説明

顔料組成物及びそれを含有する印刷インキ

【課題】分散性および分散安定化の向上が図られ、流動性に優れた印刷インキ用顔料組成物を得ること。
【解決手段】 有機顔料を樹脂の存在下に乾式粉砕する顔料組成物の製造方法であって、該樹脂は印刷インキ用樹脂およびα−オレフィン−エチレン性不飽和基含有ジカルボン酸共重合体又はその変性物であり、有機顔料100重量部に対して、10〜50重量部の印刷インキ用樹脂と、1〜30重量部のα-オレフィン−エチレン性不飽和基含有ジカルボン酸もしくはその変性物を使用する顔料組成物の製造方法をそれを着色剤として含む印刷インキ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷インキに使用するのに好適な顔料組成物の製造方法およびそれにより得られた顔料組成物に関し、更には、有機顔料を樹脂の存在下で乾式粉砕することにより得られる、顔料の分散性と流動性の改善された顔料組成物の製造方法および顔料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷インキ用の顔料において、特にフタロシアニン系の顔料では、樹脂との乾式粉砕による顔料化方法により、環境負荷を小さくするとともに低コストで優れた品質の顔料が製造できることが知られている(特許文献1)。しかしながら、乾式粉砕などの粉砕によって顔料化された顔料は、他の整粒化効果の高い製法、例えばニーダー中で塩などの粉砕剤やジエチレングリコール等の結晶成長剤などと共に連肉して得られる顔料と比較すると、粒子径やその形状において不均一性が高い。これらのことは、インキ中における顔料の分散安定化に対し不利に作用し、インキの流動性の低下や光沢の低下として発現する場合がある。
また一方で、インキの顔料含有率を高めたベースインキを作成し、インキの製造や流通にかかるコストを低減しようとするニーズも潜在的にあるものの、顔料の高度な分散安定化が要求されるため、その実現は困難であった。
【特許文献1】特開平09−272833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
分散性および分散安定化の向上が図られ、流動性に優れた印刷インキ用顔料組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、有機顔料を樹脂の存在下に乾式粉砕する顔料組成物の製造方法であって、該樹脂は印刷インキ用樹脂およびα−オレフィン−エチレン性不飽和基含有ジカルボン酸共重合体又はその変性物であることを特徴とする顔料組成物の製造方法である。
【0005】
また本発明は、有機顔料100重量部に対して、10〜50重量部の印刷インキ用樹脂と、1〜30重量部のα-オレフィン−エチレン性不飽和基含有ジカルボン酸もしくはその変性物を使用し、該製造方法により得られた顔料組成物である。
【0006】
また本発明は、該顔料組成物を着色剤として含有する印刷インキである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の顔料組成物は、優れた流動性を発揮し、インキ中の顔料含有率を高めることを可能にすると共に、分散性、光沢など印刷インキの品質を向上させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の顔料組成物は、有機顔料、印刷インキ用樹脂、α-オレフィン−エチレン性不飽和基含有ジカルボン酸共重合体もしくはその変性物の少なくとも3成分を実質的に同時に乾式粉砕することにより得られるものである。
【0009】
乾式粉砕においては、該3成分全てが同時に乾式粉砕される工程を含むものであるならば、該成分が順次添加される方法であっても良い。
【0010】
乾式粉砕機としては、乾式アトライター、ボールミル、振動ミル等が使用できる。各機器ではそれぞれについて合理的なメディア量、材料仕込み量、粉砕時間が存在する。顔料の粉砕時間の増加と共に発色増になるが、粉砕された顔料組成物がインキ化された際、そのインキの調子も考慮しながら粉砕時間が決定される必要がある。過度の粉砕は分散性の劣化、インキの流動性低下等を招く。
【0011】
粉砕温度については、室温〜170℃であり、好ましくは40℃〜100℃である。温度を決定する要因は、一つは用いる樹脂の軟化温度であり、さらには粉砕中に結晶転移が生じる銅フタロシアニン顔料などの場合にはその結晶転移性である。軟化温度に近い高温下では、樹脂の軟化により粉砕機内部での樹脂の融着等を生じ、生産上の問題を発生しうる恐れがある。ただし、樹脂が軟化した場合であっても用いる樹脂の量によっては生産上問題のない場合もある。また銅フタロシアニンの場合においては、粉砕によりα型の結晶を生じるが、熱により安定なβ型への転移も同時に進行する。印刷インキにおいて、一般に有用なβ型に富んだ顔料組成物を得るためには、高温下での粉砕が好ましい。
【0012】
本発明で用いる有機顔料は、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、さらにはキナクリドン系、イソインドリノン系、スレン系などの縮合多環系顔料などが使用できる。特にフタロシアニン系顔料およびアゾ系黄色顔料で本発明の効果は高い。
【0013】
本発明で用いる印刷インキ用樹脂としては、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、アルキッド樹脂、アルキルフェノール樹脂、石油樹脂などが挙げられる。好ましくはロジン変性フェノール樹脂を使用する。これらは単独、又は2種類以上組み合わせて使用できる。これらの樹脂は、顔料組成物をインキにする際に、顔料のワニスへの解膠性を高める。選択にあたっては、使用するワニスとの相溶性や溶解した際の粘度など、印刷インキにした際の物性との関係から選択される。
【0014】
印刷インキ用樹脂の添加量は、有機顔料100重量部に対して、10〜50重量部であり、好ましくは20〜50重量部である。添加量が少なすぎると顔料のワニス中での解膠性の低下を招き、多すぎると有機顔料当たりの生産性の低下や、顔料組成物のワニスへの汎用性を低下させる場合がある。
【0015】
α-オレフィン−エチレン性不飽和基含有ジカルボン酸共重合体もしくはその変性物は、乾式粉砕により顔料表面に処理され、顔料のワニス中での分散性の向上および分散の安定化に寄与するものと推定される。それにより、流動性や光沢等の分散性と関連を持った品質の向上や、顔料含有率を高めることも可能となる。
【0016】
該共重合体が分散剤として機能する機構については、次の様に推定される。即ち、該共重合体の極性部分であるジカルボキシル基ないしその無水物基が顔料表面への吸着を高めると共に、非極性部分であるα-オレフィン鎖がワニスとの親和性を高めることにより、分散剤としての機能を発揮している。前述の印刷インキ用樹脂も解膠性を高め、ひいては分散性を高めているが、顔料表面への吸着能が弱いため、該共重合体ほどの効果は発揮し得ない。
【0017】
該樹脂を乾式粉砕時には添加せず、顔料のインキ化時に添加した場合は、本発明で得られる分散性向上効果は得られない。なぜなら、該樹脂は極性が高いため一般に非極性の印刷インキ用ワニスには該共重合体単独では溶解性が乏しく、インキ化時に添加した場合には顔料表面への吸着がほとんど進まないためである。顔料と共に乾式粉砕することにより、該共重合体のジカルボキシル基ないしその無水物基が顔料側に配向して吸着が進み、結果として極性部位がワニス側には隠されるため、ワニスへの溶解性が損なわれないものと我々は推定している。
【0018】
該共重合体の構成要素であるα-オレフィンとしては、様々な炭素数のものが挙げられるが、10〜30程度のものが、現在主流の印刷インキ用ワニスと親和性が高い。炭素数をいくつにするかは、ワニスとの親和性によって選択されるものであり、使用するワニスに依存している。
【0019】
該共重合体の構成要素であるエチレン性不飽和基含有ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、およびそれらの無水物が挙げられる。
【0020】
共重合の方法については、公知の方法を用いることができる。即ち、塊状重合、溶液重合、懸濁重合などである。経済性および重合度の観点からは塊状重合が好ましい。該共重合体の分子量は、GPCによる重量平均で5000〜50000g/mol程度が印刷インキ用では好ましい。
【0021】
該共重合体の変性物としては、ワニスや顔料との親和性を調整するために、該共重合体のジカルボキシル基ないしその無水物基の反応性を利用してエステル化、アミド化したものも使用できる。
【0022】
変性に使用できる化合物としては、炭素数3〜50の脂肪族モノアルコールや炭素数3〜50の脂肪族モノアミン、分子量1000以下のポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールさらにまたはエチレングリコールとプロピレングリコールのランダム縮合物のモノアルキルエーテル、β-ナフトール、アニリン等、水酸基ないしアミノ基を化合物中に1つ含有したものが挙げられる。
【0023】
エステル化ないしアミド化は、公知の方法すなわち触媒存在下、加熱減圧脱水によりなされる。変性量はジカルボキシル基ないしその無水物基に対し、50mol%以下である。
【0024】
該共重合体の添加量は、有機顔料100重量部に対して、1〜30重量部である。添加量を増やすと流動性の改善効果は大きくなるものの、一定量を超えると改善効果は飽和する。
【0025】
本発明の顔料組成物には、乾式粉砕中または乾式粉砕後に、微量の添加剤すなわち酸化防止剤や印刷インキに添加される各種調整剤、溶剤等を加えることもできる。
【0026】
本発明の顔料組成物を用いて印刷インキを製造するには、顔料組成物と印刷インキ用ワニス、また必要に応じて印刷インキ用溶剤とを加熱混合した後、ビーズミルや3ロール等で顔料を分散させることでベースインキを得る。ついでインキの調子を調節して最終インキが得られる。
【0027】
顔料組成物と印刷インキ用ワニスとの加熱混合は、顔料組成物をワニスに分散させるためと、乾式粉砕により顔料の結晶型が不安定ないし準安定な結晶型が生じている場合には、熱や溶剤により、安定型に転移させるために行う。例えば、銅フタロシアニンの場合では、乾式粉砕によりα型の結晶型が生成されるが、ワニスとの加熱混合により安定型であるβ型へ転移させる。
【0028】
加熱温度については、顔料組成物中に含まれる樹脂の溶解性や、結晶転移を目的とする場合にはその転移性、さらには生産性などの観点から決められる。およそ30℃〜200℃、多くの場合80℃〜130℃の範囲で十分である。
【0029】
混合条件については、顔料組成物とワニスの混合物を攪拌できればよい。ただしニーダーやビーズミルなどの剪断エネルギーを与えられる混合機を用いることで、本工程の時間短縮および顔料分散工程での時間的あるいはエネルギー的負荷の低減が果たせる。混合時間については、組成物の分散性と顔料の転移性、さらにはワニスの組成などによって異なるが数10分〜3時間程度で完了し、次に分散機を通すことでベースインキの作成は完了する。
【0030】
印刷インキ用ワニスには公知のものが使用できる。一般にワニスの主成分は溶剤と樹脂に大別できる。溶剤としては、高沸点石油系溶剤、脂肪族炭化水素溶剤、高級アルコール系溶剤、大豆油、桐油、亜麻仁油などの乾性油や重合乾性油などが挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0031】
また、印刷インキ用ワニスに用いられる樹脂としては、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、アルキッド樹脂、アルキルフェノール樹脂、石油樹脂など印刷インキに適した樹脂を単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】
以下、実施例および比較例で本発明をより具体的に説明する。尚、以下で「部」は全て「重量部」を意味する。
【0033】
乾式粉砕には、タンク容量0.75Lのアトライターを用いた。ビーズには3/8インチスチールビーズを用い、該アトライターに2kg充填した。粉砕の回転速度は360rpmで、70℃の熱媒体を循環させて乾式粉砕を行った。
【0034】
(製造例1)
ダイヤレン124(三菱化学社製C12とC14のα-オレフィンの混合物)649部を合成容器に仕込み、窒素置換後、150℃に昇温し、ジ-t-ブチルパーオキサイド4.3部を7等分して20分毎に、無水マレイン酸369部を24等分して5分毎に添加した。添加終了後、150℃にて1時間加熱攪拌後、180℃に昇温し、ジ-t-ブチルパーオキサイド1.1部を添加し、さらに2時間後同量を添加した。そしてさらに180℃で3時間加熱攪拌した後、減圧脱気を行い、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体を得た。GPCで分子量を測定したところ重量平均で1.0×10g/molであった。
【0035】
(製造例2)
ダイヤレン208(三菱化学社製C20〜C28のαオレフィンの混合物)775部を合成容器に仕込み、窒素置換後、150℃に昇温し、ジ-t-ブチルパーオキサイド2.92部を7等分して20分毎に、無水マレイン酸250.2部を24等分して5分毎に添加した。添加終了後、150℃にて1時間加熱攪拌後、180℃に昇温し、ジ-t-ブチルパーオキサイド0.73部を添加し、さらに2時間後同量を添加した。そしてさらに180℃で3時間加熱攪拌した後、減圧脱気を行い、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体を得た。GPCで分子量を測定したところ重量平均で2.6×10であった。
【0036】
(製造例3)
製造例1で得られた共重合体100部を合成容器に仕込み、窒素流入下、150℃に加熱し、PEG750(Aldrich社製ポリエチレングリコールモノメチルエーテル;分子量750)26.7部を添加し1時間加熱攪拌後、パラトルエンスルフォン酸ソーダ0.1部を添加し、減圧脱気下、170℃に昇温して3時間加熱攪拌して、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体のPEG変性体を得た。
【実施例1】
【0037】
アトライターに粗製銅フタロシアニンを70g、荒川化学工業社製ロジン変性フェノール樹脂タマノル366を14g、製造例1で得られた共重合体を3.5g仕込み、45分間、乾式粉砕した。得られた顔料組成物19.4部とSPARKLE73(Eastman Chemical社製ワニス)37.9部、亜麻仁油3.0部、PKWF28/31af new(Haltermann Products社製石油系溶剤)を130℃で1時間撹拌した。次いで3本ロールで練肉し、グラインドメーターで分散粒子7.5μm以下を確認し、ベースインキとした。次に、得られたベースインキ66.3部にSPARKLE73を16.2部、PKWF28/31af newを10部加えた。さらに、タックが6.5となるようにSPARKLE73とPKWF28/31af newを加えて総計100部にした。尚、タック測定には東洋精機製作所社製デジタルインコメーターを用い、インキボリューム1.3ml、ロール回転速度400rpm、30℃で測定した。
【0038】
(比較例1)
アトライターに粗製銅フタロシアニンを70g、荒川化学工業社製ロジン変性フェノール樹脂タマノル366を17.5g仕込み、45分間、乾式粉砕した。得られた顔料組成物19.4部とSPARKLE73を37.9部、亜麻仁油3.0部、PKWF28/31 af newを130℃で1時間撹拌した。次いで3本ロールで練肉し、グラインドメーターで分散粒子7.5μm以下を確認し、ベースインキとした。次に、得られたベースインキ66.3部にSPARKLE73を16.2部、PKWF28/31af newを10部加えた。さらに、タックが6.5となるようにSPARKLE73とPKWF28/31af newを加えて総計100部にした。
【0039】
(比較例2)
アトライターに粗製銅フタロシアニンを70g、荒川化学工業社製ロジン変性フェノール樹脂タマノル366を14g仕込み、45分間、乾式粉砕した。得られた顔料組成物18.6部と製造例1で得られた共重合体0.8部とSPARKLE73を37.9部、亜麻仁油3.0部、PKWF28/31af newを130℃で1時間撹拌した。次いで3本ロールで練肉し、グラインドメーターで分散粒子7.5μm以下を確認し、ベースインキとした。次に、得られたベースインキ66.3部にSPARKLE73を16.2部、PKWF28/31 af newを10部加えた。さらに、タックが6.5となるようにSPARKLE73とPKWF28/31af newを加えて総計100部にした。
【実施例2】
【0040】
アトライターに粗製銅フタロシアニンを70g、荒川化学工業社製ロジン変性フェノール樹脂タマノル366を17.5g、製造例2で得られた共重合体を7g仕込み、45分間、乾式粉砕した。得られた顔料組成物17.01部とオフ輪インキ用ワニス(ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂、非芳香族系石油系溶剤、亜麻仁油からなるワニス)18.99部を130℃で1時間撹拌した。次いで3本ロールで練肉し、グラインドメーターで分散粒子7.5μm以下を確認し、ベースインキとした。次に、得られたベースインキ36部にオフ輪インキ用ワニス59部を加えた。さらに、タックが4.7となるようにオフ輪インキ用ワニスと非芳香族系石油系溶剤を加えて総計100部にした。
【0041】
(比較例3)
アトライターに粗製銅フタロシアニンを70g、荒川化学工業社製ロジン変性フェノール樹脂タマノル366を24.5g仕込み、45分間、乾式粉砕した。得られた顔料組成物17.01部とオフ輪インキ用ワニス(実施例2と同じワニス)18.99部を130℃で1時間撹拌した。次いで3本ロールで練肉し、グラインドメーターで分散粒子7.5μm以下を確認し、ベースインキとした。次に、得られたベースインキ36部にオフ輪インキ用ワニス59部を加えた。さらに、タックが4.7となるようにオフ輪インキ用ワニスと非芳香族系石油系溶剤を加えて総計100部にした。
【実施例3】
【0042】
アトライターに比表面積33m/gのピグメントイエロー12を70g、荒川化学工業社製ロジン変性フェノール樹脂タマノル366を28g、製造例3で得られた共重合体を14g仕込み、45分間、乾式粉砕した。得られた顔料組成物24.8部とSPARKLE609(Eastman Chemical社製ワニス)33.7部、亜麻仁油3.1部、PKWF4/7af new(Haltermann Products社製石油系溶剤)4.7部を80℃で1時間撹拌した。次いで3本ロールで練肉し、グラインドメーターで分散粒子7.5μm以下を確認し、ベースインキとした。次に、得られたベースインキ66.3部にSPARKLE609を19.3部、PKWF4/7af newを10部加えた。さらに、タックが7.0となるようにSPARKLE609とPKWF4/7af newを加えて総計100部にした。
【0043】
(比較例4)
アトライターに比表面積33m/gのピグメントイエロー12を70g、荒川化学工業社製ロジン変性フェノール樹脂タマノル366を42g仕込み、45分間、乾式粉砕した。得られた顔料組成物24.8部とSPARKLE609を33.7部、亜麻仁油3.1部、PKWF4/7af new4.7部を80℃で1時間撹拌した。次いで3本ロールで練肉し、グラインドメーターで分散粒子7.5μm以下を確認し、ベースインキとした。次に、得られたベースインキ66.3部にSPARKLE609を19.3部、PKWF4/7af newを10部加えた。さらに、タックが7.0となるようにSPARKLE609とPKWF4/7af newを加えて総計100部にした。
【0044】
実施例1〜3および比較例1〜4で得られた印刷インキについて、ベースインキの粘度、最終インキの流動性および展色物のマクベス濃度、光沢を表1に示す。
【0045】
尚、印刷インキの流動性の評価は次の様に行った。測定機器は半球形のインキ壺(約2ml)と流れ板が一体に構成されたものである。流れ板はその傾きを水平〜垂直に任意に傾けることができる構造になっている。測定方法は、まず流れ板を水平にして、良く練肉された評価用のインキを過不足なくインキ壺に充填し、25℃で1時間静置する。次いで流れ板を垂直に傾ける。流動性の良好なインキは時間の経過と共に壺からインキが垂れるが、極端に流動性の悪いインキは壺にインキが留まったままで垂れない。流れ板を垂直にしてから10分後のインキの垂れた長さを計測する。その垂れた長さが長いものほど流動性は良い。また、展色刷りにはIGT印刷適性テスター型番C1−5を用い、加重250N、インキ盛り量160mgで行った。
【0046】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機顔料を樹脂の存在下に乾式粉砕する顔料組成物の製造方法であって、該樹脂は印刷インキ用樹脂およびα−オレフィン−エチレン性不飽和基含有ジカルボン酸共重合体又はその変性物であることを特徴とする顔料組成物の製造方法。
【請求項2】
有機顔料がフタロシアニン系顔料またはアゾ系黄色顔料である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
印刷インキ用樹脂がロジン変性フェノール樹脂である請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
α-オレフィンの炭素数が10〜30である請求項1ないし3いずれか記載の製造方法。
【請求項5】
有機顔料100重量部に対して、10〜50重量部の印刷インキ用樹脂と、1〜30重量部のα-オレフィン−エチレン性不飽和基含有ジカルボン酸もしくはその変性物を使用する請求項1ないし5いずれか記載の製造方法により得られた顔料組成物。
【請求項6】
請求項5記載の顔料組成物を着色剤として含有する印刷インキ。

【公開番号】特開2006−77141(P2006−77141A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263417(P2004−263417)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】