説明

飛散防止カバー

【課題】ミラーに簡単、かつ確実に取り付けることができ、作業者が、噴霧作業時に誤って飛散防止カバーの位置をずらしたり、飛散防止カバーをミラーから外したり、或いは噴霧する方向をミラーの鏡面からずらしたりする恐れが少ない飛散防止カバーを提供すること。
【解決手段】ミラーの鏡面に液体を噴霧する際に前記液体が周囲に飛散するのを防止する飛散防止カバーであって、該カバーはその一方面が吸液性を有する弾性シート11からなり、前記弾性シート11の中央部分には、前記ミラーの鏡面の向かい合う一辺の長さに対応する長さを有する第1の切り込み部12と、前記第1の切り込み部12の両端に連続して前記ミラーの鏡面の向かい合う他辺の長さに対応する長さを有する一対の第2の切り込み部13とが設けられており、前記第1の切り込み部12と前記一対の第2の切り込み部13とが略H字状をなすように設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車、産業用車両、列車、飛行機などのサイドミラーやリアミラーの鏡面に液体を噴霧する際に前記液体が周囲に飛散するのを防止する飛散防止カバーに関する。詳細には、ミラーに簡単、かつ確実に取り付けることができ、作業者が、噴霧作業時に誤って飛散防止カバーの位置をずらしたり、飛散防止カバーをミラーから外したり、或いは噴霧する方向をミラーの鏡面からずらしたりする恐れが少ない飛散防止カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミラーの鏡面に液体を噴霧する際に前記液体が周囲に飛散するのを防止する飛散防止カバーとしては、例えば図6及び図7に示すように、複数の四辺形部分2a〜2gを連接辺3a〜3fを介して屈曲可能に連接した板状部材1からなり、該板状部材1の展開状態で連接方向の長さ寸法をミラー4の鏡面5の少なくとも上側の縁と左右の縁とを外周に沿って囲うのに十分な寸法としたものであり、前記板状部材1を連接辺3a〜3fを介して屈曲させてミラー4の鏡面5の少なくとも上側の縁と左右の縁とを外周に沿って囲うようにあてがうことで、噴霧器を用いて液体を噴霧する際に前記液体が周囲に飛散するのを防止するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−189967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この飛散防止カバーにあっては、板状部材1を連接辺3a〜3fを介して屈曲させてミラー4の鏡面5の少なくとも上側の縁と左右の縁とを外周に沿って囲うようにあてがい、この状態で噴霧器を操作して液体をミラー4の鏡面5に噴霧するようになっていた。このため、この飛散防止カバーを用いて噴霧作業を行う場合、作業者は、まずミラーの形状に沿うようにカバーを折り曲げる必要があり、その上で、片手で飛散防止カバーをミラーにあてがいながら、もう片方の手で噴霧器を操作して液体を噴霧しなければならなかった。このため、噴霧器を操作して液体を噴霧するときに、誤って飛散防止カバーの位置をずらしたり、飛散防止カバーをミラーから外したり、或いは噴霧する方向をミラーの鏡面からずらしたりする恐れがあり、この場合には、液体が周囲に飛散してしまい、飛散防止カバーとしての用をなさないことになっていた。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、ミラーに簡単、かつ確実に取り付けることができ、噴霧作業時に、作業者が誤って飛散防止カバーの位置をずらしたり、飛散防止カバーをミラーから外したり、或いは噴霧する方向をミラーの鏡面からずらしたりする恐れが少ない飛散防止カバーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ミラーの鏡面に液体を噴霧する際に前記液体が周囲に飛散するのを防止する飛散防止カバーであって、
該カバーは、その一方面が吸液性を有する弾性シートからなり、前記弾性シートの中央部分には、前記ミラーの鏡面の向かい合う一辺の長さに対応する長さを有する第1の切り込み部と、前記第1の切り込み部の両端に連続して前記ミラーの鏡面の向かい合う他辺の長さに対応する長さを有する一対の第2の切り込み部とが設けられており、
前記第1の切り込み部と前記一対の第2の切り込み部とが略H字状をなすように設けられていることを特徴とする飛散防止カバーをその要旨とした。
【0007】
請求項2記載の発明は、第1の切り込み部の両端部分が該第1の切り込み部と直交する方向に二手に分かれてアール状に切り込まれており、前記第1の切り込み部の両端に連続する各第2の切り込み部との間に開口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の飛散防止カバーをその要旨とした。
【0008】
請求項3記載の発明は、弾性シートの中央部分であって、第1の切り込み部と直交する方向に折り目が設けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の飛散防止カバーをその要旨とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明の飛散防止カバーにあっては、弾性シート11の吸液面11a側を内側にして折り曲げ、前記弾性シート11の中央部分に設けたミラー16の鏡面17の向かい合う一辺の長さに対応する長さを有する第1の切り込み部12によって切り込まれた2辺12a、12bを持ち上げることで、前記第1の切り込み12部の両端に連続して設けた前記ミラー16の鏡面17の向かい合う他辺の長さに対応する長さを有する一対の第2の切り込み部13によって切り込まれた各辺13a、13bが立ち上がるようになっている。
【0010】
第1の切り込み部12によって切り込まれた2辺12a、12bには、一対の第2の切り込み部13によって切り込まれた各辺13a、13bが立ち上がった状態で繋がっており、各辺13a、13bの元のフラットな状態に戻ろうとする力が作用している。
【0011】
このため、これらの2辺12a、12bをそれぞれミラー16の上辺と下辺或いは右辺と左辺のミラーカバー16aと鏡面17との隙間に差し込んだとき、これらの2辺12a、12bは、各辺13a、13bの復元力で容易に抜け出ないように前記隙間に取り付けられるようになっている。
【0012】
このようにして飛散防止カバーをミラーに取り付けたとき、第1の切り込み部12によって切り込まれた2辺12a、12bによりミラー16の上辺と下辺或いは右辺と左辺が覆われ、第2の切り込み部13によって切り込まれた各辺13a、13bによりミラー16の右辺と左辺或いは上辺と下辺が覆われるようになっているのである。
【0013】
このため、本発明の飛散防止カバーにあっては、ミラーに簡単、かつ確実に取り付けることができるので、噴霧作業時に、作業者が誤って飛散防止カバーの位置をずらしたり、ミラーから外したり、或いは噴霧する方向をミラーの鏡面からずらしたりする恐れが少なく、ミラーの鏡面に液体を噴霧する際に前記液体が周囲に飛散するのを確実に防止することができる。
【0014】
また、この飛散防止カバーにあっては、上記の如くしてミラーの鏡面に取り付けたとき、弾性シートの吸液面が内側となり、ミラーの鏡面に噴霧された余剰液体を効率よく吸液するようになっている。このため、ミラーの鏡面に噴霧された余剰液体が飛散防止カバーから滴り落ちて周囲を汚すこともない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の飛散防止カバーの全体を示す平面図。
【図2】弾性シートの吸液面側を内側にして折り曲げようとする状態を示す斜視図。
【図3】弾性シートの吸液面側を内側にして折り曲げ、立ち上った状態を示す斜視図。
【図4】弾性シートの第1の切り込み部によって切り込まれた2辺をそれぞれミラーの上辺と下辺のミラーカバーと鏡面との隙間に差し込む状態を示す斜視図。
【図5】本発明の飛散防止カバーをミラーに取り付けた状態を示す斜視図。
【図6】従来の飛散防止カバーを示す平面図。
【図7】従来の飛散防止カバーをミラーにあてがった状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の飛散防止カバー(以下、単にカバーという)を好ましい形態に従ってさらに詳しく説明する。図1〜図5に示すカバーは、略四辺形をなし、その一方面が吸液性を有する弾性シートからなる。弾性シートとしては、特に限定されず、例えばパルプ、綿、レーヨン、ポリビニルアルコールなどの親水性繊維を含む紙や不織布の一方面にポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂フィルムをラミネートしたものを挙げることができる。シートの一方面に樹脂フィルムをラミネートすることで、該シートに弾性が付与されると共に樹脂フィルムをラミネートしていない側面が吸液面となる。図1〜図5に示す弾性シート11は、パルプ紙の一面にポリエチレンフィルムをラミネートしたものであり、その一面が吸液面11aを構成し、他面が非吸液面11bを構成するようになっている。尚、弾性シートの形状、大きさ、厚みは、取り付けるミラーの大きさや形状に合わせて適宜決定するのが望ましい。
【0017】
図1〜図5に示すように、この弾性シート11の中央部分に第1の切り込み部12と一対の第2の切り込み部13とが略H字状をなすように設けられているのである。図1〜図5に示す形態では、第1の切り込み部12は、ミラー16の鏡面17の向かい合う横辺の長さに対応する長さに設けられている。一対の第2の切り込み部13は、ミラー16の鏡面17の向かい合う縦辺の長さに設けられている。また、一対の第2の切り込み部13は、第1の切り込み部12の両端に繋がるように連続して設けられている。
【0018】
このため、第1の切り込み部12と一対の第2の切り込み部13、13とを押し開くことによって、弾性シート11の中央部分には、ミラー16の鏡面17の大きさに対応する開口Oが形成されるようになっているのである。
【0019】
本発明のカバーは、上記のように構成されるので、図2及び図3に示すように、弾性シート11の吸液面11a側を内側にして折り曲げ、前記弾性シート11の中央部分に設けた第1の切り込み部12によって切り込まれた2辺12a、12bを持ち上げることで、第1の切り込み部12の両端に連続して一対の第2の切り込み部13によって切り込まれた各辺13a、13bが立ち上がるようになっている。
【0020】
この状態で、図4に示すように、第1の切り込み部12によって切り込まれた2辺12a、12bをそれぞれミラー16の上辺と下辺(縦型のミラーの場合は右辺と左辺)のミラーカバー16aと鏡面17との隙間(図示しない)に差し込むのである。第1の切り込み部12によって切り込まれた2辺12a、12bには、一対の第2の切り込み部13によって切り込まれた各辺13a、13bが立ち上がった状態で繋がっており、これら各辺13a、13bの元のフラットな状態に戻ろうとする力が作用している。
【0021】
このため、ミラーカバー16aと鏡面17との隙間(図示しない)に差し込まれた第1の切り込み部12によって切り込まれた2辺12a、12bは、一対の第2の切り込み部13によって切り込まれた各辺13a、13bの復元力で容易に抜け出ないように前記隙間(図示しない)に取り付けられるのである。
【0022】
このようにして飛散防止カバーをミラーに取り付けたとき、図5に示すように、第1の切り込み部12によって切り込まれた2辺12a、12bによりミラー16の上辺と下辺(縦型のミラーの場合は右辺と左辺)が覆われ、第2の切り込み部13によって切り込まれた各辺13a、13bによりミラー16の右辺と左辺(縦型のミラーの場合は上辺と下辺)が覆われるようになっている。
【0023】
尚、ミラーカバーがないミラーの場合には、第1の切り込み部12によって切り込まれた2辺12a、12bをミラーの上辺と下辺(縦型のミラーの場合は右辺と左辺)の外周に配することで、これら2辺12a、12bが、一対の第2の切り込み部13によって切り込まれた各辺13a、13bの復元力でミラー16の上辺と下辺(縦型のミラーの場合は右辺と左辺)を挟み込んだ状態で押圧し、該飛散防止カバーのミラーへの取り付けができる。
【0024】
また、図1〜図5に示す形態では、第1の切り込み部12の両端部分が該第1の切り込み部と直交する方向に二手に分かれてアール状に切り込まれており、前記第1の切り込み部12の両端に連続する各第2の切り込み部13との間に開口14が形成されている。このため、開口14の分だけ第1の切り込み部12によって切り込まれた辺12a、12bと一対の第2の切り込み部13によって切り込まれた辺13a、13bとの接触部分が少なくなり、図2及び図3に示すように、弾性シート11の吸液面11a側を内側にして折り曲げ、弾性シート11の第1の切り込み部12によって切り込まれた2辺12a、12bを持ち上げる作業がよりスムーズになると同時に、ミラーカバー16aと鏡面17との間に差し込む場合、引っ掛かることなく簡単に装着できる。
【0025】
また本発明のカバーは、図1〜図5に示すように、弾性シート1の中央部分であって、第1の切り込み部12と直交する方向に折り目15を設けることもできる。この場合、該カバーをミラーに取り付けたとき、第1の切り込み部12によって切り込まれた辺12bに溝ができるので、ミラーの鏡面に噴霧された余剰液体がこの溝に沿って流れ落ちるので、車のボディを伝うことがなく、余剰液体の処理がより容易となる。
【0026】
尚、上述の図1〜図5に示す形態では、自動車のサイドミラーの鏡面に撥水剤をスプレーする際に本発明のカバーを適用する例を示したがこれに限定されず、例えば産業用車両、列車、飛行機などのサイドミラーやリアミラーに適用したり、飛散を防止する液体として撥水剤のほか、洗浄剤や曇り止め剤などを適用したりするなど、特許請求の範囲に記載された範囲で自由に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0027】
11・・・弾性シート
12・・・第1の切り込み部
12a、12b・・・第1の切り込み部によって切り込まれた辺
13・・・第2の切り込み部
13a、13b・・・第2の切り込み部によって切り込まれた辺
14・・・開口
15・・・折り目
16・・・ミラー
17・・・鏡面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーの鏡面に液体を噴霧する際に前記液体が周囲に飛散するのを防止する飛散防止カバーであって、
該カバーは、その一方面が吸液性を有する弾性シートからなり、前記弾性シートの中央部分には、前記ミラーの鏡面の向かい合う一辺の長さに対応する長さを有する第1の切り込み部と、前記第1の切り込み部の両端に連続して前記ミラーの鏡面の向かい合う他辺の長さに対応する長さを有する一対の第2の切り込み部とが設けられており、
前記第1の切り込み部と前記一対の第2の切り込み部とが略H字状をなすように設けられていることを特徴とする飛散防止カバー。
【請求項2】
第1の切り込み部の両端部分が該第1の切り込み部と直交する方向に二手に分かれてアール状に切り込まれており、前記第1の切り込み部の両端に連続する各第2の切り込み部との間に開口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の飛散防止カバー。
【請求項3】
弾性シートの中央部分であって、第1の切り込み部と直交する方向に折り目が設けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の飛散防止カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−207366(P2011−207366A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77740(P2010−77740)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000106771)シーシーアイ株式会社 (245)
【Fターム(参考)】