説明

風力タービン用のローターブレード

【課題】ローターブレードの取付けを容易にし、かつローターブレードの取扱いに関して改善をなす。
【解決手段】本発明は、ローターブレード根部(25)と、ローターブレードチップ(26)と、ローターブレード根部(25)とローターブレードチップ(26)との間の中央ローターブレード領域と、ローターブレードのハンドリングのための、中央ローターブレード領域の少なくとも一つの貫通孔(30,32)とを具備してなる風力発電設備用のローターブレードに関し、少なくとも一つの貫通孔(30,32)は実質的に円筒形状のものであり、かつ拡張端部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電設備のポッドに連結されたローターハブに対してローターブレードを取り付ける方法、および風力発電設備用のローターブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電設備用のローターブレードは一般に公知である。風力発電設備の規模拡大および出力増大に伴って、ローターブレード寸法およびその固有重量もまた増大している。ゆえに部品を取り付けるには、固有重量が増大した荷をより高い所まで運ぶことができるクレーンが必要である。したがって必要なクレーンもまた大型のものとなる。
【特許文献1】独国特許出願公開第10141928号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ローターブレードの取付けを容易にし、かつローターブレードの取扱いに関して改善をなすことである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、請求項1記載のローターブレードによって達成される。
【0005】
風力発電設備のポッドに接続されるローターハブに対するローターブレードの取付け方法は、所定の第1のポジションへとローターハブを回転させ、ローターブレードを取り付け、ローターブレードを使用してローターハブを所定の第2のポジションへと回転させることによって達成され、ここでローターハブは、既に取り付けられた第1のローターブレードの重力作用の方向に回転させられる。
【0006】
ゆえに、ハブが比較的高い所にある風力発電設備にローターブレードを取り付ける場合でさえ、ローターハブ自体またはポッドを取り付けるのに十分なクレーンを使用できる。
【0007】
本発明による方法の特に好ましい実施形態では、ポッドは、第2のローターブレードが取り付けられる前に180度回転させられる。この処置によって、クレーンの位置を変えることなく、第2のローターブレードの取付けが可能になる。なぜならポッドの回転は、ローターブレードの配備位置が、クレーンが設置される、風力発電設備の側方に再び存在することを意味するからである。
【0008】
本方法のさらに好ましい発展に関して、ローターハブはさらなる所定のポジションへと第2のローターブレードを使用して回転させられ、ポッドは再び180度回転させられ、そして第3のローターブレードが取り付けられる。
【0009】
第3のローターブレードを取り付ける方法もクレーンの位置を変更することなく実施可能であり、しかもローターブレードは、クレーン位置の変更に係る煩雑で費用のかかる作業を省くことによって時間を節約して取り付けることができる。
【0010】
ハブの回転動作を特に簡単かつ効果的な方式で促進するため、クレーンはローターブレードと、特に好ましくはその貫通孔と連係でき、したがって、反対向きの力によって重力方向にローターブレードの回転動作を遅くすることができる。上記手法では、簡単な方式で回転を確実に制御しかつそれに影響を及ぼすことができる。
【0011】
本発明はまた風力発電設備用のローターブレードに関する。
【0012】
ローターブレードの取扱いに関して改善をなすため、ローターブレードはその所定の位置に少なくとも一つの貫通孔を有する。これは、特に、ローターブレードを介して連係できるハンドリング手段は、ストラップおよびラッシングケーブルを使用する公知のハンドリング方式よりも、一層迅速かつ安全に使用できるという利点をもたらす。
【0013】
好ましい実施形態では、ローターブレードは、その長手方向軸線に対して実質的に直交するよう延在する貫通孔を有する。これによって、ローターブレードの貫通孔の向きに従って、上記ローターブレードは実質的に水平な姿勢であるいは実質的に垂直な姿勢で取り扱うことができる。
【0014】
特に好ましい特徴に関し、上記貫通孔はローターブレードの負圧面とその正圧面との間に延在し、したがってフェザリング姿勢に似た実質的に水平な姿勢でローターブレードを取り扱うことを可能にする。この場合、ローターブレードは、それに作用する風にとって可能な限り最も小さな表面積をもたらし、したがって当然ながらまた可能な限り最小限しか、その影響を受けない。
【0015】
本発明の特に好ましい実施形態では、ローターブレードは、その長手方向軸線上の少なくとも一つの所定位置において、二つの相互に交差する貫通孔を有し、この貫通孔は、ローターブレードの長手方向軸線に対して直交するよう延在しかつたとえば局所的要因に依存したローターブレードの融通の利く取扱いを可能にする。
【0016】
さらに有利な実施形態は付随する請求項で言及されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明についてさらに詳しく説明する。
【0018】
図1の平面図はローターブレード21の概略図である。ローターブレード21はローターブレード根部25とローターブレードチップ26との間でその長手方向に二つの貫通孔30,32を有する。貫通孔32はローターブレードチップ26の領域に設けられ、一方、貫通孔30はローターブレード根部付近の領域に配置されている。この点で、風力発電設備のローターハブに対するその取付け時にローターブレードの安全かつ確実なハンドリングが保証されるよう上記位置は設定される。孔30,32の位置は、ローターブレード21の荷重受け構造に関する接続を考慮して設定される。
【0019】
図2は、ただ一つの貫通孔30を備えたローターブレード21の代替実施形態を示す。この単一の貫通孔30はローターブレードの重心に配置されるのが適切であり、これによってブレードはまた、ハンドリング手段を用いて安全に扱える。この場合も当然ながら、荷重受け構造に対する接続が考慮される。
【0020】
二つ以上の貫通孔を備えたさらなる実施形態も可能である。
【0021】
図3および図4は例として貫通孔の代替実施形態を示す。
【0022】
図3は円筒形の貫通孔30,32を示し、これは適当なカバー部材によって閉塞可能である。
【0023】
図4は貫通孔30,32を示し、これはやはり中央部分が円筒形である。だが、貫通孔30,32の端部(これはローターブレード21の表面に隣接する)は拡張されている。この拡張によって、表面に同一平面をなすよう嵌め込まれたカバー部材により、一方ではゴミおよび水分が入り込むのを防止するため、そして他方ではローターブレードにおける流れが孔によって影響を受けるのを抑止するため、貫通孔30,32を覆うカバー部材の装備を改良できる。たとえばアンダーカット構造、ネジなどのようなそれ自体異なる公知の可能な手法が、そうしたカバー部材(図示せず)を固定するために考慮されるべきである。
【0024】
図5は、風力発電設備のローターハブにローターブレードを取り付けるための本発明による方法の開始状況を示す。これは好ましくは、図1および図2に示すように、貫通孔を備えたローターブレードの使用を含む。これらの図および続く図5ないし図13において、本発明を説明するのに必要な構成要素は非常に簡素化した形態で示されている。この点に関して、符号10は風力発電設備のパイロンを示し、12はポッドの向きを示し、14はローター円を示し、16,17および18はローターブレード接続部の方向を提供し、そして21,22および23は取り付けられたローターブレードを示す。
【0025】
ローターブレードを風力発電設備のポッドのローターハブへ取り付けるため、ハンドリング手段が貫通孔30,32に取り付けられる。これは、ローターハブを用いかつクレーンを用いてローターブレードを上方へとローターハブまで安全に搬送可能とするためである。貫通孔はローターブレードの負圧面と正圧面との間に延在するので、ローターブレードは水平姿勢で安全に取り扱うことができる。ローターブレードに上記貫通孔を設けたことにより、これらローターブレードの取付けに係る以下で説明する方法がかなり簡素化される。
【0026】
図5では、視方向に関して、ローター円14は風力発電設備のパイロン10の背後に配置され、しかもローターブレード接続部16,17,18は12時、4時、8時の位置に配置されている。
【0027】
第1の方法ステップでは、ローターハブは所定のポジションへと直ちに動かされる。この状況を図6に示す。この点に関し重要なことは、ローターブレード接続部17が今は9時の位置にあることである。したがって、ローターブレード16はその時、1時の位置にあり、しかもローターブレード接続部18は5時の位置にある。
【0028】
上記のようにして実現されたローターブレード接続部17の向きによって、今や、ローターブレード21を上記ローターブレード接続部に対して、水平向きで取り付けることが可能となる。この目的のためにローターブレードは適切な姿勢で捕らえられる。この捕捉作業は以下のさらなる説明のための前提とされ、これ以上は詳しく説明しない。
【0029】
第1のローターブレード21の取付け後の状況は図7に示す。そこではローターブレード21は9時の位置にあり、一方、ローターブレード接続部16および18はそれぞれ1時および5時の位置にある。
【0030】
次の方法ステップを図8に示す。そこではローターブレード21は7時の位置まで降下させられる。この降下動作は重力作用によって実現できる。同時に、取付け位置へとローターブレード21を持ち上げたクレーン(図示せず)は、回転動作に対して逆の関係で働くことができ、ゆえに制御された回転動作を強制する。
【0031】
同図から、ローターブレード接続部18は今や3時の位置にあり、そしてローターブレード接続部16は11時の位置にあることを認識である。
【0032】
図9には、ローターハブの姿勢が不変のまま、ポッドが180度回転させられ、これによってローター円14が、視方向に関して、パイロン10の前方にあることが明確に示されている。ポッドの回転動作によって、ローターブレード21は今や5時の位置にあり、ローターブレード接続部16は1時の位置にあり、そしてローターブレード18は9時の位置にある。したがって、今度は、クレーンによって水平姿勢で持ち上げられた、さらなるローターブレードを、クレーン位置を変更することなく、上記ローターブレード接続部18に対して接続できる。
【0033】
この時に生じる状況を図10に示す。ここでは、ローターブレード接続部16は依然として1時の位置にあり、第1のローターブレード21は5時の位置にあり、一方、第2のローターブレード22は今や9時の位置にある。
【0034】
第3のローターブレードの取付け準備のために、その後、図11に示すように、ローターブレード21は5時の位置から7時の位置へとクレーンを用いて回動させられる。その結果、第2のローターブレード22は11時の位置へと動き、そしてローターブレード接続部16は3時の位置へと進む。続いて、ポッドが再び180度回転させられる。
【0035】
上記回転動作の帰結を図12に示す。観察者の視点からは、ローター円14はここでは再びパイロン10の後方に配置されている。結果として、ローターハブ位置が変化しないので、第1のローターブレード21は5時の位置にあり、第2のローターブレード22は1時の位置にあり、そしてローターブレード接続部16は9時の位置にある。上記方法で、第3のローターブレードを、クレーンの位置を変えることなく、上記ローターブレード接続部16に対してもう一度取り付けることができる。この状況を図13に示す。第1のローターブレード21は5時の位置にあり、第2のローターブレード22は1時の位置にあり、そして第3のローターブレード23は9時の位置にある。本発明による方法はこのようにして終了し、そして三つのローターブレード全てが風力発電設備に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明によるローターブレードの第1実施形態の側面図である。
【図2】本発明によるローターブレードの代替実施形態の側面図である。
【図3】貫通孔を有するローターブレード部分の概略断面図である。
【図4】貫通孔の代替実施形態を備えた本発明によるローターブレード部分の概略断面図である。
【図5】ローターブレードの取付けに係る本発明による方法における開始状況を示す図である。
【図6】本発明による方法の第1のステップを示す図である。
【図7】本発明による方法の第2のステップを示す図である。
【図8】本発明による方法の第3のステップを示す図である。
【図9】本発明による方法の第4のステップを示す図である。
【図10】本発明による方法の第5のステップを示す図である。
【図11】本発明による方法の第6のステップを示す図である。
【図12】本発明による方法の第7のステップを示す図である。
【図13】本発明による方法の第8のステップを示す図である。
【符号の説明】
【0037】
10 パイロン
14 ローター円
16,17,18 ローターブレード接続部
21,22,23 ローターブレード
25 ローターブレード根部
26 ローターブレードチップ
30,32 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローターブレード根部(25)と、
ローターブレードチップ(26)と、
前記ローターブレード根部(25)と前記ローターブレードチップ(26)との間の中央ローターブレード領域と、
前記ローターブレードのハンドリングのための、前記中央ローターブレード領域の少なくとも一つの貫通孔(30,32)と、を具備してなる、風力発電設備用のローターブレードであって、
前記少なくとも一つの貫通孔(30,32)は実質的に円筒形状のものであり、かつ拡張端部を有することを特徴とするローターブレード。
【請求項2】
前記少なくとも一つの貫通孔(30,32)は、前記ローターブレードの長手方向軸線に対して実質的に直交するよう延在していることを特徴とする請求項1に記載のローターブレード。
【請求項3】
前記少なくとも一つの貫通孔(30,32)は、前記ローターブレード(21,22,23)の負圧面と正圧面との間に延在していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のローターブレード。
【請求項4】
前記ローターの長手方向軸線に対して実質的に直交するよう延在する、二つの相互に交差する貫通孔(30,32)を具備してなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のローターブレード。
【請求項5】
前記少なくとも一つの貫通孔(30,32)を塞ぐための取外し可能なカバー部材をさらに具備してなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のローターブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−196501(P2008−196501A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131193(P2008−131193)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【分割の表示】特願2005−518351(P2005−518351)の分割
【原出願日】平成16年1月20日(2004.1.20)
【出願人】(500017944)アロイス・ヴォベン (107)
【Fターム(参考)】