説明

顔料の製造方法



本発明は、組み込まれたメラミンもしくはメラミン誘導体を含む、式(I)またはその互変異性構造体および水和物の顔料の製造方法であって、式(II)(式中、カチオンK1は、任意の一価イオンまたは、Hを除き、1の正電荷を有する任意の多価カチオンの部分である)のアゾバルビツール酸モノ塩が、式(III)


の遊離アゾバルビツール酸の存在下にニッケル化合物およびメラミンもしくはメラミン誘導体で変換されることを特徴とする方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メラミンをホストとする顔料、それらの水和物の製造方法、およびこれらのプロセス生成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
メラミンをゲストとして含有するアゾバルビツール酸Ni錯体、およびそれらの水和物の製造において、生成物特性に甚だしい変動がある可能性があることが知られている。とりわけ工業的規模での製造条件下で、特にバッチ式プロセスにおいて、BET比表面積などの、生じた物質のある種のパラメータが多かれ少なかれ甚だしい変動の対象となる。これはもちろん欠点であり−これらの製品の消費者が望むところのものは一貫した製品品質である。
【0003】
製品品質での一定の標準化(再現性)は、たとえば(特許文献1)または(特許文献2)に記載されているように、熱処理工程によって可能である。もちろん、特に工業的規模では、これは、追加の時間のかかる工程、それ故に製造コストの増加を暗示する。
【0004】
(特許文献3)は、先行技術に従ったアゾバルビツール酸Ni錯体のバッチ式製造における大きな品質変動を同様に記載しており、合成段階での特異的追加によってこの欠点を回避することを提案している。これは、確かに、追加のロジスティック取組みおよび費用を必要とし、そして、これらの追加が最終製品を汚染し得るので、製品の組成に影響を及ぼす。
【0005】
(特許文献4)は、(特許文献5)から公知のアゾバルビツール酸のモノ−およびジ−カチオン錯体の混合物がニッケル化合物およびメラミンと反応させられる方法を記載している。この方法の再現性は既に改善されている。しかし、この方法によって得られた生成物は、品質の点で、特に粒度、粒度分布および透明性に関して弱点を依然として示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第A1−0994162号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10328999 A1号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第A 1 612 246号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第A−1987045号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第A−1068992号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
意外にも、メラミンをゲストとして含有するアゾバルビツール酸Ni錯体の品質は、モノ−カチオン錯体と遊離アゾバルビツール酸との混合物、特にアゾバルビツール酸のモノ−カリウム錯体と遊離アゾバルビツール酸との混合物をメラミンとおよびニッケル化合物と反応させることによって著しく改善され得ることが今や分かっている。メラミンをゲストとして含有する式(I)の化合物は、管理できる表面積、非常に高い色の濃さ、非常に狭い粒度分布および非常に高い透明性を伴って、再現性よく、本発明の方法によって、工業的にさえも、製造することができる。これは、液晶ディスプレイ向けカラー充填材用のこのような方法で製造された顔料の使用にとって特に有利である。
【0008】
本発明はしたがって、
メラミンもしくはメラミン誘導体をゲストとして含有する、式(I)
【化1】

またはその互変異性構造体およびそれらの水和物の顔料の製造方法であって、式(II)(式中、カチオンC1は、任意の望ましい一価カチオンまたは、Hを除き、1の正電荷に相当する任意の望ましい多価カチオンの画分である)のアゾバルビツール酸モノ塩が、式(III)
【化2】

の遊離アゾバルビツール酸の存在下にニッケル化合物およびメラミンもしくはメラミン誘導体と反応させられることを特徴とする方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好ましいメラミンもしくはメラミン誘導体は特に式(IV)
【化3】

(式中、
Rは、水素または、OH基で任意選択的に置換されているC〜Cアルキルであり、
非常に好ましくは式中
Rは水素である)
のものである。
【0010】
化合物(I)は、メラミンのみならず、適切な場合には、たとえば欧州特許第0994162号明細書(その中の5ページ40行目〜7ページ58行目)に記載されている種類の、さらなるゲスト化合物もまた含有してもよい。化合物(I)は、好ましくは1.5〜2.2単位、特に1.9〜2.1単位のメラミンもしくはメラミン誘導体をゲストとして含有する。
【0011】
特に好ましくは式(II)におけるカチオンC1は、アルカリ金属カチオン、とりわけLi、NaもしくはKカチオン、1/2アルカリ土類金属カチオン、とりわけ1/2Mg、1/2Caカチオン、1/3Alカチオン、または非置換もしくは任意の望ましいラジカルで置換されたアンモニウムカチオン、とりわけ非置換アンモニウムカチオンである。特に好ましくは、C1はKである。
【0012】
式(II)の好ましいモノ塩は一水和物である。
【0013】
式(III)の画分は好ましくは、アゾバルビツール酸のモノカチオン錯体から直接、たとえば溶液の形態で、酸性化合物を加えることによって、特に有機もしくは無機酸または酸性塩を加えることによって、モノ塩(II)から出発して製造される。特に好ましくは、それは、特に溶液の形態での、塩酸、硫酸もしくはリン酸の添加によって行われる。非常に好ましくは混合物は、モノ塩(II)の希薄水性塩酸溶液の添加によって製造される。
【0014】
式(II)および(III)の合計に対して、式IIIの遊離アゾバルビツール酸の分率が5〜80重量%、より特に10〜50重量%、非常に好ましくは10〜30重量%である本発明の方法が好ましい。
【0015】
考えられるニッケル化合物としては、より具体的にはギ酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケルおよび/または酢酸ニッケルが挙げられ;塩化ニッケルが特に好ましい。
【0016】
ニッケル化合物は好ましくは、式(II)および(III)の2つの化合物の合計に対して95%〜120%、より特に100%〜110%のモル比で使用される。
【0017】
本発明の方法は、好ましくは60〜100℃、より特に70〜90℃の温度で行われる。
【0018】
本発明による反応は好ましくは溶媒中で行われ、水含有溶媒系がより具体的には使用される。考えられるさらなる溶媒構成要素としては、有機溶媒が挙げられる。この場合にはC〜Cアルコールが好ましい。
【0019】
より具体的には50重量%超、好ましくは80〜100重量%の水分率を有する、水性溶媒が特に好ましい。非常に特に好ましくは本発明の方法は、有機溶媒の添加なしの水性溶媒系で行われる。
【0020】
本発明の方法の好ましい一実施形態においては、第1メラミンもしくはメラミン誘導体は、式(II)および(III)の化合物、その後ニッケル化合物に加えられる。
【0021】
ニッケル化合物とのおよびメラミンとの反応中のpHは、好ましくはpH7未満、より好ましくはpH3未満であり、より具体的にはpH1〜2においてである。
【0022】
化合物(I)への反応は好ましくは、ニッケル化合物の添加後に、特に60〜100℃の温度で、1〜5時間のその後の撹拌によって完了する。
【0023】
本発明の方法によって得られた顔料はもちろん、たとえば欧州特許出願公開第A1−0994162号明細書または独国特許出願公開第10328999 A1号明細書に記載されている種類の、熱処理工程によって後処理することができる。しかし、有利には、この後処理はまた完全に省略されてもよい。
【0024】
製造において好ましくは得られる懸濁液は好ましくは濾過され、得られたプレスケーキは、適切な場合には水での洗浄後に、乾燥させることができる。
【0025】
これに関連して一方ではパドル乾燥などの典型的な乾燥方法が好適である。この種の乾燥方法で、および顔料のその後の従来型すり潰しで、粉状顔料が得られる。
【0026】
プレスケーキは好ましくは水性スラリーとして噴霧乾燥される。噴霧のためのスラリーは、好ましくは10重量%〜40重量%、特に15重量%〜30重量%の固形分率を有する。
【0027】
乾燥された顔料は好ましくは、乾燥条件に依存して、水和物の形態で存在する。
【0028】
本発明の方法によって製造された好ましい顔料は、DIN 66131に従って測定されて、BET表面積>100m/g、好ましくは130〜210m/g、特に150〜190m/gを有する。
【0029】
本発明は、少なくとも1つの本発明により製造された顔料と少なくとも1つの分散剤とが混合される顔料調製物の製造方法をさらに提供する。このような顔料調製物もまた発明である。これらの顔料調製物は好ましくは、水性系への組み入れに役立つ。
【0030】
好適な分散剤については、先行技術、特に、その開示内容が本出願の一部である、欧州特許出願公開第A1−0994164号明細書、8ページ56行目〜11ページ23行目について言及されてもよい。
【0031】
本発明は、少なくとも1つの光硬化性モノマーおよび少なくとも1つの光開始剤および本発明の方法によって製造された少なくとも1つの顔料を含むフォトレジストをさらに提供する。本発明は、本発明の方法によって製造された少なくとも1つの顔料を含む、カラーフィルターおよびそれから製造された液晶ディスプレイをさらに提供する。
【0032】
液晶ディスプレイ向けカラーフィルターの製造の場合、適切な場合にはバインダー樹脂および/または分散剤を添加して、好ましくは有機溶媒中、本発明により製造された顔料はすり潰され、次に、光硬化性モノマー、光反応開始剤および、適切な場合には、さらなるバインダーおよび/または溶媒を添加したフォトレジストへと加工され、このフォトレジストは次に、たとえば、ローラー、吹き付け、スピン、浸漬もしくはエア−ナイフコーティングなどの好適なコーティング技法によって、好適な基材、一般にガラスプレートに塗布され、コートされたプレートは、フォトマスクを使用して露光され、次に硬化され、現像されて完成着色フィルターを与える。
【0033】
本発明は、好ましくは、液晶ディスプレイにおけるカラーフィルター用の顔料としての本発明により製造された顔料の使用をさらに提供する。
【0034】
メラミンをゲストとして含有する本発明により製造された化合物(I)、またはそれの顔料調製物は、さらに、すべての顔料用途向けに際立って好適である。
【0035】
それらは、たとえば、すべての種類のワニスを着色するために、印刷カラー、水性塗料カラーもしくはバインダーカラーの生成のために、たとえば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンもしくはポリプロピレンなどの、合成、半合成もしくは天然高分子化合物の原液着色のために好適である。それらはまた、セルロース、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリルもしくはポリアミド繊維などの、天然、再生もしくは人造繊維の紡糸染色のために、そしてまた織物および紙の印刷のためにも使用することができる。これらの顔料は、非イオン、アニオンまたはカチオン界面活性剤の存在下にすり潰すかまたは混練することによって、紙着色のために、織物の顔料印刷のために、ラミネート印刷のためにまたはビスコースの紡糸染色のために有用であるエマルジョンおよびペイントカラーの細分された、安定な、水性顔料着色を提供する。本発明の方法によって製造された顔料は、インクジェット用途向けにおよび液晶ディスプレイ向けカラーフィルター用に際立って好適である。
【実施例】
【0036】
a)合成
モノカリウム塩
本発明の方法のための出発原料は、欧州特許出願公開第A 1 086 992号明細書の実施例1、すわなち、下に記載される、アゾバルビツール酸モノカリウム塩×1 HOのα型であった。
【0037】
136gのアミノグアニジン重炭酸塩を810gの蒸留水中へ導入し、280gの塩酸(30%濃度)でその中に溶解させた。この溶液をその後780gの氷で約−10℃に冷却し、その後232gの水中37%濃度の亜硝酸カリウム溶液と混ぜ合わせて約15℃にした。これに、約15℃で15分間の撹拌が続き、その後2.0gのアミド硫酸を加えた。次に269gのバルビツール酸を導入し、混合物をその後55℃に加熱し、2時間撹拌した。混合物を次に、水性水酸化カリウム溶液を使用して2.5のpHに調整し、30分間撹拌した。その後pHを、水性水酸化カリウム溶液を使用して4.8に調整し、撹拌を30分間続行した。その後この回分を80℃に加熱し、その後4.8のpHで3時間撹拌した。その後生成物を吸引フィルター上で単離し、電解質を含まなくなるまで洗浄した。
【0038】
非発明の合成比較例N
170gの乾燥品(0.5モル)に相当する、40%の固形分の、上記の、アゾバルビツール酸モノカリウム塩×1 HOのα型の425gの水湿潤ペーストを、実験室攪拌機で5000mlの蒸留水中で撹拌し、95℃に加熱した。1060gの水性6.5%濃度の塩化ニッケル溶液を30分間にわたって加えた。その後、126gのメラミン(1モル)を加え、撹拌を95℃で1.5時間続行した。pHを次に、水酸化カリウム溶液を使用して5.5に調整した。生成物を、その後吸引フィルター上で単離し、電解質を含まなくなるまで洗浄し、80℃での真空乾燥キャビネット中で乾燥させ、すり潰した。
【0039】
比表面積は、DIN 66131:Determination of the specific surface area of solids by gas adsorption by the method of Brunauer,Emmett and Teller(B.E.T.)(Brunauer,EmmettおよびTeller(B.E.T.)の方法でのガス吸着による固形分の比表面積の測定)に従って測定した。
【0040】
生成物は83m/gのBET表面積を有した。生成物は、電子顕微鏡下に非常にばらばらの、部分的に血小板状の、部分的に明らかに針状の粒子を示した。
【0041】
繰り返し合成は、相当な変動(57m/g〜92m/g)を示した。
【0042】
本発明の合成実施例1
170gの乾燥品(0.5モル)に相当する、40%の固形分の上で製造したα−型のアゾバルビツール酸モノカリウム塩×1 HOの425gの水湿潤ペーストを、実験室攪拌機で5000mlの蒸留水中で撹拌し、80℃に加熱した。
【0043】
12gの30%濃度塩酸(0.1モル;用いられたアゾバルビツール酸モノカリウム塩を基準として20%)を滴加し、30分間撹拌した。これにより、80部のモノカリウム塩および20部の遊離アゾバルビツール酸のモル割合での混合物を得た。126gのメラミン(1モル)を加えた。1060gの水性6.5%濃度塩化ニッケル溶液を30分間にわたって加え、その後撹拌を80℃で3時間続行した。pHを次に、水酸化カリウム溶液を使用して5.5に調整した。生成物を、その後吸引フィルター上で単離し、電解質を含まなくなるまで洗浄し、80℃での真空乾燥キャビネット中で乾燥させ、すり潰した。
【0044】
比表面積は、DIN 66131:Determination of the specific surface area of solids by gas adsorption by the method of Brunauer,Emmett and Teller(B.E.T.)(Brunauer,EmmettおよびTeller(B.E.T.)の方法でのガス吸着による固形分の比表面積の測定)に従って測定した。
【0045】
生成物は170m/gのBET表面積を有した。生成物は、電子顕微鏡下に非常に一様な、小さい、ほぼ血小板状の粒子を示した。
【0046】
繰り返し合成は、小さい変動(161m/g〜178m/g)を示した。
【0047】
本発明の合成実施例2
実施例1におけるような反応だが、6gの30%濃度塩酸(0.05モル;用いられたアゾバルビツール酸モノカリウム塩を基準として10%)を滴加した。これにより、90部のモノカリウム塩および10部の遊離アゾバルビツール酸のモル割合での混合物を得た。
【0048】
生成物は166m/gのBET表面積を有した。生成物は、電子顕微鏡下に非常に一様な、小さい、ほとんど血小板状の粒子を示した。
【0049】
繰り返し合成は、小さい変動(158m/g〜171m/g)を示した。
【0050】
本発明の合成実施例3
実施例1におけるような反応だが、18gの30%濃度塩酸(0.15モル;用いられたアゾバルビツール酸モノカリウム塩を基準として30%)を滴加した。これにより、70部のモノカリウム塩および30部の遊離アゾバルビツール酸のモル割合での混合物を得た。
【0051】
生成物は178m/gのBET表面積を有した。生成物は、電子顕微鏡下に非常に一様な、小さい、短い針のような粒子を示した。
【0052】
繰り返し合成は、小さい変動(165m/g〜186m/g)を示した。
【0053】
使用実施例
黄色調製物の製造および黄色カラーフィルターを製造するための使用
使用実施例1(本発明)
使用された顔料:発明合成実施例1からの顔料
撹拌容器中で、774重量部のメトキシブチルアセテートと、286重量部の、ベンジルメタクリレート(70部)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(15部)/メタクリル酸(15部)をベースとするアルカリ可溶性コポリマー(バインダー樹脂)、モル重量約25,000g/モルのメトキシプロピルアセテート中21%濃度溶液とを均一に混合した。これにより「調製物」を得た。
【0054】
その後、1重量%未満の残存水分まで80℃であらかじめ乾燥させた、100重量部の実施例1からの顔料を調製物中へ均一に導入した。
【0055】
この顔料懸濁液を、イットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズ(直径0.6〜1.0mm)を使用する、水平の、閉じたビーズミルですり潰した。
【0056】
フォトレジストの製造
1000重量部の得られた調製物中へ、34.5重量部のトリメチロールプロパントリアクリレート(モノマーの反応性希釈剤)および3/1重量部の比でのベンゾフェノンとN,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノンとをベースとする13.8重量部の光反応開始剤を均一に、撹拌しながら導入した。
【0057】
これによりUV放射線硬化性フォトレジストが得られ、それを透明な基材に塗布し、現像してカラーフィルターを形成した。
【0058】
この目的のために、フォトレジストを、300×350mmの大きさのきれいにしたホウケイ酸ガラス(Corning(登録商標)7059、Owens Corning Corp.)の一片上へスピンコートし、清浄条件下にオーブン中110℃で5分間乾燥させて約1.5〜2μmの厚さのフィルムを形成した。
【0059】
フィルムをその後、冷却後に、ネガティブマスクを用いて、および200mJ/cmのUV照射量で、超高圧水銀灯を用いて露光して望ましいストリップ画像パターンを生成し、次に0.06%濃度の水性水酸化カリウム溶液を使用して室温で現像し、完全に脱塩した水できれいにし、乾燥させた。これに、清浄条件下にオーブン中235℃で30分間の後硬化が続いた。
【0060】
こうして得られた黄色の本発明のカラーフィルター1は、使用実施例Nに従って製造された非発明カラーフィルターNと比べて非常に明らかに向上したスペクトル透明性(spectral transparency)を有した。カラーフィルター1の色純度および輝度は優れている。
【0061】
使用実施例N(本発明ではない)
使用された顔料:非発明の比較合成例Nからの顔料
使用実施例1についてと同じ方法で、1重量%未満の残存水分まで80℃であらかじめ乾燥させた、非発明比較例Nからの100重量部の顔料を、使用実施例1からの調製物中へ均一に導入した。
【0062】
得られた顔料懸濁液を、使用実施例1と同じ方法で、イットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズを使用する、水平の、閉じたビーズミルですり潰した。
【0063】
フォトレジストの製造は、使用実施例1についてと同様に行った。
【0064】
使用実施例2(本発明)
使用された顔料:発明合成実施例2からの顔料
使用実施例1についてと同じ方法で、1重量%未満の残存水分まで80℃であらかじめ乾燥させた、合成実施例2からの100重量部の顔料を、使用実施例1からの調製物中へ均一に導入した。
【0065】
得られた顔料懸濁液を、使用実施例1と同じ方法で、イットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズを使用する、水平の、閉じたビーズミルですり潰した。
【0066】
フォトレジストの製造は、使用実施例1についてと同様に行った。
【0067】
こうして得られた黄色の発明カラーフィルター2は、使用実施例Nに従って製造された非発明カラーフィルターNと比べて非常に明らかに向上したスペクトル透明性を有した。カラーフィルター2の色純度および輝度は優れている。
【0068】
使用実施例3(本発明)
使用された顔料:発明合成実施例3からの顔料
使用実施例1についてと同じ方法で、1重量%未満の残存水分まで80℃であらかじめ乾燥させた、合成実施例3からの100重量部の顔料を、使用実施例1からの調製物中へ均一に導入した。
【0069】
得られた顔料懸濁液を、使用実施例1でと同じ方法で、イットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズを使用する、水平の、閉じたビーズミルですり潰した。
【0070】
フォトレジストの製造は、使用実施例1についてと同様に行った。
【0071】
こうして得られた黄色の発明カラーフィルター3は、使用実施例Nに従って製造された非発明カラーフィルターNと比べて非常に明らかに向上したスペクトル透明性を有した。カラーフィルター3の色純度および輝度は優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メラミンもしくはメラミン誘導体をゲストとして含有する、式(I)
【化1】

またはその互変異性構造体およびそれらの水和物の顔料の製造方法であって、式(II)(式中、カチオンC1は、任意の望ましい一価カチオンまたは、Hを除き、1の正電荷に相当する任意の望ましい多価カチオンの画分である)のアゾバルビツール酸モノ塩が、式(III)
【化2】

の遊離アゾバルビツール酸の存在下にニッケル化合物およびメラミンもしくはメラミン誘導体と反応させられることを特徴とする方法。
【請求項2】
式(II)中の前記カチオンC1がアルカリ金属カチオン、とりわけLi、Na、Kカチオン、1/2アルカリ土類金属カチオン、とりわけ1/2Mg、1/2Caカチオンであり、1/3Alカチオンであるかまたは非置換もしくは置換アンモニウムカチオン、とりわけ非置換アンモニウムカチオンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カチオンC1がKであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(II)および(III)の両化合物の合計を基準として、式(III)の遊離アゾバルビツール酸の分率が5〜80重量%、特に10〜50重量%、非常に好ましくは10〜30重量%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
式(III)の前記画分が、酸性化合物を添加することによって、特に有機もしくは無機酸を添加することによってモノ塩IIから出発して製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
先ずメラミンもしくはメラミン誘導体、次に前記ニッケル化合物が式(II)および(III)の化合物に加えられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
製造される前記顔料が、100m/g超、特に130〜210m/gの、DIN 66131に従って測定される、BET表面積を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
式(II)および(III)の前記化合物がメラミンおよびニッケル塩とpH<7で反応させられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法によって得られる顔料。
【請求項10】
印刷カラー、水性塗料カラーもしくはバインダーカラーを生成するための、合成、半合成もしくは天然高分子化合物、とりわけポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンもしくはポリプロピレンの原液着色のための、およびセルロース、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリルもしくはポリアミド繊維などの、天然、再生もしくは人造繊維の紡糸染色のための、ならびにまた織物および紙の印刷のための請求項9に記載の顔料の使用。
【請求項11】
ラミネートの製造のための顔料としての、フォトレジストの製造のための顔料としての、液晶ディスプレイにおけるカラーフィルターの製造のための顔料としてのまたはインクジェット用途向け顔料としての請求項9に記載の顔料の使用。
【請求項12】
請求項9に記載の少なくとも1つの顔料および少なくとも1つの分散剤を含む顔料調製物。
【請求項13】
請求項9に記載の少なくとも1つの顔料、少なくとも1つの光開始剤および光硬化性モノマーを含むフォトレジスト。
【請求項14】
請求項9に記載の少なくとも1つの顔料を含むカラーフィルター。

【公表番号】特表2012−532940(P2012−532940A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518939(P2012−518939)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059543
【国際公開番号】WO2011/003851
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】