説明

食品および冷凍もしくは冷蔵された半加工食品を含むパックの調製方法

調製するのが容易であり、例えばファーストフードアウトレットにおいて好適に使用され得る、好ましい栄養学的組成を有する食品を調製するための方法が提供される。調理されたパティが、10℃未満の温度で、パッケージした状態で保存される。この調理されたパティは、水分含有量70〜90重量%および脂肪含有量1〜15重量%を有する。これらは、ゲル化されたタンパク質および野菜小片を含み、タンパク質および炭水化物を少なくとも1.5:1の重量比率で含む。この方法においては、パティをパッケージから分離し、保存から取り出し、次いで乾燥加熱処理にかけ、パティの内部温度を40℃より高く上昇させる。また、本発明の方法における使用に好適な凍結された半加工食品を含むパックも提供される。このパックは、水分含有量70〜90重量%および脂肪含有量1〜15重量%を有する調理されたパティを含み、ゲル化されたタンパク質および野菜小片を含み、タンパク質および炭水化物を少なくとも1.5:1の重量比率で含み、-4℃未満の内部温度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を調製する方法、およびその方法に好適な冷凍半加工食品を含有するパックに関する。
【背景技術】
【0002】
食品消費パターンは過去の数十年にわたって根本的に変わった。食品の大部分は、もはや家庭で調製されず、代わりに、レストラン、食堂、および他の食品アウトレットで購入される。特に、食品の大部分は、現在いわゆるファーストフードアウトレットにおいて調製されて、消費される。これらの発達および増大する豊かさは、重大な健康上の問題をもたらしている。いくつかの国で、人口のほとんど半分が、太りすぎであり、この問題は、急速に増大している。問題のさらなる面は、望ましくない栄養上のプロファイルを有する傾向があるハンバーグステーキのような、食べやすい食品のための味覚を人々が開発したことである。栄養士は、脂肪、特にトランスおよび飽和の脂肪、炭水化物、特に高血糖指数を有する炭水化物および塩の摂取量を減らすように忠告している。他方では、野菜および果実の消費を上げることによって、かなりの栄養の利益を達成することができた。より健全なライフスタイルを採用し、より多くの健康食品を摂取するように人々を説得するための多くの試みがなされているが、これらの試みは、いまのところ、あまりうまくいっていない。特に、より若い年令層により健康な食品を選択するように説得することは難しい。問題のさらなる面は、若者が、彼らの食品の大部分を買う傾向がある食品アウトレットが、価格を低く維持しなければならないことである。したがって、彼らは、高いトレーニングレベルを持たない比較的低コストの人員によって、失敗なしに容易に調製され得る、相対的に安い材料からできた食品を提供することしかできない。
【0003】
ミートバーガーは、特に不適当な栄養上のプロファイルを有するとして問題にされている。売りに出ている製品の栄養品質を改良するための1つの努力において、ファーストフードアウトレットは、野菜バーガーおよび同様なものを提供し始めた。典型的にこのような製品は、野菜片が一緒に接着された形にしておくための接着性材料として役立つ澱粉ベースのソースの中に野菜片を含む。このパティは、パン粉または同様のもので被覆される。消費のための野菜バーガーを調製するために、これらは、ファーストフードアウトレットの中でたっぷりの油で揚げられ、ある種のサラダおよびドレッシングと共に通常バン(a bun)の中に置かれる。しかしながら、野菜バーガーの中の接着剤として役立っている澱粉ベースのソースは、炭水化物含有量を望ましくないほどに高くする原因になる。たっぷりの油で揚げることは、高い脂肪含有量をもたらす。この野菜バーガーは、例えばとりわけマイクロ波オーブンで適切に加熱することができなかった。というのは、パリパリせず、ふやけた被覆につながり、これはあまり歓迎されないからである。
【0004】
ヨーロッパ特許第0702901号は、粒状の蛋白性素材を使った、ハンバーグステーキなどの切りきざまれた肉製品の類似物の調製を記載している。この素材は、熱凝固性植物性タンパク質、例えば大豆タンパク質分離物に基づいたものである。米国特許第3953611号は、熱固定された7S大豆タンパク質分離物によって一緒に結合された食用組織状タンパク質小片を含む成形されたタンパク質食品、例えばハンバーガーパティ類似物を開示している。米国公開特許2004/115327号は、例えば直接消費の時に調理されるようにデザインされたパティの中に、成形されることが可能な生のバッターという形の高タンパク質および低カロリー食品の調製を記載している。この製品は、伝統的なジャガイモベースの製品と似ている。CA2154224は、オムレツを提供するために調理され得る凍結されたパティの調製方法を記載する。これは、卵白、野菜およびポテトフレークを含んでいる。米国特許第6524638号は、食品の一部として消費のためにマイクロ波オーブンの中での将来の加熱が意図されている、前もって調理された卵パティを記載している。タンパク質を含む成形された食品は、ドイツ特許第4302183号、米国公開特許第2003/096041号、ヨーロッパ特許第1254604号およびドイツ特許第29812644号においてさらに開示されている。
【特許文献1】ヨーロッパ特許第0702901号
【特許文献2】米国特許第3953611号
【特許文献3】米国公開特許第2004/115327号
【特許文献4】カナダ特許第2154224号
【特許文献5】米国特許第6524638号
【特許文献6】ドイツ特許第4302183号
【特許文献7】米国公開特許第2003/096041号
【特許文献8】ヨーロッパ特許第1254604号
【特許文献9】ドイツ特許第29812644号
【特許文献10】ヨーロッパ特許第1452098号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、今回、しばしば、ファーストフードアウトレットに適用する条件下で使用することができ、食品に比較的良好な栄養上のプロファイルを提供する食品を調製する方法を見出した。特にこれは、相当量のタンパク質および野菜と共に比較的低い脂肪および炭水化物の含有量を併せ持つ。これは、一般に若者に魅力的な食べやすい形で、食品を提供する。この方法は、誤りの実質的なリスクなしに比較的ほとんどトレーニングしていない人員によっても適用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、1つまたは複数の調理されたパティが10℃未満の温度でパッケージに保存される食品の調製方法であり、前記パティは、70〜90重量%の水分含有量および1〜15重量%の脂肪含有量を有し、前記パティは、ゲル化されたタンパク質および野菜小片を含み、前記パティは、少なくとも1.5:1の重量比率でタンパク質および炭水化物を含み、前記方法においては、少なくとも1つのパティをパッケージから分離し、保存から取り出し、次いで、少なくとも1つのパティを、乾燥加熱処理にかけ、パティの内部温度を40℃より高く上昇させる食品の調製方法を提供する。
【0007】
また、本発明は、本方法における使用に好適な凍結された半加工食品を含むパックであり、前記パックは、1つまたは複数の調理されたパティを含み、前記パティは、70〜90重量%の水分含有量および1〜15重量%の脂肪含有量を有し、前記パティは、ゲル化タンパク質および野菜小片を含み、少なくとも1.5:1の重量比率でタンパク質および炭水化物を含み、前記パティは、-4℃未満の内部温度を有する前記パックを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
パティは、食品小片およびこの小片を一緒に保持する接着性材料を含む一切れの食品である。この小片は、肉、魚、野菜または他の食品の小片を挽くか、刻むか、または切った小片であることができる。一切れの食品の形状は、重要ではないけれども、好ましくは、この一切れは、スライスの形を有する。しかしながら、これは、例えば球または円柱の形であってもよい。パティは、通常丸いスライスの形状であるが、あるいは、それは四角、矩形、三角であってもよく、または不規則な形にしてもよい。前記一切れの食品の最大寸法は、通常5cmから15cmの間である。最小寸法、典型的にはスライスの厚さは、通常0.5〜5cm、さらに普通には1〜3cmのオーダーである。野菜バーガーの場合において、前記小片を一緒に保持する接着性材料は、典型的には、前記の澱粉ベースのソースである。他のパティにおいて、澱粉ベース材料は、例えば圧縮されたパスタまたは米の形で接着性材料として適用される。本発明において、接着性材料は、好ましくはゲル化されたタンパク質構造によって構成されている。本発明の調理されたパティは、好ましくはパン粉の被覆を有していない。
【0009】
本発明の方法においては、乾燥加熱処理が適用される。我々は、理論によって束縛されることを望まないけれども、我々は、調理されたパティにおける澱粉に対するタンパク質の高い比率およびゲル化されたタンパク質の存在のために、たっぷりの油で揚げることを適用する必要が全然ないと信じる。また、我々は、ゲル化されたタンパク質によって提供された構造のために、パティの上にパン粉または同様のものの外層の必要性が全然ないと思っている。これはパン粉の中に通常含まれている炭水化物を避け、また、それは加熱段階における脂肪を避けることに寄与し、その結果、有益な栄養上のプロファイルを得ることを容易にする。乾燥加熱処理は、パティの脂肪含有量を実質的に上昇させることなしに、パティの内部を、要求された温度に到達せしめる加熱方法を意味する。加熱処理によってもたらされる脂肪含有量の上昇が、パティの重量に基づいて計算して3重量%(すなわち、パティ中に含まれる脂肪の部分としてではなく、絶対値として、パーセントポイントとして表して)以下であるならば、加熱方法は、実質的にパティの脂肪含有量を上昇させていない。好適な乾燥加熱処理の例は、ホットプレート上での加熱、グリル下での加熱、赤外線加熱およびマイクロ波オーブンの中または別のオーブン中での加熱である。また、前記加熱は、例えば、ガスレンジの上において、柄のない平なべの中で行うことができる。また、もし加熱処理の結果として、調理されたパティの脂肪含有量が、3重量%を超えて増加することが避けられるならば、他の方法も適用することができる。好ましくは、加熱処理の結果としての脂肪含有量における増加は、1重量%以下である。最も好ましくは、調理されたパティの脂肪含有量は、加熱処理中に全く増加しない。それは、いくらか減少することすらあり得る。
【0010】
前記の調理されたパティは、詳細な配合表および調製手順に従って、よく発達した品質保証方法により食品工場において調製し、パッケージすることができる。調理されたパティは、冷蔵または冷凍された条件で保存される。それらは、例えばファーストフードレストランなどの使用場所にそのような保存条件の下で輸送することができる。使用場所の人員は、ただ、調理されたパティを冷蔵ないし冷凍倉庫から取り出し、パッケージ材料を取り除き、次いでパティを加熱することが必要なだけある。次いで、パティは、サラダ、場合により、生の野菜、チーズ、ソースまたはドレッシングおよび/または調味料と共に、例えばバンの上に乗せて供することができる。
【0011】
前記のゲル化されたタンパク質は、本発明の方法のための出発材料を供給し、半加工食品として本発明のパック中に含有される、調理されたパティ中に存在する必要がある。「調理されたパティ」における「調理された」という表現は、まだ変性されていない段階にあるタンパク質にゲル構造を生じさせる加熱方法を表す。それは、例えば所望の形状のパティを得るために型またはリングを使用する、例えば、オーバンマリー(au-bain-marie)加熱、熱水中に沈めることができる容器中での加熱、スチームクッカーまたはそれ以外の熱い水蒸気中での加熱、高周波オーブンまたは在来のオーブン中での加熱、ならびに例えばフライパンなどの中での加熱を含む。パティは、それが、例えば型またはリングを使用して所望の形状をすでに与えられている間に調理することができる。あるいは、それは、違う形のより大きな容器、例えばソーセージ風のケーシングまたは型に入れられて、調理され、次いで、例えばソーセージ形の材料からスライス状に切ることによって所望のパティの形に成形することができる。
【0012】
パッケージ材料の選択は、重要ではなく、様々な材料が利用できる。例えばパティはプラスチック容器またはボール紙箱中にパッケージすることができる。パッケージ材料は、調理されたパティが冷凍または冷蔵の条件のいずれで、出荷され、保存されるかによって選択することができる。好ましくは、調理されたパティは、冷凍保存される。本発明の冷凍された半加工食品のパックにおいて、パティの内部温度は、-4℃未満である。好適には、個々の調理されたパティが、必ずしもコンテナ全体を貯蔵から取り出さなくとも、パックから容易に取り出すことができるようにパッケージされる。好ましい実施形態において、パティは最初に急速冷凍されて、次いでそれらはパックされる。いずれの場合においても、好適な保存寿命を達成するために、調理されたパティは、10℃より低い温度でパッケージされて保存されるべきである。これらは、好ましくは、2〜8℃の温度で冷蔵保存され得るが、これらは、好ましくは-4〜-30℃、さらに好ましくは-8〜-24℃で冷凍保存されることが推奨される。
【0013】
調理されたパティは、70〜90重量%の水分含有量および1〜15重量%の脂肪含有量を有するべきである。水分含有量は、好ましくは77〜87重量%である。栄養上および官能上の理由から、少量の脂肪が望ましい。また、この脂肪は、本発明の方法を容易に適用できるようにするために寄与している。脂肪含有量は、好ましくは3〜10重量%、特に5〜8重量%である。このパティは、野菜小片を含むべきである。本出願において、「野菜小片」という表現は、果実、ハーブおよびスパイス小片を含む。このパティは、肉、魚および/またはチーズの小片を含むこともできる。しかしながら、パティ中に含まれる小片の、全部ではないにしても、好ましくは大部分が、野菜小片、特にトウガラシ、キノコ、ナス、タマネギ、ズッキーニ、トウモロコシ、トマト、カリフラワー、ブロッコリ、ジャガイモ、種子および/または豆および同様のものの小片である。好適な実施形態においては、パティは、トウガラシ、タマネギ、キノコ、トウモロコシまたはこれらの2つ以上の組合せの小片を含む。
【0014】
小片のサイズは、重要ではない。通常、小さい小片サイズを有するハーブおよびスパイスは別として、一般に、小片は、0.5cmから2cmの間の大きい方の寸法および1cm未満の小さい方の寸法を有し、大きい方の寸法が、小さい方の寸法より大きくなるように切られる。小片は、規則正しく成形される必要はない。例えばカリフラワーまたはブロッコリの小片が含まれ得る。好適なサイズを有する野菜、例えばスイートコーン、エンドウおよびケシの実、ゴマの種子およびヒマワリの種子などの種子は、それらを切ったり、または挽いたりすることなく、そのまま含有させることができる。野菜および場合により他の小片は、調理されていない形で、調理されたパティ中の接着性材料を構成することになっているタンパク質が豊富な組成物で結合することができる。あるいは、小片の部分または全部は、前もって加熱処理され得る。例えばこれらは、調理され、ローストされ、または炒めることができる。
【0015】
調理されたパティの中で、小片は、接着性材料中に埋め込まれるか、接着性材料によって結合される。接着性材料の特性は、好ましくはゲル化されたタンパク質によって支配される。接着性材料は、全卵を用いて、あるいは牛乳と共に作られたオムレツ様材料であり得、調理されたパティは、野菜小片の適当量を配合表に含めた従来のオムレツ配合表を使い、パティのために所望のオムレツに形作り、調製することができる。接着性材料を構成しているオムレツ様材料を有するパティの使用は、それが例えば昼食または夕食などの消費に好適であるだけでなく、これは朝食においても供することができるという利点を有する。これに対して、牛肉バーガーおよび野菜バーガーは、普通には朝食での消費のために好適であるとは考えられない。
【0016】
パティ中の接着性材料を構成する成分および小片の選択は、全体で、タンパク質と炭水化物の重量比率が、少なくとも1.5:1となるようにあるべきである。好ましくは、タンパク質と炭水化物の重量比率は2:1から30:1の間であり、さらに好ましくは、2:1から15:1の間である。
【0017】
調理されたパティは、好ましくは冷凍状態でパッケージに保存される。消費のために1つまたは複数のパティを調製するために、1つまたは複数の冷凍または冷蔵されたパティを有するパックが、保存庫から取り出され、1つまたは複数のパティが、パッケージから取り出され、次いで1個以上のパティは、乾燥加熱される。あるいは、調理されたパティのパックが、保存庫の中に保持され、1つまたは数個のパティがパックから取り出され、次いで1つまたは複数のパティが、乾燥加熱される。冷蔵または冷凍された保存場所から調理されたパティを取り出した後に、これらは、全体的または部分的に周囲温度に暖めさせてもよく、あるいは、これらは冷蔵・冷凍倉庫から取り出した直後に乾燥加熱処理にかけられてもよい。
【0018】
本発明の方法は、例えばこの分野におけるバックパッカーまたは兵隊によって応用され、典型的には製品が周囲の温度で保存され、製品が消費の前にこれらがパッケージされたままでしばしば加熱される、いわゆる調理済み食事に適用される方法と区別されるべきである。調理済み製品は、通常殺菌されるが、それは、本発明の調理されたパティには、推奨されない。もし、製品が殺菌される必要がないならば、製品の官能特性は、より良好であり得る。ファーストフードアウトレットにおける受諾を見出すために、製品の味覚および風味のプロファイルは、優れている必要がある。したがって、調理されたパティは殺菌されていないことが好ましい。
【0019】
調理されたパティのタンパク質含有量は、好ましくは5〜20重量%、さらに好ましくは、6〜15重量%、特に7〜12重量%である。
【0020】
パティ中の野菜小片の量は、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは30〜50重量%である。
【0021】
パティの中の接着性材料は、雌鶏全卵で作られたオムレツによって構成され得る。しかしながら、好ましくは、調理されたパティは、実質的に卵黄を含まない。好ましくは、調理されたパティの中に含まれるいかなる卵黄誘導材料も、調理されたパティの1重量%未満、特に0.5重量%未満しか構成せず、最も好ましくは、調理されたパティは、卵黄から誘導されたいかなる材料も全く含まない。
【0022】
パティの中のタンパク質は、ゲル化されたタンパク質を含む。好ましくは、タンパク質は、植物性タンパク質を含む。タンパク質は、さらに好ましくは、植物性タンパク質、微生物タンパク質、乳タンパク質、卵白タンパク質またはこれらの2つ以上の組合せからなる。植物性タンパク質の中で、特に大豆タンパク質が好ましい。好ましくは、タンパク質の20〜90重量%は、植物性タンパク質である。さらに好ましくは、調理されたパティの中に含まれているタンパク質は、大豆タンパク質20〜90重量%、特に大豆タンパク質30〜70重量%を含む。しかしながら、パティは、また例えばカノラ(canola)タンパク質、小麦タンパク質、および/またはエンドウ豆タンパク質を含むことができる。調理されたパティの中に含まれているタンパク質が、大豆タンパク質および乳タンパク質を含むことが特に好ましい。最も好ましい実施形態において、調理されたパティの中に含まれるタンパク質は、大豆タンパク質、乳タンパク質および卵白タンパク質を含む。タンパク質タイプの組合せの使用は、良好な官能プロファイルを得るために寄与することができる。例えば、好適な接着性は、パティの接着性材料の中の単一タンパク質給源としての卵白タンパク質の使用によって達成することができる。しかし、生成する製品は、その時多少ゴムのように弾性があるテクスチャーを有することがある。嗜好性は、パティの接着性材料中のタンパク質給源の組合せを使用することにより、特に大豆タンパク質、乳タンパク質および卵白タンパク質の組合せを用いて改良することができる。
【0023】
調理されたパティの中に含まれている全てのタンパク質が、必ずしもゲル化される必要はないが、パティはゲル化されたタンパク質を含むべきである。タンパク質がゲル化された構造を持っているかどうかは、場合により、染色後に従来の顕微鏡テクニックによって観察することができる。実際に、ゲル化されたタンパク質構造の進展は、パティの料理の間に視覚的に観察することができる。料理されていないパティ組成物の中の水に溶解された例えば大豆タンパク質および卵白タンパク質などのタンパク質組成物は、例えば料理されていないオムレツ組成物のように流動性である。熱するとタンパク質は、解きほぐされ、変性され、水を閉じ込めたゲル構造を発展させる。この組成物は、徐々に固体になる。調理された組成物において、流動性は失われ、タンパク質は少なくとも部分的に変性され、ゲル構造が発展している。
【0024】
植物性タンパク質、場合により、乳タンパク質および/または卵白タンパク質との組合せに基づいた、調理されたパティは、典型的に全卵タンパク質に基づいたパティより離液の害を被り難い。さらに、これらは、コレステロール含有量がより低く、微生物汚染のリスクが減少されるという利益を有する。
【0025】
パティ組成物において使用され得るタンパク質給源の例は、大豆タンパク質濃縮物および分離物、卵白タンパク質、乳タンパク質濃縮物および分離物、例えばホエータンパク質に基づくもの、脱脂乳粉末、ホエー粉末、バターミルク粉末、カゼインおよびカゼイネートである。また、タンパク質の一部は、調理されたパティの中の野菜小片または他の小片によって供給することもできる。特にエンドウ豆およびソラ豆は、高いタンパク質含有量を有する。魚または肉またはチーズは、パティ中の小片として含まれる場合、タンパク質含有量に寄与することができる。
【0026】
しかしながら、好ましくは、調理されたパティの中のタンパク質の少なくとも半分は、パティの接着性材料の中に含まれている。さらに好ましくは、調理されたパティのタンパク質の70〜100重量%は、接着性材料の中に含まれている。調理されたパティの接着性材料は、好ましくは70〜85重量%の水、さらに好ましくは、74〜81重量%の水を含んでいる。接着性材料は、好ましくは7〜20重量%のタンパク質、さらに好ましくは、9〜15重量%のタンパク質を含んでいる。接着性材料の中の炭水化物に対するタンパク質の重量比率は、好ましくは少なくとも1.5:1であり、さらに好ましくは、それは2:1から40:1の間、特に3:1から30:1の間である。接着性材料の中のタンパク質は、好ましくは、大豆タンパク質20〜90重量%からなる。それは、好ましくは卵白タンパク質15〜50重量%からなる。それは、好ましくは乳タンパク質1〜50重量%からなる。接着性材料の中の乳タンパク質は、好ましくはホエータンパク質50〜100重量%からなる。接着性材料の脂肪含有量は、好ましくは2〜25重量%、さらに好ましくは、5〜15重量%である。
【0027】
調理されたパティを調製する際に、野菜小片が、望ましいと考えられるように接着性材料中に等しく分配されまま留まらないことが見出された場合、これは、接着性材料の粘度を上げることによって対処することができる。これは、水分含有量を減らすか、または例えばある種のガムまたは他の増粘剤を含ませることによって対処することができる。例えば、最初に、例えばシリンダー状型中などで組成物を加熱し、タンパク質をゲル化させ、組成物を凝固させ、次いで調理されたシリンダー状物をスライスしてパティを得るなどして、調理されたパティを調製することを望む場合、そのときは、成分が沈殿しないように液状組成物の粘度を上昇させることが必要となり得る。この粘度の上昇は、例えばCMCまたはグアーガムなどのガムまたは澱粉の添加によって行うことができる。
【0028】
本発明の方法において、乾燥加熱処理は、その内部の温度を40℃より高く上昇させるために調理されたパティに適用されるべきである。好ましくは、パティは、パティの内部の温度を50〜95℃、特に60〜85℃に上昇させるように加熱される。乾燥加熱工程は、好ましくは、マイクロ波加熱またはホットプレート上での加熱またはこれらの組合せを含む。
【0029】
加熱されたパティは、そのままで食べることができるけれども、好ましくは、それは加熱されたパティの少なくとも1つの面にパンを置いて供することができる。パティの1つの面にパンが置かれる場合、どちらの面が上になっても問題ないけれども、好都合には、パンが下の層を構成する。パティは直接パンと接触してもよいが、例えばサラダおよび/またはドレッシングなどの他の食品が、介在していてもよい。例えば、キュウリおよびチーズのスライスの上にパティを置き、熱いパティの上にソースをいくらかかけて、パンのスライスをレタスおよびキュウリのスライスで覆うことができる。場合により、パンのスライスを、上に置くこともできる。あるいは、パティは、サラダ、ソースまたはドレッシング、調味料および同様のものと共に、あるいはこれらなしで、バン中に置くこともできる。熱せられたパティとの組合せによるある種のパンの使用は、この製品の受容に寄与する。しかしながら、供する際に不必要に高い炭水化物含有量とならないように、パティと組み合わされるパンの量は、多すぎないのが好ましい。好ましくは、使用されるパンの量は、調理されたパティの半分の重量より少ない。
【0030】
好ましくは、調理されたパティは、ある種の調味料およびタンパク質が豊富な組成物と共に野菜小片から作られる。場合により、少ない量の肉、チーズおよび/または魚小片、例えば少ない量の、例えば焼かれたベーコン、摩り下ろされたパルメザンチーズおよび/または小さい小エビまたは小エビ小片のそれぞれも同様に含むことができる。しかしながら、好ましくは、小片の60〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%は、野菜小片である。タンパク質が豊富な組成物として、例えば、卵黄を全く含まない、あるいは実質的に含まない全卵代替組成物またはオムレツ代替組成物が、好適に使用され得る。卵黄を全く含まない卵代替組成物は、当分野においてよく知られている。本発明の調理されたパティを調製するための特に好ましい材料は、ヨーロッパ特許第1452098号(この特許は、参照によって本明細書中に組み込まれている)に記載された卵代替濃縮物および液状卵代替物である。
【0031】
パティに含有される脂肪は、例えば乳脂および/または海洋性脂肪であり得るが、好ましくは、それは植物性脂肪である。脂肪の給源として周囲の温度で液状である油、例えばヒマワリ油またはカノラ油の使用が、特に好ましい。組成物は、ある種の乳化剤、例えばレシチンを有用に含有することができる。
【0032】
本明細書全体を通して、全ての部、パーセンテージおよび比率は、違った風に明示されていなければ、重量によるものである。実施例における場合、あるいは違った風に明示的に示された場合を除いて、材料の量を示す本明細書中の全ての数値は、「約」という用語によって修飾されたものとして理解されるべきである。
【0033】
「含む(comprising)」という用語は、どのような後で述べられた要素にも限定するものでなく、むしろ主要なまたは小さな機能的な重要性の不特定要素を包含することを意味している。換言すれば、リストされたステップ、要素、またはオプションは、余すところがないものである必要がない。「含む(including)」または「有する(having)」という用語が使用されるときはいつでも、この用語は、前に定義された「含む(comprising)」と同じであることを意味している。
【0034】
(実施例)
(実施例1)
油相組成物および粉末相組成物が、それぞれ表1Aおよび表1Bに示された成分を使用して調製された。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
それぞれの前記相の成分を混合した。次いで、混合された油相組成物31.1重量部および混合された粉末相組成物68.9重量部をホバートミキサー中で合わせた。
【0038】
このようにして得られた卵代替濃縮物は、水分含有量3.0重量%を有していた。それは、タンパク質54重量%を含有していた。脂肪含有量は、32重量%であった。
【0039】
この卵代替組成物23.5重量部および水76.5重量部を、電気ハンドミキサーを用いて1分間混合し、液状卵代替物を生成した。
【0040】
トウガラシをきれいにし、種子を取り除き、このきれいにしたトウガラシを約1平方cmの小片に切り分けた。中位の大きさのタマネギを、厚さ約0.5cmの環状物にスライスし、次いで長さ約1〜2cmの小片に切り分けた。熱いフライパンの中でタマネギおよびトウガラシの小片をドライローストした。これらの小片45重量部を液状卵代替物71重量部および調味料の少量と混合した。
【0041】
中程度の加熱のホットプレートに置かれた、加熱されたテフロン(登録商標)平なべの中に、直径8.5cmおよび高さ2cmを有する金属環を置いた。この環を液状卵代替物、野菜小片および調味料の混合物で満たした。加熱の約5分後に液状組成物は、その流動性を失い始め、かたくなった。次いで、この環をひっくり返し、他方の面上においてこの組成物に軽い褐変を生じさせた。環を外し、約2分後にパティを平なべから取り出し、冷却させた。生成物が周囲温度に達した時に、得られた調理済パティを、プラスチック容器の中に、パティが耐油紙によって互いから分離されるように入れた。この容器を閉じ、4℃の冷蔵庫中に入れ、一晩放置した。このパティは、水分約82重量%、タンパク質9重量%および脂肪7重量%を含んでいた。炭水化物に対するタンパク質の重量比率は、約4:1であった。
【0042】
翌日、パティを容器から取り出し、容器を冷蔵庫に戻した。油を軽く敷いたホットプレートの上にパティを置いた。パティを各側2分間加熱した。温度計をパティに突き刺すことによって温度を測定した。内部が70℃の温度に達した。パティの外側は、良好な褐色の色を有していた。
【0043】
生成物は、試食パネルによって多く高く評価された。
【0044】
あるいは、パティの上でチーズのスライスを溶融することができる。この場合、パティをホットプレート上で3分間加熱し、次いでチーズが溶融するまでグリル下に入れることができる。
【0045】
このパティは、その上の溶解したチーズがあるかどうかにかかわらず、好適にはスライス全粒小麦粉パンのスライスの上に乗せて供することができる。最初はパンをレタスの葉でおよび例えばトマトおよび/またはキュウリのスライスでカバーし、そのサラダの上に加熱されたパティを置くことができる。
【0046】
冷蔵庫の中に調理されたパティを保存する代わりに、それらを例えば-18℃などの急速冷凍の状態で保存することができる。そのような温度においては、それらは少なくとも3カ月間保持できる。そのような場合、調理されたパティをパッケージするために使用される容器は、例えば、そのような温度において長期にわたりアイスクリームを保存するために使用されるもののような急速冷凍容器であるべきである。
【0047】
(実施例2〜4)
野菜小片として、次の組成物を使用する以外は、実施例1を繰り返した。
【0048】
【表3】

【0049】
調理されたパティを調製するために、それぞれの場合において、実施例1において記載された液状卵代替物71gを、実施例2については、野菜小片44gと、実施例3および4については、野菜小片46gと一緒にした。
【0050】
消費のために6℃の冷蔵庫の中の一晩保存後に、調理されたパティを調製するために、パティの重量に基づいて算出された約0.9重量%の油と一緒に、パティを加熱されたフライパンに入れた。
【0051】
パティの組成は、次の通りであった:
【0052】
【表4】

【0053】
パティの重量は、実施例2、3および4のそれぞれについて、供するものあたり115g、117gおよび117gであった。加熱されたパティは、それぞれ45gのバンの上に乗せて供した。各バンを、レタス10g、食塩0.3gおよびモツァレラ(Mozzarella)スライス10gで飾った。さらに、実施例3および4について、トマトケチャップ3gを、実施例3については、小形キュウリのスライス8gを使用した。
【0054】
良好な栄養上のプロファイルを持つ非常に良好な製品が得られた。
【0055】
(実施例5)
調理されたパティの調製においてタンパク質のゲル化を引き起こす熱処理を従来のオーブンの中で適用した以外は、実施例1を繰り返した。8cmの直径を持つ柔軟なシリコン型に液状卵代替物71重量部およびドライローストした野菜小片45重量部の混合物を満たした。この型をカバーして、165℃に前もって加熱したオーブン中に入れ、15分間焼成した。次いで、この型をオーブンから取り出し、パティを冷却させた。次いで、型からパティを取り出し、耐油紙を用いて互いから分離してプラスチックの容器に入れた。パティは、厚さ約2.5cmであった。
【0056】
(実施例6)
粉末相組成が、次の通りであった以外は、実施例1を繰り返した:
【0057】
【表5】

【0058】
この製品は、また試食パネルによって肯定的な評価が与えられた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の調理されたパティが10℃未満の温度でパッケージに保存される食品の調製方法であって、前記パティは、70〜90重量%の水分含有量および1〜15重量%の脂肪含有量を有し、前記パティは、ゲル化されたタンパク質および野菜小片を含み、前記パティは、少なくとも1.5:1の重量比率でタンパク質および炭水化物を含み、前記方法においては、少なくとも1つのパティを前記パッケージから分離し、保存から取り出し、次いで、少なくとも1つのパティを、乾燥加熱処理にかけて、前記パティの内部温度を40℃より高く上昇させることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記パティが、タンパク質および炭水化物を2:1から30:1の間の重量比率で含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パティに含まれるタンパク質が、植物性タンパク質、微生物タンパク質、乳タンパク質、卵白タンパク質またはこれらの2つ以上の組合せからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記タンパク質が、大豆タンパク質および乳タンパク質を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記タンパク質が、卵白タンパク質をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記パティが、野菜小片10〜60重量%を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記パティが、トウガラシ、タマネギ、キノコ、トウモロコシの小片またはこれらの2つ以上の組合せを含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記乾燥加熱処理が、マイクロ波加熱、ホットプレート上での加熱、またはこれらの組合せを含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記パティを、加熱し、前記パティの内部を50〜95℃の温度に上昇させることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
加熱されたパティの少なくとも1つの側にパンを置くことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記加熱されたパティを、バンの中に置くことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
調理されたパティを、-4℃から-30℃の間の温度で保存することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法における使用に好適な凍結された半加工食品を含むパックであって、1つまたは複数の調理されたパティを含み、前記パティは、70〜90重量%の水分含有量および1〜15重量%の脂肪含有量を有し、前記パティは、ゲル化タンパク質および野菜小片を含み、前記パティは、少なくとも1.5:1の重量比率でタンパク質および炭水化物を含み、前記パティは、-4℃未満の内部温度を有することを特徴とするパック。

【公表番号】特表2008−517609(P2008−517609A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538288(P2007−538288)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010691
【国際公開番号】WO2006/048093
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】