説明

食パン用蒸し器

【課題】電子レンジを使用して、食パンの蒸し調理が的確になされる食パン用蒸し器を提供する。
【解決手段】水容器体1と、底面に多数の透孔を形成して前記水容器体上に嵌合若しくは積層する蒸し容器体2と、前記蒸し容器体に被冠装着する蓋体3とを備えた電子レンジ対応容器であって、前記蒸し容器体が規格型による型焼きパン(食パン)の外形状に対応する大きさで、底面に多数の小突起25を設けると共に、透孔の面積分布を、食パンの外皮対応部分(外皮対応透孔27)を内相対応部分(内相対応透孔26)より大きく形成してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジで使用される食パン用蒸し器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子レンジを使用する食品蒸し器は従前より公知である。その構造は、基本的に水容器体と、底面に多数の透孔を形成して前記水容器体上に嵌合若しくは積層する蒸し容器体と、前記蒸し容器体に被冠装着する蓋体で構成されている(特許文献1,2,3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録809757号公報。
【特許文献2】特開2000−166762号公報。
【特許文献3】特開2005−296159号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の従来の電子レンジ用蒸し器は、相応の汎用性を備えるために、蒸し容器体底面の透孔は、底面全体略均一に分布するように形成されており、また蒸し調理対象食品が蒸し容器底面と密着せずに、蒸し調理対象食品の底面まで蒸気が回るように、多数の小突起を形成している。
【0005】
ところで食パンは、通常トースター等による焼調理(トースト)が施されるが、常温保存の食パンは勿論のこと冷蔵保存や冷凍保存していた食パン等は、そのままトーストすることもできるが、蒸し調理によっても最適可食状態とすることもできる。
【0006】
しかし食パンを従前の電子レンジ用蒸し器で蒸し調理したとしても、食パンは外皮(耳と称されている部分)と内相(白い身の部分)が存在し、そのまま蒸した場合には、外皮と内相では水分の吸収力の相違により、的確な蒸し調理がなされない。
【0007】
そこで本発明は、電子レンジを使用して、食パンの蒸し調理が的確になされる新規な食パン用蒸し器を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(請求項1)に係る食パン用蒸し器は、水容器体と、底面に多数の透孔を形成して前記水容器体上に嵌合若しくは積層する蒸し容器体と、前記蒸し容器体に被冠装着する蓋体とを備えた電子レンジ対応容器であって、前記蒸し容器体が規格型による型焼きパン(食パン)の外形状に対応する大きさで、底面に多数の小突起を設けると共に、透孔の面積分布を食パンの外皮対応部分を内相対応部分より大きく形成してなることを特徴とするものである。
【0009】
而して水容器体に、所定量の水を注ぎ入れ、蒸し容器体を水容器体上に配置装着し、蒸し容器体内に、適宜な厚さにスライス切断された一切れの食パンを内置し、蓋体を被冠して電子レンジに入れ、所定の加熱を行うと、食パンに含まれる水分が加熱されると共に、水容器体の水が沸騰蒸発して透孔から蒸し容器体内に侵入する。その際に蒸し容器体内の食パンが蒸されるもので、食パンの外皮部分が内相部分より多くの蒸気が当たることになり、的確な蒸し調理が実現するものである。
【0010】
また本発明(請求項2)に係る食パン用蒸し器は、外皮対応透孔の範囲を、角形パンの外皮対応部分から山形パンの外皮対応範囲まで形成してなるもので、プルマンブレッドからイギリスパンまで対応できる。
【0011】
更に本発明(請求項3,4,5)に係る食パン用蒸し器は、前記の蒸し器において、内相対応透孔と外皮対応透孔の面積分布の変更手段として、透孔の面積を変化させたり、透孔の数を変化させてなるもので、更に内相対応透孔と外皮対応透孔の境界個所の透孔を、両者の中間の面積分布としてなるもので、前者は食パン内相部分がきめ細かく蒸気が当たるという利点があり、後二者は、外皮部分との内相部分の境界が不明確となるが、逆に外皮部分の形状に変化があっても、問題なく蒸し調理ができる利点がある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成は上記のとおりで、食パン(特に冷凍・冷蔵状態)を電子レンジで加熱する際に、食パンに含まれる水分が加熱されて食パンを温めると共に、水容器内の水分の沸騰蒸発によって食パンが蒸され、特に外皮部分が内相部分より多くの蒸気に晒されることになり、食パン全体が、喫食に適する状態となるもので、従前なされていなかった電子レンジによる食パン蒸し処理が実用可能となったものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態の全体分解斜視図。
【図2】同断面図。
【図3】同蒸し容器体の平面図。
【図4】同蒸し容器体の別例の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の実施形態について説明する。実施形態に示した食パン用蒸し器は、基本的には従前の電子レンジ用蒸し器と同様に、電子レンジ対応の樹脂製で、水容器体1と蒸し容器体2と蓋体3とで構成される。
【0015】
水容器体1は、蒸し容器体2を内方に嵌合可能な形状並びに大きさとし、蒸し容器体2を縁部11に載置して内方に吊り下げ嵌合した際に、蒸し容器体2の底面24の下方空間部分が、蒸し調理に使用する調理用水Aを注ぎ入れるに十分な空間領域を確保できる大きさとしたものである。更に外周に把手部12を突設し、底面には脚突起13を突設したものである。
【0016】
蒸し容器体2は、上縁外周部に載置段差部21を設けて、前記水容器体1の縁部11に載置段差部21を載置して、水容器体1を密閉するように水容器体1内に吊り下げ状態で嵌合できるようにしたものであり、内周面上部には、後述する蓋体3を載置する内側段差部22を形成し、更に上縁外周に前記水容器体1の把手部12と対応する把手部23を設けているものである。
【0017】
本発明は、この蒸し容器体2の大きさ及び底面24に特徴を有するもので、大きさは、食パン(角形パン:約11×13cmや山形パン:角型パンより上部が膨らんでいる)が充分に収納できる大きさ(内寸で13×17cm程度)としたもので、内底面(底面24の上面)には多数の小突起25を突設すると共に、食パンを内底面に載置した際の内相及び外皮に対応する範囲に、内相対応透孔26及び外皮対応透孔27を穿設したものである。
【0018】
特に内相対応透孔26は、角形食パンの内相と対応させ、外皮対応透孔27はその外周側に配置したもので、内相対応透孔26を小透孔とし、外皮対応透孔27を大透孔として、透孔面積分布を、外皮対応範囲を内相対応範囲より約2倍以上(好ましくは3〜6倍)大きくなるように形成したものである。
【0019】
蓋体3は、透明体若しくは半透明体で形成したもので、蒸し容器体2の内側段差部22に密着載置される鍔部31を備えたもので、蒸し容器体2に被冠装着した際に、内部空間(蒸し空間)が、1枚の食パンが充分収納できる伏せ箱型形状とし、上面に摘用凹部32を形成したものである。
【0020】
而して水容器体1に、所定量の調理用水を注ぎ入れ、蒸し容器体2を水容器体1上に重ね合わせて、縁部11と載置段差部21を密着させて調理用水の収納空間を密閉して、蒸し容器体2を水容器体1内に吊り下げ装着する。
【0021】
次に蒸し容器体2内に、適宜な厚さにスライス切断された一枚の食パンを内置し、蓋体3を被冠して内側段差部22と鍔部31を密着させて食パン収納空間を密閉する。
【0022】
そして電子レンジに入れ、所定の加熱を行うと、食パンに含まれる水分が加熱されると共に、水容器体1に入れた調理用水が沸騰蒸発して、内相対応透孔26及び外皮対応透孔27から食パン収納空間に吹き出し、食パンに蒸気が吹きつけられることになる。
【0023】
従って、この蒸気吹きつけが、外皮対応透孔27の面積分布を大きく形成しているために、食パンの硬い外皮部分には内相部分より多量の蒸気が吹きつけられることになり、結果的に食パン全体が均一的に蒸らされることになる。
【0024】
本発明は、蒸し容器体2の底面の蒸気が通過する透孔の面積分布を、食パンを蒸し調理する際の内相対応領域と外皮対応領域で変更したもので、前記実施形態で示したとおり、大小の透孔で透孔面積分布を変更する他、図4に示すように、内相対応透孔26aを外装対応透孔27bと同一形状としても、単位面積当たりの透孔の数を異ならせることで、透孔面積分布を変更しても良い。
【0025】
更に図4に示したように内相対応透孔26bと外皮対応透孔27bの形成領域の境界領域に透孔面積を中間とした中間透孔28を形成し、内相対応透孔26bと外皮対応透孔27bの形成領域を明確に分離形成しなくとも良い。
【0026】
尚本発明は前記のとおり、蒸し容器体2の底面に形成した蒸気が通過する透孔の面積分布を変更している点に特徴があり、水容器体1、蒸し容器体2及び蓋体3の外形及び積層構造は、前記実施形態に限定されるものでは無く、例えば特許文献1に開示されているように、水容器体を浅い皿状に形成して、蒸し容器体を、その周壁部を水容器体に嵌合する構造に形成しても良いし、或いは特許文献3に記載されているように、蒸し容器体を浅い皿状とし、蓋体を上方に大きく膨出させた形状にする等、任意に定めることができるものである。
【符号の説明】
【0027】
1 水容器体
11 縁部
12 把手部
13 脚突起
2 蒸し容器体
21 載置段差部
22 内側段差部
23 把手部
24 底面
25 小突起
26,26a,26b 内相対応透孔
27,27a,27b 外皮対応透孔
28 中間透孔
3 蓋体
31 鍔部
32 摘用凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水容器体と、底面に多数の透孔を形成して前記水容器体上に嵌合若しくは積層する蒸し容器体と、前記蒸し容器体に被冠装着する蓋体とを備えた電子レンジ対応容器であって、前記蒸し容器体が規格型による型焼きパン(食パン)の外形状に対応する大きさで、底面に多数の小突起を設けると共に、透孔の面積分布を食パンの外皮対応部分を内相対応部分より大きく形成してなることを特徴とする食パン用蒸し器。
【請求項2】
外皮対応透孔の範囲を、角形パンの外皮対応部分から山形パンの外皮対応範囲まで形成してなる請求項1記載の食パン用蒸し器。
【請求項3】
内相対応透孔と外皮対応透孔の各透孔の面積を変化させて透孔面積分布を変えてなる請求項1又は2記載の食パン用蒸し器。
【請求項4】
内相対応透孔と外皮対応透孔の各透孔の単位面積当たりの数を変化させて透孔面積分布を変えてなる請求項1又は2記載の食パン用蒸し器。
【請求項5】
内相対応透孔と外皮対応透孔の境界個所の透孔を、両者の中間の面積分布としてなる請求項3又は4記載の食パン用蒸し器。
【請求項6】
外皮対応透孔の単位面積当たりの透孔面積を、内相対応透孔の2倍以上としてなる請求項1乃至5記載の何れかの食パン用蒸し器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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