説明

顔料濃厚物

本発明は、
−少なくとも一種の有色顔料、
−炭素原子数≧12の鎖長範囲の長鎖オレフィン炭化水素と不飽和ポリカルボン酸またはそれの無水物とを少なくとも一種のラジカル開始剤の存在下に反応させることによって製造され、そして
a)C12〜C60、好ましくはC24〜C60、特に好ましくはC28〜C60の鎖長のα−オレフィンから誘導される単位40〜60モル%、及び
b)不飽和ポリカルボン酸またはそれの無水物から誘導される単位60〜40モル%、
を含む、少なくとも一種のコポリマーワックス、場合によっては及び
−少なくとも一種の熱可塑性ポリオレフィン、
を含む、熱可塑性プラスチックの着色のための顔料濃厚物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一種の顔料及び少なくとも一種のコポリマーワックスを含む、熱可塑性プラスチックの着色のための顔料濃厚物であり、前記コポリマーワックスは、長鎖α−オレフィンと、不飽和ポリカルボン酸またはそれの無水物から製造される、前記顔料濃厚物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性プラスチックの着色のために顔料濃厚物または顔料調合物を使用することは従来技術である。このような濃厚物は、顔料の他に、分散助剤としての極性または非極性の成分、及び場合により追加的にキャリア材としてのポリマーを含む。顔料と分散助剤との予混合は、顔料凝集物の効率のよい崩壊と、色素粒子の効果的な分布を可能にする。これは、着色すべきプラスチック中での効率のよい着色のための前提条件である。というのも、顔料は、それの完全な色の性能を特定の粒度範囲でしか発揮しないからである。濃厚物をプラスチック中に配合すると、顔料そのものを直接混合する場合に可能なものと比べて、色素粒子のより速く、均一でかつ微細な分散が達成される。
【0003】
プラスチック中で達成される色の強度(Farbstaerke)は、顔料の分散品質に決定的に依存するため、使用した濃厚物の状態に本質的な技術的及び経済的な意義がある。濃厚物の段階において既に可能な限り微粒な顔料粒子の分布を達成するためには、顔料、分散助剤及びキャリア材は、効果的な混合技術を用いて、すなわち適当な分散装置、例えばスクリュー型押出機、加熱されたロールミルまたは混練機の使用下に混合される。この際、十分に高い剪断力の入力が重要であり、また使用する分散助剤の化学的及び物理的性質も同様に重要な役割を果たす。これらは、それらのレオロジー的挙動及び極性を介して、顔料の濡れ及び細化に効果的に寄与し得る。
【0004】
分散品質を評価するためには、着色されたプラスチックの濾過の際に発生するフィルター圧及び測色データを参照することができる。着色されたプラスチックから製造された試験フィルムの均一性も評価基準として利用可能である。
【0005】
顔料濃厚物中の分散助剤としては、例えば脂肪酸誘導体、並びに非結晶質もしくは部分結晶質で極性もしくは非極性のホモポリマーまたはコポリマー、特に分子量が小さいこれらのもの、例えばワックスが使用される。
【0006】
独国特許出願公開第4236337号明細書(特許文献1)からは、アクリル酸−C12〜C22アルキルエステルからなる低分子量ポリマーを、有機媒体中での固形物、中でも顔料のための分散助剤として使用することが知られている。その合成は煩雑であり、アクリル酸−C〜Cアルキルエステルをラジカル重合し、次いでそのポリマーをC12〜C22アルキル−もしくはアルケニルアルコールとエステル交換することによって行われる。
【0007】
独国特許出願公開第10223402号明細書(特許文献2)からは、
−鎖長C12〜C60のα−オレフィンから誘導される単位、
−不飽和モノカルボン酸から誘導される単位、
−不飽和モノカルボン酸のエステルから誘導される単位、及び
−スチレンまたはメチル置換スチレンから誘導される単位
からなるコポリマーを、熱可塑性プラスチックの着色のための顔料濃厚物の構成分として使用できることが知られている。このコポリマーは、フィルター圧及び色強度の測定パラメータに関して良好な効果を示すが、最良ではない。
【0008】
それ故、顔料濃厚物中に使用するのに改善された効果を有する分散剤を簡単な合成経路で提供するという課題があった。
【0009】
長鎖α−オレフィン及び無水マレイン酸からなるラジカル法により製造されたコポリマーは既知である。例えば、米国特許第3,553,177号明細書(特許文献3)には、脂肪族オレフィンの混合物を無水マレイン酸と共重合する方法が記載されている。この反応は、過酸化物を用いて溶剤としてのケトン類の存在下に行われる。
【0010】
更に、長鎖オレフィンと無水マレイン酸からなる反応生成物が独国特許出願公開第3510233号明細書(特許文献4)から知られている。
【0011】
欧州特許出願公開第1693047号明細書(特許文献5)には、C26〜C60−α−オレフィン及び無水マレイン酸から製造された、化粧用調合物、医薬用調合物及び皮膚用調合物のためのコポリマーワックスが開示されている。このワックスは乳化可能であり、ペースト、クリーム及びスティックのコンシステンシー付与に適しており、そして中でも高い耐水性を特色とする。これらは、吸収力も向上し、そして化粧用調合物の脂質相中での顔料の分散導入を容易にする。実施例11では、マスカラ用処方物の製造が記載されており、そこでは乳化剤、ステアリン酸、コポリマーワックス、シリコーン、天然エステルワックス及び水素化オリゴオレフィンからなる溶融物中に顔料を混入し、次いでこれを更に水性調合物に加工している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許出願公開第4236337号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10223402号明細書
【特許文献3】米国特許第3,553,177号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第3510233号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1693047号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Herbst,Hunger,Industrielle organische Pigmente,第2版1995,4〜11頁
【非特許文献2】Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,第5版,1996,Vol.A 28,103〜160頁
【発明の概要】
【0014】
驚くべきことに、長鎖α−オレフィン及び不飽和ポリカルボン酸もしくはそれの無水物から製造されたコポリマーワックスが、熱可塑性プラスチックの着色のための顔料濃厚物の製造のための成分として非常に適していることが見出された。
【0015】
このような顔料濃厚物により着色されたプラスチック材料は、高い色強度及び良好な均一性を示す。それの溶融物は、低いフィルター値を有し、これは、顔料粒子の効果的な分散と同義である。
【0016】
顔料濃厚物中に分散助剤として含まれるコポリマーワックスの製造は非常に簡単である。なぜならば単に二つの成分を互いに反応させればよいからである。
【0017】
それ故、本発明の対象は、
−有色顔料の少なくとも一種、
−≧12炭素原子の鎖長範囲の長鎖オレフィン炭化水素と、不飽和ポリカルボン酸またはそれの無水物とを、少なくとも一種のラジカル開始剤の存在下で反応させることによって製造されるコポリマーワックスであって、
a)C12〜C60、好ましくはC24〜C60、特に好ましくはC28〜C60の鎖長のα−オレフィンから誘導される単位40〜60モル%、及び
b)不飽和ポリカルボン酸またはそれの無水物から誘導される単位60〜40モル%、
を含むコポリマーワックスの少なくとも一種、場合により及び
熱可塑性ポリオレフィンの少なくとも一種、
を含む、熱可塑性プラスチックの着色のための顔料濃厚物である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
コポリマーワックスの製造のためには、単一種鎖(kettenreine)α−オレフィンも、α−オレフィン混合物、例えば公知の製造方法において蒸留画分または蒸留残渣として生ずるものも使用できる。工業的なα−オレフィン混合物、例えばより長い鎖長を有するα−オレフィン混合物は、1−アルケンの他に、程度の差はあるが内部もしくは側部オレフィン性二重結合(ビニレン基及びビニリデン基)を多量に含み得る。好ましいα−オレフィン原料の一つとしては、鎖長が実質28〜52炭素原子の範囲の、アルファオレフィンC30+の商品表示で入手できるChevron Phillips社のオレフィン混合物が挙げられる。
【0019】
α−オレフィンとの反応に使用される不飽和ポリカルボン酸または無水物の代表的な例は、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、アコニット酸またはイタコン酸、あるいは存在する場合にはこれらのポリカルボン酸の無水物である。好ましいものは、無水マレイン酸である。任意の比率でのこれらのポリカルボン酸及び無水物の混合物も使用できる。
【0020】
無水マレイン酸の使用が好ましい。
【0021】
本発明のコポリマーワックスの製造は、それ自体公知の方法で、高められた温度下に、有機または無機ラジカル形成開始剤を添加して上述の成分を反応させることによって行われる。反応は、溶剤の存在下にまたは不存在下に行うことができる。後者の方法が好ましい。更に、反応は断続的にバッチ式に、例えば攪拌容器中で、または連続的に稼働する反応器中で行うことができる。
【0022】
α−オレフィンと無水マレイン酸とのラジカル共重合では、通常はおおよそ交互状のコポリマー構造が生ずる。それ故、ポリカルボン酸無水物とα−オレフィンとのモル使用比率は、好ましくは0.4:0.6〜0.6:0.4である。それ故、約500g/モルの平均モル質量を有するC28〜C52の典型的な鎖長範囲の商業的に入手可能なα−オレフィンの使用の場合には、α−オレフィンを基準にして約13〜29重量%の無水物の使用量となる。このようなオレフィン原料に好ましい無水マレイン酸使用量は、14〜20重量%、特に好ましくは15〜18重量%である。
【0023】
適当な有機開始剤は、例えば過酸化物、例えばアルキルヒドロパーオキシドまたはジアルキル−もしくはジアリールパーオキシド、ジアロイルパーオキシド、パーエステルまたはアゾ化合物である。好ましいものは、ジアルキルパーオキシド、特に好ましいものはジ−tert.−ブチルパーオキシドである。しかし、選択された反応温度においてラジカルに分解されて、反応を開始し得るものであれば、任意の他の開始剤も考慮される。これらの開始剤は、使用するα−オレフィンを基準にして0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%の量で使用される。
【0024】
反応温度は、反応を溶剤の不存在下に行う場合には、α−オレフィンの融点超、例えば100〜200℃、好ましくは120〜180℃、特に好ましくは140〜170℃である。更に、溶剤の存在下では、溶解挙動に応じて、α−オレフィンの融点未満の反応温度も考えられる。
【0025】
顔料濃厚物の製造のためには、プラスチックの着色に使用される全ての顔料が適している。無機顔料も有機顔料も可能である。
【0026】
無機顔料の例には、カーボンブラック、金属粉末、金属酸化物、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化鉄類、硫化金属、ケイ酸塩、例えばウルトラマリンブルー、クロム酸塩及びバナジン酸塩が挙げられる。
【0027】
有機顔料の例は、アゾ−もしくはジスアゾ顔料、レーキ化アゾ顔料、金属フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、チオインディゴ顔料、ジアリール顔料、トリフェニルメタン顔料またはキノフタロン顔料である。
【0028】
考えられる顔料の他の例は、関連する基本図書、例えばHerbst,Hunger,Industrielle organische Pigmente,第2版1995,4〜11頁(非特許文献1)に記載されている。
【0029】
更に、本発明の顔料濃厚物は、キャリア材として、ホモポリマー性もしくはコーポリマー性の熱可塑性ポリオレフィン、例えば高密度ポリエチレン(PE−HD)もしくは低密度ポリエチレン(PE−LD、PE−LLD)、ポリプロピレン、ポリスチレン、またはヘテロ原子を有するモノマーを含むコポリマー、例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマーまたはエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマーを含むことができる。
【0030】
更なる応用技術上の最適化のために、該濃厚物は、着色顔料、コポリマーワックス、場合により及び熱可塑性ポリオレフィンの他に、更に追加で、顔料の分散に有利に働く成分、例えば脂肪誘導体、例えば脂肪酸エステルもしくは−石鹸、または天然または合成由来のワックス、例えばポリオレフィンワックスを含むことができる。ポリオレフィンワックスとしては、中でも、ポリオレフィンプラスチックの熱分解によって、ラジカル合成、例えば(場合によっては更に別のまた極性のモノマー、例えば(メタ)アクリレートまたはビニルアセテートと組み合わせて)エチレンから出発したラジカル合成、あるいはチィグラーナッタ、フィリップスまたはメタロセンタイプの金属含有配位触媒を用いた重合によって製造される、ポリエチレン−またはポリプロピレンワックスが挙げられる。更に、天然由来のワックス、例えばモンタン−もしくはカルナウバワックス、またはそれらの二次生成物、例えば酸化漂白またはその他の化学的誘導体化、例えば鹸化によって得られる二次生成物も可能である。対応する材料及び製造方法は、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,第5版,1996,Vol.A 28,103〜160頁(非特許文献2)に記載されている。
【0031】
本発明の顔料濃厚物は、一種またはそれ以上の顔料10〜70重量%、α−オレフィン及び不飽和ポリカルボン酸またはそれの無水物から製造されるコポリマーワックス1〜60重量%、及び一種またはそれ以上の熱可塑性ポリオレフィン0〜60重量%を含む。
【0032】
好ましくは、該顔料濃厚物は、顔料20〜60重量%、コポリマーワックス10〜40重量%、及びポリオレフィン10〜50重量%を含む。
【0033】
追加的に、本発明の顔料濃厚物中には、5重量%までの安定化添加剤、例えば酸化防止剤または光保護剤が含まれてもよい。
【0034】
更に本発明は、本発明の顔料濃厚物で着色されたプラスチック材料またはプラスチック完成製品にも関する。
【0035】
該顔料濃厚物を製造するためには、先ず、固形の個々の成分を適当な混合装置中で予混合することが有利であることがわかった。これは、公知の方法で、熱間または冷間混合によって行うことができる。この際、コポリマーワックス、場合により及び更に別のワックスは、粗粒乃至細粒の形で、または微粒の形で使用することができ、微粒形態の場合には、例えば平均粒度(d50値)は5〜15μmである。微粒化は、ワックス溶融物を噴霧するか、または粉砕、例えばエアジェットミルを用いて粉砕することによって行うことができる。噴霧または粉砕の後に場合により分級を行うことができる。実際の顔料分散は、次いで、押出機または混練機中で予混合物を溶融及び混練することによって行われる。溶融物は、次いで通例のポリマー技術から既知の方法で例えば顆粒物またはペレットに加工される。
【0036】
本発明の顔料濃厚物は、様々な構成の熱可塑性に加工可能なポリマー、例えばポリオレフィン、例えば中でも、ポリエチレン、エチレンと他の非極性もしくは極性オレフィンとのコポリマー、ポリプロピレン、並びにポリブタジエンまたはポリスチレン、更にポリアルキレンテレフタレート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリアクリルニトリル、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリオキシメチレン、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマーの着色に適している。
【実施例】
【0037】
コポリマーワックスの動的粘度は、回転式粘度計を用いてDIN53019−1〜3に従い溶融物について、滴点はMettler社のタイプFP900の装置を用いてASTM D 3954に従い測定した。酸価の測定は、無水物基の加水分解による解裂を避けるために、使用溶剤であるトルエン及びエタノールを無水の形態で使用したことを除き、DIN53402に従い行った。微粒化物での粒度分析は、分散ユニットScirocco 2000の使用下にタイプMastersizer 2000(Malvern)の装置を用いてレーザー回折によって行った。
【0038】
例A:α−オレフィン及び無水マレイン酸からのコポリマーワックス(“コポリマーワックスA”)の製造
2,500g=4.92モルのα−オレフィンC30+(Chevron Phillips社のオレフィン混合物)を、攪拌機、内部温度計及び蒸留橋を備えたガラス装置中で、窒素雰囲気下に溶融した。次いで、375g=3.83モルの無水マレイン酸を、六つの同じ部分に分けて、それぞれ30分間の間隔で計量添加した。同期間内に、滴下漏斗から連続的に50gのジ−tert.−ブチルパーオキシドを加えた。次いで、1時間、後反応させた。その後、揮発性成分を真空中(約30mbar)で留去した。約30分間後に、窒素を導入することによって常圧まで放圧した。生じたコポリマーワックスの酸価は80mgKOH/gであり、90℃での粘度は329mPasであり、滴点は74℃であった。
【0039】
比較例
独国特許出願公開第10223402号明細書(特許文献2)第3頁第55行以降に従い、C26−60−α−オレフィン、メチルアクリレート及びアクリル酸からコポリマーを製造した(酸価7mgKOH/g、滴点71℃)。
【0040】
応用技術上の試験のために、前記コポリマーワックスを、粗大に粉砕した形(実験室用ミル、粒度d100<2mm、“細粒物”)または微粒化した形(“微粒化物”)のいずれかで使用した。微粒化は、エアージェットミル100AFG(Hosokawa Micron)で粉砕することによって行い、そして<30μmのd100値及び8.0μmのd50値を有する微粒粉末状の材料を与えた。
【0041】
粗大に粉砕されたまたは微粒化されたコポリマーワックスを、ヘンシェルミキサー中でそれぞれの顔料及び以下に記載のポリオレフィンと混合した(冷間混合、600回転/分、期間10分間)。次いで、この混合物を二軸スクリュー押出機(Berstorff ZE 25×40D)中でコンパンド化して顆粒物にした。これをDIN−EN13900−5に従いプラスチック中に配合し、そしてこの混合物を加圧フィルター試験を用いて特徴付けした。加えて、その分散品質を、DIN55986に従い色強度を測定することによって測色法により求めた。
【0042】
加圧フィルター試験を行うために、顔料濃厚物で着色した熱可塑性プラスチックの溶融物を、歯車ポンプによりスクリーンフィルタに圧通させ、そしてフィルター上流に生ずる圧力を測定した。顔料の分散が悪い程、フィルター上流の圧力上昇が大きくなる。フィルター圧の目安として、以下の式に従い求められる“フィルター値”Fが使用される。
【0043】
【数1】

【0044】
式中、Pmaxは、フィルタ上流で測定された最大圧であり、Pは、着色していないプラスチックの場合のフィルター上流の圧力であり、そしてmは、通過した分散媒の質量である。
【0045】
“フィルムグレード(Filmnote)”の測定のためには、2重量%の顔料濃厚物で着色されたLDPEプラスチックを、フィルムブローイング装置で、約0.04mmの層厚を有するフィルムに加工した。このフィルムを、5倍に拡大して視覚によりまたは自動評価システムを用いて写真で、斑点及び均質性の他の障害に関して評価しそして1(良)乃至5(不良)の評点で査定した。
【0046】
応用技術的試験
例1
PEマトリックス中に配合した後の、2:2:1の重量比でファストブルーA4R顔料(Cuフタロシアニン)、Escorene LL 6101(LLDPE、製造業者Exxon)及びコポリマーワックスAもしくはコポリマーVからなる顔料濃厚物の試験
【0047】
【表1】

【0048】
例2
PPマトリックス中に配合した後の、2:2:1の重量比のピグメントブルー15:1(Cuフタロシアニン)、HG245(PPホモポリマー、Borealis)及びコポリマーワックスAからなる顔料濃厚物の試験
【0049】
【表2】

【0050】
例3
PEマトリックス中に配合した後の、2:2:1の重量比のファストバイオレットRL顔料、Escorene LL 6101(LLDPE,製造業者Exxon)及びコポリマーワックスAからなる顔料濃厚物の試験
【0051】
【表3】

【0052】
例4
PPマトリックス中に配合した後の、2:2:1の重量比のピグメントバイオレット23、Escorene LL 6101(LLDPE,製造業者Exxon)及びコポリマーワックスAからなる顔料濃厚物の試験
【0053】
【表4】

【0054】
例5
PETマックス中に配合した後の、30:65:5の重量比のピグメントグリーン7(Cuフタロシアニン顔料)、ポリエチレンテレフタレート(Bripet 2000 BST,Brilen)及びコポリマーワックスAからなる顔料濃厚物の試験
【0055】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
−少なくとも一種の有色顔料、
−炭素原子数≧12の鎖長範囲の長鎖オレフィン炭化水素と、不飽和ポリカルボン酸またはそれの無水物とを少なくとも一種のラジカル開始剤の存在下に反応させることよって製造され、そして
a)C12〜C60、好ましくはC24〜C60、特に好ましくはC28〜C60の鎖長のα−オレフィンから誘導される単位40〜60モル%、及び
b)不飽和ポリカルボン酸またはそれの無水物から誘導される単位60〜40モル%、
を含む、少なくとも一種のコポリマーワックス、場合によっては及び
−少なくとも一種の熱可塑性ポリオレフィン、
を含む、熱可塑性プラスチックを着色するための顔料濃厚物。
【請求項2】
少なくとも一種の有色顔料10〜70重量%、少なくとも一種のコポリマーワックス1〜60重量%、及び少なくとも一種の熱可塑性ポリオレフィン0〜60重量%を含むことを特徴とする、請求項1の顔料濃厚物。
【請求項3】
少なくとも一種の有色顔料20〜60重量%、少なくとも一種のコポリマーワックス10〜40重量%、及び少なくとも一種の熱可塑性ポリオレフィン0〜50重量%を含むことを特徴とする、請求項2の顔料濃厚物。
【請求項4】
5重量%までの量で安定化添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3の少なくとも一つの顔料濃厚物。
【請求項5】
請求項1〜4の少なくとも一つの顔料濃厚物で着色された、プラスチック材料またはプラスチック完成製品。
【請求項6】
熱可塑性プラスチックを着色するための、請求項1〜4の少なくとも一つの顔料濃厚物の使用。
【請求項7】
コポリマーが5〜15μmのd50値を有する微粒化された形で使用されることを特徴とする、請求項6の顔料濃厚物の使用。



【公表番号】特表2013−500361(P2013−500361A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522017(P2012−522017)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004560
【国際公開番号】WO2011/012276
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】