説明

類似画像領域検出方法、装置及びプログラム

【課題】検出対象とする画像領域を事前に指定することなく任意の画像領域を検出できるようにし、しかも当該任意の検出領域が画面内で移動した場合でも検出可能とする。
【解決手段】制御ユニット1の制御の下で、表示タイミングの異なる2枚の画像データを重ね合わせた状態で、その一方の画像データの位置座標を二次元方向(X軸、Y軸の各方向)に一定量シフトするごとに、当該画像データ間で画素ごとにそのRGB値の一致度数を計算してその全画素の合計を求め、この一致度数合計が最大値を示すときの画像データのシフト位置座標から一致画像領域を検出するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばパーソナル・コンピュータのディスプレイに表示される2枚の画像から情報内容が類似する領域を検出するための類似画像領域検出方法、装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナル・コンピュータやスマートホン、タブレット型端末等の情報端末には、ユーザが興味を持っている情報が表示される傾向性がある。そこで、ユーザの興味を推定する手法の1つとして、例えばパーソナル・コンピュータのディスプレイに表示される表示情報や通信先の履歴を記録してこの記録情報を分析することによりユーザの関心事や嗜好を推定する手法が検討されている。
【0003】
上記記録情報の分析技術としては、例えば検索対象とする情報を予め指定してこの情報を画像中から部分的に抽出する技術(例えば特許文献1を参照)や、入力画像を背景画像と比較してその差を求めこの差を閾値処理することにより移動物体の画像を抽出する技術(例えば特許文献2と称する)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−327065号公報
【特許文献2】特開平5−94536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された技術では事前に検索対象となる画像を指定しておかなければならない。このため、指定から漏れた検出対象については検出することができず、また検索対象の画像を事前に指定する操作がユーザにとっては負担になる。また特許文献2及び3に記載された技術では、画面中において物体が移動した場合にはその移動領域を検出することができない。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、検出対象とする画像領域を事前に指定することなく任意の画像領域を検出でき、しかも当該任意の検出領域が画面内で移動した場合でも検出可能とした類似画像領域検出方法、装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためにこの発明の1つの観点は、表示タイミングの異なる第1及び第2の画像データの位置を予め設定した画素ブロック単位でシフト移動させるごとに、当該第1の画像データと第2の画像データとの画素値を比較し、その比較結果に基づいて、画素値が予め設定した差の範囲内で一致する領域を前記第1又は第2の画像データ中から類似画像領域を表す情報として抽出するようにしたものである。
【0008】
したがって、検出対象の画像を予め指定することなく、2枚の画像データ中の類似画像を検出することが可能となり、しかも2枚の画像データを相対的にシフト移動しながら類似画素を検出するようにしているので、類似画像が画像データ中のどこに移動していても当該類似画像領域を抽出することが可能となる。
【0009】
また、この発明の1つの観点は以下のような態様を備えることを特徴とする。
第1の態様は、第1の画像データに対する第2の画像データの位置を前記画素ブロック単位でシフト移動させるごとに、先ず当該第1の画像データと第2の画像データとの間でその画素値を前記画素ブロック単位で比較して、当該画素値が予め設定した差の範囲内で一致した場合に当該画素ブロックの一致度数を計算し、この計算された画素ブロックの一致度数の、前記第1又は第2の画像データ全体における合計値を計算する。続いて、今回のシフト移動により得られた前記一致度数の合計値を、第2の記憶手段に保存されている前回のシフト移動までに得られた一致度数の合計値と比較し、今回のシフト移動により得られた一致度数の合計値が前記保存されている値より大きい場合に、当該保存されている値を今回のシフト移動により得られた一致度数の合計値に更新すると共に、今回のシフト移動位置を表す情報を第3の記憶手段に保存する。そして、全てのシフト移動が終了した後、前記第3の記憶手段に記憶されているシフト移動位置を表す情報を読み出し、このシフト移動位置をもとに前記第1又は第2の画像データから当該第1及び第2の画像データ間の類似画像領域を抽出するようにしたものである。
【0010】
したがって、シフト移動が行われるごとに、今回のシフト移動により得られた一致度数の合計値が、保存されている前回のシフト移動までに得られた一致度数の合計値と比較され、今回のシフト移動により得られた一致度数の合計値が上記保存されている値より大きい場合に、当該保存されている値が今回のシフト移動により得られた一致度数の合計値に更新されると共に、今回のシフト移動位置を表す情報が保存される。このため、シフト移動が行われるごとに得られた一致度数の合計値とシフト移動位置の情報を全て保存する場合に比べ、記憶手段の記憶容量を減らすことができる。
【0011】
第2の態様は、第1の画像データと第2の画像データとの間でそのRGB値を画素ブロック単位で比較し、RGB値が一致した場合に係数を1、一致しない場合に係数を0として当該画素ブロックの一致度数を計算するものである。
したがって、第1及び第2の画像データがカラー画像の場合でもその画素ブロックの一致度数を算出することができ、しかも一致するか不一致かに応じて係数1又は0を掛けるだけで一致度数が計算されるので、簡単な計算処理により一致度数を算出することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
すなわちこの発明の1つの観点によれば、検出対象とする画像領域を事前に指定することなく任意の画像領域を検出でき、しかも当該任意の検出領域が画面内で移動した場合でも検出可能とした類似画像領域検出方法、装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態に係る類似画像領域検出装置の機能構成を示すブロック図。
【図2】図1に示した類似画像領域検出装置による類似画像領域検出処理の処理手順と処理内容を示すフローチャート。
【図3】図2に示した類似画像領域検出処理の動作説明に使用する画像の一例を示す図。
【図4】図2に示した類似画像領域検出処理の動作説明に使用する画像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[一実施形態]
(構成)
図1は、この発明の一実施形態に係る類似画像領域検出方法を実施するための機能を備えた情報通信端末の構成を示すブロック図である。
この実施形態における情報通信端末は、ユーザが使用するパーソナル・コンピュータ、スマートホン或いはタブレット型端末からなり、制御ユニット1と、記憶ユニット2と、入出力インタフェースユニット3と、通信インタフェースユニット4を備えている。
【0015】
入出力インタフェースユニット3には、キーボードやマウス、或いはタブレットを使用した入力デバイス31と、液晶又は有機ELを用いた表示デバイス32が接続されている。入出力インタフェースユニット3は、入力デバイス31において入力された操作情報を制御ユニット1に与えると共に、制御ユニット1から出力された表示情報を表示デバイス32に表示させる。
【0016】
通信インタフェースユニット4は、制御ユニット1の制御の下で、通信相手となるサーバ又は端末との間で図示しない通信ネットワークを介して情報通信を行う。通信ネットワークは、例えばインターネット等のIP(Internet Protocol)網と、このIP網にアクセスするためのアクセス網とから構成される。アクセス網としては、有線加入者網、LAN(Local Area Network)、CATV(Cable Television)網、携帯電話網や無線LAN等の移動通信網が用いられる。
【0017】
記憶ユニット2は、記憶媒体としてHDDやSSD等の随時書込み及び読出しが可能な不揮発性メモリを使用したもので、この実施形態を実施する上で必要な記憶領域として、検査対象画像記憶部21と、初期位置記憶部22と、暫定最大値保持部23と、ずらし位置保持部24を備えている。
【0018】
検査対象画像記憶部21は、表示デバイス32に表示された画像データを表示デバイス32における表示履歴を表す情報として記憶するために用いられる。
初期位置記憶部22には、後述する画像ずらし制御部121が2枚の画像データをずらし制御する際に使用する、ずらし対象となる画像データの初期位置が記憶されている。
暫定最大値保持部23は、後述する一致度数計算部123により計算された一致度数合計の暫定最大値を保持するために用いられる。
ずらし位置保持部24は、上記暫定最大値が得られたときの画像データのずらし位置を表す情報を記憶するために用いられる。
【0019】
制御ユニット1は、中央処理ユニット(Central Processing Unit;CPU)を備え、この実施形態を実施する上で必要な処理機能として、画面キャプチャ処理部11と、一致領域検出部12と、検出結果送信部13を有している。これらの処理機能は何れも図示しないプログラムメモリに格納されたプログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
【0020】
画面キャプチャ処理部11は、表示デバイス32に表示されている1画面の情報を入出力インタフェースユニット3から予め設定された一定の時間間隔で取り込む。そして、1画面の情報を取り込むごとに、この取り込まれた1画面の画面イメージを画像データの形式で抽出して、この画面イメージを表す画像データを検査対象画像記憶部21に記憶させる処理を実行する。
【0021】
一致領域検出部12は、上記検査対象画像記憶部21に記憶された複数の画像データのうち、検査対象となる2枚の画像データ間で同一又は類似する情報が表示されている領域を検出するもので、画像ずらし制御部121と、画像比較処理部123と、一致度数計算部123と、一致領域特定部124を有する。
【0022】
画像ずらし制御部121は、上記検査対象画像記憶部21から検査対象となる、表示タイミングの異なる2枚の画像データを読み出す。そして、これらの画像データを重ね合わせた状態で、その一方の画像データの位置座標を固定とし、他方の画像データの位置座標を二次元方向(X軸、Y軸の各方向)に一定量ずつずらす(シフト移動させる)制御を行う機能を有する。このとき、ずらし位置の基点は初期位置記憶部22に記憶された初期位置座標に設定し、1回のシフト量は1画素に設定する。なお、複数画素からなる画素ブロックを構成してこの画素ブロックを1回のシフト量としてもよい。
【0023】
画像比較処理部122は、上記画像ずらし制御部121によりずらし対象の画像データが1回シフト移動されるごとに、このずらし対象の画像データと固定されている画像データの重なり合っている領域の相対する画素同士を比較し、そのRGB(Red-Green-Blue)値が一致するか否かを判定する機能を有する。
【0024】
一致度数計算部123は、以下の処理機能を有する。
(1) 上記画像比較処理部122による判定結果をもとに、RGB値が一致すると判定されたときに係数を“1”とし、一致しないと判定されたときに係数を“0”として、当該画素の一致度数を計算する処理。
(2) (1) により計算された各画素の一致度数を、上記重なり合っている領域中の全ての画素について合計する処理。
(3) (2) により求められた一致度数の合計値を、暫定最大値保持部23に保持された、前回のシフト移動までに得られた一致度数合計の最大値と比較する。そして、今回のシフト移動により得られた一致度数合計が、前回のシフト移動までに得られた一致度数合計の最大値より大きければ、暫定最大値保持部23に保持されている値を今回のシフト移動により得られた一致度数合計に更新し、以下であれば暫定最大値保持部23に保持されている値を維持する処理。
(4) (3) により、暫定最大値保持部23に保持されている値を今回のシフト移動により得られた一致度数合計に更新された場合に、ずらし位置保持部24に保持されているずらし位置座標を今回のシフト移動によるずらし位置座標に更新する処理。
【0025】
一致領域特定部124は、全てのずらし位置における上記一致度数計算部123による(1) 〜(4) の処理が終了した後に、上記ずらし位置保持部24に最終的に保持されているずらし位置座標を読み出し、この読み出されたずらし位置座標と固定座標とから表示画像が一致する領域を特定する。そして、この特定された領域に含まれる画像データを上記ずらし対象の画像データ又は固定されている画像データから抽出する機能を有する。
【0026】
検出結果送信部13は、上記一致領域特定部124により特定された一致領域に表示されていた画像データを、ユーザの識別情報と共に、通信インタフェースユニット4から要求元のサービス提供事業者の端末へ送信する機能を有する。
(動作)
以上のように構成された情報通信端末による類似画像領域の検出処理動作を説明する。図2はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
なお、ここでは複数のアプリケーション・プログラムが起動し、これらのアプリケーション・プログラムによりWebサイトから取得されたコンテンツや記録媒体から読込まれたコンテンツが表示デバイス32に異なるウィンドウにより表示されているものとして説明を行う。各コンテンツはテキストデータ、画像データ及び音楽データの何れを含むものでもよい。
【0027】
(1)表示画面のキャプチャ処理
上記複数のコンテンツがウィンドウ表示された状態で、制御ユニット1は画面キャプチャ処理部11を起動する。そして、この画面キャプチャ処理部11の制御の下で、表示デバイス32に表示されている1画面の表示情報を入出力インタフェースユニット3から予め設定された一定の時間間隔で取り込み、この1画面の表示情報を取り込むごとに、当該1画面の画面イメージを画像データの形式で取得タイミングを表す情報と関連付けて検査対象画像記憶部21に記憶させる。したがって、検査対象画像記憶部21には、上記表示デバイス32に表示された画面イメージの時系列変化を表す画像データの集合が蓄積されることになる。
【0028】
(2)一致領域検出処理
制御ユニット1は、一致領域検出部12の制御の下で、先ずステップS1により、上記検査対象画像記憶部21から検査対象となる2枚の画像データ、例えば表示タイミングが一定時間離れている2枚の画像データを読み出し、この読み出された2枚の画像データの一方をずらし画像、他方を固定画像にそれぞれ設定する。そして、ステップS2により初期位置記憶部22からずらし制御の初期位置座標を読み出す。
【0029】
制御ユニット1は、次にステップS3に移行し、このステップS3により以下のように一致領域の検出処理を実行する。すなわち、先ずステップS31により、上記ずらし画像のずらし位置座標を上記読み出された初期位置座標に設定する。次にステップS32において、ずらし画像と固定画像とを重ね合わせたと仮定した状態で、重なる領域に含まれる全ての画素について上記ずらし画像及び固定画像のRGB値をそれぞれ検出する。
【0030】
そしてステップS33において、上記各画素の1つを選択し、当該画素について検出された各RGB値を比較して一致するか否かを判定する。このとき、一致するか否かの判定は完全一致としてもよいが、予め設定された差の範囲内で一致しているか否かを判定するものとしてもよい。
【0031】
上記ステップS33による判定の結果、各RGB値が一致したとする。そうすると、一致領域検出部12はステップS34に移行し、当該画素についての一致度数を計算してその結果を制御ユニット1内の作業メモリに保存する。この一致度数の計算は、RGB値が一致したときの係数として“1”を用意しておき、基準値に対しこの一致係数“1”を掛けることにより行われる。例えば、基準値が「1」であれば一致度数は「1」となる。
【0032】
一方、上記ステップS33による判定の結果、RGB値が一致しなかったとする。この場合には、ステップS35に移行し、上記重なる領域に含まれる全ての画素についてRGB値の一致判定処理が終了したか否かを判定する。この判定の結果、未判定の画素が残っていれば、ステップS33に戻ってこの未判定の画素の1つを選択して上記RGB値の一致判定処理を行う。以後、未判定の画素が無くなるまで未判定の各画素について以上の処理を繰り返す。
【0033】
上記ステップS35において、全画素についてRGB値の一致判定処理が終了すると、一致領域検出部121は次にステップS36に移行し、上記ステップS34により算出され保存されている各画素の一致度数を、上記重なり合っている領域中の全ての画素について合計する。そして、この一致度数の合計値を、暫定最大値保持部23に保持された、前回のシフト移動までに得られた一致度数合計の最大値と比較する。
【0034】
この比較の結果、今回のシフト移動により得られた一致度数合計が、前回のシフト移動までに得られた一致度数合計の最大値より大きければ、ステップS37において、暫定最大値保持部23に保持されている値を今回のシフト移動により得られた一致度数合計に更新する。またそれと共に、ずらし位置保持部24に保持されている前回のシフト移動までのずらし位置座標を、今回のシフト移動によるずらし位置座標に更新する。
【0035】
なお、今回のシフト移動により得られた一致度数合計が、前回のシフト移動までに得られた一致度数合計の最大値以下であれば、暫定最大値保持部23に保持されている値と、ずらし位置保持部24に保持されているずらし位置座標を維持する。
【0036】
上記暫定最大値及びずらし位置座標の更新処理が終了すると、制御ユニット1は全てのシフト移動を終了したか否かをステップS4により判定し、まだ終了していなければステップS3に戻ってずらし対象の画像データを1画素分シフトさせ、上記した一致領域の検出処理を実行する。以後、全てのシフト移動を終了するまで、ずらし対象の画像データを1画素分シフトしながら、上記ステップS3による一致領域の検出処理を繰り返す。なお、ずらし対象の画像データの1回のシフト移動量は、1画素以外に複数の画素により構成される画素ブロックとしてもよい。
【0037】
一方、上記全てのシフト移動位置における一致領域の検出処理が終了すると、制御ユニット1は一致領域特定部124を起動する。そして、この一致領域特定部124の制御の下、先ず上記ずらし位置保持部24に最終的に保持されているずらし位置座標を読み出し、この読み出されたずらし位置座標と固定座標とから表示画像が一致する領域を特定する。そして、この特定された領域に含まれる部分画像データを上記ずらし対象の画像データ又は固定されている画像データから抽出する。
【0038】
例えば、上記暫定最大値が得られたときのずらし位置座標をもとに、当該ずらし位置座標において算出された一致度数が“1”の画素の集合を図示しない一致画素記憶部から読み出し、この読み出された一致画素の集合から一致画像領域を特定する。そして、この特定された一致画像領域に含まれる部分画像データを固定画像データから抽出する。
【0039】
以上述べた一致領域検出処理の具体例を図3及び図4を用いて説明する。
いま図3に示すようにずらし画像として画像データD1を、また固定画像として画像データD2を選択したとする。そして、画像データD1と画像データD2を重ね合わせ、重なる領域に含まれる全ての画素についてRGB値を検出してその一致度数を計算し、さらにこの一致度数合計を計算してその暫定最大値を保持する。この結果、上記図3に示した画像データD1,D2の場合、ウィンドウB1−1とB1−2が同一内容を表示しているウィンドウであるとすれば、これらの画像データD1,D2を図4に示すようなシフト位置で重ねたとき、一致度数合計が最大値を示す。すなわち、上記ウィンドウB1−1とB1−2の全域が重なったときに一致度数合計は最大値を示すことになる。したがって、このときの一致度数が“1”となる画素集合の領域を保存しておけば、この一致度数が“1”となる画素集合の領域をそのまま一致画像領域とすることができる。
【0040】
(3)検出結果の送信
制御ユニット1は、最後にステップS5において検出結果送信部13を起動する。そして、この検出結果送信部13の制御の下、先ず上記抽出された一致画像領域に含まれる部分画像データの内容を認識するための処理を行う。認識処理の方法としては、例えば文字認識によりテキスト情報を抽出するものや、QRコード等のコード情報を抽出するものが適用できる。また、予め抽出されることが予測される画像等については、当該予測画像を参照画像として予め記憶ユニット2に記憶しておき、この予測画像との類似度をもとに画像データの内容を認識するようにしてもよい。
なお、画像認識処理の実行タイミングについては、時間的なパラメータや領域画像データに関するパラメータ、ユーザの操作や外部の端末等からのアクセスなどをトリガとして任意に設定することができる。
【0041】
次に制御ユニット1は、上記検出結果送信部13の制御の下、上記一致画像領域に含まれる部分画像データの内容を認識したデータを、ユーザの識別情報と共に通信インタフェースユニット4からサービス提供事業者のサーバ又は端末へ送信する。このとき、サービス提供事業者のアドレス又はURLは記憶ユニット2に予め登録してあるものを使用する。なお、上記検出結果データの送信処理は、サービス提供事業者の端末から解析データの取得要求が送られた時に実行するようにしてもよい。
【0042】
サービス提供事業者は、上記解析データを受け取ると、当該解析データをもとにユーザの興味の対象を推定する。そして、この興味の推定結果をもとに当該ユーザに提供すべき、例えば商品やサービス、イベントに関する情報を選択し、配信する。
【0043】
(実施形態の作用効果)
以上詳述したようにこの実施形態では、表示タイミングの異なる2枚の画像データを重ね合わせた状態で、その一方の画像データの位置座標を二次元方向(X軸、Y軸の各方向)に一定量シフトするごとに、当該画像データ間で画素ごとにそのRGB値の一致度数を計算してその全画素の合計を求め、この一致度数合計が最大値を示すときの画像データのシフト位置座標から一致画像領域を検出するようにしている。
【0044】
したがって、検出対象の画像を予め指定することなく、2枚の画像データ中の類似画像を検出することが可能となり、しかも2枚の画像データを相対的にシフト移動しながら類似画素を検出するようにしているので、類似画像が画像データ中のどこに移動していても当該類似画像領域を抽出することが可能となる。
【0045】
またこの実施形態では、一致領域を検出する際に、シフト移動が行われるごとに、今回のシフト移動により得られたRGB値の一致度数合計を、保存されている前回のシフト移動までに得られた一致度数合計と比較している。そして、今回のシフト移動により得られた一致度数合計が上記保存されている値より大きい場合に、当該保存されている値が今回のシフト移動により得られた一致度数合計に更新すると共に、今回のシフト移動位置を表す情報を保存するようにしている。このため、シフト移動が行われるごとに得られた一致度数合計とシフト移動位置の情報を全て保存する場合に比べ、記憶ユニット2の記憶容量を減らすことができる。
【0046】
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、画像データをX軸及びY軸の両方向に、つまり二次元方向にシフト移動させるようにしたが、ウィンドウが水平方向又は垂直方向にしか移動しない画像データであれば、X軸方向又はY軸方向の何れか一方にのみシフト移動させるようにしてもよい。
【0047】
また前記実施形態では、画像比較処理部122による判定結果をもとに、RGB値が一致すると判定されたときに係数を“1”とし、一致しないと判定されたときに係数を“0”として、当該画素の一致度数を計算するようにした。しかしそれに限らず、RGB値が一定の差の範囲内で一致すると判定された場合に、当該RGB値の差分を求め、その差分値に応じて、差分値が小さいほど大きくなるように設定した係数を基準値に掛けるようにしてもよい。このようにすると、RGB値が一致すると判定された場合でも、その一致の程度、つまり類似度を定量化して同一領域の抽出処理に使用することができる。
【0048】
その他、情報通信端末の種類や構成、一致領域検出処理の処理手順及び処理内容、検査対象の画像の種類等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…制御ユニット、2…記憶ユニット、3…入出力インタフェースユニット、4…通信インタフェースユニット、11…画像キャプチャ処理部、12…一致領域検出部、13…検出結果送信部、21…検査対象画像記憶部、22…初期位置記憶部、23…暫定最大値保持部、24…ずらし位置保持部、31…入力デバイス、32…表示デバイス、121…画像ずらし制御部、122…画像比較処理部、123…一致度数計算部、124…一致領域特定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、各々が表示画面を構成する複数の画像データを第1の記憶手段に格納する過程と、
前記コンピュータが、前記第1の記憶手段から、表示タイミングの異なる第1及び第2の画像データを読み出し、この読み出された第1の画像データに対する第2の画像データの位置を予め設定した画素ブロック単位でシフト移動させるごとに、当該第1の画像データと第2の画像データとの画素値を比較する比較過程と、
前記コンピュータが、前記比較過程による画像データの比較結果に基づいて、画素値が予め設定した差の範囲内で一致する領域を前記第1又は第2の画像データ中から類似画像領域を表す情報として抽出する抽出過程と
を具備することを特徴とする類似画像領域検出方法。
【請求項2】
前記比較過程は、
第1の画像データに対する第2の画像データの位置を前記画素ブロック単位でシフト移動させるごとに、
当該第1の画像データと第2の画像データとの間でその画素値を前記画素ブロック単位で比較し、当該画素値が前記予め設定した差の範囲内で一致した場合に当該画素ブロックの一致度数を計算し、
前記計算された画素ブロックの一致度数の、前記第1又は第2の画像データ全体における合計値を計算し、
今回のシフト移動により得られた前記一致度数の合計値を、第2の記憶手段に保存されている前回のシフト移動までに得られた一致度数の合計値と比較し、今回のシフト移動により得られた一致度数の合計値が前記保存されている値より大きい場合に、当該保存されている値を今回のシフト移動により得られた一致度数の合計値に更新すると共に、今回のシフト移動位置を表す情報を第3の記憶手段に保存し、
前記抽出過程は、
全てのシフト移動が終了した後、前記第3の記憶手段に記憶されているシフト移動位置を表す情報を読み出し、
当該シフト移動位置をもとに、前記第1又は第2の画像データから当該第1及び第2の画像データ間の類似画像領域を抽出する
ことを特徴とする請求項1記載の類似画像領域検出方法。
【請求項3】
前記比較過程は、前記第1の画像データと第2の画像データとの間でそのRGB値を前記画素ブロック単位で比較し、RGB値が一致した場合に係数を1、一致しない場合に係数を0として当該画素ブロックの一致度数を計算することを特徴とする請求項2記載の類似画像領域検出方法。
【請求項4】
各々が表示画面を構成する複数の画像データを記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段から、表示タイミングの異なる第1及び第2の画像データを読み出し、この読み出された第1の画像データに対する第2の画像データの位置を予め設定した画素ブロック単位でシフト移動させるごとに、当該第1の画像データと第2の画像データとの画素値を比較する比較手段と、
前記比較手段による画像データの比較結果に基づいて、画素値が予め設定した差の範囲内で一致する領域を前記第1又は第2の画像データ中から類似画像領域を表す情報として抽出する抽出手段と
を具備することを特徴とする類似画像領域検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の類似画像領域検出方法が備える各過程を実現する処理を、コンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−84183(P2013−84183A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224768(P2011−224768)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】