説明

顕微鏡スライドの装填/降荷機構

格納デバイスから顕微鏡スライドをスライド載荷台へと送給する装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する相互参照
本出願は、2006年8月4日に出願された米国仮出願第60/821,549号の優先権を主張するものであり、該出願は言及したことにより全体的に本明細書中に援用される。本明細書において引用される全ての文献およびそれらの言及文献は、付加的もしくは代替的な詳細、特徴および/または技術的背景の教示に対して適切である場合、言及したことにより本明細書中に援用される。
発明の背景
本発明は概略的に、自動式顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
習用の光学的顕微鏡検査法は概略的に、生物学的サンプルが固着された顕微鏡スライドと、細胞、核などの関心構造を吟味する際に上記生物学的サンプルの複数の個別領域に焦点合わせすべく使用される少なくともひとつの対物レンズとを採用する。顕微鏡は歴史的に、接眼鏡、鏡筒、および、対物レンズなどの光学的部分と;腕部、関節部および脚部から構成されるフレーム;および、視認のために上記顕微鏡スライドが位置される平坦な表面を有する載荷台と;から構成されてきた。
【0003】
通常は略々1インチ×3インチである薄寸で矩形状のガラス片である顕微鏡スライドはこれまで、顕微鏡載荷台上へと手動的に装填されてきた。積層物もしくは格納トレイからスライドを取り出し、操作者は該スライドを載荷台上へと載置する。操作者はそれを、検査領域を握らない様にして、または、使用されるならばカバースライドを粉砕しない様にして、自身の指を使用して、フリーハンドでもしくは一定の停止部に当接させて位置決めする。スライドが一旦検査されたなら、操作者はスライドを取り外すと共に、それを上記トレイ内へと交換するか、積層物へと戻す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】なし
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動式顕微鏡検査法はスライド上に収容されたサンプルの迅速な検査に好適とされて来たが、依然として、操作者がスライドを操作する必要がある。更に、診断要件および新たな検査手順によれば、更に高い精度および更に短い処理時間が必要とされる。また、かつては手作業で調製されたサンプルは更に自動化されつつあり、スライドの枚数は数百枚に増加し、且つ、特に倍率レベルが高まるにつれて汚染およびエラーを最小限とするするために更に清浄なプロセスが必要とされる。
【0007】
次第に厳しくなるこれらの制約条件の各々によれば、操作者は、取扱いに影響されやすい条件に対して数百枚のスライドを検査するという困難な要件に直面する一方、患者は、全てのサンプルがチェックおよび照合されるまで待機せねばならない。傾向としては、検査されるサンプルの複雑さおよび規模が大きくなるだけと思われることから、更に正確、迅速かつ清浄な顕微鏡スライドの操作法に対する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示された実施例は、以下のものを包含する:
【0009】
基部構造と;貫通空隙を画成するスリーブであって、該スリーブは第1端部および第2端部を有し、該第2端部は上記基部に対して締着され、且つ、該スリーブは上記基部に対して直角に配向されるというスリーブと;上記スリーブ貫通空隙内における当該長手シャフトの軸心的な長手方向移動を許容する様式で部分的に上記スリーブ貫通空隙内に位置決めされて仮想的長手軸心の回りで対称的である長手シャフトであって、該長手シャフトはシャフト第1端部およびシャフト第2端部を有し、上記シャフト第2端部は上記スリーブ貫通空隙内に位置され、且つ、上記シャフト第1端部は上記スリーブ第1端部を越えて突出し且つ該シャフト第1端部は上記スリーブ仮想的長手軸心に対して直交する平面内における平行軌道構造を含む、という長手シャフトと;上記スリーブ第1端部上の上記各平行軌道構造間に摺動可能に位置されたプレートであって、該プレートは第1プレート端部および第2プレート端部を有し、上記第1プレート端部もしくは第2プレート端部の一方は、同一平面内における少なくとも2つの分岐部を有することで顕微鏡スライドの幅に対応する空隙領域を各分岐部間に画成するフォークの形態を有し、上記フォークはその各縁部に沿い顕微鏡スライドの把持を許容すべく作用的に構成された把持構造を有する、というプレートと;を備えて成る顕微鏡スライド操作デバイス。上記顕微鏡スライド操作デバイスにおいて、上記フォークは、上記同一平面に対して平行である別の平面における付加的な平坦分岐部を有する。実施例において、顕微鏡スライド操作デバイスは:上記スリーブと上記長手シャフトとの間に作用的に接続されて該長手シャフトを線形的に並進させる第1線形アクチュエータと;上記長手シャフトに対して直交する平面内において上記平行軌道構造を回転的に並進させる回転アクチュエータであって、上記長手シャフトと、上記基部構造および上記平行軌道構造から成る群から選択された要素との間に作用的に接続された回転アクチュエータと;上記プレートを線形的に並進させる第2線形アクチュエータであって、上記プレートと上記平行軌道構造との間に作用的に接続された第2線形アクチュエータと;を更に備えて成る。これに加えて上記実施例は、上記構造的基部に関する上記二分岐フォークの位置を遠隔測定すべく作用的に構成された少なくともひとつのの位置決定センサを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の顕微鏡スライド装填/降荷機構の実施例の概略図である。
【図2】送給アームに完全に係合した顕微鏡スライドを示す図1と同様の図である。
【図3】送給アームに完全に着座した顕微鏡スライドを示す図2と同様の図である。
【図4】支持支柱の長手軸心の回りに回転された送給アームを示す図3と同様の図である。
【図5】スライド載荷台に対して顕微鏡スライドと共に整列された送給アームを示す図である。
【図6】再び伸張された送給アームを示す図である。
【図7】顕微鏡スライドがスライド載荷台により保持された後に縮動された送給アームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施例において顕微鏡スライド装填/降荷機構は、ひとつ以上の起動式継手を有するロボット的アームであって、格納媒体からスライドを取出し、該スライドを顕微鏡の光路内に任意の所望の配向で位置決めし、且つ、引き続いてスライドを指定された格納媒体へと戻す能力を提供するというロボット的アームである。この特徴によれば、直立および反転の顕微鏡検査法の両方が促進される。上記ロボット的アームは、3本の直交した変位軸心および3本の直交した配向軸心において独立的にスライドを位置決めする機能を提供する。
【0012】
図1を参照すると、顕微鏡スライド装填/降荷機構の実施例の概略図が開示される。
【0013】
図1に示された如く、顕微鏡スライド60はスライド収集庫20から送給アーム50の一端内へと移送される。この実施例において、スライド載荷台10に対して90°回転して示された送給アーム50は、該送給アーム50の長手中心線がスライド収集庫20からの顕微鏡スライド60と一致する様に整列される。更に送給アーム50は、支持支柱40に対して伸張され且つスライド収集庫20に向けられた側方位置において示される。送給アーム50に対して一端にて作用的に接続されると共に、支持支柱40は、動作の間における支持を提供する基部30に対して更に接続される。
【0014】
図1における代替実施例において、支持支柱40は垂直方向に伸張かつ縮動することにより、動作に対する更なる機能強化を提供する。別実施例において支持支柱40は、基部30の回りで、または、その中央区画の回りで、または、その上端部の回りで回転し得る。上記スライド装填/降荷機構はひとつより多いスライド収集庫20を取り扱い得ると共に、更に別の実施例において送給アーム50は2つ以上の端部を有し得る。
【0015】
上記スライド送給アームは、調製された複数の顕微鏡スライドであって手動的もしくは自動的に調製され得るという複数の顕微鏡スライドをカセットに対して装填し、且つ、装填されたカセットからスライドを降荷すべく使用され得る。上記スライド送給アームは顕微鏡スライドを載荷台へと降荷することが図示されているが、上記スライド送給アームは、任意の表面へと、または、調製済みスライドに関してフロントエンド・アプリケーションを実施する任意のデバイスへと、顕微鏡スライドを降荷し得ることを理解すべきである。スライドの装填および降荷は、同一のスライド送給アームを用いて実施され得るか、または、2本以上のスライド送給アームの使用を伴い得る。
【0016】
カセットに対するスライドの装填/降荷は、カセット内の次のスライドを装填アームが捕捉し得る位置まで該次のスライドがもたらされ得るという様式での該カセットの移動を伴い得る。故に上記カセットは、モータ駆動式の送りネジのアクチュエータにより変位される如く所定方向に移動する基台上に位置され得る。上記カセット自体が所定方向に(たとえば、先に降荷された棚部の垂直位置へと次の棚部が到達するのを許容する垂直運動で)移動され得るか、または、上記カセットは、先行する棚部が降荷もしくは装填された後に棚部の各々が上方に運動され得るという歯棹機構を含み得る。
【0017】
図1に続いて図2は、送給アーム50に完全に係合された顕微鏡スライド60を示している。
【0018】
上記送給アームに対してスライドを係合させるためには、スライドの両側部を二重分岐状フォークの分岐部の各々の間に沿わせた該スライドの摩擦保持、フォーク表面に対する空気吸引などの、多くの機構を必要とし得る。上記フォークは、スライドを捕捉すべく使用される分岐部表面における弾性構造を含むことで、フォーク分岐部同士の間に保持されたときにスライドの両側部に対する張力に対処し得る。上記弾性構造としては、限定的なものとしてで無く、弾性材料;スプリングを含む移動可能なハウジング;および、上記分岐部に関して屈曲可能なタブを形成すべく構成された可撓材料片;が挙げられる。上記フォークは、他の分岐部とは異なる平面内に在る分岐部を含み得る。たとえば上記フォークは、ひとつの平面内における二分岐フォークであって、該フォークに対して取付けられた別の平面内における平坦な分岐部を有するというフォークから成り得る。故に上記平坦な分岐部は、上記第1の平面において上記2つの分岐部間に保持されたときにスライドを移動させる上で付加的な支持を提供し得る。
【0019】
更に図2に続く図3は、顕微鏡スライド60がスライド収集庫20を離間する如く送給アーム50が縮動され乍ら、該送給アーム50内に完全に着座する顕微鏡スライド60を示している。
【0020】
図3に続く図4は、支持支柱40の長手軸心の回りで、スライド載荷台10に向けて回転された送給アーム50を示している。
【0021】
図5を参照すると、顕微鏡スライド60を受容する準備ができたスライド載荷台10に対し、送給アーム50は顕微鏡スライド60と共に整列される。図6に示された如く送給アーム50が再び伸張されたとき、顕微鏡スライド60はスライド載荷台10が該顕微鏡スライド60を保持し得る如く位置決めされる。顕微鏡スライド60がスライド載荷台10により一旦堅固に保持されたなら、送給アーム50は図7に示された如く縮動され得る。
【0022】
好適実施例に関する陳述
本発明は好適実施例に関して記述されたが、当業者であれば、本発明に対しては添付の各請求項により定義された本発明の精神または有効範囲から逸脱せずに種々の変更および/または改変が為され得ることを容易に理解し得よう。付加的もしくは代替的な詳細、特徴および/または技術的背景の教示に対して適切な場合、本明細書において引用された全ての文献は言及したことにより本明細書中に援用される。
【符号の説明】
【0023】
10 スライド載荷台
20 スライド収集庫
30 基部
40 支持支柱
50 送給アーム
60 顕微鏡スライド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部構造と、
貫通空隙を画成するスリーブであって、該スリーブは第1端部および第2端部を有し、該第2端部は上記基部に対して締着され、且つ、該スリーブは上記基部に対して直角に配向されるというスリーブと、
上記スリーブ貫通空隙内における当該長手シャフトの軸心的な長手方向移動を許容する様式で部分的に上記スリーブ貫通空隙内に位置決めされて仮想的長手軸心の回りで対称的である長手シャフトであって、該長手シャフトはシャフト第1端部およびシャフト第2端部を有し、上記シャフト第2端部は上記スリーブ貫通空隙内に位置され、且つ、上記シャフト第1端部は上記スリーブ第1端部を越えて突出し且つ該シャフト第1端部は上記スリーブ仮想的長手軸心に対して直交する平面内における平行軌道構造を含む、という長手シャフトと、
上記スリーブ第1端部上の上記各平行軌道構造間に摺動可能に位置されたプレートであって、該プレートは第1プレート端部および第2プレート端部を有し、上記第1プレート端部もしくは第2プレート端部の一方は、同一平面内における少なくとも2つの分岐部を有することで顕微鏡スライドの幅に対応する空隙領域を各分岐部間に画成するフォークの形態を有し、上記フォークはその各縁部に沿い顕微鏡スライドの把持を許容すべく作用的に構成された把持構造を有する、というプレートとを備えて成る、
顕微鏡スライド操作デバイス。
【請求項2】
前記フォークは、前記同一平面に対して平行である別の平面における付加的な平坦分岐部を有する、請求項1記載の顕微鏡スライド操作デバイス。
【請求項3】
前記スリーブもしくは前記長手シャフトに対して作用的に関係付けられた第1線形アクチュエータであって、上記スリーブ内における上記長手シャフトの線形移動を伝えるという第1線形アクチュエータと、
前記平行軌道構造の回転運動を伝える回転アクチュエータであって、少なくとも前記基部構造、上記平行軌道構造、前記プレート、および、上記長手シャフトから成る群から選択された要素に対して作用的に関係付けられるという回転アクチュエータと、を更に備えて成る、請求項1記載の顕微鏡スライド操作デバイス。
【請求項4】
基準点に関する前記二分岐フォークに関する位置的情報を遠隔測定すべく作用的に構成された少なくともひとつの位置決定センサを更に備えて成る、請求項4記載の顕微鏡スライド操作デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−500615(P2010−500615A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523919(P2009−523919)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/075158
【国際公開番号】WO2008/019308
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(504133615)イコニシス インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】