説明

飛石試験装置

【課題】円滑に飛石体を供給する。
【解決手段】飛石体案内路(3)は、その上端部近傍の軸止部(3b)で軸止されており、軸止部(3b)を中心とした揺動が可能である。一方、底板(3a)の重心より上端側を軸止されているため、底板(3a)の下端側は重力で下がり、下側タイヤ(1a)の周面に当たって支えられている。
【効果】下側タイヤ(1a)が回転すると、底板(3a)は細かく揺動する。このため、どのような形状の飛石体(2)でも途中で止まらずに底板(3a)を滑り落ち、円滑に飛石体(2)をタイヤ(1a,1b)の間に供給することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛石試験装置に関し、さらに詳しくは、飛石体の形状によらず常に円滑に飛石体を供給できる飛石試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2個のタイヤを上下に並べて配置し、それらタイヤの間に小石やボルトなどの飛石体を供給し、タイヤの回転で飛石体を飛ばして試料にぶつける飛石試験装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−61303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の飛石試験装置では、装置の投入口に投入した飛石体は、傾斜した飛石体案内路の底板の上端部に落ちて底板を滑り、底板の下端部からタイヤの間に供給されるようになっていた。
しかし、飛石体の形状によっては底板をうまく滑らずに途中で止まってしまい、飛石体を円滑に供給できなくなる問題点があった(例えばボルトの形状は底板の途中で止まってしまいやすい)。
そこで、本発明の目的は、飛石体の形状によらず常に円滑に飛石体を供給できる飛石試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の観点では、本発明は、間に飛石体が挟まるように並べられた2個のタイヤと、傾斜した底板の上端部に飛石体を置くと該飛石体が前記底板を滑り落ちて下端部から前記タイヤの間に供給される飛石体案内路と、前記タイヤの間に供給された飛石体を飛ばして試料にぶつけるべく前記タイヤを回転させる回転駆動機構とを具備した飛石試験装置において、前記飛石体案内路の底板を振動させることを特徴とする飛石試験装置を提供する。
上記第1の観点による飛石試験装置では、飛石体案内路の底板を振動させるようにしたので、どのような形状の飛石体でも途中で止まらずに底板を滑り落ちる。よって、飛石体の形状によらず常に円滑に飛石体をタイヤの間に供給することが出来る。
【0005】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点による飛石試験装置において、前記2個のタイヤを上下に並べて配置し、前記飛石体案内路の底板をその上端部近傍で軸止すると共にその下端を下側のタイヤに接触させたことを特徴とする飛石試験装置を提供する。
上記第2の観点による飛石試験装置では、飛石体案内路の底板を振動させるための特別な駆動装置が不要であり、構成を簡略化できる。
【0006】
第3の観点では、本発明は、前記第1または第2の観点による飛石試験装置において、前記タイヤから前記試料までの距離を変更可能に前記試料を保持する試料保持手段を具備したことを特徴とする飛石試験装置を提供する。
上記第3の観点による飛石試験装置では、タイヤから試料までの距離を変更することにより、試験条件を変えることが出来る。
【発明の効果】
【0007】
本発明の飛石試験装置によれば、飛石体案内路の底板を振動させるようにしたので、どのような形状の飛石体でも途中で止まらずに底板を滑り落ち、常に円滑に飛石体をタイヤの間に供給することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0009】
図1は、実施例1に係る飛石試験装置100を示す構成図である。
この飛石試験装置100は、間に飛石体2が挟まるように上下に並べられた下側タイヤ1aおよび上側タイヤ1bと、傾斜した底板3aの上端部に飛石体2を置くと飛石体2が底板3aを滑り落ちて下端部からタイヤ1a,1bの間に供給される飛石体案内路3と、タイヤ1a,1bの間に供給された飛石体2を飛ばして試料Sにぶつけるべく下側タイヤ1aを回転させる回転駆動機構4と、試料Sを保持する試料ホルダ11と、試料ホルダ11を左右位置変更可能に支持する左右方向可動ガイド12と、左右位置変更ガイド12を前後位置変更可能に支持する前後方向可動ガイド13とを具備している。
【0010】
飛石体案内路3は、その上端部近傍の軸止部3bで軸止されており、軸止部3bを中心とした揺動が可能である。
一方、底板3aの重心より上端側を軸止されているため、底板3aの下端側は重力で下がり、下側タイヤ1aの周面に当たって支えられている。このため、下側タイヤ1aが回転すると、底板3aは細かく揺動する。
【0011】
上記以外の構成は、特開平9−61303号公報に記載の飛石試験装置と同様である。
【0012】
実施例1の飛石試験装置100によれば、次の効果が得られる。
(1)飛石体案内路3の底板3aが細かく揺動するので、どのような形状の飛石体2でも途中で止まらずに底板3aを滑り落ちる。よって、飛石体2の形状によらず常に円滑に飛石体2をタイヤ1a,1bの間に供給することが出来る。
(2)飛石体案内路3の底板3aを振動させるための特別な駆動装置が不要であり、構成を簡略化できる。
(3)前後方向可動ガイド13により左右位置変更ガイド12の位置を前後に変更すれば、タイヤ1aから試料Sまでの距離を変更することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明の飛石試験装置は、例えば飛石に対する自動車ラジエータの強度を試験するのに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1に係る飛石試験装置を示す構成説明図である。
【符号の説明】
【0015】
1a 下側タイヤ
1b 上側タイヤ
2 飛石体
3 飛石体案内路
3a 底板
4 回転駆動機構
11 試料ホルダ
12 左右方向可動ガイド
13 前後方向可動ガイド
100 飛石試験装置
S 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間に飛石体が挟まるように並べられた2個のタイヤと、傾斜した底板の上端部に飛石体を置くと該飛石体が前記底板を滑り落ちて下端部から前記タイヤの間に供給される飛石体案内路と、前記タイヤの間に供給された飛石体を飛ばして試料にぶつけるべく前記タイヤを回転させる回転駆動機構とを具備した飛石試験装置において、前記飛石体案内路の底板を振動させることを特徴とする飛石試験装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飛石試験装置において、前記2個のタイヤを上下に並べて配置し、前記飛石体案内路の底板をその上端部近傍で軸止すると共にその下端を下側のタイヤに接触させたことを特徴とする飛石試験装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の飛石試験装置において、前記タイヤから前記試料までの距離を変更可能に前記試料を保持する試料保持手段を具備したことを特徴とする飛石試験装置。

【図1】
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