説明

食品や植物の鮮度保持方法

【課題】植物、果物、食品を、その鮮度を保持し衛生的に保つ為に自ら発生される劣化促進ガスや、庫内に浮遊する悪臭、汚染物質の積極除去を行うと共に、庫内製品のストレスレスシステム。
【解決方法】相対湿度を上げた中で、空気触媒効果によるエチレンガス吸着及びガス分解を促進させ冬眠状態で保存を可能にさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物、果物、食品の腐敗を促進する有機質の物質を空気触媒で低減する方法に関する。
【背景技術及び課題】
【0002】
収穫後の農産物は、自ら発生するエチレンにより熟成し鮮度低下を起こすことが知られています。このエチレン発生対策として予冷による発生量の低減や吸着性能を有した包装材による制御があります。しかし、これらの技術ではエチレンを完全に除去することは困難であり、更なる対策が望まれています。
【0003】
水中や空気中の有害物質を分解する光触媒の技術を応用し農産物が発生するエチレンを分解すること及び予冷庫内の浮遊菌やカビの繁殖を抑制すると共に脱臭の効果を発揮し、予冷庫の総合的環境浄化を行うが、光触媒技術は紫外線を必要とすることから、更なる対策が望まれています。
【課題の解決方法】
【0004】
(1)リン酸チタニウム化合物に代表される空気触媒は、空気中の酸素と水分とで、酸化還元反応を促進します。空気がある限り触媒作用を維持し、更に分子が小さいため素材表面の見える凹凸の中にまで材料が入り込み接触面積が拡大します。空気触媒の効果が効率的に発揮し、長期的に食品、植物、果物の鮮度を保持できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0005】
(2)すなわち、本発明は予冷条件下で空気触媒被覆部材と大気の組み合わせにより、食品、植物、果物から発生した拡散浮遊物を分解する前記の鮮度保持方法。
【0006】
空気触媒のリン酸チタニウム化合物をアルカリ金属化合物より金属表面に固定されている(2)項に記載の鮮度保持方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
空気触媒被覆部材を基体とした基体の内、有機高分子化合物からなる部分にリン酸チタニウム化合物の基体保護層を形成し、さらに基体保護層の表面全域にリン酸チタニウム化合物の層を形成する。
【0008】
リン酸チタニウム化合物とナトリウム、カリウム、リチウムのケイ酸塩等のアルカリ金属化合物とを含有する無機コーティング剤や、リン酸チタニウム化合物と上記アルカリ金属化合物とを含有する無機コーティング剤や更にリン酸チタニウム化合物等の空気触媒半導体が添加された無機コーティング剤で予冷庫の内装表面をコーティングすることが好ましい。
実施例
【実施例1】
【0009】
A5サイズのステンレス基板にリン酸チタニウム化合物をスプレーし、片面リン酸チタニウム化合物コートサンプルを得た。5lのテトラパックにリン酸チタニウム化合物コートステンレスを入れ、4℃で湿度80%に設定した恒温高湿器に開放したままで中の気体を完全に交換させた。その後、テトラパックを密閉し、シリンジを用いて、5mlのエチレンガスを注入し、100ppmエチレンガスを含有した高湿度の気体を得た。テトラパック中のエチレンガスの残存量をガス検知管で測定した。エチレンガスの濃度が試験開始時に70ppm だったのが、5時間で35ppmまで減少し、8時間で15ppmまで減少し、24時間では完全に無くなった。
【実施例2】
【0010】
330lの予冷庫を二台用意した。一つは予冷庫をリン酸チタニウム化合物コートステンレスで庫内を設置した。予冷庫内を8℃に設定し、中の気体を循環させた条件下で、イチゴの保存安定性のテストを行った。24時間8℃で予冷した後、25℃で保留した結果、24時間の予冷庫内で糖度が11%から11.5%に上昇し、コートステンレス無しの場合は逆に11%から10.5%に下降した。その後、25℃で保留したまま3日後には糖度が12%に上昇し4日後は11.8%と下降し始めた。コートステンレス無しの場合は25℃保留で3日後には9.5%に降下した。硬度に関しては同一条件下においてコートステンレス庫内は24時間後に0.75kgf/cmから0.8kgf/cmに上昇し、予冷庫のままでは24時間後に、0.65kgf/cmに下降した。その後、25℃保留でコートステンレス庫内は4日後に0.75kgf/cmに下降し初期の状態に戻った。予冷庫のままでは4日後には0.55kgf/cmまで下降し、目視でも傷みがはっきり識別された。
【実施例3】
【0011】
330lの予冷庫を2台用意した。一つは予冷庫内をリン酸チタニウム化合物コートステンレスで庫内を設置した。予冷庫内を10℃に設定し、中の気体を循環させた条件下で、バラの保存安定性のテストを行った。目視で30日間鮮度を保持した。一方、予冷庫のままでは3日で鮮度が落ちる事がわかった。花弁の硬度は0.9kgf/cmを30日間維持し続けた。予冷庫のままでは、3日目に硬度が0.85kgf/cmに下降した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物、果物、食品の鮮度保持方法であって、摂氏四度からマイナス四度の冷蔵下で空気触媒により食品や植物から発生した浮遊菌を分解することを特徴とする前記の方法。
【請求項2】
空気触媒を金属の表面に固定されている空気触媒の部材を用いることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
空気触媒のリン酸チタニウム化合物をアルカリ金属化合物より金属表面に固定されていることを特徴とする請求項2の方法。

【公開番号】特開2006−76986(P2006−76986A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295421(P2004−295421)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(504376175)
【出願人】(504376197)
【出願人】(504376267)
【出願人】(504376290)
【Fターム(参考)】