲データ(すなわち5001番目の楽曲データ)から、図8(b)の時点における始点情報Sで表される楽曲データ(すなわち10001番目の楽曲データ)までの範囲を指す。
【0055】
例えばズーム状態においてスクロール処理は、複数の楽曲データ141の総数ではなく、図8(a)の時点における始点情報Sで表される楽曲データ(すなわち5001番目の楽曲データ)から、図8(b)の時点における始点情報Sで表される楽曲データ(すなわち10001番目の楽曲データ)までの総数に基づいて実行される。また、図8(c)においてユーザが第3ボタン157を押下すると、制御回路110は始点情報Sを5001番目の楽曲を表すよう更新する。つまり、楽曲データは、上述のズーム範囲において先頭と末尾が連続しているかのように扱われる。
【0056】
また、ズーム状態のとき、プログレスバー153およびカーソル153aの表示も上述のズーム範囲に基づいて行われる。つまり、図8(c)におけるプログレスバー153は、5001番目の楽曲データから10001番目の楽曲データまでの範囲を表している。更にズーム状態のときは、ズーム状態であることをユーザに示すため、プログレスバー153が通常とは異なる態様で描画される。例えば図8(c)では、プログレスバー153が図8(a)および図8(b)とは異なる色で描画されている。
【0057】
なお、ズーム状態のときユーザが再度ズームボタン800を押下すると、ズーム状態は解除され、スクロール処理などの各種処理は通常どおり実行されるようになる。例えば図8(c)においてユーザがズームボタン800を押下すると、楽曲選択画面551は図8(b)に示す状態に戻る。
【0058】
上述した第5の実施の形態によるオーディオ機器によれば、第1の実施の形態によるオーディオ機器で得られる作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(1)ズームボタン800が押下されズーム状態になると、制御回路110は各種処理を複数の楽曲データ141の全体ではなく、所定のズーム範囲に含まれる楽曲データに対して実行する。このようにしたので、表示される楽曲データの微調整を容易に行うことができる。
【0059】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0060】
(変形例1)
第1の実施の形態において制御回路110は、第1表示更新操作および第2表示更新操作に応じて複数の楽曲データ141の総数における10%だけ離れた項目を表すよう始点情報Sを更新していた。この割合は10%とは異なっていてもよいことは勿論、ユーザが任意の割合を設定できるようオーディオ機器100を構成してもよい。例えばオーディオ機器100の設定画面等において任意の割合を設定すると、設定された割合が常用されるようにしてもよいし、操作毎に任意の割合を設定する画面が表示されるようにしてもよい。このようにすることで、所望の項目に一層容易に到達することが可能となる。
【0061】
(変形例2)
第5の実施の形態において、ズーム状態のときズーム範囲の先頭および末尾を超えるような変更が始点情報Sに加えられると、制御回路110がズーム状態を解除するようにしてもよい。例えば図8(c)に示す状態のとき、ユーザが第3ボタン157を押下すると、ズーム状態が解除されると共に始点情報Sが10005番目の楽曲データを表すように更新される。
【0062】
(変形例3)
上述した各実施の形態は、いずれも複数の楽曲データ141を扱うオーディオ機器であった。本発明はこのようなオーディオ機器に限定されず、複数の項目を表示する項目表示装置であればどのような装置に対しても適用することが可能である。例えば複数の連絡先データ(電話番号など)を扱う携帯電話機器であってもよいし、複数の施設データ(飲食店の連絡先や住所など)を扱うナビゲーション装置であってもよい。また、各項目の順序付けはどのような順序であってもよいし、始点情報Sが項目の番号以外の形態であってもよい。
【0063】
(変形例4)
上述した各実施の形態において示した数値はいずれも一例であり、本発明はこのような数値に限定されるものではない。例えばスクロール率を10%以外の割合にしてもよいのは勿論、順方向(下方向)と逆方向(上方向)とで異なるスクロール率を採用してもよい。また、第4の実施の形態において、スクロール率の減少率は10%でなくてもよい。一覧表示する項目数についても同様に5つでなくてもよいし、複数通りの項目数を切り替えられるように各部を構成してもよい。更に、一覧表示する向きは上下方向でなくてもよい。例えば左右方向に各項目を並べてもよいし、複数の項目を二次元状にサムネイル表示する形態であってもよい。
【0064】
(変形例5)
第2の実施の形態において、各プッシュボタンはオーディオ機器の筐体やリモコンなど、どのような場所に設けられていてもよい。
【0065】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
100、200…オーディオ機器、110…制御回路、120…フラッシュメモリ、130…DRAM、140…ハードディスクドライブ、141…複数の楽曲データ、150…表示装置、151、351、451、551…楽曲選択画面、160…タッチパネル、170…スピーカ、280…入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の項目を順序付けて記憶する項目記憶手段と、
前記複数の項目を一覧表示する表示手段と、
前記表示手段が一覧表示する項目の始点となる項目を表す始点情報を記憶する始点記憶手段と、
ユーザによる表示更新操作に応じて、前記複数の項目の総数における所定割合だけ離れた項目が前記表示手段により表示されるよう前記始点情報を更新する更新手段と、
を備えることを特徴とする項目表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の項目表示装置において、
前記更新手段は、ユーザによる表示小更新操作に応じて、前記表示手段が一覧表示する項目の数以下の所定数だけ離れた項目が前記表示手段により表示されるよう前記始点情報を更新することを特徴とする項目表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の項目表示装置において、
ユーザによる選択操作に応じて、前記表示手段により表示されている項目からいずれか1つの項目を選択する選択手段を更に備えることを特徴とする項目表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の項目表示装置において、
前記表示更新操作には、第1表示更新操作および前記第1表示更新操作とは異なる第2表示更新操作が含まれ、
前記更新手段は、前記第1表示更新操作に応じて前記始点情報により表される項目から順方向に対して前記始点情報を更新すると共に、前記第2表示更新操作に応じて逆方向に対して前記始点情報を更新することを特徴とする項目表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の項目表示装置において、
前記表示手段の表示画面に設けられたタッチパネルを更に備え、
前記第1表示更新操作は前記表示手段に表示された第1画像を押下する操作であり、前記第2表示更新操作は前記表示手段に表示された前記第1画像とは異なる第2画像を押下する操作であることを特徴とする項目表示装置。
【請求項6】
請求項4に記載の項目表示装置において、
ユーザがオンオフ可能な2つのメカスイッチを更に備え、
前記メカスイッチのいずれか一方のオン操作は前記第1表示更新操作であり、前記メカスイッチの他方のオン操作は前記第2表示更新操作であることを特徴とする項目表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の項目表示装置において、
前記表示手段の表示画面に設けられたタッチパネルを更に備え、
前記選択操作は、前記表示手段に表示された前記所定数の項目のうちいずれか1つの項目を押下する操作であることを特徴とする項目表示装置。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか一項に記載の項目表示装置において、
前記更新手段は、前記第1表示更新操作に引き続いてなされた前記第2表示更新操作、および、前記第2表示更新操作に引き続いてなされた前記第1表示更新操作において、前記所定割合を減少させることを特徴とする項目表示装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の項目表示装置において、
前記更新手段は、前記表示更新操作に要した時間に応じて前記所定割合を変化させることを特徴とする項目表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−141706(P2012−141706A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292915(P2010−292915)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】