説明

食品、化粧品製品、消費財(consumergoods)および医薬品における微生物学的安定化のために甘味料酸(sweeteneracids)を使用する方法。

本発明は、食品、化粧品、消費財(consumer goods)および医薬、特に食品、飲料、医薬、および化粧品の微生物学的安定化のための甘味料酸の使用で、その際、酸味強度が、同じだけのpH減少を達成するのに必要な、一般的な食用酸(food acid)の量による酸味より少ない、甘味料酸の使用に関する。本発明はさらに、甘味料酸および少なくとも1つの高甘味度甘味料を含む調合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、化粧品、消費財および医薬、特に食品、飲料、医薬、および化粧品の微生物学的安定化のための甘味料酸の使用で、その際、酸味強度が、同じだけのpH減少を達成するのに必要な、一般的な食用酸(food acid)の量による酸味より少ない、甘味料酸の使用に関する。本発明はさらに、甘味料酸 および少なくとも1つの高甘味度甘味料を含む調合物に関する。
【背景技術】
【0002】
高甘味度の甘味料は、生理学的な熱量をもたず、または甘味強度に対して無視できる生理学的熱量を有し、そしてショ糖の何倍もの甘味強度を有する、合成または天然由来の化合物である。高甘味度の甘味料は、甘味を生じさせる目的で、個別にまたは組み合わせて、食品および飲料で使用されている。
【0003】
酸味料は食品および飲料中の成分をなしており、多くの味、微生物学的および/または技術的機能および特性に寄与する。酸味料は有機的および無機的な酸味料に分けられる。慣習上、食品および飲料領域で使用される酸味料は、有機酸の、アジピン酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、グルコノデルタラクトン、およびグルコン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、そしてまた無機酸のリン酸を含む。これらの酸味料は、食品および飲料に多少とも特有の酸味の要素を与える。この酸の基本的な味は、水溶性の媒体における酸の解離によって生成するH+ または H3O+ イオンによって引き起こされる。しかし、酸味強度に関する現象は科学的には説明できない。いろいろな酸の酸味強度は酸の強度(acid constant)とは相関しないので(表1参照)、濃度、pH、および酸味料の特定のアニオンなどその他の因子が重要な役割を果たしているようだ。特に、酸味の強度に関する効果は、アニオンの膜受容体を貫通するまたは受容体に結合する能力による。同一濃度においては、酸味の強度は以下の順番、
フマル酸 > 酒石酸 > リンゴ酸 > 酢酸 > クエン酸 > 乳酸 > グルコン酸:で減少する。
【0004】
【表1】

【0005】
さらに、いろいろな酸味料は種々の味のプロファイルを有し、それらは食品および飲料における酸味料の使用に決定的な影響を及ぼす(表1参照)。例えば、飲料領域で最も頻繁に用いられる有機の酸味料であるクエン酸は、急速に酸味を呈し、それは長い時間持続しない。対照的に、リンゴ酸は酸味がより遅く発生し、より長い持続性を持つものとして区別される。
【0006】
食品および飲料における、感覚的な理由での酸味料の使用に加えて、酸味料はpHの減少およびその結果としての微生物抑制のためにも使用される。ほとんどの食腐敗および食中毒細菌のpH至適条件はpH5から8である。ほとんどの食中毒細菌はpH4.5にpHの最低限度を有し、酸味料単独での添加により多くの食品で抑制することができるが、乳酸菌および酢酸菌および酵母およびカビ類のような食腐敗微生物の多くは、さらに大きな酸許容性を示す。しばしば、食品および飲料の保存に際して、累積的に抑制効果を増進させるために、酸味料は化学的保存および生物学的および物理的方法のような他の保存方法と組み合わせて使用される。例えば、ソルビン酸または安息香酸を用いた食品および飲料の化学的保存効果は、酸味料を用いたpH減少によって増幅される。
【0007】
酸味料によって得られる食品および飲料のpHは、味やその微生物学的意義を超えて、食品および飲料の技術的性質にまで重大な影響を有する。pHを通して、酸味料は製品の色を安定化し、濁度、溶融挙動および流動作用を変化させ、食品の発泡体形成、ゲル形成、乳化作用にもまた影響を及ぼすことができる。さらにこれらの酸は、食品および飲料において発泡剤または乳化剤としても作用することができる。共力剤と言われるように、酸味料は触媒重金属イオンを錯体化することにより、酸化防止剤の作用を増強する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
慣習上、酸性化やpH減少のために使用される飲料および食品の酸味料は、酸味の強度を増加させ、芳香プロファイルを酸性化された飲料および食品のものに変化させる。芳香のプロファイルの変化は、基本的な酸味による全般的な重ね合わせに加えて、例えば、酢酸の場合と同じように(表1参照)、酸味料の特定の非酸味的な性質によっても引き起こされる。
【0009】
酸味料の添加によって引き起こされるこのような味の変化が、所望しないものである、または消費者の支持に不利に影響する食品および飲料において、市場で一般的な上述の酸味料を用いると、微生物学的または技術的な理由として十分なpH減少を行うことができない。市場において一般的で、比較的味の柔らかいまたは穏やかなこれらの酸味料、例えば乳酸またはグルコン酸は、より弱い酸味料でもあり(表1参照)、これらは結果として小さなpH減少を生じるか、または所望のpHを得るためには高い使用濃度が必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、それ故に、食品、化粧品、消費財、または医薬において、該製品の感覚的な部分を大きく損なうことなく、著しいpH減少をもたらす食品添加物を提供することにある。それ故に、本発明の構成は、特に食品および飲料において、同じだけのpH減少を達成するのに必要な、一般的な食用酸(food acid)の量による場合より少ない酸味で、pHを減少させることである。
【0011】
この目的は、食品、医薬、消費財、化粧品、特に食品、医薬および化粧品、特に好ましくは飲料、食用甘味料、および乳製品において、同じだけのpH減少を達成するのに必要な、一般的な食用酸(food acid)の量による場合より少ない酸味で、pHを減少するために甘味料酸を使用することによって達成される。
【0012】
甘味料酸は、アセスルファムK(=アセスルファミン酸(acesulfamic acid)のカリウム塩)、サイクラミン酸ナトリウムまたはサッカリンナトリウムのような、既知の高甘味度甘味料塩の酸である。用いられる甘味料酸は例えば、サッカリン酸、サイクラミン酸、グリチルリチン酸(glycyrrhicic acid)、およびアセスルファミン酸およびこれらの酸のうち2以上の混合物である。本発明で好ましい甘味料酸はアセスルファミン酸、サイクラミン酸およびサッカリン酸、および2つまたは3つすべての甘味料酸の混合物である。甘味料酸は、そのpKaが1.5から2.5までと低かったため、これまでは甘味料として考えられていなかった。驚くべきことに,甘味料酸が食品および飲料における味覚試験で使用された場合、甘味料酸は、その強酸としての性質および結果的に著しいpH減少を起こしうる性質にも関わらず、味覚上は低い酸強度のみを有することがわかった。酸プロファイルは均衡が取れている。例えば、アセスルファミン酸の酸味に関する時間−強度プロファイルは、リンゴ酸のプロファイルと似ている(表1参照)。
【0013】
それと同時に、甘味料酸は モル換算で一致する甘味料塩と同等の甘味強度を有する。記載の酸味と甘味に加えて、重大な雑味および後味が生じない。
【0014】
甘味料酸は、甘味料塩の生成から、甘味料酸を塩基により中和する工程を削除することにより得られる。しかし甘味料酸は、例えば硫酸による酸性化により、市販の甘味料塩から生成することもできる。甘味料酸は、酢酸エチルのような有機溶剤によって酸性溶液から抽出され、その後例えば溶剤の留去により単離される。
【0015】
甘味料酸は例えば、欧州特許公開第0155634号公報明細書に記載のS0法と呼ばれる方法によって得ることができ、アセスルファムKもその方法により生成される。上記酸は、水酸化カリウムを用いる中和の前の、S0を用いた閉環の後で得ることができる。しかしアセスルファミン酸は、例えば硫酸を用いた酸性化により、市販のアセスルファムKからも生成することができる。アセスルファミン酸は、酢酸エチルのような有機溶剤によって酸性溶液から抽出され、その後例えば溶剤の留去により単離される。
【0016】
本発明では、甘味料酸は食品において、20から5000ppmまでの量で用いるのがよく、40から2000ppmまでの量で用いるのが好ましく、50から1000ppmまでの量(いずれの場合にも、使用する飲料または食品の質量に基づき)で用いるのが特に好ましい。
【0017】
化粧品、消費財および医薬においては、本発明の甘味料酸は、20から12000ppmまでの量で用いるのがよく、40から8000ppmまでの量で用いるのが好ましく、50から5000ppmまでの量(いずれの場合にも、使用する化粧品、消費財または医薬の質量に基づき)で用いるのが特に好ましい。
【0018】
飲料および食品における甘味料酸の甘味料および酸味料としての使用は、pH減少を引き起こし、酸味の強度および芳香のプロファイルに市販の一般的な酸味料を使用した場合よりも少ない影響しか与えずに、同時に生じる微生物学的および/または技術的利益を利用することが可能となる。このように、同一の酸味の場合、甘味料酸を用いると市販の一般的な酸味料を用いるよりも、有意に低いpHを達成することができる。望ましくは、同一の酸味の場合、pHを0.2から0.6単位分だけ減少することができる。この効果は、上述の微生物学的または技術的理由のために、飲料およびpH減少が達成されるすべての食品、例えば、ソフトドリンク、好ましくは「アロマウォーター(aromatized waters)」、または「ニアウォーター(near water)」または「フレーバーウォーター(flavored water)」と呼ばれる製品、フルーツジュース飲料、ジャムおよびゼリー、フルーツプレザーブ(fruit preserves)およびベジタブルプレザーブ(vegetable preserves)、デザート、デリカテッセン製品、ソース、卓上甘味料に関連する。甘味料酸は医薬および化粧品において使用されると、同様に優れた効果が得られる。
【0019】
本発明はさらに、少なくとも一つの甘味料酸および少なくとも一つの高甘味度甘味料を含む調合物に関する。
【0020】
本発明における高甘味度甘味料は、アスパルテーム、アリテーム、ネオテーム、アセスルファムK、 サッカリン、 サイクラミン酸、 スクラロース、 タウマチン、 ネオヘスペリジンジヒドロカルコン (neohesperidin dihydrochalcone (NHDC))、 ネオテームおよびステビオシドのような甘味料を意味するものとして引用される。高甘味度甘味料は、アスパルテーム、アリテーム、ネオテーム、アセスルファムK、サッカリン、サイクラミン酸およびスクラロースであるのが好ましい。
【0021】
本発明の構成において、甘味料酸と高甘味度甘味料の重量比は100:1から1:20の間が適しており、50:1から1:10の間が好ましく、20:1から1:5の間がさらに好ましく、1:1から1:2の間が特に好ましい。
【0022】
ネオテームが本発明の混合物中で高甘味度甘味料として使用される場合には、甘味料酸と高甘味度甘味料の間の重量比は、1000:1から1:1の間でもよく、500:1から1:1が好ましく、250:1から1:1が特に好ましい。
【0023】
実施例を参照し、以下本発明について詳細に説明する。
【実施例】
【0024】
pH減少のための飲料における甘味料酸の使用:
飲料でとても頻繁に使用される酸味料はクエン酸である。pHへの甘味料酸の効果およびクエン酸と比較した酸の感じ方について、以下に記載する。甘味度および酸性度の感覚はお互いに影響を及ぼすので、すべてのクエン酸溶液は、使用する甘味料酸の濃度の1つをもち、モル等価および甘味等価濃度のそれぞれ対応する甘味料酸の塩と混合した。クエン酸溶液の濃度は目的によって、例えば、pH等価または酸強度の等価によって設定した。
【0025】
実施例1 甘味料酸としてのアセスルファミン酸
a)同じpHにおける相対的な甘味度の決定
方法:
溶液A: アセスルファミン酸 (Nutrinova、フランクフルト、ドイツ) (203 mg/l)
溶液B: アセスルファムK (サネット(Sunett(R)) )(250 mg/l)、クエン酸を用いて溶液Aと同じpHに設定する。
以下の問題に関する三点比較法試験(Triangle test )(DIN ISO 4120 (January 1995)):どのサンプルがより酸味があるか?(強制選択、n = 12)
結果:
同一のpH設定において、溶液Aは12人の試験者のうち10人で溶液Bよりも酸味が弱いとして評価される。溶液Bは溶液Aと比較してとても高度にそして有意に強い酸味を獲得する(有意水準=0.1%)。上記試験系では、等量のアセスルファムアニオンが存在するので、これは明らかにアセスルファミン酸の特異的な効果である。要約して、結果を表2に示す。
【0026】
【表2】

【0027】
b)クエン酸に対するアセスルファミン酸の同一酸味試験
方法:
試験溶液: アセスルファミン酸 (203 mg/l)
標準A: アセスルファムK (サネット(Sunett(R)) )(250 mg/l) + クエン酸 (0.07 g/l)
標準B: アセスルファムK (サネット(Sunett(R)) )(250 mg/l) + クエン酸 (0.12 g/l)
標準C: アセスルファムK (サネット(Sunett(R)) )(250 mg/l) + クエン酸 (0.17 g/l)
以下の問題に関する対比較試験(Pairwise comparison test): どのサンプルがより酸味があるか?(強制選択、n = 13)
結果:
図1: アセスルファミン酸およびクエン酸の同一の酸味決定のための対比較試験
203 mg/lのアセスルファミン酸を有する水溶液は、137 mg/lのクエン酸 と250 mg/lアセスルファムKを含む溶液と同一の酸味を有する。アセスルファミン酸溶液はクエン酸溶液(pH 3.51)よりも著しく低いpH3.07である。要約して、結果を表3に示す。
【0028】
【表3】

【0029】
実施例2 甘味料酸としてのサイクラミン酸
a)同一のpHにおける相対的な甘味度の測定
方法:
溶液A: サイクラミン酸、N−シクロヘキシルスルファミン酸(N-cyclohexylsulfaminic acid)(No. 29550、フルカ(Fluka)、ドイツ) (180 mg/l) 。
溶液B: サイクラミン酸ナトリウム (No. 817044、Merck-Schuchardt、ドイツ) (202 mg/l)、クエン酸により溶液Aと同じpHに設定。
以下の問題に関する三点比較法試験 (DIN ISO 4120 (January 1995)): どのサンプルがより酸味があるか?(強制選択、n = 12)。
結果:
同一のpH設定において、溶液Aは12人の試験者のうち12人で溶液Bよりも酸味が弱いとして評価される。溶液Bは溶液Aと比較してとても高度にそして有意に強い酸味を獲得する(有意水準=0.1%)。上記試験系では、等量のサイクラミン酸アニオンが存在するので、これは明らかにサイクラミン酸の特異的な効果である。要約して、結果を表4に示す。
【0030】
【表4】

【0031】
b)クエン酸に対するサイクラミン酸の同一酸味試験
方法:
試験溶液: サイクラミン酸 (180 mg/l)
標準A: サイクラミン酸ナトリウム (202 mg/l) + クエン酸 (0.08 g/l)
標準B: サイクラミン酸ナトリウム (202 mg/l) + クエン酸 (0.11 g/l)
標準C: サイクラミン酸ナトリウム (202 mg/l) + クエン酸 (0.14 g/l)
以下の問題に関する対比較試験: どのサンプルがより酸味があるか?(強制選択、n = 15)
結果:
図2: サイクラミン酸およびクエン酸の同一の酸味決定のための対比較試験
180 mg/lのサイクラミン酸を有する水溶液は、126 mg/lのクエン酸と202 mg/lサイクラミン酸ナトリウムを含む溶液と同一の酸味を有する。サイクラミン酸溶液はクエン酸溶液(pH 3.45)よりも著しく低いpH3.08である。要約して、結果を表5に示す。
【0032】
【表5】

【0033】
実施例3 甘味料酸としてのサッカリン酸
a)同一のpHにおける相対的な甘味度の測定
方法:
溶液A: サッカリン酸、0−ベンゾスルフィミド(o-benzosulfimide) (No. 12475、フルカ(Fluka)、ドイツ) (200 mg/l) 。
溶液B: サッカリンナトリウム (No. 817042 S20913 711、Merck-Schuchardt、ドイツ) (225 mg/l)、クエン酸により溶液Aと同じpHに設定。
以下の問題に関する三点比較法試験(DIN ISO 4120 (January 1995)): どのサンプルがより酸味があるか?(強制選択、n = 12)。
結果:
同一のpH設定において、溶液Aは12人の試験者のうち12人で溶液Bよりも酸味が弱いとして評価される。溶液Bは溶液Aと比較してとても高度にそして有意に強い酸味を獲得する(有意水準=0.1%)。上記試験系では、等量のサッカリンアニオンが存在するので、これは明らかにサッカリンの特異的な効果である。要約して、結果を表6に示す。
【0034】
【表6】

【0035】
b)クエン酸と比較したサッカリン酸の同一酸味試験
方法:
試験溶液: サッカリン酸 (200 mg/l)
標準A: サッカリンナトリウム (225 mg/l) + クエン酸 (0.05 g/l)
標準B: サッカリンナトリウム (225 mg/l) + クエン酸 (0.08 g/l)
標準C: サッカリンナトリウム (225 mg/l) + クエン酸 (0.11 g/l)
以下の問題に関する対比較試験: どのサンプルがより酸味があるか?(強制選択、n = 15)
結果:
図3: サッカリン酸およびクエン酸の同一の酸味決定のための対比較試験
200 mg/lのサッカリン酸を有する水溶液は、100 mg/lのクエン酸 と225 mg/l のサッカリンナトリウムを含む溶液と同一の酸味を有する。サッカリン酸溶液はクエン酸溶液(pH 3.53)よりも著しく低いpH3.05である。要約して、結果を表7に示す。
【0036】
【表7】

【0037】
実施例4 食品
酢酸は、食品、例えば、デリカテッセン製品、および他の酸性保存製品の酸性化においてフルーツ酸として用いられている。特に、漬物(pickled vegetables)の場合には、特有の酢酸の角が砂糖または高甘味度甘味料を使用することでとれて丸くなり、製品が消費者にさらに受け入れられるようになる。さらに酢酸を(部分的に)甘味料および酸味料アセスルファミン酸の組み合わせに置き換えることにより、製品の所望の技術的(pH)および感覚的性質を、酸味料および砂糖または甘味料の低い全体使用量により獲得するため、経済的にも適当なものとなる。
【0038】
甘味料/酸味料アセスルファミン酸の、アセスルファミン酸の塩(アセスルファムK)を基本とする甘味料溶液と比較した、pHおよび酸味の感じ方に対する効果を以下に記載する。
a)同一のpHにおける相対的な甘味度の測定
方法:
溶液A: アセスルファミン酸 (203 mg/l)
溶液B:アセスルファムK (250 mg/l)、 酢酸により溶液Aと同じpHに設定。
以下の問題に関する三点比較法試験: どのサンプルがより酸味があるか?(強制選択、n = 12)。
結果:
同一のpH設定において、甘味料/酸味料アセスルファミン酸を有する溶液Aは12人の試験者のうち12人で、アセスルファムKおよび酢酸を有する溶液Bよりも酸味が弱いとして評価される。溶液Bは溶液Aと比較してとても高度にそして有意に強い酸味を獲得する(有意水準=0.1%)。上記試験系では、等量のアセスルファムアニオンが存在するので、これは明らかにアセスルファミン酸の特異的な効果である。要約して、結果を表8に示す。
【0039】
【表8】

【0040】
b)酢酸に対するアセスルファミン酸の同一酸味試験
方法:
試験溶液: アセスルファミン酸 (203 mg/l)
標準A: アセスルファムK (250 mg/l) + 酢酸 (0.1 g/l)
標準B: アセスルファムK (250 mg/l) + 酢酸 (0.2 g/l)
標準C: アセスルファムK (250 mg/l) + 酢酸 (0.3 g/l)
以下の問題に関する対比較試験: どのサンプルがより酸味があるか?(強制選択、n = 14)
結果:
図4: アセスルファミン酸および酢酸の同一の酸味決定のための対比較試験
203 mg/lのアセスルファミン酸を有する水溶液は、190 mg/lの酢酸 と250 mg/lアセスルファムKを含む溶液と同一の酸味を有する。アセスルファミン酸溶液はクエン酸溶液(pH 3.71)よりも著しく低いpH3.07である。要約して、結果を表9に示す。
【0041】
【表9】

【0042】
実施例5 酸味料としてのクエン酸の使用と比較した、甘味料アスパルテームと組み合わせた甘味料酸アセスルファミン酸の使用
175 mg/l のアセスルファミン酸および150 mg/lのアスパルテームの混合物を、水を基礎としたオレンジの芳香を含有する飲料中で生成した。pHは3.4であり、酸の感じ方は、アセスルファミン酸の代わりに0.1 g/l のクエン酸を用いて酸性化し、pHが3.9となった同様のオレンジの芳香を含有する飲料と一致した。同一の甘味の飲料を得るために、214 mg/lのサネット(Sunett)および150 mg/l の アスパルテームを使用した。
【0043】
実施例6 酸味料としてのクエン酸の使用と比較した、甘味料ネオテームと組み合わせた甘味料酸アセスルファミン酸の使用
100 mg/lのサイクラミン酸、150 mg/lのアセスルファミン酸および1 mg/lのネオテームの混合物を、アイスピーチティー中で生成した。pHは3.5であり、酸味の感じ方は、サイクラミン酸およびアセスルファミン酸の代わりに0.12 g/l のクエン酸を用いて酸性化し、pHが4.2となった同様のアイスピーチティーと一致した。同一の甘味の飲料を得るために、185 mg/lのサネット(Sunett)、112 mg/lのサイクラミン酸ナトリウムおよび1 mg/l のネオテームを使用した。
【0044】
実施例7 酸味料としてのクエン酸の使用と比較した、甘味料ネオテームと組み合わせた甘味料酸アセスルファミン酸およびサイクラミン酸の使用
100 mg/lのサイクラミン酸、150 mg/lのアセスルファミン酸および5 mg/lのアリテームの混合物を、アイスレモンティー中で生成した。pHは3.5であり、酸味の感じ方は サイクラミン酸およびアセスルファミン酸の代わりに0.12 g/l のクエン酸を用いて酸性化し、pHが4.2となった同様のアイスレモンティーと一致した。同一の甘味の飲料を得るために、185 mg/lのサネット(Sunett)、112 mg/lのサイクラミン酸ナトリウムおよび5 mg/l のアリテームを使用した。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】アセスルファミン酸およびクエン酸の同一の酸味決定のための対比較試験。
【図2】サイクラミン酸およびクエン酸の同一の酸味決定のための対比較試験。
【図3】サッカリン酸およびクエン酸の同一の酸味決定のための対比較試験。
【図4】アセスルファミン酸および酢酸の同一の酸味決定のための対比較試験。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品、化粧品、消費財(consumer goods)および医薬の微生物学的安定化のために甘味料酸(sweetener acid)を使用する方法。
【請求項2】
食品における、請求項1記載の使用方法。
【請求項3】
医薬および化粧品における、請求項1記載の使用方法。
【請求項4】
甘味料酸が20から5000ppmまでの量で使用される、請求項2記載の使用方法。
【請求項5】
甘味料酸が20から12000ppmまでの量で使用される、請求項3記載の使用方法。
【請求項6】
甘味料酸が、以下の甘味料酸:アセスルファミン酸(acesulfamic acid)、サッカリン酸、サイクラミン酸およびグリチルリチン酸(glycyrrhicic acid)のうちの1つ以上より選択される、請求項1から5のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項7】
食用酸(food acids)の、完全なまたは部分的な代替として使用する、請求項1から6のいずれか1つに記載の使用方法。
【請求項8】
少なくとも1つの甘味料酸および少なくとも1つの高甘味度甘味料を含む調合物。
【請求項9】
甘味料が、アスパルテーム、 アリテーム、 ネオテーム、 アセスルファムK、 サッカリン、 サイクラミン酸、 スクラロース、 タウマチン、 ネオヘスペリジンジヒドロカルコン(neohesperidin dihydrochalcone (NHDC))、 ネオテームおよびステビオシドからなる群から選択される1つ以上の化合物から選択される、請求項8記載の調合物。
【請求項10】
甘味料酸が以下の甘味料酸:サッカリン酸、サイクラミン酸およびグリチルリチン酸の1つ以上から選択される、請求項8または9記載の調合物。
【請求項11】
甘味料酸と高甘味度甘味料の重量比が1000:1から1:20の間である、請求項8から10のいずれか1つに記載の調合物。
【請求項12】
存在する酸を全体的にまたは部分的に、甘味料酸に入れ替えることを含む、同一の酸味でpHを減少させる方法。
【請求項13】
食品、飲料、医薬または化粧品においてpHを減少させる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
入れ替えられる酸が、食用酸である、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
請求項8記載の調合物を含む飲料。
【請求項16】
請求項8記載の調合物を含む食品。
【請求項17】
請求項8記載の調合物を含む医薬。
【請求項18】
請求項8記載の調合物を含む化粧品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−525791(P2006−525791A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516752(P2005−516752)
【出願日】平成15年11月11日(2003.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012567
【国際公開番号】WO2004/084641
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(398037789)ニュートリノヴァ ニュートリション スペシャリティーズ アンド フード イングリーディエンツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【Fターム(参考)】